(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の流路(1A; 2A)及び第2の流路(1B; 2B)を含む、バイオプリンタースプレーヘッドアセンブリであって、ここで、前記第1の流路(1A; 2A)の出口が、前記第2の流路(1B; 2B)の出口に隣接し、前記第2の流路(1B; 2B)の前記出口が、そこから噴霧された第2の材料を、前記第1の流路(1A; 2A)の前記出口から噴霧される第1の材料に向かって移動させるように構成され、前記第2の流路(1B; 2B)の前記出口から噴霧される前記第2の材料と前記第1の流路(1A; 2A)の前記出口から噴霧される前記第1の材料が一緒に組み合わされるように、流体プリンティングユニットを形成し、
ここで、前記バイオプリンタースプレーヘッドアセンブリが、スプレーヘッド本体(11)及び延長ロッド(12)を含み、前記第1の流路(1A)が、前記スプレーヘッド本体(11)の出口と連通し、前記延長ロッド(12)が、前記スプレーヘッド本体(11)の前記出口に隣接して設けられ、開放凹部(1E)が、前記スプレーヘッド本体(11)に隣接する前記延長ロッド(12)の端面に設けられ、前記スプレーヘッド本体(11)の前記出口が、前記開放凹部(1E)内に突出し、及び前記スプレーヘッド本体(11)の外壁と前記開放凹部(1E)の内壁の間の環状空間が、前記第2の流路(1B)として機能し、ここで、前記第2の流路(1B; 2B)が、その出口に向かう方向に沿って少なくとも部分的にテーパになっており、前記第2の流路(1B)の前記出口で、前記開放凹部(1E)の前記内壁が、前記スプレーヘッド本体(11)の前記外壁よりも下部にある、バイオプリンタースプレーヘッドアセンブリ。
前記第2の流路(1B; 2B)及び前記第1の流路(1A; 2A)が、それぞれの出口に隣接して互いに徐々に近接される、請求項1に記載のバイオプリンタースプレーヘッドアセンブリ。
【背景技術】
【0002】
3D生物学的プリンティングとは、3Dプリンティングの原理及び方法によって、生物学的材料(天然の材料及び合成材料又は細胞溶液を含む)を、設計された3次元構造にプリントすることを指し、これは3Dプリンティング技術とは異なる。3D生物学的プリンティング技術によって産生された生物学的組織又は器官はまた、ある種の生物学的機能を有し、細胞及び組織のさらなる成長のための条件を与える必要がある。上記の特性のために、まさに、3D生物学的プリンティング技術は、開発における多くの特定の技術的問題に直面している。
【0003】
その中でも、3D生物学的プリンティングの分野において、細胞をプリンティング材料とする技術は、細胞の3次元プリンティング技術と呼ばれている。人々は、細胞及び生態適合性材料を利用してバイオインクを作製することが出来る。ノズルは、バイオインクを移動して噴霧し、そしてスプレーヘッドの動きは、バイオインクをプリントするためのプログラムによって制御される。バイオインクは、予め設定された標的プリントオブジェクトの3次元的に構成されたデジタルモデルに従ってプリントされる。
【0004】
先行技術におけるバイオプリンティングのためのスプレーヘッドは、注射針のノズルと同様であり、これはバイオプリンターに直接取付けられる。このような単純な構造を有するバイオプリンターのスプレーヘッド装置は、主に活性細胞をステント材料に充填するために使用されるが、プリンティング前に包まれ得ない。さらに、スプレーヘッドを介してプリンティングプラットホームに細胞を直接噴霧する工程において、細胞上のノズルの側壁の押出圧力及び摩擦力は、バイオインク内の細胞を大きく損傷させる可能性があり、その結果、細胞の生存率に悪影響が生じる可能性があり、生物学的構築物の構築にさらに影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0005】
このような技術的欠点を克服するため、本開示によって解決される技術的課題は、複数のプリンティング材料を同時にプリントするためのバイオプリンタースプレーヘッドアセンブリ及びバイオプリンターを提供することにある。さらに、複数のプリンティング材料は、プリンティング前に組み合わせられ得る。例えば、バイオインクとしての第1の材料は、好ましくは、第2の材料を用いて包まれ、その結果、噴霧されたバイオインクの細胞を可能な限り損傷から保護するという利点も有する。
【0006】
上記の技術的課題を解決するために、本開示の第1の態様は、スプレーヘッドアセンブリが、内部に第1の流路及び第2の流路を備えるという技術的解決策を提供し、ここで、第1の流路の出口は、第2の流路の出口に隣接し、第2の流路の出口は、そこから噴霧される第2の材料を、第1の流路の出口から噴霧される第1の材料の方向に向かって移動させるように構成され、第2の流路の出口から噴霧された第2の材料と第1の流路の出口から噴霧された第1の材料が一緒に組み合わせられるように流体プリンティングユニットを形成する。
【0007】
そのような技術的解決策において、第2の流路は、第2の材料を第1の材料の方向に向けて徐々に収束することができ、第2の材料と第1の材料を一緒に組み合わせる。例えば、第2の材料は、細胞を保護するために生物学的プリンティング材料の流体プリンティングユニットを形成するように第1の材料を包むように作られ得、それによって、プリンティング工程で供される押出圧力及び摩擦力によって生じる細胞の損傷を低減する。
【0008】
さらに、第2の流路は、その出口に向かう方向に沿って少なくとも部分的に、テーパになっている。
【0009】
改善された技術的解決策において、第2の流路は、少なくとも部分的にテーパになっており、第2の材料の圧力が、上昇し、その流速を高めることを可能にし、第1の流路の出口で第1の材料をより良好に包む。
【0010】
さらに、第2の流路は、第1の流路の出口に隣接してテーパになっている。
【0011】
改善された技術的解決策において、第2の流路は、第1の流路の出口に隣接してテーパになっており、その結果、出口に隣接する位置で第1の材料に向かう方向に沿って第2の材料に圧力が加えられ得、第2の材料を第1の材料の方向に向かって噴霧するようにガイドし、第1の材料をより良好に包む。
【0012】
さらに、第2の流路は、第1の流路に隣接し、その出口に向かう方向に沿った円錐形セクションを有する。
【0013】
改善された技術的解決策において、第1の流路の出口に隣接する第2の流路のセクションは、円錐形であり、これは第2の材料よりも優れたガイド効果を有し、同じ高さでの第2の材料と同じ流速を可能にする。従って、第2の流路の出口に到達する流速も実質的に同じになり、第2の材料が第1の材料を均一に覆うことを達成する。
【0014】
さらに、第2の流路及び第1の流路は、各出口に隣接してお互いに徐々に接近する。
【0015】
さらに、バイオプリンタースプレーヘッドアセンブリは、スプレーヘッド本体及び延長ロッドを含み、ここで、第1の流路は、スプレーヘッド本体の出口と連通し、延長ロッドは、スプレーヘッド本体の出口に近接して設けられ、開放凹部が、延長ロッドの端面に設けられ、スプレーヘッド本体の出口は、開放凹部内に突出しており、スプレーヘッド本体の外壁と開放凹部の内壁の間の環状空間が、第2の流路として機能する。
【0016】
第1の実施形態の技術的解決策において、スプレーヘッド本体に隣接する延長ロッドの端面にテーパになった開放凹部を設けることにより、スプレーヘッド本体の出口と開放凹部の出口の間に封止空洞が形成され、第2の材料が、スプレーヘッド本体の外壁と開放凹部の間の第2の流路を通って封止空洞に入ることができ、及びスプレーヘッド本体から噴霧された第1の材料が、開放凹部内を流れる流体プリンティングユニットを形成するために包まれる。開放凹部は、混合流体の収束に有利であり、封止空洞内の混合流体のより安定した流れ方向を確保する。
【0017】
さらに、開放凹部の内壁の傾斜は、スプレーヘッド本体の外壁の傾斜よりも大きい。
【0018】
第1の実施形態の技術的解決策において、開放凹部の内壁の傾斜は、スプレーヘッド本体の外壁の傾斜よりも大きく、その結果、テーパになった第2の流路が、第1の流路に隣接するスプレーヘッド本体の外壁と開放凹部の内壁の間に形成され得、より良好な包み効果を実現する。
【0019】
さらに、第2の流路の出口において、開放凹部の内壁は、スプレーヘッドの内壁よりも下部にある。
【0020】
第1の実施形態の技術的解決策において、開放凹部の内壁はスプレーヘッド本体の外壁よりも下部にあり、その結果、開放凹部によって形成される延長部分が、第1の流路の出口に向かう方向に沿ってさらにテーパになり得、第2の材料を第1の材料に向かってさらに収束することをガイドし、第1の材料をより適切に包み込むことを容易にする。
【0021】
さらに、バイオプリンタースプレーヘッドアセンブリは、第1のチャネルを有する外側ノズルと、第2のチャネルを有する内側ノズルを含み、ここで、内側ノズルが、第1のチャネルを備え、第2のチャネルが第1の流路を形成し、及び外側ノズルの内壁と内側ノズルの外壁の間の環状空間が、第2の流路として機能する。
【0022】
第2の実施形態の技術的解決策において、内外層を有する2層ノズル構造を用いることによって、噴霧工程において、第2の材料が、第1の材料に収束するために連続的にガイドされ得、その結果、第1の材料は、ノズルの出口で包まれ、それによって、ノズルの出口から噴霧される際に、機械的な摩擦力の影響による第1の材料の損傷を回避する。
【0023】
さらに、第2の流路の出口で、外側ノズルの内壁が、内側ノズルの外壁より下部にある。
【0024】
第2の実施形態の改善された技術的解決策において、外側ノズルの内壁は、内側ノズルの外壁よりも下部にあり、その結果、外側ノズルの延長部分が、第1の流路の出口に向かう方向に沿ってさらにテーパになり得、第2の材料を第1の材料に向かってさらに収束させるようにガイドし、第1の材料をより適切に包み込むことを容易にする。
【0025】
さらに、外側ノズルの内壁の傾斜は、内側ノズルの外壁の傾斜よりも大きい。
【0026】
第2の実施形態の改善された技術的解決策において、外側のノズルの内壁の傾斜が、内側ノズルの外壁の傾斜よりも大きく、第2の流路が、第1の流路の出口に向かう方向に沿って、第1の流路の出口に隣接してテーパになることを可能にし、第2の材料を噴霧工程において中心にさらに収束するようにガイドし、ラッピングをよりよく実現する。
【0027】
上記技術的問題を解決することを目的に、本開示の第2の形態は、上記実施形態によるバイオプリンタースプレーヘッドアセンブリを含むバイオプリンターを提供する。
【0028】
基本的な技術的解決策において、バイオプリンターは、高品質の生物学的プリンティング材料を得ることによって、産生された種々の生物学的構築物を、高い活性且つ、長い使用寿命で維持することが出来る。
【0029】
従って、上記の技術的解決策に基づいて、本開示は、バイオプリンタースプレーヘッドアセンブリを提供する。これは、第1の流路及び第2の流路を提供し、及び第2の流路の出口に隣接する第1の流路の出口を作製し、第2の流路の出口が、そこから噴霧される第2の材料を第1の材料に向かって移動させるように構成され、第2の流路の出口から噴霧された第2の材料が、第1の材料の流路の出口から噴霧された第1の材料を包むことを可能にし、細胞を保護するために生物学的プリンティング材料の流体プリンティングユニットを形成し、それによって、プリンティング工程において供される押出圧力及び摩擦力によって生じる細胞損傷を低減し、細胞の生存率及び信頼性を向上させる。
【0030】
本明細書に記載される図面は、本開示のさらなる理解を与えるため使用され、本出願の一部を構成する。本開示の例示的な実施形態並びにその説明は、本開示を説明するために単に使用されるものであり、本開示に関する不適切な定義を構成するものではない。図面において:
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本開示の技術的解決策を、図面及び実施形態によってさらに詳細に説明する。
【0033】
本開示の具体的な実施形態は、本開示の概念、解決すべき技術的課題、技術的解決策を構成する技術的特徴、及びそこから産生される技術的効果の理解を容易にするためにさらに記載される。そのような実施形態の説明は、本開示の定義を構成するものではないことを説明する必要がある。加えて、以下に説明する本開示の実施形態に含まれる技術的特徴は、それらの間に矛盾が生じない限り、互いに組み合わせることが出来る。
【0034】
従来技術におけるバイオプリンターのスプレーヘッドアセンブリが、プリンティング前に細胞を包むことが出来ないことを考慮すると、細胞は、プリンティング工程において損傷する可能性がある。従って、本開示は、バイオプリンタースプレーヘッドアセンブリを提供し、その構造及び原理は、
図1及び
図2に示される実施形態を参照することが出来る。例示的な実施形態において、スプレーヘッドアセンブリは、同じ種類の生物学的プリンティング材料を輸送することが出来る第1の流路及び第2の流路を内部に備え、異なる種類の生物学的プリンティング材料にも使用され得る。加えて、第1の流路及び第2の流路は、同時に使用され得、互いに独立しても使用され得る。
【0035】
第1の流路及び第2の流路を同時に、2種類の材料にそれぞれ使用する際、第1の流路は、生物学的プリンティング材料(主材料)のために用いられる第1の材料の流路として機能し、及び第2の流路は、生物学的プリンティング材料を包む第2の材料(補助材料)のための流路として機能する。第1の流路は、
図1の符号1A、
図2の符号2Aで示され、第2の流路は、
図1の符号1B、
図2の符号で示される。さらに、第1の流路の出口は第2の流路の出口に隣接し、第2の流路の出口は、そこから噴霧される補助材料を主材料の移動方向に向かって移動させるように構成され、第2の流路の出口から噴霧された補助材料が、第1の流路の出口から噴霧された主材料と一緒に組み合わせられ、流体プリンティングユニットを形成する。組み合わせの方法は、混合、包む又は融合であり得る。例えば、補助材料は、主材料を包む。
【0036】
流体プリンティングユニットは、生物学的プリンティング材料から構成されるプリンティングユニットであり、例えば、混合流体プリンティングユニットが、主材料を補助材料で包むことによって形成される。主材料及び補助材料に関して、最も好ましい実施形態において、主材料は細胞を含むプリンティング材料であり、補助材料は、細胞を含まないプリンティング材料である。いくつかの実施形態において、補助材料は、温度感受性を有する材料、特に、温度感受性及び特定の粘度を有する生体適合性材料、例えばヒドロゲル等の物質である。他の実施形態において、主材料は、細胞を含まないプリンティング材料であり、補助材料は、細胞を含むプリンティング材料である。残りの実施形態において、主材料及び補助材料は、両方とも細胞を含むプリンティング材料であり得、又は細胞を含まないプリンティング材料でもあり得る。主材料及び補助材料の形態に関して、何れか又は両方が、以下のいくつかの形態の1つである: 均一な、非均一な(例えば、粒状混合物)、連続的な又は不連続的な流体。
【0037】
使用要件に従って、補助材料は、栄養補給物質であり得、接着力を供給するための物質でもあり得(保護層を形成するためにも使用され得る)、及び主材料の周りに包まれて保護層を形成する物質も提供し得る。
【0038】
実施形態のバイオプリンタースプレーヘッドアセンブリであって、先行技術における細胞を直接プリントする方法を替え、第1の流路及び第2の流路を提供し、及び第2の流路の出口に隣接する第1の流路の出口を作製し、及び第2の材料の出口が、そこから噴霧される補助材料を主材料の移動方向に向かって移動するように、補助材料が主材料の移動方向の全周囲にわたって流れるためにガイドするように、第2の流路の出口から噴霧された補助材料が第1の流路の出口から噴霧された主材料を包むことを可能にする流体焦点原理を用いるように構成され、細胞を保護するために流体プリンティングユニットを形成し、それによって、空気及び同様のもの等による押出圧力等の外力によって生じる細胞の損傷及びプリンティング工程において供されるノズルの内壁によってもたらされる摩擦力を低減し、細胞の生存率及び信頼性を向上させる、実施形態のバイオプリンタースプレーヘッドアセンブリ。
【0039】
第2の流路から噴霧される補助材料が、主材料に向けられることを実現するために、第2の流路及び第1の流路は、それぞれの出口に互いに隣接して徐々に近接され得、限定されないが、具体的に、以下の2つの構造形態によって実現され得る。
【0040】
第1の構造形態において、主材料の移動方向に向かって出口に隣接する第2の流路の内壁及び外壁は、両方がテーパになっており、互いに並行である。任意で、第2の流路は、等径であり、出内において、第2の流路は、第1の流路に向かって斜めに延び、その結果、第2の流路内の第2の材料は、第1の流路の第1の流体の出口に向かって収束的に移動する。
【0041】
第2の構造形態において、第2の流路は、少なくとも部分的にテーパになっており、このような構造は、補助材料の圧力を増加させることができ、流速を増加させ、補助材料が第2の流路内をよりスムーズに流れるように、主材料を第1の流路の出口でより良好に包む。
【0042】
第2の構造形態のさらなる改善として、第2の流路は、第1の流路の出口に向かう方向に沿って、第1の流路の出口に隣接してテーパになっている。この実施形態は、主材料の向かう方向に沿って補助材料に圧力を加えて、主材料に向かって噴霧される補助材料をガイドすることができ、主材料をよりよく包む; 及び補助材料の圧力を高めて流速を上げることもでき、その結果、補助材料がよりスムーズに流出し、ラッピングが達成される。当業者は、プリンティング前に制御された包みを達成するために、第2の流路のテーパ角度を設計し得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、第2の流路は、第1の流路の外側に同軸で包まれ得、第2の流路及び第1の流路は、互いに離間している。同軸配置の形態は、主材料が補助材料で外側をより均一に包まれることを促し、可能な限り不均一な厚さの現象を回避し、流体プリンティングユニットの品質を向上させる。
【0044】
いくつかの実施形態において、第2の流路は、第1の流路の出口に隣接し、及びその出口に向かう方向に沿った円錐形セクションを有する。例えば、
図1に示す実施形態において、第2の流路の内壁及び外壁は共に、逆円錐形状であり、第2の流路の内壁のテーパは、対応する外壁のテーパよりも小さい。
図2に示す実施形態において、第2の流路の内壁は、円筒形であり、及び外壁は、逆円錐形状である。円錐形状は、容易に機械加工され、円錐形状に設計された第2の流路は、他の形状よりも流体に対し優れた誘導効果を示し、補助材料が同じ高さで同じ流速を有することもまた可能にし得、第2の流路の出口に到達する流速が実質的に同じであることを可能にし、補助材料が主材料を均一に包むことをさらに達成する。
【0045】
ラップタイプ(wrap-type)流体プリンティングユニットを形成することが出来る2つのタイプの実施形態を以下に示す。
【0046】
第1の実施形態において、
図1の構造概略図に示すように、バイオプリンタースプレーヘッドアセンブリは、スプレーヘッド本体11及び延長ロッド12を含む。延長ロッド12は、スプレーヘッド本体11の出口に隣接して設けられる。延長ロッド12は、流体プリンティングユニットが流路1Dを介して指向的に噴霧されることを可能にするための細長い流路1Dを内部に備える。延長ロッド12に細長い流路1Dを設けることによって、流体プリンティングユニットは、閉塞の可能性を低減するために指向的にガイドされ、並べられ得る。加えて、流体プリンティングユニットはまた、噴霧工程において保護され得、プリンティング工程において流体プリンティングユニットに対する機械的な力による損傷を低減し、流体プリンティングユニットの信頼性を向上させる。さらに、断熱要素13もまた、延長ロッド12の外周に設けられ得る。断熱要素13は、流体プリンティングユニットが、流体プリンティングユニットの活性を維持するために流路1Dを所望の温度に維持することを確保し、延長ロッドを有さないノズルが、断熱のために不都合であるため、噴霧された材料の塗布を容易にするために一定の長さに伸ばさなければならないという先行技術における技術的問題を克服する。今の所、生物学的3Dバイオプリンティングの分野において、スプレーヘッド全体を断熱要素で包む先行技術は存在しない。加えて、主材料(生物学的プリンティング材料)及び補助材料(例えばヒドロゲル)は温度に対して非常に敏感であるため、他の技術分野では必要では無いが、3Dプリンティングの分野においては、厳しい温度コントロールが要求される。
【0047】
この実施形態における様々な構成要素の取付けについては、
図1を参照することが出来る。延長ロッド12は、スプレーヘッド本体11の直下に位置する。スプレーヘッド本体11及び延長ロッド12は、取付け部分14無いに同軸で設けられ得る。拡張された形状において、取付け部分14を設けることなく、延長ロッド12は、スプレーヘッド本体11に直接取付けられ得る。
【0048】
より具体的には、開放凹部1Eが、スプレーヘッド本体11に隣接する延長ロッド12の端面に設けられ、開放凹部1Eの出口は流路1Dに連通する。スプレーヘッド本体11は、開放凹部1E内に延びる。スプレーヘッド本体11の内部に設けられた流路が、第1の流路1Aとして機能し、スプレーヘッド本体11の外壁と開放凹部1Eの内壁の間の環状空間が、第2の流路1Bとして機能する。また、封止空洞1Cが、第1の流路1Aの出口と開放凹部1Eの出口の間に形成され、第2の流路1Bの出口から噴霧された補助材料が、第1の流路1Aの出口から噴霧された主材料を、封止空洞1Cにおいて包み、流体プリンティングユニットを形成する。流体プリンティングユニットは、流動焦点原理(flow focus principle)を利用することによって、開放凹部1E内を流れ、補助材料によって徐々に包まれた後の主材料が、空洞から流路1D内に排出される。開放凹部1Eは、流体を収束的に混合することを容易にし、封止空洞1C内の流体プリンティングユニットのより安定した流れ方向を確保する。
【0049】
この実施形態において、開放凹部1Eの内壁は、スプレーヘッド本体11の外壁よりも大きな傾斜を有し、その結果、テーパになった第2の流路が、第1の流路に隣接するスプレーヘッド本体の外壁と開放凹部の内壁の間に形成され得、より良いラッピング効果を生み出す。
【0050】
例えば、第1の構造において、スプレーヘッド本体11の外壁及び開放凹部1Eの内壁は、共に逆円錐形状であり、及びスプレーヘッド本体11の外壁のテーパは、開放凹部1Eの内壁のテーパよりも小さく、補助材料を、スプレーヘッド本体11の円錐面と開放凹部1Eの間の環状空間に沿って流すことが可能であり、これは、良好なガイド効果を産生し、主材料を補助材料によって均一に包むために好ましい。第2の構造において、スプレーヘッド本体11の外壁は円筒形であり、及び開放凹部1Eの内壁は、逆円錐形状である結果、収束効果を産生するためにテーパにすることもまた可能である。
【0051】
上記の第1の実施形態及び改善された解決策のために、主材料及び補助材料は、対応する流路の出口で包まれ得る。いくつかの実施形態において、第2流路1Bの出口では、開放凹部1Eの内壁がスプレーヘッド本体11の外壁の下部にあり、その結果、第2の流路1Bの出口は、第1の流路1Aの出口の下部であり得、及び開放凹部1Eによって形成される延長部分は、主材料に向かってさらに収束することで補助材料をガイドするために、第1の流路1Aの出口に向かう方向に沿ってされにテーパであり得、主材料をより確実且つ、適切に包む。特定の構造について、スプレーヘッド本体11の外壁が円錐形であり、一方、開放凹部1Eの内壁が逆円錐形状である場合、補助材料を主材料に向かって収束させるようにガイドするために第2の流路1Bを、第1の流路1Aの出口よりも下部にする必要がある。
【0052】
本開示による、このようなバイオプリンタースプレーヘッドアセンブリの動作原理を、
図1に示す第1の実施形態と組み合わせて以下で説明する。スプレーヘッド本体11から噴霧された後の主材料は封止空洞1Cに入り、補助材料は、スプレーヘッド本体11の外壁と開放凹部1Eの内壁の間に形成された第2流路1Bを通って封止空洞1Cに入る。封止空洞1C内の補助材料は、一定の圧力を有する。主材料全体が噴霧され、補助材料が主材料を完全に包んだ後に、圧力の大きさは、補助材料のラッピングの層を調節することができ、及びスプレーヘッド本体11から露出された主材料に付着する補助材料を圧迫することが出来る。これは、最終的に、補助材料によって連続的に包まれた主材料が、延長ロッド12の流路1Dに入ることを可能にする。補助材料によって包まれた主材料は、細長い流路1D内を指向的に流れ、同時に均一に包まれて順次排出される。
【0053】
第2の実施形態において、
図2の構造概略図に示すように、バイオプリンタースプレーヘッドアセンブリは、第1のチャネルを有する外側ノズル及び第2のチャネルを有する内側ノズルを含み、ここで、内側ノズル22は、第1のチャネルを内部に備え、及び第2のチャネルは、第1の流路2Aを形成し、及び外側ノズル21の内壁と内側ノズル22の外壁の間の環状空間が、第2の流路2Bとして機能する。
【0054】
いくつかの実施形態において、外側ノズル21の内壁は、内側ノズル22の外壁よりも大きな傾斜を有し、その結果、第2の流路2Bは、第1の流路2Aの出口に隣接してテーパであり得、及び噴霧工程において、補助材料が中心に向かってさらに収束するようにガイドすることができ、機械的な摩擦力によって出口から噴霧された際に主材料が損傷されることを防ぐために、内側ノズル22の出口で主材料を包む。
図2から分かるように、出口に隣接する内側ノズル22の外壁は円筒状であり、及び出口に隣接する外側ノズル21の内壁は円錐形であり、第2の流路2Bが、出口に隣接してテーパになることを可能にする。加えて、出口に隣接する内部ノズル22の外壁も円錐形であり得、及び出口に隣接する内側ノズル22の外壁のテーパが、外側ノズル21の内壁のテーパよりも小さいことを満たす必要がある。
【0055】
いくつかの実施形態において、外側ノズル21及び内側ノズル22は、同軸上に配置されて同心円状の二重構造パターンを形成し、その結果、第2の流路は、主材料をより均一に包み得る。
【0056】
一般に、第2の流路2Bの出口で、外側ノズル21の内壁及び内側ノズル22の外壁は、同一平面上に設計され得る。より好ましくは、第2の流路2Bの出口で、外側ノズル21の内壁が、内側ノズル22の外壁よりも下部にあり、その結果、外側ノズル21の延長部分は、第1の流路2Aの出口に向かう方向に沿ってされにテーパになり得、主材料に向かってさらに収束するように補助材料をガイドし、主材料をより確実且つ、適切に包むことを容易にする。
【0057】
図2に示すように、特定の実施構造を以下に示す。外側ノズル21は、第1のガイド部分21A及び第1の本体部分21Bを含む。内側ノズル22は、第2のガイド部分22A及び第2の本体部分22Bを含む。第1のガイド部分21A及び第2のガイド部分22Aは、対応するノズルの出口に隣接して設けられ、及び第1のガイド部分21Aと第2のガイド部分22Aの間の環状空間は、ノズルの出口の方向に沿ってテーパになっている。加えて、第1のガイド部分21Aでの対応する第1の流路2Aの断面は、円筒状の流路であり、これは、主材料(例えば、細胞のインクユニット)の単一のチャネルを可能にすることに最適であり、補助材料によって主材料をよりスムーズに噴霧且つ、包むようにガイドし、プリンティング要件を満たす粒状の生物学的プリンティング材料を形成する。
【0058】
特定の構造形態において、第1の本体部分21Bは、第1の円筒形部分及び第1の円錐形部分を含む。第1の円錐部分は、第1のガイド部分21Aと第1の円筒部分の間に接続され、第1の円筒形部分は、ねじ嵌め又は他の締結方法によって外側ノズル接続本体24と接続される。外側ノズル接続本体24は、補助材料を第2の流路2Bに導入するための接続チューブ23が設けられる。第2の本体部分22Bは、第2の円筒形部分及び第2の円錐形部分を含む。第2の円錐形部分は、第2のガイド部分22Aと第2の円筒部分の間に接続される。第2の円筒形部分は、ねじ嵌め又は他の締結方法によって、主材料循環チューブ25に接続される。ここで、第2の円錐形部分は、第1の流路2Aの断面積を低減させるために転移効果が生じ、その結果、主材料は、流出の際のプリンティング要件を満たす流体プリンティングユニットに変換される。補助材料に対してガイド効果を産生させるために、第1の円錐形部分は、第2の円錐形部分に適合するように指定される。
【0059】
より好ましい態様として、補助材料の圧力を高めるために、第2の流路2Bが、第1の円錐部分と第2の円錐部分の間でテーパにされ、流速が増加する。その理由は、ノズルの噴出流量、Q=μ*A*(△P/ρ)^0.5の式によるものである。ここでQは、流量であり、μは係数であり、Aは、噴出の断面積であり、△Pは圧力差であり、pは液体密度である。同時にQ=vAであり、ここで、vは流速である。材料容器の圧力強度が一定である場合、流量は一定である。次に、流路内で変化するパラメーターは、それぞれ、断面積、圧力密度差及び流速である。それらの間の関係は、断面が縮小される際に、より大きな圧力強度及びより速い流速となるように、概略的に理解され得る。従って、流路内の局所的な位置に現れる相対的に高い圧力領域及び低い圧力領域が存在する。高圧領域の流速は低圧領域の流速よりも大きいが、流速は変化しない。
【0060】
要約すると、ここでは断面積を小さくすることにより圧力強度が増加し、流速が速くなる。その結果、第2の流路2B内でよりスムーズに流れる補助材料が邪魔されにくくなり、主材料を出口でより適切に包む。
【0061】
本開示によるこのようなスプレーヘッドアセンブリの動作原理は、
図2に示される第2の実施形態と組み合わせて以下に詳細に説明される。この圧力コントロールにより、主材料は、第1の流路2Aに沿って流れ、補助材料は、第2の流路2Bに沿って流れる。流体プリンティングユニットを形成するために主材料が、完全に包まれることを徐々に実現するために、補助材料は、第2の流路2Bの出口に到達した際、第1の流路2Aの出口に到達する主材料に付着する一定の圧力を有し、及びスプレーヘッドアセンブリの出口から連続的に噴霧される。
【0062】
上記の両タイプの実施形態では、圧力コントロール、例えば、空気圧力コントロールによる生物学的プリンティング材料の流れを実現することが必要である。材料が充填された際の主材料容器及び補助材料容器は、空気経路内の電気比例弁にそれぞれ接続される。2つの容器のそれぞれの対応する電気比例弁は、リアルタイムアナログ量でコントロールシステムとその後通信され、及び2つの容器の押出量は、上位ソフトウェアによって発せられた指示によってそれぞれコントロールされる。空気圧をそれぞれ調整することによって、第1の流路及び第2の流路内の流体の噴霧速度は、コントロールされ得る。
【0063】
異なるプリンティング要求に従って、異なるコントロール様式が採用され得る。連続的な生物学的プリンティング材料を形成する必要がある場合、主材料を主材料容器内に加え、補助材料容器内に補助材料を加えることが可能である。一定の空気圧を加えることによって、主材料は、連続的に噴霧され得、及び補助材料によって外面的に包まれ、細長い構造を一体的に形成する。
図3に示すように、粒状の生物学的プリンティング材料を形成する必要がある場合、主材料を主材料容器内に加え、補助材料容器内に補助材料を加えることが出来る。パルスは、頻繁な加圧及び開閉動作によって形成される。主材料は、前記パルスの影響下で粒子を形成し、補助材料の外層と結合して、卵黄及び卵白と同様の構造を形成する。これは、急速に冷却され、前記温度の影響下で成型される。
【0064】
加えて、本開示はまた、上記のバイオプリンタースプレーヘッドアセンブリを含むバイオプリンターを提供する。本開示のバイオプリンタースプレーヘッドアセンブリは、細胞を損傷から保護するために細胞をプリンティング中に包むこと及び高い生存率を示すことが出来るため、このようなスプレーヘッドアセンブリを用いるバイオプリンターはまた、対応する有利な技術的効果を有し、高品質の生物学的プリンティング材料を得ることによって、産生された種々の生物学的構築物が、高い活性及び長い使用寿命で維持することを可能にすることが出来る。好ましくは、バイオプリンターは、生物学的3Dバイオプリンターであり、本開示のバイオプリンタースプレーヘッドアセンブリは、生物学的3Dバイオプリンターに特に適している。
【0065】
上記では、本開示によって提供されるバイオプリンタースプレーヘッドアセンブリ及びバイオプリンターを詳細に紹介する。本明細書において、本開示の原理および実施形態を詳述するために特定の実施形態が適用され、上記の実施形態の説明は、本開示の方法並びにその中核的思想の理解を助けるためにのみ使用される。当業者であれば、本開示の原理から逸脱しないことを前提として、本開示にいくつかの修正及び変更を行うことができ、そのような修正及び変更もまた、本開示の請求項の保護範囲に入る。