【課題を解決するための手段】
【0006】
本課題は、本発明において、主請求項に基づく方法を用いて、並びに同列の請求項に基づくシステムを用いて解決される。
【0007】
この場合、主請求項の対象は、自動車が緊急車両と衝突することを防止する方法に関し、この方法は、自動車の光学的検出装置を用いて自動車の周辺領域を光学的に検出する工程と、自動車の音響学的検出装置を用いて自動車の他の周辺領域を音響学的に検出する工程であって、この他の周辺領域が前記の周辺領域を含む工程と、周辺領域の交通参加者を特定する工程と、前記の他の周辺領域を一つの信号に関して調査する工程であって、その信号が、緊急車両の緊急信号を表すものである工程と、特定された各交通参加者に関する運動軌道を特定する工程と、前記の他の周辺領域の調査が相応の緊急信号を特定した場合、特定された運動軌道を群れ行動に関して調査する工程であって、その群れ行動が周辺領域における危険な状況を表すものである工程と、特定された運動軌道の調査が周辺領域における相応の危険な状況を特定した場合、緊急車両の滞在場所を突き止める工程と、その緊急車両の突き止められた滞在場所と交通参加者の特定された運動軌道とに基づき、緊急車両の運動軌道を特定する工程と、緊急車両の特定された運動軌道に基づき、自動車の実際の運動軌道に関して、緊急車両との自動車の衝突が起こるのか否かを推定する工程と、衝突が起こることをその推定が示す場合、自動車の使用者に相応の警告を出す工程とを有する。
【0008】
この場合、本方法の工程は、自動的に実施することができる。
【0009】
ここで、本発明の意図するところでは“自動車の周辺領域”とは、自動車の周りの領域を意味してもよい。特にこの場合、光学的検出装置を用いて検出することが可能である、自動車の周りの領域を意味してもよい。その際、光学的検出装置を用いて検出することが可能な自動車周りの領域は、物体がまだ識別できるぐらいの明白さで見分けられる領域を意味してもよい。
【0010】
ここで、本発明の意図するところでは“光学的検出装置”とは、周辺領域を視覚的に検知することが可能な装置を意味してもよい。それは、光学手段により行なうことができるが、赤外線や、例えばレーダー及び/又はライダーを用いた走査などにより行なうこともできる。
【0011】
この場合、本発明の意図するところでは“自動車の他の周辺領域”とは、自動車の周りの第二の領域を意味してもよい。この領域は、周辺領域と相似の領域とすることができる。しかし、それと大きく異なる領域とすることもできる。この場合、特に、音響学的検出装置を用いて検出することが可能である、自動車の周りの領域を意味してもよい。従って、特に、都会の周辺領域において、他の周辺領域とは、周辺領域自体よりも空間的に広い領域とすることができる。
【0012】
この場合、本発明の意図するところでは“音響学的検出装置”とは、音響信号を検出するように構成された装置とすることができる。この場合、特に、警察、消防、救急医療及びそれと同等の組織の緊急車両から、然るべき緊急出動の間に送出される音響信号を検出するように構成された装置を意味してもよい。この場合、そのような音響学的検出装置は、緊急車両の所謂“ランブラー・サイレン”から放出されるような音響信号も感知することができる。それらの信号は、通常人間の耳に音として感じることができる信号ではなく、人間には振動として感じられる。
【0013】
この場合、本発明の意図するところでは“周辺領域の交通参加者”とは、道路交通における参加者を意味してもよい。この場合、特に、場合によっては、自動車などのスピードの出せる道路交通参加者を意味していてもよい。しかし、歩行者や、自転車に乗る人などを意味していてもよい。
【0014】
この場合、本発明の意図するところでは“信号”とは、音波を意味してもよい。特に、この信号は、警察、消防、救急医療及びそれと同等の組織の緊急車両から、然るべき緊急出動の間に送出される音響警報(アラーム)を意味してもよい。
【0015】
この場合、本発明の意図するところでは“運動軌道”とは、自動車が通る道のりを表し得る仮想的な経路とすることができる。特に、運動軌道は、自動車がどの経路を採るべきかを決めることができる。それは、特に、互いに隣接させることのできる多数の軌道によって得ることができる。
【0016】
ここで、本発明の意図するところでは“群れ行動”とは、魚の群れや鳥の群れに似て、多数の物体が似通った行動をすることを意味してもよい。この場合、特に、少なくとも互いに連れ添って、或いは一つの運動方向に沿って動く物体は、非常に似通った、或いは一貫した運動行動を有することを意味してもよい。
【0017】
ここで、本発明の意図するところでは“推定”とは、それまでの情報又は行動に基づく見通しを意味してもよい。この場合、それまでの観察結果の論理的な情報チェーン又は論理的に厳格な情報チェーンに基づく推定を実施することができる。
【0018】
この場合、本発明の意図するところでは“警報”とは、差し迫った危険に起因して実施される指示を意味してもよい。そのような警報は、聴覚的、視覚的及び/又は触覚的な指示から構成することができる。更に、一つの警報は、差し迫った危険に対して如何にして適切に対処できるのかを示す行動情報から構成することもできる。
【0019】
本発明による考え方によって、緊急車両の緊急出動に起因する差し迫った危険を識別することができ、それに対応して、車両の使用者に事前に警告することができるとの利点が得られる。
【0020】
それによって、そのような状況における事故を防止することができる。
【0021】
この場合、同列の請求項の対象は、自動車が緊急車両と衝突することを防止するシステムに関し、この自動車は、自動車の周辺領域を光学的に検出する光学的検出装置と、自動車の他の周辺領域を音響学的に検出する音響学的検出装置であって、この他の周辺領域が周辺領域を含む音響学的検出装置と、自動車の使用者に警報を出す出力装置とを備える。この場合、本システムは、周辺領域の交通参加者を特定する第一の特定手段と、他の周辺領域を一つの信号に関して調査する調査手段であって、この信号が、緊急車両の緊急信号を表すものである調査手段と、特定された各交通参加者に関する運動軌道を特定する第二の特定手段と、特定された運動軌道を群れ行動に関して調査する他の調査手段であって、この群れ行動が周辺領域における危険な状況を表すものである他の調査手段と、緊急車両の滞在場所を突き止める位置特定手段と、緊急車両の突き止められた滞在場所と交通参加者の特定された運動軌道とに基づき、緊急車両の運動軌道を特定する第三の特定手段と、緊急車両の特定された運動軌道に基づき、自動車の実際の運動軌道に関して、緊急車両との自動車の衝突が起こるのか否かを推定する推定手段とを備える。この場合、本システムは、本発明による何れかの方法を実施するように構成される。
【0022】
本発明による考え方によって、緊急車両の緊急出動に起因する差し迫った危険な状況を見分けることができ、それに対応して、車両の使用者に事前に警告することが可能なシステムを提供できるとの利点が得られる。
【0023】
この場合、他の同列の請求項の対象は、自動車の周辺領域を光学的に検出する光学的検出装置と、自動車の他の周辺領域を音響学的に検出する音響学的検出装置であって、この他の周辺領域が周辺領域を含むものである音響学的検出装置と、自動車の使用者に警報を出す出力装置と、本発明による何れかのシステムであって、このシステムが、本発明による何れかの方法を実施するように構成されているシステムとを備えた自動車に関する。
【0024】
本発明による考え方によって、自動車において、緊急車両の緊急出動に起因する差し迫った危険な状況を識別することができ、それに対応して、自動車の車両使用者に事前に警告することができるとの利点が得られる。
【0025】
それによって、自動車の損傷を防止することができ、そのような異常事態における車両の乗客の負傷も防止することができる。
【0026】
この場合、他の同列の請求項の対象は、システム及び/又は自動車用のコンピュータプログラム製品に関し、このシステム及び/又は自動車は、本発明による何れかの方法に基づき動作することが可能である。
【0027】
本発明による考え方によって、本方法を特に効率的な形で自動的に実施できるとの利点が得られる。
【0028】
この場合、他の同列の請求項の対象は、本発明によるコンピュータプログラム製品を有するデータ媒体に関する。
【0029】
本発明による考え方によって、本方法を実施する装置、システム及び/又は自動車に、本方法を特に効率的に配分または差し向けることができるとの利点が得られる。
【0030】
以下において本発明の実施形態を説明する前に、先ずは、本発明がここで述べる構成要素又はここで述べる方法の工程に限定されないことに留意すべきである。更に、ここで使用する技術も、限定を意味するのではなく、単に例示的な性質を有する。ここで、本明細書及び請求項において単数形が使用されている場合、その文脈が明示的に排除しない限り、それぞれ複数形も共に含まれる。場合によっては有り得る方法の工程は、その文脈が明示的に排除しない限り、自動的に実施することができる。
【0031】
以下において、本発明による方法の他の実施例を説明する。
【0032】
第一の実施例では、本方法は、更に、それぞれ相応の交通参加者に関してそれぞれ特定される相応の運動軌道は、これらの相応の交通参加者に関してそれぞれ可能性が最も高い相応の運動軌道に該当するとの手順を有する。
【0033】
この実施形態は、起こる可能性が最も高い出来事に対処できるとの利点を有する。本方法を繰り返し実行することによって、本方法は、本当に将来起こる出来事をほぼ体現し、それで衝突の危険があるのか否かを極めて確実に予測することができる。
【0034】
他の実施例では、本方法は、更に、緊急車両の特定される滞在場所は、可能性が最も高い緊急車両の滞在場所に該当するとの手順を有する。更に、本方法は、緊急車両に関して特定される運動軌道は、可能性が最も高い緊急車両の運動軌道に該当するとの手順を有する。
【0035】
この実施形態は、起こる可能性が最も高い出来事に対して一層精確に対処できるとの利点を有する。本方法を繰り返し実行することによって、本方法は、本当に将来起こる出来事を一層良好にほぼ体現し、それで衝突の危険があるのか否かを極めて確実に予測することができる。
【0036】
他の実施例では、本方法は、更に、衝突が起こることを推定が示す場合、自動車の衝突のない運動軌道を特定するとの手順を有する。
【0037】
この実施形態は、衝突が予測される場合に、車両の使用者に操縦指示として提示できる回避手法を決めることができるとの利点を有する。
【0038】
それによって、そのような異常事態において、一層良好に事故を防止することができる。
【0039】
他の実施例では、本方法は、更に、自動車が高度に自動化されて運転可能な自動車及び/又は自律走行可能な自動車であるとの手順を有する。
【0040】
この実施形態は、衝突が推定される場合に、然るべき自動車の回避行動を単独で実行できるようにするために、本方法を運転者支援システム又は自動走行システムと連携させることが可能であるとの利点を有する。
【0041】
他の実施例では、本方法は、更に、周辺領域が自動車の実際の運動軌道に沿って延びるという手順を有する。そのとき、他の周辺領域は、前記の周辺領域の面積と異なる面積を有し、さらに/または他の周辺領域の面積が前記の周辺領域の面積よりも大きいとの手順を有する。
【0042】
この実施形態は、より一層早期の危険検知が可能であるとの利点を有する。
【0043】
第一の実施例では、本システムは、更に、自動車の衝突のない運動軌道を特定する第四の特定手段と、自動車による衝突のない運動軌道を自動で採用して実現する衝突回避装置とを備える。
【0044】
この実施形態は、衝突が推定される場合に、然るべき自動車の回避行動を単独で実行可能な能力を自動車に付与できるとの利点を有する。
【0045】
従って、本発明は、自動車の緊急出動により道路交通で起こり得るような異常事態のために発生する可能性のある危険な状況を予測して、それが起こる前に然るべく警告することを可能にする。
【0046】
以下において、本発明を図面に基づき詳しく説明する。