(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態の電子機器について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、電子機器1は、第1本体部2(本体部)と第2本体部3(可動部)とを有する、いわゆるクラムシェル型(ノート型)のパーソナルコンピュータである。第1本体部2と第2本体部3とは、第2本体部3が第1本体部2に対して開いた状態と閉じた状態との間で、ヒンジ25回りに相対的に移動可能となっている。すなわち、第2本体部3と第1本体部2とは、互いに重ね合わされることが可能となっている。
なお、本実施形態を、ノート型PCに限らず、タブレット端末や携帯電話などの電子機器に適用してもよい。
【0011】
(方向定義)
本実施形態では、XYZ直交座標系を設定して各構成の位置関係を説明する。以下、X軸に沿う方向を左右方向Xといい、Y軸に沿う方向を前後方向Yといい、Z軸に沿う方向を上下方向Zという。また、左右方向Xにおける一方側を+X側(左側)といい、他方側を−X側(右側)という。前後方向Yにおける一方側を+Y側(後側)といい、他方側を−Y側(前側)という。上下方向における一方側を+Z側(上側)、他方側を−Z側(下側)という。
【0012】
ヒンジ25は、第2本体部3の−Z側の端部と第1本体部2の+Y側の端部を連結しており、左右方向Xに延びている。ヒンジ25により、第2本体部3は、第1本体部2に対して開状態と閉状態との間で回転移動可能となっている。なお、閉状態とは、第2本体部3と第1本体部2とが重ね合わされて、第1本体部2の表示部2b(後述)がある面を覆った状態をいう。開状態とは、第2本体部3が閉状態から所定量以上移動し、後述する表示部2bが露出した状態をいう。
なお、以下の説明では、特別な言及が無い限り、第2本体部3が上下方向Zおよび左右方向Xに延びた姿勢についての各部の位置関係を説明する。
【0013】
(第1本体部)
第1本体部2は、左右方向Xおよび前後方向Yに延びる扁平な形状の筐体を有している。筐体の内部には、マザーボード(基板)やバッテリなどが設けられている。第1本体部2は、ヒンジ25を介して、第2本体部3に対して回動可能に連結されている。なお、第1本体部2と第2本体部3とは分離可能であってもよい。
【0014】
第1本体部2には、入力部2aと、表示部2bと、検出部2cと、タッチセンサ2d(第1タッチセンサ)と、制御部2eと、が設けられている。
入力部2aは、キーボードなどである。
表示部2bは、液晶ディスプレイ(LCD: liquid crystal display)や有機EL(electro luminescence)ディスプレイなどである。表示部2bは、左右方向Xに長く、前後方向Yに短い長方形状となっている。表示部2bは、入力部2aよりも+Y側に位置している。換言すると、表示部2bは、入力部2aよりもヒンジ25に近い位置に配置されている。
【0015】
タッチセンサ2dは、表示部2bと重なる位置に配されている。タッチセンサ2dは、表示部2bを+Z側から覆っている。表示部2bとタッチセンサ2dとにより、1つのタッチパネルが構成されている。タッチセンサ2dの表面は、透明カバー2fにより覆われている(
図8(a)、(b)参照)。
タッチセンサ2dは、使用者が触れた位置を検出可能に構成されている。また、タッチセンサ2dは透明であり、透明カバー2fおよびタッチセンサ2dを通して表示部2bを視認可能となっている。
【0016】
タッチセンサ2dとしては、例えば
図2(a)、(b)に示すような、静電容量方式のセンサを用いることができる。
図2(a)、(b)では、センサは、複数の第1導体d1および複数の第2導体d2を有している。第1導体d1と第2導体d2とは絶縁されている。複数の第1導体d1は、前後方向Yに延びるとともに、左右方向Xに並べて配置されている。複数の第2導体d2は、左右方向Xに延びるとともに、前後方向Yに並べて配置されている。このように第1導体d1と第2導体d2とは、互いに直交する方向に延びており、上下方向Zから見て複数の交点を形成している。交点における静電容量は、使用者が触れた際に変化する。このため、静電容量の変化を検出することで、使用者が触れた部位を特定することができる。
【0017】
図2(a)の例では、第1導体d1および第2導体d2は直線状に形成されている。第1導体d1および第2導体d2としては、極細(例えば幅1〜10μm程度)の銅線のメッシュや、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)のタイルを用いることができる。
図2(a)の場合、例えば1つの絶縁体膜の一方の面に複数の第1導体d1を形成し、他方の面に複数の第2導体d2を形成してもよい。あるいは、第1導体d1が形成された絶縁体膜と、第2導体d2が形成された絶縁体膜と、を重ね合わせてもよい。これらの構成により、第1導体d1と第2導体d2とを絶縁しつつ、第1導体d1と第2導体d2との間で静電容量を生じさせることができる。
図2(a)の構成では、1つのタッチセンサが、複数の第1導体d1を含む電極層と、複数の第2導体d2を含む電極層と、の2つの電極層を有する。
【0018】
図2(b)の例では、第1導体d1および第2導体d2は、複数の矩形部が連結された形状を有している。第1導体d1と第2導体d2との交点において、第1導体d1の矩形部同士は、ブリッジ配線Bにより接続されている。ブリッジ配線Bと第2導体d2との間に、絶縁体Iを設けることで、第1導体d1と第2導体d2とを絶縁しつつ、第1導体d1と第2導体d2との間で静電容量を生じさせることができる。
図2(b)の構成では、1つのタッチセンサが、複数の第1導体d1および複数の第2導体d2を含む1つの電極層を有する。
【0019】
図3(a)、(b)は、
図2(a)、(b)の導体d1、d2をメッシュ状の金属細線で構成した場合の模式図である。
図3(a)、(b)に示すように、メッシュ状の金属細線は所定のピッチで繰り返し配置されている。このピッチは、均一であってもよいし、不均一であってもよい。以下、メッシュ状の金属細線のピッチをマイクロピッチPという。また、金属細線の左右方向Xに対する傾きを、メッシュ角度θという。
【0020】
図1に示す制御部2eは、検出部2cの検出結果に基づき、タッチセンサ2dおよびタッチセンサ3b(後述)を制御し、有効(ON)と無効(OFF)とを切り替える。制御部2eは、マザーボードの一部であってもよいし、マザーボードとは別の基板の一部などであってもよい。
【0021】
検出部2cは、第2本体部3の開状態および閉状態を検出する。検出部2cは、第1本体部2の−Y側の端部に配置されている。第2本体部3の+Z側の端部には、検知対象部3aが設けられている。検出部2cおよび検知対象部3aは、左右方向Xにおいて同じ位置に配置されている。このため、第2本体部3が閉状態となったときに、第1本体部2の検出部2cと第2本体部3の検知対象部3aとが互いに対向する。検出部2cとしては、ホールセンサなどの磁気センサを用いることができる。検知対象部3aとしては、磁石を用いることができる。検出部2cは、第2本体部3が開状態と閉状態との間で移動することに伴う、検知対象部3aが生じさせる磁場の変化を検出することで、第2本体部3の開状態および閉状態を検知することができる。
【0022】
なお、検出部2cが第2本体部3に設けられ、検知対象部3aが第1本体部2に設けられていてもよい。あるいは、検出部2cとして、磁気センサ以外の方式のセンサ(例えば赤外線センサなど)を用いてもよい。
【0023】
(第2本体部)
第2本体部3は、ディスプレイ6を備えている。ディスプレイ6は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどである。ディスプレイ6には、配線7が接続されている。配線7を通じて、ディスプレイ6と第1本体部2のマザーボード等とが電気的に接続されている。
【0024】
第2本体部3は透明領域Aを有している。第2本体部3を前後方向Yから見ると、配線7が接続された部分を除き、ディスプレイ6が透明領域Aに囲われる。これにより、ディスプレイ6が宙に浮いているような外観となる。なお、透明領域Aはディスプレイ6を囲っていなくてもよい。ただし、透明領域Aは、第2本体部3が閉状態となったときに、第1本体部2の表示部2bを覆う位置に設けられていることが好ましい。
【0025】
図4に示すように、第2本体部3は、第1透明板4と、透明部材10と、フレーム体20と、第2透明板5と、ディスプレイ6と、タッチセンサ3b(第2タッチセンサ)と、タッチセンサ3c(第3タッチセンサ)と、を有している。なお、第2本体部3はタッチセンサ3cを有していなくてもよい。透明領域Aは、第1透明板4、透明部材10、および第2透明板5が前後方向Yに重ねられた構造となっている。なお、タッチセンサ3bは透明領域Aの一部に配置されている。
【0026】
第1透明板4および第2透明板5は、フレーム体20、透明部材10、およびディスプレイ6を前後方向Yで挟んでいる。第1透明板4はディスプレイ6よりも−Y側に位置し、第2透明板5はディスプレイ6よりも+Y側に位置している。
第1透明板4および第2透明板5は、上下方向Zおよび左右方向Xに延びる透明な板状に形成されている。本実施形態では、第1透明板4および第2透明板5は、前後方向Yから見て長方形状に形成されている。第1透明板4および第2透明板5としては、ガラスや透明の樹脂などを用いることができる。
【0027】
フレーム体20は、金属などにより形成されている。フレーム体20は、右フレーム21と、上フレーム22と、左フレーム23と、下フレーム24と、を有している。各部21〜24により、フレーム体20は、前後方向Yから見て長方形の枠状に形成されている。右フレーム21および左フレーム23は上下方向Zに延びており、上フレーム22および下フレーム24は左右方向Xに延びている。上フレーム22は、右フレーム21および左フレーム23の+Z側端部同士を接続している。下フレーム24は、右フレーム21および左フレーム23の−Z側端部同士を接続している。
【0028】
下フレーム24の−Z側端部には、ヒンジ25が設けられている。
図5に示すように、フレーム体20には、第1凹部20aおよび第2凹部20bが形成されている。第1凹部20aは、フレーム体20の+Y側の端面から、−Y側に向けて窪んでいる。第2凹部20bは、フレーム体20の−Y側の端面から、+Y側に向けて窪んでいる。第1凹部20aおよび第2凹部20bは、フレーム体20の各部21〜24に沿って形成されている。このため、凹部20a、20bは、前後方向Yから見て長方形の枠状に形成されている。
【0029】
凹部20a、20bは、右フレーム21の+X側の端部、上フレーム22の−Z側の端部、左フレーム23の−X側の端部、および下フレーム24の+Z側の端部に形成されている。凹部20a、20bの左右方向Xの寸法は、第1透明板4および第2透明板5の左右方向Xの寸法よりも大きい。凹部20a、20bの上下方向Zの寸法は、第1透明板4および第2透明板5の上下方向Zの寸法よりも大きい。
【0030】
第1透明板4の少なくとも一部は、第1凹部20aの内側に位置している。第1透明板4は、接着剤8によって、第1凹部20aの内面に接着されている。接着剤8としては、紫外線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、両面テープなどを用いることができる。
図5の例では、第1凹部20aの+Y側を向く内面に接着剤8が設けられている。ただし接着剤8は、第1凹部20aの左右方向Xを向く内面に設けられていてもよい。
【0031】
第2透明板5の少なくとも一部は、第2凹部20bの内側に位置している。第2透明板5は、接着剤8によって、第2凹部20bの内面に接着されている。
図5の例では、第2凹部20bの−Y側を向く内面に接着剤8が設けられている。ただし接着剤8は、第2凹部20bの左右方向Xを向く内面に設けられていてもよい。
複数の接着剤8によって、第1透明板4および第2透明板5は、フレーム体20に対して接着および固定されている。本実施形態では、第1透明板4の全体が第1凹部20aの内側に位置しており、第2透明板5の全体が第2凹部20bの内側に位置している。
【0032】
ディスプレイ6は、第1透明板4に固定されている。ディスプレイ6は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどである。第1透明板4を通して、使用者は、ディスプレイ6を視認することができる。ディスプレイ6は、前後方向Yから見て長方形状に形成されている。配線7は、ディスプレイ6の背面(+Y側の面)に接続されている。配線7とディスプレイ6とを接続する作業は、ディスプレイ6、第1透明板4、および透明部材10を組み付けた後で行うことができる。このため、ディスプレイ6が第1透明板4に固定されていても、配線7を透明部材10の配線収容部14a(後述)内に収容することができる。
なお、第2本体部3自体をタッチパネルとして用いる場合には、ディスプレイ6と第1透明板4との間にタッチセンサ3cを設ける。
【0033】
透明部材10は、透明な樹脂により形成されている。透明部材10の材質としては、ポリカーボネート(PC: polycarbonate)やアクリル(PMMA: Poly Methyl Methacrylate)などを用いることができる。透明部材10は、射出成型により形成されてもよいし、切削加工により形成されてもよい。
【0034】
図4に示すように、透明部材10は、ディスプレイ6を囲う囲繞部10aを有している。本実施形態では、長方形状のディスプレイ6を囲うように、囲繞部10aが長方形の枠状に形成されている。囲繞部10aは、右側部11と、上側部12と、左側部13と、下側部14と、を有している。右側部11、上側部12、左側部13、および下側部14は、一体に形成されている。すなわち、囲繞部10aは一体に形成されている。
【0035】
右側部11と左側部13との間の左右方向Xにおける間隔は、ディスプレイ6の左右方向Xにおける寸法よりも大きい。上側部12と下側部14との間の上下方向Zにおける間隔は、ディスプレイ6の上下方向Zにおける寸法よりも大きい。
透明部材10の左右方向Xにおける大きさは、フレーム体20における右フレーム21と左フレーム23との間の左右方向Xにおける間隔よりも小さい。透明部材10の上下方向Zにおける大きさは、フレーム体20における上フレーム22と下フレーム24との間の上下方向Zにおける間隔よりも小さい。
【0036】
右側部11はディスプレイ6の−X側に位置し、上側部12はディスプレイ6の+Z側に位置し、左側部13はディスプレイ6の+X側に位置し、下側部14はディスプレイ6の−Z側に位置している。
右側部11および左側部13は上下方向Zに延びており、上側部12および下側部14は左右方向Xに延びている。上側部12は、右側部11および左側部13の+Z側端部同士を接続している。下側部14は、右側部11および左側部13の−Z側端部同士を接続している。
【0037】
下側部14の上下方向Zにおける幅は、上側部12の上下方向Zにおける幅よりも大きい。また、下側部14の上下方向Zにおける幅は、右側部11および左側部13の左右方向Xにおける幅よりも大きい。つまり、下側部14の幅は、囲繞部10aにおける他の部分11〜13の幅よりも大きくなっている。
【0038】
下側部14には、配線収容部14aが設けられている。配線収容部14aは、下側部14に形成された凹部である。配線収容部14aは、下側部14の+Y側の端面から、−Y側に向けて窪んでいる。配線収容部14aは、下側部14の左右方向Xにおける端部に位置している。配線収容部14aは、下側部14の+Z側端面から−Z側端面にかけて、上下方向Zに延びている。つまり、配線収容部14aは、下側部14を上下方向Zに横断するように形成されている。
【0039】
図6に示すように、配線収容部14aの左右方向Xにおける幅は、配線7の左右方向Xにおける幅よりも大きい。配線収容部14aの前後方向Yにおける幅(深さ)は、配線7の前後方向Yにおける厚みよりも大きい。配線収容部14aの内側に、配線7の少なくとも一部が位置している。
【0040】
なお、配線収容部14aの前後方向Yにおける幅は、配線7の前後方向Yにおける厚みより小さくてもよい。この場合でも、例えば透明部材10と第2透明板5との間に前後方向Yの隙間を設けて、配線収容部14aと第2透明板5とにより形成される空間に配線7を収容することができる。
【0041】
図5に示すように、囲繞部10aのうち、ディスプレイ6を向く内面10bには薄膜10cが形成されている。なお、内面10bには、右側部11の+X側端面、上側部12の−Z側端面、左側部13の−X側端面、および下側部14の+Z側端面が含まれる。薄膜10cの材質としては、アルミニウムなどの金属が好適である。薄膜10cは、例えば蒸着やメッキなどにより、内面10bの表面に形成することができる。内面10bの表面に薄膜10cを形成することで、ディスプレイ6の端面などが、透明部材10を通して視認されにくくなる。
【0042】
透明部材10は、枠状に形成されたフレーム体20の内側に位置している。また、ディスプレイ6は、枠状に形成された透明部材10の内側に位置している。そして、透明部材10およびディスプレイ6は、第1透明板4および第2透明板5によって前後方向Yで挟まれている。
以上の構成により、透明部材10は、フレーム体20、ディスプレイ6、第1透明板4、および第2透明板5により形成された隙間を埋めるように設けられている。
【0043】
図7は、
図1に示す状態から第2本体部3をヒンジ25回りに回動させて、第2本体部3と第1本体部2とを重ね合わせた状態を示している。
図7に示すように、第2本体部3と第1本体部2とを重ね合わせたときに、透明領域Aおよび表示部2bの位置が互いに一致する。より詳しくは、第1透明板4、透明部材10の下側部14、および第2透明板5が重なり合った部分が、表示部2bを覆った状態となる。このため、使用者は、透明領域Aを通して、表示部2bを視認することができる。
【0044】
ここで、
図1に示すように、第2本体部3にはタッチセンサ3b(第2タッチセンサ)およびタッチセンサ3c(第3タッチセンサ)が設けられている。タッチセンサ3b、3cは、使用者が触れた位置を検出可能に構成されている。また、タッチセンサ3b、3cは透明である。タッチセンサ3b、3cとしては、タッチセンサ2dと同様に、静電容量方式のセンサ(
図2(a)、(b)参照)を用いることができる。なお、タッチセンサ3b、3cに含まれる第1導体d1の配置については、第2本体部3が閉状態(タッチセンサ3b、3cが左右方向Xおよび前後方向Yに延びた状態)にある場合として説明する。
【0045】
タッチセンサ3cは、ディスプレイ6を正面から(−Y側から)見たときに、ディスプレイ6と重なる位置に配置されている。タッチセンサ3cは、第1透明板4(
図4参照)の+Y側の表面に設けられている。使用者は、第1透明板4およびタッチセンサ3cを通して、ディスプレイ6を視認可能となっている。このため、使用者は、タッチセンサ3cおよびディスプレイ6を1つのタッチパネルとして用いることができる。この場合、第1透明板4がタッチセンサ3cのカバーガラスとして機能する。つまり、使用者は第1透明板4の表面に触れることで、タッチセンサ3cを操作することができる。
【0046】
タッチセンサ3bは、第2透明板5の−Y側の表面であって、ディスプレイ6よりも−Z側の部分に位置している。タッチセンサ3bは、透明部材10の下側部14の一部と重なっている。
図7に示すように、タッチセンサ3bは、第2本体部3が閉状態において、上下方向Zから見たときに表示部2bと重なる位置に配置されている。タッチセンサ3bは透明であるため、第2本体部3が閉状態において、タッチセンサ3bを通して表示部2bを視認可能となっている。このため使用者は、
図8(b)に示すように、タッチセンサ3bおよび表示部2bを1つのタッチパネルとして用いることができる。この場合、第2透明板5がタッチセンサ3bのカバーガラスとして機能する。つまり、使用者は第2透明板5の表面に触れることで、タッチセンサ3bを操作することができる。
【0047】
なお、タッチセンサ3bおよび表示部2bを1つのタッチパネルとして用いる場合、使用者は、2つのタッチセンサ3b、2dを通して表示部2bを視認することになる。このように2つのタッチセンサ3b、2dを重ねて見ると、それぞれのタッチセンサ3b、2dの導体線d1、d2によるモアレが生じて、表示部2bの視認性が低下する場合がある。特に導体線d1、d2を、
図3(a)、(b)のように金属細線のメッシュで構成したとき、このようなモアレが生じやすい。モアレの発生を抑えるために、2つのタッチセンサ3b、2dに含まれる電極層のうち、少なくとも1つの電極層におけるマイクロピッチPまたはメッシュ角度θを、他の電極層におけるマイクロピッチPまたはメッシュ角度θと異ならせてもよい。あるいは、少なくとも1つの電極層におけるマイクロピッチPを不均一(ランダム)にしてもよい。
【0048】
より具体的には、
図3(a)のように2つのタッチセンサ3b、2dを構成した場合には、4つの電極層(タッチセンサ3bの第1導体d1の電極層、タッチセンサ3bの第2導体d2の電極層、タッチセンサ2dの第1導体d1の電極層、およびタッチセンサ2dの第2導体d2の電極層)が重なることになる。したがって、この4つの電極層のうち、1つの電極層におけるマイクロピッチPまたはメッシュ角度θを、他の3つの電極層におけるマイクロピッチPまたはメッシュ角度θと異ならせてもよい。あるいは、4つの電極層におけるマイクロピッチPまたはメッシュ角度θを、互いに異ならせてもよい。あるいは、4つの電極層のうち、少なくとも1つの電極層におけるマイクロピッチPを不均一にしてもよい。
【0049】
また、
図3(b)のように2つのタッチセンサ3b、2dを構成した場合には、2つの電極層(タッチセンサ3bの導体d1、d2の電極層、およびタッチセンサ2dの導体d1、d2の電極層)が重なることになる。したがって、この2つの電極層におけるマイクロピッチPまたはメッシュ角度θを互いに異ならせてもよい。あるいは、2つの電極層のうち少なくとも1つの電極層におけるマイクロピッチPを不均一にしてもよい。
【0050】
ここで、制御部2eは、第2本体部3が開状態であることを検出部2cが検出したときに第1タッチセンサ2dを有効にするとともに、第2タッチセンサ3bを無効にする。また、制御部2eは、第2本体部3が閉状態であることを検出部2cが検出したときに第2タッチセンサ3bを有効にするとともに、第1タッチセンサ2dを無効にする。また、第2本体部3は透明領域Aを有し、第2本体部3が閉状態のとき、透明領域Aを通して第1本体部2の表示部2bを視認可能となる。このため、
図8(a)に示すように、第2本体部3が開状態の場合には、使用者は第1タッチセンサ2dおよび表示部2bを1つのタッチパネルとして操作することができる。また、
図8(b)に示すように、第2本体部3が閉状態の場合には、第2タッチセンサ3bおよび表示部2bを1つのタッチパネルとして操作することができる。
つまり、第2本体部3が閉状態および開状態のいずれであっても、使用者は、第1本体部2に設けられた表示部2bをタッチパネルとして操作することができる。
【0051】
また、第2本体部3は、ディスプレイ6と重なる位置に配されたタッチセンサ3c(第3タッチセンサ)を有している。このため、第2本体部3自体を1つのタッチパネルとして用いることができる。
【0052】
なお、タッチセンサ3bの感度が、タッチセンサ2dの感度よりも高くてもよい。この場合、タッチセンサ2dのカバーガラスの厚みよりも、タッチセンサ3bのカバーガラスとして機能する第2透明板5の厚みを大きくしたとしても、タッチセンサ3bの操作感とタッチセンサ2dの操作感とを同等にすることができる。つまり、タッチセンサ3bの操作感の低下を抑えながら、第2透明板5の厚みを大きくして第2本体部3の強度を高めることができる。なお、例えばタッチセンサ3bを第1透明板4の+Y側の表面に設けて、タッチセンサ3bおよび3cを同一のコントローラで制御してもよい。この場合、タッチセンサ3b、3cを別個のコントローラで制御する場合と比較してコストダウンを図ることができる。
【0053】
また、タッチセンサ2dおよびタッチセンサ3bはそれぞれ、前後方向Y(第1方向)に延びる複数の第1導体d1と、前後方向Yに直交する左右方向X(第2方向)に延びる複数の第2導体d2と、を有している。タッチセンサ2dとタッチセンサ3bとで、第1導体d1の繰り返しピッチP1および第2導体d2の繰り返しピッチP2の少なくとも一方が異なっていてもよい。
あるいは、タッチセンサ2dの繰り返しピッチP1、タッチセンサ2dの繰り返しピッチP2、タッチセンサ3bの繰り返しピッチP1、およびタッチセンサ3bの繰り返しピッチP2のうち、少なくとも1つが不均一となっていてもよい。
これらの場合、第2本体部3が閉状態のときに、タッチセンサ2dの導体線d1、d2とタッチセンサ3bの導体線d1、d2とを重ねて見ることによるモアレを低減することができる。したがって、タッチセンサ3bと表示部2bとを1つのタッチパネルとして用いる場合に、表示部2bの視認性を向上させることができる。
【0054】
また、タッチセンサ2dを覆う透明カバー2fの表面には反射防止膜が形成され、タッチセンサ3bを覆う第2透明板5の表面およびタッチセンサ3cを覆う第1透明板4の表面には反射防止膜が形成されていなくてもよい。この場合、タッチセンサ2dと表示部2bとを1つのタッチパネルとして用いる場合の光の反射を抑えて、表示部2bの視認性を向上させることができる。また、透明板4、5の表面に反射防止膜を形成した場合には、透明領域Aの色味が変化することが考えられる。したがって、透明板4、5の表面に反射防止膜を形成しないことで、透明領域Aの色味の変化を抑えることができる。
【0055】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0056】
例えば、前記実施形態では、第2本体部3と第1本体部2とがヒンジ25回りに回動可能に連結されていたが、第2本体部3と第1本体部2とがスライド移動するように構成されていてもよい。あるいは、第2本体部3が第1本体部2に対して取り外し可能に構成されていてもよい。
これらの場合でも、第2本体部3の閉状態とは、第2本体部3と第1本体部2とが重ね合わされた状態をいい、第2本体部3の開状態とは、第2本体部3が閉状態から所定量以上移動し、表示部2bが露出した状態をいう。
【0057】
また、第2本体部3に、タッチセンサ3bが設けられておらず、タッチセンサ2dの感度が可変であってもよい。この場合、制御部2eが、第2本体部3が開状態から閉状態となったことを検出部2cが検出したときにタッチセンサ2dの感度を上げ、第2本体部3が閉状態から開状態となったことを検出部2cが検出したときにタッチセンサ2dの感度を下げるように構成されてもよい。この構成によれば、第2本体部3が開状態の場合には、透明カバー2fを介してタッチセンサ2dを操作することができる。また、第2本体部3が閉状態の場合には、第2透明板5を介してタッチセンサ2dを操作することができる。したがって、第2本体部3が閉状態および開状態のいずれであっても、使用者は、第1本体部2に設けられた表示部2bをタッチパネルとして操作することができる。
【0058】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。