特許第6792620号(P6792620)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792620
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】無結節縫合糸アンカー及び留置具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20201116BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   A61B17/04
   A61B17/56
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-531587(P2018-531587)
(86)(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公表番号】特表2019-500950(P2019-500950A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】US2016067114
(87)【国際公開番号】WO2017106608
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2018年8月14日
(31)【優先権主張番号】62/268,028
(32)【優先日】2015年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593026993
【氏名又は名称】コンメッド コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】ロンバルド,ジューゼッペ
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−045393(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0013608(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0245901(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/149764(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0053624(US,A1)
【文献】 特開2008−36435(JP,A)
【文献】 特表2010−537676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレ状インプラント留置具であって、
近位端及び遠位端を有し、長手方向軸線に沿って延びる細長いカニューレ状駆動軸と、
前記駆動軸の遠位端に着脱可能に取り付けられるカニューレ状インプラントと、
近位ハンドルと該近位ハンドルの遠位に配置されるノブとを備え、前記駆動軸の近位端に接続されるハンドルアセンブリと、
前記駆動軸において、前記ノブの遠位に配置されたくさび形止め具
とを備え、
前記くさび形止め具は、前記インプラントが骨組織の部分に形成されたパイロット穴に配置され該パイロット穴内で縫合糸の遠位部分を固定しようとするとき、該縫合糸の近位部分と該縫合糸の遠位部分との間に延びる該縫合糸の第1の印加張力値となるように、前記インプラントの遠位端から延びる前記縫合糸の近位端を固定すべく構築され、構成され、かつ配置され、また、第1の方向への前記近位ハンドルの軸周り回転に基づいて前記ノブから遠位方向に移動するよう構成されるように、前記駆動軸に接続され、
前記インプラント、前記近位ハンドル及び前記くさび形止め具のそれぞれは、前記インプラントが前記第1の方向に回転され前記パイロット穴内で遠位方向に進められるとき、前記第1の方向への前記近位ハンドルの軸周り回転が前記第1の方向への前記インプラントの軸周り回転及び前記第1の印加張力値の少なくとも50%の維持となるように、前記駆動軸に接続される
留置具。
【請求項2】
前記インプラントが前記第1の方向に回転され前記パイロット穴内で遠位方向に進められるとき、前記第1の方向への前記近位ハンドルの軸周り回転が前記第1の方向への前記インプラントの軸周り回転及び前記第1の印加張力値の約100%の維持となる、請求項1に記載の留置具。
【請求項3】
前記くさび形止め具は、前記インプラントが遠位方向に進められるとき、遠位方向に同じ距離を移動するよう構成されるように、前記駆動軸に接続される、請求項1に記載の留置具。
【請求項4】
前記インプラントは、前記インプラントの外面の少なくとも一部に沿って延びる雄ねじ部を含む、請求項3に記載の留置具。
【請求項5】
前記駆動軸は、前記駆動軸の外面の少なくとも一部に沿って延びる雄ねじ部を含むと共に、前記ノブは、前記ノブの内面の少なくとも一部に沿って延びる雌ねじ部を含み、前記駆動軸の雄ねじ部は、ねじ付き接触面を形成する前記ノブの雌ねじ部と嵌合し、前記駆動軸の雄ねじ部は、前記第1の方向への前記近位ハンドルの軸周り回転に応じて、遠位方向に移動するように構成される、請求項4に記載の留置具。
【請求項6】
前記インプラントの雄ねじ部のピッチは、前記駆動軸の雄ねじ部のピッチとほぼ同じである、請求項5に記載の留置具。
【請求項7】
前記ノブは、前記駆動軸に固定されておらず、前記駆動軸の周りを回転するように構成される、請求項1に記載の留置具。
【請求項8】
前記縫合糸は、前記駆動軸の近位端と遠位端との間で該駆動軸の側方部に形成された口部を経由し、前記インプラントの遠位端から該駆動軸を通って、前記縫合糸が固定される前記くさび形止め具に配置される、請求項1に記載の留置具。
【請求項9】
前記インプラントの遠位端の開口部を経由して、前記駆動軸の近位端と該駆動軸の遠位端との間で該駆動軸の側方部に形成された口部から該駆動軸を通って配置される縫合糸通し器を更に備え、該縫合糸通し器は、縫合糸の一部を捕捉するのに十分な前記インプラントの遠位端に対して遠位に配置される縫合糸止め具を備える、請求項8に記載の留置具。
【請求項10】
前記縫合糸止め具は、アイレットとして形成される、請求項9に記載の留置具。
【請求項11】
前記近位ハンドルは、前記第1の方向にのみ前記近位ハンドルの軸周り回転を可能にするように構成されたロック機構をさらに備える、請求項1に記載の留置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年12月16日に出願された米国仮特許出願第62/268,028号の優先権を主張し、その内容は、その全体が参照により、本明細書に依拠し、援用される。
【0002】
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、軟部組織及び骨に材料を固定するアンカーに関し、具体的には、手術/修復部位においてフィラメント状材料及び軟部組織を無結節により(knotlessly)固定する縫合糸アンカー及び縫合糸アンカー留置具(deployment devices)に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
縫合糸アンカーは、一般に、軟部組織を骨に固定する外科的処置時に利用される。このようなアンカーは、通常、骨のあらかじめ形成された穴(「パイロット穴」)に挿入され、フィラメント状材料(例えば、縫合材料/縫合糸)の一部がアンカーから穴の外に延び、そして、縫合材料が、修復する組織を通る。組織がいったん骨に接近すると、外科医は、1以上の結び目を作って縫合糸を固定することができる。結び目を作る行為は、特に関節鏡下で(arthroscopically)行う際に、外科医には数多くの課題が生じる。米国特許第8,409,252号の第1欄、24〜41行目を参照されたい。さらに、場合によっては、多数の結び目からの刺激作用によって引き起こされる術後疼痛の原因として、結び目が関与している。
【0004】
外科医が結び目を作る必要なく、縫合糸を適所に固定する、種々の種類の縫合糸アンカーが開発されている。通常、これらの従来の縫合糸アンカーに関して、縫合糸は、2つの対向面の間に捕捉され、摩擦によって適所に保持される。一部の構成では、2つのアンカー構成部品間の縫合糸を捕捉するのに対し、他のものは、アンカーと骨トンネルとの間の締まりばめを利用する。骨の品質が十分であれば、後者の方法によって単純性がもたらされる。
【0005】
関連技術の説明の項についての但し書き:特定の特許/刊行物/製品が、この関連技術の説明の項、又は本開示の他の箇所において上述されている範囲では、これらの論述は、論述された特許/刊行物/製品が特許法の目的による先行技術であることを認めるものと解する必要はない。例えば、論述された特許/刊行物/製品のうちの一部若しくはすべては、時間的に十分に早くなくてもよく、時間的に十分に早く生じた主題を反映していなくてもよく、及び/又は特許法の目的による先行技術に相当する程度に十分に可能でなくてもよい。特定の特許/刊行物/製品が、この関連技術の説明の項、及び/又は本出願の全体において上述されている範囲では、これらの説明/開示はすべて、これらのそれぞれの全体が本書類への参照により、本明細書に援用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態によって、従来の縫合糸アンカー及びこれらの留置具についての潜在的な課題及び/又は欠点が存在することが認められる。例えば、適切な縫合糸張力の調整及び維持は困難であることがあり、課題はまだ残っている。したがって、結び目を作る必要なく縫合糸を固定し、そして、アンカー設置時に縫合糸張力の調整及び維持能を促進する、使用が簡単な縫合糸アンカーの必要性が存在する。本発明の種々の実施形態は、本明細書において論じる、1つ以上の潜在的な課題及び/又は欠点を解決するか又は低減できるという点で、好適であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、無結節縫合糸アンカー(knotless suture anchor)及び無結節縫合糸アンカーの留置具の、本発明による構成、構造、及び結果として得られる機能を対象とする。本明細書の種々の実施形態は、カニューレ状(cannulated)インプラント留置具において、長手方向軸線に沿って延び、近位端及び遠位端を含む、細長いカニューレ状駆動軸と、駆動軸の遠位端に着脱可能に取り付けられたカニューレ状インプラントと、駆動軸の近位端に接続され、近位ハンドル及び近位ハンドルの遠位に配置されたノブを備えたハンドルアセンブリと、ノブの遠位の駆動軸に配置されたくさび形止め具であり、インプラントの遠位端から延びる縫合糸の近位端を固定し、その結果、インプラントが、骨組織の部分に形成されたパイロット穴に配置されてパイロット穴内に縫合糸の遠位部分を固定するときに、縫合糸の近位部分と縫合糸の遠位部分との間を延びる縫合糸の第1の印加張力値(first applied tension value)が生じるように構築され、構成され、配置されたくさび形止め具と、を含み、インプラント、近位ハンドル及びくさび形止め具がそれぞれ、駆動軸に接続され、第1の方向における近位ハンドルの軸線方向回転によって、インプラントが第1の方向において軸線方向に回転し、また、インプラントが第1の方向において回転しパイロット穴内を遠位方向に進むときに、第1の印加張力値の少なくとも50%が維持されるが、これらに限定されないカニューレ状インプラント留置具を対象とする。
【0008】
実施形態によれば、第1の方向における近位ハンドルの軸線方向回転によって、インプラントが第1の方向において軸線方向に回転し、また、インプラントが第1の方向において回転しパイロット穴内を遠位方向に進むときに、第1の印加張力値の約100%が維持される。
【0009】
実施形態によれば、くさび形止め具は、第1の方向における近位ハンドルの軸線方向回転時にノブから遠位方向に移動するように、駆動軸に接続される。
【0010】
実施形態によれば、くさび形止め具は、遠位方向において、インプラントが遠位方向に進むのと同じ距離を移動するように、駆動軸に接続される。
【0011】
実施形態によれば、インプラントは、インプラント外面の少なくとも一部に沿って延びる雄ねじ部を含有する。
【0012】
実施形態によれば、駆動軸は、駆動軸外面の少なくとも一部に沿って延びる雄ねじ部を含有し、ノブは、ノブ内面の少なくとも一部に沿って延びる雌ねじ部を含有し、駆動軸の雄ねじ部は、ねじ付き接触面(threaded interface)を形成するノブの雌ねじ部と嵌合し、駆動軸の雄ねじ部は、第1の方向における近位ハンドルの軸線方向回転に応じて、遠位方向に移動するように構成される。
【0013】
実施形態によれば、インプラントの雄ねじ部のピッチは、駆動軸の雄ねじ部のピッチとほぼ同じである。
【0014】
実施形態によれば、ノブは駆動軸に固定されておらず、駆動軸の周りを回転するように構成される。
【0015】
実施形態によれば、縫合糸は、駆動軸を通り、インプラントの遠位端から、駆動軸の近位端と遠位端との間の駆動軸の側方部に形成された口部を介して、縫合糸が固定されるくさび形止め具まで配置される。
【0016】
実施形態によれば、カニューレ状インプラント留置具は、さらに、縫合糸通し器であり、駆動軸を通り、駆動軸の近位端と駆動軸の遠位端との間の駆動軸の側方部に形成された口部から、インプラント遠位端の開口部を介して配置された縫合糸通し器を備え、この縫合糸通し器は、縫合糸の一部を捕捉するのに十分なインプラントの遠位端の遠位に配置された縫合糸止め具を備える。
【0017】
実施形態によれば、縫合糸止め具は、アイレットとして形成される。
【0018】
実施形態によれば、ハンドルは、第1の方向においてのみハンドルを軸線方向に回転させるように構成されたロック機構をさらに備える。
【0019】
別の態様によれば、カニューレ状インプラントを、骨組織の部分に形成されたパイロット穴に留置する方法には、カニューレ状インプラント留置具を供する段階であり、カニューレ状インプラント留置具が、長手方向軸線に沿って延び、近位端及び遠位端を備えた、細長いカニューレ状駆動軸と、駆動軸の遠位端に着脱可能に取り付けられたカニューレ状インプラントと、駆動軸の近位端に接続され、近位ハンドル及び近位ハンドルの遠位に配置されたノブを備えたハンドルアセンブリと、ノブの遠位の駆動軸に配置されたくさび形止め具と、を含む段階と、インプラントの遠位端からくさび形止め具まで延びる縫合糸の近位端を固定する段階と、インプラントをパイロット穴に挿入して、パイロット穴内に縫合糸の第1の遠位部分を固定し、縫合糸の近位部分と縫合糸の第1の遠位部分との間を延びる縫合糸の第1の印加張力値を形成する段階と、第1の方向において近位ハンドルを回転させて、インプラントを第1の方向において回転させ、インプラントが第1の方向において回転しパイロット穴内を遠位方向に進むときに、第1の印加張力値の少なくとも50%が維持される段階と、が含まれる(ただし、これらに限定されない。)。
【0020】
実施形態によれば、第1の方向において近位ハンドルを回転させる段階によって、インプラントが第1の方向において回転し、インプラントが第1の方向において回転しパイロット穴内を遠位方向に進むときに、第1の印加張力値の約100%が維持される。
【0021】
実施形態によれば、第1の方向において近位ハンドルを回転させる段階によって、軟部組織の部分に取り付けられた縫合糸の第2の遠位部分に張力がかかり、軟部組織の部分を骨組織の部分に並置させる。
【0022】
実施形態によれば、回転させる段階によって、くさび形止め具は、ノブから遠位方向に移動する。
【0023】
実施形態によれば、回転させる段階によって、くさび形止め具は、遠位方向において、インプラントが遠位方向に進むのと同じ距離を移動する。
【0024】
実施形態によれば、方法には、さらに、縫合糸通し器を有した留置具を供する段階が含まれ、縫合糸通し器が、駆動軸を通り、駆動軸の近位端と駆動軸の遠位端との間の駆動軸の側方部に形成された口部から、インプラント遠位端の開口部を介して配置され、縫合糸通し器が、インプラントの遠位端の遠位に配置された縫合糸止め具を備える。
【0025】
実施形態によれば、方法には、さらに、縫合糸止め具によって縫合糸を捕捉する段階と、縫合糸を駆動軸(driver)に通し、インプラントの遠位端から、駆動軸の近位端と駆動軸の遠位端との間に配置された口部を介して、固定段階の前に縫合糸が固定されるくさび形止め具まで引っ張る段階と、が含まれる。
【0026】
更なる態様によれば、カニューレ状無結節アンカーインプラントが提供され、このインプラントには、近位端と遠位端との間を長手方向軸線に沿って延びる細長い本体と、細長い本体の外面の少なくとも一部の周りに配置された複数のねじ山と、が含まれ、複数のねじ山の密度は、外面とともに変化する。
【0027】
本明細書において用語が用いられ説明されている縫合材料又は縫合糸としては、モノフィラメント又はマルチフィラメント縫合糸とともに、縫合糸の機能を果たすのに適した、他の金属又は非金属フィラメント状又はワイヤ状材料が挙げられる。この材料としては、生体吸収性材料と非吸収性材料の両方を挙げることができる。
【0028】
本明細書において用語が用いられ説明されている無結節縫合糸アンカー/インプラントは、生体適合性及び/又は生体吸収性材料から形成され得る。これらの材料は、例えば骨の治癒過程時に、身体によって再吸収されるような組成であってもよい。内側部材及び外側部材に用いるのに適した、例示的な材料としては、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)、ポリ乳酸/β‐リン酸三カルシウム(「PLA/β‐TCP」)複合材料、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)、並びに他の金属、非金属及び高分子材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明は、添付図面と併せて次の詳細な説明を読み取ることにより、更に十分に理解され認識される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】実施形態に係る、カニューレ状無結節アンカーインプラントを有した無結節アンカー留置具の斜視概略図である。
【0031】
図1B】実施形態に係る、図1Aに示されているカニューレ状無結節アンカーインプラントを有した無結節アンカー留置具の遠位端の斜視概略図である。
【0032】
図1C】実施形態に係る、図1Aに示されている無結節アンカー留置具の中間から近位端の側面概略図である。
【0033】
図1D】実施形態に係る、図1Cに示されている無結節アンカー留置具の断面B‐Bの斜視概略図である。
【0034】
図1E】実施形態に係る、図1Dに示されている無結節アンカー留置具の断面「D」の拡大斜視概略図である。
【0035】
図1F】実施形態に係る、図1Dに示されている無結節アンカー留置具の断面「C」の拡大斜視概略図である。
【0036】
図2】本発明の実施形態に係る方法を示すフローチャートである。
【0037】
図3】実施形態に係る軟部組織の部分及び骨の部分とともに、カニューレ状無結節アンカーインプラントを有した無結節アンカー留置具の遠位端の斜視概略図である。
【0038】
図4A】実施形態に係るカニューレ状無結節アンカーインプラントを有した無結節アンカー留置具の斜視概略図である。
【0039】
図4B】実施形態に係る、図4Aに示されている無結節アンカー留置具の断面「A」の拡大斜視概略図である。
【0040】
図5】実施形態に係る、図4Aに示されている無結節アンカー留置具の中間から近位端の斜視概略図である。
【0041】
図6】実施形態に係る軟部組織の部分及び骨の部分とともに、カニューレ状無結節アンカーインプラントを有した無結節アンカー留置具の遠位端の斜視概略図である。
【0042】
図7】実施形態に係るインプラント及び縫合糸を用いて骨の部分に固定された軟部組織の部分の斜視概略図である。
【0043】
図8】実施形態に係る留置具の駆動軸の遠位端に取り付けられたインプラントの長手方向断面概略図である。
【0044】
図9】実施形態に係るハンドル内のラチェット又はロック機構を示す、ハンドル近位端の断面図である。
【0045】
図10】実施形態に係るカニューレ状無結節アンカーインプラントの斜視図である。
【0046】
図11】他の実施形態に係るカニューレ状無結節アンカーインプラントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
ここで図面を参照すると、全体を通して同様の参照符号は、同様の部分を意味し、図1Aには、長手方向軸線に沿って延び、(ハンドル8内に配置され、図1Dに示されている)近位端4と、(カニューレ状無結節アンカーインプラント14内に配置される)遠位端6とを備えた、細長いカニューレ状駆動軸2を含む無結節アンカー留置具10が見られる。カニューレ状無結節アンカーインプラント14は、駆動軸2の遠位端6に着脱可能に取り付けられ、雄ねじ部を含有することが好ましい(ただし、雄ねじ部を含む必要はない。)。ハンドルアセンブリは、駆動軸2の近位端4に接続され、ハンドルアセンブリには、近位ハンドル8と、近位ハンドル8の遠位に配置されたノブ10と、が含まれている。くさび形止め具12は、ノブ11の遠位の駆動軸2に配置されている。くさび形止め具は、駆動軸2の周囲に配置された中央円筒状部分12‐2と、2つのくさび形翼部分12‐4と、から形成されている(図4A〜4Bを参照)。縫合糸通し器16は、駆動軸の近位端と駆動軸の遠位端との間の駆動軸2の側方部に形成された口部18(穴又はチャネルであり得る。)を介して配置され、また、インプラント14の遠位端の開口部20を通って延び得る。糸通し器16には、糸通し器16の近位端に取り付けられた指グリップ22と、糸通し器の遠位端に取り付けられた縫合糸止め具24と、が含まれ、縫合糸止め具は、縫合糸26の一部を捕捉するのに十分なインプラント14の遠位端の遠位に配置され得る。図示されている縫合糸止め具24は、アイレットのような形状をしている。ただし、縫合糸26の一部を捕捉するのに十分な、あらゆる形状又は構造上の構成が考えられる。
【0048】
図1Cに移ると、実施形態に係る、図1Aに示された無結節アンカー留置具の中間から近位端の側面概略図が示されている。ハンドル8、ノブ11及びくさび形止め具12が示されている。図1Dを参照すると、実施形態に係る、図1Cに示された無結節アンカー留置具の断面B‐Bの斜視概略図が示されている。図1Eは、実施形態に係る、図1Dに示された無結節アンカー留置具の断面「D」の拡大斜視概略図を示している。ねじ山46は駆動軸2の外面の一部に示され、ねじ山44はノブ11の内側に示されており、ねじ付き接触面48とねじ山46とを形成している。ねじ付き接触面に対向するくさび形止め具12の一部分には、歯42であり、駆動軸2に形成されたスロット40に嵌め込まれる歯が含まれており、スロットは、駆動軸2をくさび形止め具12に接続する。図1Fを参照すると、実施形態に係る、図1Dに示された無結節アンカー留置具の断面「C」の拡大斜視概略図が示されている。駆動軸2に形成されたスロット40に嵌め込まれる歯42と同様に、駆動軸2をハンドル8に接続する軸2/ハンドル8の接触面50が示されている。くさび形止め具12と駆動軸2との間の歯42/スロット40の接続は、くさび形止め具12を駆動軸2とともに軸線方向に回転させるように構成され及び/又は構築されている。この軸線方向移動は、ハンドル8の軸線方向回転時に生じ得るが、軸2/ハンドル8の接触面50の接続に基づいて駆動軸2を軸線方向に回転させるように構成され及び/又は構築されている。
【0049】
例示的実施形態によれば、図2には、カニューレ状無結節アンカーインプラント14を無結節アンカー留置具10とともに、骨30の部分に形成されたパイロット穴32に留置する方法200が示されている。本明細書では、図2に示されている方法のステップを、本開示の他の図を参照して説明する。ステップ202において、縫合糸26の一部/長さの自由端部を、軟部組織28の部分の一端部に通して取り付け(図1Bを参照)、縫合糸止め具24に通す。図1Bは、パイロット穴32が形成された骨30の部分も示している。
【0050】
ステップ204において、縫合糸通し器16の指グリップ22を近位方向に引き、捕捉された縫合糸を、カニューレ状駆動軸2に通し、駆動軸の側方部に形成された口部18を介してインプラントの遠位端の開口部20から引っ張る。
【0051】
ステップ206において、カニューレ状無結節アンカーインプラント14を修復部位(パイロット穴32)に進め、たるんだ縫合糸26を、駆動軸2に通し、駆動軸の側方部に形成された口部18を介してインプラントの遠位端の開口部20から引っ張り続け、軟部組織28の部分を、カニューレ状無結節アンカーインプラント14の遠位先端部、及びパイロット穴32に隣接させる(図3を参照)。
【0052】
ステップ208において、縫合糸26の近位端を、例えばくさび形止め具のくさび形翼部分(図4A〜4Bを参照)のいずれかに、被覆することによってくさび形止め具12に固定し、その後、カニューレ状無結節アンカーインプラント14の遠位先端部を、パイロット穴32に挿入して、インプラント14とパイロット穴32との間に縫合糸の遠位部分をピン止めする。このステップによって、インプラントがパイロット穴32に配置されてパイロット穴32内に縫合糸の遠位部分を固定するときに、(くさび形止め具12に取り付けられた)縫合糸の近位部分と、(パイロット穴32内の)縫合糸の遠位部分との間を延びる縫合糸の第1の印加張力値が生じ得る。ハンドル8の回転によって、第1の印加張力値(初期張力値よりも大きな張力であり、本開示の検討に関して当業者によって認識されるように、いくらかの「たるみ」を含む、通常緩い縫合糸であり得る。)の形成が促進され、軟部組織28の部分を骨に並置させることができる。または、一方向(例えば、反時計回り)におけるノブ11の回転によって、くさび形止め具12を、ノブ11から軸線方向かつ遠位方向に延ばし、また、第2の方向(例えば、時計回り)におけるノブの回転によって、くさび形止め具12を、ノブ11に近づけ(軸線方向かつ近位方向に移動させ)、これにより、それぞれ、張力値を低減するか又は増やすことができる。くさび形止め具(及びくさび形止め具12に取り付けられた駆動軸2)のこの軸線方向移動は、くさび形止め具12及び駆動軸2の対応する回転なしに(くさび形止め具1及びハンドル8と同様に駆動軸2に固定されることは好ましくないため、駆動軸に対するノブの配置により)、印加張力値の形成及び維持の微調整を促進することができる。
【0053】
ステップ210において、ハンドル8を、第1の方向(例えば、時計回り、図5を参照)において軸線方向に回転させ、留置具10を遠位方向に進める。第1の方向におけるハンドル8の回転によって、(上述の構成などにより)軸2及びくさび形止め具12が第1の方向において軸線方向に回転する。また、この回転によって、インプラント14も(駆動軸2の遠位端へのその接続に基づいて)パイロット穴32において軸線方向に回転し、遠位方向におけるインプラント14によるパイロット穴32への進行が促進される。ノブ11は、ハンドル8が軸線方向に回転するときに、適所に保持されることが好ましく、また、駆動軸2及びくさび形止め具12と同様に、第1の方向に積極的に回転するように接続し、構成し及び/又は構築されていないことが好ましい(すなわち、駆動軸2に固定されていない)。ノブ11が適所に保持されていない場合、ノブ11は、留置具10の他の部分との摩擦嵌合に基づいて、第1の方向においてわずかに軸線方向に回転し得るが、ハンドル8、駆動軸2、及びくさび形止め具12と同じ速度などではない。
【0054】
第1の方向におけるハンドル8の軸線方向の回転ごとに、インプラント14が第1の方向において回転しパイロット穴内を遠位方向に進むとき(縫合糸のそれぞれの端部が、くさび形止め具に、そしてパイロット穴内にそれぞれ、固定されたままである限り)、第1の印加張力値の少なくとも50%(及び最大約100%)が維持される。実施形態によれば、第1の方向におけるハンドル8の軸線方向の回転時にノブ8から遠位方向に移動するように構成されたくさび形止め具に基づいて、第1の印加張力値の割合が維持される。第1の方向における軸線方向の回転時に、くさび形止め具12は、ノブ8から遠位方向において、インプラント14がパイロット穴14内を遠位方向に進むのと同じ距離を移動するように、駆動軸2に接続される。この遠位方向の移動は、(上述したように)駆動軸2の雄ねじ部46の形態によって達成することができ、雄ねじ部は、ノブ8の雌ねじ部とのねじ付き接触面48を形成し、第1の方向におけるハンドル8の軸線方向回転に応じて遠位方向に移動するように構成されている。インプラント14の雄ねじ部のピッチは、駆動軸2の雄ねじ部46のピッチとほぼ同じか、又は全く同じである(相当する)ことが好ましい。くさび形止め具12及びインプラント14はそれぞれ、第1の方向において軸線方向に回転し、また、ハンドル8が回転してインプラント14をパイロット穴32に進ませるときに、ピッチに対応する速度において遠位方向に平行移動する。
【0055】
とりわけ、縫合糸26が固定され、パイロット穴32に入れることができない場合、インプラント14は損傷を受け、軟部組織28の部分に張力をかけて組織を締め付ける(incarceration)か、又はパイロット穴32からインプラントが螺旋状に出る(auger out)ことがある。縫合糸26が保持されていなかった場合(又は、それ以外に、説明されているように、縫合糸に張力が維持されていないか、若しくは張力が低く維持されている場合)、骨への張力及び組織の並置を失う可能性があり、その結果、修復不良が生じる。
【0056】
ステップ212において、インプラント14を、その近位端が骨30の表面と同一平面上にあるようになるまで、進める(図6を参照)。
【0057】
ステップ214において、縫合糸をくさび形止め具12から取り外し、インプラント14を留置し、そして、駆動軸2を修復部位から取り出すことができる(図7を参照)。駆動軸2を、パイロット穴32内に配置されたインプラント14から引き抜き、インプラント1をパイロット穴32内に残す。図8に示されているように、インプラント14は、摩擦嵌めを介して駆動軸2の遠位端6に取り付けられる。インプラント14の内腔内の駆動軸2の管腔2‐2が示され、また、駆動軸の一部を収容しないインプラントの内腔14‐2も示されている。駆動軸2の遠位先端部は、インプラント14のカニューレ挿入部とわずかな干渉を生じるような大きさの円筒状部分を含有している。例えば、駆動軸2の遠位端の遠位部分の管腔とインプラント14の内腔との間には、段状接触面52が設けられている。この段状接触面52又は付加的な段状接触面は、駆動軸2の管腔とインプラント14との間の種々の位置に存在し得る。段状接触面の別の目的は、留置時に駆動軸2がインプラント14を越えて遠位方向に延びるのを防止しやすくすることである。摩擦嵌めの力は、インプラント14とパイロット穴32との間の嵌合の力よりも小さいことが好ましく、これによって、インプラント14がパイロット穴32内に留置された後に、留置具を、インプラント14及びパイロット穴32から容易に取り外すことができる。余分な縫合糸を骨表面と同一平面上に切りそろえ、修復を完了させることができる。
【0058】
一部の実施形態(図9を参照)において、ハンドル8には、さらに、ラチェット又はロック機構が含まれ、この機構には、歯を有した円形歯車54と、第1の方向においてのみハンドル8(そして、駆動軸2、くさび形止め具12、及びインプラント14)を軸線方向に回転させるように構成された付勢ばね式(spring loaded)/片持ちフィンガー(cantilevered finger)56と、が含まれ得る。ユーザがハンドルを第1の方向(時計回り)に回転させると、フィンガー56の遠位端は、円形歯車54の第1の組の歯間の嵌合部分から第2の組の歯へ移動し、円形歯車54は、反対方向(反時計回り)に移動しないように固定されている。この構成によって、インプラント14を操作してパイロット穴32に配置する間、張力が確実に維持されることが好ましい。ラチェット又はロック機構には、本開示の検討に関して当業者に認識されるように、一方向において軸線方向に回転させない、あらゆる種類の機構が含まれ得る。
【0059】
図10に移ると、実施形態に係るカニューレ状無結節アンカーインプラント14の斜視図が示されている。カニューレ状無結節アンカーインプラント14には、近位端14‐4と遠位端14‐6との間の長手方向軸線に沿って延びる細長い本体が含まれ得る。また、カニューレ状無結節アンカーインプラント14には、無結節アンカーインプラント14の外面の周りに配置されたねじ山14‐8も含まれ得る。ねじ山14‐8は、連続的であっても非連続的であってもよく、細長い本体の周りのそれぞれの回転体(revolution)又は外見上の回転体は、(ねじ山14‐8が連続的であっても)複数のねじ山を形成する別個のねじ山とみなすことができる。ねじ山14‐8は、(1)近位端の最も近位の部分から遠位端の最も遠位の部分まで、(2)近位端の最も近位の部分から、遠位端の最も遠位の部分の前の位置まで、(3)近位端の最も近位の部分と遠位端の最も遠位の部分との間の位置から、近位端の最も近位の部分と遠位端の最も遠位の部分との間の別の位置まで、又は、(4)前述した位置(若しくはカニューレ状無結節アンカーインプラント14の外側部分の外面における他の位置)の組合せで、延び得る。ねじ山14‐8は、カニューレ状無結節アンカーインプラント14の外面の周り全体に、カニューレ状無結節アンカーインプラント14の外面の周りに部分的に(例えば、周り全体の1/4、1/2、3/4)配置されるか、又は、これらの組合せを含み得る。加えて、多数のねじ山の密度は、カニューレ状無結節アンカーインプラント14の外面とともに変化し得る。例えば、カニューレ状無結節アンカーインプラント14の外面の周りに配置される、多数のねじ山14‐8の密度は、遠位端14‐6と遠位端14‐6に向かってほぼ半分のところとの間の無結節アンカーインプラント14の外面の周りに配置される、多数のねじ山14‐8´の密度と比較して、近位端14‐4と遠位端14‐6に向かってほぼ半分のところとの間において大きくなっていてもよい。さらに、細長い本体の内腔14‐2は、2つ以上の径を有してもよく、例えば、近位端14‐4には、遠位端14‐6よりも大きな径が含まれていてもよい。この径の差は、細長い本体の部分間の形状の相違(例えば、円錐形と、種々のサイズの円筒状部分)、又は、細長い本体の内壁部分の厚さの変化を基準とした、長手方向軸線に沿った所定の点における内腔サイズの縮小若しくは拡大に基づき得る。
【0060】
図11に移ると、他の実施形態に係るカニューレ状無結節アンカーインプラント14´の斜視図が示されている。カニューレ状無結節アンカーインプラント14´の特徴の大部分は、カニューレ状無結節アンカーインプラント14に類似している。ただし、カニューレ状無結節アンカーインプラント14´には、横方向に配置された少なくとも1つの穴14‐12も含まれ、この穴は、内腔14‐2を実質的に横断している。縫合糸26が示されているが、穴14‐12を通して配置されている。横方向に配置された1つ又は複数の穴14‐12は、外面の1つの部分を通して、又は外面の2つの部分を通して、配置することができ、互いに直接向かい合っていてもよいが、そうである必要はなく、互いに隣り合っていてもよい。
【0061】
本発明の実施形態を、特定の例示的実施形態を参照して具体的に示し説明してきたが、当業者であれば、記載されている説明及び図面により裏付けることができる特許請求の範囲によって規定されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、詳細に種々の変更を行えることが理解される。さらに、例示的実施形態が特定の数の要素に関して説明されている場合、例示的実施形態は、特定の数よりも多いか又は少ない要素を利用できることが理解される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11