(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の構成では、複数の磁極部101のうち円弧方向における一端の磁極部101からヨーク100を経て他端の磁極部101へ至る磁気回路の磁気抵抗が、複数の磁極部101のうち円弧方向で隣り合う2つの磁極部101のうち一方の磁極部101からヨーク100を経て他方の磁極部101へ至る磁気回路の磁気抵抗よりも大きいので、磁気回路の磁気抵抗の不均一性に起因して各検出コイルの検出電圧が不均一となり、複数の検出コイルの検出電圧が足し合わされた検出電圧が正弦波とならず、もって、回転角度検出精度が悪かった。
【0004】
本開示の目的は、レゾルバの小型化と回転角度検出精度を両立させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
円弧状に延びるヨークと、前記ヨークから径方向内方に突出した複数のティースと、を有するステータコアと、前記複数のティースのそれぞれに設けられた複数のコイルと、を備え、各コイルは、少なくとも励磁コイルを含み、前記ステータコアは、積層された複数のコアプレートを有し、前記複数のコアプレートのうち少なくとも何れか1つのコアプレートは、前記ヨークの内周面と外周面との間において前記ヨークの長手方向に沿って延びる中間スリットを有し、前記ヨークは、前記中間スリットよりも径方向内方に位置する内方ヨーク部と、前記中間スリットよりも径方向外方に位置する外方ヨーク部と、を有し、前記ステータコアには、前記複数のティースのうち円弧方向における一端のティースから、前記外方ヨーク部を経て、他端のティースに至る磁気回路が形成されており、前記複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間における前記内方ヨーク部の円弧方向に対して直交する断面積は、前記外方ヨーク部の円弧方向に対して直交する断面積よりも小さい、レゾルバステータが提供される。
好ましくは、前記複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間における前記内方ヨーク部の径方向における寸法は、前記外方ヨーク部の径方向における寸法よりも小さい。
好ましくは、前記複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間における前記内方ヨーク部の回転軸方向における寸法は、前記外方ヨーク部の回転軸方向における寸法よりも小さい。
好ましくは、前記複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間において、前記内方ヨーク部には、前記内方ヨーク部を回転軸方向に分割する分割スリットが形成されている。
円弧状に延びるヨークと、前記ヨークから径方向内方に突出した複数のティースと、を有するステータコアと、前記複数のティースのそれぞれに設けられた複数のコイルと、を備え、各コイルは、少なくとも励磁コイルを含み、前記ステータコアは、積層された複数のコアプレートを有し、前記複数のコアプレートのうち少なくとも何れか1つのコアプレートは、前記ヨークの内周面と外周面との間において前記ヨークの長手方向に沿って延びる中間スリットを有し、前記ヨークは、前記中間スリットよりも径方向内方に位置する内方ヨーク部と、前記中間スリットよりも径方向外方に位置する外方ヨーク部と、を有し、前記ステータコアには、前記複数のティースのうち円弧方向における一端のティースから、前記外方ヨーク部を経て、他端のティースに至る磁気回路が形成されており、前記複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間における前記内方ヨーク部の透磁率は、前記外方ヨーク部の透磁率よりも低い、レゾルバステータが提供される。
円弧状に延びるヨークと、前記ヨークから径方向外方に突出した複数のティースと、を有するステータコアと、前記複数のティースのそれぞれに設けられた複数のコイルと、を備え、各コイルは、少なくとも励磁コイルを含み、前記ステータコアは、積層された複数のコアプレートを有し、前記複数のコアプレートのうち少なくとも何れか1つのコアプレートは、前記ヨークの内周面と外周面との間において前記ヨークの長手方向に沿って延びる中間スリットを有し、前記ヨークは、前記中間スリットよりも径方向内方に位置する内方ヨーク部と、前記中間スリットよりも径方向外方に位置する外方ヨーク部と、を有し、前記ステータコアには、前記複数のティースのうち円弧方向における一端のティースから、前記内方ヨーク部を経て、他端のティースに至る磁気回路が形成されており、前記複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間における前記外方ヨーク部の円弧方向に対して直交する断面積は、前記内方ヨーク部の円弧方向に対して直交する断面積よりも小さい、レゾルバステータが提供される。
好ましくは、前記複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間における前記外方ヨーク部の径方向における寸法は、前記内方ヨーク部の径方向における寸法よりも小さい。
好ましくは、前記複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間における前記外方ヨーク部の回転軸方向における寸法は、前記内方ヨーク部の回転軸方向における寸法よりも小さい。
好ましくは、前記複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間において、前記外方ヨーク部には、前記外方ヨーク部を回転軸方向に分割する分割スリットが形成されている。
円弧状に延びるヨークと、前記ヨークから径方向外方に突出した複数のティースと、を有するステータコアと、前記複数のティースのそれぞれに設けられた複数のコイルと、を備え、各コイルは、少なくとも励磁コイルを含み、前記ステータコアは、積層された複数のコアプレートを有し、前記複数のコアプレートのうち少なくとも何れか1つのコアプレートは、前記ヨークの内周面と外周面との間において前記ヨークの長手方向に沿って延びる中間スリットを有し、前記ヨークは、前記中間スリットよりも径方向内方に位置する内方ヨーク部と、前記中間スリットよりも径方向外方に位置する外方ヨーク部と、を有し、前記ステータコアには、前記複数のティースのうち円弧方向における一端のティースから、前記内方ヨーク部を経て、他端のティースに至る磁気回路が形成されており、前記複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間における前記外方ヨーク部の透磁率は、前記内方ヨーク部の透磁率よりも低い、レゾルバステータが提供される。
【発明の効果】
【0006】
複数のティースのうち円弧方向における一端のティースから、外方ヨーク部を経て、他端のティースに至る磁気回路の磁気抵抗と、複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースのうち一方のティースから、内方ヨーク部を経て、他方のティースに至る磁気回路の磁気抵抗と、を近づけることができる。従って、レゾルバの小型化と回転角度検出精度を両立させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、
図1から
図8を参照して、第1実施形態のVR型レゾルバ1を説明する。VR型レゾルバ1は、図示しない電動機又は内燃機関等のシャフトの回転角度を計測するためのものである。
【0009】
図1に示すように、VR型レゾルバ1は、円弧状のレゾルバステータ2と、上記シャフトに固定されるレゾルバロータ3と、を備える。本実施形態のVR型レゾルバ1は、レゾルバロータ3がレゾルバステータ2の径方向内方に配置された所謂インナーロータ型である。VR型レゾルバ1は、回転軸線Cを有する。
【0010】
以下、原則として、「径方向」はレゾルバステータ2の径方向を意味し、「円弧方向」はレゾルバステータ2の円弧方向を意味する。また、レゾルバステータ2は、回転軸線Cに対して平行な上方向(第1軸方向)と、上方向に対して反対の下方向(第2軸方向)と、を有する。また、「平面視」とは、回転軸線Cに沿って見ることを意味する。
【0011】
図1に示すように、レゾルバステータ2は、ステータコア4と、図示しないインシュレータと、複数のコイル5と、図示しない複数の渡り線と、を備えている。
【0012】
(ステータコア4)
図2に示すように、ステータコア4は、複数のコアプレート4Pを積層することで構成されている。
図3及び
図4に示すように、ステータコア4は、円弧状のヨーク6と、ヨーク6から径方向内方に突出する複数のティース7と、を有する。複数のティース7は偶数で設けられることが好ましく、本実施形態では複数のティース7は6つのティース7を含む。以下、説明の便宜上、6つのティース7を時計回りに順に、ティース71、ティース72、ティース73、ティース74、ティース75、ティース76と称する。各ティース7は、巻線部8と先端部9を有する。巻線部8は、ヨーク6から回転軸線Cに向かって径方向内方に延びている。
図4に示すように、先端部9は、巻線部8の先端8Aに設けられ、円弧方向に延びている。
図3及び
図4に示すように、ヨーク6は、上方向を向くヨーク上面6Aと、下方向を向くヨーク下面6Bと、径方向内方を向くヨーク内周面6C(内周面)と、径方向外方を向くヨーク外周面6D(外周面)と、円弧方向を向く2つのヨーク端面6Eと、を有する。
【0013】
図4に示すように、円弧状のヨーク6の中心角θは、例えば、45度から270度である。好ましくは、上記中心角θは、45度から180度である。更に好ましくは、上記中心角θは、45度から120度である。本実施形態において上記中心角θは約95度である。
【0014】
図3及び
図4に示すように、ヨーク6には、平面視スリット10(第1のスリット)が形成されている。平面視スリット10は、ヨーク6のヨーク内周面6C及びヨーク外周面6Dの間に形成されている。平面視スリット10は、ヨーク6の長手方向に沿って途切れなく延びている。平面視スリット10は、円弧方向に沿って途切れなく延びている。平面視スリット10は、一方のヨーク端面6Eから他方のヨーク端面6Eに向かって概ね円弧状に延びている。平面視スリット10は、ヨーク内周面6C及びヨーク外周面6Dから径方向に離れている。従って、
図5に示すように、ヨーク6は、平面視スリット10よりも径方向内方に位置する内方ヨーク部11と、平面視スリット10よりも径方向外方に位置する外方ヨーク部12と、を有する。
【0015】
同様に、
図3及び
図4に示すように、平面視スリット10は、2つのヨーク端面6Eの間に形成されている。平面視スリット10は、2つのヨーク端面6Eから円弧方向に離れている。従って、
図4及び
図5に示すように、ヨーク6は、平面視スリット10を円弧方向で挟む2つの側方ヨーク部13を有する。
【0016】
こうして、
図4及び
図5に示すように、平面視スリット10は、径方向においては内方ヨーク部11及び外方ヨーク部12の間に、円弧方向においては2つの側方ヨーク部13の間に、形成されている。
【0017】
図3に示すように、本実施形態において平面視スリット10は、回転軸方向においてヨーク6を貫通する貫通孔である。即ち、平面視スリット10は、ヨーク上面6Aからヨーク下面6Bに至るように形成されている。
【0018】
詳しくは、
図2に示すように、複数のコアプレート4Pのすべては、中間スリット10Pを有する。平面視スリット10は、複数の中間スリット10Pによって構成されている。
【0019】
図2から
図5に示すように、各中間スリット10Pは、ヨーク6のヨーク内周面6C及びヨーク外周面6Dの間に形成されている。各中間スリット10Pは、ヨーク6の長手方向に沿って途切れなく延びている。各中間スリット10Pは、円弧方向に沿って途切れなく延びている。各中間スリット10Pは、一方のヨーク端面6Eから他方のヨーク端面6Eに向かって概ね円弧状に延びている。各中間スリット10Pは、ヨーク内周面6C及びヨーク外周面6Dから径方向に離れている。従って、ヨーク6は、複数の中間スリット10Pよりも径方向内方に位置する内方ヨーク部11と、複数の中間スリット10Pよりも径方向外方に位置する外方ヨーク部12と、を有する。各中間スリット10Pは、2つのヨーク端面6Eの間に形成されている。各中間スリット10Pは、2つのヨーク端面6Eから円弧方向に離れている。従って、ヨーク6は、各中間スリット10Pを円弧方向で挟む2つの側方ヨーク部13を有する。こうして、各中間スリット10Pは、径方向においては内方ヨーク部11及び外方ヨーク部12の間に、円弧方向においては2つの側方ヨーク部13の間に、形成されている。
【0020】
なお、本実施形態では複数のコアプレート4Pのすべてが中間スリット10Pを有することとしたが、これに代えて、複数のコアプレート4Pのうち少なくとも何れか1つのコアプレート4Pが中間スリット10Pを有することとしてもよい。この場合、平面視スリット10は、回転軸方向においてヨーク6を貫通しない。
【0021】
図4において太線で示すように、平面視スリット10の存在により、ステータコア4には、複数のティース7のうち円弧方向における一端のティース71から、外方ヨーク部12を経て、他端のティース76に至る磁気回路14が形成されている。なお、磁気回路は当然に閉ループとなるが、説明の便宜上、
図4においてはステータコア4内における磁気回路のみを描いている。
【0022】
図6に示すように、平面視スリット10の長手方向における一端15は、ティース71の中心線71Cの延長線に至るまで延びている。ここで、ティース71の中心線71Cとは、ヨーク6からティース71が突出する方向と平行であって、ティース71の円弧方向における中心を通る線である。同様に、
図7に示すように、平面視スリット10の長手方向における他端16は、ティース76の中心線76Cの延長線に至るまで延びている。ここで、ティース76の中心線76Cとは、ヨーク6からティース76が突出する方向と平行であって、ティース76の円弧方向における中心を通る線である。従って、本実施形態において、すべてのティース7は、内方ヨーク部11から径方向内方に突出していると言及することができる。
【0023】
図3に示すように、本実施形態においてステータコア4の回転軸方向における寸法は、全体に亘って一定である。そして、
図5に示すように、ティース71及びティース72の間における内方ヨーク部11の円弧方向に対して直交する断面積は、外方ヨーク部12の円弧方向に対して直交する断面積よりも小さい。具体的には、ティース71及びティース72の間における内方ヨーク部11の円弧方向に対して直交する最小の断面積は、外方ヨーク部12の円弧方向に対して直交する最小の断面積よりも小さい。本実施形態では、ティース71及びティース72の間における内方ヨーク部11の回転軸方向における寸法と外方ヨーク部12の回転軸方向における寸法は等しいものの、ティース71及びティース72の間における内方ヨーク部11の径方向における寸法11Dは、外方ヨーク部12の径方向における寸法12Dよりも小さい。即ち、平面視スリット10は、ヨーク外周面6Dよりもヨーク内周面6Cに近い位置に形成されている。ティース72とティース73との間の内方ヨーク部11、ティース73とティース74との間の内方ヨーク部11、ティース74とティース75との間の内方ヨーク部11、ティース75とティース76との間の内方ヨーク部11についても同様である。
【0024】
図1及び
図3に示すように、複数のコイル5は、図示しないインシュレータを介して、複数のティース7にそれぞれ設けられている。各コイル5は、励磁コイルと検出コイルを含む。各コイル5に含まれる励磁コイルの巻き方向は、円弧方向で隣り合う他のコイル5に含まれる励磁コイルの巻き方向と逆向きとされる。
【0025】
以上の構成によれば、ティース71から外方ヨーク部12を経てティース76に至る磁気回路14の磁気抵抗と、円弧方向において隣り合う2つのティース7の一方のティース7から内方ヨーク部11を経て他方のティース7に至る磁気回路の磁気抵抗と、を近づけることができる。なぜなら、磁気回路における磁気抵抗をRとし、磁気回路の長さをLとし、透磁率をμとし、断面積をAとすると、R=L/(μA)で表されるからである。そして、ティース71から外方ヨーク部12を経てティース76に至る磁気回路14の磁気抵抗と、円弧方向において隣り合う2つのティース7の一方のティース7から内方ヨーク部11を経て他方のティース7に至る磁気回路の磁気抵抗と、が近づくことで、高い回転角度検出精度が実現される。この結果、小型化と回転角度検出精度が両立したVR型レゾルバ1が実現されることになる。
【0026】
以上に説明したVR型レゾルバ1は、以下のように動作する。即ち、レゾルバロータ3の外周面に形成された凹凸の存在により、レゾルバロータ3の回転角度に応じてレゾルバロータ3とレゾルバステータ2の各ティース7との間のギャップが周期的に変化する。レゾルバステータ2の励磁コイルと検出コイルは、レゾルバロータ3を介して磁気的に接続されている。励磁コイルに交流電流を通電すると検出コイルには誘起電圧が発生する。レゾルバロータ3の回転角度に応じて上記ギャップが変化するため磁気抵抗が変動し、もって、レゾルバロータ3の回転角度に応じて誘起電圧の振幅が変動する。検出コイルは2相とされており、それぞれ、レゾルバロータ3の回転角度に対してSIN状及びCOS状に誘起電圧が変化するように設計されている。従って、2相の誘起電圧の比率からレゾルバロータ3の回転角度が求められる。
【0027】
図8には、VR型レゾルバの試作品毎の回転角度誤差を示すグラフである。
図8において、円形のプロット(試作品番号1から10まで)は、上記の平面視スリットが形成されていないVR型レゾルバの回転角度誤差を示し、矩形のプロット(試作品番号11から17まで)は、上記の平面視スリットが形成されたVR型レゾルバの回転角度誤差を示している。
図8によれば、平面視スリットが形成されていないVR型レゾルバの回転角度誤差には、無視できない大きな回転角度誤差が認められた。これに対し、平面視スリットが形成されたVR型レゾルバの回転角度誤差は、何れの試作品においても良好な値となった。
【0028】
以上に、第1実施形態を説明した。上記第1実施形態は、平面視スリット10に着目すると、以下の特長を有する。
【0029】
即ち、
図1から
図5に示すように、VR型レゾルバ1は、円弧状に延びるヨーク6と、ヨーク6から径方向内方に突出した複数のティース7と、を有するステータコア4と、複数のティース7のそれぞれに設けられた複数のコイル5と、を備える。各コイル5は、励磁コイルと検出コイルを含む。ヨーク6のヨーク内周面6C(内周面)とヨーク外周面6D(外周面)との間には、ヨーク6の長手方向に沿って延びる平面視スリット10(第1のスリット)が形成されている。ヨーク6は、平面視スリット10よりも径方向内方に位置する内方ヨーク部11と、平面視スリット10よりも径方向外方に位置する外方ヨーク部12と、を有する。ステータコア4には、複数のティース7のうち円弧方向における一端のティース71から、外方ヨーク部12を経て、他端のティース76に至る磁気回路14が形成されている。複数のティース7のうち円弧方向において隣り合う2つのティース7の間における内方ヨーク部11の円弧方向(長手方向)に対して直交する断面積は、外方ヨーク部12の円弧方向(長手方向)に対して直交する断面積よりも小さい。以上の構成によれば、ティース71から外方ヨーク部12を経てティース76に至る磁気回路14の磁気抵抗と、円弧方向において隣り合う2つのティース7の一方のティース7から内方ヨーク部11を経て他方のティース7に至る磁気回路の磁気抵抗と、を近づけることができるので、高い回転角度検出精度が実現される。また、ヨーク6が円弧状であるから、円環状のヨークを採用した場合と比較して、VR型レゾルバ1の小型化が実現される。従って、以上の構成によれば、VR型レゾルバ1の小型化と回転角度検出精度を両立させることができる。
【0030】
次に、上記第1実施形態は、中間スリット10Pに着目すると、以下の特長を有する。
【0031】
即ち、
図1から
図5に示すように、VR型レゾルバ1は、円弧状に延びるヨーク6と、ヨーク6から径方向内方に突出した複数のティース7と、を有するステータコア4と、複数のティース7のそれぞれに設けられた複数のコイル5と、を備える。各コイル5は、励磁コイルと検出コイルを含む。ステータコア4は、積層された複数のコアプレート4Pを有する。複数のコアプレート4Pのすべては、ヨーク6のヨーク内周面6C(内周面)とヨーク外周面6D(外周面)との間においてヨーク6の長手方向に沿って延びる中間スリット10Pを有する。ヨーク6は、中間スリット10Pよりも径方向内方に位置する内方ヨーク部11と、中間スリット10Pよりも径方向外方に位置する外方ヨーク部12と、を有する。ステータコア4には、複数のティース7のうち円弧方向における一端のティース71から、外方ヨーク部12を経て、他端のティース76に至る磁気回路14が形成されている。複数のティース7のうち円弧方向において隣り合う2つのティース7の間における内方ヨーク部11の円弧方向(長手方向)に対して直交する断面積は、外方ヨーク部12の円弧方向(長手方向)に対して直交する断面積よりも小さい。以上の構成によれば、ティース71から外方ヨーク部12を経てティース76に至る磁気回路14の磁気抵抗と、円弧方向において隣り合う2つのティース7の一方のティース7から内方ヨーク部11を経て他方のティース7に至る磁気回路の磁気抵抗と、を近づけることができるので、高い回転角度検出精度が実現される。また、ヨーク6が円弧状であるから、円環状のヨークを採用した場合と比較して、VR型レゾルバ1の小型化が実現される。従って、以上の構成によれば、VR型レゾルバ1の小型化と回転角度検出精度を両立させることができる。
【0032】
なお、前述したように、本実施形態では複数のコアプレート4Pのすべてが中間スリット10Pを有することとしたが、これに代えて、複数のコアプレート4Pのうち少なくとも何れか1つのコアプレート4Pが中間スリット10Pを有することとしてもよい。この場合、平面視スリット10は、回転軸方向においてヨーク6を貫通しない。この場合でも、VR型レゾルバ1の小型化と回転角度検出精度を両立させることができる。
【0033】
また、ヨーク6が円環状ではなく円弧状に延びているので、VR型レゾルバ1のレゾルバステータ2の脱着が容易となり、メンテンナンスし易い。
【0034】
また、
図5に示すように、複数のティース7のうち円弧方向において隣り合う2つのティース7の間における内方ヨーク部11の径方向における寸法11Dは、外方ヨーク部12の径方向における寸法12Dよりも小さい。以上の構成によれば、簡素な構成で、複数のティース7のうち円弧方向において隣り合う2つのティース7の間における内方ヨーク部11の円弧方向(長手方向)に対して直交する断面積を、外方ヨーク部12の円弧方向(長手方向)に対して直交する断面積よりも小さくすることができる。
【0035】
なお、上記第1実施形態では、円弧状に延びるヨーク6から径方向内方に複数のティース7が突出した所謂インナーロータ型のVR型レゾルバ1について説明したが、VR型レゾルバは、円弧状に延びるヨークから径方向外方に複数のティースが突出した所謂アウターロータ型としてもよい。この場合、ステータコアには、複数のティースのうち円弧方向における一端のティースから、内方ヨーク部を経て、他端のティースに至る磁気回路が形成される。また、複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間における外方ヨーク部の円弧方向に対して直交する断面積は、内方ヨーク部の円弧方向に対して直交する断面積よりも小さい。また、この場合、好ましくは、複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間における外方ヨーク部の径方向における寸法は、内方ヨーク部の径方向における寸法よりも小さくするとよい。
【0036】
また、上記第1実施形態においてVR型レゾルバ1は、1相励磁2相出力であるとしたが、これに代えて、2相励磁1相出力、2相励磁2相出力を採用してもよい。
【0037】
上記第1実施形態は、例えば以下のように変更することができる。
【0038】
即ち、
図6及び
図7に示すように、上記第1実施形態において、平面視スリット10の長手方向における一端15は、ティース71の中心線71Cの延長線に至るまで延びており、他端16は、ティース76の中心線76Cの延長線に至るまで延びているとした。しかし、これに代えて、
図9に示すように、平面視スリット10の長手方向における一端15は、ティース71の中心線71Cの延長線まで至らずに、ティース71の巻線部8のティース72に近い方の端面8Bに対応する位置まで延びていてもよい。また、これに代えて、
図10に示すように、平面視スリット10の長手方向における一端15は、ティース71の巻線部8のティース72に近い方の端面8Bの延長線まで至らなくてもよい。他端16についても同様である。即ち、平面視スリット10の一端15や他端16の位置は、ティース71とティース76の間の磁気抵抗と、ティース71とティース72との間の磁気抵抗と、がなるべく近づくように適宜調整すればよい。
【0039】
各コイル5は、励磁コイルと検出コイルを含む場合の他、励磁コイルのみを含む場合も考えられる。各コイル5は、少なくとも励磁コイルを含む。
【0040】
(第2実施形態)
以下、
図11及び
図12を参照して、第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0041】
例えば
図3に示すように、上記第1実施形態ではステータコア4の回転軸方向における寸法は、全体に亘って一定であるとした。
【0042】
これに対し、本実施形態では、
図11及び
図12に示すように、複数のティース7のうち円弧方向において隣り合う2つのティース7の間における内方ヨーク部11の回転軸方向における寸法11Eは、外方ヨーク部12の回転軸方向における寸法12Eよりも小さい。以上の構成によれば、簡素な構成で、複数のティース7のうち円弧方向において隣り合う2つのティース7の間における内方ヨーク部11の円弧方向(長手方向)に対して直交する断面積を、外方ヨーク部12の円弧方向(長手方向)に対して直交する断面積よりも小さくすることができる。
【0043】
なお、ステータコア4は複数の電磁鋼板を積層したものであるから、異なる形状の電磁鋼板を積層することにより、容易に、ステータコア4の回転軸方向における寸法を局所的に小さくすることができる。
【0044】
また、VR型レゾルバをアウターロータ型とした場合は、複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間における外方ヨーク部の回転軸方向における寸法を、内方ヨーク部の回転軸方向における寸法よりも小さくすればよい。
【0045】
(第3実施形態)
以下、
図13及び
図14を参照して、第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0046】
例えば
図3に示すように、上記第1実施形態ではステータコア4の回転軸方向における寸法は、全体に亘って一定であるとした。
【0047】
これに対し、本実施形態では、
図13及び
図14に示すように、複数のティース7のうち円弧方向において隣り合う2つのティース7の間において、内方ヨーク部11には、内方ヨーク部11を回転軸方向に分割する軸方向スリット17(分割スリット)が形成されている。以上の構成によれば、簡素な構成で、複数のティース7のうち円弧方向において隣り合う2つのティース7の間における内方ヨーク部11の円弧方向(長手方向)に対して直交する断面積を、外方ヨーク部12の円弧方向(長手方向)に対して直交する断面積よりも小さくすることができる。
【0048】
なお、ステータコア4は複数の電磁鋼板を積層したものであるから、異なる形状の電磁鋼板を積層することにより、容易に、内方ヨーク部11に軸方向スリット17を形成することができる。
【0049】
また、VR型レゾルバをアウターロータ型とした場合は、複数のティースのうち円弧方向において隣り合う2つのティースの間において、外方ヨーク部に、外方ヨーク部を回転軸方向に分割する軸方向スリットを形成すればよい。
【0050】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態を説明する。ただし、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0051】
上記第1実施形態においてステータコア4は、単一の材料から成る電磁鋼板の積層体であるとした。
【0052】
しかし、これに代えて、本実施形態では、複数のティース7のうち円弧方向において隣り合う2つのティース7の間における内方ヨーク部11の透磁率は、外方ヨーク部12の透磁率よりも低い。以上の構成によれば、ティース71から外方ヨーク部12を経てティース76に至る磁気回路14の磁気抵抗と、円弧方向において隣り合う2つのティース7の一方のティース7から内方ヨーク部11を経て他方のティース7に至る磁気回路の磁気抵抗と、を近づけることができるので、高い回転角度検出精度が実現される。また、ヨーク6が円弧状であるから、円環状のヨークを採用した場合と比較して、VR型レゾルバ1の小型化が実現される。従って、以上の構成によれば、VR型レゾルバ1の小型化と回転角度検出精度を両立させることができる。
【0053】
なお、複数のティース7のうち円弧方向において隣り合う2つのティース7の間における内方ヨーク部11の透磁率を外方ヨーク部12の透磁率よりも低くすることに代えて、内方ヨーク部11全体の透磁率を外方ヨーク部12の透磁率よりも低くしてもよい。
【0054】
また、VR型レゾルバをアウターロータ型とした場合は、複数のティース7のうち円弧方向において隣り合う2つのティース7の間における外方ヨーク部12の透磁率を、内方ヨーク部11の透磁率よりも低くすればよい。
【0055】
また、電磁鋼板の透磁率は、主として、炭素やケイ素、マンガン、アルミニウムの各含有量によって決まる。従って、本実施形態のステータコア4は、内方ヨーク部11と外方ヨーク部12を異なる材料及び異なる工程で別々に製造し、その後、内方ヨーク部11と外方ヨーク部12を溶接等で接合することにより製造することができる。
【0056】
なお、各コイル5は、励磁コイルと検出コイルを含む場合の他、励磁コイルのみを含む場合も考えられる。各コイル5は、少なくとも励磁コイルを含む。
【0057】
(第1変形例)
以下、
図15を参照して、第1変形例を説明する。ただし、本変形例が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0058】
例えば
図4に示すように、上記第1実施形態では、ステータコア4のヨーク6に平面視スリット10が1つのみ形成されているとした。しかし、これに代えて、
図15に示すように、ステータコア4のヨーク6に、径方向に離れる2つの平面視スリット10を形成してもよい。この場合、2つの平面視スリット10の間に、中央ヨーク部18が形成されることになる。そして、ヨーク6には、ティース71から、外方ヨーク部12及び中央ヨーク部18を経て、ティース76に至る磁気回路が形成されることになる。
【0059】
(第2変形例)
以下、
図16を参照して、第2変形例を説明する。ただし、本変形例が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0060】
例えば
図4に示すように、上記第1実施形態では、ステータコア4のヨーク6に平面視スリット10が1つのみ形成されているとした。また、平面視スリット10は、ティース71からティース76に向かって途切れなく延びるとした。しかし、これに代えて、
図16に示すように、平面視スリット10は、円弧方向において2つに分割されていてもよい。