(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792639
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】治療計画評価ツール
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
A61N5/10 P
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-555669(P2018-555669)
(86)(22)【出願日】2017年4月17日
(65)【公表番号】特表2019-514510(P2019-514510A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】EP2017059076
(87)【国際公開番号】WO2017186522
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2020年3月31日
(31)【優先権主張番号】16173642.6
(32)【優先日】2016年6月9日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】201641014723
(32)【優先日】2016年4月28日
(33)【優先権主張国】IN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ヴァハラ エルッキ タパーニ
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー リゼット
(72)【発明者】
【氏名】ガッタマネーニ クマール ラジャ
【審査官】
宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2003/0178996(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0235969(US,A1)
【文献】
特開2002−204791(JP,A)
【文献】
特表2015−511524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
G01R 33/48 − G01R 33/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療計画に関する品質インジケータを計算するプロセッサ及び/コントローラを有する治療計画評価ツールであって、
前記放射線治療計画が、計画画像に由来し、前記計画画像は、磁場均一性を持つ主磁場の存在下で取得されたMRI画像であり、
前記治療計画評価ツールは、前記磁場均一性に関する情報を受信し、臓器における前記磁場均一性をプリセット限界値と比較することにより、前記品質インジケータを計算し、及び臓器タイプにより前記品質インジケータを重み付けし、
磁場不均一性によりもたらされる前記計画画像における歪みは、センシティブ又は重要な構造若しくは臓器又はこれらの付近にあるとき、より大きな重みを得て、
前記治療計画評価ツールが、放射線ビームの向きにより前記品質インジケータを重み付ける、治療計画評価ツール。
【請求項2】
歪み量、処方線量、計画線量、組織感受性、リスク臓器と腫瘍との間の距離、計画画像に表されるリスク臓器又は組織の種類といった入力の1つ又は複数を用いて、前記放射線治療計画に関する前記品質インジケータを計算する、請求項1に記載の治療計画評価ツール。
【請求項3】
臓器の位置における前記磁場不均一性によりもたらされる幾何学的歪みを、該幾何学的歪みに関するプリセット限界値と比較し、
前記幾何学的歪みが前記プリセット限界値を超える場合、ユーザに警告を提供する、請求項1又は2に記載の治療計画評価ツール。
【請求項4】
前記品質インジケータをユーザに表示する、請求項1乃至3のいずれかに記載の治療計画評価ツール。
【請求項5】
前記磁場均一性に関する情報を用いて、前記計画画像を幾何学的に補正する、請求項1乃至4のいずれかに記載の治療計画評価ツール。
【請求項6】
前記計画画像に基づき、放射線治療計画を生成する治療計画ユニットを有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の治療計画評価ツール。
【請求項7】
前記治療計画ユニットが更に、前記品質インジケータを最適化することにより前記放射線治療計画を生成する、請求項6に記載の治療計画評価ツール。
【請求項8】
品質保証のための方法において、
磁気共鳴撮像システムの磁場不均一性を決定するステップと,
前記磁気共鳴撮像システムで1つ又は複数の磁気共鳴画像を取得するステップであって、前記1つ又は複数の磁気共鳴画像の1つ又は複数が計画画像をもたらす、ステップと、
前記計画画像を用いて、放射線治療計画を生成するステップと、
前記磁場不均一性に関する情報を用いて、臓器における前記磁場不均一性をプリセット限界値と比較することにより前記放射線治療計画に関する品質インジケータを計算するステップであって、前記品質インジケータが、臓器の種類により重み付けされ、前記磁場不均一性によりもたらされる前記計画画像における歪みは、センシティブ又は重要な構造若しくは臓器又はこれらの付近にあるとき、より高い重みを得て、放射ビームの向きにより前記品質インジケータが重み付けされる、ステップとを有する、方法。
【請求項9】
前記磁場不均一性の決定が、複数の患者に関する品質インジケータの計算のための入力として使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各患者に関して、前記磁場不均一性が決定され、前記品質インジケータの計算のための入力として使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記磁場不均一性に関する情報が、1つ又は複数の磁気共鳴画像を幾何学的に補正するために使用される、請求項8乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
品質インジケータが、歪みの量、処方線量、計画線量、計画画像に表される組織の組織感受性といった入力の1つ又は複数を用いて計算される、請求項8乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記品質インジケータが、臓器の種類により重み付けされ、前記磁場不均一性によりもたらされる前記計画画像における歪みは、センシティブ又は重要な構造若しくは臓器又はこれらの付近にあるとき、より高い重みを得る、請求項8乃至12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記計画画像が、前記品質インジケータを最適化することにより少なくとも部分的に生成される、請求項8乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記品質インジケータをユーザに表示するステップを有する、請求項8乃至14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング(MRI)の分野に関し、より詳細には、治療計画、特に放射線治療計画のためのMRIの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴映像法(MRI)は、治療分野において、特に放射線治療の分野において、ますます重要性を増している。MRIは、腫瘍組織と健康な組織とをよりよく区別するのに役立つ場合がある。更に、これは、リスク臓器(OAR)の描出を改善するのに役立つ場合がある。これは、治療計画にMRIを使用することを興味深いものとする。MRIベースの放射線治療計画を容易にするため、MRI画像を使用して疑似CT画像又は減衰(attneuation)マップを生成することができる。この文書の文脈において、放射線治療計画の生成に寄与するMRI画像は、MRI計画画像として規定される。計画MRI画像は例えば、擬似CT画像又は減衰マップであってもよく、計画MRI画像は、擬似CT又は減衰マップを生成するために使用されるMRI画像であってもよく、計画画像は、関心構造の描写に使用されるよう構成される1つ又は複数のMRI画像であってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
治療設定においてMRIを使用することの1つの欠点は、MRIが、例えばCTに比べて幾何学的精度が低下する場合がある点にある。これは、MRIベースの治療の質に影響を及ぼし得る。
【0004】
US2014/0266198A1号は、関心領域(ROI)における幾何学的精度を決定する方法を記載する。この方法は、ファントムによりカバーされるROIにおける歪みを記述する一組の3Dベクトルを導出することを含む。特徴付けられた画像歪みは、シミング又は画像補正のために使用され得る。画像補正方法は、治療計画システム(TPS)に統合されることができる。
【0005】
本発明の目的は、MRI画像を治療計画に使用するときの品質保証を改善することである。この目的は、請求項1に記載の治療計画評価ツールにより達成される。この目的は、請求項8に記載の方法によっても達成される。
【0006】
一般に、達成すべき目標を設定することにより、放射線治療計画が生成される。斯かる目標の一例は、選択された構造に与えられる最小線量又は最大線量である。斯かる構造は例えば、リスク臓器又は計画された標的ボリューム(PTV、これは、画像に見られる腫瘍に何らかのマージンを足したもの)であり得る。例えば構造の放射線感受性及びその位置といった複数の要因に基づき、その構造に関する特定の治療目標が設定される。しかしながら、計画MRI画像を生成するために使用された主磁場によりもたらされる幾何学的な不正確さのため、構造の正確な位置及び/又はボリュームは、仮定されたものとは異なる場合がある。治療計画システムにより治療目標が満たされているかどうかを評価するとき、MRI計画画像の幾何学的精度が考慮される必要がある。歪みが許容可能なレベル内に留まるボリュームを直接的に知らないと、重要な組織ボリュームが均質なボリュームの外側に残っていることをユーザが疑う場合、ユーザはMRアイソセンタからの距離を測定するか、又は目視検査に頼らざるを得ない。これは非効率的であり、あまり正確ではない可能性が高い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、磁場均一性に関する情報に基づき治療計画に関する品質インジケータを計算することにより、これらの問題に対処する。こうして、治療計画の質に対する幾何学的不正確さの影響が容易に決定されることができる。こうして、品質保証が改善されることができる。
【0008】
本発明の実施形態によれば、上記治療計画評価ツールが、歪み量、処方線量、計画線量(好ましくは臨床目標を満たし、好ましくは処方線量に近い)、組織感受性、放射ビームの向き、リスク臓器と腫瘍との間の距離、計画画像に表されるリスク臓器又は組織の種類といった入力の1つ又は複数を用いて、上記治療計画に関する上記品質インジケータを計算するよう構成される。放射線治療計画及び治療計画という用語は、ここでは同等とみなされる。これらのパラメータは、毒性又は腫瘍制御のいずれかの治療結果に影響を及ぼす。特定の構造体、特にOARが、高い組織感受性又は放射線感受性を持つとき、より慎重になる可能性がある。いわゆるパラレルOARと比較して、いわゆるシリアルOARでより慎重になる可能性もある。
【0009】
従って、幾何学的な不正確性が、シリアル構造及び/又はより高い放射線感受性を持つ構造に関する品質インジケータに大きな影響を及ぼす場合それは有利である。品質インジケータを計算するときビーム方向を考慮することも有利である。幾何学的不正確さは、ビーム経路に配置される場合、特に治療ビームと平行に配置される場合には、主として関連する。従って、これらの位置に配置されるとき、幾何学的不正確さに高い重みを与えることが有利である。更に、放射ビーム経路内に幾何学的精度が生じるという警告がシステムのユーザに表示されてもよい。これは、ユーザがビームの向きを調整する理由となり得る。また、品質インジケータを計算するとき、OARと腫瘍との距離を考慮することも有利である。OARが腫瘍に近いほど、幾何学的不正確さの影響が大きくなる。従って、品質インジケータを計算するとき、例えば腫瘍と特定のOARとの間の距離に基づき幾何学的不正確さを重み付けすることにより、これを考慮することも有利である。構造ごとに品質インジケータが計算されることができる。これは洞察に満ちている。なぜなら、こうして、問題の発生場所が簡単に評価されることができるからである。代替的又は追加的に、治療計画全体に関する1つの品質インジケータが計算されることができる。これは例えば、異なる構造に関する品質インジケータを加重寄与を用いて組み合わせることにより実現されることができる。
【0010】
本発明の更なる実施形態によれば、治療計画評価ツールは、臓器の位置における磁場の不均一性によりもたらされる幾何学的歪みを、この幾何学的歪みに関するプリセット限界値と比較するよう構成される。この比較の結果は、品質インジケータとなる可能性がある。治療計画評価ツールは、幾何歪みがプリセット限界値を超える場合、ユーザに警告を提供するように更に構成され得る。この実施形態は、有利である。なぜなら、それは、あまり最適でない治療が患者に提供されることを防止するのに役立ち得るからである。
【0011】
更なる実施形態によれば、治療計画評価ツールは、磁場均一性に関する情報を用いて、MRI計画画像を幾何学的に補正するよう構成される。この実施形態は、有利である。なぜなら、それは、より良好な治療計画をもたらすからである。
【0012】
本発明の更なる実施形態によれば、治療計画評価ツールは、計画画像に基づき、治療計画を生成するよう構成された治療計画ユニットを有する。この実施形態は、有利である。なぜなら、こうして、品質インジケータを評価することにより得られた洞察が治療計画を改善するために容易に使用されることができるからである。
【0013】
別の態様によれば、本発明は、品質保証のための方法であり、
磁気共鳴撮像システムの磁場不均一性を決定するステップと、
上記磁気共鳴撮像システムで1つ又は複数の磁気共鳴画像を取得するステップであって、上記1つ又は複数の磁気共鳴画像の1つ又は複数が計画画像をもたらす、ステップと、
計画画像を用いて、治療計画を生成するステップと、
磁場の不均一性に関する情報を使用して、治療計画に関する品質インジケータを計算するステップとを有する。
【0014】
本発明の実施形態によれば、上記磁場の不均一性の決定が、複数の患者に関する品質インジケータの計算のための入力として使用される。この実施形態は、有利である。なぜなら、それは、より迅速な品質保証手順を可能にするからである。
【0015】
本発明の実施形態によれば、各患者に関して、上記磁場の不均一性が決定され、上記品質インジケータの計算のための入力として使用される。この実施形態は、有利である。なぜなら、それは、品質保証手順の精度を向上させることができるからである。
【0016】
本書で使用される「品質係数」という用語は、放射線治療計画に割り当てられた数値スコア又は値であると考えられることができる。品質係数は、複数の異なる方法で使用されることができる。それは、人間のオペレータに表示されることができ、その結果、放射線治療計画が対象の健康な組織をどれくらい良好に保護するかを、オペレータが容易に解釈することができる。品質係数はまた、放射線治療計画が放射線治療中に対象の健康な組織をどれくらい良好に保護するかの定量的尺度として解釈されてもよい。
【0017】
品質係数は定量的尺度であるため、それは、放射線治療計画を修正及び改善するため、放射線治療計画を最適化するための最適化アルゴリズムにより使用されることができる。例えば、候補の放射線治療計画に関する代替ビーム経路が、放射線治療計画を使用して評価されることができ、どの放射線治療計画が放射線療法治療計画に選択されるべきかを選択するのに、最良の品質係数をもたらすビーム経路が使用されることができる。
【0018】
本書で使用される治療計画評価ツールは、治療計画のための品質インジケータを計算するよう構成されたプロセッサ及び/又はコントローラを包含する。治療計画評価ツールは例えば、磁気共鳴撮像システム及び/又は放射線治療システムに組み込まれることができる。
【0019】
本書では、磁場の均一性及び磁場の不均一性への言及は同等である点を理解されたい。両方とも、磁場が空間的にどのように変化するかの尺度又は記述である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】治療計画評価ツールを概略的に示す図である。
【
図2】品質インジケータをいわゆるスコアカードにどのように組み込むことができるかの例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のこれら及び他の側面が、以下に説明される実施形態から明らかとなり、これらの実施形態を参照して説明されることになる。
【0022】
図1は、治療計画評価ツール100を概略的に示す。治療計画評価ツール100は、磁場均一性101に関する情報を受け取る。この情報は例えば、MRI撮像ボリュームからの3次元歪みマップであってもよい。歪みマップは、品質保証チェックの間に生成されることができ(
図3、301)、例えば平面的な2Dファントムが撮像ボリュームを横断するときの平面的な2Dファントムが使用されることができる。ファントムにおける小さなマーカ球及びテーブルトップの既知の位置は、取得されたMRI画像と一緒に使用され、歪みを推定することができる。これは、特定の撮像野にわたり3D歪みマップを生成し、このマップは、位置のみに基づき磁気歪み及び勾配歪みを空間的に分離するのに使用されることができる。追加的に、患者固有の歪みを取得し、患者のカスタマイズされた歪み補正マップが生成されることができる。2Dファントムに加えて、又はこれに代えて、テーブルトップ運動を避けるため、従来技術で既知の大きな3Dファントムが使用されることもできる。場所における患者が誘発する歪みを含む歪みマップ情報を生成するため、実現可能な実現の1つは、システムが、患者の周囲の既知の場所においてマイクロコイル又は同様の小さなプローブを使用し、測定点に球面調和関数を適合させ、従来技術で既知のMRスキャナシミング手順と同様に、患者から生じる感受性アーチファクトによる歪みを推定することができるものである[Magnetic Resonance in Medicine 60: 187−197 (2008).Spatiotemporal Magnetic Field Monitoring for MR.Christoph Barmet、Nicola De Zanche、及びKlaas P.Pruessmann]。
【0023】
歪みマップは、DICOMオーバーレイとして、3D DICOM画像シリーズのマスキングとして、歪みアイソセンタのDICOMメッシュ(例えば、1mm歪みアイソコンタワー、3mmアイソコンタワーなど)として、DICOM RT Struct 2D等高線として、又はメタデータを備える独自のメッシュ形式において、送信されることができる。これは、後続の表示操作の自動化に役立つ。
【0024】
磁場均一性101に関する情報に基づき、治療計画評価ツール100は、品質インジケータ103を計算する(
図3、ステップ304)。この品質係数は、ディスプレイ104を用いてユーザに表示されることができる。歪みマップ自体が視覚化され、ユーザに表示されることもできる。例えば、計画画像の上に市松模様のオーバーレイ又はアルファブレンドが使用される。簡単な実施形態では、品質インジケータ103は、幾何学的不正確さと、これらの幾何学的不正確さに対するプリセット限界値との比較の結果である。更に進んだ実施形態では、品質インジケータを計算するとき、他の要因102も考慮される。これらの要因は例えば、処方線量、計画線量、組織感受性、放射線ビームの方向、リスク臓器と腫瘍との間の距離、計画画像に表されるリスク臓器又は組織の種類であり得る。これを行う1つの方法は、上記の要因の1つ又は複数により幾何学的な不正確さを重み付けすることである。好ましくは、これは、両方の腫瘍が関連するOARのそれぞれに対して行われることが好ましい。
【0025】
図2は、品質インジケータがいわゆるスコアカード200にどのように統合されるかの例を示す。治療目標G1 205、G2 206は、異なる関心領域/構造202に関するスコアカード200において設定されることができる。G1は一次治療目標に関連し、G2は二次治療目標に関連し、これは、一次治療目標G1よりも厳格ではない。治療目標は、構造体202のどの容量パーセンテージ(列V)がどの線量(列D、例えば最小、最大、平均線量)を受け取るべきかに関する。更に、
図2によるスコアカードでは、幾何学的精度(列I)に対して1つ又は複数の入力が与えられることができる。これらの入力は、計画画像102に表される処方線量、計画線量、組織感受性、放射線ビーム方向、リスク臓器と腫瘍との間の距離、リスク臓器又は組織の種類に関連し得る。入力は例えば、重み付け係数とすることができる。しかしながら、それらは幾何学的不正確さに関するプリセット限界値でもあり得る。品質インジケータに関して、異なる器官は、警告キュー又は完全なエラー状態をトリガする前に、同質ボリュームの外側にどれくらいの量の線量が許容されるかを特定するプリセット値を持つことができる(1mm/3mm)。ボリュームは、歪みマップに基づきほぼ歪み補正されることができる。ボリューム値が各ボクセル位置における補間された歪みに依存する係数により重み付けされる線量ボリュームのような、より抽象的な品質インジケータを計算することも可能である。これらのインジケータは例えば、色分け(緑、黄、赤)又は合格/不合格基準(例えば、列R、符号207を参照)を持つ計画レビュースコアカードに表示されることができる。品質インジケータがプリセット限界値の範囲外にある場合、警告が提供されることができる。警告/エラーは、レビューを容易にするため、同質ボリュームの外の最大ボリュームを含むスライスを表示するためのショートカットリンクとしても機能する。
【0026】
治療計画が各構造202に対して列208で計算された後、計画された線量(列D)が構造のどの体積百分率(列V)に対するものであるかが表示される。更に、構造に関する(重み付けされた)幾何学的精度又は品質インジケータが表示される(列I)。これは例えば、構造に対する平均又は最大歪みであり得る。最後の列R207には、一次目標、二次目標が達成された、又はいずれの目標も達成されなかったかどうかが表示される。下部ボタン220〜225は、目標セットC220に基づき治療計画の計算を開始し、治療目標A221を追加し、治療目標D222を削除し、又は例えば線量ヒストグラムを表示することにより、特定の構造統計223に関する統計を表示するために使用されることができる。ボタンAdj224は、列Iにおける幾何学的精度に関する入力を提供するのに加えて、又はこの代わりに使用されることができる。このボタンは、幾何学的不正確さを考慮に入れるため、治療目標G1、G2を調整するのに使用されることができる。例えば、歪みマップに基づき、1つ又は複数の治療目標が自動的に調整されることができる。例えば、輪郭描写されたボリュームが自動的に変更され、又はボリューム目標が更新されることができる。
【0027】
図3は、本発明による方法を概略的に示す。この方法は、以下のステップを含む。
【0028】
ステップ301:磁気共鳴撮像システムの磁場不均一性を決定するステップ。本発明の一実施形態では、歪みマップは毎日の品質保証チェック中に生成され、各患者に再使用される。本発明の別の実施形態では、歪みマップは、既にMR検査中の患者からの測定値を用いて生成又は拡張される。本発明の別の実施形態では、上記実施形態のいずれかの歪みマップを使用して、歪みマップの歪みベクトル場に基づきボクセルを変形することにより患者から取得した画像が修正される。
【0029】
ステップ302:上記磁気共鳴イメージングシステムで1つ又は複数の磁気共鳴画像を取得するステップ。上記1つ又は複数の磁気共鳴画像の1つ又は複数が、計画画像を生じさせる。
【0030】
ステップ303:計画画像を用いて、治療計画を生成するステップ。
【0031】
ステップ304:磁場の不均一性に関する情報を用いて、治療計画に関する品質インジケータを計算するステップ。品質係数は、画像精度の良さの尺度となり得る。従って、入力は、歪み、計画された供給線量、及び臓器タイプによる重み付けである。いくつかの臓器は他の臓器よりも重要であるため、重要な構造の付近に歪みがある場合、それらの臓器又は部位は、それらの部位に歪みがある場合にはより高く加重される必要があり、医師は、例えばスコアカードを用いて又は画像上で視覚的に、通知されることができる。
【0032】
場合によっては、例えば、品質インジケータが幾何学的歪みの量にのみ基づかれる場合、治療計画が計算される前に、品質インジケータが計算されることができる点に留意されたい。
【0033】
本発明が、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されるが、斯かる図示及び説明は、説明的又は例示的であって限定的ではないと考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。