特許第6792401号(P6792401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6792401飲料、飲料の製造方法、及び飲料の香味向上方法
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  • 特許6792401-飲料、飲料の製造方法、及び飲料の香味向上方法 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792401
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】飲料、飲料の製造方法、及び飲料の香味向上方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   A23L2/00 B
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-199404(P2016-199404)
(22)【出願日】2016年10月7日
(65)【公開番号】特開2018-57350(P2018-57350A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蝦名 史子
【審査官】 戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/119064(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/119065(WO,A1)
【文献】 特開2016−007138(JP,A)
【文献】 特開2001−252064(JP,A)
【文献】 Qual. Assur. Saf. Crop.,2009年,vol.1, no.4,pp.246-255
【文献】 J. Inst. Brew.,2015年,vol.121, no.1,pp.129-136
【文献】 J. Agric. Food Chem.,2004年,vol.52, no.3,pp.602-608
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−2/84
C12G 3/00−3/08
C12C 1/00−13/10
FSTA/CAplus/WPIDS/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、
前記4−ビニルグアイアコールの含有量が0.2mg/L以上であり、
前記水溶性食物繊維が、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、ラミナリン、フコイジン、及び、カラギーナンのうちの1種以上である飲料。
【請求項2】
前記4−ビニルグアイアコールの含有量が4.0mg/L以下である請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
前記水溶性食物繊維の含有量が0.5w/v%以上である請求項1又は請求項2に記載の飲料。
【請求項4】
前記水溶性食物繊維の含有量が5.0w/v%以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項5】
前記水溶性食物繊維が、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、及び、イヌリンのうちの1種以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項6】
炭酸飲料である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項7】
ビールテイスト飲料である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の飲料。
【請求項8】
前記ビールテイスト飲料が非発酵のビールテイスト飲料である請求項7に記載の飲料。
【請求項9】
前記非発酵のビールテイスト飲料がノンアルコールのビールテイスト飲料である請求項8に記載の飲料。
【請求項10】
4−ビニルグアイアコールの含有量を0.2mg/L以上とし、水溶性食物繊維を添加する工程を含み、
前記水溶性食物繊維が、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、ラミナリン、フコイジン、及び、カラギーナンのうちの1種以上である飲料の製造方法。
【請求項11】
飲料の刺激臭を抑制し樽熟成香を強くする香味向上方法であって、
前記飲料の4−ビニルグアイアコールの含有量を0.2mg/L以上とし、水溶性食物繊維を添加し、
前記水溶性食物繊維が、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、ラミナリン、フコイジン、及び、カラギーナンのうちの1種以上である飲料の香味向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料、飲料の製造方法、及び飲料の香味向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲用者の多様な嗜好に応えるべく、多くの種類の飲料やその製造方法が提案されている。
例えば、ヴァイツェンビール様のフルーティーな香りを付与するため、4−ビニルグアイアコール(4-vinylguaiacol(4VG))及び酢酸イソアミルを含有させた飲料の開発が試みられており、特許文献1には、発酵原料として大麦麦芽を用いてマイシェを調製し、当該マイシェに糖化処理を行って麦汁を調製する仕込工程と、得られた麦汁に下面発酵酵母を接種し、発酵を行う発酵工程と、を少なくとも有し、3ppm以上の酢酸イソアミル及び/又は300ppb以上の4VGを含有する発酵麦芽飲料を製造することを特徴とする、発酵麦芽飲料の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-000038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、4−ビニルグアイアコールを含有させた飲料においては、以下の問題点を有している。
飲料において、4−ビニルグアイアコールの含有量を多くすると、するどい刺激的な香り(以下、刺激臭という)が強くなるといった問題がある。特に、非発酵の飲料やアルコール度数が低いビールテイスト飲料においては、刺激臭の強さはより顕著である。
また、近年、例えば樽香(バニラ香)のような熟成香(以下、樽熟成香という)を強めた飲料等、飲用者の多様な嗜好に応えることのできる飲料の開発が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、4−ビニルグアイアコールによる刺激臭が抑制されているとともに、樽熟成香を強めた飲料、飲料の製造方法、及び飲料の香味向上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、前記4−ビニルグアイアコールの含有量が0.2mg/L以上であり、前記水溶性食物繊維が、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、ラミナリン、フコイジン、及び、カラギーナンのうちの1種以上である飲料。
(2)前記4−ビニルグアイアコールの含有量が4.0mg/L以下である前記1に記載の飲料。
(3)前記水溶性食物繊維の含有量が0.5w/v%以上である前記1又は前記2に記載の飲料。
(4)前記水溶性食物繊維の含有量が5.0w/v%以下である前記1から前記3のいずれか1つに記載の飲料。
(5)前記水溶性食物繊維が、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、及び、イヌリンのうちの1種以上である前記1から前記4のいずれか1つに記載の飲料。
(6)炭酸飲料である前記1から前記5のいずれか1つに記載の飲料。
(7)ビールテイスト飲料である前記1から前記6のいずれか1つに記載の飲料。
(8)前記ビールテイスト飲料が非発酵のビールテイスト飲料である前記7に記載の飲料。
(9)前記非発酵のビールテイスト飲料がノンアルコールのビールテイスト飲料である前記8に記載の飲料。
(10)4−ビニルグアイアコールの含有量を0.2mg/L以上とし、水溶性食物繊維を添加する工程を含み、前記水溶性食物繊維が、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、ラミナリン、フコイジン、及び、カラギーナンのうちの1種以上である飲料の製造方法。
(11)飲料の刺激臭を抑制し樽熟成香を強くする香味向上方法であって、前記飲料の4−ビニルグアイアコールの含有量を0.2mg/L以上とし、水溶性食物繊維を添加し、前記水溶性食物繊維が、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、ラミナリン、フコイジン、及び、カラギーナンのうちの1種以上である飲料の香味向上方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る飲料によれば、4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、4−ビニルグアイアコールが所定値以上に特定されていることから、4−ビニルグアイアコールによる刺激臭が抑制されているとともに、樽熟成香が強くなっている。
【0008】
本発明に係る飲料の製造方法によれば、4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを添加し、4−ビニルグアイアコールを所定値以上とする工程を含んでいることから、4−ビニルグアイアコールによる刺激臭が抑制されているとともに、樽熟成香が強くなった飲料を製造することができる。
【0009】
本発明に係る飲料の香味向上方法によれば、飲料において4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、4−ビニルグアイアコールを所定値以上に調整することから、4−ビニルグアイアコールによる刺激臭を抑制できるとともに、樽熟成香を強めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る飲料の製造方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る飲料、飲料の製造方法、及び飲料の香味向上方法を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0012】
[飲料]
本実施形態に係る飲料は、4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、前記4−ビニルグアイアコールの含有量が0.2mg/L以上である。
【0013】
ここで、飲料としては、例えば、ビールテイスト飲料、水、フレーバードウォーター、炭酸水、フレーバード炭酸水、茶飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、果汁含有飲料、ジュース、野菜飲料、ココア飲料、乳飲料等が挙げられる。ただし、飲料としてはこれらに限定されるものではなく、これら以外の飲料であってもよい。
【0014】
ここで、ビールテイスト飲料とは、ビールのような味わいを奏する、つまり、ビールを飲用したような感覚を飲用者に与える飲料である。
そして、ビールテイスト飲料には、アルコール度数が1%(「容量/容量%」や「v/v%」等とも表される)未満のもの(ビールテイストノンアルコール飲料やノンアルコールビールテイスト飲料等とも呼ばれている)と、アルコール度数が1%以上のもの(ビールテイストアルコール飲料等と呼ばれている)と、がある。また、ビールテイスト飲料には、発酵工程を経ることで製造される発酵したビールテイスト飲料と、発酵工程を経ないで製造される非発酵のビールテイスト飲料と、がある。
【0015】
そして、ビールテイストアルコール飲料は、原料として麦芽を使用するビール、発泡酒、リキュール(例えば、酒税法上、「リキュール(発泡性)(1)」に分類される飲料)等の麦芽発酵飲料や、原料として麦又は麦芽を使用しないビールテイスト発酵飲料(例えば、酒税法上「その他の醸造酒(発泡性)(1)」に分類される飲料)であってもよい。
【0016】
(4−ビニルグアイアコール)
4−ビニルグアイアコールとは、「分子式:C10」で表わされる物質であり、燻製のような香りを有する成分である。
【0017】
4−ビニルグアイアコールの含有量は、0.2mg/L以上であり、0.5mg/L以上であるのが好ましく、1.0mg/L以上であるのがより好ましく、1.5mg/L以上であるのがさらに好ましい。4−ビニルグアイアコールの含有量が所定値以上であることにより、ヴァイツェンビール様の香りを付与することができるとともに、水溶性食物繊維と組み合わせることによって、樽熟成香を強めることができる。
また、4−ビニルグアイアコールの含有量は、4.0mg/L以下であるのが好ましく、3.0mg/L以下であるのがより好ましく、2.0mg/L以下であるのがさらに好ましい。4−ビニルグアイアコールの含有量が所定値以下であることにより、刺激臭をより抑制することができる。
【0018】
本実施形態に係る飲料の4−ビニルグアイアコールの含有量を所定値以上とする手法として、後記するように、混合工程において、所定量の4−ビニルグアイアコールを混合するという手法や、発酵工程を経る場合には、酵母の種類や発酵条件を制御するといった手法が挙げられる。
本実施形態に係る飲料の4−ビニルグアイアコールの含有量は、例えば、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析法(SPME−GC−MS法)によって測定することができ、定量は標準添加法で実施することが好ましい。
【0019】
本明細書において、4−ビニルグアイアコールの1mg/Lは、詳細には、1×10‐4w/v%である。
【0020】
(水溶性食物繊維)
水溶性食物繊維とは、人間の消化酵素では消化されない食品中の多糖類を主体とした高分子成分の総体のうち水溶性のものをいう(綾野、ジャパンフードサイエンス、12、27〜37頁(1988))。
そして、水溶性食物繊維は、4−ビニルグアイアコールによる刺激臭を抑制するとともに、4−ビニルグアイアコールと相乗的に作用し、樽熟成香を強めることができる。
【0021】
水溶性食物繊維としては、特に限定されないが、例えば、難消化性グルカン、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジン、カラギーナン等が挙げられる。
これらの中でも、後記実施例に示されているように、難消化性グルカン及び難消化性デキストリンを好適に用いることができる。なお、商業上入手可能な難消化性グルカンとしては、例えば、日本食品化工株式会社製のフィットファイバー#80(登録商標)等が挙げられる。また、商業上入手可能な難消化性デキストリンとしては、例えば、松谷化学工業株式会社製のファイバーソル(登録商標)、パインファイバー(登録商標)等が挙げられる。
【0022】
水溶性食物繊維の含有量は、0.5w/v%以上であるのが好ましく、0.7w/v%以上であるのがより好ましく、1.0w/v%以上であるのがさらに好ましい。水溶性食物繊維の含有量が所定値以上であることにより、4−ビニルグアイアコールによる刺激臭をより抑制することができるとともに、樽熟成香をより強めることができる。
また、水溶性食物繊維の含有量は、5.0w/v%以下であるのが好ましく、2.5w/v%以下であるのがより好ましく、2.3w/v%以下であるのがさらに好ましく、2.0w/v%以下であるのが特に好ましい。水溶性食物繊維の含有量が所定値以下であることにより、樽熟成香をより強めることができるとともに、コストを低減させることができる。
【0023】
本実施形態に係る飲料の水溶性食物繊維の含有量を所定範囲とする手法として、後記するように、混合工程において、所定量の水溶性食物繊維を混合するという手法が挙げられる。
本実施形態に係る飲料の水溶性食物繊維の含有量は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて測定することができる。
詳細には、水溶性食物繊維が難消化性グルカン、難消化性デキストリン及びイヌリンの場合は、日本食品分析センター「栄養表示のための成分分析のポイント(2007年10月20日発行)」第76〜78頁に記載された方法に基づいて測定することができる。
【0024】
(麦芽の使用比率)
本実施形態に係る飲料が、例えばビールテイスト飲料の場合、麦芽の使用比率を以下のように規定することが好ましい。
麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、燕麦等を所定の条件で発芽させたものをいう。麦芽は、発芽させた状態又はこれを適宜の大きさに粉砕等した状態で用いることができる。なお、麦芽は、ビールテイスト飲料の呈味(例えば、うまみ)と香りに大きな影響を与えるとともに、アルコール発酵させる場合は、酵母が資化可能な窒素源及び炭素源となる。本発明においては、ビールテイスト飲料として好ましい呈味や香り等を得る観点から大麦の麦芽を用いるのが好ましい。
【0025】
ビールテイスト飲料の麦芽の使用比率としては、例えば50%(50質量%)以上が挙げられ、また、67%以上のビールとすることができる。
ここで、麦芽の使用比率とは、水及び苦味料(例えば、ホップ)を除く原料における麦芽の使用比率をいう。また、ビールとは、アルコール度数が20%未満の酒類であって、麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの、又は、麦芽、ホップ、水及び麦その他の酒税法施行令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中当該酒税法施行令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五十を超えないものに限る)、つまり、発酵原料の麦芽比率(麦芽使用比率)が、67%以上のものである。
【0026】
(アルコール度数)
本実施形態に係る飲料が、例えばビールテイスト飲料の場合、アルコール度数は特に限定されないが、例えば、ノンアルコールのビールテイスト飲料の場合は、1%(「容量/容量%」や「v/v%」等とも表される)未満とする。4−ビニルグアイアコールの含有量を増やすことによる刺激臭の強さは、発酵に由来する香気成分が含まれない非発酵のビールテイスト飲料の場合により顕著であるため、本発明をノンアルコールビール等の非発酵のビールテイスト飲料に適用することで、本発明の効果をより実感できる。
ビールテイスト飲料に含まれるアルコールは、麦芽等の原料を発酵させて得られたものだけでなく、飲用者の嗜好やアルコール度数の調整等必要に応じて飲用アルコールを添加することができる。添加する飲用アルコールの種類、製法、原料等は特に限定されない。例えば、焼酎、ブランデー、ウォッカ等の各種スピリッツ、原料用アルコール等から選択されたいずれか1種又は2種以上を組み合わせて添加することができる。
なお、本明細書においてスピリッツとは、蒸留酒であるスピリッツを指し、酒税法上のスピリッツとは異なる場合もある。原料を発酵させて得られたアルコールの濃度が高い場合は、所望のアルコール度数となるように水や炭酸ガス含有水等で希釈することができる。
【0027】
本実施形態に係るビールテイスト飲料のアルコール度数は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)の8.3アルコールに記載されている方法やアルコライザー法に基づいて測定することができる。
【0028】
(発泡性)
本実施形態に係る飲料は、例えばビールテイスト飲料の場合、非発泡性であってもよいが、発泡性であるのが好ましい。このようにすると、ビールテイスト飲料の爽快さと切れを向上させることができる。発泡性とする場合はガス圧を1.8kg/cm(20℃)以上とするのが好ましく、2.0kg/cm以上(20℃)とするのがより好ましい。このようにすると、ビールテイスト飲料の爽快さと切れを向上させることができる。なお、発泡性とする場合のガスは炭酸ガスを用いるのが好ましい。発酵させて製造したビールテイスト飲料のガス圧が1.8kg/cm未満であるときはカーボネーションを行ったり、炭酸ガス含有水を添加したりすることによってガス圧を1.8kg/cm以上とすることができる。
本実施形態に係るビールテイスト飲料のガス圧は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)の8.21ガス圧に記載されている方法によって測定することができる。
【0029】
本実施形態に係る飲料は、本発明の所期の効果が阻害されない範囲で飲料として通常配合される甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、着色料等(以下、適宜「添加剤」という)を添加することができる。
甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲンやデンプン等を用いることができる。
高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテーム等を用いることができる。
酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール等を用いることができる。
酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL−酒石酸、L−酒石酸、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL−リンゴ酸、DL−リンゴ酸ナトリウム、リン酸等を用いることができる。
塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム等を用いることができる。
着色料としては、例えば、カラメル色素、アントシアニン、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素等を用いることができる。
なお、前記した添加剤は、一般に市販されているものを使用することができる。
【0030】
(容器詰め飲料)
本実施形態に係る飲料は、各種容器に入れて提供することができる。各種容器に飲料を詰めることにより、長期間の保管による品質の劣化を好適に防止することができる。
なお、容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製等)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器等を適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分及び光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る飲料によれば、4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、4−ビニルグアイアコールが所定値以上に特定されていることから、4−ビニルグアイアコールによる刺激臭が抑制されているとともに、樽熟成香が強くなっている。また、本実施形態に係る飲料によれば、飲料として好ましい香味を発揮することができる。
【0032】
[飲料の製造方法]
次に、本実施形態に係る飲料の製造方法を説明する。
本実施形態に係る飲料の製造方法は、混合工程S1と、後処理工程S2と、を含む。
【0033】
混合工程S1では、混合タンクに、水、4−ビニルグアイアコール、水溶性食物繊維、添加剤等を適宜投入して混合後液を製造する。4−ビニルグアイアコールの投入は、4−ビニルグアイアコールを含有する香料を添加することにより行ってもよい。
この混合工程S1において、4−ビニルグアイアコールの含有量、水溶性食物繊維の含有量が前記した所定範囲の量となるように各原料を混合し、調整すればよい。
【0034】
そして、後処理工程S2では、例えば、ろ過、殺菌、容器への充填等の処理を必要に応じて選択的に行う。
なお、後処理工程S2のろ過処理は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。また、後処理工程S2の殺菌処理は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行うのが好ましいが、同様の処理を行うことができるのであればこれに限定されることなく適用可能である。また、後処理工程S2の充填処理は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填するのが好ましい。
そして、後処理工程S2での各処理の順序は特に限定されない。
【0035】
なお、混合工程S1及び後処理工程S2にて行われる各処理は、RTD飲料等を製造するために一般的に用いられている設備にて行うことができる。
【0036】
また、本実施形態に係る飲料は、発酵工程を経ることで製造することもできる。発酵工程を経る方法は従来公知の方法で行えばよく、その概略として、例えば以下のとおりである。
まず、発酵前工程において、酵母が資化可能な窒素源及び炭素源となる麦芽及び麦芽以外の原料を含む発酵前液を調製する。次に、発酵工程において、発酵前液に酵母を添加してアルコール発酵を行い、酵母により生成されたエタノール(アルコール)、呈味成分及び香気成分を含有する発酵後液を得る。次に、発酵後工程において、発酵後液のろ過、殺菌等を行うことで最終的に発酵飲料を得る。
なお、発酵工程を経ることで飲料を製造する場合、4−ビニルグアイアコールの含有量は、酵母の種類を選択したり発酵条件を制御したりすることでも調整することができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る飲料の製造方法によれば、4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを添加し、4−ビニルグアイアコールを所定値以上とする工程を含んでいることから、4−ビニルグアイアコールによる刺激臭が抑制されているとともに、樽熟成香が強くなった飲料を製造することができる。また、本実施形態に係る飲料の製造方法によれば、好ましい香味を発揮することができる飲料を製造することができる。
【0038】
[飲料の香味向上方法]
次に、本実施形態に係る飲料の香味向上方法について説明する。
本実施形態に係る飲料の香味向上方法は、4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、4−ビニルグアイアコールを所定値以上にとなるように調製する。
【0039】
対象となる飲料の4−ビニルグアイアコールの含有量は、0.2mg/L以上とし、0.5mg/L以上とするのが好ましく、1.0mg/L以上とするのがより好ましく、1.5mg/L以上とするのがさらに好ましい。また、対象となる飲料の4−ビニルグアイアコールの含有量は、4.0mg/L以下とするのが好ましく、3.0mg/L以下とするのがより好ましく、2.0mg/L以下とするのがさらに好ましい。
【0040】
対象となる飲料の水溶性食物繊維の含有量は、0.5w/v%以上とするのが好ましく、0.7w/v%以上とするのがより好ましく、1.0w/v%以上とするのがさらに好ましい。また、対象となる飲料の水溶性食物繊維の含有量は、5.0w/v%以下とするのが好ましく、2.5w/v%以下とするのがより好ましく、2.3w/v%以下とするのがさらに好ましく、2.0w/v%以下とするのが特に好ましい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る飲料の香味向上方法によれば、飲料において4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、4−ビニルグアイアコールを所定値以上としていることから、4−ビニルグアイアコールによる刺激臭を抑制できるとともに、樽熟成香を強めることができる。また、本実施形態に係る飲料の香味向上方法によれば、飲料として好ましい香味を発揮させることができる。
【0042】
なお、本実施形態に係る飲料、飲料の製造方法、及び飲料の香味向上方法において、明示していない特性や条件については、従来公知のものであればよく、前記特性や条件によって得られる効果を奏する限りにおいて、限定されないことは言うまでもない。
【実施例】
【0043】
次に、本発明の要件を満たす実施例とそうでない比較例とを例示して、本発明に係る飲料、飲料の製造方法、及び飲料の香味向上方法について説明する。
【0044】
(サンプルの準備)
[試験1、試験2]
4−ビニルグアイアコール、水溶性食物繊維として難消化性グルカン(フィットファイバー#80:日本食品化工株式会社製)、水を混合してサンプル液を準備した。
なお、各サンプルについて、4−ビニルグアイアコールの含有量、水溶性食物繊維の含有量は、表1、2に示すとおりとした。
【0045】
[試験3]
4−ビニルグアイアコール、水溶性食物繊維、水を混合してサンプル液を準備した。水溶性食物繊維としては、難消化性グルカン(フィットファイバー#80:日本食品化工株式会社製)、難消化性デキストリン(パインファイバー:松谷化学工業株式会社製)、イヌリン(フジFF:フジ日本精糖株式会社社製)を使用した。
なお、各サンプルについて、4−ビニルグアイアコールの含有量、水溶性食物繊維の含有量は、表3に示すとおりとした。
【0046】
[試験4]
炭酸水に、大豆ペプチド、香料、酸味料、苦味料、カラメル色素、大豆多糖類、ビタミンC、アセスルファムKを、それぞれ所定量添加し、ノンアルコールのビールテイスト飲料を製造した。さらに、4−ビニルグアイアコールを含有する香料を添加するとともに、一部のサンプルには、水溶性食物繊維として難消化性グルカン(フィットファイバー#80:日本食品化工株式会社製)を添加した。
なお、各サンプルについて、4−ビニルグアイアコールの含有量、水溶性食物繊維の含有量は、表4に示すとおりとした。
【0047】
(試験内容)
訓練された専門のパネル4名が前記の方法により製造した各サンプルを試飲し、下記評価基準に則って「刺激臭」、「樽熟成香」について、1〜5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
なお、全ての評価は、サンプルを飲んで評価し、サンプルを飲む前、飲んでいる際、及び、飲んだ後に感じられる刺激臭及び樽熟成香を総合的に評価した。
【0048】
(刺激臭:評価基準)
5点:刺激臭が非常に強い。
4点:刺激臭が強い。
3点:刺激臭がある。
2点:刺激臭がわずかにある。
1点:刺激臭がない。
【0049】
(樽熟成香:評価基準)
5点:樽熟成香が非常に強い。
4点:樽熟成香が強い。
3点:樽熟成香がある。
2点:樽熟成香がわずかにある。
1点:樽熟成香がない。
【0050】
表1〜4に、各サンプルの規格を示すとともに、各評価の結果を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
(試験結果の検討)
サンプル1−1〜1−6は、4−ビニルグアイアコールの含有量を固定して、水溶性食物繊維の含有量を変化させた場合の結果である。
これらの結果を確認すると明らかなように、サンプル1−2〜1−6は、4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、4−ビニルグアイアコールの含有量が所定値以上であることから、刺激臭が抑制されているとともに、樽熟成香が強くなっていることが確認できた。
一方、サンプル1−1は、水溶性食物繊維が含有されていないため、刺激臭が強く、樽熟成香がわずかであった。
【0056】
サンプル2−1〜2−6は、水溶性食物繊維の含有量を固定して、4−ビニルグアイアコールの含有量を変化させた場合の結果である。
これらの結果を確認すると明らかなように、サンプル2−2〜2−5は、4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、4−ビニルグアイアコールの含有量が所定値以上であることから、刺激臭が抑制されているとともに、樽熟成香が強くなっていることが確認できた。
一方、サンプル2−1は、4−ビニルグアイアコールが含有されていないため、刺激臭は抑制されているものの、樽熟成香がなかった。
【0057】
サンプル3−1〜3−3は、4−ビニルグアイアコールの含有量、及び、水溶性食物繊維の含有量を固定して、水溶性食物繊維の種類を変化させた場合の結果である。
これらの結果を確認すると明らかなように、サンプル3−1〜3−3は、4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、4−ビニルグアイアコールの含有量が所定値以上であることから、水溶性食物繊維の種類にかかわらず、刺激臭が抑制されているとともに、樽熟成香が強くなっていることが確認できた。
【0058】
サンプル4−1、4−2は、ノンアルコールのビールテイスト飲料において、4−ビニルグアイアコールの含有量を固定して、水溶性食物繊維の含有量を変化させた場合の結果である。
これらの結果を確認すると明らかなように、サンプル4−2は、4−ビニルグアイアコールと水溶性食物繊維とを含有し、4−ビニルグアイアコールの含有量が所定値以上であることから、刺激臭が抑制されているとともに、樽熟成香が強くなっていることが確認できた。
一方、サンプル4−1は、水溶性食物繊維が含有されていないため、刺激臭が強く、樽熟成香がわずかであった。
【符号の説明】
【0059】
S1 混合工程
S2 後処理工程
図1