特許第6792611号(P6792611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6792611-細片処理装置および細片を処理する方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792611
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】細片処理装置および細片を処理する方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 1/08 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   B05C1/08
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-513497(P2018-513497)
(86)(22)【出願日】2016年8月16日
(65)【公表番号】特表2018-527177(P2018-527177A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】EP2016069365
(87)【国際公開番号】WO2017045848
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2019年8月13日
(31)【優先権主張番号】102015217627.4
(32)【優先日】2015年9月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510041496
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Steel Europe AG
(73)【特許権者】
【識別番号】501186597
【氏名又は名称】ティッセンクルップ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ボッセルマン,デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】ノワク,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ラスプディッチ,ゲロルト
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ヨゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ティーガー,ラインハルト
【審査官】 市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭37−000676(JP,B1)
【文献】 特開平06−047326(JP,A)
【文献】 米国特許第05702760(US,A)
【文献】 中国実用新案第203370682(CN,U)
【文献】 中国実用新案第202893596(CN,U)
【文献】 米国特許第04384544(US,A)
【文献】 特開2009−195780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C1/00−3/20
7/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細片(3)を処理するための細片処理装置(1)であって、前記細片(3)が、処理領域(2)を通って案内される前記細片(3)に接して配置され得る少なくとも1つの処理ローラ(4)により、細片の走行方向(R)に沿って、前記細片処理装置(1)の前記処理領域(2)において案内され、
旋回軸線(7)において旋回可能なように基枠(8)に配置されたローラ保持具(6)であって、前記旋回軸線(7)が細片の走行面に平行な向きになっているローラ保持具(6)と、
前記ローラ保持具(6)を旋回させることにより、第1の処理ローラ(4)が前記細片(3)に向かって移動することができ、かつ前記処理ローラ(4)が前記細片(3)から離れて移動することができるように、前記細片の走行方向(R)において、前記細片の走行方向(R)に垂直な前記旋回軸線(7)からある距離で、かつ前記旋回軸線(7)からずらして、前記ローラ保持具(6)に配置された前記第1の処理ローラ(4)と、
前記第1の処理ローラ(4)と第1の反対側処理ローラ(5)とが、前記第1の処理ローラ(4)が前記細片(3)に向かって移動する場合に、前記第1の処理ローラ(4)と前記第1の反対側処理ローラ(5)との間の前記処理領域(2)に案内される細片(3)を案内するために相互作用するように、前記細片の走行方向(R)に垂直な方向に、前記第1の処理ローラ(4)よりも前記第1の旋回軸線(7)から離れた距離で配置された前記第1の反対側処理ローラ(5)とを備え、前記第1の処理ローラ(4)と前記第1の反対側処理ローラ(5)とが、同じ前記ローラ保持具(6)に配置されている、 細片処理装置(1)であり、
第2の処理ローラ(4’)が前記ローラ保持具(6)に配置されており、前記第1の処理ローラ(4)が、前記旋回軸線(7)の第1の側に配置され、かつ前記第2の処理ローラ(4)が、前記旋回軸線(7)の第2の側に配置されており、結果として、前記ローラ保持具(6)の同一の旋回により、前記第1の処理ローラ(4)と前記第2の処理ローラ(4’)とのうちの一方が、前記細片(3)に向かって移動することができ、前記第1の処理ローラ(4)と前記第2の処理ローラ(4’)とのうちの他方が、前記細片(3)から離れて移動することができることを特徴とする
細片処理装置(1)。
【請求項2】
前記細片の走行方向(R)に垂直な方向における前記第1の反対側処理ローラ(5)からの前記第1の処理ローラ(4)の距離に対する、前記細片の走行方向(R)における前記第1の反対側処理ローラ(5)からの前記第1の処理ローラ(4)の距離の比が、前記細片に接する前記第1の処理ローラ(4)の配置と、前記第1の反対側処理ローラ(5)との前記第1の処理ローラ(4)の相互作用とが、前記ローラ保持具(6)を旋回させることによってもたらされ得るように選択されることを特徴とする、請求項1に記載の細片処理装置(1)。
【請求項3】
前記第1の処理ローラ(4)、前記第2の処理ローラ(4’)、前記第1の反対側処理ローラ(5)、および第2の反対側処理ローラ(5’)が、同じ前記ローラ保持具(6)に配置されており、
前記細片の走行方向(R)に垂直な方向における前記第1の反対側処理ローラ(5)からの前記第1の処理ローラ(4)の距離に対する、前記細片の走行方向(R)における前記第1の反対側処理ローラ(5)からの前記第1の処理ローラ(4)の距離の比と、
前記細片の走行方向(R)に垂直な方向における前記第2の反対側処理ローラ(5’)からの前記第2の処理ローラ(4’)の距離に対する、前記細片の走行方向(R)における前記第2の反対側処理ローラ(5’)からの前記第2の処理ローラ(4’)の距離の比とが、
前記細片(3)に接する前記第1の処理ローラ(4)の配置、および前記第1の反対側処理ローラ(5)との前記第1の処理ローラ(4)の相互作用と、
前記細片(3)に接する前記第2の処理ローラの配置、および前記第2の反対側処理ローラ(5’)との前記第2の処理ローラ(4’)の相互作用との両方が、
前記ローラ保持具(6)を旋回させることによってもたらされ得るように選択されること
を特徴とする、請求項1に記載の細片処理装置(1)。
【請求項4】
前記第1の処理ローラ(4)および前記第2の処理ローラが、前記旋回軸線(7)が位置する平面に対して鏡面対称に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の細片処理装置(1)。
【請求項5】
前記第1の処理ローラ(4)と前記第2の処理ローラ(4’)との間に第1の浸漬ローラ(9)が配置されており、前記第1の浸漬ローラ(9)が、前記第1の浸漬ローラ(9)の心棒調整用の第1の心棒調整機構により、前記第1の処理ローラ(4)および/または前記第2の処理ローラに前記第1の浸漬ローラ(9)により塗料を提供するために、前記第1の浸漬ローラ(9)の下に位置する第1のリザーバ内に配置された前記塗料と接触することができ、
かつ/または
前記第1の反対側処理ローラ(5)と前記第2の反対側処理ローラ(5’)との間に第2の浸漬ローラ(12)が配置されており、前記第2の浸漬ローラ(12)が、前記第2の浸漬ローラ(12)の心棒調整用の第2の心棒調整機構により、前記第1の反対側処理ローラ(5)および/または前記第2の反対側処理ローラ(5’)に前記第2の浸漬ローラ(12)により塗料を提供するために、前記第2の浸漬ローラ(12)の下に位置するリザーバ内に提供された前記塗料と接触することができること
を特徴とする、請求項1に記載の細片処理装置(1)。
【請求項6】
処理ローラ(4、4’)、反対側処理ローラ(5、5’)、および/または浸漬ローラ(9、12)として設計された1つ以上のローラの回転軸線が、前記ローラを互いに対して調整するために、それぞれの心棒調整機構上に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の細片処理装置(1)。
【請求項7】
第1の塗料供給ライン(13)が、前記第1の浸漬ローラ(9)と前記処理ローラ(4、4’)のうちの少なくとも1つとの間の上部中間領域に配置されていること、および/または第2の塗料供給ライン(13’)が、前記第2の浸漬ローラ(12)と前記反対側処理ローラ(5、5’)のうちの少なくとも1つとの間の上部中間領域に配置されていることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の細片処理装置(1)。
【請求項8】
前記旋回軸線(7)が前記細片の走行面に平行な向きになっていること、および/または
前記旋回軸線(7)が、前記細片の走行面に平行な向きになっており、かつ前記細片の走行方向(R)に垂直な向きになっていること
を特徴とする、請求項1に記載の細片処理装置(1)。
【請求項9】
細片の走行方向(R)に進む前記処理ローラ(4)の回転方向、または細片の走行方向(R)とは反対向きの前記処理ローラ(4)の回転方向において、細片を塗装するための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の細片処理装置(1)の使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細片処理装置および細片を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細片、特に鋼帯等の例えば金属帯を処理するために、流れ作業の原理を用いた処理操作が通常利用される。このために、細片は、細片の走行方向に沿って細片処理装置の処理領域を流れる。例えば2つのローラを柔軟に変更することができるように、かつ/または2つのローラを変更する場合にほとんど時間を費やさずに変更を実施するために、細片の表面に接して配置され得る処理ローラを1つのみより多く設置することが望ましい。
【0003】
細片の表面に接して配置され得る1つのみより多い処理ローラの設置を可能にする細片処理装置の実施形態の例を、豪州特許第2007271717号明細書に見ることができる。豪州特許第2007271717号明細書に見ることができる細片処理装置は、ローラ式塗装装置として設計されており、このローラ式塗装装置では、塗装用ローラとして使用される処理ローラが、細片に対して塗料を均一に塗布するために細片に接して配置され得る。豪州特許第2007271717号明細書に見ることができる実施形態は、3つの数の塗装用ローラを含み、これらは、別個または同一の塗布液を塗布するために細片に交互に接触する。しかし、豪州特許第2007271717号明細書に見ることができるような細片処理装置には、構造および動作機構が比較的複雑であるという欠点がある。特に、細片に接して配置され得る処理ローラに加えて、比較的多数の反対側ローラおよび偏向ローラが必要であり、したがって、システムの操作の際に徹底した整備が必要になり、大きな空間が要求されるリスクが結果的に生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】豪州特許第2007271717号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、説明される本発明の目的は、細片の表面に接して配置され得る1つのみより多い処理ローラの設置を可能にするが、この場合に少なくとも部分的にまたは実質的に上記の欠点を解消する細片処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する細片処理装置と、請求項10に記載の特徴を有する方法と、請求項13に記載の特徴を有する使用法とによって達成される。さらなる有効な実施形態および発展形態が以下の説明から生じる。請求項、明細書、および図の1つ以上の特徴は、本発明のさらなる実施形態を生み出すために、これらの1つ以上の他の特徴と組み合わせることができる。独立形式請求項の1つ以上の特徴を、1つ以上の他の特徴と結び付けることもまた可能である。提案される主題は、本発明を説明するための概念としてのみ見なされるべきであり、本発明を限定するものと見なされるべきではない。
【0007】
処理ローラにより細片処理装置の処理領域に案内される細片を処理するための細片処理装置が提案される。細片は、細片の走行方向に沿って案内される。処理ローラは、処理領域を通って案内される細片に接して配置され得るように設計されている。
【0008】
細片処理装置は、
旋回軸線において旋回可能なように基枠に配置されたローラ保持具であって、旋回軸線が細片の走行面に平行な向きになっているローラ保持具と、
ローラ保持具を旋回させることにより、第1の処理ローラが細片に向かって移動することができ、かつ処理ローラが細片から離れて移動することができるように、細片の走行方向において、細片の走行方向に垂直な旋回軸線からある距離で、かつ旋回軸線からずらして、ローラ保持具に配置された第1の処理ローラと、
第1の処理ローラと第1の反対側処理ローラとが、第1の処理ローラが細片に向かって移動する場合に、第1の処理ローラと第1の反対側処理ローラとの間の処理領域に案内される細片を案内するために相互作用するように、細片の走行方向に垂直な方向に、第1の処理ローラよりも第1の旋回軸線から離れた距離で配置された第1の反対側処理ローラとを備え、第1の処理ローラと第1の反対側処理ローラとが、同じローラ保持具に配置されている。
【0009】
細片は、例えば金属帯であってもよい。特に、鋼帯を提供することができる。しかし、例えば細片の形態のプラスチックフィルムのような、他のタイプの細片を処理することもできる。
【0010】
この場合の処理の概念には、ローラの補助により通常実行されるすべてのタイプの処理が含まれる。特に、例えばワニス、溶剤、または何らかの他の塗料で塗装するような処理を行うことができる。しかし、すべてのさらなる可能性のあるタイプの細片の処理もまた行われる可能性がある。特に、処理ローラは、例えば鋼帯をスキンパス圧延の形態で処理するためのスキンパスローラとして設計されていてもよい。しかし、金属帯をさらに案内すること、または排他的に案内することもまた、処理の概念に含まれ得る。
【0011】
第1の処理ローラを細片に向かって、かつ細片から離して動かすことを確実に可能にするために、ローラ保持具における配置により、旋回軸線に対して、第1の処理ローラを相応にずらして配置することが、ローラ保持具、したがって第1の処理ローラを旋回させるための角度の自由度も対応して大きくなるため必要とされる。
【0012】
処理装置のための説明されるような設計には、特に、ローラ保持具の同一の旋回のみにより、第1の処理ローラが細片に向かって動かされ、したがって、簡単かつ容易な再現性のある手順により、多くの時間を費やすこともなく、流れるように案内される細片を処理することが可能になるという利点がある。この場合、これらの利点を提供する細片処理装置には、動かされるべき部品が比較的少数であり、その上これらの部品は比較的省スペースで配置されるという利点がある。
【0013】
旋回軸線は、仮想の並進運動によって移動可能であり、かつ細片に占められる仮想領域内に回転運動して入り込むことがないように、細片の走行方向に垂直な向きになっている。言い換えれば、旋回軸線は、旋回軸線と旋回軸線の直線的な延長部分との両方が細片を含む領域と交差しないように、細片の走行方向に垂直な向きになっている。したがって、旋回軸線は、細片処理装置の処理領域に案内される細片、細片の走行面に平行な向きになっている。
【0014】
細片処理装置の一実施形態によれば、
旋回軸線が細片の走行面に平行な向きになっており、かつ/または
旋回軸線が、細片の走行面に平行な向きになっており、かつ細片の走行方向(R)に垂直な向きになっている可能性がある。
したがって結果として生じた細片処理装置の簡略的な構造により確実に、細片処理機が特に簡単な構造になり、取り扱いが簡単で容易になる。
【0015】
細片処理装置の一実施形態において、例えば、細片の走行方向に垂直な第1の反対側処理ローラからの第1の処理ローラの距離に対する、細片の走行方向における第1の反対側処理ローラからの第1の処理ローラの距離の比が、細片に接する第1の処理ローラの配置と、第1の反対側処理ローラとの第1の処理ローラの相互作用とが、ローラ保持具を旋回させることによってもたらされ得るように選択される可能性がある。言い換えれば、第1の処理ローラおよび第1の反対側処理ローラの位置と、旋回軸線に対する第1の処理ローラおよび第1の反対側処理ローラのそれぞれのずれとは、旋回により、第1の処理ローラと第2の処理ローラとの互いに導かれる動きに影響を与え、このため、細片処理装置の上流に配置されたローラ取り付け部と、細片処理装置の下流に配置されたローラ取り付け部との相互作用により、細片の張力をかけた案内に影響を与えるために、旋回軸線を中心としてローラ保持具を旋回させるための利用可能な角度の自由度が十分に大きくなるように構成されている。細片処理装置のためのこのような設計には、ローラ保持具により、単一の部品の旋回のみで、案内のために細片に張力をかけるのには十分であり、案内された細片を処理するのに十分であるという主要な利点がある。
【0016】
細片処理装置の有効な一発展形態では、例えば、第2の処理ローラがローラ保持具に配置されており、第1の処理ローラが、旋回軸線の第1の側に配置され、かつ第2の処理ローラが、旋回軸線の第2の側に配置されており、結果として、ローラ保持具の旋回により、第1の処理ローラと第2の処理ローラとのうちの一方が、細片に向かって移動することができ、第1の処理ローラと第2の処理ローラとのうちの他方が、細片から離れて移動することができる可能性がある。ここでは、旋回軸線の第1の側および第2の側は、旋回軸線を含む少なくとも1つの既存の平面に関する。
【0017】
さらなる有効な発展形態では、例えば、第1の処理ローラ、第2の処理ローラ、第1の反対側処理ローラ、および第2の反対側処理ローラは、同じローラ保持具に配置されている可能性がある。また、
細片の走行方向に垂直な第1の反対側処理ローラからの第1の処理ローラの距離に対する、細片の走行方向における第1の反対側処理ローラからの第1の処理ローラの距離の比と、
細片の走行方向に垂直な第2の反対側処理ローラからの第2の処理ローラの距離に対する、細片の走行方向における第2の反対側処理ローラからの第2の処理ローラの距離の比とが、
細片に接する第1の処理ローラの配置、および第1の反対側処理ローラとの第1の処理ローラの相互作用と、
細片に接する第2の処理ローラの配置、および第2の反対側処理ローラとの第2の処理ローラの相互作用との両方が、
ローラ保持具を旋回させることによってもたらされ得るように選択される可能性がある。このような設計の利点は、ローラ保持具を旋回させることにより、第1の処理ローラと第1の反対側処理ローラとが相互作用する第1の位置から、第2の処理ローラと第2の反対側処理ローラとが相互作用する第2の位置に変更することができることである。この効果は、例えば製品寿命を2倍にするという点において有効に利用することができる。即ち、2対のローラのうちの一方が摩耗した場合、2対のローラのうちの他方を使用するために、旋回によって交換することができる。
【0018】
さらなる設計の1つでは、例えば、第1の処理ローラと第2の処理ローラとは、旋回軸線が位置する平面に対して鏡面対称に配置される可能性があり、特に簡単かつ洗練された構成になるという利点がある。
【0019】
一実施形態では、例えばさらに、
第1の処理ローラと第2の処理ローラとの間に第1の浸漬ローラが配置されており、第1の浸漬ローラが、例えば第1の浸漬ローラの心棒調整用の第1の心棒調整機構により、第1の処理ローラおよび/または第2の処理ローラに第1の浸漬ローラにより塗料を提供するために、第1の浸漬ローラの下に位置する第1のリザーバ内に配置された塗料と接触することができ、
かつ/または
第1の反対側処理ローラと第2の反対側処理ローラとの間に第2の浸漬ローラが配置されており、第2の浸漬ローラが、例えば第2の浸漬ローラの心棒調整用の第2の心棒調整機構により、第1の反対側処理ローラおよび/または第2の反対側処理ローラに第2の浸漬ローラにより塗料を提供するために、第1の反対側処理ローラおよび/または第2の反対側処理ローラに第2の浸漬ローラにより塗料を提供するために、浸漬ローラの下に位置するリザーバ内に提供された塗料と接触することができる可能性がある。
【0020】
浸漬ローラの心棒調整用の心棒調整機構は、細片処理装置に塗装装置としての適性を構造的に付与する。
【0021】
細片処理装置の有効な一発展形態では、例えば、処理ローラ、反対側処理ローラ、および/または浸漬ローラとして設計された1つ以上のローラの回転軸線が、ローラを互いに対して調整するために、それぞれの調整可能な心棒保持具上に配置されている可能性がある。これにより例えば、第1の浸漬ローラと、処理ローラのうちの一方または両方とが接触することができ、かつ/または第2の浸漬ローラと、反対側処理ローラのうちの一方または両方とが接触することができるという利点が得られる。このような構成は、処理ローラに接する浸漬ローラの配置を、処理ローラのそれぞれの位置に従って、かつ塗布される塗料に従って、個別に確実に設定できることが有効である。さらなる利点は、処理される細片の案内もまた、ある程度影響を受ける可能性があるため、結果として、処理される細片の材料に応じて、かつ/または処理工程における細片処理装置の配置にも応じて、可能な限り有効な細片の案内ルートを設定することができることである。
【0022】
必要な場合に、1つ以上の処理ローラまたは反対側処理ローラに代替的または追加的に塗料を供給できるように、第1の塗料供給ラインが第1の浸漬ローラと少なくとも1つの処理ローラとの間の上部中間領域に配置され、かつ/または第2の塗料供給ラインが第2の浸漬ローラと少なくとも1つの反対側処理ローラとの間の上部中間領域に配置される可能性がある。簡単な一実施形態では、設置される塗料供給ラインは、例えば、塗料を放出することができる開口を備えた管である可能性がある。
【0023】
本発明のさらなる独立した概念は、細片、特に鋼帯を処理する方法を提供する。この方法は、
細片処理装置の処理領域に細片を配置するステップと、
ローラ保持具に配置された第1の処理ローラを、旋回軸線を中心としたローラ保持具の旋回により、細片に接して置くステップであって、ローラ保持具が、旋回軸線を中心に旋回可能なように、処理における事前案内として基枠に旋回可能に配置され、旋回軸線が、細片における細片の走行面に実質的に平行な向きになっており、第1の処理ローラが、旋回が配置をもたらすように、旋回軸線に対してずれて配置されており、かつ第1の反対側処理ローラが、旋回が第1の反対側処理ローラの配置をもたらすように、第1の反対側処理ローラを旋回軸線に対してずらして配置することにより、第1の処理ローラの配置における動作と同一の旋回動作において、2つの細片表面のうち他方の表面に接して配置され、第1の処理ローラおよび第1の反対側処理ローラが、同じローラ保持具に配置されているステップとを含む。
【0024】
好ましい設計の1つでは、適切な旋回可能性を確保するために、細片の走行方向に垂直に向けられた細片は、旋回軸線が位置する直線と、細片が位置する領域とが交差しないような、したがって旋回軸線が細片処理装置の処理領域に案内される細片に平行に向けられるような向きになっている。
【0025】
細片処理装置の一実施形態によれば、
旋回軸線が細片の走行方向に平行な向きになっており、かつ/または
旋回軸線が、細片の走行方向(R)に平行かつ垂直な向きになっている可能性がある。したがって生じたより高度な対称性により確実に、細片処理機が特に簡単な構造になり、取り扱いが簡単で容易になる。
【0026】
特に、1つ以上のローラを、回転方向および/または回転速度に関して互いに独立して据え付けることができる可能性がある。
【0027】
本発明のさらなる独立した概念は、細片処理装置の使用法、特に、細片の走行方向に進む処理ローラの回転方向、または細片の走行方向とは反対向きの処理ローラの回転方向において細片を塗装するための、最初に説明される特徴による細片処理装置の実施形態の使用法を提供する。
【0028】
本発明の特定の実施形態を、図を参照して以下に詳細に、より十分に説明する。結果的な特徴に関する図および添付の説明は、それぞれの実施形態への限定として読まれるべきではなく、例示的な実施形態を説明する役割を果たす。また、それぞれの特徴は、本発明の可能性のあるさらなる発展形態および改善形態、特に、説明されていないさらなる実施形態のために、互いと共に使用することができ、かつ上述の説明の特徴と共に使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】a:配置がとられていない状態における、細片処理装置の第1の例示的な実施形態の図である。b:第1の細片処理ローラと第1の反対側処理ローラとが処理される細片に接した配置での、旋回した状態の図1aに対応する細片処理装置の第1の例示的な実施形態の図である。c:細片処理装置の第2の例示的な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1aは、細片処理装置1の第1の例示的な実施形態である。細片処理装置1は、ローラ式塗装装置として設計されており、特に、塗料、例えばワニスで鋼帯を塗装するのに適している。細片処理装置は基枠8を含み、基枠8は、図示された実施形態では、基枠8ひいては細片処理装置1を移動することができるようにローラ10を備える。ローラ保持具6が基枠8に配置されており、ローラ保持具6は、旋回軸線7を中心に旋回可能に設計されている。ここで旋回軸線7は、細片処理装置1の処理領域2を通って案内される細片3が、案内されるこの細片3における細片の走行面に平行に導かれるような向きにされている。また、図示された設計では、細片処理装置1は、塗装用ローラとして設計された第1の処理ローラ4を含む。第1の処理ローラ4は、ローラ保持具6によって保持され、ローラ保持具6の旋回軸線7からずらして取り付けられている。矢印Rによって示される細片の走行方向Rに沿って、第1の処理ローラ4は走行方向下側に配置されている。一方で細片3が位置する領域からの第1の処理ローラ4における回転軸線11の距離は、この領域からの旋回軸線7の距離より小さい。この配置の結果として、第1の処理ローラ4は、旋回軸線7を中心としたローラ保持具6の旋回により、第1の処理ローラ4が細片3に向かって移動することができ、かつ細片3から離れて移動することができるように、細片の走行方向Rにおいて、かつ細片の走行方向Rに垂直な旋回軸線7からある距離で、ローラ保持具6に配置されている。また、図示された設計では、細片処理装置1は、反対側処理ローラ5を含む。図示された実施形態では、反対側処理ローラ5の回転軸線12は、旋回軸線7に平行な向きになっており、細片の走行方向Rとは反対方向の反対側処理ローラ5における回転軸線12の距離は、細片の走行方向Rに沿った処理ローラ4における回転軸線11の距離とほぼ同様である。この例示的な実施形態では、処理領域2を流れる細片3からの反対側処理ローラ5における回転軸線12の距離は、配置がとられていない図示された状態では、細片3からの処理ローラ4における回転軸線11の距離とほぼ等しく、細片3は2つのローラ間を延びる。また、細片の走行方向Rに垂直な、この場合は細片を含む平面に垂直な、第1の反対側処理ローラ5からの第1の処理ローラ4の距離に対する、細片の走行方向Rにおける第1の反対側処理ローラ5からの第1の処理ローラ4の距離の比は、旋回軸線7の位置およびローラ保持具6の構造的設計の結果としての旋回角度を考慮し、ローラ保持具6の旋回により、第1の処理ローラ4が細片3に向かって移動し、かつローラ保持具6の同一の動きにより、第1の反対側処理ローラ5が細片3に向かって移動する結果になり、結果として最終的に、第1の処理ローラ4および第1の反対側処理ローラ5が細片3に接して配置され、かつ特に細片3を案内するために相互作用する状態が達成され得るように選択される。第1の処理ローラ4と第1の反対側処理ローラ5との両ローラが細片3に接しており、細片3が第1の処理ローラ4と第1の反対側処理ローラ5との間をこれらのローラによって案内される配置における、細片処理装置1のこの状態を、図1bに見ることができる。処理ローラ4および反対側処理ローラ5は相互作用して細片3を案内する。そのためここでは、この相互作用には、細片3の張力がかかったこの状態を維持し、かつ確かなものにする効果がある。また、図1aに見ることができる細片処理装置1の実施形態は、第2の処理ローラ4’および第2の処理ローラ5’を含む。これらの処理ローラは両方とも同じローラ保持具6に配置されており、このローラ保持具6には、第1の処理ローラ4および第1の反対側処理ローラ5もまた既に配置されている。図示された設計では、処理ローラ4、処理ローラ4’および反対側処理ローラ5、反対側処理ローラ5’の配置は、旋回軸線が位置する平面に対して鏡面対称に配置されている。ローラ保持具6を旋回させることにより、図1bの説明による、第1の処理ローラ4と第1の反対側処理ローラ5とが細片に接する配置の第1の状態から、第2の処理ローラ4’と第2の反対側処理ローラ5’とが細片に接する配置の第2の状態に変化させることが可能である。第1の処理ローラ4および第2の処理ローラ4’と、さらに第1の反対側処理ローラ5および第2の反対側処理ローラ5’とが、それぞれ同じタイプである場合、同じタイプであることにより、ローラ式塗装装置として設計された細片処理装置1の製品寿命を2倍にすることができ、第1の状態から第2の状態に変化させる間の変更時間が事実上必要ない。また、仮に必要な場合でも、非常に短い準備時間のみで塗料を変更することができる。さらに図1aおよび図1bはまた、浸漬ローラ9、浸漬ローラ12を示す。これらの浸漬ローラの心棒保持具は調整可能であり、結果として浸漬ローラ9、浸漬ローラ12の位置を決定することができ、浸漬ローラ9、浸漬ローラ12の下に位置するリザーバから塗料が取り出され、処理ローラ4、処理ローラ4’または反対側処理ローラ5、反対側処理ローラ5’に送られる結果になり得る。別の塗料または追加の塗料を供給するために、図1bおよび図1cはまた、塗料供給ライン13、塗料供給ライン13’を示す。
【0031】
図1cは、細片処理装置1の実施形態を示し、この実施形態は、特に、旋回軸線7を中心として処理ローラ4および処理ローラ4’の旋回可能性、ならびに反対側処理ローラ5、反対側処理ローラ5’の旋回可能性が、互いから切り離されているという点で、図1aおよび図1bの実施形態とは異なる。
図1