特許第6792641号(P6792641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792641
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】自由空間セグメント試験器(FSST)
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20201116BHJP
   H01Q 13/02 20060101ALI20201116BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20201116BHJP
   H01Q 3/44 20060101ALI20201116BHJP
   G01R 29/10 20060101ALI20201116BHJP
   G01R 29/26 20060101ALI20201116BHJP
   G01R 35/00 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G01R29/08 F
   H01Q13/02
   H01Q21/06
   H01Q3/44
   G01R29/10 E
   G01R29/26 F
   G01R35/00 K
【請求項の数】20
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2018-560815(P2018-560815)
(86)(22)【出願日】2017年5月17日
(65)【公表番号】特表2019-521327(P2019-521327A)
(43)【公表日】2019年7月25日
(86)【国際出願番号】US2017033164
(87)【国際公開番号】WO2017201197
(87)【国際公開日】20171123
【審査請求日】2019年3月13日
(31)【優先権主張番号】62/339,711
(32)【優先日】2016年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/596,370
(32)【優先日】2017年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ハワー トム
(72)【発明者】
【氏名】セーサイ ラミン
(72)【発明者】
【氏名】アッシュ ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】フォーンズ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ペドラー ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】サゼガー モフセン
(72)【発明者】
【氏名】レップ ジェイコブ タイラー
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−153906(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0193566(US,A1)
【文献】 特開2000−196330(JP,A)
【文献】 特開平07−260462(JP,A)
【文献】 特開2015−045590(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0222021(US,A1)
【文献】 特開平10−170575(JP,A)
【文献】 特開2002−296202(JP,A)
【文献】 特開2005−332994(JP,A)
【文献】 米国特許第7791355(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08
G01R 29/10
G01R 29/26
G01R 35/00
H01Q 3/44
H01Q 13/02
H01Q 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面アンテナの薄膜トランジスタ(TFT)セグメントを支持するプラットフォームを有するフレームと、
マイクロ波エネルギを前記TFTセグメントに送信し、前記TFTセグメントから反射したマイクロ波エネルギを受信する第1のホーンアンテナと、
前記TFTセグメントを透過したマイクロ波エネルギを受信する第2のホーンアンテナと、
前記TFTセグメントに結合され、少なくとも1つの刺激又は条件を前記TFTセグメントに与えるコントローラと、
前記第1のホーンアンテナ及び第2のホーンアンテナを使用して前記TFTセグメントの特性を測定するアナライザと、
を備える装置。
【請求項2】
前記アナライザは、前記TFTセグメントに対する前記第1のホーンアンテナ又は前記第2のホーンアンテナにおけるマイクロ波周波数応答を含む特性を測定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記アナライザは、前記コントローラからのコマンド信号刺激の関数として又は前記コントローラからのコマンド信号刺激を用いることなく前記第1のホーンアンテナ又は前記第2のホーンアンテナにおけるマイクロ波周波数応答を測定する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記アナライザは、前記TFTセグメントに対する前記第2のホーンアンテナにおける透過応答及び前記第1のホーンアンテナにおける反射応答を測定する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラ及びアナライザに結合され、1又は2以上の刺激に基づいて前記TFTセグメントに対する前記マイクロ波周波数応答、透過応答、又は反射応答のうちの少なくとも1つを較正するコンピュータを更に備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コンピュータは、前記TFTセグメントに対する前記マイクロ波周波数応答、透過応答、又は反射応答を特徴付ける、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記条件は、環境条件を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記TFTセグメントは、前記TFTセグメントが受け入れ可能であることを前記TFTセグメントの前記測定された特性が示す場合に平面アンテナに組み込むのに使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
平面アンテナの薄膜トランジスタ(TFT)セグメントにマイクロ波エネルギを加えるステップと、
前記TFTセグメントを透過した送信マイクロ波エネルギ又は前記TFTセグメントから反射したマイクロ波エネルギのうちの少なくとも1つを測定するステップと、
前記測定されたマイクロ波エネルギを較正するステップと、
を含む方法。
【請求項10】
前記TFTセグメントに対する透過係数又は反射係数を測定するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記透過係数又は反射係数は、前記TFTセグメントへのマイクロ波エネルギ周波数又はコマンド信号の関数として測定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記透過係数又は反射係数は、位相及び振幅値を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記透過係数又は反射係数を較正するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記TFTセグメントへの前記コマンド信号を変化させるステップと、前記コマンド信号を変化させた後に前記透過又は反射したマイクロ波エネルギを測定するステップとを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記透過又は反射したマイクロ波エネルギを使用して、前記TFTセグメントの前記マイクロ波エネルギ周波数応答を測定するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記TFTセグメントの前記測定されたマイクロ波エネルギ応答に基づいて、前記TFTセグメントが受け入れ可能であるか否かを検出するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
平面アンテナへの組み立てに受け入れ可能であると決定された場合に前記TFTセグメントを使用するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記測定されたマイクロ波エネルギ周波数応答を較正するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
平面アンテナの薄膜トランジスタ(TFT)セグメントを支持するプラットフォームを有するフレームと、
前記TFTセグメントマイクロ波エネルギを送信する又は該TFTセグメントから反射されたマイクロ波エネルギを受信する第1のホーンアンテナと、
前記TFTセグメントに結合され、少なくとも1つの刺激又は条件を前記TFTセグメントに与えるコントローラと、
前記第1のホーンアンテナを使用して前記TFTセグメントの特性を測定するアナライザと、
を備える装置。
【請求項20】
前記TFTセグメントを透過したマイクロ波エネルギを受信する第2のホーンアンテナを更に備え、前記アナライザは、前記第2のホーンアンテナを使用して、前記TFTセグメントの特性を測定する、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、衛星通信を含む通信及びアンテナの分野におけるものである。より詳細には、本発明の実施例は、平面アンテナ(flat panel antennas)用の自由空間セグメント試験器(FSST)に関する。
【0002】
(優先権)
本出願は、2016年5月20日出願の名称「FREE SPACE SEGMENT TESTER (FSST)(自由空間セグメント試験器(FSST))」の米国仮特許出願第62/339,711号に対して優先権を主張し、これに対応する特許を引用により本明細書に組み込む。
【0003】
(関連出願)
本出願は、本発明の法人譲受人に譲受された同時係属出願である、2016年3月3日出願の「ANTENNA ELEMENT PLACEMENT FOR A CYLINDRICAL FEED ANTENNA(円筒状給電アンテナのためのアンテナ素子配置)」という名称の米国特許出願第15/059,837号、2016年3月3日出願の「APERTURE SEGMENTATION OF A CYLNDRICAL FEED ANTENNA(円筒状給電アンテナのアパーチャセグメント化)」という名称の米国特許出願第15/059,843号、及び2016年12月9日出願の名称「A DISTRIBUTED DIRECT ARRANGEMENT FOR DRIVING CELLS(セルを駆動するための分散型直接構成)」という名称の米国特許出願第15/374,709号に関連する。
【背景技術】
【0004】
衛星通信は、マイクロ波の送信を伴う。このようなマイクロ波は、短波長を有し、ギガヘルツ(GHz)範囲の高周波数で送信することができる。アンテナは、広帯域幅及び高伝送速度を有するポイントツーポイント通信を可能にする高周波数マイクロ波の集束ビームを生成することができる。アンテナが適切に機能しているか否かを判定するのに使用できる測定は、マイクロ波周波数応答である。この測定は、刺激(stimulus)又は信号に応答したアンテナ出力スペクトルの定量的な尺度である。これは、入力刺激又は信号と比較して、周波数の関数としてアンテナの出力の大きさ及び位相の尺度を提供することができる。アンテナに関するマイクロ波周波数応答の決定は、アンテナに関する有用な性能尺度である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
自由空間セグメント試験器(FSST)のための方法及び装置が開示される。1つの実施例において、本装置は、フレーム、第1のホーンアンテナ、第2のホーンアンテナ、コントローラ、及びアナライザを含む。フレームは、平面アンテナの薄膜トランジスタ(TFT)セグメントを支持するプラットフォームを有する。第1のホーンアンテナは、マイクロ波エネルギをTFTセグメントに送信し、該TFTセグメントから反射したエネルギを受信する。第2のホーンアンテナは、TFTセグメントを通って透過されたマイクロ波エネルギを受信する。コントローラは、TFTセグメントに結合され、少なくとも1つの刺激又は条件を該TFTセグメントに与える。アナライザは、第1のホーンアンテナ及び第2のホーンアンテナを使用してTFTセグメントの特性を測定する。測定される特性の実施例は、TFTセグメントに関して測定されたマイクロ波周波数応答、透過応答(transmission response)、又は反射応答を含む。1つの実施例において、TFTセグメントは、TFTセグメントの測定された特性が、TFTセグメントが受け入れ可能であることを示す場合、平面アンテナに組み込むのに使用される。
【0006】
本発明は、以下に与えられる詳細な説明から及び様々な実施例の添付の図面から十分に理解されるであろうが、これらは、本発明を特定の実施例に限定するものと解釈されるべきではなく、単に解説及び理解のためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】例示的な自由空間セグメント試験器(FSST)を示す図である。
図1B図1AのFSSTの構成要素の例示的なブロック図である。
図1C図1A及び1BのFSSTを動作させる例示的な動作を示す図である。
図1D】円筒波給電を提供するのに使用される同軸給電部の1つの実施例の上面図である。
図1E】1つの実施例による、円筒状給電アンテナの入力給電部の周りに同心リング状に配置されたアンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアパーチャを示す図である。
図2】1つの実施例による、グランドプレーン及び再構成可能な共振器層を含む1つの列のアンテナ素子の斜視図である。
図3】同調可能共振器/スロットの1つの実施例を示す図である。
図4】物理的アンテナアパーチャの1つの実施例の断面図である。
図5A】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施例を示す図である。
図5B】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施例を示す図である。
図5C】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施例を示す図である。
図5D】スロット付きアレイを形成する様々な層の1つの実施例を示す図である。
図6A】円筒状給電アンテナ構造の1つの実施例の側面図である。
図6B】外向き波を生成する円筒状給電部を備えたアンテナシステムの別の実施例を示す図である。
図7】セルがグループ化されて同心方形(矩形)を形成する実施例を示す図である。
図8】セルがグループ化されて同心八角形を形成する実施例を示す図である。
図9】アイリス及びマトリクス駆動回路を含む小さなアパーチャの実施例を示す図である。
図10】セル配置に使用される格子螺旋の1つの実施例を示す図である。
図11】追加の螺旋を用いてより均一な密度を達成するセル配置の1つの実施例を示す図である。
図12】1つの実施例による、アパーチャ全体を充填するよう繰り返される選択された螺旋パターンを示す図である。
図13】1つの実施例による、円筒状給電アパーチャの四分円へのセグメント化の1つの実施形態を示す図である。
図14A】1つの実施例による、マトリクス駆動格子が適用された図13の単一のセグメントを示す図である。
図14B】1つの実施例による、マトリクス駆動格子が適用された図13の単一のセグメントを示す図である。
図15】円筒状給電アパーチャの四分円へのセグメント化の別の実施例を示す図である。
図16A】マトリクス駆動格子が適用された図15の単一のセグメントを示す図である。
図16B】マトリクス駆動格子が適用された図15の単一のセグメントを示す図である。
図17】アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施例を示す図である。
図18】TFTパッケージの1つの実施例を示す図である。
図19A】奇数のセグメントを有するアンテナアパーチャの1つの実施例を示す図である。
図19B】奇数のセグメントを有するアンテナアパーチャの1つの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
自由空間セグメント試験器(FSST)のための方法及び装置が開示される。1つの実施例において、本装置は、フレーム、第1のホーンアンテナ、第2のホーンアンテナ、コントローラ、及びアナライザを含む。フレームは、平面アンテナの薄膜トランジスタ(TFT)セグメントを支持するプラットフォーム(platform)を有する。第1のホーンアンテナは、マイクロ波エネルギをTFTセグメントに送信し、このTFTセグメントから反射したエネルギを受信する。第2のホーンアンテナは、TFTセグメントを通って透過されたマイクロ波エネルギを受信する。コントローラは、TFTセグメントに結合され、少なくとも1つの刺激又は条件をこのTFTセグメントに与える。アナライザは、第1のホーンアンテナ及び第2のホーンアンテナを使用してTFTセグメントに対する特性を測定する。
【0009】
測定される特性の実施例は、TFTセグメントに対する第1のホーンアンテナにおけるマイクロ波反射周波数応答特性を含む。別の実施例では、第2のホーンアンテナは、TFTセグメントからのマイクロ波エネルギを受信するのに使用することができる。測定される特性は、TFTセグメントに対する第2のホーンアンテナにおけるマイクロ波周波数応答を含むことができる。第1のホーンアンテナ又は第2のホーンアンテナにおいて測定されたマイクロ波周波数応答は、コントローラからのコマンド信号刺激の関数とすることができ、又はコントローラからのコマンド信号刺激なしとすることができる。測定されるマイクロ波周波数応答はまた、環境条件の関数とすることもできる。TFTセグメントに対する測定される特性の別の実施例は、TFTセグメントに対する第2のホーンアンテナにおける測定された透過応答及び第1のホーンアンテナにおける測定された反射応答を含む。幾つかの実施例において、測定される特性は、測定された反射応答のみである。
【0010】
1つの実施例において、コンピュータは、コントローラ及びアナライザに結合され、1又は2以上の刺激に基づいて、TFTセグメントのマイクロ波周波数応答、透過応答、又は反射応答のうちの少なくとも1つを較正することができる。コンピュータはまた、TFTセグメントに対するマイクロ波周波数応答、透過応答、又は反射応答を特徴付けることができる。1つの実施例において、TFTセグメントが受け入れ可能(acceptable)であることをTFTセグメントの測定された特性が示す場合、TFTセグメントは平面アンテナに組み込むのに使用される。
【0011】
以下の説明では、本発明のより完全な説明を提供するために多くの詳細事項が記載されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細事項なしで実施できることは当業者には明らかであろう。場合によっては、本発明を曖昧にするのを避けるために、周知の構造及び装置は、詳細には示さずにブロック図の形式で示される。
【0012】
以下の詳細な説明の幾つかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号表現の観点で提示されている。これらのアルゴリズムに関する説明及び表現は、データ処理技術分野の当業者により、自らの仕事の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるのに使用される手段である。アルゴリズムは、ここでは一般的に、望ましい結果に至る自己矛盾のない一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。通常は、必ずしもそうではないが、これらの量は、格納、転送、結合、比較、及び他の操作が可能な電気信号又は磁気信号の形式をとる。これらの信号をビット、値、要素、記号、符号、用語、又は数字などとして言及することは、主として共通使用という理由で時に有利であることが判明している。
【0013】
(自由空間セグメント試験器(FSST))
図1Aは、例示的な自由空間セグメント試験器(FSST)100を示す。この実施例では、FSST100は、試験中の平面アンテナ構成要素、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)セグメント108に対する応答を評価及び較正することができるマイクロ波測定デバイスである。平面アンテナ構成要素の実施例は、図1D〜19B、並びに同時係属中の関連出願である米国特許出願第15/059,837号、第15/059,843号、及び第15/374,709号に記載の平面アンテナに関するものとすることができる。1つの実施例において、FSST100は、自動化された高速測定技法と適合性があり、TFTセグメントのアレイから作製される平面アンテナを組み立てるための生産ラインにおいて設置面積を小さくすることができる。
【0014】
以下の実施例では、FSST100は、独立型平面アンテナ構成要素の特性に関する工程間検査及び試験を可能にする。例えば、TFTセグメント108に対するマイクロ波周波数応答は、完全に組み立てられた平面アンテナへの組み込みの前に測定することができる。このように、FSST100を使用することにより、例えばTFTセグメントなどの欠陥のある構成要素を識別して、平面アンテナへの最終組み立て前にこの構成要素を置き換えることにより、欠陥のある平面アンテナを低減することができ、これによって組み立てコストも削減することができる。FSST100を使用した測定及び試験は、平面アンテナ組立工程に途切れなく組み込むことができる。また、FSST100からの測定値は、平面アンテナに関する設計、開発、及び較正の目的に使用することができる。また、FSST100は、TFTセグメント108などの部分構成要素に関する試験及び測定を行うことによって、平面アンテナのマイクロ波機能を決定する非破壊プロセスを提供する。
【0015】
FSST100は、TFTセグメント108を支持するTFTセグメントプラットフォーム111を保持する物理的構造を提供する試験器フレーム102を含む。この実施例では、試験器フレーム102は、TFTセグメント108を支持するためのセグメントの形状にされた切り欠き部を有するTFTセグメントプラットフォーム111などの帯電防止用棚部を含む。この形状の切り欠き部及びTFTセグメント108は、平面アンテナの一部を形成する何らかのタイプの形状を有することができる。また、試験器フレーム102は、TFTセグメント108の上方及び下方に位置する2つのホーンアンテナ105−A及び105−Bを支持し、それぞれのアンテナプラットフォーム109−A及び109−Bが、それぞれの支持バー101−A及び101−Bに接続されている。別の実施例では、支持バー101−A及び101−B並びにアンテナプラットフォーム109−A及び109−Bの位置は、調節することができる。
【0016】
FSST100は、TFTコントローラ104を含む。1つの実施例において、TFTコントローラ104は、試験器フレーム102に接続されたICチップ107を有する、平面アンテナシステムで使用される電子組立体を備えた回路基板である。図示されていないが、コンピューティングシステム、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバ、又はデータストレージシステムは、TFTコントローラ104に結合されて、TFTコントローラ104を制御し、又はTFTコントローラ104用のデータを格納することができる。例えば、図1Bに示されるように、コンピュータ110は、TFTコントローラ104と、ホーンアンテナ105−A及び105−Bに結合されたアナライザ103とに結合されて、TFTセグメント108に対する応答を測定することができる。
【0017】
TFTコントローラ104用のICチップ107は、マイクロコントローラと、プロセッサと、ソフトウェア及びデータを格納するためのメモリと、他の電子部分構成要素及び接続部とを含むことができる。1つの実施例において、TFTコントローラ104は、TFTセグメント108に送られるコマンド信号を生成するソフトウェアを実行し、この信号は、例えばマイクロ波周波数応答などの応答を測定する際に、TFTセグメント108内のトランジスタ又はセルを充電する又は電圧を印加する(それらをオンにするために)ことができる。別の実施例では、TFTセグメント108内のトランジスタ又はセルが、応答を測定する際にオンにされず、又はトランジスタ若しくはセルのパターンがオンになって、TFTセグメント108に対する応答が測定できる。
【0018】
別の実施例では、TFTコントローラ104は、TFTプラットフォーム111の一部であり、独立型PC又はサーバ、例えば、図1Bにおけるコンピュータ110に接続することができる。TFTコントローラ104、又は取り付けられたコンピュータ110若しくはサーバは、ホーンアンテナ105−A及び105−B並びにTFTセグメント108(又はFSST100用の他の電子部品)に結合されてこれらを制御して、これらの構成要素との間で信号を送受信することができる。試験器フレーム102は、TFTコントローラ104をホーンアンテナ105−A及び105−B、TFTセグメント108、並びに何らかの他のコンピューティングデバイス又はサーバと結合するRF及び電気ケーブル及び相互接続部を提供することができる。
【0019】
幾つかの実施例において、TFTセグメント108の上方及び下方のホーンアンテナ105−A及び105−Bは、マイクロ波エネルギをTFTセグメント108に放射し、又はマイクロ波信号をこのTFTセグメントに送信して、TFTセグメント108を透過したマイクロ波エネルギ又は信号を収集又は受信することができる。例えば、ホーンアンテナ105−Aは、TFTセグメント108の所望の位置の上に配置されて、マイクロ波信号を所望の位置に向けてTFTセグメント108に送信することができ、これらの信号は、TFTセグメント108の下のホーンアンテナ105−Bにより受信することができる。ホーンアンテナ105−A及び105−Bは、最小の残留マイクロ波エネルギがTFTセグメント108から離れて配向された状態で、マイクロ波エネルギ又は信号をTFTセグメント108に直接放射するよう、安定した位置に配置することができる。1つの実施例において、図1A及び図1Bを参照すると、ホーンアンテナ105−A及び105−Bは、何らかのタイプのマイクロ波測定アナライザ、例えばアナライザ103に結合されて、接続されたコンピュータ、例えばコンピュータ110に測定値を提供することができる。
【0020】
ホーンアンテナ105−A又は105−Bの何れかによって受信されたマイクロ波エネルギ又は信号は、例えば図1Bにおけるアナライザ103によって測定及び試験することができる。このような測定及び試験は、平面アンテナ用のTFTアレイの一部を形成できるTFTセグメント108のマイクロ波機能を決定する非破壊及び非接触手段を可能にする。これらの実施例では、TFTセグメント108の性能は、TFTセグメントのアレイを組み立てて平面アンテナを製造する製造工程に続いて、評価することができる。このようにして、欠陥のあるTFTセグメントは、平面アンテナの最終組み立て前に、欠陥のないTFTセグメントで置き換えることができる。
【0021】
1つの実施例において、図1A及び図1Bを参照すると、TFTコントローラ104に結合されたコンピュータ110は、ホーンアンテナ105−A及び105−B並びにアナライザ103を使用して、TFTセグメント108に対する幾つかの特性試験及び測定を行うことができる。1つの実施例において、アナライザ103は、TFTセグメント108の反射係数又は透過係数を測定する。別の実施例では、アナライザ103は、(例えば、コマンド信号の関数としての)能動状態又は(例えば、コマンド信号を使用しない)受動状態におけるマイクロ波周波数応答を測定する。測定される応答は、ホーンアンテナ105−A及び105−Bを使用してTFTセグメント108を試験するための透過応答又は反射応答とすることができる。
【0022】
幾つかの実施例において、TFTセグメント108上のアナライザ103によって測定された応答は、例えばCp(目標値オフセット)、Cpm(正規分布曲線)、及びCpk(シックスシグマ処理データ)などのTFTセグメント108に対する統計処理制御情報を提供するのに使用することができる。1つの実施例において、このような情報は、TFTセグメント108が平面アンテナの組み立てに使用されるのに受け入れ可能であるか否かを決定するのに使用することができる。1つの実施例において、コンピュータ110は、電気コマンド信号、環境条件、又は他のタイプの刺激のような刺激を使用して応答を較正することができる。アナライザ103によって測定された応答は、TFTセグメント108からの応答を特徴付けて、後の処理のために記憶するのに用いることができる。
【0023】
(FSST動作)
図1Bは、図1AのFSST100の構成要素の例示的なブロック図を示す。この実施例では、コンピュータ110は、TFTコントローラ104及びアナライザ103に結合される。TFTコントローラ104は、TFTセグメント108に結合され、アナライザ103は、ホーンアンテナ105−A及び105−B並びにコンピュータ110に結合される。ホーンアンテナ105−A及び105−Bは、アナライザ103によって測定されるマイクロ波エネルギ又は信号を供給及び受信することができる。1つの実施例において、ホーンアンテナ105−Aは、マイクロ波エネルギ又は信号をTFTセグメント108に放射し、TFTセグメント108を通過して、アナライザ103によって測定されるホーンアンテナ105−Bによって受信される。別の実施例では、ホーンアンテナ105−Aは、マイクロ波エネルギ又は信号をTFTセグメント108に放射し、TFTセグメント108によって反射されてホーンアンテナ105−Aに戻り、アナライザ103によって測定される。アナライザ103は、TFTセグメント108に対する位相及び振幅の透過及び反射係数など、マイクロ波エネルギ又は信号の複雑な特性を測定することができる。1つの実施例において、透過係数及び反射係数は、TFTコントローラ104によって提供されるマイクロ波周波数及び/又はコマンド信号の関数として測定される。
【0024】
1つの実施例において、アナライザ103は、マイクロ波信号又はエネルギをTFTセグメント108に放射する無線周波数(RF)ケーブルを用いて、ホーンアンテナ105−Aに掃引マイクロ波信号又はエネルギを供給する。マイクロ波エネルギの一部は、TFTセグメント108を透過して、ホーンアンテナ105−Bにより受信することができる。また、マイクロ波エネルギの一部は、TFTセグメント108によって反射されて、ホーンアンテナ105−Aにより受信することができる。この実施例では、アナライザ103は、TFTセグメント108を透過してホーンアンテナ105−Bにより受信され、TFTセグメント108の表面で反射されてホーンアンテナ105−Aにより受信される放射マイクロ波エネルギの一部を決定する。別の実施例では、アナライザ103は、透過及び反射値又はデータ(例えば、複素位相及び振幅係数)を較正及び計算することができる。アナライザ103は、これらの値を記憶又は表示するか、或いはこれらの値をコンピュータ110に送信することができる。
【0025】
1つの実施例において、コンピュータ110は、TFTセグメント108のトランジスタに対する電圧を制御するためのコマンド信号をTFTセグメント108に供給するように、TFTコントローラ104を制御し、アナライザ103は、ホーンアンテナ105−A及び105−Bによって送信又は反射されたマイクロ波エネルギを測定し、これは「オン」応答と呼ばれる。別の実施例では、TFTコントローラ104はコマンド信号を供給せず、アナライザ103は、ホーンアンテナ105−A及び105−Bによって送信又は反射されたマイクロ波エネルギを測定し、これは「オフ応答」と呼ばれる。オフ応答は、TFTセグメント108への物理的接続が利用可能ではない場合に望ましいとすることができる。1つの実施例において、TFTコントローラ104は、TFTセグメント108に対する対応するマイクロ波エネルギ応答を測定しながらに基づいてコマンド信号を変化させるソフトウェア又はアルゴリズムを実施することができる。このようにして、測定された応答は、コマンド信号の変化に基づいて較正でき、TFTセグメント108の各素子又はトランジスタに印加されたバイアス対測定応答を得ることができる。このようにして、周波数シフトは、印加された電圧の関数として得ることができる。1つの実施例において、アナライザ103は、TFTセグメント108に対する2つの状態間で切り替わるのに必要な持続可能時間を測定することができる。
【0026】
幾つかの実施例において、図1A及び図1BのFSST100は、平面アンテナ用の製造ラインに配置され、連続的で製造過程の品質測定値(例えば、測定された周波数応答)を提供して、例えば様々な環境暴露などのTFTセグメント108における性能変動を検出する。別の実施例では、1つのホーンアンテナ105−Aを用いて、TFTセグメント108から反射したマイクロ波エネルギ又は信号を測定する。FSST100を用いた検査及び試験は、TFTセグメント108が欠陥があり、最終平面アンテナの組み立て前に置き換えられるか否かを決定する、TFTセグメント108に対する最終検査とすることができる。
【0027】
図1Cは、図1A及び1BのFSST100を動作させるための例示的な動作120を示す。動作122において、マイクロ波エネルギが、TFTセグメント108に印加される(例えば、ホーンアンテナ105−Aは、マイクロ波エネルギをTFTセグメント108に放射することができる)。動作124において、TFTセグメントを透過したマイクロ波エネルギが測定される(例えば、ホーンアンテナ105−AからTFTセグメント108を通って伝達されたマイクロ波エネルギが、アナライザ103によってホーンアンテナ105−Bにて測定される)。動作126において、TFTセグメントから反射したマイクロ波エネルギが測定される(例えば、TFTセグメント108から反射したホーンアンテナ105−Aからの放射マイクロ波エネルギが、アナライザ103によってホーンアンテナ105−Aにて測定される)。動作128において、測定された応答が較正される(例えば、TFTコントローラ104が、刺激(コマンド信号又は外部信号)を調節して、測定された応答を較正することができる)。
【0028】
(例示的な平面アンテナシステムの概要)
1つの実施例において、平面アンテナは、メタマテリアルアンテナシステムの一部である。通信衛星地上局用のメタマテリアルアンテナシステムの実施例について説明する。1つの実施例において、アンテナシステムは、民間商用衛星通信用の周波数を使用して動作するモバイルプラットフォーム(例えば、航空、海上、陸上、その他)上で動作する衛星地上局(ES)の構成要素又はサブシステムである。幾つかの実施例において、アンテナシステムはまた、モバイルプラットフォーム上ではない地上局(例えば、固定地上局又は可搬地上局)で使用することができる。
【0029】
1つの実施例において、アンテナシステムは、表面散乱メタマテリアル技術を使用して、別個のアンテナを介して送受信ビームを形成して誘導する。1つの実施例において、アンテナシステムは、デジタル信号処理を使用してビームを電気的に形成し誘導するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。
【0030】
1つの実施例において、アンテナシステムは、3つの機能的サブシステム、すなわち、(1)円筒波給電アーキテクチャからなる導波構造(wave guiding structure)、(2)アンテナ素子の一部である波動散乱メタマテリアル単位セルのアレイ、及び(3)ホログラフィ原理を使用してメタマテリアル散乱素子からの調整可能な放射場(ビーム)の形成を命令する制御構造から構成される。
【0031】
(導波構造の実施例)
図1Dは、円筒波給電を提供するのに使用される同軸給電部の1つの実施例の上面図を示す。図1Dを参照すると、同軸給電部は、中心導体及び外側導体を含む。1つの実施例において、円筒波給電アーキテクチャが、給電点から円筒状に外向きに広がる励起を中心点からアンテナに供給する。すなわち、円筒状給電アンテナは、外向きに進む同心状給電波を生成する。それでも、円筒状給電部の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、正方形、又は何らかの形状とすることができる。別の実施例では、円筒状給電アンテナは、内向きに進む給電波を生成する。このような場合、円形構造から生じる給電波が最も自然である。
【0032】
図1Eは、円筒状給電アンテナの入力給電部の周りに同心リング状に配置されたアンテナ素子の1又は2以上のアレイを有するアパーチャを示す。
【0033】
(アンテナ素子)
1つの実施例において、アンテナ素子は、1つのグループのパッチ及びスロットアンテナ(単位セル)を含む。この単位セルのグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。1つの実施例において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体、誘電体基板、及び上部導体からなる単位セルの一部であり、上部導体は、該上部導体にエッチングされ又は堆積された相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んでいる。当業者には理解されるように、液晶とは対照的に、CELCの関連におけるLCは、インダクタンス−キャパシタンスを指す。
【0034】
1つの実施例では、液晶(LC)が散乱素子の周りのギャップに配置される。液晶は、各単位セル内に封入され、スロットに関連付けられた下部導体をそのパッチに関連付けられた上部導体から分離する。液晶は、該液晶を含む分子の配向の関数である誘電率を有し、液晶両端間のバイアス電圧を調節することにより、分子の配向(及びひいては誘電率)を制御することができる。1つの実施例では、この特性を使用して、液晶は、誘導波からCELCへのエネルギ伝達のためのオン/オフスイッチ及びオンとオフの間の中間状態を統合する。スイッチをオンにすると、CELCは、電気的に小さいダイポールアンテナのような電磁波を放出する。本明細書での教示は、エネルギ伝達に関して2値様式で動作する液晶を有することに限定されない点に留意されたい。
【0035】
1つの実施例では、このアンテナシステムの給電幾何形状は、アンテナ素子を波動給電の波動ベクトルに対して45度(45°)の角度で位置決めすることを可能にする。他の位置(例えば、40°の角度)を用いてもよい点に留意されたい。素子のこの位置は、素子によって受信されるか又は素子から送信/放射される自由空間波の制御を可能にする。1つの実施例では、アンテナ素子は、アンテナの作動周波数の自由空間波長未満の素子間隔で配置される。例えば、1波長につき4つの散乱素子が存在する場合、30GHz送信アンテナ内の素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの自由空間波長10mmの4分の1)となる。
【0036】
1つの実施例では、2組の素子は互いに垂直であり、同じ同調状態に制御される場合には等しい振幅の励起を同時に有する。給電波の励起に対してこれらを±45度回転させることにより、両方の望ましい機能が同時に達成される。一方の組を0度回転させ、他方を90度回転させることによって垂直目標は達成されるが、等振幅励起の目標は達成されない。0度と90度を使用して、上述のように2つの側部から単一構造のアンテナ素子アレイを給電するときに分離を達成することができる点に留意されたい。
【0037】
各単位セルから放射されるパワーの量は、コントローラを使用してパッチに電圧(LCチャネルの両端の電位)を印加することによって制御される。各パッチに対するトレースを使用して、パッチアンテナに電圧を供給する。電圧を使用して、キャパシタンス及び従って個々の素子の共振周波数を同調又は離調させ、ビーム形成を達成するようにする。必要とされる電圧は、使用される液晶混合物に依存する。液晶混合物の電圧同調特性は、液晶が電圧の影響を受け始める閾値電圧と、それを超える電圧の増加が液晶の大きな同調を生じない飽和電圧とによって主として説明される。これら2つの特性パラメータは、異なる液晶混合物に対して変化する場合がある。
【0038】
1つの実施例では、マトリクス駆動を使用してパッチに電圧を印加し、各セルに対して別個の接続を有することなく、各セルを他の全てのセルから切り離して駆動するようにする(直接駆動)。素子が高密度であるために、マトリクス駆動は、各セルを個別にアドレス指定するのに最も効率的な方法である。
【0039】
1つの実施例において、アンテナシステムの制御構造は、2つの主要な構成要素を有し、すなわち、アンテナシステムのための駆動電子機器を含むコントローラは、波動散乱構造の下方にあり、一方、マトリクス駆動スイッチングアレイは、放射を妨害しないように放射RFアレイの全体を通して散在している。1つの実施例において、アンテナシステムのための駆動電子機器は、散乱素子へのACバイアス信号の振幅を調節することによって各散乱素子に対するバイアス電圧を調節する市販のテレビジョン装置で使用される市販の既製LCD制御装置を備える。
【0040】
1つの実施例では、コントローラはまた、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサを含有する。制御構造はまた、プロセッサに位置及び方位情報を提供するセンサ(例えば、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計、その他)を組み込むことができる。位置及び方位情報は、地上局内の他のシステムによってプロセッサに提供することができ、及び/又はアンテナシステムの一部ではない場合がある。
【0041】
より具体的には、コントローラは、作動周波数でどの素子がオフにされてどの素子がオンにされるか、並びどの位相及び振幅のレベルにするかを制御する。素子は、電圧印加によって周波数作動に対して選択的に離調される。
【0042】
送信に関して、コントローラは、RFパッチに電圧信号アレイを供給して変調パターン又は制御パターンを生成する。制御パターンは、素子を異なる状態に変える。1つの実施例では、多状態制御が使用され、そこでは、方形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)とは対照的に、様々な素子が様々なレベルにオン及びオフにされて、更に正弦波制御パターンを近似する。1つの実施例において、放射する素子もあれば放射しない素子もあるのではなく、一部の素子が他の素子よりも強く放射する。可変的な放射は、特定の電圧レベルを印加することによって達成され、これにより液晶の誘電率が様々な量に調節され、これによって素子を可変的に離調させて一部の素子を他の素子よりも多く放射させる。
【0043】
素子のメタマテリアルアレイによる集束ビームの発生は、強め合う干渉と弱め合う干渉の現象によって説明することができる。個々の電磁波は、自由空間で遭遇するときに同じ位相を有する場合に加え合わされ(強め合う干渉)、自由空間で遭遇するときに逆位相ならば互いに打ち消し合う(弱め合う干渉)。各連続するスロットが誘導波の励起点から異なる距離に配置されるようにスロットアンテナ内のスロットが位置決めされた場合に、その素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波とは異なる位相を有することになる。スロットが誘導波長の4分の1離間している場合に、各スロットは、前のスロットから4分の1の位相遅延で波を散乱させることになる。
【0044】
このアレイを使用して、生成することができる強め合う干渉及び弱め合う干渉のパターンの数を増すことができるので、ホログラフィの原理を使用して、理論的にはアンテナアレイのボアサイトから±90度(90°)のあらゆる方向にビームを指向させることができる。従って、どのメタマテリアル単位セルがオン又はオフにされるのかを制御することにより(すなわち、どのセルがオンにされてどのセルがオフにされるかのパターンを変えることにより)、強め合う干渉及び弱め合う干渉の異なるパターンを作り出すことができ、アンテナは主ビームの方向を変えることができる。単位セルをオン及びオフにするのに必要な時間は、1つの位置から別の位置にビームを切り換えることができる速度によって定まる。
【0045】
1つの実施例では、アンテナシステムは、アップリンクアンテナのための1つの誘導可能ビームと、ダウンリンクアンテナのための1つの誘導可能ビームとを生成する。1つの実施例では、アンテナシステムは、メタマテリアル技術を使用してビームを受信し、衛星からの信号を復号し及び衛星に向けられる送信ビームを形成する。1つの実施例では、アンテナシステムは、ビームを電気的に形成して誘導するのにデジタル信号処理を使用するアンテナシステム(フェーズドアレイアンテナなど)とは対照的に、アナログシステムである。1つの実施例では、アンテナシステムは、特に従来の衛星ディッシュベースの受信機と比較して、平面的で比較的薄型の「面(surface)」アンテナとみなされる。
【0046】
図2は、グランドプレーン245と再構成可能共振器層230とを含む1列のアンテナ素子の斜視図299を示す。再構成可能共振器層230は、同調可能スロット(tunable slots)210のアレイを含む。同調可能スロット210のアレイは、アンテナを望ましい方向に指向させるように構成することができる。同調可能スロットの各々は、液晶両端間の電圧を変化させることによって同調/調節することができる。
【0047】
制御モジュール280は、再構成可能共振器層230に結合されて、図2で液晶両端間の電圧を変化させることにより同調可能スロット210のアレイを変調する。制御モジュール280は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、マイクロプロセッサ、コントローラ、システム・オン・チップ(SoC)、又は他の処理論理回路を含むことができる。1つの実施例では、制御モジュール280は、同調可能スロット210のアレイを駆動するための論理回路(例えば、マルチプレクサ)を含む。1つの実施例では、制御モジュール280は、同調可能スロット210のアレイ上に駆動されるホログラフィック回折パターンに関する仕様を含むデータを受信する。ホログラフィック回折パターンは、それがダウンリンクビーム(及びアンテナシステムが送信を実行する場合はアップリンクビーム)を通信に適切な方向に誘導するように、アンテナと衛星間の空間的関係に応じて発生させることができる。各図には描かれていないが、制御モジュール280と類似の制御モジュールが、本開示の図にて記載される同調可能スロットの各アレイを駆動することができる。
【0048】
RF基準ビームがRFホログラフィック回折パターンに遭遇するときに望ましいRFビームを発生させることができる類似の技術を使用して、無線周波数(「RF」)ホログラフィも可能である。衛星通信の場合に、基準ビームは、給電波205(一部の実施例では約20GHz)のような給電波の形態である。給電波を放射ビームに変換するために(送信目的又は受信目的の何れかで)、望ましいRFビーム(目標ビーム)と給電波(基準ビーム)との間で干渉パターンが計算される。干渉パターンは、給電波が望ましいRFビーム(望ましい形状及び方向を有する)に「誘導される」ように、回折パターンとして同調可能スロット210のアレイ上に駆動される。言い換えれば、ホログラフィック回折パターンに遭遇する給電波は、物体ビームを「再構成」し、これは通信システムの設計要件に従って形成される。ホログラフィック回折パターンは、各素子の励起を含有し、導波路内の波動方程式としてのwinと外向き波に関する波動方程式としてのwoutとを使用して、whologram=win*woutによって計算される。
【0049】
図3は、同調可能共振器/スロット210の1つの実施例を示す。同調可能スロット210は、アイリス/スロット212と、放射パッチ211と、アイリス212とパッチ211との間に配置された液晶(LC)213とを含む。1つの実施例では、放射パッチ211は、アイリス212と同じ場所に配置される。
【0050】
図4は、1つの実施例による物理的アンテナアパーチャの断面図を示す。アンテナアパーチャは、グランドプレーン245と、再構成可能共振器層230に含まれるアイリス層233内の金属層236とを含む。1つの実施例において、図4のアンテナアパーチャは、図3の複数の同調可能共振器/スロット210を含む。アイリス/スロット212は、金属層236内の開口によって定められる。図2の給電波205のような給電波は、衛星通信チャネルと適合性のあるマイクロ波周波数を有することができる。給電波は、グランドプレーン245と共振器層230との間を伝播する。
【0051】
再構成可能共振器層230はまた、ガスケット層232及びパッチ層231を含む。ガスケット層232は、パッチ層231とアイリス層233との間に配置される。1つの実施例では、スペーサがガスケット層232に取って代わることができる。1つの実施例において、アイリス層233は、金属層236として銅層を含むプリント回路基板(PCB)である。1つの実施例において、アイリス層233はガラスである。アイリス層233は、他のタイプの基板であってもよい。
【0052】
銅層において開口をエッチングして、スロット212を形成することができる。1つの実施例では、アイリス層233は、導電性ボンディング層によって図4の別の構造(例えば、導波路)に導電的に結合される。1つの実施例において、アイリス層は、導電性ボンディング層によって導電的に結合されず、代わりに非導電性ボンディング層と界面接合される点に留意されたい。
【0053】
パッチ層231はまた、放射パッチ211として金属を含むPCBとすることができる。1つの実施例では、ガスケット層232は、金属層236とパッチ211との間の寸法を定める機械的スタンドオフ(離隔部)を提供するスペーサ239を含む。1つの実施例では、スペーサは75ミクロンであるが、他のサイズ(例えば、3〜200mm)を使用することができる。上述のように、1つの実施例において、図4のアンテナアパーチャは、同調可能共振器/スロット210のような複数の同調可能共振器/スロットを含み、該同調可能共振器/スロット210は、パッチ211、液晶213、及びアイリス212を含む。液晶213のためのチャンバは、スペーサ239、アイリス層233、及び金属層236によって定められる。チャンバに液晶が充填されると、スペーサ239上にパッチ層231を積層して共振器層230内に液晶をシールすることができる。
【0054】
パッチ層231とアイリス層233との間の電圧を変調して、パッチとスロット(例えば、同調可能共振器/スロット210)間のギャップ内の液晶を同調させることができる。液晶213の両端間電圧を調節することにより、スロット(例えば、同調可能共振器/スロット210)のキャパシタンスが変化する。従って、キャパシタンスを変化させることにより、スロット(例えば、同調可能共振器/スロット210)のリアクタンスを変化させることができる。スロット210の共振周波数はまた、次式:
【数1】
に従って変化し、ここで、fはスロット210の共振周波数であり、L及びCは、それぞれスロット210のインダクタンス及びキャパシタンスである。スロット210の共振周波数は、導波路を伝播する給電波205から放射されるエネルギに影響を及ぼす。1つの実施例として、給電波205が20GHzである場合、スロット210の共振周波数を17GHzに調節して(キャパシタンスを変化させることにより)、スロット210が給電波205からのエネルギを実質的に結合させないようにすることができる。或いは、スロット210の共振周波数を20GHzに調節して、スロット210が給電波205からのエネルギを結合させ、そのエネルギを自由空間に放射するようにすることができる。与えられた実施例は2値的(完全な放射又は全くの無放射)であるが、スロット210のリアクタンス及び従って共振周波数の完全グレイスケール制御は、多値範囲にわたる電圧変化を使用して可能である。従って、各スロット210から放射されるエネルギは、精密に制御可能なので、同調可能スロットのアレイによって精緻なホログラフィック回折パターンを形成することができる。
【0055】
1つの実施例では、列内の同調可能スロットは、互いからλ/5だけ離間している。他のタイプの間隔を使用することもできる。1つの実施例では、列内の各同調可能スロットは、隣接する列内の最も近い同調可能スロットからλ/2だけ離間しており、従って、異なる列内の共通に方向付けられた同調可能スロットはλ/4だけ離間するが、他の間隔も可能である(例えば、λ/5、λ/6.3)。別の実施例では、列内の各同調可能スロットは、隣接する列内の最も近い同調可能スロットからλ/3だけ離間する。
【0056】
本発明の実施例は、市場の多重アパーチャの必要性に対して、2014年11月21日出願の「Dynamic Polarization and Coupling Control from a Steerable Cylindrically Fed Holographic Antenna(誘導可能円筒給電式ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御)」という名称の米国特許出願第14/550,178号明細書、及び2015年1月30日出願の「Ridged Waveguide Feed Structures for Reconfigurable Antenna(再構成可能アンテナのためのリッジ型導波路給電構造)」という名称の米国特許出願第14/610,502号明細書に説明されているような再構成可能メタマテリアル技術を使用する。
【0057】
図5A−Dは、スロット付きアレイを作成するための異なる層の1つの実施例を示す。この実施例において、アンテナアレイは、2つの異なるタイプの周波数帯域に使用される2つの異なるタイプのアンテナ素子を有する点に留意されたい。図5Aは、1つの実施例による、スロットに対応した位置を有する第1のアイリス基板層の一部を示す。図15Aを参照すると、円は、アイリス基板の底部側におけるメタライゼーション内の開放エリア/スロットであり、給電部(給電波)への素子の結合を制御するためのものである。この実施例では、この層は、任意選択の層であり、全ての設計で使用される訳ではない。図5Bは、1つの実施例による、スロットを含む第2のアイリス基板層の一部を示す。図5Cは、1つの実施例による、第2のアイリス基板層の一部を覆うパッチを示す。図5Dは、1つの実施例によるスロット付きアレイの一部の上面図を示す。
【0058】
図6Aは、円筒状給電アンテナ構造の一実施例の側面図を示す。このアンテナは、二重層給電構造(すなわち、給電構造の2つの層)を使用して内向き進行波を生成する。1つの実施例では、アンテナは円形の外形を含むが、これは必須ではない。すなわち、非円形内向き進行構造を使用することができる。1つの実施例において、図6Aにおけるアンテナ構造は、図1の同軸給電部を含む。
【0059】
図6Aを参照すると、同軸ピン601は、アンテナの下層で場を励起するのに使用される。1つの実施例において、同軸ピン401は、容易に入手できる50Ω同軸ピンである。同軸ピン401は、導電性グランドプレーン602であるアンテナ構造の底部に結合(例えば、ボルト締め)される。
【0060】
内部導体である侵入型導体(interstitial conductor)603は、導電性グランドプレーン602から切り離される。1つの実施例において、導電性グランドプレーン602及び侵入型導体603は、互いに平行である。1つの実施例において、グランドプレーン602と侵入型導体603との間の距離は、0.1”から0.15”の間である。別の実施例では、この距離は、λ/2とすることができ、ここで、λは、作動周波数での進行波の波長である。
【0061】
グランドプレーン602は、スペーサ404を介して侵入型導体603から切り離される。1つの実施例において、スペーサ604は、発泡体又は空気状スペーサである。1つの実施例において、スペーサ404は、プラスチックスペーサを含む。
【0062】
誘電体層605が侵入型導体603の上部に存在する。1つの実施例において、誘電体層405はプラスチックである。図5は、給電波が入射する誘電材料の例を示す。誘電体層605の目的は、自由空間速度に対して進行波を減速させることである。1つの実施例において、誘電体層605は、自由空間に対して30%だけ進行波を減速させる。1つの実施例において、ビーム形成に適した屈折率の範囲は、1.2から1.8であり、ここで、自由空間は、定義により1に等しい屈折率を有する。この効果を達成するのに、例えばプラスチックなどの他の誘電体スペーサ材料を使用することができる。プラスチック以外の材料は、所望の波減速効果を達成する限り使用できる点に留意されたい。代替的に、例えば機械加工又はリソグラフィによって定めることができる周期的サブ波長金属構造などの分散構造を有する材料は、誘電体605として使用することができる。
【0063】
RFアレイ606は、誘電体605の上部に存在する。1つの実施例において、侵入型導体603とRFアレイ606との間の距離は、0.1インチから0.15インチである。別の実施例では、この距離は、λeff/2とすることができ、ここで、λeffは設計周波数での媒体中の有効波長である。
【0064】
アンテナは、側面607及び608を含む。側面607及び608は、同軸ピン601から供給される進行波を反射によって侵入型導体603の下の領域(スペーサ層)から侵入型導体603の上の領域(誘電体層)に伝播させるように角度付けされる。1つの実施例において、側面607及び608の角度は、45度の角度である。代替の実施例では、側面607及び608は、反射を達成するための連続した半径に置き換えることができる。図6Aは、45度の角度で角度付けされた側面を示しているが、下層給電部から上層給電部への信号伝送を達成する他の角度を使用することができる。すなわち、下側給電部の有効波長が、一般的に上側給電部とは異なることを考慮すると、理想的な45度の角度からの何らかの偏差を使用して、下側給電層から上側給電層への伝達を補助することができる。
【0065】
作動中、給電波が同軸ピン601から供給されると、この給電波は、グランドプレーン602と侵入型導体603との間の領域で同軸ピン601から同心状外向きに向かって進む。同心状外向き波は、側面607及び608で反射され、侵入型導体603とRFアレイ606との間の領域で内向きに進む。円形外周の縁部からの反射は、この波を同相のままにする(すなわち、これは同相反射である)。進行波は、誘電体層605によって減速される。この時点で、進行波は、RFアレイ606内の素子との相互作用及び励振を開始して、所望の散乱が得られる。
【0066】
進行波を消滅させるため、終端部609が、アンテナの幾何学的中心でアンテナに含まれる。1つの実施例において、終端部609は、ピン終端(例えば、50Ωピン)を備える。別の実施例では、終端部609は、未使用エネルギを消滅させて、アンテナの給電構造を通したこの未使用エネルギの反射を防止するRF吸収体を備える。これらは、RFアレイ606の上部で使用することができる。
【0067】
図6Bは、外向き波を有するアンテナシステムの別の実施例を示す。図6Bを参照すると、2つのグランドプレーン610及び611は、グランドプレーン610とグランドプレーン611との間にある誘電体層612(例えば、プラスチック層など)と互いに実質的に平行である。RF吸収体613及び614(例えば、抵抗器)は、2つのグランドプレーン610及び611を共に結合する。同軸ピン615(例えば、50Ω)は、アンテナに給電する。RFアレイ616は、誘電体層612の上に存在する。
【0068】
作動中、給電波は、同軸ピン615を通して給電され、同心的に外向きに進み、RFアレイ616の素子と相互作用する。
【0069】
図6A及び6Bの両アンテナにおける円筒形給電は、アンテナの使用角度を改善する。±45度の方位角(±45°Az)及び±25度の仰角(±25°El)の使用角度の代わりに、1つの実施例では、アンテナシステムは、ボアサイトから全方向に75度(75°)の使用角度を有する。多くの個々の放射体から構成されるあらゆるビーム形成アンテナと同様に、全体的なアンテナ利得は、それ自体が角度依存性である構成素子の利得に依存する。共通の放射素子を使用する場合、ビームをボアサイトから遠くに指向させると全体のアンテナ利得は、一般に減少する。ボアサイトから75度では、約6dBの著しい利得低下が予想される。
【0070】
円筒状給電部を有するアンテナの実施例は、1又は2以上の問題を解決する。これらは、統合分割器ネットワークを用いて給電されるアンテナと比較して給電構造を極めて簡単なものにし、従って、全体で必要とされるアンテナ及びアンテナ給電量を低減することと、より粗い制御(単純なバイナリ制御にまで拡張すること)で高ビーム性能を維持することによって製造誤差及び制御誤差に対する感度を低下させることと、円筒状配向給電波が遠距離場において空間的に多様なサイドローブをもたらすので、直線的給電部と比較してより好都合なサイドローブパターンを与えることと、偏波器を必要とすることなく左旋円偏波、右旋円偏波及び直線偏波を可能にすることを含めて偏波が動的であることを可能にすることと、を含む。
【0071】
(波散乱素子のアレイ)
図6AのRFアレイ606及び図6BのRFアレイ1616は、放射体として機能するパッチアンテナ(すなわち、散乱体)のグループを含む波散乱サブシステムを備える。このパッチアンテナグループは、散乱メタマテリアル素子のアレイを含む。
【0072】
1つの実施例において、アンテナシステムにおける各散乱素子は、下部導体、誘電体基板、及び上部導体からなる単位セルの一部であり、上部導体は、該上部導体にエッチングされ又は堆積された相補的電気誘導型容量性共振器(「相補型電気LC」又は「CELC」)を組み込んでいる。
【0073】
1つの実施例において、液晶(LC)が、散乱素子の周りのギャップに配置される。液晶は、各単位セル内に封入され、スロットに関連付けられた下部導体をそのパッチに関連付けられた上部導体から分離する。液晶は、該液晶を含む分子の配向の関数である誘電率を有し、液晶両端間のバイアス電圧を調節することにより、分子の配向(及びひいては誘電率)を制御することができる。この特性を使用して、液晶は、誘導波からCELCへのエネルギ伝達のためのオン/オフスイッチとして作用する。スイッチをオンにすると、CELCは、電気的に小さいダイポールアンテナのような電磁波を放射する。
【0074】
液晶の厚さを制御することによって、ビームスイッチング速度が増加する。下部導体と上部導体との間のギャップ(液晶の厚さ)の50パーセント(50%)の減少は、4倍の速度増加をもたらす。別の実施例では、液晶の厚さは、約14ミリ秒(14ms)のビームスイッチング速度をもたらす。1つの実施例において、液晶は、7ミリ秒(7ms)の要件を満たすことができるように応答性を高めるための当技術分野において公知の方法でドープされる。
【0075】
CELC素子は、CELC素子の平面に平行でCELCギャップ補完物に垂直に印加される磁場に応答する。電圧がメタマテリアル散乱単位セル内の液晶に印加されると、誘導波の磁場成分は、CELCの磁気励起を誘導し、この磁気励起が、誘導波と同じ周波数での電磁波を生成する。
【0076】
単一のCELCによって生成される電磁波の位相は、誘導波ベクトル上のCELCの位置によって選択することができる。各セルは、CELCと平行な誘導波と同相の波を生成する。CELCは、波長よりも小さいので、出力波は、誘導波がCELCの下を通過するときに、この誘導波の位相と同じ位相を有する。
【0077】
1つの実施例において、このアンテナシステムの円筒状給電幾何形状は、CELC素子を波動給電の波動ベクトルに対して45度(45°)の角度で位置決めすることを可能にする。素子のこの位置決めにより、この素子から生成されるか又はこの素子によって受信される自由空間波の偏波の制御が可能となる。1つの実施例において、CELCは、アンテナの作動周波数の自由空間波長未満の素子間隔で配置される。例えば、1波長につき4つの散乱素子が存在する場合、30GHz送信アンテナ内の素子は、約2.5mm(すなわち、30GHzの自由空間波長10mmの4分の1)となる。
【0078】
1つの実施例において、CELCは、スロットの上に並置されたパッチを、それら両者の間に液晶を有して含むパッチアンテナを用いて実施される。この点において、メタマテリアルアンテナは、スロット付き(散乱)導波路のように機能する。スロット付き導波路に関して、出力波の位相は、誘導波に対するスロットの位置に依存する。
【0079】
(セル配置)
1つの実施例において、アンテナ素子は、系統的マトリクス駆動回路を可能にするように円筒状給電アンテナのアパーチャ上に配置される。セルの配置は、マトリクス駆動用のトランジスタの配置を含む。図17は、アンテナ素子に対するマトリクス駆動回路の配置の1つの実施例を示している。図17を参照すると、行コントローラ1701は、行選択信号Row1(行1)及びRow2(行2)それぞれを介してトランジスタ1711、1712に結合され、列コントローラ1702は、列選択信号Column1を介してトランジスタ1711、1712に結合される。また、トランジスタ1711は、パッチへの接続1731を介してアンテナ素子1721に結合され、トランジスタ1712は、パッチへの接続1732を介してアンテナ素子1722に結合される。
【0080】
単位セルが非正規グリッド内に配置されて円筒状給電アンテナ上でマトリクス駆動回路を実現する最初の手法では、2つのステップが実行される。第1のステップでは、セルが同心リング上に配置され、セルの各々は、セルの傍らに配置されたトランジスタに接続され、このトランジスタが、各セルを別々に駆動するスイッチとして機能する。第2のステップでは、マトリクス駆動回路は、このマトリクス駆動手法が必要とするときにあらゆるトランジスタを一意のアドレスで接続するように構築される。マトリクス駆動回路は、行と列のトレースによって構築される(LCDと同様)が、セルはリング上に配置されるので、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる系統的方法は存在しない。このマッピング問題は、全てのトランジスタをカバーするために極めて複雑な回路を生じさせ、経路設定を行う物理的トレースの数が著しく増加させることになる。セルが高密度であるので、これらのトレースは、カップリング効果に起因してアンテナのRF性能を妨げる。また、トレースが複雑であり実装密度が高いことに起因して、トレースの経路設定は、商業的に入手可能なレイアウトツールによって行うことができない。
【0081】
1つの実施例において、マトリクス駆動回路は、セル及びトランジスタが配置される前に事前に定められる。このことにより、各々が一意のアドレスを有する全てのセルを駆動するのに必要な最小数のトレースが確保される。この方式は、駆動回路の複雑性を軽減して経路設定を簡素化し、これによってアンテナのRF性能が向上する。
【0082】
より具体的には、1つの手法では、第1のステップにおいて、セルは、各セルの一意のアドレスを表す行及び列から構成された正方形グリッド上に配置される。第2のステップにおいて、セルは、及び第1のステップで定められたセルのアドレス並びに行及び列への接続性が維持されながら、グループ化されて同心円に変換される。この変換の目的は、セルをリング上に配置するだけでなく、アパーチャ全体にわたってセル間の距離及びリング間の距離を一定に保つことである。この目的を達成するために、セルをグループ化する幾つかの方法が存在する。
【0083】
図7は、セルをグループ化して同心正方形(矩形)を形成する1つの実施例を示す。図7を参照すると、行及び列のグリッド700上に正方形701〜703が示されている。これらは、図7の右側のセル配置を形成する正方形の1つの実施例であり、全てが正方形である訳ではない点に留意されたい。次に、正方形701〜703などの各正方形は、数学的等角写像処理によって、アンテナ素子のリング711〜713などのリングに変換される。例えば、外側リング711は、左側の外側正方形701の変換である。
【0084】
変換後のセルの密度は、以前の正方形に加えて次に大きな正方形が含むセルの数によって決まる。1つの実施例では、正方形を使用すると、追加のアンテナ要素の数ΔNは、次に大きな正方形上の8個の追加セルになる。1つの実施例では、この数は、アパーチャ全体について一定である。1つの実施例では、セルピッチ1(CP1:リング間距離)とセルピッチ2(CP2:リングに沿ったセル間距離)との比は、次式となる。
【数2】
従って、CP2はCP1の関数である(逆もまた同様)。その結果、図7の実施例のセルピッチの比は、
【数3】
となり、これはCP2よりもCP1の方が大きいことを意味する。
【0085】
1つの実施例では、変換を実行するために、正方形701上の開始点721などの各正方形上の開始点を選択し、この開始点に関連するアンテナ素子を、リング711上の開始点731などの対応するリングの1つの位置に配置する。例えば、x軸又はy軸を開始点として使用することができる。その後、開始点から一方向(時計回り又は反時計回り)に進んだ正方形上の次の素子を選択し、この素子を、正方形において使用した方向と同じ方向(時計回り又は反時計回り)に進んだリング上の次の位置に配置する。この処理を、全てのアンテナ素子の位置がリング上の位置に割り当てられるまで繰り返す。この完全な正方形からリングへの変換処理を全ての正方形について繰り返す。
【0086】
しかしながら、解析的研究及び経路設定の制約によれば、CP1よりも大きなCP2を適用することが好ましい。これを達成するために、図8に示す第2の方式が使用される。図8を参照すると、最初にセルが、グリッド800に対して八角形801〜803などの八角形にグループ化される。セルを八角形にグループ化することにより、追加のアンテナ素子の数ΔNが4に等しくなり、以下の比が得られる。
【数4】
この結果、CP2>CP1となる。
【0087】
図8によるセル配置の八角形から同心リングへの変換は、図7に関して上述した方法と同様に最初に開始点を選択することによって実行することができる。
【0088】
図7及び図8に関して開示したセル配置には、幾つかの特徴がある。これらの特徴は、以下を含む。
1)定数CP1/CP2がアパーチャ全体にわたっている(なお、1つの実施例では、アパーチャにわたって実質的に一定(例えば、90%一定)のアンテナが依然として機能する)こと。
2)CP2がCP1の関数であること。
3)中心に配置されたアンテナ給電部からのリング距離が増すにつれて、リング当たりのアンテナ素子の数が持続的に増加すること。
4)全てのセルがマトリクスの行及び列に接続されること。
5)全てのセルが一意のアドレスを有すること。
6)セルが同心リング上に配置されること。
7)4つの四分円が同一であって、1/4の楔形を回転させてアレイを構築できるという点で回転対称性であること。このことはセグメント化に有用である。
【0089】
別の実施例では、2つの形状が示されているが、他の形状を使用することもできる。他の増分(例えば、6個の増分)も可能である。
【0090】
図9は、アイリス及びマトリクス駆動回路を含む小アパーチャの1つの実施例を示す。行トレース901及び列トレース902は、それぞれ行接続及び列接続を表す。これらのラインは、マトリクス駆動ネットワークを表すものであり、(物理的なトレースは、アンテナ素子又はその一部の周囲に経路設定する必要があり得るので)物理的なトレースではない。各アイリスのペアに隣接する正方形は、トランジスタである。
【0091】
図9はまた、各要素がPCBアレイ内の2つのセルを駆動するデュアルトランジスタを使用したセル配置技術の可能性を示す。この場合、1つの個別素子パッケージが2つのトランジスタを含み、各トランジスタが1つのセルを駆動する。
【0092】
1つの実施例では、TFTパッケージを用いて、マトリクス駆動における配置及び一意のアドレス指定を可能にする。図18は、TFTパッケージの1つの実施例を示す。図18を参照すると、TFT及びホールドキャパシタ1803が、入力ポート及び出力ポートと共に示されている。行列を使用してTFTを共に接続するために、トレース1801に接続された2つの入力ポートと、トレース1802に接続された2つの出力ポートとが存在する。1つの実施例では、行のトレースと列のトレースとが90°の角度で交差して、行のトレースと列のトレースとの間の結合を抑え、場合によっては最小化する。1つの実施例では、行のトレース及び列のトレースが異なる層上に存在する。
【0093】
図7図9に示す提案するセル配置の別の重要な特徴は、レイアウトが繰り返しパターンであり、その各4分の1が他の4分の1と同一という点である。これにより、アレイの小区分を中央アンテナ給電部の位置の周囲で回転方向に繰り返すことが可能になり、ひいてはアパーチャを小アパーチャにセグメント化できるようになる。このことは、アンテナアパーチャの製造に役立つ。
【0094】
別の実施例では、円筒状給電アンテナ上のマトリクス駆動回路及びセルの配置を異なる形で達成する。円筒状給電アンテナ上にマトリクス駆動回路を実現するために、アレイの小区分を回転方向に繰り返すことによってレイアウトを実現する。この実施例では、照明のテーパー化(illumination tapering)に使用できるセル密度を変化させてRF性能を改善することもできる。
【0095】
この代替手法では、円筒状給電アンテナアパーチャ上のセル及びトランジスタの配置は、螺旋状トレースによって形成された格子に基づく。図10は、このような格子の時計回り方向に曲がる螺旋1001〜1003などの時計回り格子螺旋、及び時計回り方向又は逆方向に曲がる螺旋1011〜1013などの螺旋の実施例を示す。螺旋の異なる向きは、時計回り螺旋と反時計回り螺旋との間に交点をもたらす。結果として得られる格子は、反時計回りトレースと時計回りトレースとの交点によって与えられる一意のアドレスを提供し、従って、マトリクス駆動格子として使用することができる。更に、交点を同心リング上でグループ分けすることもでき、このことは円筒状給電アンテナのRF性能にとって不可欠である。
【0096】
上述した円筒状給電アンテナアパーチャ上のセル配置手法とは異なり、図10に関連して上述した手法では、セルの不均一分布をもたらす。図10に示すように、同心リングの半径が増加すると共に、セル間の距離も増加する。1つの実施例では、この変化する密度を、アンテナアレイのためのコントローラの制御下で照明のテーパー化を組み込む方法として使用する。
【0097】
セルのサイズと、トレースのためにセル間に必要とされる間隔とに起因して、セル密度は一定数字を超えることができない。1つの実施例では、この距離は、動作周波数に基づいてλ/5である。上述したように、他の距離を使用することもできる。中心近くの過密を避けるために、換言すれば、エッジ(縁部)近くの過疎を避けるために、連続する同心リングの半径が増すにつれて、初期の螺旋に追加の螺旋を追加することもできる。図11に、追加の螺旋を用いてより均一な密度を達成したセル配置の実施例を示す。図11を参照すると、連続する同心リングの半径が増すにつれて、螺旋1102などの初期の螺旋に追加の螺旋1101などの追加の螺旋が追加されている。解析的シミュレーションによれば、この手法は、完全に一様なセルの分布という性能に収束するRF性能を提供する。なお、この設計は、素子の密度が次第に小さくなる(テーパー付きである)ことにより、上述した幾つかの実施例よりも良好なサイドローブ挙動をもたらす。
【0098】
セル配置に螺旋を使用する別の利点は、回転対称性及び繰り返しパターンによって経路設定の取り組みが単純化され、製造コストを削減できる点である。図12には、アパーチャ全体を満たすように繰り返される選択的螺旋パターンを示す。
【0099】
1つの実施例において、図10図12に関して開示したセル配置には、幾つかの特徴がある。これらの特徴は、以下を含む。
1)CP1/CP2がアパーチャ全体にわたってないこと。
2)CP2がCP1の関数であること。
3)中心に配置されたアンテナ給電部からのリング距離が増すにつれて、リング当たりのアンテナ素子の数が増加しないこと。
4)全てのセルがマトリクスの行及び列に接続されること。
5)全てのセルが一意のアドレスを有すること。
6)セルが同心リング上に配置されること。
7)(上述したように)回転対称性であること。
従って、図10図12に関連して上述したセル配置の実施例は、図7図9に関連して上述したセル配置の実施例と多くの類似した特徴を有する。
【0100】
(アパーチャセグメント化(Aperture Segmentation))
1つの実施例では、アンテナアパーチャが、複数のアンテナ素子セグメント共に組み合わせることによって生成される。これには、アンテナ要素のアレイをセグメント化する必要があり、セグメント化には、理想的には繰り返し可能なアンテナのフットプリントパターンが必要である。1つの実施例では、円筒状給電アンテナアレイのセグメント化は、各放射素子の異なる回転角に起因して、アンテナのフットプリントが真っ直ぐな一列の繰り返しパターンをもたらさないように行われる。本明細書で開示するセグメント化手法の1つの目的は、アンテナの放射性能を損なわずにセグメント化を実現することである。
【0101】
本明細書で説明するセグメント化手法は、矩形形状を有する業界標準基板の表面利用を改善して潜在的に最大化することに焦点を当てているが、このような基板形状に限定されるものではない。
【0102】
1つの実施例では、円筒状給電アンテナのセグメント化は、同心状の閉じたリング上にアンテナ素子が配置されるパターンを4つのセグメントの組み合わせによって実現するように行われる。この態様は、アパーチャのRF性能を維持するために重要である。更に、1つの実施例では、各セグメントは、別個のマトリクス駆動回路を必要とする。
【0103】
図13は、円筒状給電アパーチャの四分円へのセグメント化を示している。図13を参照すると、セグメント1301〜1304は、組み合わされて丸いアンテナアパーチャを構築する同一の四分円である。セグメント1301〜1304の各々上のアンテナ素子は、セグメント1301〜1304が組み合わされたときに同心状の閉じたリングを形成するリングの一部分に配置される。セグメントを組み合わせるために、セグメントは、キャリアに取り付けられるか、又はキャリアに積層される。別の実施例では、セグメントの重なり合う縁部が、これらのセグメントを共に組み合わせるのに使用される。この場合、1つの実施例において、導電性結合部が、これらの縁部にわたって生成されて、RFが漏れ出ることが防止される。素子タイプは、セグメント化の影響を受けない点に留意されたい。
【0104】
図13に示すセグメント化方法の結果、セグメント1301〜1304間の継ぎ目が中心で交わり、中心からアンテナアパーチャの縁部に向かって半径方向に進む。この構成は、円筒状給電部の発生電流が半径方向に伝播し、半径方向の継ぎ目が伝播波に与える寄生的影響が小さいので有利である。
【0105】
図13に示すように、LCD業界で標準的な矩形基板を用いてアパーチャを実現することもできる。図14A及び図14Bに、マトリクス駆動格子を適用した図13の単一のセグメントを示す。マトリクス駆動格子は、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる。図14A及び図14Bを参照すると、列コネクタ1401及び行コネクタ1402が駆動格子線に結合されている。図14Bには、格子線に結合されたアイリスも示す。
【0106】
図13から明らかなように、非正方形の基板を使用した場合には、基板表面の広い区域を埋めることはできない。非正方形基板上の利用可能な表面をより効率的に使用するために、別の実施例では、セグメントは矩形基板上に存在するが、アンテナアレイのセグメント化部分についてより多くの基板スペースを利用する。このような実施例の1つの例を図15に示す。図15を参照すると、アンテナアレイの一部が含まれる基板(例えば、回路基板)を含むセグメント1501〜1504を組み合わせることによって、アンテナアパーチャが形成されている。各セグメントは、円の4分の1を表していないが、4つのセグメント1501〜1504を組み合わせると、素子が配置されたリングが閉じる。すなわち、各セグメント1501〜1504上のアンテナ素子は、セグメント1501〜1504が組み合わされたときに同心状の閉じたリングを形成するリング部分に配置される。1つの実施例では、基板が、スライドタイル式に組み合わされて、非正方形の基板のより長い側面が、矩形空き領域1505を導入するようになる。空き領域1505は、中心に位置するアンテナ給電部が配置されアンテナ内に含まれる場所である。
【0107】
アンテナ給電部は、底部から生じるので、空き領域が存在するときにはセグメントの残りの部分に結合され、この空き領域を金属片によって閉鎖して、空き領域からの放射を防ぐことができる。終端ピンを使用することもできる。
【0108】
このようにして基板を使用すると、利用可能な表面積をより効率的に使用することができ、アパーチャの直径が増大することになる。
【0109】
図13図14A及び図14Bに示す実施例と同様に、この実施例では、マトリクス駆動格子を取得して各セルを一意のアドレスでカバーするセル配置方式を使用することができる。図16A及び図16Bに、マトリクス駆動格子を適用した図15の単一のセグメントを示す。マトリクス駆動格子は、各トランジスタに一意のアドレスを割り当てる。図16A及び図16Bを参照すると、列コネクタ1601及び行コネクタ1602が駆動格子線に結合されている。図16Bにはアイリスも示す。
【0110】
上述した両手法では、上述したように系統的で予め定められた格子内にマトリクス駆動回路を生成できる先に開示した手法に基づいて、セルの配置を行うことができる。
【0111】
上記のアンテナアレイのセグメント化では、4つのセグメントにされたが、これは必須ではない。アレイは、例えば3つのセグメント又は5つのセグメントなどの奇数個のセグメントに分割することもできる。図19A及び図19Bに、奇数個のセグメントを含むアンテナアパーチャの1つの実施例を示す。図19Aを参照すると、組み合わされていない3つのセグメントであるセグメント1901〜1903が存在する。図19Bを参照すると、3つのセグメントであるセグメント1901〜1903が組み合わさって、アンテナアパーチャを形成している。これらの構成は、全てのセグメントの継ぎ目がアパーチャ全体を直線状に通り抜けていないので有利ではない。しかしながら、これらはサイドローブを軽減する。
【0112】
本発明の多くの改変及び修正が前述の説明を読んだ後で疑いなく当業者には明らかになるであろうが、例証によって図示及び説明された何れの特定の実施例も限定として捉えられるものではない点を理解されたい。従って、様々な実施例の詳細事項への言及は、本発明にとって基本的なものとしてみなされる特徴のみを記載する請求項の範囲を限定するものではない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19A
図19B