特許第6792638号(P6792638)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6792638装着ジョブデータの作成方法および作成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792638
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】装着ジョブデータの作成方法および作成装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20201116BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   H05K13/00 Z
   H05K13/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-555413(P2018-555413)
(86)(22)【出願日】2016年12月9日
(86)【国際出願番号】JP2016086714
(87)【国際公開番号】WO2018105100
(87)【国際公開日】20180614
【審査請求日】2019年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敏也
【審査官】 宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−356574(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/041624(WO,A1)
【文献】 特開2000−031693(JP,A)
【文献】 特開2002−134995(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/150721(WO,A1)
【文献】 特開2005−216889(JP,A)
【文献】 特開平09−190531(JP,A)
【文献】 特開平08−062275(JP,A)
【文献】 特開平06−164189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30、13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージ画像取得装置を用いて、原基板に電子部品が実装済みの完成品基板を撮像することにより、完成品画像データを取得し、
前記完成品画像データを画像処理して、前記原基板および前記電子部品の形状および大きさを表す形状情報、ならびに、前記原基板に設定された座標系を用いて表される前記電子部品の位置情報を抽出し、
抽出した前記形状情報および前記位置情報に基づき、前記完成品基板を生産する過程で電子部品装着機に用いられる装着ジョブデータを作成する装着ジョブデータの作成方法であって、
複数台の前記電子部品装着機および複数台の基板外観検査機を含んで、前記完成品基板を生産する基板生産ラインが構成されており、
前記装着ジョブデータは、前記電子部品装着機が前記電子部品を前記原基板に装着するときに指定する位置座標値であって、前記座標系を用いて表される位置座標値、ならびに、前記電子部品の種類および前記形状情報を含んだ情報群からなる部品データを含み、
前記基板外観検査機が有する前記イメージ画像取得装置を用いて、前記完成品画像データを取得し、
抽出した前記形状情報および前記位置情報に基づき、抽出された全部の前記電子部品を、複数台の前記基板外観検査機の間で検査に必要な処理時間が均等化されるように分配して、それぞれの検査ジョブデータを作成し、
各前記検査ジョブデータに基づいて、各前記基板外観検査機の前工程に配置された各前記電子部品装着機の装着ジョブデータをそれぞれ作成
前記装着ジョブデータを作成するときに、前記完成品画像データから抽出した一つの前記電子部品の前記形状情報を、複数種類の前記電子部品の前記部品データが予め登録された部品ライブラリに照会し、画像処理の誤差を考慮しても一つの前記電子部品の前記形状情報が前記部品ライブラリに登録されていない場合に、一つの前記電子部品を前記部品ライブラリに新規登録する、
装着ジョブデータの作成方法。
【請求項2】
記部品ライブラリに照会する際に、または、一つの前記電子部品を新規登録する際に、作業者による操作を併用する、請求項1に記載の装着ジョブデータの作成方法。
【請求項3】
前記電子部品の中心位置に対して、前記電子部品装着機の吸着ノズルで吸着する吸着位置を偏心させる場合に、
前記装着ジョブデータは、前記中心位置に対する前記吸着位置の偏心量の情報を含む請求項1または2に記載の装着ジョブデータの作成方法。
【請求項4】
イメージ画像取得装置を用いて、原基板に電子部品が実装済みの完成品基板を撮像することにより、完成品画像データを取得する画像取得部と、
前記完成品画像データを画像処理して、前記原基板および前記電子部品の少なくとも形状および大きさを表す形状情報、ならびに、前記原基板に設定された座標系を用いて表される前記電子部品の位置情報を抽出する画像処理部と、
抽出した前記形状情報および前記位置情報に基づき、前記完成品基板を生産する過程で電子部品装着機に用いられる装着ジョブデータを作成するデータ作成部と、
を備える装着ジョブデータの作成装置であって、
複数台の前記電子部品装着機および複数台の基板外観検査機を含んで、前記完成品基板を生産する基板生産ラインが構成されており、
前記装着ジョブデータは、前記電子部品装着機が前記電子部品を前記原基板に装着するときに指定する位置座標値であって、前記座標系を用いて表される位置座標値、ならびに、前記電子部品の種類および前記形状情報を含んだ情報群からなる部品データを含み、
前記画像取得部は、前記基板外観検査機が有する前記イメージ画像取得装置を用いて、前記完成品画像データを取得し、
前記データ作成部は、
前記画像処理部が抽出した前記形状情報および前記位置情報に基づき、抽出された全部の前記電子部品を、複数台の前記基板外観検査機の間で検査に必要な処理時間が均等化されるように分配して、それぞれの検査ジョブデータを作成し、さらに、各前記検査ジョブデータに基づいて、各前記基板外観検査機の前工程に配置された各前記電子部品装着機の装着ジョブデータをそれぞれ作成
前記装着ジョブデータを作成するときに、前記完成品画像データから抽出した一つの前記電子部品の前記形状情報を、複数種類の前記電子部品の前記部品データが予め登録された部品ライブラリに照会し、画像処理の誤差を考慮しても一つの前記電子部品の前記形状情報が前記部品ライブラリに登録されていない場合に、一つの前記電子部品を前記部品ライブラリに新規登録する、
装着ジョブデータの作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、完成品基板を生産する過程で電子部品装着機に用いられる装着ジョブデータを作成する方法、および、装着ジョブデータを作成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原基板に電子部品が実装済みの完成品基板を生産する基板生産機として、半田印刷機、電子部品装着機、リフロー機、基板検査機などがある。これらの基板生産機を連結して基板生産ラインを構築することが一般的になっている。このうち電子部品装着機は、装着ジョブデータに基づいて動作し、原基板に電子部品を装着する装着工程を担当する。装着ジョブデータは、原基板に電子部品を装着するときの位置座標値や、電子部品の種類および形状情報を含んだ部品データの情報を含んでいる。装着ジョブデータは、さらに、複数の電子部品の装着順序や、電子部品の吸着および装着を行うノズルツールの種類や、部品供給位置などの情報を含むことが一般的である。
【0003】
多くの場合、装着ジョブデータは、完成品基板をCAD設計したCADデータ、および電子部品装着機の性能データに基づいて作成される。また、多くの場合、電子部品装着機の後工程に配置された外観基板検査機で用いられる検査ジョブデータも、同じCADデータ、および外観基板検査機の性能データに基づいて作成される。装着ジョブデータおよび検査ジョブデータの作成に関する技術例が特許文献1〜3に開示されている。
【0004】
特許文献1の実装データ作成方法は、ランドを持った原基板をイメージスキャナにて読み取り、画像データから各ランドの形状、大きさ、および中心位置などのランドデータを取得し、部品ライブラリを検索処理してランドデータに対応する電子部品を選択することにより、実装データ(装着ジョブデータ)を作成する。これによれば、部品の実装に必要な実装データを容易にかつ短時間に、しかも作業者による個人差なく高精度に作成でき、高品質な完成品基板の提供に寄与する、とされている。
【0005】
また、特許文献2の実装ラインは、電子部品装着機と、基板外観検査機と、生産用データ(装着ジョブデータ)に基づいて電子部品装着機を制御する手段と、検査用データ(検査ジョブデータ)に基づいて基板外観検査機を制御する手段と、生産用データの中から検査に必要なデータを取得して検査用データを作成する手段と、を備える。これによれば、検査用データを自動的に作成でき、検査用データの作成作業を簡単に行える、とされている。
【0006】
さらに、特許文献3は、電子部品装着機および基板外観検査機を備えた部品実装システムにおける処理実行方法を開示している。この処理実行方法では、実装のみに使用する実装固有データと、検査のみに使用する検査固有データと、実装および検査の双方に使用する共通データとからなる実装ライブラリを設け、実装ライブラリを参照して実装処理および検査処理を実行する。これによれば、電子部品装着機および基板外観検査機におけるデータの重複管理を回避できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−190531号公報
【特許文献2】特開2006−339260号公報
【特許文献3】特開2006−261601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1の技術では、ランドを持った原基板の画像データから装着ジョブデータを作成するが、装着ジョブデータを確定できないときがある。例えば、全てのランドが必ず使用されるのでなく、オプション指定の有無に依存して特定のランドに電子部品が装着されたり、装着されなかったりする場合がある。また例えば、4個のランドが四角形の頂点位置に配置されている場合がある。この場合に、2つの接続部を有する2個の電子部品が装着されるのか、4つの接続部を有する1個の部品が装着されるのか不明となることが生じ得る。してみると、装着ジョブデータを確定するためには、原基板を撮像するよりも、電子部品が実装済みの完成品基板を撮像するほうが好ましい。
【0009】
また、クライアントから完成品基板の実物を供給され、CADデータの提供を受けないケースがある。このケースでは、従来、完成品基板に実装されている電子部品の配置を座標測定機などで計測しながら装着ジョブデータを作成する必要があり、作業者の負担が大きかった。さらに、CADデータよりも、完成品基板や原基板の実物に基づいて装着ジョブデータを作成した方が好ましい場合もある。例えば、原基板のランドの実際の位置がCADデータに対して誤差をもつ場合、完成品基板や原基板に基づいて装着ジョブデータを作成することにより、装着位置を指定する精度が向上する。
【0010】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、完成品基板を見本として装着ジョブデータを作成する場合に、作業者の負担を従来よりも軽減できる装着ジョブデータの作成方法、および作成装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書で開示する装着ジョブデータの作成方法は、イメージ画像取得装置を用いて、原基板に電子部品が実装済みの完成品基板を撮像することにより、完成品画像データを取得し、前記完成品画像データを画像処理して、前記原基板および前記電子部品の形状および大きさを表す形状情報、ならびに、前記原基板に設定された座標系を用いて表される前記電子部品の位置情報を抽出し、抽出した前記形状情報および前記位置情報に基づき、前記完成品基板を生産する過程で電子部品装着機に用いられる装着ジョブデータを作成する装着ジョブデータの作成方法であって、複数台の前記電子部品装着機および複数台の基板外観検査機を含んで、前記完成品基板を生産する基板生産ラインが構成されており、前記装着ジョブデータは、前記電子部品装着機が前記電子部品を前記原基板に装着するときに指定する位置座標値であって、前記座標系を用いて表される位置座標値、ならびに、前記電子部品の種類および前記形状情報を含んだ情報群からなる部品データを含み、前記基板外観検査機が有する前記イメージ画像取得装置を用いて、前記完成品画像データを取得し、抽出した前記形状情報および前記位置情報に基づき、抽出された全部の前記電子部品を、複数台の前記基板外観検査機の間で検査に必要な処理時間が均等化されるように分配して、それぞれの検査ジョブデータを作成し、各前記検査ジョブデータに基づいて、各前記基板外観検査機の前工程に配置された各電子部品装着機の装着ジョブデータをそれぞれ作成前記装着ジョブデータを作成するときに、前記完成品画像データから抽出した一つの前記電子部品の前記形状情報を、複数種類の前記電子部品の前記部品データが予め登録された部品ライブラリに照会し、画像処理の誤差を考慮しても一つの前記電子部品の前記形状情報が前記部品ライブラリに登録されていない場合に、一つの前記電子部品を前記部品ライブラリに新規登録する。
【0012】
また、本明細書で開示する装着ジョブデータの作成装置は、イメージ画像取得装置を用いて、原基板に電子部品が実装済みの完成品基板を撮像することにより、完成品画像データを取得する画像取得部と、前記完成品画像データを画像処理して、前記原基板および前記電子部品の少なくとも形状および大きさを表す形状情報、ならびに、前記原基板に設定された座標系を用いて表される前記電子部品の位置情報を抽出する画像処理部と、抽出した前記形状情報および前記位置情報に基づき、前記完成品基板を生産する過程で電子部品装着機に用いられる装着ジョブデータを作成するデータ作成部と、を備える装着ジョブデータの作成装置であって、複数台の前記電子部品装着機および複数台の基板外観検査機を含んで、前記完成品基板を生産する基板生産ラインが構成されており、前記装着ジョブデータは、前記電子部品装着機が前記電子部品を前記原基板に装着するときに指定する位置座標値であって、前記座標系を用いて表される位置座標値、ならびに、前記電子部品の種類および前記形状情報を含んだ情報群からなる部品データを含み、前記画像取得部は、前記基板外観検査機が有する前記イメージ画像取得装置を用いて、前記完成品画像データを取得し、前記データ作成部は、前記画像処理部が抽出した前記形状情報および前記位置情報に基づき、抽出された全部の前記電子部品を、複数台の前記基板外観検査機の間で検査に必要な処理時間が均等化されるように分配して、それぞれの検査ジョブデータを作成し、さらに、各前記検査ジョブデータに基づいて、各前記基板外観検査機の前工程に配置された各電子部品装着機の装着ジョブデータをそれぞれ作成前記装着ジョブデータを作成するときに、前記完成品画像データから抽出した一つの前記電子部品の前記形状情報を、複数種類の前記電子部品の前記部品データが予め登録された部品ライブラリに照会し、画像処理の誤差を考慮しても一つの前記電子部品の前記形状情報が前記部品ライブラリに登録されていない場合に、一つの前記電子部品を前記部品ライブラリに新規登録する。
【発明の効果】
【0013】
本明細書で開示する装着ジョブデータの作成方法によれば、完成品基板を見本として完成品画像データを取得し、原基板および電子部品の形状情報、ならびに、電子部品の位置情報を抽出して、電子部品装着機に用いられる装着ジョブデータを作成する。このデータ作成の手順は、全部または大部分を自動化できるので、作業者の負担を従来よりも軽減できる。さらに、基板外観検査機のイメージ画像取得装置を利用するため、新たな設備投資が不要であって経済的である。加えて、各基板外観検査機の処理時間を均等化するように先に検査ジョブデータを作成し、それに基づいて各電子部品装着機の装着ジョブデータを作成するので、生産時のスループットの低下を抑制できる。
【0014】
また、本明細書で開示する装着ジョブデータの作成装置によれば、上記した装着ジョブデータの作成方法と同様の手順を実行できる。したがって、手順の全部または大部分を自動化でき、作業者の負担を従来よりも軽減できる。さらに、上記した装着ジョブデータの作成方法と同様に新たな設備投資が不要であり、加えて、生産時のスループットの低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態の装着ジョブデータの作成方法を実施する基板生産ラインを模式的に示した図である。
図2】部品ライブラリのデータ構造の例を模式的に示す図である。
図3】実施形態の装着ジョブデータの作成方法の手順図である。
図4】イメージ画像取得装置が完成品基板を撮像して取得した完成品画像データの一例を示すイメージ図である。
図5】検査ジョブデータの一例を示した図である。
図6】装着ジョブデータの一例を示した図である。
図7】トランジスタ部品の吸着位置の偏心量を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1.実施形態の装着ジョブデータの作成方法を実施する基板生産ライン1)
実施形態の装着ジョブデータの作成方法について、図1図7を参考にして説明する。図1は、実施形態の装着ジョブデータの作成方法を実施する基板生産ライン1を模式的に示した図である。基板生産ライン1は、半田印刷機2、半田印刷検査機3、電子部品装着機4、基板外観検査機5、リフロー機6、およびライン管理装置7により構成されている。半田印刷機2からリフロー機6までは、記載した順番に列設配置されている。
【0017】
半田印刷機2は、ペースト状の半田を定められたパターン形状で原基板に印刷する。半田印刷機2と半田印刷検査機3の間は、基板搬送装置81で連結される。半田印刷検査機3は、搬送された基板の半田印刷状態を検査する。半田印刷検査機3と電子部品装着機4の間は、基板搬送装置82で連結される。電子部品装着機4は、搬送された基板の半田の上に電子部品を装着する。電子部品装着機4は、電子部品を吸着して基板の上に装着する吸着ノズル41を有する。多数の電子部品を正確にかつ効率的に装着するために、電子部品装着機4は、装着ジョブデータに基づいて動作する。電子部品装着機4と基板外観検査機5の間は、基板搬送装置83で連結される。
【0018】
基板外観検査機5は、搬送された基板に装着されている電子部品の外観状態を検査する。基板外観検査機5は、基板の外観を撮像するイメージ画像取得装置51を有する。多数の電子部品を正確にかつ効率的に検査するために、基板外観検査機5は、検査ジョブデータに基づいて動作する。基板外観検査機5とリフロー機6の間は、基板搬送装置84で連結される。リフロー機6は、基板外観検査機5で正常と判定された基板の半田を再溶融させた後に固化して、接続状態を安定化する。これにより、完成品基板の生産が終了する。
【0019】
ライン管理装置7は、CPUを内蔵してソフトウェアで動作するコンピュータを用いて構成される。ライン管理装置7は、表示装置71および入力装置72を有する。ライン管理装置7は、通信線73を用いて、半田印刷機2、半田印刷検査機3、電子部品装着機4、基板外観検査機5、およびリフロー機6に通信接続される。ライン管理装置7は、さらに、通信線73を用いて、外部記憶装置に記憶された部品ライブラリ75に接続される。部品ライブラリ75は、他の基板生産ラインにも共用とされる。なお、通信線73に代えて、無線通信手段を用いることもできる。図1に示される基板生産ライン1の構成は一例であって、公知の様々な形態のライン構成、例えば複数の電子部品装着機を備えるライン構成であってもよい。
【0020】
(2.部品ライブラリ75)
ここで、部品ライブラリ75について説明する。図2は、部品ライブラリ75のデータ構造の例を模式的に示す図である。部品ライブラリ75には、多種類の電子部品の部品データが予め登録されている。図2に示される例で、部品ライブラリ75は、一覧表の形式にまとめられている。すなわち、部品ライブラリ75は、登録番号、電子部品の種類、形状情報、吸着位置の偏心量、および表面の輝度または色などの欄をもつ。そして、電子部品は、種類ごとに登録番号が割り当てられ、1行の各欄にそれぞれ登録情報が設定される。
【0021】
例えば、第1行に示される登録番号1の電子部品は、チップ抵抗であって特性値は抵抗値R1である。また、登録番号1の電子部品の形状情報は、縦寸法がX1、横寸法がY1である。縦寸法および横寸法は、水平に置かれた電子部品の水平二方向の存在範囲を示し(図7のXi、Yi参照)、縦寸法≧横寸法の関係を満たす。形状情報として、電子部品の高さや重量なども登録することが可能である。さらに、登録番号1の電子部品の吸着位置の偏心量は、(0、0)である。これは、電子部品装着機4の吸着ノズル41でこの電子部品を吸着する際に、上面の中央位置を吸着することを示している。また、電子部品の表面の輝度または色の情報は、基板外観検査機5で電子部品の外形を基板の地色から見分ける際の判定値に反映される。
【0022】
第1行から第3行に登録された登録番号1、登録番号2、および登録番号3の3種類の電子部品は、特性値のみが異なり、他の情報は互いに一致している。また、登録番号1、登録番号4、および登録番号5の3種類の電子部品は、特性値が同一であり、形状情報が互いに異なる。さらに、登録番号1はチップ抵抗であり、登録番号101はチップコンデンサであるが、形状情報が互いに一致している。してみると、形状情報だけに基づいて電子部品の種類を特定することはできない。
【0023】
(3.実施形態の装着ジョブデータの作成方法)
実施形態の装着ジョブデータの作成方法の説明に移る。実施形態の装着ジョブデータの作成方法では、完成品基板を見本とし、基板外観検査機5のイメージ画像取得装置51を利用して、装着ジョブデータを作成する。この作成方法は、主にライン管理装置7が有する実施形態の装着ジョブデータの作成装置の機能によって実現される。ライン管理装置7は、画像取得部、画像処理部、検査ジョブデータ作成部、および装着ジョブデータ作成部の機能を有する。また、この作成方法は、基板生産ライン1の稼動の合間に実施される。これに限定されず、ライン管理装置7に接続される別のコンピュータ装置が、装着ジョブデータの作成装置の機能を有してもよい。
【0024】
図3は、実施形態の装着ジョブデータの作成方法の手順図である。図3の手順J1で、ライン管理装置7の画像取得部は、基板外観検査機5のイメージ画像取得装置51を用いて、完成品画像データを取得する。この前提として、作業者は、原基板に電子部品が実装済みの完成品基板Kを、基板外観検査機5に搬入する。図4は、イメージ画像取得装置51が完成品基板Kを撮像して取得した完成品画像データの一例を示すイメージ図である。
【0025】
図4に示される完成品画像データによれば、長方形の完成品基板Kの一方の短辺(図4の右側)に沿ってバーコードBCDが印刷されている。バーコードBCDは、完成品基板Kの種類を特定するジョブ名称や、更新履歴回数を示すリビジョン番号の情報などを含んでいる。また、完成品基板Kの図中の左上隅および右下隅に位置マークMpが印刷されている。位置マークMpは、完成品基板Kに設定されるx−y座標系の基準となる。図4の例で、完成品基板Kの長さ方向がx軸方向となり、幅方向がy軸方向となる。当然ながら、電子部品が実装される以前の原基板でも、x−y座標系は共通となる。
【0026】
完成品基板Kには、多数の電子部品が実装されている。具体的に、完成品基板Kのほぼ中央の幅方向に並んで、3個のコンデンサ部品B1が実装されている。完成品基板Kの中心から他方の短辺(図4の左側)に寄った位置に、大形で24本のリード部を有するLSI部品B2が実装されている。完成品基板Kの中心から一方の短辺に寄った位置に、8本のリード部を有する3個のIC部品B3が実装されている。また、LSI部品B2の近傍からコンデンサ部品B1に近づくx軸方向に並んで、6本のリード部を有する3個のIC部品B4が実装されている。
【0027】
さらに、完成品基板KのIC部品B3の一方の長辺側(図4の上側)に、3本のリード部を有する3個のトランジスタ部品B5が実装されている。LSI部品B2の一方の短辺側には、3本のリード部を有する2個のトランジスタ部品B6が実装されている。LSI部品B2と完成品基板Kの一方の長辺との間には、5個のチップ部品B7が実装されている。完成品基板Kの右下隅の近くに、8個のチップ部品B8が実装されている。また、完成品基板Kの一方の長辺から基板外に突出するように、コネクタ部品C1が実装されている。さらに、完成品基板Kの他方の長辺(図4の下側)の左側に、コネクタ部品C2が実装されている。完成品基板Kの他方の短辺に沿って、2個のコネクタ部品C3、C4が実装されている。
【0028】
図3に戻り、手順J2で、ライン管理装置7の画像処理部は、完成品画像データを画像処理して、原基板および電子部品の形状および大きさを表す形状情報、ならびに、x−y座標系を用いて表される電子部品の位置情報を抽出する。画像処理部は、まず、完成品基板Kの長さ方向の長さ寸法KX、および幅方向の幅寸法KYを抽出する。画像処理部は、次に、2個の位置マークMpを抽出し、抽出した位置に基づいてx−y座標系を較正する。
【0029】
さらに、画像処理部は、個々の電子部品の形状情報、具体的には縦方向および横方向の寸法を抽出する。電子部品が実装された回転角Qの方向に関係なく、抽出された2つの寸法のうち大きい側をX寸法とし、小さい側をY寸法とする。また、これと並行して、画像処理部は、個々の電子部品の位置情報を抽出する。位置情報は、電子部品の中央位置が占めるx座標値およびy座標値で表される。さらに、位置情報は、電子部品の回転角Qの情報を含んでいる。回転角Qは、電子部品のX寸法の方向とx軸方向とが成す角度で表される。例えば、チップ部品B7の回転角Q=90°と抽出され、コネクタ部品C2の回転角Q=0°と抽出される。
【0030】
次の手順J3で、ライン管理装置7の検査ジョブデータ作成部は、検査ジョブデータを作成する。図5は、検査ジョブデータの一例を示した図である。検査ジョブデータ作成部は、一番目に、抽出されたX寸法およびY寸法を部品ライブラリ75に照会して、電子部品の特定を試みる。X寸法およびY寸法に一致した縦寸法および横寸法を有する電子部品が1種類だけの場合、検査ジョブデータ作成部は、直ちに電子部品を特定して、その登録番号を確定できる。
【0031】
しかしながら、寸法の照会だけでは、電子部品の種類を特定できないケースが生じる。例えば、チップ部品B7のX寸法X1、およびY寸法Y1である場合、チップ部品B7の登録番号は、1、2、3、101、および102のいずれかとなる。このとき、検査ジョブデータ作成部は、作業者に選択操作を依頼する。例えば、検査ジョブデータ作成部は、部品ライブラリ75の該当する5行を表示装置71に表示して、作業者の選択操作を待つ。作業者が入力装置72でいずれかの登録番号を選択操作すると、検査ジョブデータ作成部は、チップ部品B7の登録番号を確定できる。つまり、検査ジョブデータ作成部は、チップ部品B7の種類を正しく特定できる。
【0032】
また、部品ライブラリ75に照会した結果、画像処理の誤差を考慮しても、X寸法およびY寸法に一致した縦寸法および横寸法を有する電子部品が存在しないことが生じ得る。つまり、X寸法およびY寸法を有する電子部品は、使用実績が無い新規の電子部品であるため、部品ライブラリ75に登録されていない。この場合、検査ジョブデータ作成部は、作業者に新規登録操作を依頼する。例えば、検査ジョブデータ作成部は、部品ライブラリ75の空いた行に形状情報のみを入れて表示装置71に表示し、作業者に他の欄への入力操作を依頼する。
【0033】
作業者は、新規の電子部品に関するカタログ情報や仕様などを調査して、入力装置72から入力操作を行う。これにより、新規の電子部品に関する新規登録操作が完了し、部品ライブラリ75が更新される。また、検査ジョブデータ作成部は、新規の電子部品の登録番号を確定できる。
【0034】
検査ジョブデータ作成部は、完成品画像データから抽出された全部の電子部品について、登録番号を確定してゆく。これにより、図5に示される検査ジョブデータに、全部の電子部品の登録番号が並ぶ。検査ジョブデータの先頭には、ジョブ名称、リビジョン番号、および完成品基板Kの基板寸法が示される。ジョブ名称の「JOB−K」およびリビジョン番号の「01」は、バーコードBCDから抽出された情報である。また、基板寸法の「KX、KY」は、画像処理部で抽出された長さ寸法KXおよび幅寸法KYである。
【0035】
検査ジョブデータ作成部は、二番目に、各登録番号の電子部品に対して、抽出された位置情報を対応付ける。これにより、例えば、図5に示されるように、登録番号1の電子部品に対して、x座標値x1、y座標値y1、および回転角Q1が対応付けられる。
【0036】
検査ジョブデータ作成部は、三番目に、各登録番号の電子部品に対して、検査に必要な項目を設定する。検査に必要な項目として、撮像順序、許容誤差、および外形判定条件を例示できる。撮像順序は、完成品基板Kを複数の撮像領域に分割して撮像するときに、イメージ画像取得装置51が撮像する順序を表す。図5の例で、登録番号1および登録番号101の電子部品は、初回に撮像さる。登録番号4の電子部品は、二回目に撮像される。また、許容誤差E1、許容誤差E2、および許容誤差E3は、電子部品の実際の装着位置が指定された位置情報からずれてよい限界を表す。外形判定条件Z1、外形判定条件Z2、および外形判定条件Z3は、電子部品の外形を基板の地色から見分ける際の判定値を表す。検査に必要な項目は、最適化プログラムなどによって自動設定されることが好ましい。以上の手順によって、検査ジョブデータが完成する。
【0037】
次の手順J4で、ライン管理装置7の装着ジョブデータ作成部は、検査ジョブデータに基づいて装着ジョブデータを作成する。図6は、装着ジョブデータの一例を示した図である。装着ジョブデータ作成部は、一番目に、検査ジョブデータのジョブ名称、リビジョン番号、基板寸法、全部の電子部品の登録番号および位置情報をそのまま装着ジョブデータにコピーする。
【0038】
装着ジョブデータ作成部は、二番目に、各登録番号の電子部品に対して、装着に必要な項目を設定する。装着に必要な項目として、装着順序、ノズルツール、および部品供給位置を例示できる。装着順序は、電子部品を原基板に装着する順序を表す。また、ノズルツールは、電子部品の種類に対応して交換されることがある。図5の例で、登録番号1および登録番号101の電子部品は、複数本の吸着ノズル41を有するマルチノズルツールTmを用いて初回に装着される。登録番号4の電子部品は、1本の吸着ノズル41を有するシングルノズルツールTsを用いて二回目に装着される。部品供給位置は、電子部品装着機4に装備される複数の部品供給装置のひとつを指定する。装着に必要な項目は、最適化プログラムなどによって自動設定されることが好ましい。以上の手順によって、装着ジョブデータが完成する。
【0039】
検査ジョブデータは、基板外観検査機5に転送されて記憶される。また、装着ジョブデータは、電子部品装着機4に転送されて記憶される。これにより、完成品基板Kを生産する際のジョブデータの準備が整う。この後、基板生産ライン1で、原基板や電子部品などの部材を供給する段取り作業が行われて、生産が開始される。
【0040】
ここで、図2の登録番号iに登録されたトランジスタ部品の吸着位置の偏心量(ΔX、ΔY)について追加説明する。図7は、トランジスタ部品の吸着位置の偏心量(ΔX、ΔY)を説明する平面図である。ΔXは、x軸方向の偏心量を表し、ΔYは、y軸方向の偏心量を表す。図示されるように、トランジスタ部品は、本体部90、第1リード部91、第2リード部92、および第3リード部93からなる。第1リード部91は、長方形の本体部90の一方の長辺から小さく突出している。一方、第2リード部92および第3リード部93は、本体部90の他方の長辺から大きく延び出している。トランジスタ部品の縦寸法Xiであり、横寸法Yiである。そして、トランジスタ部品の中心位置Cに対して、重心位置は偏心している。
【0041】
このトランジスタ部品を吸着ノズル41で吸着する際に、吸着位置Gを中心位置Cでなく重心位置の近傍に偏心させることで、吸着姿勢を安定化できる。このため、中心位置Cに対する吸着位置Gの偏心量(ΔX、ΔY)が部品ライブラリ75に登録される。装着ジョブデータに登録番号iが有るとき、電子部品装着機4は、部品ライブラリ75に照会して偏心量(ΔX、ΔY)を把握し、吸着ノズル41の吸着時および装着時の位置制御を補正できる。これにより、電子部品装着機4は、このトランジスタ部品を安定して吸着および装着できる。上述のように、装着ジョブデータは、登録番号iによって対応付けられた部品ライブラリ75の吸着位置Gの偏心量(ΔX、ΔY)の情報を含んでいる。
【0042】
(4.実施形態の装着ジョブデータの作成方法の態様および効果)
実施形態の装着ジョブデータの作成方法は、イメージ画像取得装置51を用いて、原基板に電子部品が実装済みの完成品基板Kを撮像することにより、完成品画像データを取得し、完成品画像データを画像処理して、原基板および電子部品の形状および大きさを表す形状情報(長さ寸法KX、幅寸法KY、X寸法X1、Y寸法Y1)、ならびに、原基板に設定されたx−y座標系を用いて表される電子部品の位置情報(x座標値、y座標値、回転角Q)を抽出し、抽出した形状情報および位置情報に基づき、完成品基板Kを生産する過程で電子部品装着機4に用いられる装着ジョブデータを作成する。
【0043】
これによれば、完成品基板Kを見本として完成品画像データを取得し、原基板および電子部品の形状情報、ならびに、電子部品の位置情報を抽出して、電子部品装着機4に用いられる装着ジョブデータを作成する。このデータ作成の手順は、全部または大部分を自動化できるので、作業者の負担を従来よりも軽減できる。また、データ作成の所要時間も、従来と比較して削減される。また、原基板でなく完成品基板Kを見本とするので、使用されないランドがある場合でも、誤って電子部品を割り付けることがない。
【0044】
さらに、装着ジョブデータは、電子部品装着機4が電子部品を原基板に装着するときに指定する位置座標値であって、x−y座標系を用いて表されるx座標値、y座標値、および回転角Q、ならびに、電子部品の種類および形状情報を含んだ情報群からなる部品データを含む。これによれば、装着ジョブデータによって電子部品の装着位置が指定されるとともに、電子部品の種類および形状情報も明らかになるので、正確な装着が行われる。また、完成品基板Kを見本とするので、原基板のランドの実際の位置がCADデータに対して誤差をもつ場合でも、指定される装着位置に誤差は発生しない。
【0045】
さらに、装着ジョブデータを作成するときに、複数種類の電子部品の部品データが予め登録された部品ライブラリ75を参照する。これによれば、部品ライブラリ75を効率的に利用できるので、作業者の負担は、さらに顕著に軽減され、データ作成の所要時間も、さらに顕著に削減される。
【0046】
また、完成品画像データから抽出した一つの電子部品の形状情報が部品ライブラリ75に登録されていない場合に、一つの電子部品を部品ライブラリ75に新規登録する。これによれば、使用実績の無い新規の電子部品が完成品基板Kに実装されていた場合に、その都度新規登録を行って、部品ライブラリ75を充実させることができる。このため、この電子部品の2回目以降の使用では、作業者の負担が軽減される。
【0047】
また、部品ライブラリ75を参照する際に、作業者による選択操作を併用する。これによれば、X寸法およびY寸法の照会だけで電子部品の種類を特定できない場合でも、作業者の選択操作によって、電子部品の種類を正しく特定できる。さらに、使用実績の無い新規の電子部品を部品ライブラリに新規登録する際に、作業者による入力操作を併用する。これによれば、新規の電子部品に関するカタログ情報や仕様などが正確に反映される。このため、この電子部品の部品データの精度が向上する。
【0048】
さらに、電子部品(トランジスタ部品)の中心位置Cに対して、電子部品装着機4の吸着ノズル41で吸着する吸着位置Gを偏心させる場合に、装着ジョブデータは、中心位置Cに対する吸着位置Gの偏心量(ΔX、ΔY)の情報を含む。これによれば、電子部品装着機4は、偏心量(ΔX、ΔY)を把握して、吸着ノズル41の吸着時および装着時の位置制御を補正できるので、安定した吸着および装着が可能になる。
【0049】
さらに、電子部品装着機4および基板外観検査機5を含んで、完成品基板Kを生産する基板生産ライン1が構成されており、基板外観検査機5が有するイメージ画像取得装置51を用いて、完成品画像データを取得し、抽出した形状情報および位置情報に基づき、基板外観検査機5に用いられる検査ジョブデータを作成し、検査ジョブデータに基づいて装着ジョブデータを作成する。これによれば、基板外観検査機5のイメージ画像取得装置51を利用するため、新たな設備投資が不要であって経済的である。
【0050】
また、ライン管理装置7は、実施形態の装着ジョブデータの作成装置の機能を有する。すなわち、ライン管理装置7は、イメージ画像取得装置51を用いて、原基板に電子部品が実装済みの完成品基板Kを撮像することにより、完成品画像データを取得する画像取得部と、完成品画像データを画像処理して、原基板および電子部品の少なくとも形状および大きさを表す形状情報、ならびに、原基板に設定されたx−y座標系を用いて表される電子部品の位置情報を抽出する画像処理部と、抽出した形状情報および位置情報に基づき、完成品基板Kを生産する過程で電子部品装着機4に用いられる装着ジョブデータを作成する検査ジョブデータ作成部および装着ジョブデータ作成部と、を備える。
【0051】
これによれば、ライン管理装置7は、実施形態の装着ジョブデータの作成方法を実行できる。したがって、手順の全部または大部分を自動化でき、作業者の負担を従来よりも軽減できる。
【0052】
(5.実施形態の応用および変形)
なお、基板生産ラインに基板外観検査機が複数台配置され、それぞれの基板外観検査機の前工程に電子部品装着機が配置されたライン構成に対して、適切な応用例がある。詳述すると、完成品画像データから抽出された全部の電子部品を複数の基板外観検査機に分配して、それぞれの検査ジョブデータを作成する。分配処理は、最適化プログラムを用いて行なわれ、複数台の基板外観検査機の間で、検査に必要な処理時間が均等化される。このように作成された検査ジョブデータに基づいて、各基板外観検査機の前工程に配置された電子部品装着機の装着ジョブデータをそれぞれ作成する。
【0053】
通常、基板外観検査装置の処理時間は、電子部品装着機の処理時間よりも大きくなる傾向にある。そのため、上記のライン構成で、先に装着ジョブデータを作成し、それに基づいて検査ジョブデータを作成すると、複数台の基板外観検査機の処理時間が均等化されず、生産時のスループットが低下するおそれがある。本応用例によれば、基板外観検査機の処理時間を均等化するように先に検査ジョブデータを作成し、それに基づいて電子部品装着機の装着ジョブデータを作成するので、生産時のスループットが低下しない。
【0054】
また、検査ジョブデータおよび装着ジョブデータの一方のみを作成する用途とすることもできる。さらに、基板外観検査機5のイメージ画像取得装置51およびライン管理装置7に代えて、基板生産ライン1に関係ない別のイメージ画像取得装置およびコンピュータ装置を用いることも可能である。この場合、装着ジョブデータの作成方法を実施しても、基板生産ライン1の稼動に影響を及ぼさない。本発明は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1:基板生産ライン 4:電子部品装着機 41:吸着ノズル 5:基板外観検査機 51:イメージ画像取得装置 7:ライン管理装置 75:部品ライブラリ K:完成品基板 Mp:位置マーク KX:長さ寸法 KY:幅寸法 B7:チップ部品 X1:X寸法 Y1:Y寸法 (ΔX、ΔY):偏心量 C:中心位置 G:吸着位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7