(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792421
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】冷却塔充填材破砕装置、冷却塔充填材の破砕方法及び冷却塔充填材の廃棄方法
(51)【国際特許分類】
B02C 18/18 20060101AFI20201116BHJP
B02C 18/10 20060101ALI20201116BHJP
F28F 25/08 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
B02C18/18 A
B02C18/10
F28F25/08 Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-222014(P2016-222014)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2018-80859(P2018-80859A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】成田 勇
(72)【発明者】
【氏名】矢野 真也
(72)【発明者】
【氏名】坂田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 充
【審査官】
瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−035792(JP,A)
【文献】
特開昭57−068147(JP,A)
【文献】
特開2009−168380(JP,A)
【文献】
特開2004−298805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 13/00−13/31、18/00−18/38
F28F 25/00−25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却塔の充填材を破砕する冷却塔充填材破砕装置であって、
筐体と、
前記筐体の内部に固定された鋸刃状の固定刃と、
前記筐体の内部の前記固定刃よりも上方に上下方向に移動可能かつ上下方向を回転の軸として回転可能に設けられ、前記固定刃と対向するように形成された鋸刃状の回転刃と、
を有する、
冷却塔充填材破砕装置。
【請求項2】
前記筐体は、破砕された前記充填材を排出可能な下部開口部を有する、
請求項1に記載の冷却塔充填材破砕装置。
【請求項3】
前記固定刃は、格子状に配置された複数の第1の直線刃を有する、
請求項1又は2に記載の冷却塔充填材破砕装置。
【請求項4】
前記回転刃は、環状に配置された環状刃と、前記環状刃の径方向に配置された第2の直線刃とを有する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の冷却塔充填材破砕装置。
【請求項5】
筐体と、
前記筐体の内部に固定された鋸刃状の固定刃と、
前記筐体の内部の前記固定刃よりも上方に上下方向に移動可能かつ上下方向を回転の軸として回転可能に設けられ、前記固定刃と対向するように形成された鋸刃状の回転刃と、
を有する冷却塔充填材破砕装置を用いた冷却塔充填材の破砕方法であって、
前記回転刃を上昇させた状態で、前記固定刃と前記回転刃との間に充填材を搬入する工程と、
前記回転刃を回転させた状態で下降させて、前記固定刃と前記回転刃とにより前記充填材を挟み込んで破砕する工程と、
を有する、
冷却塔充填材の破砕方法。
【請求項6】
前記冷却塔充填材破砕装置は、前記固定刃が格子状に配置された複数の第1の直線刃を有し、前記回転刃が環状に配置された環状刃と前記環状刃の径方向に配置された第2の直線刃とを有し、前記筐体が前記第1の直線刃の下方に設けられた下部開口部を有し、
前記格子状に配置された前記複数の第1の直線刃の間を抜け落ちた、前記固定刃と前記回転刃により破砕された充填材を、前記下部開口部から回収する工程を更に有する、
請求項5に記載の冷却塔充填材の破砕方法。
【請求項7】
屋上に設置された冷却塔の充填材を廃棄する冷却塔充填材の廃棄方法であって、
前記冷却塔から充填材を取り外す工程と、
筐体と、前記筐体の内部に固定された鋸刃状の固定刃と、前記筐体の内部の前記固定刃よりも上方に上下方向に移動可能かつ上下方向を回転の軸として回転可能に設けられ、前記固定刃と対向するように形成された鋸刃状の回転刃と、を有する冷却塔充填材破砕装置を屋上に設置する工程と
前記回転刃を上昇させた状態で、前記固定刃の上に充填材を搬入する工程と、
前記回転刃を回転させた状態で下降させて、前記固定刃と前記回転刃とにより前記充填材を挟み込んで破砕する工程と、
破砕された前記充填材をコンテナバッグに収容する工程と、
屋上から前記コンテナバッグを搬出する工程と、
を有する、
冷却塔充填材の廃棄方法。
【請求項8】
前記設置する工程は、前記固定刃が格子状に配置された複数の第1の直線刃を備え、前記回転刃が環状に配置された環状刃と前記環状刃の径方向に配置された第2の直線刃とを備え、前記筐体が前記第1の直線刃の下方に設けられた下部開口部を備えた冷却塔充填材破砕装置を設置する工程であり、
前記収容する工程は、前記コンテナバッグを前記筐体の前記下部開口部の下方に設置する工程と、前記格子状に配置された前記複数の第1の直線刃の間を抜け落ちた、前記固定刃と前記回転刃により破砕された充填材を、前記下部開口部から回収する工程とを有し、
前記搬出する工程は、複数の前記コンテナバッグを同時にクレーンで下ろす工程である、
請求項7に記載の冷却塔充填材の廃棄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却塔充填材破砕装置、冷却塔充填材の破砕方法及び冷却塔充填材の廃棄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場設備やビル等の空調設備から排出される温度上昇した冷却水を冷却するために冷却塔(クーリングタワー)が用いられている。冷却塔では、冷却水を塔内の充填材の表面を流下させながら、送風機により外部から塔内に取り込まれる空気(外気)と接触させることにより冷却する。
【0003】
この冷却塔の充填材は、洗浄して再利用するか(例えば、特許文献1参照)、冷却塔の更新時に廃却される。工場設備やビル等の冷却塔は、屋上に設置されている場合が多い。このような屋上に設置された冷却塔を更新する場合、冷却塔から充填材を取り外してカゴ台車に積載する。そして、クレーン等を使用してカゴ台車を屋上から地上に下ろすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−35792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、充填材は体積が大きいため、充填材を積載するためには多くのカゴ台車が必要となる。このため、充填材を積載したカゴ台車を屋上から地上に下ろすためのクレーンの使用回数が多くなり、冷却塔更新の工期が長くなる。
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、冷却塔更新の工期を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、冷却塔の充填材を破砕する冷却塔充填材破砕装置であって、筐体と、前記筐体の内部に固定された鋸刃状の固定刃と、前記筐体の内部の前記固定刃よりも上方に上下方向に移動可能かつ上下方向を回転の軸として回転可能に設けられ、前記固定刃と対向するように形成された鋸刃状の回転刃と、を有する。
【0008】
また、本発明の別の態様は、筐体と、前記筐体の内部に固定された鋸刃状の固定刃と、前記筐体の内部の前記固定刃よりも上方に上下方向に移動可能かつ上下方向を回転の軸として回転可能に設けられ、前記固定刃と対向するように形成された鋸刃状の回転刃と、を有する冷却塔充填材破砕装置を用いた冷却塔充填材の破砕方法であって、前記回転刃を上昇させた状態で、前記固定刃の上に充填材を搬入する工程と、前記回転刃を回転させた状態で下降させて、前記固定刃と前記回転刃とにより前記充填材を挟み込んで破砕する工程と、を有する。
【0009】
また、本発明の更に別の態様は、屋上に設置された冷却塔の充填材を廃棄する冷却塔充填材の廃棄方法であって、冷却塔から充填材を取り外す工程と、筐体と、前記筐体の内部に固定された鋸刃状の固定刃と、前記筐体の内部の前記固定刃よりも上方に上下方向に移動可能かつ上下方向を回転の軸として回転可能に設けられ、前記固定刃と対向するように形成された鋸刃状の回転刃と、を有する冷却塔充填材破砕装置を設置する工程と、前記回転刃を上昇させた状態で、前記固定刃の上に充填材を搬入する工程と、前記回転刃を回転させた状態で下降させて、前記固定刃と前記回転刃とにより前記充填材を挟み込んで破砕する工程と、破砕された前記充填材をコンテナバッグに収容する工程と、屋上から前記コンテナバッグを搬出する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、冷却塔更新の工期を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷却塔充填材の廃棄方法を示すフローチャート
【
図3】破砕された充填材が収容されたコンテナバッグを示す図
【
図4】本発明の実施形態に係る冷却塔充填材破砕装置の側面図
【
図5】本発明の実施形態に係る冷却塔充填材破砕装置の正面図
【
図6】冷却塔充填材破砕装置の固定刃を説明するための概略図
【
図7】冷却塔充填材破砕装置の回転刃を説明するための概略図
【
図8】冷却塔充填材破砕装置に充填材を搬入するときの状態を説明するための図
【
図9】冷却塔充填材破砕装置により充填材を破砕するときの状態を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0013】
(冷却塔の更新)
はじめに、工場設備やビル等の屋上に設置されている冷却塔の更新作業について説明する。冷却塔を更新する場合、通常、冷却塔からプラスチック等により形成された充填材を取り外し、取り外した充填材をカゴ台車等に積載する。ところで、充填材は体積が大きいため、充填材を積載するためには多くのカゴ台車が必要となる。このため、充填材を積載したカゴ台車を屋上から地上に下ろすためのクレーンの使用回数が多くなり、冷却塔更新の工期が長くなる。
【0014】
特に、工場設備やビル等の屋上に設置されている冷却塔のすべてを更新する、所謂、冷却塔の全更新の場合には、充填材を積載したカゴ台車の置き場を確保することが困難な場合もある。また、冷却塔が設置されている場所によっては、クレーン作業を行うことが可能な時間帯が、例えば0時から4時までの深夜等に制限される場合もある。このため、冷却塔の更新作業においては、クレーン作業の時間をできるだけ短くすることが求められる。
【0015】
(冷却塔充填材の廃棄方法)
次に、本発明の実施形態に係る冷却塔充填材の廃棄方法について説明する。本発明の実施形態に係る冷却塔充填材の廃棄方法は、工場設備やビル等の屋上に設置された冷却塔から充填材を取り外し、屋上において充填材を破砕し、破砕した充填材を市販のコンテナバッグに収容し、コンテナバッグを屋上から地上へ下ろすものである。即ち、冷却塔から取り外した状態の充填材をカゴ台車に積載し、カゴ台車ごと屋上から地上へ下ろす従来の方法とは異なり、屋上で充填材を破砕して体積を小さくし、コンテナバッグに収容した後、複数個のコンテナバッグを一度(同時)に屋上から地上へ下ろすものである。このとき、充填材の体積が小さくなっているので、コンテナバッグの搬出回数はカゴ台車の搬出回数よりも少なくなる。更に複数個のコンテナバッグを一度に下ろすことができる。このため、クレーンの使用回数を大幅に減らすことができ、クレーン作業の時間を短縮することができる。その結果、冷却塔更新の工期を短縮することができる。なお、破砕した充填材を収容する容器は、破砕した充填材を収容可能なものであればよく、コンテナバッグに代えて、別の容器を使用してもよい。
【0016】
以下、
図1を参照しながら、冷却塔充填材の廃棄方法について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る冷却塔充填材の廃棄方法を示すフローチャートである。
【0017】
まず、工場設備やビル等の屋上に設置された冷却塔から充填材を取り外す(ステップS1)。
【0018】
続いて、冷却塔から取り外した充填材を、冷却塔充填材破砕装置へ搬入する(ステップS2)。なお、冷却塔充填材破砕装置については後述する。
【0019】
続いて、冷却塔充填材破砕装置を使用し、冷却塔充填材破砕装置に搬入された充填材を破砕する。そして、空のコンテナバッグの開口部を拡げ、コンテナバッグの4隅をクリップにより、冷却塔充填材破砕装置の筐体に固定する。そして、破砕された充填材をコンテナバッグに収容する。コンテナバッグに破砕された充填材を収容後に、クリップを取り外し、コンテナバッグの口紐を縛ることで、コンテナバッグの口を閉じる。そして破砕された充填材が詰め込まれたコンテナバッグを屋上に一時的に保持する。屋上に設置された全ての冷却塔中の全ての充填材の破砕が完了するまで、この作業を繰り返して行う(ステップS3)。これにより、充填材の体積が大幅に縮減される。例えば、冷却塔充填材破砕装置を使用して1台〜2台分のカゴ台車に積載された充填材(
図2参照)を破砕することで、充填材の体積を1袋分のコンテナバッグ(
図3参照)にまで小さくすることができる。なお、
図2はカゴ台車に積載された充填材を示す図であり、
図3は破砕された充填材が収容されたコンテナバッグを示す図である。この作業の完了後に、多数のコンテナバッグが屋上に一時的に保管される。
【0020】
続いて、屋上から破砕した充填材が収容された複数個のコンテナバッグを一度に搬出する(ステップS4)。具体的には、破砕した充填材が収容されたコンテナバッグを、クレーンを使用して屋上から地上へ下ろし、大型トラック(例えば20tトラック)に積み込む。このとき、充填材の体積が小さくなっているので、充填材を破砕することなく屋上から地上へ下ろす場合と比較して、クレーンの使用回数を大幅に減らすことができる。クレーンが一度に4個程度のコンテナバッグを下ろす場合、カゴ台車を利用する場合に比し、クレーンの使用回数を1/4回〜1/8回に減らすことができる。また、コンテナバッグはカゴ台車に比べて取扱が容易である。クレーンによるコンテナバッグの吊り下ろし作業時間は、カゴ台車の吊り下ろし作業時間に比べて短い。その結果、クレーン作業の時間を短縮し、冷却塔更新の工期を短縮することができる。また、充填材を産業廃棄物として処理する場合には、充填材の体積の減少により、搬出トラックの台数及び産業廃棄物の処理量が約1/3程度に低減できる。従って、トラック運搬費用及び産廃費用を約1/3に低減させることができる。
【0021】
(冷却塔充填材破砕装置)
次に、前述の冷却塔充填材の廃棄方法において充填材を破砕する際に好適に用いることができる冷却塔充填材破砕装置について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る冷却塔充填材破砕装置の側面図である。
図5は、本発明の実施形態に係る冷却塔充填材破砕装置の正面図である。
【0022】
冷却塔充填材破砕装置1は、筐体10の内部に充填材を収納して、充填材を破砕するために使用される。冷却塔充填材破砕装置1は、筐体10と、固定刃30と、回転刃50とを有する。固定刃30は、筐体10の内部に固定されており、鋸刃状に形成されている。回転刃50は、筐体10の内部の固定刃30よりも上方に配置されている。回転刃50は固定刃30の上方の位置で上下方向に移動する。回転刃50は上下方向を回転の軸として回転可能に設けられている。回転刃50は固定刃30と対向して設置される。回転刃50は鋸刃状の刃が形成されている。充填材の破砕は、筐体10の内部において、回転刃50を回転させた状態で下方に移動させることにより、充填材を固定刃30と回転刃50との間に挟み込むことにより行われる。
【0023】
筐体10は、固定刃30及び回転刃50を収容する直方体形状の箱体であり、例えば幅が1210mm、奥行が1100mm、高さが1190mmである。筐体10は、側壁開口部12と、下部開口部14と、上部開口部16と、を有する。
【0024】
側壁開口部12は、筐体10の側壁部に設けられており、充填材を搬入するための搬入口である。筐体10の側壁開口部12が設けられた側壁には、側壁開口部12を開閉自在に覆う扉18が取り付けられている。作業者は、扉18を開けることにより、側壁開口部12から筐体10の内部に充填材を搬入可能である。また、作業者は、充填材を筐体10の内部に搬入した後、扉18を閉じる。筐体10及び扉18には、扉開閉検出センサ20が取り付けられている。扉開閉検出センサ20は、扉18の開閉状態を検出し、検出結果を図示しない制御部へ出力する。制御部は、扉開閉検出センサ20から出力される検出結果に基づいて、扉18が開放しているか否かを判定し、扉18が開放している場合、後述するモータ52の駆動を停止する。扉開閉検出センサ20の種類は特に限定されず、例えば非接触式開閉センサであってもよく、接触式開閉センサであってもよい。扉開閉検出センサ20は破砕時に飛散した充填材が衝突して誤作動を起こさないように、筐体10の外側に設置される。扉開閉検出センサ20は、図示しないカバーで覆われている。
【0025】
下部開口部14は、筐体10の底部に設けられており、破砕された充填材を排出するための排出口である。下部開口部14は、例えば幅方向の長さが420mm、奥行方向の長さが290mmの長方形の開口部である。筐体10の底部には、下部開口部14を開閉自在に覆う蓋22が設けられている。例えば蓋22を水平方向にスライドさせることで、筐体10の内部の充填材が下部開口部14から筐体10の外部へ排出される。作業者は、蓋22を水平方向にスライドさせて開くことにより、筐体10の内部から筐体10の下方へ充填材を排出可能である。筐体10の底部の下面の4つの角部には、それぞれ筐体10を支持する支持脚70が取り付けられている。これにより、筐体10の下方には空間が形成されている。筐体10の下方の空間には、破砕した充填材を収容する容器、例えばコンテナバッグを設置することができる。コンテナバッグには、筐体10の内部から下部開口部14を介して排出される充填材が収容される。各支持脚70の下端にはキャスタ72が取り付けられている。これにより、冷却塔充填材破砕装置1は前後左右方向に自在に移動可能である。支持脚70とキャスタ72とを合わせた高さ、言い換えると、冷却塔充填材破砕装置1が設置されている面から筐体10の下面までの高さは、例えば940mmである。
【0026】
上部開口部16は、筐体10の天部に設けられており、回転刃50を筐体10の内部に導入するための開口部である。筐体10の天部には、充填材を破砕しているときに破砕粉が飛散することを防止するために、布状の飛散防止カバー24が取り付けられている。
【0027】
固定刃30は、筐体10の内部における底部の近傍に固定されている。固定刃30は、筐体10の底部に固定されていてもよく、4つの側壁部に固定されていてもよい。固定刃30は、鋸刃状に形成されている。
図6は冷却塔充填材破砕装置1の固定刃30を説明するための概略図であり、
図6(a)は固定刃30の概略斜視図であり、
図6(b)は
図6(a)の領域Aの拡大図である。
図6(a)に示されるように、固定刃30は、鋸刃状の第1の直線刃32を格子状に複数配置した形状を有する。第1の直線刃32は、例えば厚さが6mmの鋼板の1つの側面に多数の刃を設けたものである。第1の直線刃32の各々の刃の先端は、充填材の空回りを防止するという観点から、鋭角であることが好ましい。第1の直線刃32の大きさは、例えば
図6(b)に示されるように、ピッチが15mm、山の高さが25mmとすることができる。複数の第1の直線刃32は、例えば幅方向及び奥行方向に約200mm間隔で配置されている。つまり、第1の直線刃32は、幅方向に5個、奥行方向に4個設けられている。これにより、下部開口部14の大きさよりも十分に小さなサイズに、充填材が破砕される。小さなサイズに破砕された充填材は、格子状に配置された複数の第1の直線刃32の間を抜け落ちて下部開口部14より取り出し可能となる。
【0028】
回転刃50は、筐体10の内部の固定刃30よりも上方に、上下方向に移動可能、かつ、上下方向を回転の軸として回転可能に設けられている。回転刃50には、回転刃50を回転させるモータ52が駆動軸54を介して取り付けられている。モータ52は、インバータで駆動するモータであることが好ましい。インバータで駆動するモータを用いることで、回転刃50を回転させる速度を小さくし、充填材を破砕するときに生じる騒音を低減することができる。図示の例では、7.5kWのモータを使用している。なお、モータ52に代えて、別の回転機構を用いて回転刃50を回転させてもよい。モータ52には、回転刃50及びモータ52を一体として上下方向に移動させる門型クレーン56が取り付けられている。なお、門型クレーン56に代えて、別の上下機構を用いて回転刃50及びモータ52を一体として上下方向に移動させてもよい。図示の例では、3トンの門型クレーンを使用している。
【0029】
回転刃50は、固定刃30と対向するように鋸刃状に形成されている。
図7は冷却塔充填材破砕装置1の回転刃50を説明するための概略図であり、
図7(a)は回転刃50の概略斜視図であり、
図7(b)は
図7(a)の領域Bの拡大図である。
図7(a)に示されるように、回転刃50は、環状に配置された環状刃58と、環状刃58の径方向に配置された第2の直線刃60とを有する。環状刃58は、例えば肉厚が6mmの鋼管の1つの端面に多数の刃を設けたものである。第2の直線刃60は、例えば厚さが6mmの鋼板の1つの側面に多数の刃を設けたものであり、駆動軸54に取り付けられる軸部62と環状刃58とを接続するように環状刃58の径方向に配置されている。そして、回転刃50が回転することにより、環状刃58及び第2の直線刃60は、上面視において、第1の直線刃32と所定の角度を持って交差する。第2の直線刃60は、複数設けられていることが好ましく、図示の例では、8つ設けられている。環状刃58の各々の刃の先端及び第2の直線刃60の各々の刃の先端は、充填材の空回りを防止するという観点から、鋭角であることが好ましい。第2の直線刃60の大きさは、例えば
図7(b)に示されるように、ピッチが15mm、山の高さが25mmとすることができる。また、環状刃58の大きさは、第2の直線刃60の大きさと同様であってよく、例えばピッチが15mm、山の高さが25mmとすることができる。
【0030】
また、冷却塔充填材破砕装置1には、モータ52に印加する電圧や周波数を制御するためのインバータ制御盤90が設けられている。インバータ制御盤90は、例えば
図5に示されるように、筐体10の側壁部に取り付けられている。作業者は、インバータ制御盤90を操作し、モータ52の回転速度を変化させることにより、回転刃50の回転速度を制御する。
【0031】
また、冷却塔充填材破砕装置1には、門型クレーン56の昇降動作を制御するコントローラ110(
図9参照)が設けられている。作業者は、コントローラ110を操作し、門型クレーン56を昇降させることにより、回転刃50及びモータ52を昇降させることができる。
【0032】
以上に説明したように、冷却塔充填材破砕装置1では、筐体10の内部において、回転刃50を回転させた状態で下方に移動させることにより、充填材を固定刃30と回転刃50との間に挟み込んで充填材を破砕する。これにより、屋上で充填材を破砕して体積を小さくし、コンテナバッグ等の容器に収容することができる。このようにコンテナバッグ等の容器に充填材を収容することができるので、充填材を破砕することなくカゴ台車等に積載する場合と比較して、屋上から地上へ下ろすために必要なクレーンの使用回数を減らすことができる。その結果、クレーン作業の時間を短縮し、冷却塔更新の工期を短縮することができる。
【0033】
(冷却塔充填材の破砕方法)
次に、前述の冷却塔充填材破砕装置1を使用した冷却塔充填材の破砕方法について説明する。冷却塔充填材の破砕方法は、回転刃50を上昇させた状態で、固定刃30の上に充填材を搬入する工程と、回転刃50を回転させた状態で下降させて、固定刃30と回転刃50とにより充填材を挟み込んで破砕する工程と、を有する。
【0034】
まず、
図8を参照しながら、充填材を搬入する工程について説明する。
図8は、冷却塔充填材破砕装置1に充填材を搬入するときの状態を説明するための図である。
【0035】
図8に示されるように、充填材を搬入する工程では、作業者Oは、コントローラ110(
図9参照)を操作し、門型クレーン56を上昇させることにより、回転刃50及びモータ52を搬入位置まで上昇させる。これにより、固定刃30と回転刃50との間に充填材を載置するための空間が形成される。なお、回転刃50及びモータ52が搬入位置まで上昇している場合には、コントローラ110を操作しなくてよい。続いて、作業者Oは、筐体10の側壁に設けられた扉18を開け、充填材Pを固定刃30と回転刃50との間に載置する。その後、作業者Oは、扉18を閉める。また、作業者Oは、筐体10の下部開口部14を覆うようにコンテナバッグを取り付ける。なお、
図8では、コンテナバッグの図示を省略している。
【0036】
次に、
図9を参照しながら、充填材を破砕する工程について説明する。
図9は、冷却塔充填材破砕装置1により充填材を破砕するときの状態を説明するための図である。
【0037】
図9に示されるように、充填材を破砕する工程では、作業者Oは、インバータ制御盤90(
図5参照)を操作し、モータ52を回転させることにより、回転刃50を所定の速度で回転させる。また、作業者Oは、コントローラ110を操作し、門型クレーン56を下降させることにより、固定刃30と回転刃50との間に充填材を挟み込んで破砕する。門型クレーン56を下降させる速度は特に限定されず、例えば一定の速度であってもよく、下降途中で速度を変更してもよい。また、回転刃50を下降させたときに固定刃30と回転刃50とが接触することがないように、回転刃50の下降限界の位置が設定されており、回転刃50が下降限界の位置まで下降した場合、門型クレーン56の動作が停止する。また、充填材の破砕の途中、又は、充填材の破砕が終了した後、作業者Oは、筐体10の底部に設けられた蓋22をスライドさせて開くことにより、下部開口部14から破砕された充填材を排出する。これにより、コンテナバッグに破砕された充填材が収容される。なお、
図9では、コンテナバッグの図示を省略している。また、モータ52が回転しているときに扉18が開いた場合には、制御部は、扉開閉検出センサ20から出力される検出結果に基づいて、扉18が開放していると判定し、モータ52の駆動を停止させる。
【0038】
以上に説明したように、冷却塔充填材の破砕方法は、回転刃50を上昇させた状態で固定刃30の上に充填材を搬入する工程と、回転刃50を回転させた状態で下降させて、固定刃30と回転刃50との間に充填材を挟み込んで破砕する工程とを有する。さらに、格子状に配置された第1の直線刃32の間を抜け落ちた、固定刃30と回転刃50により破砕された充填材を、下部開口部14から回収する工程を有する。この冷却塔充填材の破砕方法を使用すると、屋上で充填材を破砕して体積を小さくし、1台のカゴ台車に収容可能な量よりも多い量の充填材をコンテナバッグ等の容器に収容することができる。このようにコンテナバッグ等の容器に量の多い充填材を収容することができるので、充填材を破砕することなくカゴ台車等に積載する場合と比較して、屋上から地上へ下ろすために必要なクレーンの使用回数を減らすことができる。また、複数個のコンテナバッグを一度に下ろすことができるので、より一層クレーンの使用回数を減らすことができる。その結果、クレーン作業の時間を短縮し、冷却塔更新の工期を短縮することができる。
【0039】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 冷却塔充填材破砕装置
10 筐体
12 側壁開口部
14 下部開口部
16 上部開口部
18 扉
20 扉開閉検出センサ
22 蓋
30 固定刃
32 第1の直線刃
50 回転刃
52 モータ
54 駆動軸
56 門型クレーン
58 環状刃
60 第2の直線刃
70 支持脚
72 キャスタ
P 充填材