特許第6792667号(P6792667)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792667
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/22 20060101AFI20201116BHJP
   G11C 5/14 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G11C16/22 100
   G11C5/14 320
   G11C5/14 370
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-90612(P2019-90612)
(22)【出願日】2019年5月13日
(65)【公開番号】特開2020-187808(P2020-187808A)
(43)【公開日】2020年11月19日
【審査請求日】2019年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】須藤 直昭
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−102908(JP,A)
【文献】 特開昭54−162417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/22
G11C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給電圧が一定電圧に降下したことを検出する第1の検出回路と、
第1の検出回路よりも高い検出精度を有し、供給電圧が一定電圧に降下したことを検出する第2の検出回路と、
内部回路が動作状態であるとき第2の検出回路を選択し、内部回路が待機状態であるとき第1の検出回路を選択する選択手段と、
第1の検出回路または第2の検出回路の検出結果に応答してパワーダウン動作を実行する実行手段と、
を有する半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2の検出回路は、基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、当該基準電圧と電源電圧とを比較する比較回路を含み、前記第1の検出回路は、基準電圧生成回路を含まない、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記動作状態は、外部からのコマンドに基づき内部回路が動作する状態を含み、前記待機状態は、外部からのコマンドを受け付け可能な状態を含む、請求項1または2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記動作状態は、フラッシュメモリのビジー状態であり、前記待機状態は、フラッシュメモリのレディ状態である、請求項1または3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記ビジー状態は、外部端子から出力されるビジー信号により規定され、前記レディ状態は、外部端子から出力されるレディ信号により規定される、請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記選択手段は、前記内部回路が動作状態であり、かつ予め決められた特定の動作をするとき前記第2の検出回路を選択する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記選択手段は、コントローラが実行する前記特定の動作に関する命令コードに応答して前記第2の検出回路を選択する、請求項6に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記特定の動作は、チャージポンプ回路の動作である、請求項6または7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記特定の動作は、メモリセルアレイの選択ページの読出しを行うときのビット線のプリチャージ動作である、請求項6または7に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第1および第2の検出回路が検出する電圧レベルは、パワーアップ検出回路が検出する電圧レベルよりも低く、かつCMOSの動作可能な電圧レベルよりも高い、請求項1ないし9いずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置に関し、特に、パワーダウン検出に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリは、読出し、プログラム、消去等のための電圧の設定やユーザーのオプションなどの設定情報を格納するためフューズセルを使用している。フューズセルは、例えば、メモリセルアレイ内のユーザーによってアクセスすることができない記憶領域に設定される。フラッシュメモリは、電源投入時、パワーアップ動作として、フューズセルから設定情報を読み出し、これを内部レジスタにロードする。パワーアップ動作終了後、コントローラは、内部レジスタに保持された設定情報に基づき各動作を制御する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6494139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フラッシュメモリの電源投入時のパワーアップ検出動作と、電源降下時のパワーダウン検出動作について図1を参照して説明する。図1は、外部から供給される電圧と時間との関係を表している。
【0005】
パワーアップ検出部は、例えば、3.0Vの電圧が供給されるフラッシュメモリにおいて、その動作保証電圧が2.7〜3.3Vであるとき、電源投入時にパワーアップ動作を開始させるための電圧として、約2.2Vのパワーアップ電圧レベルV_PUを検出する。パワーアップ検出部は、最初に、比較的精度の高くない検出回路を用いて供給電圧が一定電圧に到達したことを検出し、次に、比較的精度の高い検出回路を用いて供給電圧がパワーアップ電圧レベルV_PUに到達したことを検出する。精度の高い検出回路は、基準電圧発生回路や、基準電圧を供給電圧とを比較する比較回路とを含んでいる。パワーアップ電圧レベルV_PUが検出されると、パワーアップシーケンスが実行され、内部回路が初期化(リセット)され、メモリセルアレイのフューズセルから読み出された設定情報がレジスタにセットされる、といった動作が行われる。その後、供給電圧が動作保証電圧に上昇すると、通常の動作が開始される。
【0006】
図2に、従来のパワーダウン検出部を示す。パワーダウン検出部10は、供給電圧Vccがパワーダウン電圧レベルV_PDに降下したことを検出すると、CPUやロジック回路等の内部回路20にリセット信号を出力する。例えば、外部の電力供給能力が低かったり、内部回路20の動作により大きなピーク電流が発生したとき、供給電圧Vccがパワーダウン電圧レベルV_PDに降下する。内部回路20は、パワーダウン検出部10からリセット信号を受け取ると、パワーダウン動作を実行し、内部回路20のチャージポンプ回路の動作を停止したり、CPUやロジック等のリセットを行う。
【0007】
パワーダウン電圧レベルV_PDは、パワーアップ電圧レベルV_PUよりも低く、(そうでなければ、パワーアップ動作後にパワーダウン動作が実行され、フラッシュメモリを動作させることができない)、また、パワーダウン電圧レベルV_PDおよびパワーアップ電圧レベルV_PUは、内部回路のCMOSの動作電圧Vt(例えば、PMOSのしきい値とNMOSのしきい値の合計)よりも大きく設定される(そうでなければ、パワーアップ動作やパワーダウン動作を正しく実行させることができない)。
【0008】
また、フラッシュメモリがスタンバイ状態にあるとき、その状態で消費が許される消費電流が仕様で定義されている。このような制約のため、パワーダウン検出部10は、スタンバイ状態の許容消費電流を超えないように、動作電流が最小となるように構成される。例えば図3に示すように、パワーダウン検出部10は、抵抗分圧とインバータを用いた簡易な回路から構成され、パワーダウン電圧レベルV_PDを検出したとき、Hレベルの検出信号Vdetを出力する。
【0009】
パワーダウン検出部10は、パワーアップ検出部のように基準電圧発生回路や比較回路を含まないため、消費電力を低減させることができるが、その反面、パワーアップ検出部よりも検出精度が悪くなる。このため、図1に示すように、パワーダウン検出部10の検出範囲H2のバラツキは、パワーアップ検出部の検出範囲H1のバラツキよりも大きくなる。
【0010】
このようなパワーダウン検出部10を用いた場合、検出範囲H2のバラツキが大きいために正しくパワーダウン電圧レベルV_PDを検出することができないという本質的な問題を抱えている。フラッシュメモリがスタンバイ状態であれば、パワーダウン電圧レベルV_PDの検出範囲に多少の誤差があっても特に影響はないが、内部回路が動作中のビジー状態でパワーダウン電圧レベルV_PDを正しく検出できないと、フラッシュメモリに深刻な問題を引き起こすおそれがある。例えば、プログラム動作や消去動作中に、供給電圧がパワーダウン電圧レベルV_PDよりも降下してもパワーダウン動作が開始されないと、誤動作により予期していない回路に高電圧が印加されて回路が故障したり、メモリセルに誤ってデータがプログラムされて元のデータが破壊されてしまう。
【0011】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、消費電力を低減しつつ正確にパワーダウン動作を実行することができる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る半導体記憶装置は、供給電圧が一定電圧に降下したことを検出する第1の検出回路と、第1の検出回路よりも高い検出精度を有し、供給電圧が一定電圧に降下したことを検出する第2の検出回路と、内部回路が動作状態であるとき第2の検出回路を選択し、内部回路が待機状態であるとき第1の検出回路を選択する選択手段と、第1の検出回路または第2の検出回路の検出結果に応答してパワーダウン動作を実行する実行手段とを有する。
【0013】
ある実施態様では、前記第2の検出回路は、基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、当該基準電圧と電源電圧とを比較する比較回路を含み、前記第1の検出回路は、基準電圧生成回路を含まない。ある実施態様では、前記動作状態は、外部からのコマンドに基づき内部回路が動作する状態を含み、前記待機状態は、外部からのコマンドを受け付け可能な状態を含む。ある実施態様では、前記動作状態は、フラッシュメモリのビジー状態であり、前記待機状態は、フラッシュメモリのレディ状態である。ある実施態様では、前記ビジー状態は、外部端子から出力されるビジー信号により規定され、前記レディ態は、外部端子から出力されるレディ信号により規定される。ある実施態様では、前記選択手段は、前記内部回路が動作状態であり、かつ予め決められた特定の動作をするとき前記第2の検出回路を選択する。ある実施態様では、前記選択手段は、コントローラが実行する前記特定の動作に関する命令コードに応答して前記第2の検出回路を選択する。ある実施態様では、前記特定の動作は、チャージポンプ回路の動作である。ある実施態様では、前記特定の動作は、メモリセルアレイの選択ページの読出しを行うときのビット線のプリチャージ動作である。ある実施態様では、前記第1および第2の検出回路が検出する電圧レベルは、パワーアップ検出回路が検出する電圧レベルよりも低く、かつCMOSの動作可能な電圧レベルよりも高い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、内部回路が動作状態であるとき第2の検出回路を選択し、内部回路が待機状態であるとき第1の検出回路を選択し、選択された第1の検出回路または第2の検出回路の検出結果に応答してパワーダウン動作を実行するようにしたので、消費電力を低減しつつ正確にパワーダウン動作を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】フラッシュメモリのパワーアップ検出動作とパワーダウン検出動作とを説明するグラフである。
図2】従来のパワーダウン検出部を示す図である。
図3】従来のパワーダウン検出部の構成例を示す図である。
図4】本発明の実施例に係るフラッシュメモリの内部構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施例に係るパワーダウン検出部の構成を示す図である。
図6】本発明の実施例に係る基準電圧発生回路の一例を示す図である。
図7】本発明の実施例に係る高精度電圧検出回路の一例を示す図である。
図8】本発明の実施例に係るパワーダウン検出部の動作を説明する図である。
図9】本発明の実施例によるビジー状態のときのパワーダウン検出部の検出範囲のバラツキを説明する図である。
図10】本発明の他の実施例に係るパワーダウン検出部の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の半導体記憶装置は、好ましい態様では、NAND型やNOR型のフラッシュメモリ、抵抗変化型メモリ、磁気変化型メモリ等の不揮発性メモリである。以下の説明では、NAND型のフラッシュメモリを例示する。
【実施例】
【0017】
本発明の実施例に係るフラッシュメモリの概略構成を図4に示す。本実施例のフラッシュメモリ100は、複数のメモリセルが行列状に配列されたメモリセルアレイ110と、外部入出力端子I/Oに接続された入出力バッファ120と、入出力バッファ120からアドレスデータを受け取るアドレスレジスタ130と、入出力バッファ120からコマンドデータ等を受け取り、各部を制御するコントローラ140と、アドレスレジスタ130から行アドレス情報Axを受け取り、行アドレス情報Axをデコードし、デコード結果に基づきブロックの選択およびワード線の選択等を行うワード線選択回路150と、ワード線選択回路150によって選択されたページから読み出されたデータを保持したり、選択されたページにプログラムすべき入力データを保持するページバッファ/センス回路160と、アドレスレジスタ130から列アドレス情報Ayを受け取り、列アドレス情報Ayをデコードし、当該デコード結果に基づきページバッファ/センス回路160内の列アドレスのデータを選択する列選択回路170と、データの読出し、プログラムおよび消去等のために必要な種々の電圧(書込み電圧Vpgm、パス電圧Vpass、読出しパス電圧Vread、消去電圧Versなど)を生成する内部電圧発生回路180と、電源投入時に外部端子から供給される供給電圧Vccを監視し、パワーアップ電圧レベルV_PUを検出し、パワーアップ検出信号PWRDETを出力するパワーアップ検出部190と、供給電圧Vccを監視し、パワーダウン電圧レベルV_PDを検出し、パワーダウン検出信号DET_H/DET_Lを出力するパワーダウン検出部200とを含んで構成される。
【0018】
メモリセルアレイ110は、列方向に配置されたm個のブロックBLK(0)、BLK(1)、・・・、BLK(m-1)を有する。1つのブロックには、複数のメモリセルを直列に接続したNANDストリングが複数形成される。NANDストリングは、基板表面上に2次元的に形成されてもよいし、基板表面上に3次元的に形成されてもよい。また、メモリセルは、1ビット(2値データ)を記憶するSLCタイプでもよいし、多ビットを記憶するMLCタイプであってもよい。1つのNANDストリングは、複数のメモリセル(例えば、64個)と、ビット線側選択トランジスタと、ソース線側選択トランジスタとを直列に接続して構成される。ビット線側選択トランジスタのドレインは、対応する1つのビット線GBLに接続され、ソース線側選択トランジスタのソースは、共通のソース線SLに接続される。
【0019】
読出し動作では、ビット線に或る正の電圧を印加し、選択されたワード線に或る電圧(例えば0V)を印加し、非選択ワード線にパス電圧Vpass(例えば4.5V)を印加し、選択ゲート線SGD、SGSに正の電圧(例えば4.5V)を印加し、NANDストリングのビット線側選択トランジスタ、ソース線側選択トランジスタをオンし、共通ソース線に0Vを印加する。プログラム(書込み)動作では、選択されたワード線に高電圧のプログラム電圧Vpgm(15〜20V)を印加し、非選択のワード線に中間電位(例えば10V)を印加し、ビット線側選択トランジスタをオンさせ、ソース線側選択トランジスタをオフさせ、「0」または「1」のデータに応じた電位をビット線に供給する。消去動作では、ブロック内の選択されたワード線に0Vを印加し、Pウエルに高電圧(例えば20V)を印加し、フローティングゲートの電子を基板に引き抜くことで、ブロック単位でデータを消去する。
【0020】
パワーアップ電圧検出部190は、電源投入時にフラッシュメモリ100に供給される供給電圧Vccがパワーアップ電圧レベルV_PUに到達したことを検出すると、パワーアップ検出信号PWRDETをコントローラ140に出力する。コントローラ140は、例えば、CPUやROM/RAMなどを含み、ROM/RAMには、パワーアップ動作、パワーダウン動作、読出し動作、プログラム動作、消去動作等を実行するための命令やデータ等のコードが格納されている。コントローラ140は、パワーアップ検出信号PWRDETを受け取ると、これに応答してROM/RAMから読み出されたコードに従いパワーアップ動作を実行する。パワーアップ動作では、コントローラ140を含む内部回路のリセットや、メモリセルアレイ110のフューズセルの読出し等が行われる。
【0021】
パワーダウン検出部200は、供給電圧Vccがパワーダウン検出レベルV_PDに降下したことを検出すると、フラッシュメモリ100の動作状態に応じてパワーダウン検出信号DET_LまたはDET_Hをコントローラ140に出力する。コントローラ140は、パワーダウン検出信号DET_L/DET_Hを受け取ると、これに応答してROM/RAMから読み出されたコードに従いパワーダウン動作を実行する。パワーダウン動作では、コントローラ140を含む内部回路のリセットや、チャージポンプ回路の停止等が行われる。
【0022】
図5に、本実施例のパワーダウン検出部200の内部構成を示す。同図に示すように、パワーダウン検出部200は、低電力電圧検出回路210、高精度電圧検出回路220およびセレクタ230を有する。低電力電圧検出回路210は、比較的簡易な回路で、より消費電力を低減可能な回路から構成され、例えば、図3に示すような抵抗とインバータとを有する検出回路10から構成される。検出回路10は、供給電圧Vccを常時モニターし、検出ノードNがパワーダウン電圧レベルV_PDに降下したとき、検出ノードNの電圧がインバータのしきい値以下となるように抵抗の大きさが選択される。こうして、低電力電圧検出回路210は、供給電圧Vccがパワーダウン電圧レベルV_PDに降下したことを検出すると、その検出結果を表すHレベルの検出信号DET_Lをセレクタ230に出力する(図3の検出信号Vdetが対応する)。
【0023】
高精度電圧検出回路220は、基準電圧Vrefを発生する基準電圧発生器222と、基準電圧発生器222で発生された基準電圧Vrefと供給電圧Vccとを比較する比較回路224とを含む。基準電圧Vrefは、パワーダウン電圧レベルV_PDに設定され、比較回路224は、供給電圧Vccがパワーダウン電圧レベルV_PD以下に降下すると、それを表すHレベルの検出信号DET_Hをセレクタ230に出力する。
【0024】
基準電圧発生回路222は、特にその構成を限定されないが、例えば、電源電圧の変動や動作温度にほとんど依存しないバンドギャップリファレンス回路(BGR回路)が用いられる。図6に、一般的なBGR回路を示す。同図に示すように、BGR回路は、電源電圧VccとGND間に第1および第2の電流経路を含み、第1の電流経路に直列に接続されたPMOSトランジスタP1、抵抗R1、バイポーラトランジスタQ1を含み、第2の電流経路に直列に接続されたPMOSトランジスタP2、抵抗R2、R、バイポーラトランジスタQ2を含み、さらに抵抗R1とトランジスタQ1とを共通接続するノードVNを反転入力端子(−)に接続し、抵抗R2と抵抗Rとを共通接続するノードVPを非反転入力端子(+)に接続し、出力端子をトランジスタP1、P2のゲートに共通接続する差動増幅回路AMPを含む。差動増幅回路AMPは、トランジスタQ1の順方向電圧と、トランジスタQ2の順方向電圧に抵抗Rに生じる電圧を加算した電圧とが等しくなるように、出力電圧を調整し、出力ノードBGRからは基準電圧Vrefが出力される。
【0025】
比較回路224は、特にその構成を限定されないが、例えば、図7に示すように、供給電圧Vccから生成された内部電圧VIと基準電圧Vrefとを比較するコンパレータCMPを含む。基準電圧Vref=パワーダウン電圧レベルV_PDとする。コンパレータCMPは、VI>Vrefのとき、Lレベルの検出信号DET_Hを出力し、Vref≧VIのとき、Hレベルの検出信号DET_Hを出力する。
【0026】
基準電圧発生器222および比較回路224は、コントローラ140からのイネーブル/ディスエーブル信号に応答して動作または非動作となる。後述するように、コントローラ140は、フラッシュメモリがビジー状態であるとき、高精度電圧検出回路220を動作させるためのイネーブル信号を出力し、スタンバイ状態であるとき、高精度電圧検出回路220を非動作にするためのディスエーブル信号を出力する。
【0027】
セレクタ230は、低電力電圧検出回路210からの検出信号DET_Lと高精度電圧検出回路220からの検出信号DET_Hとを受け取り、コントローラ140からの選択信号SELに基づきいずれかの検出信号を選択し、選択した検出信号をコントローラ140に出力する。コントローラ140は、ビジー状態であるとき、高精度電圧検出回路220の検出信号DET_Hを選択させ、スタンバイ状態であるとき、低電力電圧検出回路210の検出信号DET_Lを選択させる。
【0028】
次に、コントローラ140によるパワーダウン検出部200の制御について説明する。図8は、コントローラ140によるパワーダウン検出部200の制御内容を説明する動作フローである。コントローラ140は、フラッシュメモリ100がビジー状態か否かを判定する(S100)。ビジー状態とは、フラッシュメモリ100の内部回路(コントローラや周辺回路を含む)が動作をしている状態であり、例えば、ユーザーからのコマンドを受け取り、当該コマンドに基づき読出し動作、プログラム動作あるいは消去動作などを実行している状態である。スタンバイ状態とは、内部回路が本質的な動作をしていない状態であり、例えば、ユーザーからのコマンドを受け取ることができる状態である。
【0029】
コントローラ140は、ビジー状態であると判定した場合、イネーブル信号を出力して高精度電圧検出回路220を動作させ(S110)、かつ、選択信号SELにより高精度電圧検出回路220の検出信号DET_Hをセレクタ230に選択させる(S120)。つまり、ビジー状態では、低電力電圧検出回路210と高精度電圧検出回路220の双方が動作しているが、セレクタ230により高精度電圧検出回路220の検出信号DET_Hがコントローラ140に提供される。
【0030】
一方、コントローラ140は、フラッシュメモリがビジー状態でないと判定した場合、つまり、スタンバイ状態であると判定した場合、ディスエーブル信号を出力して高精度電圧検出回路220を非動作にし(S130)、かつ、選択信号SELにより低電力電圧検出回路210の検出信号DET_Lをセレクタ230に選択させる(S140)。つまり、スタンバイ状態では、低電力電圧検出回路210のみが動作し、セレクタ230により低電力電圧検出回路210の検出信号DET_Lがコントローラ140に提供される。
【0031】
図9は、本実施例によるビジー状態のときのパワーダウン電圧レベルV_PDの検出範囲H3を示している。上記したように、ビジー状態では、高精度電圧検出回路220を用いてパワーダウン電圧レベルV_PDを検出するため、低電力電圧検出回路210を用いたときよりも検出精度が高く、検出範囲H3のバラツキを小さくすることができる。ビジー状態では、内部回路が動作しており、この期間中にパワーダウン電圧レベルV_PDを正しく検出することで、例えば、パワーダウン電圧レベルV_PDよりも低い電圧で内部回路が動作することが抑制され、その結果、誤動作による回路の故障やデータ破壊等を防止することができる。他方、内部回路が動作していないスタンバイ状態では、高精度電圧検出回路220を非動作にし、低電力電圧検出回路210のみを動作させることで、スタンバイ状態の許容消費電力の制約を順守することができる。
【0032】
ここで、パワーアップ検出部190にも、パワーアップ電圧レベルV_PUの検出において高い精度が要求される。このため、パワーアップ検出部190もまた、基準電圧発生器や比較回路を用いた高精度電圧検出回路を利用する。従って、パワーダウン検出部200の高精度電圧検出回路220は、パワーアップ検出部190の高精度電圧検出回路を利用するものであってもよい。この場合、パワーアップシーケンスが終了した後、高精度電圧検出回路の検出レベルがパワーアップ電圧レベルV_PUからパワーダウン電圧レベルV_PDに変更される。
【0033】
次に、本発明の別の実施例について説明する。上記実施例では、ビジー状態であるとき、高精度電圧検出回路220を動作させる例を示したが、本実施例では、ビジー状態のさらに詳細な動作に応答して高精度電圧検出回路220の動作を制御する。
【0034】
図10は、フラッシュメモリの読出し動作時の各部の波形を示している。コントローラ140は、外部から読出しコマンドやアドレスが入力されたことに応答して読出し動作を開始する。MODEは、そのときの詳細な動作モードを示している。例えば、MODE「1h」は、チャージポンプ回路を起動する期間を示し、「3h」は、グローバルビット線GBLのプリチャージを開始する期間を示している。BUSYは、コントローラ140が読出し動作を実行する期間を示している。チャージポンプ回路が起動される「1h」の期間、グローバルビット線GBLにプリチャージする期間においてピーク電流が発生するため、供給電圧Vccが一時的に降下する。
【0035】
先の実施例では、コントローラ140は、BUSY信号がHレベルであるとき、高精度電圧検出回路220を動作させ、その検出信号DET_Hに基づきパワーダウン動作を実行したが、本実施例では、コントローラ140は、ビジー期間中、MODE「1h」および「3h」の特定の動作が行われるときに高精度電圧検出回路220を動作させる。このような動作制御をすることで、さらなる消費電力の低減を図ることができる。
【0036】
上記実施例では、コントローラ140がビジー状態か否かを判定して高精度電圧検出回路を動作させたが、ビジー状態は、例えば、フラッシュメモリがビジー信号やレディ信号を出力する外部端子を備えている場合には、ビジー信号またはレディ信号に応答してビジー状態またはスタンバイ状態を判定するようにしてもよい。さらに上記実施例では、NAND型フラッシュメモリを例示したが、本発明は、これに限らず、他の不揮発性メモリのパワーダウン検出にも適用することができる。
【0037】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
100:フラッシュメモリ 110:メモリセルアレイ
120:入出力バッファ 130:アドレスレジスタ
140:コントローラ 150:ワード線選択回路
160:ページバッファ/センス回路 170:列選択回路
180:内部電圧発生回路 190:パワーオン検出部
200:パワーダウン検出部 210:低電力電圧検出部
220:高精度電圧検出回路 230:セレクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10