(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792615
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤを切断し配置する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20201116BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20201116BHJP
B29C 65/48 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
B29C65/48
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-519037(P2018-519037)
(86)(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公表番号】特表2018-538450(P2018-538450A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】US2015055867
(87)【国際公開番号】WO2017065788
(87)【国際公開日】20170420
【審査請求日】2018年10月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518174101
【氏名又は名称】オーアンドエム ハリヤード インターナショナル アンリミテッド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリントン、デイビッド・ラマール
(72)【発明者】
【氏名】パンペリン、マーク・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、ネイサン・クレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー、ジョセフ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】フード、アージャイ・ワイ
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0251210(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第104939377(CN,A)
【文献】
特開2008−055035(JP,A)
【文献】
特表2002−537009(JP,A)
【文献】
特開2005−272512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A62B 18/02
B29C 65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェイスマスク製造ラインにおいて個々のノーズワイヤを切断及び配置するための方法であって、
前記フェイスマスク製造ラインにおいて、供給源から第1及び第2の切断ステーションに連続したワイヤを供給するステップと、
前記第1及び第2の切断ステーションの各々において、連続したノーズワイヤを、予め定められた長さを有する個々のノーズワイヤに切断するステップと、
前記第1及び第2の切断ステーションの上流または下流のいずれかに設けられた処理ステーションにおいて、前記ノーズワイヤに表面処理を施すステップと、
前記第1及び第2の切断ステーションからキャリアウェブ上まで、前記第1及び第2の切断ステーションの各々に設けられた一対の搬送ローラによって前記個々のノーズワイヤを搬送し、それぞれ前記キャリアウェブの第1の縁部及び第2の縁部に沿って前記個々のノーズワイヤを配置するステップであって、前記個々のノーズワイヤは、前記一対の搬送ローラから前記キャリアウェブ上まで、前記処理ステーションを通過して走行する方向と同一の方向の連続した直線に沿って走行し、前記第1の縁部に沿って配置される前記個々のノーズワイヤと、前記第2の縁部に沿って配置される前記個々のノーズワイヤは、前記キャリアウェブの長手方向に沿って交互に位置をずらして配置される、該ステップと、
を含み、
前記処理ステーションにおいて、前記ノーズワイヤの、前記キャリアウェブに接触する側である下側部に、前記ノーズワイヤの、前記キャリアウェブに対する表面接着を高める前記表面処理を施すことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記処理ステーションは、前記第1及び第2の切断ステーションの下流にあり、前記表面処理は、前記個々のノーズワイヤに対して施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリアウェブ及び接着されたノーズワイヤは、前記処理ステーションからフォルダ及びボンダーに搬送され、
前記ノーズワイヤは、前記キャリアウェブの縁部に折り重ねられ、前記キャリアウェブに結合されたバインダウェブに封入されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記表面処理は、前記ノーズワイヤに接着剤を適用するステップを含み、
前記接着剤は、前記ノーズワイヤを前記キャリアウェブに直ちに接着するために十分な接着性を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記接着剤は、感圧型接着剤であり、前記接着剤の適用後に前記ノーズワイヤを前記キャリアウェブにプレスするステップをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤は、前記ノーズワイヤの、前記キャリアウェブに対向する面にスプレーされることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記接着剤は、前記ノーズワイヤの、前記キャリアウェブに対向する面にコーティングされることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記表面処理は、前記ノーズワイヤの、前記キャリアウェブに対向する表面の表面特性を変化させるステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ノーズワイヤの前記表面の粗面化を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記粗面化は、前記ノーズワイヤの表面を粗面化装置に接触させることによって機械的に行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記粗面化は、前記ノーズワイヤの前記表面に研磨剤を適用することによって化学的に行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ノーズワイヤの前記表面に、表面粗さを増加させるパターンを形成するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記パターンは、レーザによってエッチングされることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記パターンは、クリンプローラによって形成されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
フェイスマスク製造ラインにおいて個々のノーズワイヤを切断し配置するためのシステムであって、
前記システムは特に、請求項1ないし請求項14のいずれか一項に記載の方法を実施可能に構成されたことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、概して、保護用フェイスマスクの分野に関し、特に、そのようなフェイスマスクの製造ラインにおいてノーズワイヤを切断し配置する方法及びシステムに関する。
【0002】
(関連出願のファミリー)
本出願は、本出願と同日に出願された以下の国際特許出願(それらは全て、米国を指定している)と、発明の主題が関連している。
(a)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤをスプライシングする方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055858
(b)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤをスプライシングする方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055861
(c)「フェイスマスク製造ラインにおいて予備のノーズワイヤを導入する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055863
(d)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤを切断し配置する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055865
(e)「フェイスマスク製造工程においてノーズワイヤを配置する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055871
(f)「フェイスマスクの製造工程において予め切断されたノーズワイヤを配置する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055872
(g)「フェイスマスク製造ラインにおけるパッケージングのためのフェイスマスクを包装及び作製する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055876
(h)「フェイスマスク製造ラインにおいて包装されたフェイスマスクをカートン内に自動的に積層させて充填する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055878
(i)「フェイスマスク製造ラインにおいて包装されたフェイスマスクをカートン内に自動的に積層させて充填する方法及びシステム」なる標題の国際特許出願第PCT/US2015/055882
【0003】
上記の出願は、あらゆる目的のために、参照により本明細書に援用される。上記の出願に記載された発明主題の特徴及び態様のあらゆる組み合わせを、本出願の実施形態と組み合わせて、本発明のさらなる実施形態を創出することもできる。
【背景技術】
【0004】
様々な形態の使い捨て式フィルタリングフェイスマスク、すなわちレスピレータが知られており、これらは、「フェイスマスク」、「保護マスク(レスピレータ)」、「フィルタリングフェイスレスピレータ」等の様々な名称で呼ばれている。本開示の目的のために、これらを「フェイスマスク」と総称する。
【0005】
自然災害時または他の大惨事の発生時には、救援活動従事者、救急隊員、及び一般大衆に対して保護用フェイスマスクを供給できることが重要である。例えば、パンデミックが発生した場合には、フィルタを介した呼吸を可能にするフェイスマスクの使用が、そのような事態への対応や復旧において重要となる。このため、政府や自治体は、通常、緊急時にすぐに使用できるように、フェイスマスクの備蓄を維持している。しかしながら、フェイスマスクの貯蔵寿命は限られているため、有効期限の確認及び補充のために、フェイスマスクの備蓄を継続的にモニタする必要があった。そして、これは、非常にコストのかかる作業であった。
【0006】
最近、備蓄に頼るのではなく、パンデミックや他の災害の発生時に「必要に応じて」フェイスマスクを大量製造することが実現可能か否かについての調査が始められている。例えば、2013年に、米国保健福祉省(HHS)の事前準備対応次官補局(ASPA)の一部門である生物医学先端研究開発局(BARDA)は、米国でのパンデミックの発生時には最大1億個のフェイスマスクが必要となると推定し、備蓄を避けるために、1日当たり150万〜200万個のフェイスマスクを大量製造することによって、この需要を満たすことができるか否かについての研究を提案した。これは、1分当たり約1500個のマスクを製造することを意味する。現在のフェイスマスク製造ラインは、技術と装置の限界のために1分当たり約100個のマスクしか製造することができず、上記の推定された目標値に遠く及ばない。したがって、パンデミック発生時の「オンデマンドの」フェイスマスクの上記の目標値を実現するためには、製造及び製造工程の進歩が必要である。
【0007】
様々な形態のフィルタフェイスマスクは、よく知られているように、フェイスマスクの形状をユーザの鼻の形状に合わせ、使用時にフェイスマスクを所定の位置に保持できるように、フィルタパネルの上側の縁部に沿って、「ノーズワイヤ」として知られている可撓性及び応従性を有する金属片を備えている。ノーズワイヤは、異なるサイズ及びマスク形状の間で様々な長さ及び幅を有し得るが、一般的には、連続的なインライン工程中にスプールから切り出され、縁部に沿って、走行するキャリア不織布ウェブ(複数の不織布層を含み得る)上に置かれることにより完成したマスクの上側の縁部となる。縁部はその後、ノーズワイヤを封入して上側の縁部の位置に恒久的に保持するバインダ材料により密封される。しかし、この封入の前には、ノーズワイヤはキャリアウェブに確実には保持されない。上記のスループット(製造速度)で大量製造するためには、キャリアウェブは、従来の製造ラインと比較して著しく大きい搬送速度で移動する必要がある。したがって、封入工程の前にノーズワイヤを適切に配置するために、ノーズワイヤをキャリアウェブ上で確実に保持する必要があると考えられる。
【0008】
本発明は、このような要求に応えるべく案出されたものであり、フェイスマスクのインライン製造工程において、ノーズワイヤを切断し、走行キャリアウェブ上に載置する作業を高速で行うための方法及びシステムを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的及び利点は、その一部が以下の説明に記載されており、あるいは以下の説明から明らかであり、あるいは本発明の実施により学ぶことができるであろう。
【0010】
本発明の態様では、フェイスマスク製造ラインにおいて、個々のノーズワイヤを切断し、配置する方法が提供される。連続したワイヤが、ワイヤのロールなどの供給源からフェイスマスク製造ライン内の切断ステーションに供給される。切断ステーションでは、連続したワイヤが、予め定められた長さを有する個々のノーズワイヤに切断される。一実施形態では、個々のノーズワイヤは、キャリアウェブに搬送される前に、切断ステーションから処理ステーションに搬送される。代替実施形態では、処理ステーションは、切断ステーションの上流に動作可能に構成され得る。処理ステーションでは、ノーズワイヤの、キャリアウェブに対向する面に表面処理が施され、表面処理は、未処理の表面ワイヤと比較して、キャリアウェブへのノーズワイヤの表面付着の増加をもたらす。処理ステーションまたは切断ステーションから、キャリアウェブ及び取り付けられたノーズワイヤはフォルダ及びボンダーに搬送され、ノーズワイヤは、キャリア材料(キャリアウェブ)の縁部に折り重ねられてキャリアウェブに結合されたバインダウェブに封入される。
【0011】
特定の実施形態では、表面処理は、ノーズワイヤの、キャリアウェブに対して対向する面に接着剤を塗布(適用)することを含み、接着剤は、ノーズワイヤがキャリアウェブに直ちに接着するために十分な接着性を有する。様々なタイプの接着剤がこの機能に適しており、本方法は、いかなる特定の接着剤にも限定されない。これらのタイプの接着剤は、輸送接着付与剤(transport tackifiers)としても知られている。適切な接着剤は、感圧型接着剤であってもよく、この方法は、接着剤の適用後に、例えばキャリアウェブ及びノーズワイヤをプレスバーの下に通すことによって、ノーズワイヤをキャリアウェブにプレスすることを含んでいてもよい。
【0012】
特定の実施形態では、接着剤は、ノーズワイヤの、キャリアウェブに対して対向する面にスプレーされてもよい。別の実施形態では、接着剤は、例えば接触ローラによってノーズワイヤの、キャリアウェブに対して対向する面にコーティングされてもよい。
【0013】
異なる実施形態では、表面処理工程は、キャリアウェブに対して配置されたノーズワイヤの、キャリアウェブに対して対向する面の表面特性を変化させることを含んでいてもよい。例えば、この表面は、磨耗して「粗い」表面を生成することがあり、この表面は、不織布のキャリアウェブ上を摺動または移動するのに大きな摩擦抵抗を有する。この粗面化工程は、ノーズワイヤの表面を、固定式または可動式の粗面化砥石、ワイヤホイールなどの粗面化装置と接触させることによって機械的に実施されてもよい。代替的な粗面化工程では、ノーズワイヤの表面に研磨剤を適用することができる。
【0014】
更なる実施形態では、ノーズワイヤの表面は、ノーズワイヤの表面にパターンを形成することによって粗面化されてもよく、したがって、キャリアウェブ上のノーズウェブの摺動または移動に対する抵抗性を有する。このパターンは、レーザを用いてノーズワイヤ表面にエッチングされてもよく、またはクリンプローラによって形成されてもよい。
【0015】
本明細書はまた、本明細書に記載され、かつ支持されているように、本方法に従って、フェイスマスク製造ラインにおいて、個々のノーズワイヤを切断し、配置するための様々なシステムの実施形態を包含する。
【0016】
本発明の他の特徴及び態様を、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ベストモードを含む、当業者を対象にした本開示の完全かつ実現可能な開示が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0018】
【
図1】フェイスマスクの形をユーザの顔の形に一致させるノーズワイヤが組み込まれた従来の呼吸用フェイスマスクをユーザに装着した状態を示す斜視図
【
図2】
図1の従来のフェイスマスクの折り畳んだ状態を示す上面図
【
図3】
図2のフェイスマスクを
図2に示した線に沿って切った断面図
【
図4】交互に配置された複数のフェイスマスクパネルが画定されたウェブと、各パネルの縁部に組み込まれたノーズワイヤを示す上面図
【
図5】後続のフェイスマクスクパネルとの結合のための、ノーズワイヤの切断、及びキャリアウェブ上への配置に関連する、本発明の態様によるフェイスマスク製造ラインの部品の概略図
【
図6】本発明の態様に従って、ノーズワイヤを切断し、キャリアウェブに配置する代替実施形態の概略図
【
図7】本発明の態様に従って、ノーズワイヤを切断し、キャリアウェブに配置するさらに別の実施形態の概略図
【
図8】本発明の態様に従って、ノーズワイヤを切断し、キャリアウェブに配置する異なる実施形態の概略図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の様々な実施形態及びその1以上の実施例を詳細に説明する。各実施例は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明において、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な変更形態及び変形形態が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態において用いて、さらなる別の実施形態を創出することもできる。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限り、そのような変更形態及び変形形態を包含することを意図している。
【0020】
上述したように、本発明及び関連するシステムは、フェイスマスク製造ラインにおいて、個々のノーズワイヤを切断し配置する方法に関する。下流のフェイスマスク製造工程は、本発明の態様を限定するものではないので、本明細書では詳細に説明しない。
【0021】
また、本開示は、製造ラインを通じてのフェイスマスクの特定の構成要素の搬送または輸送について言及または暗示している。物品搬送装置(例えば、ロータリコンベヤまたはリニアコンベヤ)、物品配置装置(例えば、真空パッドプレイサ)、及び移送装置の任意の態様または組み合わせは、物品搬送産業ではよく知られており、本明細書に記載された目的に使用できることは容易に理解できるであろう。本発明の方法の理解及び把握のために、これらの既知の装置やシステムの詳細な説明を提供する必要はない。
【0022】
平らなプリーツ付きフェイスマスクを含む、ノーズワイヤが組み込まれたフェイスマスクの様々な形式や形態がよく知られており、本発明の方法は、これらの従来のマスクのための製造ラインとして有用であり得る。単なる例示を目的として、本明細書では、本発明の方法の態様を、
図1に示すような当分野で「カモノハシ型」マスクと称される特定のタイプの呼吸用フェイスマスクを参照して説明する。
【0023】
図1〜
図3を参照すると、代表的なフェイスマスクであるマスク11(例えば、カモノハシ型フェイスマスク)を着用者12の顔に装着した状態が示されている。このマスク11は、弾性及び伸縮性を有するストラップ、すなわち固定部材16、18によって着用者12に固定されるフィルタ本体14を含む。フィルタ本体14は、上側部分20及び下側部分22を有する。上側部分20及び下側部分22は、互いに相補的な台形形状を有し、好ましくは熱及び/または超音波シーリング等によって、その3つの辺縁に沿って互いに接合される。このようにして接合することにより、マスク11に、重要な構造的完全性が付加される。
【0024】
マスク11の第4の辺縁は、開放されており、上側縁部24及び下側縁部38を有する。上側縁部24及び下側縁部38は、互いに協働して、マスク11における、着用者の顔に接触する周縁部分を画定する。上側縁部24は、平坦な金属製のリボンまたはワイヤ状の細長い応従性部材(本明細書では「ノーズワイヤ」と称する)を受容するように構成される(
図2及び
図3参照)。ノーズワイヤ26は、マスク11の上側縁部24の形状を着用者12の鼻や頬の外形に密着させることができるように設けられる。ノーズワイヤ26は、一般的に、矩形の断面形状を有するアルミニウムストリップから構成される。マスク11の上側部分20が上側縁部24に沿って配置されたノーズワイヤ26を有することを除けば、マスク11の上側部分20と下側部分22は互いに同じであり得る。
【0025】
図1に示すように、カモノハシ型のマスク11は、着用者12の顔に装着したときには、カップ状または円錐状の全体形状を有する。これにより、使用時には円錐状のマスクが「顔から離れる」という利点と、使用前には折り畳んだマスク11をポケットに入れて容易に持ち運びすることができるという利点が提供される。「顔から離れる」形式のマスクは、着用者の顔のかなりの部分に接触する柔らかいプリーツ付きマスクと比べて、より大きな呼吸チャンバを提供する。そのため、「顔から離れる」マスクは、より落ち着いたより楽な呼吸を可能にする。
【0026】
着用者12の通常の呼吸に関連する呼吸漏れは、ノーズワイヤ26の寸法やノーズワイヤ26の上側縁部24に対する位置を適切に選択することによって、実質的に排除される。ノーズワイヤ26は、上側縁部24の中央に配置され、上側縁部24の全長の50−70%の範囲の長さを有することが好ましい。
【0027】
図3の断面図に示すように、上側部分20及び下側部分22の各々は、外側マスク層30及び内側マスク層32を含む複数の層を有する。外側マスク層30と内側マスク層32との間には、マスク11用のフィルタ媒体を含む1以上の中間層34が介在されている。この中間層34は、一般的に、メルトブローンポリプロピレン、押出成形ポリカーボネート、メルトブローンポリエステル、またはメルトブローンウレタンから作製される。
【0028】
マスク11の上側縁部24は、マスク11の開放端の全体にわたって延在し、かつノーズワイヤ26を覆う上側縁部バインダ36によって取り囲まれている。同様に、下側縁部38は、下側縁部バインダ40によって取り囲まれている。上側縁部バインダ36及び下側縁部バインダ40は、ノーズワイヤ26を上側縁部24に沿って配置した後に、それぞれ上側縁部24または下側縁部38上に折り重ねて接合される。上側縁部バインダ36及び下側縁部バインダ40は、スパンレースされたポリエステル材料から作製され得る。
【0029】
図4は、マスク11の上側部分20を形成する層を切断するための略台形形状のレイアウトを示す。同様のレイアウトが下側部分22用に作製され、この下側部分22は、フェイスマスク製造ラインにおいて、上側部分20と整列され、接合される。より正確には、
図4のレイアウトは、平坦な各材料シートから上側部分20のための外側マスク層30及び内側マスク層32を最終的に切断する切断装置の概要を表す。このレイアウトは、上側縁部24と下側縁部38とにより形成されるマスク11の開放端側となる縁部50、52の間の平坦な材料シート上に、交互パターンで配置される。このレイアウト配置により、マスク11の作製に利用される切断装置(図示せず)に材料を供給したときに、連続的な切り抜き片(piece of scrap)を形成することができる。
図4は、上側縁部バインダ36及び下側縁部バインダ40を上側縁部24または下側縁部38に沿って折り重ねて接合する前に、連続したウェブにおける上側縁部24に対応する部分の上に切断されたノーズワイヤ26を配置した状態を示す。
【0030】
図5は、ノーズワイヤ26(
図4)が組み込まれたフェイスマスクを製造するための製造ライン106の一部を示す。走行ワイヤ101が、例えば被動ロール104等の供給源から切断ステーション108に、連続的なストリップ形態で供給される。好適な切断ステーション108は、公知であり、従来の製造ラインで使用されている。切断ステーション108は、一般的に、被動ニップを画定する一対のフィードローラ110を有する。フィードローラの一方は被動ローラであるが、他方はアイドラローラであってもよい。フィードローラ110はまた、走行ノーズワイヤに、ダイヤモンドパターンなどのクリンプパターンを付与するように働くことができる。走行ワイヤ101は、アンビル114に対向して配置された切断ローラ112に供給される。切断ローラ112は、走行ワイヤ101を、個々のノーズワイヤ26に切断するべく、所定の速度で駆動される。切断ローラ112の下流側では、1セットの搬送ローラ116によって、個々のノーズワイヤ26が切断ステーション108からキャリアウェブ118上に搬送される。
図4を参照すると、このキャリアウェブ118は、上側部分20及び下側部分22を画定する連続的な多層ウェブであり得、個々のノーズワイヤ26は、上側縁部24に対応するキャリアウェブ118の縁部に沿って配置される。ノーズワイヤを切断し、
図4に示されたウェブの反対側の入れ子状本体の上側部分20上に配置するために、追加の切断ステーションが、切断ステーション108の反対側(及び、上流または下流)に動作可能に配置されてもよいことを理解されたい。理解を容易化するために、このような切断ステーションの1つのみが本明細書に示され、説明される。
【0031】
個々のノーズワイヤ26をキャリアウェブ118上の所定の位置に配置した後、バインダウェブ120を、キャリアウェブ118の両縁部に沿って製造ラインに導入する(
図5では、1つのバインダウェブ120のみを図示している)。キャリアウェブ118、ノーズワイヤ26、及びバインダウェブ120の組み合わせは、折り重ねステーション122を通過し、折り重ねステーション122では、バインダウェブ120は、キャリアウェブ118の走行するそれぞれの縁部50、52の上に折り重ねられる(
図4)。そして、接合ステーション124を通過した後は、バインダウェブ120はキャリアウェブ118に熱接合され、これにより、上側縁部バインダ36、下側縁部バインダ40と共に、
図3に示した上側縁部24及び下側縁部38が構成される。ノーズワイヤ26は、上側縁部バインダ36によって、上側縁部24に対する所定の位置に保持される。
【0032】
接合ステーション124から、上側縁部バインダ36の下のキャリアウェブ118とノーズワイヤ102との連続的な組み合わせが、さらに下流の加工ステーション126に搬送され、そこで個々のフェイスマスクが切断され、接合され、ヘッドストラップの取り付け等が行われる。
【0033】
図6〜
図8をさらに参照すると、フェイスマスクのための製造ライン106において、個々のノーズワイヤ102を切断し、キャリアウェブ118に配置するための方法100、及び関連するシステムの態様が示されている。上述のように、切断ステーション108では、連続した走行ワイヤ101が、予め定められた長さを有する個々のノーズワイヤ102に切断される。個々のノーズワイヤ102は、キャリアウェブ118に搬送される前に、処理ステーション130に搬送される。 処理ステーション130では、キャリアウェブに接触して載置されるノーズワイヤの対向する面に、表面処理が施される。表面処理のタイプは変更されてもよく、このような処理の全体的な目的は、上述したフェイスマスクの製造速度を達成するため、必要とされる製造ライン106の製造速度が上昇している間に、ノーズワイヤ102がキャリアウェブから摺動したり離れたりしないよう、キャリアウェブへのノーズワイヤ102の接着性を増加させることである。恒久的な取り付けは本発明の範囲内であるが、処理ステーション130で行われる処理によってノーズワイヤ102がキャリアウェブ118に恒久的に取り付けられる必要はない。表面処理は、ノーズワイヤ表面の磨耗すなわち「粗面化」による、ノーズワイヤ102とキャリアウェブ118との間の表面摩擦の一時的な増大、つまり、ノーズワイヤ102の表面とキャリアウェブ118の繊維との実際の物理的係合をもたらすために十分であり得る。
【0034】
図5は、切断ステーション108から下流に位置する実線の処理ステーション130を示す。
図5はまた、処理ステーション130が切断ステーション108の上流に動作的に配置された破線の代替実施形態を示す。この実施形態では、走行ワイヤ101が個々のノーズワイヤ102に切断される前に、走行ワイヤ101に表面処理が施される。
【0035】
上述のように、キャリアウェブ118及び取り付けられたノーズワイヤ102が処理ステーションから折り重ねステーション122(フォルダ)及び接合ステーション124(ボンダー)に搬送され、ノーズワイヤ102は、キャリアウェブ118の縁部に折り重ねられてキャリアウェブに結合されたバインダウェブ120に封入される。
【0036】
図5は、処理ステーション130において行われる表面処理が、ノーズワイヤ102が切断ステーション108を出るときに、ノーズワイヤ102の表面に対して接着剤を適用する実施形態を示す。接着剤のスプレー134は、切断ステーション108の下流側に動作的に配置され、供給源から接着剤が供給され得る。コントローラ128と通信するセンサ132は、搬送ローラ116によって切断ステーション108から搬送されるときに、ノーズワイヤ102の先端を検出する。次に、コントローラ128は、ノーズワイヤ102の表面に接着剤を適用するスプレー134を作動させる。この接着剤がノーズワイヤを直ちにキャリアウェブに接着させるために十分な初期接着性を有する限り、様々な市販の接着剤をこの目的のために使用できることが想定される。従って、この方法は、いかなる特定の接着剤にも限定されない。特定の実施形態では、接着剤は、感圧型接着剤であってもよく、本方法は、接着剤の適用後に、例えばキャリアウェブ及びノーズワイヤをプレスバーの下方、または一対のローラのニップを通過させることによって、ノーズワイヤをキャリアウェブにプレスするステップをさらに含む。
【0037】
図8は、
図5の工程と同様の、ノーズワイヤ102の下側に接着剤を適用するための実施形態を示す。
図8では、ローラ、ブラシ、ブレードなどの接触アプリケータ136が使用されることにより、接着剤をノーズワイヤ102に直接適用する。
【0038】
異なる方法100の実施形態では、表面処理工程は、キャリアウェブに対して配置されるノーズワイヤ102の対向する面の、物理的な表面特性を変化させるステップを含んでいてもよい。
【0039】
図7を参照すると、粗面化表面処理工程は、ノーズワイヤ102をキャリアウェブ118に配置する前に、ノーズワイヤ102の表面を固定式または可動式の粗面化砥石、ワイヤホイールなどの粗面化装置に接触させることによって機械的に行われ得る。例えば、この表面は、不織布のキャリアウェブ118上のノーズワイヤ102の摺動または移動に対する摩擦抵抗の増加をもたらす「粗い」表面を生成するように変更されてもよい。
【0040】
粗面化装置149はまた、切断ステーション108で比較的高速の切断工程から生じ得る切断されたノーズワイヤ102の長手方向端部からのバリを除去するように機能することができるという点で、表面処理のために粗面化装置149が使用される
図7の実施形態は特に有益であり得る。除去されない場合、バリなどは、フェイスマスクのユーザに不快感または刺激を引き起こす可能性がある。
【0041】
代替的な粗面化工程では、
図5及び
図8の実施形態に示されるように、コーティングまたはスプレー工程において、ノーズワイヤ102の表面に研磨剤が適用されてもよい。
【0042】
図6に示す実施形態では、処理ステーション130において、レーザ138を用いたノーズワイヤ102の表面へのレーザエッチングによって表面処理工程が行われる。
【0043】
さらに他の実施形態では、ノーズワイヤ102の表面は、ノーズワイヤの表面にパターンを形成することによって粗面化されて表面粗さが増加し、従って、キャリアウェブ上でのノーズワイヤの摺動または移動に対する抵抗性を有する。このパターンは、ノーズワイヤの表面にレーザを用いてプレスまたはエッチングされてもよく(
図6)、またはクリンプローラによって形成されてもよい。図示の実施形態では、切断ローラ112及び対向するアンビル114(ローラであってもよい)はまた、ノーズワイヤ102の表面にパターンをプレスするために使用される。
【0044】
上述したように、本発明は、本発明の方法に従って、フェイスマスク製造ラインにおいて、個々のノーズワイヤを切断し配置するための様々なシステムの実施形態も包含する。このようなシステムの態様は、添付図面に示され、本明細書にも記載されている。
【0045】
図示及び上述した特定の内容は、本発明の主題の様々な例示的な実施形態を説明及び教示するためのものであり、本発明の限定を意図するものではない。添付した特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲は、当業者が想到可能な改変形態及び変更形態と共に、本明細書に記載した様々な特徴の組み合わせ及びサブコンビネーションの両方を包含する。