特許第6792404号(P6792404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792404
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】車両用排気管
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/00 20100101AFI20201116BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20201116BHJP
【FI】
   F01N13/00 B
   F01N13/08 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-206270(P2016-206270)
(22)【出願日】2016年10月20日
(65)【公開番号】特開2018-66343(P2018-66343A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康隆
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 知文
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第2921432(US,A)
【文献】 特開平10−288032(JP,A)
【文献】 実開昭63−024322(JP,U)
【文献】 特開2018−031358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/00〜13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内燃機関に接続され、一又は二以上のマフラーを備えた車両用排気管であって、
前記マフラーより内燃機関側、又は、一のマフラーと他のマフラーとの間に分岐管が接続されており、前記分岐管には、無機繊維からなるマットが充填されており、
前記車両用排気管は、触媒コンバータを備え、前記分岐管の先端部分は、前記触媒コンバータ付近に到達していることを特徴とする車両用排気管。
【請求項2】
前記分岐管は、少なくとも先端部分が、前記内燃機関の稼働中に100℃以上となる温度領域に到達している請求項1に記載の車両用排気管。
【請求項3】
前記分岐管には、排気ガスが流通できない態様で前記マットが充填されている請求項1又は2に記載の車両用排気管。
【請求項4】
前記触媒コンバータと前記マフラーとの間の排気管の最下部は、前記マフラーの内燃機関側における前記排気管との接続部分の最下部より低く、前記排気管の最下部又はその近傍に分岐管が接続されている請求項1〜3のいずれか1に記載の車両用排気管。
【請求項5】
前記内燃機関と前記マフラーとの間の排気管に、凝縮水の貯留し易い凝縮水易貯留部が存在し、該凝縮水易貯留部に分岐管が接続されている請求項1〜のいずれか1に記載の車両用排気管。
【請求項6】
前記分岐管の内径は、2〜30mmである請求項1〜のいずれか1に記載の車両用排気管。
【請求項7】
前記分岐管に充填されたマットの密度は、0.18〜0.55g/cmである請求項1〜のいずれか1に記載の車両用排気管。
【請求項8】
前記無機繊維は、アルミナ繊維、アルミナシリカ繊維、シリカ繊維、生体溶解性繊維及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも一種からなる請求項1〜のいずれか1に記載の車両用排気管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用排気管に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガスには、かなりの量の水分が含有されている。排気ガスは、排気管を流れていくうちに、次第に温度が低下し、内燃機関の稼働状況によっては、凝縮水が排気管の内部に貯留される場合がある。このため、凝縮水の貯留に起因して排気管に腐食等が発生し易いという問題がある。
【0003】
特許文献1には、このような排気管内の凝縮水に起因する不都合を解消するための排気管の構造が記載されている。すなわち、触媒担体を内蔵する触媒コンバータの排気ガス導入側に連通接続される上流側排気管が、触媒コンバータの排気ガス導入側に接合される直管部と、この直管部に連通接続され第1の方向に屈曲形成された第1の曲管部と、第1の曲管部に連通接続された第1の方向とは異なる第2の方向に屈曲形成された第2の曲管部とを備え、上記直管部に酸素センサーが設けられた排気管において、上記第2の曲管部に水抜き用の連通孔が設けられるとともに、この連通孔を被覆する被覆管が設けられている。
【0004】
特許文献1には、上記第1の曲管部又は上記第2の曲管部に貯留した凝縮水が、内燃機関の始動時等において、排気ガスとともに排出される際、水が酸素センサーに付着するのを防止するため、水抜き用の連通孔を形成することにより発生した凝縮水を被覆管内に移動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−128651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の排気管では、凝縮水が上記被覆管の内部に長時間滞留するため、被覆管に腐食が発生し易く、凝縮水の貯留及びそれに起因する排気管の腐食に対する根本的な解決策とはなっていない。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で、排気管に凝縮水が貯留するのを防止することができ、これにより排気管に腐食等が発生するのを防止することができる車両用排気管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の車両用排気管は、車両の内燃機関に接続され、一又は二以上のマフラーを備えた車両用排気管であって、上記マフラーより内燃機関側、又は、一のマフラーと他のマフラーとの間に分岐管が接続されており、上記分岐管には、無機繊維からなるマットが充填されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の車両用排気管においては、排気管のうち、上記マフラーより内燃機関側、又は、一のマフラーと他のマフラーとの間で、凝縮水が貯留し易いと考えられる箇所に分岐管が接続されており、上記分岐管には、無機繊維からなるマットが充填されているので、凝縮水は、毛細管現象により上記分岐管の先端部分まで移動しやすい。
【0010】
分岐管の先端部分まで移動してきた凝縮水は、大気中に露出すると、排気管の先端部分で蒸発し、大気中に拡散する。その結果、排気管の特定の箇所に凝縮水が貯留し、排気管が腐食するのを防止することができる。さらに、分岐管には、マットが充填されているので、上記分岐管の先端より排気ガスが漏れるおそれは少なく、上記分岐管を介して内燃機関の騒音が周囲に拡散するおそれもない。
【0011】
なお、上記分岐管内のマットの充填領域は、特に限定されるものではないが、上記分岐管内を凝縮水がスムーズに移動するためには、分岐管の全体にマットが充填されていることが望ましい。
【0012】
また、「一のマフラーと他のマフラーとの間」とは、メインマフラーとサブマフラーとの間、メインマフラーとプリマフラーとの間、サブマフラーとプリマフラーとの間等、種類の異なるマフラーの間を意味している。
【0013】
本発明の車両用排気管では、上記分岐管は、少なくとも先端部分が、上記内燃機関の稼働中に100℃以上となる温度領域に到達していることが望ましい。
本発明の車両用排気管において、上記分岐管の少なくとも先端部分が、上記内燃機関の稼働中に100℃以上となる温度領域に到達していると、移動してきた凝縮水は、排気管の先端部分で速やかに蒸発し、大気中に拡散する。その結果、排気管の特定の箇所に凝縮水が貯留し、排気管が腐食するのを防止することができる。
上記においては、「少なくとも先端部分が、内燃機関の稼働中に100℃以上となる温度領域に到達している」と記載しているが、具体的には、先端より0〜5cmの部分が、100℃以上となる温度領域に存在していることが望ましい。
【0014】
本発明の車両用排気管では、上記分岐管には、排気ガスが流通できない態様で上記マットが充填されていることが望ましい。
【0015】
本発明の車両用排気管において、上記分岐管には、排気ガスが流通できない態様で上記マットがしっかりと充填されているので、上記分岐管の先端より排気ガスが漏れることはなく、上記分岐管を介して内燃機関の騒音が周囲に拡散するおそれもない。
【0016】
本発明の車両用排気管は、触媒コンバータを備え、上記分岐管の先端部分は、上記触媒コンバータ付近に到達していることが望ましい。
本発明の車両用排気管において、触媒コンバータ付近では、内燃機関が稼働中、排気ガスの温度は、100℃よりはるかに高い温度であるので、移動してきた凝縮水は、排気管の先端部分で速やかに蒸発し、大気中に拡散する。その結果、排気管の特定の箇所に凝縮水が貯留し、排気管が腐食するのを防止することができる。
【0017】
本発明の車両用排気管では、上記触媒コンバータと上記マフラーとの間の排気管の最下部は、上記マフラーの内燃機関側における上記排気管との接続部分の最下部より低く、上記排気管の最下部又はその近傍に分岐管が接続されていることが望ましい。
本発明の車両用排気管において、上記排気管の最下部又はその近傍に分岐管が接続されていると、上記最下部に貯留した凝縮水を上記マットを介して分岐管の先端部分まで移動させ、大気中に拡散させることができ、凝縮水の貯留を防止することができる。
なお、本明細書において、排気管の最下部の近傍とは、上記最下部を中心として排気管の内燃機関側100mm及び排気出口側100mmの領域をいう。
【0018】
本発明の車両用排気管では、上記内燃機関と上記マフラーとの間の排気管に、凝縮水の貯留し易い凝縮水易貯留部が存在し、該凝縮水易貯留部に分岐管が接続されていてもよい。
本発明の車両用排気管では、上記した排気管の最下部に凝縮水が貯留し易いが、その他の部分においても、排気管の形状、構造等に起因して凝縮水が貯留し易い凝縮水易貯留部が存在することがあり、この凝縮水易貯留部に分岐管が接続されていてもよい。
本発明の車両用排気管において、凝縮水易貯留部に分岐管が接続されている場合、凝縮水易貯留部に貯留した凝縮水を上記マットを介して分岐管の先端部分まで移動させ、大気中に拡散させることができ、凝縮水の貯留を防止することができる。
【0019】
本発明の車両用排気管では、上記分岐管の内径は、2〜30mmであることが望ましい。
本発明の車両用排気管において、上記分岐管の内径が2〜30mmであると、分岐管付近に貯留した凝縮水がマットを介してスムーズに分岐管の先端部分まで移動し、蒸発し、凝縮水の貯留を防止することができる。
【0020】
上記分岐管の内径が2mm未満であると、分岐管の内径が小さすぎるので、マットを分岐管内に充填しにくくなる。一方、上記分岐管の内径が30mmを超えると、分岐管も大口径となり、マットの充填量も多くなるので、不経済となる。
【0021】
本発明の車両用排気管では、上記分岐管に充填されたマットの密度は、0.18〜0.55g/cmであることが望ましい。
本発明の車両用排気管において、上記分岐管に充填されたマットの密度が0.18〜0.55g/cmであると、分岐管中の排気ガスの流通を阻止することができ、かつ、凝縮水を分岐管の先端部分までスムーズに移動させることができる。
【0022】
本発明の車両用排気管において、上記分岐管に充填されたマットの密度が0.18g/cm未満であると、マットの密度が低すぎるため、分岐管中の排気ガスの流通を阻止することが難しくなり、排気ガスが分岐管の先端部分から漏れるようになる。一方、上記分岐管に充填されたマットの密度が0.55g/cmを超えても、分岐管中の排気ガスの流通を阻止する働きはあまり変わらず、分岐管内に高密度でマットを充填することが難しくなる。また、マットの充填量が多くなるため、不経済である。
【0023】
本発明の車両用排気管では、上記無機繊維は、アルミナ繊維、アルミナシリカ繊維、シリカ繊維、生体溶解性繊維及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも一種からなることが望ましい。
【0024】
本発明の車両用排気管においては、用いる無機繊維は、内燃機関から排出される排気ガスの温度に対して耐久性を有し、かつ、毛細管現象により凝縮水を吸引し、マット内で水分を移動させることができ、かつ、排気ガスの流通を阻止することができるように構成されている必要があるが、上記した種類の無機繊維は、上記した条件を充分に満足させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の車両用排気管の一例を模式的に示した説明図である。
図2図2は、本発明の車両用排気管において、ストッパーが設けられた分岐管の先端部付近を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の実施例1における凝縮水の移動実験の様子を模式的に示す断面図である。
【0026】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の車両用排気管について、その構成を詳述する。
【0027】
本発明の車両用排気管は、車両の内燃機関に接続され、一又は二以上のマフラーを備えた車両用排気管であって、上記マフラーより内燃機関側、又は、一のマフラーと他のマフラーとの間に分岐管が接続されており、上記分岐管には、無機繊維からなるマットが充填されていることを特徴とする。
【0028】
まず、本発明の車両用排気管の一例について具体的に説明する。
本発明の車両用排気管では、排気管は、エンジンにその一端が接続されており、エンジンから伸びた排気管は、触媒コンバータに接続されている。また、触媒コンバータから延びた他の排気管は、途中で下方に湾曲した後、もう一度湾曲して上方に延び、マフラーと接続されている。
【0029】
排気管の最下部付近には、分岐管が接続されており、分岐管には、無機繊維からなるマットが充填されている。また、分岐管の先端は、触媒コンバータ付近まで延びている。最下部は、マフラーのエンジン側における排気管との接続部分の最下部より低くなっている。
【0030】
排気管の最下部付近は、エンジンより排出された排気ガス中に含まれる水分が凝縮することにより形成された凝縮水が貯留しており、凝縮水は、分岐管の入り口に集まっている。このため、凝縮水は、マットの毛細管現象により徐々に分岐管の先端方向に移動するが、先端部分は、触媒コンバータに近く、内燃機関の稼働中に、好ましい温度である100℃以上となる温度領域に到達しているので、凝縮水は先端部分で水蒸気となって大気中に放出される。また、凝縮水は先端部分に移動した後、次々と水蒸気となって大気中に放出されるので、貯留した凝縮水が無くなってしまうまで、連続的に分岐管の先端部分に向かって移動して蒸発し、排気管内における凝縮水の貯留を防止することができる。なお、本発明の車両用排気管においては、分岐管の先端より0〜5cmの部分が、100℃以上となる温度領域に存在していることが望ましい。
【0031】
上記した例では、分岐管の先端部分は、内燃機関の稼働中に100℃以上となる温度領域に到達していると記載したが、分岐管の先端部分まで移動した水分が水蒸気となって蒸発する温度であれば、分岐管の先端部分の温度は特に限定されず、100℃未満であってもよい。
【0032】
次に、本発明の車両用排気管の一例について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の車両用排気管の一例を模式的に示した説明図である。
【0033】
図1に示すように、本発明の車両用排気管10では、排気管11aは、エンジン16にその一端が接続されており、エンジン16から伸びた排気管11aは、触媒コンバータ12に接続されている。また、触媒コンバータ12から延びた他の排気管11bは、途中で下方に湾曲した後、もう一度湾曲して上方に延び、マフラー13と接続されている。
【0034】
排気管11bの最下部11c付近には、分岐管14が接続されており、分岐管14には、無機繊維からなるマット15が充填されている。また、分岐管14の先端は、触媒コンバータ12付近まで延びている。最下部11cは、マフラー13のエンジン16側における排気管11bとの接続部分の最下部より低くなっている。
【0035】
排気管11bの最下部11c付近は、エンジン16より排出された排気ガス中に含まれる水分が凝縮することにより形成された凝縮水17が貯留しており、凝縮水17は、分岐管14の入り口に集まっている。このため、凝縮水17は、マット15の毛細管現象により徐々に分岐管14の先端方向に移動するが、先端部分14aは、触媒コンバータ12に近く、内燃機関の稼働中に、好ましい温度である100℃以上となる温度領域に到達しているので、凝縮水17は先端部分14aで水蒸気となって大気中に放出される。また、凝縮水17は先端部分14aに移動した後、次々と水蒸気となって大気中に放出されるので、貯留した凝縮水17が無くなってしまうまで、連続的に分岐管14の先端部分14aに向かって移動して蒸発し、排気管11b内における凝縮水17の貯留を防止することができる。
【0036】
本発明の車両用排気管では、図1に示したように、排気管の最下部に凝縮水が貯留し易く、その部分に分岐管を接続することにより、凝縮水の貯留を防止することができるが、内燃機関とマフラーとの間の排気管には、上記の部分のほかに、排気管の形状、構造等に起因して凝縮水の貯留し易い凝縮水易貯留部が存在することがある。この場合、上記凝縮水易貯留部に分岐管が接続されていてもよい。
本発明の車両用排気管において、凝縮水易貯留部に分岐管が接続されていると、凝縮水易貯留部に貯留した凝縮水を上記マットを介して分岐管の先端部分まで移動させ、蒸発させることができ、凝縮水の貯留を防止することができる。
【0037】
また、上記のように、凝縮水易貯留部は、触媒コンバータとマフラーとの間の排気管に限らず、内燃機関と触媒コンバータとの間の排気管に存在してもよい。すなわち、内燃機関と触媒コンバータとの間であっても、例えば、内燃機関が稼働していないときに、凝縮水が貯留する場合がある。この場合には、排気管の凝縮水易貯留部に分岐管が接続されていると、貯留した凝縮水は、毛細管現象により分岐管中のマットに吸い込まれ、移動していくので、寒冷地等において、凝縮水の貯留及び凝固に起因して、内燃機関の稼働開始時等に内燃機関の稼働状況に不都合が発生するのを防止することができる。
【0038】
図1に示すマフラー13は、メインマフラーと考えられるが、車両の種類によっては、例えば、触媒コンバータ12とマフラー13との間に、サブマフラーやプリマフラーが存在する場合がある。この場合、プリマフラーやサブマフラーとマフラー13との間に、排気管の最下部や凝縮水易貯留部が存在してもよく、サブマフラーとプリマフラーとの間に、排気管の最下部や凝縮水易貯留部が存在してもよく、触媒コンバータ12とサブマフラーやプリマフラーとの間に排気管の最下部や凝縮水易貯留部が存在してもよい。すなわち、触媒コンバータ12とマフラー13との間であれば、いずれの位置に排気管の最下部や凝縮水易貯留部が存在し、最下部を含む部分や凝縮水易貯留部に分岐管14が接続されていてもよい。分岐管14は、場合によっては、エンジン16と触媒コンバータ12との間に接続されてもよい。
【0039】
本発明の車両用排気管において、上記分岐管は、少なくとも先端部分が内燃機関の稼働中に100℃以上となる温度領域に到達している。
【0040】
分岐管の先端部分の場所は、特に限定されるものではないが、内燃機関の稼働中に100℃以上の温度領域となる場所が好ましく、触媒コンバータの近くであって、内燃機関の稼働中に100℃以上となる場所が望ましい。この場合、触媒コンバータは、内燃機関の稼働中には、少なくとも300℃以上の温度には、到達すると考えられることから、内燃機関の稼働中に触媒コンバータ付近の温度を測定し、100℃以上の温度となる場所に到達するような長さ、形状の分岐管を排気管の凝縮水が凝縮し易い場所に接続すればよい。
【0041】
内燃機関の周囲が最も温度が高いので、排気管の構造や分岐管を接続する場所により、分岐管の先端が内燃機関の近くの場所に位置するように、分岐管を接続してもよい。その際の好ましい場所は、100℃以上の温度領域となる場所である。ただし、100℃未満の温度領域となる場所であってもよい。
【0042】
さらには、触媒コンバータよりも排気管の出口に近い部分に排熱回収機器が存在する場合があるが、その場合には、分岐管の先端が排熱回収機器の近くで、好ましい温度領域である100℃以上の温度領域となる場所に位置するように、分岐管を接続してもよい。分岐管の先端部分が排熱回収機器の内部を通過するような形態となっていてもよい。ただし、100℃未満の温度領域となる場所であってもよい。
【0043】
排気管自体の近くに100℃以上となる温度領域があれば、分岐管の先端部分が排気管の近くで、好ましい温度領域である100℃以上の温度領域となる場所に位置するように、分岐管を接続してもよい。ただし、100℃未満の温度領域となる場所であってもよい。
【0044】
分岐管の先端部分(開口部分)の面積(開口面積)は、先端より手前の部分の分岐管の断面積と比べて小さくなっていることが望ましい。すなわち、分岐管の先端部分は、窄む(先端が細くなる)ように構成されていることが望ましい。分岐管の内部に充填されたマットが外部に飛び出しにくいからである。排気ガスは、所定の圧力を有するため、充填されたマットの密度によっては、マットが先端から飛び出し易くなるが、先端を窄ませることにより、マットが分岐管の先端から飛び出しにくくなる。分岐管の先端を窄ませる代わりに、分岐管の先端部分にストッパーが設けられていてもよい。
【0045】
本発明の車両用排気管では、マットが飛び出すのを防止するために、分岐管の先端にストッパーが設けられている。この場合、ストッパーが邪魔をして、マットを分岐管の内部に挿入しにくいので、分岐管が先端部分と先端を除いた本体部分とに分かれ、両者にネジが切られ、マットを挿入した後、先端部分を本体部分にねじ込めるように構成されていることが望ましい。先端が細くなっている場合にも、同様に先端部分を先端を除いた部分にねじ込めるように構成されていることが望ましい。
【0046】
図2は、本発明の車両用排気管において、ストッパーが設けられた分岐管の先端部付近を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、マットが飛び出すのを防止するために、分岐管25の先端にストッパー26が設けられている。この場合、ストッパー26が邪魔をして、マットを分岐管25の内部に挿入しにくいので、分岐管25が先端部分25bと先端を除いた本体部分25aとに分かれ、両者にネジが切られ、マットを挿入した後、先端部分25bを本体部分25aにねじ込めるように構成されていることが望ましい。先端が細くなっている場合にも、同様に先端部分を先端を除いた部分にねじ込めるように構成されていることが望ましい。
【0047】
無機繊維からなるマットが充填されている分岐管の内径は、2〜30mmであることが望ましい。
上記分岐管の内径が2mm未満であると、分岐管の内径が小さすぎるので、マットを分岐管内に充填しにくくなる。一方、上記分岐管の内径が30mmを超えると、分岐管も大口径となり、マットの充填量も多くなるので、不経済となる。
【0048】
次に、分岐管に挿入するマット及びマットに関連する事項について説明する。
分岐管に充填されたマットの密度は、0.18〜0.55g/cmであることが望ましい。
本発明の車両用排気管において、上記分岐管に充填されたマットの密度が0.18g/cm未満であると、マットの密度が低すぎるため、分岐管中の排気ガスの流通を阻止することが難しくなり、排気ガスが分岐管の先端部分から漏れるようになる。一方、上記分岐管に充填されたマットの密度が0.55g/cmを超えても、分岐管中の排気ガスの流通を阻止する働きはあまり変わらず、分岐管内に高密度でマットを充填することが難しくなる。また、マットの充填量が多くなるため、不経済である。
【0049】
マットは、上記した態様で、分岐管に充填されているので、分岐管の内部を排気ガスが流通しにくくなり、排気ガスが分岐管の先端から排出されにくくなるとともに、内燃機関の騒音が分岐管から漏れるのを防止することができる。
【0050】
上記マットを構成する無機繊維は、特に限定されないが、アルミナ繊維、アルミナシリカ繊維、シリカ繊維、ガラス繊維、又は、生体溶解性繊維等からなることが望ましい。
無機繊維が、アルミナ繊維、シリカ繊維及びガラス繊維の少なくとも1種である場合には、耐熱性に優れているので、マットが高温になった場合であっても、変質等が発生することはなく、マットとしての機能を充分に維持することができる。また、無機繊維が生体溶解性繊維である場合には、マットを取り扱う際、飛散した無機繊維を吸入等しても、生体内で溶解するため、作業員の健康に害を及ぼすことがない。
【0051】
なお、上記マットを構成する無機繊維としてアルミナ繊維を用いる場合、アルミナ繊維は、アルミナ−シリカ組成を有するアルミナ繊維であることが望ましく、その組成比が重量比でAl:SiO=60:40〜80:20であることが望ましく、Al:SiO=70:30〜74:26であることがより望ましい。
【0052】
上記マットには、無機繊維同士の絡み合いを形成するためのニードルパンチング処理が施され、ニードルパンチ痕を有することが望ましい。
【0053】
ニードルパンチング処理とは、ニードル等の繊維交絡手段を無機繊維前駆体や無機繊維のシート状物に抜き差しすることをいう。このため、ニードルパンチ痕を有するマットは、比較的、平均繊維長の長い無機繊維が3次元的に交絡している。すなわち、マットは、長手方向に垂直な幅方向でニードルパンチング処理され、無機繊維同士が絡み合っているため、排気ガスの漏れや風触等を防止することができる。
【0054】
上記マットにおいて、ニードルパンチ痕の密度は、10〜30個/cmであることが望ましく、15〜25個/cmであることがより望ましい。
【0055】
なお、無機繊維の平均繊維長は、交絡構造を形成するためにある程度の長さが必要となる。例えば、無機繊維の平均繊維長は、50μm〜100mmが望ましい。また、無機繊維の平均直径は、2〜10μmが望ましい。
【0056】
本発明のマットが配設された車両用排気管を有する車両は、特に限定されるものではなく、ディーゼルエンジンを備えた車両でもよく、ガソリンエンジンを備えた車両でもよく、ガソリンエンジンとモーターとを備えた、いわゆるハイブリット車であってもよい。
また、本発明のマットが配設された車両用排気管を有する車両は、凝縮水が貯留しやすいため寒冷地において効果を発揮する。特に冬季には貯留した凝縮水が凍りやすく、凍った凝縮水が排気ガスの流通を阻害することがあるため効果的である。
【0057】
(実施例)
以下に実施例を掲げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0058】
(実施例1)
(1)排気管
排気管に相当するものとして、ガラス製で、外径が5mm、排気管の厚さが1.2mm、全長が500mmのパイプを準備した。
【0059】
(2)マット
組成比がAl:SiO=72:28のシリカ−アルミナ組成を有するアルミナ繊維からなるマットを準備した。上記マットは、長さが520mm、幅が、8mm、厚さが8mmであり、目付量は、1050g/mであり、密度は、0.21g/cmであり、ニードルパンチング処理がなされていた。
【0060】
(3)マットのパイプへの充填
上記マットをパイプの中に押し込み、マットがパイプの中に充填され、パイプの中に隙間がない状態とした。また、マットの下部がパイプの下部から下に垂れ下がった状態とした。
【0061】
(4)ガスリーク試験
排気ガスが漏れにくいことを実証するため、パイプのマットが充填された先端部分から10kPaのエアーを流し、流量を測定した。リーク率は約0.2%でありほとんど漏れていないことを確認した。
【0062】
(5)凝縮水の移動実験
図3は、本発明の実施例1における凝縮水の移動実験の様子を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、上記のように準備したパイプ30を、水平面に対して30°の角度をなすように傾け、水33の入った容器32に、マット31の先端が水33に浸漬するように配設、固定した。なお、水には、赤色のインクを添加し、水の移動がわかるようにした。
また、パイプ30の先端部分には、ヒータ34を配置し、上端部分の温度が105℃となるように設定した。
【0063】
マットの先端を水に浸漬した後、水の移動状態を目視により観察したところ、水33の先端部分が徐々に上方に移動し、約5後、水33の先端部分は、パイプ30の上端部分に到達するとともに、蒸発し、次第に容器32の内部の水33が減少していった。
【符号の説明】
【0064】
10 車両用排気管
11a、11b 排気管
11c 最下部
12 触媒コンバータ
13 マフラー
14 分岐管
14a 先端部分
15、31 マット
16 エンジン
17 凝縮水
25 分岐管
25a 本体部分
25b 先端部分
26 ストッパー
30 パイプ
32 容器
33 水
34 ヒータ
図1
図2
図3