特許第6792485号(P6792485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6792485モルタル用配合物,モルタル及びモルタルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792485
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】モルタル用配合物,モルタル及びモルタルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/10 20060101AFI20201116BHJP
   B22D 41/54 20060101ALI20201116BHJP
   C04B 35/66 20060101ALI20201116BHJP
   C04B 35/634 20060101ALI20201116BHJP
   C04B 14/20 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   B22D11/10 320F
   B22D41/54
   C04B35/66
   C04B35/634 280
   C04B14/20
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-35087(P2017-35087)
(22)【出願日】2017年2月27日
(65)【公開番号】特開2018-140406(P2018-140406A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170716
【氏名又は名称】黒崎播磨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大内 龍哉
(72)【発明者】
【氏名】福永 新一
【審査官】 中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−161682(JP,A)
【文献】 特開2001−019565(JP,A)
【文献】 特開2000−141000(JP,A)
【文献】 特開平03−199150(JP,A)
【文献】 特開2016−026948(JP,A)
【文献】 特開2009−227538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/10
B22D 41/54
C04B 2/00−32/00
C04B 40/00−40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶鋼排出経路を上下方向に分割して接合する目地部を1以上備えた溶鋼排出用ノズル構造体の内孔面に,耐火物から成る内孔スリーブが前記目地部の少なくとも1を上下方向に跨ぐように設置されている溶鋼排出用のノズル構造体における,前記ノズル構造体内孔面と前記内孔スリーブ外周面との間の目地部,及び,前記内孔スリーブが跨いでいる前記目地部の,いずれか又は両方に使用するモルタル用配合物であって,
粒度が0.25mm以上1mm以下の未膨張のバーミキュライトを10質量%以上20質量%以下,フリット粉を1質量%以上5質量%以下含み,残部がその他耐火原料を主体とするモルタル用配合物。
【請求項2】
前記耐火原料は,Al,SiO,ZrO,MgO,CaO,Crの群から選択する1又は複数の成分を含む請求項1に記載のモルタル用配合物。
【請求項3】
前記耐火原料は,コランダム,ムライト,シリマナイト族,粘土質鉱物,アルミナ−マグネシア系又はクロミア−マグネシア系スピネル,ペリクレース,カルシア,カルシウムアルミネート,ジルコニア,ジルコン,無定形シリカ,クリストバライト,トリジマイト,クオーツの群から選択する1又は複数からなる,請求項2に記載のモルタル用配合物。
【請求項4】
増粘剤,界面活性剤及び結合材から選択する1以上,並びに,希釈用液体を,合計かつ請求項1から請求項3のいずれかに記載のモルタル用配合物の合計100質量%に対する外掛けで30質量%以下と,前記モルタル用配合物100質量%とからなる,溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタル。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のモルタル用配合物100質量%と,前記モルタル用配合物に対する外掛けで22質量%以上45質量%以下のエチレン酢ビ系エマルジョンと,前記モルタル用配合物に対する外掛けで1質量%以上5質量%以下の可塑剤とからなり,シート状又は中空の截頭円錐状若しくは円筒状の成形体である,溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタル。
【請求項6】
前記エチレン酢ビ系エマルジョンの樹脂濃度は40質量%以上60質量%以下である,請求項5に記載の溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタル。
【請求項7】
前記可塑剤はテキサノールモノイソブチレート又はテキサノールジイソブチレートである,請求項5又は請求項6に記載の溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタル。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれかに記載の溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタルの製造方法であって,
未膨張のバーミキュライトを10質量%以上20質量%以下,フリット粉を1質量%以上5質量%以下含み,残部がその他耐火原料からなる配合物100質量%に,エチレン酢ビ系エマルジョンを外掛けで22質量%以上45質量%以下,可塑剤を外掛けで1質量%以上5質量%以下加えて混練し,当該混練物を加圧成形し成形した素地を60℃以上100℃以下で乾燥する,溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタルの製造方法。
【請求項9】
前記エチレン酢ビ系エマルジョンの樹脂濃度は40質量%以上60質量%以下である,請求項8に記載の溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタルの製造方法。
【請求項10】
前記可塑剤はテキサノールモノイソブチレート又はテキサノールジイソブチレートである,請求項8又は請求項9に記載の溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,溶鋼排出経路を上下方向に分割して接合する溶鋼排出用のノズル構造体のノズル間の目地部(溶鋼排出方向としての鉛直方向に対する横方向の目地部),又は前記ノズル構造体の内孔側に1以上の目地部を上下方向に跨ぐように設置されている耐火物製のスリーブとその外部のノズルとの間の目地部(溶鋼排出方向としての鉛直方向にほぼ平行な縦方向の目地部),の一部又は全部を充填するためのモルタル用配合物,モルタル及びモルタルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばタンディッシュから溶鋼を排出するための,その溶鋼導入口から鋳型までの溶鋼排出経路としてのノズル構造体は,その溶鋼排出方向(上下方向)に複数に分割した耐火物部材から構成されることがある。これは溶鋼排出における流量制御をこのノズル構造体の一部で動的に行うため,又は溶鋼排出経路の部位ごとに異なる損傷等に対し耐用性のバランスを最適化する,若しくは部分的な交換を可能にするためである。
【0003】
このような複数の耐火物部材を組み合わせたノズル構造体では,その耐火物部材間には必然的に目地部が存在することになる。これらの目地部では,ノズル構造体の一部のノズル(耐火物部材)を交換等のために分離する場合,その解体性を確保する必要がある。例えば特許文献1には,現場における離型処理等の作業を不要とし,耐火性粉末,繊維,可撓性付与バインダーからなり,室温で可撓性を有する耐火パッキング本体の表面に,焼き付き防止効果を高める目的で膨張性耐火粒子を付着させたことを特徴とする耐火パッキング材が開示されている。このようにノズル間の目地材には一般的にノズルに強固に密着しないような成分等の調整がなされている。
【0004】
前記の特許文献1のパッキング材のような目地材の場合,目地材等の特性の違いによる程度の差はあるものの,目地材とノズル間の密着性が不十分であり,また目地材自体の組織が粗な場合はさらに,これら目地部からノズル構造体の内孔に外気を引き込みやすい(図4参照)。外気を引き込んだ際は内孔へのアルミナ介在物等の付着ないしは閉塞,酸化物の増加,その他鋼の品質低下等を招来する。
【0005】
このような外気引き込みの対策として本出願人は先に,溶鋼排出経路を上下方向に分割して接合する目地部を一又は複数箇所に備えた溶鋼排出用のノズル構造体であって,当該ノズル構造体の内孔面に,耐火物から成る内孔スリーブが前記目地部の少なくとも一を上下方向に跨ぐように設置されているノズル構造体(以下,「内孔スリーブを備えたノズル構造体」という。)の発明を特願2016−11775号として出願した(以下,この出願を「先願」という。)。
この内孔スリーブを備えたノズル構造体により,目地部からの外気の引き込みは抑制される,すなわちシール性は高まる。
しかし,個別のノズル内面の構造や損傷状態によっては,この先願の内孔スリーブ外周面とノズル本体との間が十分に密着されない場合もあり得る。なお,先願の構造,用途では,一部のノズルの交換や再使用は想定していないので,離型性は不要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−286995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は,このような目地材を介して連結した複数のノズルの内孔にさらにスリーブを備えたノズル構造体における,前記内孔スリーブ外周面とノズル本体内孔面との間(第一次的な対象)や,一部のノズルの交換や再使用をしない,すなわち離型性を不要とするノズル間(第二次的な対象)のシール性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は,次の1〜3の目地材としてのモルタル用配合物,次の4〜5のモルタル及び6〜7のモルタルの製造方法である。
1.溶鋼排出経路を上下方向に分割して接合する目地部を1以上備えた溶鋼排出用ノズル構造体の内孔面に,耐火物から成る内孔スリーブが前記目地部の少なくとも1を上下方向に跨ぐように設置されている溶鋼排出用のノズル構造体における,前記ノズル構造体内孔面と前記内孔スリーブ外周面との間の目地部,及び,前記内孔スリーブが跨いでいる前記目地部の,いずれか又は両方に使用するモルタル用配合物であって,
粒度が0.25mm以上1mm以下の未膨張のバーミキュライトを10質量%以上20質量%以下,フリット粉を1質量%以上5質量%以下含み,残部がその他耐火原料を主体とするモルタル用配合物。
2.前記耐火原料は,Al,SiO,ZrO,MgO,CaO,Crの群から選択する1又は複数の成分を含む前記1に記載のモルタル用配合物。
3.前記耐火原料は,コランダム,ムライト,シリマナイト族,粘土質鉱物,アルミナ−マグネシア系又はクロミア−マグネシア系スピネル,ペリクレース,カルシア,カルシウムアルミネート,ジルコニア,ジルコン,無定形シリカ,クリストバライト,トリジマイト,クオーツの群から選択する1又は複数からなる,前記2に記載のモルタル用配合物。
4.増粘剤,界面活性剤及び結合材から選択する1以上,並びに,希釈用液体を,合計かつ請求項1から請求項3のいずれかに記載のモルタル用配合物の合計100質量%に対する外掛けで30質量%以下と,前記モルタル用配合物100質量%とからなる,溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタル。
5.前記1から前記3のいずれかに記載のモルタル用配合物100質量%と,前記モルタル用配合物に対する外掛けで22質量%以上45質量%以下のエチレン酢ビ系エマルジョンと,前記モルタル用配合物に対する外掛けで1質量%以上5質量%以下の可塑剤とからなり,シート状又は中空の截頭円錐状若しくは円筒状の成形体である,溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタル。
6.前記エチレン酢ビ系エマルジョンの樹脂濃度は40質量%以上60質量%以下である,前記5に記載の溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタル。
7.前記可塑剤はテキサノールモノイソブチレート又はテキサノールジイソブチレートである,前記5又は前記6に記載の溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタル。
8.前記5から前記7のいずれかに記載の溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタルの製造方法であって,
未膨張のバーミキュライトを10質量%以上20質量%以下,フリット粉を1質量%以上5質量%以下含み,残部がその他耐火原料からなる配合物100質量%に,エチレン酢ビ系エマルジョンを外掛けで22質量%以上45質量%以下,可塑剤を外掛けで1質量%以上5質量%以下加えて混練し,当該混練物を加圧成形し成形した素地を60℃以上100℃以下で乾燥する,溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタルの製造方法。
9.前記エチレン酢ビ系エマルジョンの樹脂濃度は40質量%以上60質量%以下である,前記8に記載の溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタルの製造方法。
10.前記可塑剤はテキサノールモノイソブチレート又はテキサノールジイソブチレートである,前記8又は前記9に記載の溶鋼排出用のノズル構造体の目地部用モルタルの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のモルタル用配合物を含むモルタルにより,800℃以上の温度域において空間充填性と接着性を得ることができ,シール性を高める,すなわち溶鋼通過経路としての内孔への外気の引き込みや漏鋼を抑制ないしは防止することができる。
特に,溶鋼通過経路に複数ノズルを連結し,かつそれらの少なくとも目地を跨ぐ(覆う)ようにそれらノズルの内孔にスリーブを設置する前記第一次的な対象のような,目地空間の上下端部等の狭い面積で溶鋼に接触することはあるものの,当該モルタルを流失させる程度に大きな流速や複雑な渦流等に曝されることがない場所に使用される場合に,さらに接着性及びシール性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一次的な対象としてのノズル構造体の一例のイメージ図で,(a)は上ノズル,上プレート,中プレート,下プレート,下ノズル及び浸漬ノズルから構成される例,(b)は上ノズル及び浸漬ノズルから構成される例である。
図2】本発明の第一次的な対象としてのノズル構造体において,溶鋼排出経路を上下方向に分割して接合する目地部と,上下方向複数に分割した内孔スリーブの目地部とが一致していない例を示すイメージ図である。
図3】右側断面は,図2に示すノズル構造体において,内孔スリーブ外周面とノズル内孔面との間の目地空間の一部に本発明のモルタルを充填した例,左側断面は,図2に示すノズル構造体において,内孔スリーブ外周面とノズル内孔面との間の目地空間の全部に本発明のモルタルを充填し,さらに,上下方向複数に分割したノズル間の接合部である目地の一部にも本発明のモルタルを充填した例を示すイメージ図である。
図4】従来の上ノズル,3枚構成のスライディングノズルプレート,下ノズル及び浸漬ノズルから構成された,目地部を備えたノズル構造体の例と,目地部から外気を引き込む場合のイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のモルタル用配合物(以下,単に「配合物」ともいう。)を含むモルタル(以下,単に「モルタル」ともいう。)は,不定形としての泥状のモルタル又は事前の成形体のいずれの形態としても使用することができる。
例えば前記第一次的な対象の場合に,内孔スリーブをノズル内孔に設置する際に,これらいずれか又は両方の面に泥状のモルタル塗付する等により,これら面間の空間を充填することができる。
このような一般的な接着・充填方法による使用方法の他,予めシート状又は中空の截頭円錐状若しくは円筒状に成形して,これら成形体を内孔スリーブの外周に貼付して,そのモルタルを貼付した内孔スリーブをノズル内孔に設置する,等の方法を採ることができる。
ノズル間の目地(溶鋼通過方向に対し垂直又はゼロ度以上の角度を為す場合を含む)に設置する際も同様に,不定形としての泥状のモルタル塗付又は成形体の貼付のいずれをも採ることができる。
【0012】
図面を参照して説明すると,図1は本発明の第一次的な対象としてのノズル構造体の一例のイメージ図で,(a)は上ノズル1,上プレート2a,中プレート2b,下プレート2c,下ノズル3及び浸漬ノズル4から構成される例,(b)は上ノズル1及び浸漬ノズル4から構成される例である。図2は本発明の第一次的な対象としてのノズル構造体において,溶鋼排出経路を上下方向に分割して接合する目地部B1,B2と,上下方向複数に分割した内孔スリーブ6の目地部A1とが一致していない例を示すイメージ図である。このように図1及び図2のノズル構造体では溶鋼通過経路の方向に複数段のノズルが,溶鋼排出経路を上下方向に分割して接合されており,その内孔5にはこれらノズルの接合部としての目地を跨ぐように内孔スリーブ6が設置されている。この内孔スリーブ6の外周面とノズル内孔面との間に,本発明のモルタルを充填する空間8が存在する。このような空間8等に本発明のモルタルを充填することができる。例えば図3の右側断面は,図2に示すノズル構造体において,内孔スリーブ6の外周面とノズル内孔面との間の空間8の一部に本発明のモルタル9を充填した例,図3の左側断面は,内孔スリーブ6の外周面とノズル内孔面との間の空間8の全部に本発明のモルタル9を充填し,さらに,上下方向複数に分割したノズル間の接合部である目地の一部にも本発明のモルタル9を充填した例を示す。なお,ノズル構造体外部からの外気(ガス)の引き込みを効果的に抑制するためには、内孔スリーブ6の目地部A1とノズル構造体の目地部B1,B2との上下方向の間隔(長さ)Lは,経験上,内孔スリーブ6の厚さ以上であることが好ましい。
【0013】
以下,本発明の配合物,モルタル及びモルタルの製造方法の詳細を説明する。
【0014】
本発明の配合物は,膨張により空間充填性を備える。すなわち,本発明の配合物は,一般的なノズル内孔の予熱温度であって,またノズルの溶鋼と接触する面から外側の部位の鋳造中の温度でもある約800℃の温度及び溶鋼鋳造中の温度である約1500〜1550℃程度の温度領域で膨張する特性を備える。この膨張性を付与するために,本発明の配合物には未膨張バーミキュライトを10質量%以上20質量%以下含む。
【0015】
未膨張バーミキュライトはSiO,MgO,Alを主成分とする鉱物で,800℃以上の温度領域において結晶層内に含まれる水分が瞬間的に水蒸気となって層間剥離を生じることで膨張し,その体積が10数倍にもなる。この膨張により,当該配合物を含むモルタルが目地空間の全体に行き渡り,ほぼ完全な充填状態を得ることができる。例えば前記第一次的な対象に関しては,ノズルの内孔に内孔スリーブをセットする工程を採る必要があるが,特に事前に成形したいわゆる定形モルタルとして当該目地に設置する場合は,内孔スリーブ設置後にも空間が残る可能性が高くなる。
内孔スリーブとノズル間の空間を完全に充填するためには,(定形モルタル厚さ+内孔スリーブをノズルにセットするための作業上必要なクリアランス)/定形モルタル厚さの比以上の割合の膨張性がモルタルには必要となる。例えば,前記のクリアランスが片側約2mm程度,モルタル厚さを約3mm程度とすると,この割合は約1.7以上,すなわちこの空間を充填するためにモルタルは約70%以上の膨張が必要となる。
このような空間充填性を得るほか,モルタルの組織を緻密化するためにも,モルタルには膨張性を備えることが好ましい。
【0016】
この膨張性を付与するためのバーミキュライトの含有量が10質量%未満であると熱膨張が不充分で,モルタルの組織の緻密性を十分に高められず,また空間を完全に充填ができない場合も生じる。バーミキュライトの含有量が20質量%を超えると,残部の耐火原料の種類にもよるが,モルタルとしての耐熱性が過度に低下する傾向がある。
【0017】
未膨張バーミキュライトの粒度は0.25mm以上1mm以下程度であることが好ましい。これは一般に流通し,入手が容易なものの粒度構成でもある。バーミキュライトの粒度が0.25mm未満の場合はモルタルとしての膨張が不足しやすい傾向となる。1mmを超えると,モルタル組織の中で膨張する部分が不均一な分散状態になり易くなってモルタル組織内での膨張が不均一な傾向となるので,モルタル組織が不均一になりやすく,部分的な破壊等をも生じ易くなる。
【0018】
次に接着性及び密着性について述べる。
本発明のモルタル内には,当該モルタルと内孔スリーブ及びノズル本体内孔面とを接着させるために,フリット粉を1質量%以上5質量%以下含む。このフリット粉の軟化により,さらに密着性を高める,すなわち外気のノズル内孔への引き込み等をもさらに抑制することができる。また,フリット粉は約800℃以上の温度域で溶融,ガラス化を生じて,接着機能を発現する。
【0019】
フリット粉は,一般的に市販されているアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類金属酸化物を含みAl,SiO,ZrO等の成分を含むことができる。また,例えば,SiOを約40〜50質量%,Bを約20〜30質量%,NaOを約20〜30質量%含有する硼珪酸ソーダ/ガラス組成のフリット粉末,SiOを約20〜25質量%,Bを約5〜10質量%,PbOを約65〜70質量%含有する硼珪酸鉛ガラス組成のフリット粉末,Alを約20〜25質量%,NaOを約10〜15質量%,KOを約10〜15質量%,PbOを約35〜40質量%含有する非珪酸塩酸化物ガラス組成のフリット粉末,SiOを約65〜70質量%,Alを約15〜20質量%,LiOを約12〜15質量%含有するアルミノ珪酸塩ガラス組成のフリット粉末等,融点が800℃以下のフリット原料等も使用することができる。
【0020】
フリット粉は粒度が0.2mm以下であることが好ましい。これは一般に流通し,入手が容易なものの粒度構成でもある。0.2mmを超える場合は,フリットを主とする部分が集中的に低融化し,モルタル組織が不均一になって,接着程度の強弱,空隙の生成等にバラツキが大きくなりやすい。
フリット粉の含有量は1質量%未満では接着力に劣り,5質量%を超えると液相が増大する傾向となり,モルタルとしての耐熱性が低下する傾向となる。
【0021】
これらバーミキュライト,フリット粉以外の残部には,その他耐火原料を主体として含む。
この残部の耐火原料の粒度は,目地材として使用するので,モルタルを使用する個別の場所の目地厚さ以下とする。さらに,塗付作業性の最適化,狭い隙間部分への充填性を高める,緻密性を高める,組織,膨張特性等の組織内での物性の均一化等のために,一般的な煉瓦やノズル用のモルタルの粒度でもある,0.5mm以下であることが好ましい。なお,モルタルの塗付作業性,成形時の成形作業性及び緻密性等の向上,調整のため,残部のその他耐火原料の粒度構成において0.2mm以下を増量する等,適宜任意の割合で含むことができ,全量0.2mm以下とすることもできる。
【0022】
この耐火原料は,Al,SiO,ZrO,MgO,CaO,Crの群から選択する1又は複数の化学成分を有するものを使用することができる。
これらの鉱物組成としては,コランダム,ムライト,シリマナイト族,粘土質鉱物,アルミナ−マグネシア系若しくはクロミア−マグネシア系スピネル,ペリクレース,カルシア,カルシウムアルミネート,ジルコニア,ジルコン,無定形シリカ,クリストバライト,トリジマイト,クオーツの群から選択する1又は複数を使用することができる。
粘土質鉱物については,可塑性を付与するために木節粘土や蛙目粘土,ボールクレー等の熱処理を経ていない状態のものを一部又はその全部に使用することができる。また,耐火骨材として熱処理後のシャモット等も使用することができる。
残部には,前記のAl,SiO,ZrO,MgO,CaO,Crの群から選択する1又は複数の化学成分を有するもの以外に,強度向上,耐摩耗性,耐食性,耐酸化性,亀裂抑制等の目的で耐火物に一般的に使用される,アルミニウム,アルミニウム合金,シリコン,マグネシウム等の金属,炭化珪素,炭化硼素,窒化硼素等の共有結合性の強い化合物,無機繊維,シリコン樹脂等の一又は複数を任意に,補助的に含有することもできる。これら含有量は,モルタル用配合物中に合量で概ね5質量%程度以下であれば,本発明の課題を解決する効果に影響はない。
【0023】
本発明のモルタルは,目地空間の上下端部等の狭い面積で溶鋼に接触することはあるものの,当該モルタルを流失させる程度に大きな溶鋼の流速や複雑な渦流等に曝されることがない場所に好適に使用される。そのため,使用時の熱間においてノズル間の接触部分の隙間をモルタル自体が液化して流失する程度の低粘性状態にならない限り,液相が生成し軟化しても問題はない。
また前記第一次的な対象(例えば図1)の場合には,ノズル間の目地部を覆う領域に本発明のモルタルが存在していれば,長時間の操業等で当該モルタルが軟化し下方向に圧縮され又は移動して,内孔スリーブとノズル内孔面間の上部の空間に当該モルタルが存在しない部分が生じても,シール性を確保することができる。
【0024】
すなわち,使用時の熱間においてこのようなノズル間の接触部分の隙間を流出しない程度の粘性を維持することができる程度の組成になるように,残部の構成を選択すればよい。この残部は,コランダム,ムライト,シリマナイト族,ジルコン又はアルミナ−マグネシア系のスピネルが,長時間の使用時においても軟化し難く,かつ比較的低コストであるので,好ましい。
【0025】
前述の配合物を泥状のモルタルとして使用するためには,耐火モルタルに一般的に使用されている増粘剤,界面活性剤及び結合材から選択する1以上,並びに希釈用液体を,モルタルを塗付する作業性を最適にする程度,すなわち前述の配合物100質量%に対する外掛けで合計30質量%以下加えて,混練して泥状にすればよい。この泥状のモルタルを対象のノズルや内孔スリーブの目地に接する面に塗付する等により設置することができる。
【0026】
増粘剤とは,例えばデキストリン,水溶性繊維その他の単なる増粘効果をもたらすものが挙げられる。界面活性剤とは,例えば減水又は減液特性を得るための粘土に対する解膠剤を含む分散剤,泥状物の垂れや流動性を抑制するための多価金属イオン系等の凝集剤が挙げられる。結合材とは,例えば乾燥後や高温加熱時の強度付与若しくは向上機能を付与する,無機質若しくは有機質の樹脂,ゲル化して硬化体を形成する珪酸塩等,又はデキストリン,セルロース類等のいわゆる糊剤等が挙げられる。
これらの一又は複数を加えた配合物に,希釈用液体として,例えば水,グリコール,ポリビニルアルコール等の有機質溶剤・溶媒等を使用することができる。
【0027】
事前に成形体とする場合は,保形機能をも兼ねる成膜剤としてエチレン酢ビ系エマルジョン,及び可塑剤を使用することができる。
具体的には,未膨張のバーミキュライト原料を10質量%以上20質量%以下,フリット粉を1質量%以上5質量%以下含み,残部がその他耐火原料からなる配合物100質量%に,エチレン酢ビ系エマルジョンを外掛けで22質量%以上45質量%以下,可塑剤を外掛けで1質量%以上5質量%以下,好ましくは2質量%以下加えて混練し,当該混練物を加圧成形した素地を60℃以上100℃以下で乾燥することで,事前成形体である本発明の定形モルタルが得られる。
【0028】
エチレン酢ビ系エマルジョンの樹脂濃度は40質量%以上60質量%以下であることが,成膜性及び成形性すなわち成形作業能率を高めるために,好ましい。樹脂濃度が40質量%未満であると,可塑性が不十分となる場合があり,60質量%を超えると爆裂を起こす場合がある。
また,エチレン酢ビ系エマルジョンの粘度は,25℃において100cps以上500cps以下が好ましい。粘度が100cps未満であれば混練物に可塑性が不足し,成形時に目地切れして成形が困難になることがある。一方,粘度が500cpsを超えると粘性が高すぎて良好に混練することが困難になることがある。さらに,エチレン酢ビ系エマルジョンのpHは,4以上8以下であることが好ましい。pHが4より低いと強酸性のため作業時の取扱いに注意が必要となり,8より高いアルカリ性になると耐火原料との反応により混練物の経時変化(硬化現象)が懸念される。したがって安定領域であるpHは4以上8以下のものが好ましい。
【0029】
エチレン酢ビ系エマルジョンの添加量は前述の配合物100質量%に対して外掛けで22質量%以上45質量%以下とする。22質量%より少ないと混練物を得ることができず,45質量%より多いと,混練物は得られるものの保形性が不足して成形性が低下し,また搬送,設置等の成形体としての取扱いにも困難が生じる。22質量%以上45質量%以下であれば可塑性及び保形性のある良好な混練物が得られる。
【0030】
エチレン酢ビ系エマルジョンは,酢酸ビニルモノマーに10〜30質量%のエチレンモノマーを混和し高圧下で乳化重合させたエチレンと酢酸ビニルとの共重合体エマルジョンであり,より具体的には,例えば,アニオン系やノニオン系の界面活性剤を乳化剤として,酢酸ビニルモノマーに10〜30質量%のエチレンモノマーを混和し高圧下で乳化重合させた共重合体エマルジョンである。このエチレン酢ビ系エマルジョンは,乾燥により水分が除去されると熱安定に優れた膜を生成することで,成形体に柔軟性を付与することができ,また低温(800℃未満)での熱間シール性を付与することができる。
【0031】
可塑剤は,可撓性を付与するために使用するもので,フタル酸系以外のものを使用することが好ましい。フタル酸系の可塑剤は安全面,環境面での問題があるためである。
その中でもブチル系のテキサノールモノイソブチレート又はテキサノールジイソブチレート(以下,単に「テキサノール」という。)が,エチレン酢ビ系エマルジョンとの相溶性の点から好ましい。また,テキサノールは,発火点が390℃と高い上,PRTR法やVOC規制に抵触せず,環境ホルモン物質の疑いもない。このため環境に配慮した定形目地材としての成形体を提供することができる。
【0032】
可塑剤の添加量は,前述の配合物100質量%に対して外掛けで1質量%以上5質量%以下,好ましくは2質量%以下とする。1質量%未満では可塑性が得られず,5質量%を超えると過剰な可塑剤が目地材中に残留し時間と共に変質するため,成形後の乾燥や使用されるまでの間に成形体に亀裂が発生し,シール性が乏しくなり易い。可塑剤の添加量は,外掛けで1〜2質量%程度が好ましい。
【0033】
混練には,耐火物の混練に一般的に使用されるミキサー,例えばブレード形のスパイラルミキサーやプラネタリーミキサーやクッキングミキサー,アイリッヒミキサー等を使用することができる。混練においては,配合物の粒子を破壊して各原料の粒度や形態を大きく破壊しない程度であれば,加圧してもよい。
【0034】
成形は,耐火物の成形に一般的に使用される例えば一軸油圧成形機等を使用することができる。成形圧力は製品の形状,圧着構造や強さに応じた密度等,個別の操業ごとの具備条件に応じて任意に設定すればよい。
【0035】
成形後の乾燥温度を60℃以上100℃以下とする理由は,乾燥後のエチレン酢ビ系エマルジョンの成膜による成形体の保形性と柔軟性を付与するためである。60℃未満では,この成膜が不充分なため保形性が十分に発現しておらず,その結果ハンドリング時に変形又は一部損傷が発生する虞がある。また100℃以上では完全に水分が蒸発してしまうため強固な成膜となり成形体が硬化する反面柔軟性に劣り,設置作業性が低下したり設置後の精度が低下することとなる。そのため成形後の乾燥温度を60℃以上100℃以下とする。
【0036】
その乾燥は電熱乾燥炉による直熱加熱式熱風乾燥炉を使用することができる。乾燥装置は操作方式から回分式(バッチ式)と連続式に,加熱方式からは直接と間接に,熱源からは熱風乾燥,熱風と湿潤体直接通電併用, 電熱又はラジアントチューブによる赤外線乾燥,マイクロ波乾燥などに分類でき,いずれも使用することができる。入手の容易性,操作の容易性等の観点からは,回分式の電熱乾燥炉(箱型や棚段塔型)が好ましい。
【実施例】
【0037】
塗付用泥状物としての形態のモルタルは,構成,施工が単純・簡素であることから,いわゆる成形性,保形性,可撓性又は柔軟性,安定性すなわち長期の経時変化が小さいこと等の定形モルタルの具備条件が不要であって,成形体と同様・同程度の充填性,膨張性等の目地の構造体として必要な特性をより容易に得ることができる。
そこで,実施例A〜Cに,塗付用泥状物としての形態より複雑で特性に影響が生じやすい事前成形を行った定形モルタルについて,諸特性を確認した実施例を示す。
実施例Dに,塗付用泥状物としての形態のモルタルについて,諸特性を確認した実施例を示す。
さらに実施例Eに,実形状・構造のノズルと内孔スリーブを使用して,本発明のモルタルを設置して予熱及び溶融金属を注入した実験結果を示す。
【0038】
[実施例A]
実施例Aは,未膨張のバーミキュライト量の影響を調査した結果を示す。
試料は,表1に記載の配合物の構成で,前述の製造方法により得た。
未膨張のバーミキュライトは0.25mm〜1.0mm,フリット粉は0.2mm以下の,SiOを約40〜50質量%,Bを約20〜30質量%,NaOを約20〜30質量%程度の化学組成,その他耐火原料としては200μm以下の焼結アルミナ(Al純度≧95質量%)と粘土(非加熱,Al:25質量%〜30質量%,SiO:50質量%〜60質量%)を使用した。
エチレン酢ビ系エマルジョンとしては,樹脂濃度58質量%,粘度200cps,pH5のものを使用した。また,テキサノールとしては,2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレートであるテキサノールモノイソブチレートを使用した。
評価は,混練物の成形性,常温での可撓性,800℃及び1650℃(共に1時間保持)での膨脹充填性(膨張状態と充填状態及び接着性),目地材としての使用可否としての総合評価にて行った。
ここで1650℃の温度条件を選択したのは,溶鋼鋳造中の温度に長時間曝される熱付加条件を短時間で確認するために,温度を高めたためである(熱付加=温度×時間)。
また,本発明のモルタル用配合物が溶鋼鋳造中の温度よりも低温度で溶融する成分を多く含んでいることによる使用時の変化を確認するためでもある。
混練物の成形性は,加圧成形後の乾燥によって所望の形状が得られたか否かで評価を行った。
常温の可撓性は,JIS−K6301加硫ゴム物理試験方法記載のスプリング式硬さ試験機を使用して評価した。測定した数値が小さいほど柔らかく,可撓性があることを示す。本発明においては,設置対象部位の内孔スリーブ径として最小と思われるφ80mm程度に変形可能な程度(変形前の形状を板状とする)を目標として調整した。
800℃での膨脹・充填・接着性(膨張状態と充填状態及び接着性,以下「膨張充填接着性」という。)は厚み4mmの定形モルタルを準備し,8mm隙間の並型れんが間にセットして800℃熱処理を実施し,熱処理後の前記隙間への充填性と接着性を目視確認にて評価した。結果は◎(優),○(良),×(不可)によって示し,◎,○を合格とした。すなわち,◎は隙間が無く,れんがからの取り外し時のれんがへの接着が有る場合,○は隙間が殆どないが,ごく僅かな一部に隙間があるか,又はれんがからの取り外し時のれんがへの接着が殆どあるが,ごく僅かな一部に無い場合,×は殆どに隙間があるか,れんがからの取り外し時のれんがへの接着が殆ど無い場合,である。
1650℃での膨脹・充填・接着性(膨張状態と充填状態及び接着性)においても前記800℃と同様の方法,評価方法とした。
総合評価は,定形目地材として使用可能である場合を◎(優),○(良),定形目地材としての使用には難があるものの,使用自体は可能又は不定形モルタルのように使用することは可能である場合を△(可),いずれの使用方法であっても目地材としては使用不可の場合を×(不可)として示した。
なお,これら試料の作成方法,評価方法・基準は,実施例B〜Dにおいても同じである。
【0039】
実施例Aの結果を表1に結果を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
比較例1は焼結アルミナ85質量%,バーミキュライト5質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)35質量%,テキサノール(可塑剤)2質量%を外掛けで添加して,卓上ミキサーを用いて混練し,厚み4mmのシート状に加圧成形して約80℃で乾燥させ,水分を蒸発させることによって定形目地材を作製し,評価を行った
評価結果は表1に示すとおり,混練物の成形性は良好で乾燥後,常温で可撓性はあるもののバーミキュライトの添加量が少ないため800℃,1650℃共に膨脹充填性に劣り,不適格と判定した。
【0042】
実施例1では焼結アルミナ80質量%,バーミキュライト10質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)の添加量を外掛けで30質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,比較例1同様,定形目地材を作製し評価を行った。評価結果は表1に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。
【0043】
実施例2では焼結アルミナ75質量%,バーミキュライト15質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)35質量%,テキサノール(可塑剤)2質量%を外掛けで添加して,比較例1同様,定形目地材を作製し評価を行った。評価結果は表1に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。中でも1650℃での膨張充填接着性は,バーミキュライト量が増えた分,実施例1よりも良好であった。
【0044】
実施例3では焼結アルミナ70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)35質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,比較例1同様,定形目地材を作製し評価を行った。評価結果は表1に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。中でも1650℃での充填状態は,バーミキュライト量がさらに増えた分,実施例2よりも良好であった。
【0045】
比較例2では焼結アルミナ65質量%,バーミキュライト25質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)40質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,比較例1同様,定形目地材を作製し評価を行った。評価結果は表1に示すとおり,800℃での膨張充填接着性は良好だったものの,1650℃では バーミキュライト量がさらに増えた分,定形目地材自身の耐火度が低下して液相過多となり1650℃の膨張充填接着性は劣る結果であった。
【0046】
比較例3では焼結アルミナ65質量%,バーミキュライト25質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)40質量%,テキサノール(可塑剤)2質量%を外掛けで添加して,比較例1同様,定形目地材を作製し評価を行った。評価結果は表1に示すとおり比較例2よりテキサノール(可塑剤)が増えた分,常温の可撓性は大きくなった(可撓性の数値小→可撓性 大)。そして800℃での膨張充填接着性は良好だったものの,1650℃では比較例2と同様にバーミキュライト量がさらに増えた分,定形目地材自身の耐火度が低下して液相過多となり1650℃の充填状態は劣る結果であった。
【0047】
[実施例B]
実施例Bは,フリット粉末量の影響を調査した結果である。表2に結果を示す。
【0048】
【表2】
【0049】
比較例4は焼結アルミナ84.5質量%,バーミキュライト10質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末0.5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)35質量%,テキサノール(可塑剤)2質量%を外掛けで添加して,卓上ミキサーを用いて混練し,厚み4mmのシート状に加圧成形して約80℃で乾燥させ,水分を蒸発させることによって定形目地材を作製し,評価を行った
結果は表2に示すとおり,混練物の成形性は良好で乾燥後,常温で可撓性あるもののフリット粉末の添加量が少ないため800℃,1650℃共に膨脹充填後,れんがとの密着性に劣り不適格と判定した。
【0050】
実施例4では焼結アルミナ84質量%,バーミキュライト10質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末1質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)の添加量を外掛けで30質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,比較例4同様,定形目地材を作製し評価を行った。評価結果は表2に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。
【0051】
実施例5では焼結アルミナ80質量%,バーミキュライト15質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末3質量%,粘土5質量%を副原料として配合した耐火原料配合B 100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)の添加量を外掛けで35質量%,テキサノール(可塑剤)2質量%を外掛けで添加して,比較例4同様,定形目地材を作製し評価を行った。評価結果は表2に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。
【0052】
実施例6では焼結アルミナ80質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)の添加量を外掛けで35質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,比較例4同様,混練を実施した。評価結果は表2に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。
【0053】
比較例5では焼結アルミナ80質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末6質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)40質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,比較例4同様,定形目地材を作製し評価を行った。評価結果は表2に示すとおり800℃での膨張充填接着性は良好だったものの,1650℃ではフリット量がさらに増えた分,定形目地材自身の耐火度が低下して液相過多となり1650℃の膨張充填接着性は劣る結果であった。また一部に収縮傾向も観られた。
【0054】
[実施例C]
実施例Cは,耐火原料種の影響を調査した結果である。表3に結果を示す。
【0055】
【表3】
【0056】
実施例7は電融スピネル84質量%,バーミキュライト10質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末1質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)30質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,卓上ミキサーを用いて混練し,厚み4mmのシート状に加圧成形して約80℃で乾燥させ,水分を蒸発させることによって定形目地材を作製し,評価を行った
評価結果は表3に示すとおり,混練物の成形性は良好で乾燥後,常温で可撓性ある定形目地材が得られている。そして800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。
【0057】
実施例8では電融スピネル70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)の添加量を外掛けで35質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,実施例7同様,定形目地材を作製し評価を行った。混練物の成形性は良好で乾燥後,常温で可撓性ある定形目地材が得られている。評価結果は表3に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。中でも1650℃での膨張充填接着性は,バーミキュライト量が増えた分,実施例7よりも良好であった。
【0058】
実施例9ではムライト70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)42質量%,テキサノール(可塑剤)2質量%を外掛けで添加して,実施例7同様,定形目地材を作製し評価を行った。混練物の成形性は良好で乾燥後,常温で可撓性ある定形目地材が得られている。評価結果は表3に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。中でも1650℃での膨張充填接着性は,バーミキュライト量が増えた分,実施例7よりも良好であった。
【0059】
実施例10ではシリマナイト族の一種であるアンダーリュサイト70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)39質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,実施例7同様,定形目地材を作製し評価を行った。混練物の成形性は良好で乾燥後,常温で可撓性ある定形目地材が得られている。評価結果は表3に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。中でも1650℃での膨張充填接着性は,バーミキュライト量が増えた分,実施例7よりも良好であった。
【0060】
実施例11ではペリクレース70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)35質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,実施例7同様,定形目地材を作製し評価を行った。混練物の成形性は良好で乾燥後,常温で可撓性ある定形目地材が得られている。評価結果は表3に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。中でも1650℃での膨張充填接着性は,バーミキュライト量が増えた分,実施例7よりも良好であった。
【0061】
実施例12ではジルコニア(未安定)70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)22質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,実施例7同様,定形目地材を作製し評価を行った。混練物の成形性は良好で乾燥後,常温で可撓性ある定形目地材が得られている。評価結果は表3に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。中でも1650℃での膨張充填接着性は,バーミキュライト量が増えた分,実施例7よりも良好であった。
【0062】
実施例13ではジルコン70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した耐火原料配合物F100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)25質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,比較例1同様,定形目地材を作製し評価を行った。混練物の成形性は良好で乾燥後,常温で可撓性ある定形目地材が得られている。評価結果は表3に示す通り800℃での膨張充填,1650℃での充填状態,共に良好であった。中でも1650℃での充填状態は,バーミキュライト量がさらに増えた分,実施例7よりも良好であった。
【0063】
実施例14ではクオーツ70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)45質量%,テキサノール(可塑剤)2質量%を外掛けで添加して,実施例7同様,定形目地材を作製し評価を行った。混練物の成形性は良好で乾燥後,常温で可撓性ある定形目地材が得られている。評価結果は表3に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性,共に良好であった。中でも1650℃での膨張充填接着性は,バーミキュライト量が増えた分,実施例7よりも良好であった。
【0064】
実施例15はエチレン酢ビ系エマルジョンの濃度を40質量%のものを使用した例である。電融スピネル70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)の添加量を外掛けで35質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,実施例7同様,定形目地材を作製し評価を行った。混練物の成形性は エチレン酢ビ系エマルジョン濃度40%で水分割合が60%のため軟らかであったものの良好で,乾燥後,常温で可撓性ある定形目地材が得られている。評価結果は表3に示すとおり800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性は,バーミキュライト量が増えた分,実施例7よりも良好であった。
【0065】
実施例16はエチレン酢ビ系エマルジョンの濃度を38質量%のものを使用した例である。電融スピネル70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)の添加量を外掛けで35質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,実施例7同様,定形目地材を作製し評価を行った。混練物の成形性は エチレン酢ビ系エマルジョン濃度38%で水分割合が62%のため さらに軟らかであったが エチレン酢ビ系エマルジョン濃度(樹脂濃度)が38%と低く,乾燥後の成膜機能が相対的に低く,成形体を変形させようとするとひび割れが発生した。このモルタルは熱間では膨張するのでひびの存在自体は致命的な現象ではないものの,例えば内孔スリーブの形状に合致するように変形させる場合には難がある。
【0066】
実施例17はエチレン酢ビ系エマルジョンの濃度を58質量%のものを使用した例である。電融スピネル70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)の添加量を外掛けで35質量%,テキサノール(可塑剤)6質量%を外掛けで添加して,実施例7同様,定形目地材を作製し評価を行った。混練物の成形性は可塑剤が多い分,軟らかであった。さらに乾燥後,単に置く等の成形体としての作業にはその保形性が低いことで難があったが,泥状の不定形モルタルとの中間的な施工方法としては使用可能であった。
【0067】
実施例18はエチレン酢ビ系エマルジョンの濃度を65質量%のものを使用した例である。電融スピネル70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,エチレン酢ビ系エマルジョン(結合剤)の添加量を外掛けで35質量%,テキサノール(可塑剤)1質量%を外掛けで添加して,実施例7同様,定形目地材を作製し評価を行った。混練物の成形性はエチレン酢ビ系エマルジョン濃度65%で水分割合が35%のため 硬めであった。乾燥後の定形目地材は エチレン酢ビ系エマルジョン濃度(樹脂濃度)が65%と多く,乾燥後の成膜機能過多のため,変形能が小さく,特定の成形後の形状通りの設置を行う用途では問題ないものの,その形状から一部を変形させて設置する用途には不向きであった。
【0068】
[実施例D]
実施例Dは,泥状(塗付用)モルタルを例に調査した結果である。表4に結果を示す。
【0069】
【表4】
【0070】
実施例19では電融スピネル70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,増粘剤(兼結合材)としてのデキストリンを1質量%,界面活性剤(分散剤)としてのリン酸ソーダ系を0.1質量%,界面活性剤(凝集剤)としてのリン酸アルミ系を0.05質量%,希釈用液体としての水を25質量%,それぞれ外掛けで添加して泥状(塗付用)モルタルを作製し,耐火れんが表面へのヘラ塗り(厚み4mmのシート状)により塗布作業性を確認した。その結果,表4に示すとおり塗布作業性は良好であった。その後,昇温しての800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性も良好であった。
【0071】
実施例20では電融スピネル70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,増粘剤としてのメチルセルロース系を1質量%,界面活性剤(分散剤)としてのリン酸ソーダ系を0.1質量%,界面活性剤(凝集剤)としてのリン酸アルミ系を0.05質量%,希釈用液体としての水を15質量%とエチレングリコール系を15質量%の混合液にて泥状(塗付用)モルタルを作製した。その後,耐火れんが表面へのヘラ塗り(厚み4mmのシート状)により塗布作業性を確認した。その結果,表4に示すとおり塗布作業性は良好であった。その後,昇温しての800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填も良好であった。
【0072】
実施例21では電融スピネル70質量%,バーミキュライト20質量%からなる主原料(耐火原料)に,フリット粉末5質量%,粘土5質量%を副原料として配合した配合物100質量%に対して,結合材としてのフェノール樹脂を10質量%,希釈用液体としてのエチレングリコール系を30質量%の混合液にて泥状(塗付用)モルタルを作製した。その後,耐火れんが表面へのヘラ塗り(厚み4mmのシート状)により塗布作業性を確認した。その結果,表4に示すとおり塗布作業性は良好であった。その後,昇温しての800℃での膨張充填接着性,1650℃での膨張充填接着性も良好であった。
【0073】
[実施例E]
実施例Eは,図1(b)の,ノズル内孔に内孔スリーブを設置する形態において,ノズル内孔と内孔スリーブ間に本発明の定形モルタルを設置し,800℃に加熱し,その後内孔スリーブ及びノズルの内孔に溶融金属を注入した実験結果を示す。
【0074】
ノズル内径は86mm,スリーブ外径は70mm,定形モルタルの厚さは4mm,定形モルタルの高さは50mm,定形モルタルの供試料は前記の実施例1とした。
予熱後の状態は,内孔からバナーで加熱し,内孔表面温度を800℃にて0.5時間維持した後冷却し,縦方向に切断してその断面を観察した。
溶融金属の注入実験は,前記予熱後800℃を維持した内孔部に溶融金属を上から流し込む方法とした。
溶融金属としては,モルタルの充填状態すなわち隙間の有無がより明確に現れるように溶鋼よりも粘性が低い約1600℃の溶銑を使用し,内孔スリーブの上端を超えその外部のノズル内孔部分まで溶銑を充填した。
実験後の状態は,冷却後に縦方向に切断してその断面を観察した。
【0075】
実験の結果,予熱後,溶銑注入後のいずれの試料も定形モルタルが隙間全体を充填した状態であり,モルタル組織中や隙間への溶銑の侵入は観られなかった。またノズル間の目地付近を含め,ノズル等に酸化は観られず,目地間からの外気の侵入も観られなかった。
【符号の説明】
【0076】
1 上ノズル
2a 上プレート
2b 中プレート
2c 下プレート
3 下ノズル
4 浸漬ノズル
5 内孔
5a 内孔面
6 内孔スリーブ
7 ストッパー
8 空間(目地としての空間)
9 モルタル(目地材)
図1
図2
図3
図4