特許第6792466号(P6792466)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6792466シャッター装置及びそのガイドレールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792466
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】シャッター装置及びそのガイドレールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20201116BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   E06B9/17 T
   E06B9/58 A
   E06B9/17 M
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-13950(P2017-13950)
(22)【出願日】2017年1月30日
(65)【公開番号】特開2018-123472(P2018-123472A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】日野 裕幸
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−108025(JP,A)
【文献】 特開2004−257175(JP,A)
【文献】 特開2010−163800(JP,A)
【文献】 特開2016−121492(JP,A)
【文献】 実公昭44−10606(JP,Y1)
【文献】 米国特許第5253694(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に開閉移動自在となっているシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの幅方向両側に配置され、内部に前記シャッターカーテンの前記幅方向の端部がスライド自在に挿入される挿入部を有していて、前記シャッターカーテンの開閉移動を案内するためのガイドレールと、を含んで構成され、前記シャッターカーテンの前記幅方向の両端部には、この両端部が前記ガイドレールから抜け出すことを防止するための抜け止め部材が配置されているシャッター装置において、
前記ガイドレールは、前記抜け止め部材よりも軟質の材料で形成されており、前記ガイドレールの前記挿入部の奥部には、前記シャッターカーテンが前記幅方向に移動したときに前記抜け止め部材を受ける受け部材が配置されており、この受け部材は、前記ガイドレールよりも硬質の材料で形成されていることを特徴とするシャッター装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッター装置において、前記受け部材は、上下方向への長さを有するものとなっており、前記ガイドレールの前記挿入部の前記奥部には、前記受け部材が挿入配置されている溝部が上下方向に形成されていることを特徴とするシャッター装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシャッター装置において、前記シャッターカーテンが前記幅方向のうちの一方の側に移動し、前記シャッターカーテンの前記幅方向の前記両端部のうちの前記一方の側の端部に配置されている前記抜け止め部材が、前記一方の側に配置されている前記ガイドレールの前記挿入部の前記奥部に配置されている前記受け部材に当接したときは、前記シャッターカーテンの前記幅方向の前記両端部のうちの他方の側の端部に配置されている前記抜け止め部材は、前記他方の側に配置されている前記ガイドレールの前記挿入部における前記奥部とは前記幅方向の反対側の部分に接触しないことを特徴とするシャッター装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のシャッター装置において、前記ガイドレールは、アルミ又はアルミ合金の押出成形品であることを特徴とするシャッター装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のシャッター装置において、前記ガイドレールには、中空部が設けられていることを特徴とするシャッター装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のシャッター装置において、前記ガイドレールは、このガイドレールよりも硬質の材料で形成されている枠部材で覆われていることを特徴とするシャッター装置。
【請求項7】
請求項6記載のシャッター装置において、前記枠部材は、板材の折り曲げにより形成されていることを特徴とするシャッター装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のシャッター装置において、前記シャッターカーテンの少なくとも一部は、前記幅方向が長さ方向となっている複数のスラットを前記シャッターカーテンの上下方向に連設することにより形成され、それぞれのスラットは、隣接する他のスラットに対して前記幅方向にスライド自在となっており、前記抜け止め部材は、複数の前記スラットのうち、少なくとも一部のスラットの前記幅方向の両端部に配置されていることを特徴とするシャッター装置。
【請求項9】
上下方向に開閉移動自在となっているシャッターカーテンの幅方向両側に配置され、内部に前記シャッターカーテンの前記幅方向の端部がスライド自在に挿入される挿入部を有していて、前記シャッターカーテンの開閉移動を案内するためのシャッター装置のガイドレールの製造方法であって、
前記シャッターカーテンの前記幅方向の両端部には、この両端部が前記ガイドレールから抜け出すことを防止するための抜け止め部材が配置されており、
前記抜け止め部材よりも軟質の材料で形成された前記ガイドレールをアルミ又はアルミ合金の押出成形により形成する第1工程と、
前記挿入部の奥部に配置され、前記シャッターカーテンが前記幅方向に移動したときに前記シャッターカーテンの前記抜け止め部材を受ける受け部材を、前記抜け止め部材よりも硬質の材料で形成する第2工程と、
前記受け部材を前記挿入部の前記奥部に配置する第3工程と、
を含むことを特徴とするシャッター装置のガイドレールの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のシャッター装置のガイドレールの製造方法において、前記受け部材は、上下方向への長さを有するものとなっており、前記第3工程では、前記受け部材を、前記挿入部の前記奥部に上下方向に形成された溝部に挿入配置する作業が実施されることを特徴とするシャッター装置のガイドレールの製造方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のシャッター装置のガイドレールの製造方法において、前記ガイドレールを覆うための枠部材を、前記ガイドレールよりも硬質の材料で形成された板材の折り曲げにより形成する第4工程を含むことを特徴とするシャッター装置のガイドレールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテンがガイドレールで案内されて移動することにより出入口等の開口部を開閉するシャッター装置及びそのガイドレールの製造方法に係り、例えば、ビルや工場・倉庫等の出入口を開閉するための出入口用シャッター装置(言い換えると、管理用シャッター装置)や、管理及び防災併用シャッター装置、車庫用シャッター装置などの各種のシャッター装置に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
ビルや工場・倉庫等の出入口等に設置されるシャッター装置は、下記の特許文献1に示されているように、上下方向に開閉移動自在となっているシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの左右方向である幅方向両側に配置され、内部にシャッターカーテンの幅方向の端部がスライド自在に挿入される挿入部を有していて、シャッターカーテンの開閉移動を案内するためのガイドレールと、を含んで構成されており、シャッターカーテンの幅方向の両端部には、抜け止め部材(耐風フック部材)が配置されている。
【0003】
このようなシャッター装置では、シャッターカーテンが風圧等でシャッターカーテンの厚さ方向に湾曲変形したときに、上述の抜け止め部材がガイドレールの挿入部に設けられた突起等に係止することにより、シャッターカーテンの幅方向の両端部がガイドレールから抜け出すことが防止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−121492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の特許文献1に示されているように、ガイドレールがアルミニウム等により形成されている場合には、開閉移動中又は停止中のシャッターカーテンが風圧等により幅方向に移動したとき、抜け止め部材がガイドレールの挿入部に接触することにより、この挿入部が損傷し、ガイドレールの耐久性が低下するおそれがある。
【0006】
なお、シャッターカーテンが、複数のスラットをシャッターカーテンの上下方向に連設することにより形成されているものである場合には、シャッターカーテンが開閉移動を繰り返すことによりスラットの片寄りが生じることにより、開閉移動中又は停止中のシャッターカーテンが風圧等により幅方向に移動しなくても、片寄りしたスラットの幅方向の両端部に配置された抜け止め部材がガイドレールの挿入部に接触することにより、この挿入部が損傷し、ガイドレールの耐久性が低下するおそれがある。
【0007】
このため、シャッター装置のガイドレールの耐久性をより向上させることができる工夫が求められている。
【0008】
本発明の目的は、ガイドレールの耐久性をより向上させることができるようになるシャッター装置及びそのガイドレールの製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るシャッター装置は、上下方向に開閉移動自在となっているシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの幅方向両側に配置され、内部に前記シャッターカーテンの前記幅方向の端部がスライド自在に挿入される挿入部を有していて、前記シャッターカーテンの開閉移動を案内するためのガイドレールと、を含んで構成され、前記シャッターカーテンの前記幅方向の両端部には、この両端部が前記ガイドレールから抜け出すことを防止するための抜け止め部材が配置されているシャッター装置において、前記ガイドレールは、前記抜け止め部材よりも軟質の材料で形成されており、前記ガイドレールの前記挿入部の奥部には、前記シャッターカーテンが前記幅方向に移動したときに前記抜け止め部材を受ける受け部材が配置されており、この受け部材は、前記ガイドレールよりも硬質の材料で形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係るシャッター装置では、上述のように、ガイドレールは、抜け止め部材よりも軟質の材料で形成されているが、ガイドレールの挿入部の奥部には、シャッターカーテンが幅方向(言い換えると左右方向)に移動したときに抜け止め部材を受ける受け部材が配置されており、この受け部材は、ガイドレールよりも硬質の材料で形成されている。
【0011】
すなわち、本発明に係るシャッター装置では、シャッターカーテンが幅方向に移動したときには、抜け止め部材は、この抜け止め部材よりも軟質の材料で形成されているガイドレールの挿入部には接触(言い換えると、当接)せず、ガイドレールの挿入部の奥部に配置されたこのガイドレールよりも硬質の材料で形成されている受け部材に接触するようになっている。
【0012】
これにより、シャッターカーテンが幅方向(言い換えると左右方向)に移動したとき、抜け止め部材がガイドレールの挿入部に直接接触することによるこのガイドレールの損傷を防止することができるようになる。
【0013】
このように、本発明に係るシャッター装置によると、従来と比較して、ガイドレールの耐久性をより向上させることができるようになる。
【0014】
ここで、受け部材を配置する箇所は、ガイドレールの挿入部の奥部であって、シャッターカーテンが幅方向に移動したときに抜け止め部材が接触すると想定される領域である。したがって、受け部材を配置する箇所は、抜け止め部材の形状、構造により異なるものである。
【0015】
なお、シャッターカーテンが全開位置(全閉位置)から全閉位置(全開位置)まで閉じ移動(開き移動)するときには、このシャッターカーテンの幅方向の端部は、ガイドレールの挿入部の上端部から下端部までの間を通過することになる。このため、受け部材を配置する箇所のうち、上下方向の箇所は、ガイドレールの挿入部の奥部であって、ガイドレールの上下方向全長又は略全長に渡る箇所であることが好ましい。
【0016】
本発明に係るシャッター装置において、受け部材の形式、構造は任意なものでよい。
【0017】
上述したように、受け部材を配置する箇所のうち、上下方向の箇所は、ガイドレールの挿入部の奥部であって、ガイドレールの上下方向全長又は略全長に渡る箇所であることが好ましいため、受け部材は、上下方向への長さを有するものとなっていることが好ましい。
【0018】
受け部材を上下方向への長さを有するものとした場合において、受け部材は、上下方向への長さを有する1個の受け部材(言い換えると、1個の長尺(長寸法)の受け部材)で構成されるものでもよく、上下方向への長さを有する複数個の受け部材(言い換えると、複数個の短尺(短寸法)の受け部材)で構成されるものでもよい。
【0019】
本発明に係るシャッター装置において、受け部材のガイドレールの挿入部の奥部への配置方法(言い換えると、取付方法)は、任意なものでよい。
【0020】
例えば、受け部材は、ガイドレールの挿入部の奥部に溶着により取り付けるようにしてもよく、ガイドレールの挿入部の奥部に接着により取り付けるようにしてもよい。
【0021】
また、ガイドレールの挿入部の奥部に、受け部材が挿入配置される溝部を上下方向に形成し、この溝部に受け部材を挿入配置するようにしてもよい。この場合において、溝部は、ガイドレールの上下方向全長又は略全長に渡るものでもよく、なくてもよい。
【0022】
本発明に係るシャッター装置において、シャッターカーテンが幅方向(左右方向)のうちの一方の側に移動し、シャッターカーテンの幅方向の両端部のうちの前記一方の側の端部に配置されている抜け止め部材が、前記一方の側に配置されているガイドレールの挿入部の奥部に配置されている受け部材に当接したときは、シャッターカーテンの幅方向の両端部のうちの他方の側の端部に配置されている抜け止め部材は、他方の側に配置されているガイドレールの挿入部における奥部とは幅方向の反対側の部分に接触しないようにすることが好ましい。
【0023】
これによると、シャッターカーテンが幅方向のうちの一方の側に移動し、シャッターカーテンの幅方向の両端部のうちの前記一方の側の端部に配置されている抜け止め部材が、前記一方の側に配置されているガイドレールの挿入部の奥部に配置されている受け部材に当接したときは、シャッターカーテンの幅方向の両端部のうちの他方の側の端部に配置されている抜け止め部材は、他方の側に配置されているガイドレールの挿入部における奥部とは幅方向の反対側の部分、すなわち、受け部材が配置されていない部分(抜け止め部材よりも軟質の材料で形成されている部分)に接触しないため、他方の側に配置されているガイドレールが損傷することを防止することができるようになる。
【0024】
本発明に係るシャッター装置において、抜け止め部材よりも軟質の材料で形成されているガイドレールは、例えば、押出成形品であってもよく、引抜成形品であってもよく、板金の曲げ加工品等であってもよい。
【0025】
ガイドレールを押出成形品とする場合において、このガイドレールは、例えば、アルミ又はアルミ合金の押出成形品であってもよく、樹脂の押出成形品であってもよい。
【0026】
なお、本発明に係るシャッター装置では、ガイドレールは、抜け止め部材よりも軟質の材料で形成されているため、ガイドレールの軽量化を図ることができるようになっている。
【0027】
なお、本発明に係るシャッター装置において、抜け止め部材よりも軟質の材料で形成されているガイドレールには、中空部を設けるようにしてもよく、しなくてもよい。
【0028】
前者の場合によると、ガイドレールのさらなる軽量化を図ることができるようになる。なお、中空部の形状、構造は任意なものでよく、また、中空部の個数も、1個でもよく、複数個でもよい。
【0029】
本発明に係るシャッター装置において、ガイドレールは、このガイドレールよりも硬質の材料で形成されている枠部材で覆われるようにしてもよく、しなくてもよい。
【0030】
前者の場合によると、抜け止め部材よりも軟質の材料で形成されているガイドレールが火災の発生による熱で変形することを防止することができる。
【0031】
なお、ガイドレールを覆う枠部材は、板材の折り曲げにより形成されていてもよく、いなくてもよい。
【0032】
なお、本発明において、抜け止め部材のシャッターカーテンの幅方向の端部への固定方法は、例えば、溶接でもよく、ビス等の止着具による止着でもよい。
【0033】
以上の本発明に係るシャッター装置において、シャッターカーテンの形式、構造は任意なものでよい。言い換えると、シャッターカーテンは、任意のカーテン構成部材で構成されているものでよい。
【0034】
ここで、カーテン構成部材とは、例えば、幅方向が長さ方向となっている複数のスラットをシャッターカーテンの上下方向(言い換えると、移動方向)に連設することにより形成されるものでもよく、シートにより形成されるものでもよく、パネルにより形成されるものでもよく、ネットにより形成されるでもよく、リンクで連結された複数のパイプ等の棒状部材により形成されるものでもよく、これらのカーテン構成部材のうち、少なくとも2種類のカーテン構成部材を組み合せたもの等でもよい。
【0035】
シャッターカーテンの少なくとも一部が、上述したように、幅方向が長さ方向となっている複数のスラットをシャッターカーテンの上下方向に連設することにより形成されるものである場合は、それぞれのスラットは、隣接する他のスラットに対して幅方向にスライド自在となっていてもよく、いなくてもよい。なお、この場合において、抜け止め部材は、複数のスラットのうち、少なくとも一部のスラットの幅方向の両端部に配置されるものでもよく、なくてもよい。
【0036】
本発明に係るシャッター装置のガイドレールの製造方法は、上下方向に開閉移動自在となっているシャッターカーテンの幅方向両側(言い換えると、左右両側)に配置され、内部に前記シャッターカーテンの前記幅方向の端部がスライド自在に挿入される挿入部を有していて、前記シャッターカーテンの開閉移動を案内するためのシャッター装置のガイドレールの製造方法であって、前記シャッターカーテンの前記幅方向の両端部には、この両端部が前記ガイドレールから抜け出すことを防止するための抜け止め部材が配置されており、前記抜け止め部材よりも軟質の材料で形成された前記ガイドレールをアルミ又はアルミ合金の押出成形により形成する第1工程と、前記挿入部の奥部に配置され、前記シャッターカーテンが前記幅方向に移動したときに前記シャッターカーテンの前記抜け止め部材を受ける受け部材を、前記抜け止め部材よりも硬質の材料で形成する第2工程と、前記受け部材を前記挿入部の前記奥部に配置する第3工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0037】
ここで、第1工程と第2工程は同時に実施されるものでもよく、第1工程が第2工程よりも先に実施されるものでもよく、第2工程が第1工程よりも先に実施されるものでもよい。すなわち、第1工程と第2工程が実施される順序は任意なものでよい。一方、第3工程は、第1工程と第2工程が実施された後に実施される。
【0038】
なお、第1工程は、抜け止め部材よりも軟質の材料で形成されたガイドレールを樹脂の押出成形により形成するものとなっていてもよい。
【0039】
また、本発明に係るシャッター装置のガイドレールの製造方法において、受け部材は、上下方向への長さを有するものとなっており、第3工程では、受け部材を、ガイドレールの挿入部の奥部に上下方向に形成された溝部に挿入配置する作業が実施されるようにしてもよい。
【0040】
なお、第3工程では、受け部材を、ガイドレールの挿入部の奥部に溶着する作業が実施されるようにしてもよく、受け部材を、ガイドレールの挿入部の奥部に接着する作業が実施されるようにしてもよい。
【0041】
また、本発明に係るシャッター装置のガイドレールの製造方法において、ガイドレールを覆うための枠部材を、ガイドレールよりも硬質の材料で形成された板材の折り曲げにより形成する第4工程を含むようにしてもよい。
【0042】
なお、この第4工程は、第1工程が実施された後であれば、第2工程と第3工程が実施された後に実施されるものでもよく、第2工程と第3工程が実施される前に実施されるものでもよい。
【0043】
以上説明した本発明は、任意なシャッター装置に適用することができ、例えば、ビルや工場・倉庫等の出入口を開閉するための出入口用シャッター装置(言い換えると、管理用シャッター装置)や、管理及び防災併用シャッター装置、車庫用シャッター装置などの各種のシャッター装置に適用できる。
【発明の効果】
【0044】
本発明によると、シャッター装置のガイドレールの耐久性をより向上させることができるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るシャッター装置を示す屋外側から見た全体正面図である。
図2図2は、図1のS2−S2線断面図である。
図3図3は、図1のS3−S3線断面図である。
図4図4は、抜け止め部材及びこの抜け止め部材が配置されているシャッターカーテンのスラットの幅方向の両端部のうち一方の側の端部の正面図である。
図5図5は、図4で示されているスラットの側面図である。
図6図6は、図1で示されているシャッターカーテンが幅方向のうちの一方の側である右側に移動したときにおけるこのシャッターカーテンの幅方向のうちの一方の側の端部である右端部とガイドレールの断面図を示す図2と同様の図である。
図7図7は、図1で示されているシャッターカーテンが幅方向のうちの一方の側である右側に移動したときにおけるこのシャッターカーテンの幅方向のうちの他方の側の端部である左端部とガイドレールの断面図を示す図3と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係るシャッター装置は、操作装置の操作により、建物等の構造物であるビルや工場・倉庫等の出入口等の開口部を開閉するためにシャッターカーテンが開閉移動及び停止する管理用シャッター装置である。
【0047】
図1には、本発明の一実施形態に係るシャッター装置を室外側(言い換えると屋外側)から見た全体正面図が示されている。このシャッター装置は、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1を有し、このシャッターカーテン1は、建物である倉庫の開口部となっている出入口2を開閉する。この図1は、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。
【0048】
出入口2の上側の壁等の建物躯体には、シャッターケース(言い換えると、シャッターボックス)5が取り付けられ、このシャッターケース5の内部において、水平に収納配置されている巻取軸6が、左右一対のブラケット7に回転自在に支持されており、この巻取軸6に、シャッターケース5の下面5Aに形成されているスリットを通過してシャッターケース5の内部に達しているシャッターカーテン1の上端部が連結されているため、正逆回転自在となっている巻取軸6によるシャッターカーテン1の巻き取りと繰り出しが行われる。
【0049】
本実施形態では、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、上端が巻取軸6に結合されているカーテン本体1Aと、このカーテン本体1Aの下端部に設けられたエンド部材となっている座板1Bとを有したものとなっている。本実施形態のカーテン本体1Aは、シャッターカーテン1の幅方向が長さ方向となっている多数のスラットを、シャッターカーテン1の上下方向に連設することによって形成されている。
【0050】
シャッターカーテン1のカーテン本体1Aの幅方向の両端部である左右方向の両端部は、出入口2の左右両側の壁等の建物躯体3に取り付けられているガイドレール4の内部に挿入され、これらのガイドレール4に案内されてシャッターカーテン1は上下に開閉移動する。
【0051】
シャッターカーテン1が全開位置に達したとき、すなわち、シャッターカーテン1の全開時には、座板1Bはシャッターケース5の下面5Aに達し、シャッターカーテン1が全閉位置に達したとき、すなわち、シャッターカーテン1の全閉時には、座板1Bは出入口2の床2Aに達する。
【0052】
なお、本実施形態では、シャッターカーテン1の最下端部を構成している座板1Bについてのシャッターカーテン1の幅方向の長さは、左右一対のガイドレール4の内幅寸法と同じ又はこの内幅寸法よりも小さくなっており、このため、座板1Bの幅方向である長さ方向の両端部は、ガイドレール4の内部に挿入されない。
【0053】
また、本実施形態では、図1で示されているように、シャッターカーテン1のカーテン本体1Aの幅方向の両端部1C,1Dが左右一対のガイドレール4A,4Bから抜け出すことを防止するための具体的な形状、構造を後述する抜け止め部材15が、カーテン本体1Aを形成している多数のスラットのうちの一部のスラットの幅方向の両端部に配置されている。
【0054】
図1に示されているように、巻取軸6の一方の端部には、スプロケットホイールとローラチェーンによる駆動力伝達手段9を介して開閉機8が接続されている。巻取軸6を駆動させるための駆動装置となっているこの開閉機8は、電動モータ装置とブレーキ装置とを含んで構成されており、電動モータ装置の駆動軸の回転力は、この駆動軸に取り付けられた駆動スプロケットホイールと、巻取軸6の上記一方の端部に取り付けられた被動スプロケットホイールと、これらのスプロケットホイールの間に架け渡された無端ローラチェーンとによる駆動力伝達手段9を経て巻取軸6に伝達される。
【0055】
図1で示した左右の建物躯体3のうち、一方の建物躯体3Bには、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、停止させることとを行わせるための操作装置10が取り付けられている。この操作装置10には、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられており、これらのボタンの操作により、開閉機8の電動モータ装置の駆動力によるシャッターカーテン1の開閉移動と、開閉機8のブレーキ装置の作動によるシャッターカーテン1の開閉移動の停止が行われる。
【0056】
次に、シャッターカーテン1の開閉移動を案内するための左右一対のガイドレール4の具体的な形状、構造について、図2及び図3により説明する。
【0057】
図2は、図1のS2−S2線断面図であり、図1で示されている左右一対のガイドレール4A,4Bのうち、内部にシャッターカーテン1の幅方向の両端部のうちの一方の側の端部である右端部1Dがスライド自在に挿入される右側のガイドレール4Bの断面図である。また、図3は、図1のS3−S3線断面図であり、図1で示されている左右一対のガイドレール4A,4Bのうち、内部にシャッターカーテン1のカーテン本体1Aの幅方向の両端部のうちの他方の側の端部である左端部1Cがスライド自在に挿入される左のガイドレール4Bの断面図である。
【0058】
図2及び図3から分かるように、左右のガイドレール4A,4Bは、左右対称の形状、構造を有しているため、右側のガイドレール4Bの形状、構造について説明する。なお、本実施形態では、上下方向が長さ方向となっている左右のガイドレール4A,4Bは、アルミ又はアルミ合金の押出成形品又は引抜成形品を所定の長さ寸法で切断したものであり、このため、左右のガイドレール4A,4Bは、これらのガイドレール4A,4Bの長さ方向と直交する箇所における断面形状(すなわち、水平断面形状)が同一形状となってこれらのガイドレール4A,4Bの長さ方向に連続したものとなっており、この断面形状は、ガイドレール4A,4Bの長さ方向の一方の端部(言い換えると、上端部)から他方の端部(言い換えると、下端部)まで連続している。
【0059】
図2で示されているように、右側のガイドレール4Bは、シャッターカーテン1のカーテン本体1Aの右端部1D、言い換えると、カーテン本体1Aを形成するスラット11の右端部1Dがスライド自在に挿入される挿入部20が形成されている。すなわち、右側のガイドレール4Bは、内部にシャッターカーテン1のカーテン本体1Aの右端部1Dがスライド自在に挿入される挿入部20を有している。
【0060】
この挿入部20は、出入口2側に形成されている第1空間部21と、この第1空間部21よりも躯体3B側である奥側に形成され、第1空間部21よりもシャッターカーテン1の厚さ方向である前後方向の寸法が大きくなっている第2空間部22とからなっている。言い換えると、本実施形態では、出入口2側が入口となっている(言い換えると、出入口2側が開口している)ガイドレール4Bの内部には、第1空間部21と、この第1空間部21よりも奥側に形成され、第1空間部21よりもシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法が大きくなっている第2空間部22とが形成されている。
【0061】
また、図2で示されているように、ガイドレール4Bのうち、挿入部20を除いた部分には、複数(本実施形態では、6個)の中空部4Cが設けられている(言い換えると、形成されている)。
【0062】
前述したように、ガイドレール4Bは、アルミ又はアルミ合金の押出成形品又は引抜成形品を所定の長さ寸法で切断したものであるため、これらの中空部4Cは、ガイドレール4Bの長さ方向と直交する箇所における断面形状が同一形状となってこのガイドレール4Bの長さ方向に連続したものとなっており、この断面形状は、ガイドレール4Bの長さ方向の一方の端部から他方の端部まで連続している。
【0063】
なお、これらの中空部4Cの断面形状は、任意なものでよく、図2で示されている断面形状に限定されるものではない。
【0064】
図2で示されているように、ガイドレール4Bは、このガイドレール4Bよりも硬質の材料であるスチール(鋼)やステンレスで形成されている板材の折り曲げにより形成された枠部材(言い換えると、覆い部材)40で覆われている。
【0065】
この枠部材40は、5個の枠部材41〜45で構成されている。第1枠部材41は、ガイドレール4Bの室外空間S1側の面部である正面部25を覆う平面部41Aと、この平面部41Aにおける躯体3B側の先端部から室内空間S2側へ垂直に屈曲し、右側面部27の一部を覆う屈曲部41Bとからなっており、第2枠部材42は、ガイドレール4Bの室内空間S2側の面部である背面部26を覆う平面部42Aと、この平面部42Aにおける躯体3B側の先端部から室外空間S1側へ垂直に屈曲し、右側面部27及び第1枠部材41の屈曲部41Bを覆う屈曲部42Bとからなっている。また、第3枠部材43は、ガイドレール4Bの挿入部20における室外空間S1側の開口縁部(開口端部)28を覆う平面部43Aと、この平面部43Aにおける室外空間S1側の先端部から躯体3B側へ垂直に屈曲した屈曲部43Bと、この屈曲部43Bにおける躯体3B側の先端部から室外空間S1側へ垂直に屈曲した屈曲部43Cとからなっており、第4枠部材44は、ガイドレール4Bの挿入部20における室内空間S2側の開口縁部(開口端部)29を覆う平面部44Aと、この平面部44Aにおける室外空間S1側の先端部から躯体3B側へ垂直に屈曲した屈曲部44Bと、平面部44Aにおける室内空間S2側の先端部から躯体3B側へ垂直に屈曲した屈曲部44Cと、この屈曲部44Cにおける躯体3B側の先端部から室内空間S2側へ垂直に屈曲した屈曲部44Dとからなっている。さらに、第5枠部材45は、第3枠部材43の平面部43Aを覆う平面部45Aと、この平面部45Aにおける室外空間S1側の先端部から躯体3B側へ垂直に屈曲した屈曲部45Bと、平面部45Aにおける室内空間S2側の先端部から躯体3B側へ垂直に屈曲した屈曲部45Cとからなっている。
【0066】
なお、ガイドレール4Bの挿入部20における室外空間S1側の開口縁部28は、ガイドレール4Bの出入口2側の面部である2個の左側面部であって、室外空間S1側の面部である第1左側面部28となっており、ガイドレール4Bの挿入部20における室内空間S2側の開口縁部29は、ガイドレール4Bの出入口2側の面部である2個の左側面部であって、室内空間S2側の面部である第2左側面部29となっている。
【0067】
なお、ガイドレール4Bの正面部25を覆っている第1枠部材41の正面部41Aと、躯体3Bとの間には、ガイドレール4Bを躯体3Bに固定するための2個のブラケット61,62が配置されている。これらのブラケット61,62のうち、ガイドレール4B側に配置されているブラケット61は、水平部61Aと、この水平部61Aにおけるガイドレール4B側の端部から立ち上がる立上り部(言い換えると、ガイドレール4B側の端部から垂直上方に延出する垂直延出部)61Bとからなっており、この立上り部61Bは、第1枠部材41の平面部41Aとともに、ガイドレール4Bの正面部25にビス66(図3参照)等の止着具で止着されている。一方、躯体3B側に配置されているブラケット62は、水平部62Aと、この水平部62Aにおける躯体3B側の端部から立ち上がる立上り部(言い換えると、躯体3B側の端部から垂直上方に延出する垂直延出部)62Bとからなっており、この立上り部62Bは、躯体3Bにアンカー部材65(図3参照)で固定されている。そして、ガイドレール4B側のブラケット61の水平部61Aと、躯体3B側のブラケット62の水平部62A同士は、溶着や接着等で結合されている。
【0068】
一方、第2枠部材42は、この第2枠部材42の屈曲部42Bが、第1枠部材41の屈曲部41Bとともに、ガイドレール4Bの右側面部27にビス66(図3参照)等の止着具で止着されることにより、ガイドレール4Bの右側面部27に固定されるようになっている。
【0069】
また、第3枠部材43は、この第3枠部材43の屈曲部43Bが、第1枠部材41の平面部41Aとともに、ガイドレール4Bの正面部25にビス68(図3参照)等の止着具で止着されることにより、ガイドレール4Bの正面部25に固定されるようになっており、第4枠部材44は、この第4枠部材44の屈曲部44Cが、第2枠部材42の平面部42Aとともに、ガイドレール4Bの背面部26にビス68(図3参照)等の止着具で止着されることにより、ガイドレール4Bの背面部26に固定されるようになっている。
【0070】
さらに、第5枠部材45は、この第5枠部材45の平面部45Aが、遮煙性能を有する舌片部71Aを有する気密部材(言い換えると、遮煙部材)71のベース部71Bと、第3枠部材43の平面部43Aとともに、ガイドレール4の挿入部20における室外空間S1側の開口縁部(言い換えると、ガイドレール4の第1左側面部)28に、ビス70(図3参照)等の止着具で止着されることにより、ガイドレール4Bの開口縁部28に固定されるようになっている。これにより、気密部材71のベース部71Bは、第5枠部材45の平面部45Aと、第3枠部材43の平面部43Aとに挟持された状態となっている。
【0071】
なお、室外空間S1側には、ガイドレール4Bと覆い部材40の室外空間S1側の部分を覆うための第1カバー部材51が配置されており、室内空間S2側には、ガイドレール4と覆い部材40の室内空間S2側の部分を覆うための第2カバー部材52が配置されている。
【0072】
第1カバー部材51は、板材の折り曲げにより形成された第1枠部材53と第2枠部材54とからなっている。第1枠部材53は、ガイドレール4Bを覆う覆い部材40を構成する第3枠部材43の屈曲部43Cに止着される平面部53Aと、この平面部53Aにおける室外空間S1側の先端部から出入口2側へ垂直に屈曲した屈曲部53Bと、この屈曲部53Bにおける出入口2側の先端部から室外空間S1側へ垂直に屈曲した屈曲部53Cと、この屈曲部53Cにおける室外空間S1側の先端部から躯体3B側へ垂直に屈曲した屈曲部53Dと、この屈曲部53Dにおける躯体3B側の先端部から室内空間S2側へ垂直に屈曲した屈曲部53Eと、この屈曲部53Eにおける室内空間S2側の先端部から躯体3B側へ垂直に屈曲した屈曲部53Fとからなっている。第2枠部材54は、第1枠部材53の屈曲部53Fに止着される平面部54Aと、この平面部54Aにおける躯体3側の先端部から室内空間S2側へ垂直に屈曲した屈曲部54Bとからなっている。なお、第1枠部材53は、この第1枠部材53の平面部53Aが、ガイドレール4Bを覆う覆い部材40を構成する第3枠部材43の屈曲部43Cに、ビス67(図3参照)等の止着具で止着されることにより、第3枠部材43の屈曲部43Cに固定されるようになっている。また、第1枠部材53は、この第1枠部材53の屈曲部53Fが、第2枠部材54の平面部54Aに、ビス67(図3参照)等の止着具で止着されることにより、第2枠部材54の平面部54Aに固定されるようになっている。
【0073】
なお、カバー部材51を構成する第1枠部材53の平面部53Aを、覆い部材40を構成する第3枠部材43の屈曲部43Cに固定するためのビス67(図3参照)等の止着具は、図2で示されているように、第1枠部材53の平面部53Aの外側に充填されたコーキング材72で隠されるようになっている。
【0074】
第2カバー部材52は、第1枠部材55と、第2枠部材56とからなっている。第1枠部材55は、ガイドレール4Bを覆う覆い部材40を構成する第4枠部材44の屈曲部44Dに止着される平面部55Aと、この平面部55Aにおける室内空間S2側の先端部から出入口2側へ垂直に屈曲した屈曲部55Bと、この屈曲部55Bにおける出入口2側の先端部から室内空間S2側へ垂直に屈曲した屈曲部55Cと、この屈曲部55Cにおける室内空間S2側の先端部から躯体3B側へ垂直に屈曲した屈曲部55Dと、この屈曲部55Dにおける躯体3B側の先端部から室外空間S1側へ垂直に屈曲した屈曲部55Eと、この屈曲部55Eにおける室外空間S1側の先端部から躯体3B側へ垂直に屈曲した屈曲部55Fとからなっている。なお、第1枠部材55は、この第1枠部材55の平面部55Aが、ガイドレール4Bを覆う覆い部材40を構成する第4枠部材44の屈曲部44Dに、ビス67(図3参照)等の止着具で止着されることにより、第4枠部材44の屈曲部44Dに固定されるようになっている。また、第1枠部材55は、この第1枠部材55の屈曲部55Fが、第2枠部材56の平面部56Aに、ビス67(図3参照)等の止着具で止着されることにより、第2枠部材56の平面部56Aに固定されるようになっている。第2枠部材56は、第1枠部材55の屈曲部55Fに止着される平面部56Aと、この平面部56Aにおける躯体3側の先端部から室外空間S1側へ垂直に屈曲した屈曲部56Bとからなっている。
【0075】
なお、カバー部材52を構成する第1枠部材55の平面部55Aを、覆い部材40を構成する第4枠部材44の屈曲部44Dに固定するためのビス67(図3参照)等の止着具は、図2で示されているように、第1枠部材55の平面部55Aの外側に充填されたコーキング材72で隠されるようになっている。
【0076】
図2で示されているように、シャッターカーテン1のカーテン本体1Aの幅方向の両端部1C,1Dのうちの一方の側の端部である右端部1Dには、抜け止め部材(耐風フック部材)15が配置されている。この抜け止め部材15は、ガイドレール4Bよりも硬質の材料で形成されている。言い換えると、ガイドレール4Bは、抜け止め部材15よりも軟質の材料で形成されている。
【0077】
図4は、図2で示されている抜け止め部材15及びこの抜け止め部材15が配置されているシャッターカーテン1のカーテン本体1Aを形成するスラット11の幅方向の両端部1C,1Dのうち一方の側の端部1Dの正面図である。また、図5は、図4で示されているスラット11の側面図である。
【0078】
図2図4及び図5から分かるように、抜け止め部材15は、スラット11における上のカール部12と下のカール部13の間の平坦な部分にビス69等の止着具で止着されるベース部16と、このベース部16における躯体3B側の先端部から室内外空間S1側に向かって斜めに屈曲した屈曲部17とを有しており、この屈曲部17は先細り形状となっている。なお、抜け止め部材15のベース部16は、スラット11における上のカール部12と下のカール部13の間の平坦な部分に、溶接により固定されるようにしてもよい。
【0079】
本実施形態では、シャッターカーテン1が風圧等でこのシャッターカーテン1の厚さ方向に湾曲変形したときに、スラット11に配置されている抜け止め部材15の屈曲部17がガイドレール4Bの挿入部20に形成された図2に示す段部4Dに係止することにより、シャッターカーテン1の幅方向の両端部1C,1Dがガイドレール4A,4Bから抜け出すことが防止されるようになっている。
【0080】
図2で示されているように、ガイドレール4Bの挿入部20の第2空間部22の奥部23、言い換えると、ガイドレール4Bの挿入部20に形成された段部4Dとはシャッターカーテン1の幅方向の反対側の部分23には、溝部24が形成されている。
【0081】
この溝部24は、2個のL字状のフック部24A,24Bをシャッターカーテン1の厚さ方向に互いに対向させて形成されたものとなっており、このため、溝部24は、2個のL字状のフック部24A,24Bの間が、抜け止め部材15側に開口したものとなっている。また、溝部24の2個のL字状のフック部24A,24Bの間の寸法、すなわち、溝部24の開口幅の寸法は、溝部24の内部の幅寸法(図2では、シャッターカーテン1の厚さ方向の寸法)よりも小さくなっている。
【0082】
なお、溝部24は、ガイドレール4Bの長さ方向と直交する箇所における断面形状(すなわち、水平断面形状)が同一形状となってこれらのガイドレール4Bの長さ方向に連続したものとなっており、この断面形状は、ガイドレール4Bの長さ方向の一方の端部(言い換えると、上端部)から他方の端部(言い換えると、下端部)まで連続している。
【0083】
また、図2に示されているように、溝部24には、上下方向への長さを有するフラットバー32が挿入配置されている。このフラットバー32は、ガイドレール4Bよりも硬質の材料であるスチール(鋼)やステンレスで形成されており、ガイドレール4Bの長さ方向の一方の端部(言い換えると、上端部)から他方の端部(言い換えると、下端部)までの長さ寸法を有している。
【0084】
このように、本実施形態では、フラットバー32は、上下方向への長さを有するものとなっており、ガイドレール4Bの挿入部20の奥部23には、フラットバー32が挿入配置されている溝部24が上下方向に形成されている。
【0085】
なお、フラットバー32の幅寸法(図2では、シャッターカーテン1の厚さ方向の寸法)は、溝部24の内部の幅寸法と同じ又はこれよりも小さくなっているとともに、溝部24の2個のL字状のフック部24A,24Bの間の寸法、すなわち、溝部24の開口幅の寸法よりも大きくなっている。
【0086】
ところで、シャッターカーテン1の開閉移動中において、このシャッターカーテン1が風圧や何らかの原因で幅方向である左右方向に移動する場合があり、シャッターカーテン1が左右方向に大きく移動した場合には、シャッターカーテン1の幅方向の両端部1C,1Dに配置されている抜け止め部材15の屈曲部17の先端部が、ガイドレール4A,4Bの挿入部20の奥部23に当接するおそれがある。これにより、挿入部20が損傷し、ガイドレール4A,4Bの耐久性が低下するおそれがある。
【0087】
図6は、図1で示されているシャッターカーテン1が幅方向のうちの一方の側である右側に大きく移動したときにおけるこのシャッターカーテン1の幅方向のうちの一方の側の端部である右端部1Dとガイドレール4Bの断面図を示す図2と同様の図である。また、図7は、図1で示されているシャッターカーテン1が幅方向のうちの一方の側である右側に大きく移動したときにおけるこのシャッターカーテン1の幅方向のうちの他方の側の端部である左端部1Cとガイドレール4Aの断面図を示す図3と同様の図である。すなわち、図6及び図7は、図2及び図3で示されているシャッターカーテン1が、開閉移動中に左右方向のうちの一方の側である右側へ大きく移動したときを示す図である。
【0088】
図6に示されているように、シャッターカーテン1が開閉移動中に幅方向である左右方向のうちの一方の側である右側の移動限位置まで大きく移動したときには、シャッターカーテン1のカーテン本体1Aを形成しているスラット11の右端部1Dに配置されている抜け止め部材15の屈曲部17の先端部は、ガイドレール4Bの挿入部20の奥部23に形成された溝部24に挿入配置されているフラットバー32に当接するようになっている。
【0089】
すなわち、本実施形態では、シャッターカーテン1が開閉移動中に左右方向のうちの一方の側である右側の移動限位置まで大きく移動したときには、抜け止め部材15の屈曲部17の先端部は、抜け止め部材15よりも軟質の材料で形成されているガイドレール4Bの挿入部20の奥部23に当接することはなく、ガイドレール4Bの挿入部20の奥部23に形成された溝部24に挿入配置されていて、ガイドレール4Bよりも硬質の材料で形成されたフラットバー32に当接するようになっている。このため、フラットバー32は、シャッターカーテン1が幅方向に移動したときに抜け止め部材15を受ける受け部材となっている。
【0090】
なお、図7から分かるように、シャッターカーテン1が図6に示すように右側の移動限位置まで大きく移動し、スラット11の右端部1Dに配置されている抜け止め部材15の屈曲部17の先端部が、フラットバー32に当接したときは、図7で示されているスラット11の左端部1Cに配置されている抜け止め部材15の屈曲部17は、ガイドレール4Aの挿入部20における奥部23とはシャッターカーテン1の幅方向の反対側の部分である段部4Dに接触しないようになっている。
【0091】
このように、本実施形態では、シャッターカーテン1がこのシャッターカーテン1の幅方向のうちの一方の側に移動し、シャッターカーテン1の幅方向の両端部のうちの前記一方の側の端部に配置されている抜け止め部材15が、前記一方の側に配置されているガイドレール4の挿入部20の奥部23に配置されている受け部材であるフラットバー32に当接したときは、シャッターカーテン1の幅方向の両端部のうちの他方の側の端部に配置されている抜け止め部材15は、前記他方の側に配置されているガイドレール4の挿入部20における奥部23とはシャッターカーテン1の幅方向の反対側の部分に接触しないようになっている。
【0092】
このように、本実施形態によると、シャッターカーテン1が幅方向に移動しても、抜け止め部材15がガイドレール4に直接当接してこのガイドレール4が損傷することを防止できるようになる。
【0093】
すなわち、本実施形態によると、従来と比較して、ガイドレール1の耐久性をより向上させることができるようになる。
【0094】
なお、シャッターカーテン1が図6及び図7で示された状態となることは、開閉移動中のシャッターカーテン1が風圧や何らかの原因で幅方向に移動した場合に限られない。
【0095】
前述したように、本実施形態では、シャッターカーテン1のカーテン本体1Aは、シャッターカーテン1の幅方向が長さ方向となっている多数のスラット11を、シャッターカーテン1の上下方向に連設することによって形成されており、それぞれのスラット11は、隣接する他のスラット11に対してシャッターカーテン1の幅方向にスライド自在となっている。
【0096】
このため、シャッターカーテン1の開閉移動が繰り返されることにより、多数のスラット11のうちの少なくとも一部のスラット11が、シャッターカーテン1の幅方向のうちの一方の側へ片寄ってしまう事象が発生し得る。
【0097】
このため、多数のスラット11のうちの少なくとも一部のスラット11がシャッターカーテン1の幅方向のうちの一方の側へ片寄っている状態のまま、シャッターカーテン1が開閉移動したときには、図7で示されているように、片寄った状態のスラット11の幅方向の端部に配置されている抜け止め部材15の屈曲部17が、ガイドレール4の挿入部20の奥部23に接触するおそれがある。
【0098】
しかし、本実施形態によると、フラットバー32の存在により、抜け止め部材15がガイドレール4に直接当接してこのガイドレール4が損傷することを防止できるようになる。
【0099】
このように、本実施形態によると、多数のスラット11のうちの少なくとも一部のスラット11がシャッターカーテン1の幅方向のうちの一方の側へ片寄っている状態のまま、シャッターカーテン1が開閉移動しても、抜け止め部材15がガイドレール4に直接当接してこのガイドレール4が損傷することを防止できるようになる。
【0100】
なお、本実施形態では、アルミ又はアルミ合金の押出成形品又は引抜成形品であるガイドレール4には、複数の中空部4Cが設けられている(言い換えると、形成されている)ため、ガイドレール4の軽量化が図れるとともに、使用するアルミ又はアルミ合金の量をそれだけ減らすことができるため、ガイドレール4の製造コストの削減化を図ることができるようになる。
【0101】
また、本実施形態では、ガイドレール4は、このガイドレール4よりも硬質の材料で形成されている枠部材40で覆われている。
【0102】
このため、本実施形態によると、アルミ又はアルミ合金の押出成形品又は引抜成形品であるガイドレール4が火災の発生による熱で変形しにくくすることができる。また、ガイドレール4が火災の発生による熱により溶体化し、形状を失ったとしても、枠部材40が残り、シャッターカーテン1の全閉状態を維持することができ、本実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置として機能することを担保する。
【0103】
なお、ガイドレール4、このガイドレール4を覆う覆い部材となっている枠部材40、カバー部材51,52及び抜け止め部材15の形状、構造は、本実施形態で示されている形状、構造に限定されるものでなく、任意なものでよい。
【0104】
なお、フラットバー32を配置する箇所は、ガイドレール4の挿入部20の奥部23であって、シャッターカーテン1が幅方向に移動したときに抜け止め部材15の屈曲部17が接触(言い換えると、当接)すると想定される領域である。したがって、フラットバー32を配置する箇所は、抜け止め部材15の形状、構造により異なるものである。
【0105】
次に、ガイドレール4の製造方法の一実施形態について説明する。
【0106】
本実施形態に係るガイドレール4の製造方法は、工場において、まず、抜け止め部材15よりも軟質の材料で形成されたガイドレール4をアルミ又はアルミ合金の押出成形又は引抜成形により形成する第1工程を実施する。この第1工程と同時に、又はこの第1工程と前後して、ガイドレール4の挿入部20の奥部23に配置され、シャッターカーテン1が幅方向に移動したときにシャッターカーテン1の抜け止め部材15を受ける受け部材であるフラットバー32を、抜け止め部材15よりも硬質の材料で形成する第2工程を実施する。
【0107】
上述した第1工程及び第2工程を実施した後、第2工程で製造されたフラットバー32を、第1工程で製造されたガイドレール4の挿入部20の奥部23に上下方向に形成された溝部24に挿入配置する第3工程を実施する。
【0108】
これらの工程と同時に、又はこれらの工程と前後して、ガイドレール4を覆うための覆い部材である枠部材40を、ガイドレール4よりも硬質の材料で形成された板材の折り曲げにより形成する第4工程を実施する。
【0109】
この後、第4工程で製造された枠部材40をガイドレール4にビス等の止着具で止着する第5工程を実施する。なお、このとき、ガイドレール4に気密部材71を取り付ける作業も実施する。
【0110】
以上で、ガイドレール4の製造作業は完了する。
【0111】
本実施形態に係るガイドレール4の製造方法では、フラットバー32のガイドレール4への配置作業は、このフラットバー32を、ガイドレール4の挿入部20の奥部23に上下方向に形成された溝部24に挿入配置するだけでよいため、それだけ配置作業を容易に行うことができる。言い換えると、配置作業の簡単化を図ることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、ビルや工場・倉庫等の出入口を開閉するための出入口用シャッター装置(言い換えると、管理用シャッター装置)や、管理及び防災併用シャッター装置、車庫用シャッター装置などの各種のシャッター装置に利用できる。
【符号の説明】
【0113】
1 シャッターカーテン
1C,1D シャッターカーテンの幅方向の端部
11 スラット
4,4A,4B ガイドレール
4C 中空部
4D 挿入部の奥部とはシャッターカーテンの幅方向の反対側の部分
15 抜け止め部材
20 挿入部
23 挿入部の奥部
24 溝部
32 受け部材であるフラットバー
40 ガイドレールを覆う枠部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7