(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光軸方向制御部は、前記第1光無線通信部の光軸と前記他移動体の第2光無線通信部の光軸との一致を維持するように、前記第1光無線通信部の光軸の方向を制御する、請求項1又は2に記載の移動体。
前記光軸方向制御部は、前記第1移動計画情報及び前記第2移動計画情報に基づいて前記移動体と前記他移動体との相対位置の変化を予測して、予測結果に基づいて前記第1光無線通信部の光軸の方向を制御しつつ、前記第1慣性計測情報、前記第1機体制御情報、前記第2慣性計測情報、及び前記第2機体制御情報に基づいて、前記第1光無線通信部の光軸の方向の、前記予測結果に基づく前記第1光無線通信部の光軸の方向の制御よりも細かい制御を実行する、請求項5に記載の移動体。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、潜水艇100の一例を概略的に示す。潜水艇100は、移動体の一例であってよい。潜水艇100は、光無線通信装置110を備える。
図1に示す例において、光無線通信装置110は、潜水艇100に対して相対的に移動しないように固定されている。潜水艇100は、光無線通信装置110による光無線通信によって、他の潜水艇100との間で光無線通信を実行可能である。
【0016】
本実施形態に係る潜水艇100は、慣性計測情報及び機体制御情報を含む移動体情報を他の潜水艇100と共有し、移動体情報に基づいて、光無線通信装置110の光軸と、他の潜水艇100が有する光無線通信装置110の光軸との一致を維持するように、自機の光無線通信装置110方向を制御する。
【0017】
慣性計測情報は、潜水艇100の3次元の角速度及び加速度の計測結果を示してよい。潜水艇100は、例えば、潜水艇100が有する慣性計測装置(Inertial Measurement Unit(IMU))によって計測された計測結果を示す慣性計測情報を移動体情報に含めてよい。
【0018】
機体制御情報は、潜水艇100が有する推進装置によって用いられる情報であってよい。推進装置は、機体制御情報に従って潜水艇100を推進させる。潜水艇100は、推進装置によって用いられる機体制御情報を移動体情報に含めてよい。
【0019】
潜水艇100は、例えばまず、任意の方法で他の潜水艇100との間で光無線通信装置110の光軸を一致させて、光無線通信リンクを確立する。光軸を一致させる方法は、どのような方法であってもよい。
【0020】
例えば、第1の潜水艇100の使用者と第2の潜水艇100の使用者とが、光無線通信装置110の光軸が一致するように第1の潜水艇100と第2の潜水艇100とを配置する。また、例えば、第1の潜水艇100と第2の潜水艇100とが、水中で音波通信によって互いの位置等を共有することによって、自動的に光無線通信装置110の光軸を一致させる。また、例えば、水上に位置する第1の潜水艇100と第2の潜水艇100とが、電波通信によって互いの位置等を共有することによって、自動的に光無線通信装置110の光軸を一致させる。
【0021】
光無線通信リンクを確立した後、2機の潜水艇100は、互いの移動体情報を共有する。潜水艇100は、他の潜水艇100の機体制御情報を参照することによって、他の潜水艇100が機体をどのように動かそうとしているかを把握することができる。また、潜水艇100は、他の潜水艇100の慣性計測情報を参照することによって、他の潜水艇100がどのように動いたかを把握することができる。潜水艇100は、機体制御情報及び慣性計測情報を参照することによって、他の潜水艇100が、機体をどのように動かそうとして、結果どのように動いているかを把握することができる。
【0022】
図2は、潜水艇100による光軸111の制御についての説明図である。
図2は、第1の潜水艇100が上昇し、第2の潜水艇100が下降する場合の光軸111の制御の様子を示す。
【0023】
第1の潜水艇100及び第2の潜水艇100はそれぞれ、共有している移動体情報によって、第1の潜水艇100が上昇し、第2の潜水艇100が下降することを把握する。第1の潜水艇100は、第1の潜水艇100の光軸111と、第2の潜水艇100の光軸111との一致を維持するために、第1の潜水艇100の光軸111の方向が第2の潜水艇100の光無線通信装置110に向くように、第1の潜水艇100がピッチダウンするように第1の潜水艇100の推進装置を制御する。第2の潜水艇100は、同様にして、光軸111の一致を維持するために、第2の潜水艇100の光軸111の方向が第1の潜水艇100の光無線通信装置110に向くように、第2の潜水艇100がピッチアップするように第2の潜水艇100の推進装置を制御する。
【0024】
このように、第1の潜水艇100及び第2の潜水艇100のそれぞれが、共有している移動体情報に基づいて姿勢を変更することによって光軸111の方向を制御することにより、光軸111の一致を維持可能にでき、光無線通信を安定して実施することを可能とする。特に、機体制御情報を共有することによって潜水艇100の自発的な移動に対応することができ、慣性計測情報を共有することによって潜水艇100の外的要因による移動にも対応することができる。
【0025】
図3は、潜水艇100の機能構成の一例を概略的に示す。潜水艇100は、光無線通信装置110、慣性計測装置120、推進装置130、無線通信装置132、運行管理装置134、発光部136、及び制御装置140を備える。なお、潜水艇100がこれらの全ての構成を備えることは必須とは限らない。潜水艇100自身を自艇と記載し、他の潜水艇100を他艇と記載する場合がある。
【0026】
光無線通信装置110は、発光ポート112及び受光ポート114を有する。光無線通信装置110による光無線通信に用いられる光の種類は任意の種類であってよく、例えば、赤外線から可視光線までの間の波長の光が用いられる。
【0027】
例えば、可視光を用いる場合、各種波長のLED(Light Emitting Diode)を安価に入手することができるので、多重波長の重畳による広帯域化が容易であったり、光無線通信装置110の製造コストを低減したりすることができる。また、例えば、赤外線を用いる場合、赤外線は波長が可視光より長いので、小出力で遠距離まで届かせることができる。また、目に安全であるとともに、肉眼では見えないので、通信していることを秘匿できる。
【0028】
光無線通信装置110は、撮像部116を有する。撮像部116は、光無線通信方向を撮像する。撮像部116は、例えば、発光ポート112による発光方向を撮像する。発光ポート112及び受光ポート114の光無線通信方向のベクトルと、撮像部116による撮像主方向のベクトルとは、同一であってよい。撮像部116による撮像主方向とは、例えば、撮像部116が備えるレンズの光軸の方向である。光無線通信装置110は、撮像部116を有さなくてもよい。
【0029】
慣性計測装置120は、自艇の機体の挙動の計測を行う。慣性計測装置120は、ジャイロセンサ122、加速度センサ124、及び位置センサ126を有する。ジャイロセンサ122は、角速度を検出する。加速度センサ124は、加速度を検出する。
【0030】
位置センサ126は、自艇の位置を計測する。位置センサ126は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)ユニットであってよい。この場合、位置センサ126は、自艇が水中に位置していないときに、自艇の測位を実行する。
【0031】
位置センサ126は、慣性航法装置(Inertial Navigation System(INS(登録商標)))であってもよい。この場合、位置センサ126は、ジャイロセンサ122及び加速度センサ124によって測定される角速度及び加速度に基づいて、自艇の位置及び速度を導出する。位置センサ126は、ドップラー式対地速度計であってもよい。位置センサ126は、その他、自艇の位置を計測可能であれば、どのようなセンサであってもよい。なお、慣性計測装置120は、位置センサ126を有さなくてもよい。
【0032】
慣性計測装置120は、不図示の圧力計を有してもよい。圧力計は、例えば、計測した水圧に関する水圧情報を出力する。また、慣性計測装置120は、不図示の流量計を有してもよい。流量計は、例えば、計測した流量に関する流量情報を出力する。
【0033】
推進装置130は、自艇を推進させる。推進装置130は、エンジン及びモータ等の駆動装置、スクリュープロペラ、及び舵等によって、自艇を推進させる。
【0034】
無線通信装置132は、水中以外の場所で他艇と無線通信する。無線通信装置132は、例えば、水上において、他艇と無線通信する。無線通信装置132は、光無線通信装置110による光無線通信リンクが確立するまでのサブ通信機能として動作してよい。自艇は、無線通信装置132を介して他艇と無線通信することによって、光無線通信装置110の光軸111を合わせるために必要な情報を他艇と共有する。光軸111を合わせるために必要な情報は、例えば、位置情報や、どのように移動するかを示す移動情報等である。
【0035】
潜水艇100は、無線通信装置132に代えて音波通信装置を備えてもよい。例えば、自艇は、音波通信装置を介して他艇と無線通信することによって、光無線通信装置110の光軸111を合わせるために必要な情報を他艇と共有してよい。潜水艇100は、無線通信装置132と音波通信装置の両方を備えてもよい。
【0036】
運行管理装置134は、自艇の運行計画を管理する。運行管理装置134は、例えば、自艇の航行計画を管理する。運行管理装置134は、自艇の航行計画における、自艇の移動経路を含む移動計画情報を管理してよい。
【0037】
運行管理装置134は、無線通信装置132を介して、外部から移動計画情報を取得してもよい。運行管理装置134は、例えば、潜水艇100の管制システムから移動計画情報を受信して管理する。
【0038】
発光部136は、発光ポート112から出力される光の指向性よりも指向性が低い光を出力する。発光部136によって出力される光は、発光ポート112から出力される光の指向性よりも低い指向性を有していてよく、また、無指向性であってもよい。
【0039】
発光部136は、可視光を出力してよい。発光部136は、無色の光を出力してよく、また、有色の光を出力してもよい。発光部136は、複数の色の光を出力してもよい。発光部136は、例えば、3色の光を出力するLEDストロボライトであってよい。
【0040】
潜水艇100は、発光部136による発光を制御することによって、他の潜水艇100に対して情報を送信してよい。発光による情報の送信は、任意の手法で行われてよい。例えば、発光パターンの違いによって情報を送信する明滅信号が用いられる。また、潜水艇100は、他の潜水艇100が発光部136による発光を制御することによって送信した情報を、撮像部116によって撮像した当該発光部136による発光を解析することによって取得してよい。
【0041】
潜水艇100は、例えば、他の潜水艇100との間で光無線通信リンクが確立するまでの間の通信手段として、発光部136による通信を実行する。具体例として、自艇と他艇とが、発光部136による発光を制御することによって、認証番号を送信し、認証可と判定できた場合に、光無線通信リンクの確立処理を実行する。
【0042】
潜水艇100は、他の潜水艇100と光無線通信リンクを確立した後に、光軸ずれや距離が離れすぎる等の理由による通信断や通信不安定時の通信手段として、発光部136による通信を実行してもよい。また、潜水艇100は、他の潜水艇100と光無線通信リンクを確立した後、光無線通信に関連する情報を、発光部136によって通信してもよい。例えば、潜水艇100は、光無線通信に対応するエラー訂正信号を、発光部136によって送信する。発光部136による通信の用途は、これらに限らず、任意の用途に用いられてよい。
【0043】
制御装置140は、自艇の各部を制御する。制御装置140は、通信制御部142、映像解析部144、及び機体制御部146を有する。
【0044】
通信制御部142は、自艇の通信を制御する。通信制御部142は、光無線通信装置110による光無線通信を制御してよい。通信制御部142は、光無線通信装置110による光無線通信によって、他の潜水艇100との間で任意のデータを送受信してよい。
【0045】
通信制御部142は、無線通信装置132による無線通信を制御してよい。通信制御部142は、自艇が音波通信装置を備える場合、音波通信装置による音波通信を制御してよい。通信制御部142は、発光部136による発光を用いた通信を制御してよい。
【0046】
映像解析部144は、撮像部116による撮像画像を解析する。映像解析部144は、例えば、撮像部116による撮像画像を解析することによって、通信対象を検出する。また、映像解析部144は、他艇の発光部136による発光を画像解析して取得した通信内容を通信制御部142に提供する。
【0047】
機体制御部146は、自艇の機体を制御する。機体制御部146は、推進装置130を制御することによって、自艇の推進を制御してよい。機体制御部146は、例えば、推進装置130を制御することによって、自艇の、進む、曲がる、戻る、回転する、外乱に逆らって静止するなどの運動を実現する。
【0048】
機体制御部146は、運行管理装置134と連携して、運行管理装置134と相互に情報をやり取りすることによって、自艇を運行計画通りに運行させるよう、推進装置130を制御してよい。機体制御部146は、移動計画制御部の一例であってよい。
【0049】
慣性計測装置120は、機体制御部146によって自艇の機体が制御されたときに、自艇の機体が実際どのように動いたかを計測して、機体制御部146にフィードバックしてよい。機体制御部146は、慣性計測装置120からのフィードバックを元に自艇の機体の制御ずれを補正してよい。
【0050】
通信制御部142は、自艇の慣性計測情報及び機体制御情報を含む移動体情報(自艇情報と記載する場合がある。)を、光無線通信装置110による光無線通信によって、他艇に送信する。通信制御部142は、移動体情報送信部の一例であってよい。通信制御部142は、他艇と光無線通信リンクを確立した後、予め定められたタイミングに従って自艇情報を他艇に送信してよい。
【0051】
予め定められたタイミングは、例えば、定期的なタイミングであってよい。また、予め定められたタイミングは、例えば、自艇の機体の位置及び姿勢の少なくともいずれかが変化したタイミングであってもよい。
【0052】
通信制御部142は、通信相手の他艇の慣性計測情報及び機体制御情報を含む移動体情報(他艇情報と記載する場合がある。)を、光無線通信装置110による光無線通信によって、他艇から受信する。通信制御部142は、受信した他艇情報のログを格納してよい。通信制御部142は、移動体情報受信部の一例であってよい。
【0053】
機体制御部146は、自艇情報及び他艇情報に基づいて、自艇の光無線通信装置110の光軸111の方向を制御する。機体制御部146は、自艇の光無線通信装置110の光軸111と、他艇の光無線通信装置110の光軸111との一致を維持するように、自艇の光無線通信装置110の光軸111の方向を制御してよい。機体制御部146は、推進装置130を制御することによって、自艇の光無線通信装置110の光軸111の方向を制御してよい。機体制御部146は、光軸方向制御部の一例であってよい。
【0054】
機体制御部146は、何らかの理由によって、自艇の光軸111と他艇の光軸111とがずれてしまって、光無線通信リンクが切断されたしまった場合に、自艇の光軸111と他艇の光軸111とを一致させるように、自艇の機体を制御してよい。機体制御部146は、例えば、通信制御部142が格納している他艇情報のログに基づいて、他艇の位置及び姿勢を予測して、予測結果に基づいて、自艇の光軸111と他艇の光軸111とを一致させるように自艇の機体を制御してよい。このように、他艇情報のログを格納しておくことによって、光無線通信リンクが切断してしまった場合の早期復帰に貢献することができる。
【0055】
通信制御部142は、位置センサ126によって計測された自艇の位置を示す位置情報をさらに含む自艇情報を、通信相手の他艇に送信してもよい。通信制御部142は、通信相手の他艇の位置を示す位置情報をさらに含む他艇情報を、他艇から受信してもよい。これにより、慣性計測情報及び機体制御情報のみを用いる場合と比較して、互いの位置の特定精度を向上させることができ、信頼性向上に貢献することができる。
【0056】
通信制御部142は、自艇の運行管理装置134から受信した移動計画情報をさらに含む自艇情報を、通信相手の他艇に送信してもよい。通信制御部142は、通信相手の他艇の移動計画情報を含む他艇情報を、他艇から受信してもよい。
【0057】
機体制御部146は、例えば、自艇の移動計画情報と、他艇の移動計画情報とに基づいて、自艇と他艇との相対位置の変化を予測して、予測結果に基づいて自艇の光無線通信装置110の光軸111の方向を制御しつつ、自艇情報に含まれる慣性計測情報及び機体制御情報と、他艇情報に含まれる慣性計測情報及び機体制御情報とに基づいて、自艇の光無線通信装置110の光軸111の方向の、上記予測結果に基づく光無線通信装置110の光軸111の方向の制御よりも細かい制御を実行してよい。すなわち、機体制御部146は、自艇の移動経路(各時刻の位置)と、他艇の移動経路(各時刻の位置)とから、互いの光軸111の方向の一致を維持するように自機の機体を制御することに加えて、慣性計測情報及び機体制御情報に基づく、自機の機体の精密な制御を実行する。これにより、移動計画情報による位置特定精度の低さや外的要因による位置のずれを、慣性計測情報及び機体制御情報によって補正することができ、より安定的に光軸111の方向の一致を維持することができる。
【0058】
機体制御部146は、何らかの理由によって、自艇の光軸111と他艇の光軸111とがずれてしまって、光無線通信リンクが切断されたしまった場合に、他艇の移動計画情報に基づいて他艇の位置及び姿勢を予測して、予測結果に基づいて、自艇の光軸111と他艇の光軸111とを一致させるように自艇の機体を制御してもよい。
【0059】
慣性計測装置120が圧力計を有している場合、通信制御部142は、圧力計によって計測された水圧に関する水圧情報をさらに含む自艇情報を、通信相手の他艇に送信してもよい。通信制御部142は、通信相手の他艇の水圧情報を含む他艇情報を、他艇から受信してもよい。これにより、慣性計測情報及び機体制御情報のみを用いる場合と比較して、潜水艇100の位置及び姿勢の特定精度を向上させることができ、信頼性向上に貢献することができる。
【0060】
慣性計測装置120が流量計を有している場合、通信制御部142は、流量計によって計測された流量に関する流量情報をさらに含む自艇情報を、通信相手の他艇に送信してもよい。通信制御部142は、通信相手の他艇の流量情報を含む他艇情報を、他艇から受信してもよい。これにより、慣性計測情報及び機体制御情報のみを用いる場合と比較して、潜水艇100の位置及び姿勢の特定精度を向上させることができ、信頼性向上に貢献することができる。
【0061】
図4は、潜水艇100による処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、潜水艇100が通信対象となる他の潜水艇100を検索して、他の潜水艇100との間で光無線通信を実行する処理の流れについて説明する。
【0062】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102では、制御装置140が、通信対象の潜水艇100を検索する。制御装置140は、映像解析部144による解析結果に基づいて、通信対象の潜水艇100を検索してよい。通信対象が無い場合(S104でNO)、S102に戻り、通信対象が有る場合(S104でYES)、S106に進む。
【0063】
S106では、機体制御部146が、自艇の光軸111と、通信対象の他艇の光軸111とを一致させるように、自機の機体を制御する。自艇の光軸111と、他艇の光軸111とが一致していない場合(S108でNO)、S106に戻り、一致した場合(S108でYES)、S110に進む。
【0064】
S110では、通信制御部142が、他艇との間で光無線通信リンクを確立する。S112では、通信制御部142が、他艇との間で、光無線通信による移動体情報の共有を開始する。
【0065】
S114では、通信制御部142が、移動体情報を共有する。通信制御部142は、自機情報を光無線通信によって他艇に送信するとともに、他艇から他艇情報を受信する。S116では、機体制御部146が、移動体情報に変化があったか否かを判定する。変化がないと判定した場合、S114に戻り、変化があったと判定した場合、S118に進む。
【0066】
S118では、機体制御部146が、自艇情報及び他艇情報に基づいて、自艇の光軸111と他艇の光軸111との一致を維持すべく、自艇の機体を制御する。S120では、通信制御部142が、他艇との間の光無線通信を終了するか否かを判定する。終了しないと判定した場合、S114に戻り、終了すると判定した場合、処理を終了する。
【0067】
上記実施形態では、移動体の例として潜水艇100を挙げたが、これに限らない。移動体の他の例としては、ドローン等の無人航空機及びヘリコプター等の飛行体が挙げられる。また、移動体の他の例として、自動車及び船等も挙げられる。
【0068】
図5は、潜水艇100の他の一例を概略的に示す。ここでは、
図1とは異なる点を主に説明する。
図5に示す例において、潜水艇100は、光無線通信装置110を回転可能に支持するジンバル150を備える。潜水艇100は、他の潜水艇100と共有している移動体情報に基づいて、光無線通信装置110の角度を調整するようにジンバル150を制御することによって、光無線通信装置110の光軸111の方向を制御する。
【0069】
図6は、潜水艇100による光軸111の制御についての説明図である。ここでは、
図2と異なる点を主に説明する。
【0070】
第1の潜水艇100は、第1の潜水艇100の光軸111と、第2の潜水艇100の光軸111との一致を維持するために、第1の潜水艇100の光軸111の方向が第2の潜水艇100の光無線通信装置110に向くように、ジンバル150を制御して、光無線通信装置110を下方向に傾ける。第2の潜水艇100は、第2の潜水艇100の光軸111と、第1の潜水艇100の光軸111との一致を維持するために、第2の潜水艇100の光軸111の方向が第1の潜水艇100の光無線通信装置110に向くように、ジンバル150を制御して、光無線通信装置110を上方向に傾ける。
【0071】
このように、第1の潜水艇100及び第2の潜水艇100のそれぞれが、共有している移動体情報に基づいてジンバル150を制御し、光無線通信装置110の姿勢を変更することによって光軸111の方向を制御することにより、光軸111の一致を維持可能にでき、光無線通信を安定して実施することを可能とする。特に、機体制御情報を共有することによって潜水艇100の自発的な移動に対応することができ、慣性計測情報を共有することによって潜水艇100の外的要因による移動にも対応することができる。
【0072】
図7は、潜水艇100の機能構成の一例を概略的に示す。ここでは、
図3とは異なる点を主に説明する。
図7に示す潜水艇100は、ジンバル150を備え、制御装置140は、ジンバル制御部148を有する。
【0073】
ジンバル制御部148は、自艇情報及び他艇情報に基づいて、自艇の光無線通信装置110の光軸111と、他艇の光無線通信装置110の光軸111との一致を維持するように、光無線通信装置110の角度を調整するようジンバル150を制御する。ジンバル制御部148は、光軸方向制御部の一例であってよい。
【0074】
図8は、潜水艇100による処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、
図4とは異なる点を主に説明する。
【0075】
S202では、制御装置140が、通信対象の潜水艇100を検索する。通信対象が無い場合(S204でNO)、S202に戻り、通信対象が有る場合(S204でYES)、S206に進む。
【0076】
S206では、ジンバル制御部148が、自艇の光軸111と、通信対象の他艇の光軸111とを一致させるように、ジンバル150を制御する。自艇の光軸111と、他艇の光軸111とが一致していない場合(S208でNO)、S206に戻り、一致した場合(S208でYES)、S210に進む。
【0077】
S210では、通信制御部142が、他艇との間で光無線通信リンクを確立する。S212では、通信制御部142が、他艇との間で、光無線通信による移動体情報の共有を開始する。
【0078】
S214では、通信制御部142が、移動体情報を共有する。通信制御部142は、自機情報を光無線通信によって他艇に送信するとともに、他艇から他艇情報を受信する。S216では、ジンバル制御部148が、移動体情報に変化があったか否かを判定する。変化がないと判定した場合、S214に戻り、変化があったと判定した場合、S218に進む。
【0079】
S218では、ジンバル制御部148が、自艇情報及び他艇情報に基づいて、自艇の光軸111と他艇の光軸111との一致を維持すべく、ジンバル150を制御する。S220では、通信制御部142が、他艇との間の光無線通信を終了するか否かを判定する。終了しないと判定した場合、S214に戻り、終了すると判定した場合、処理を終了する。
【0080】
図9は、移動通信装置200の一例を概略的に示す。移動通信装置200は、移動体の一例であってよい。
図9に示す例において、移動通信装置200は、ケーブル302を介して潜水艇300と接続されている。移動通信装置200は、他の移動通信装置200との間で光無線通信を実行し、移動通信装置200に接続されている潜水艇300と、他の移動通信装置200に接続されている潜水艇300との通信を中継する。潜水艇300は、通信装置の一例であってよい。
【0081】
図10は、移動通信装置200の機能構成の一例を概略的に示す。移動通信装置200は、光無線通信装置210、慣性計測装置220、推進装置230、無線通信装置232、発光部236、及び制御装置240を備える。なお、移動通信装置200がこれらの全ての構成を備えることは必須とは限らない。
【0082】
光無線通信装置210は、発光ポート212、受光ポート214、及び撮像部216を有する。光無線通信装置210は、光無線通信装置110と同様であってよい。
【0083】
慣性計測装置220は、移動通信装置200の機体の挙動の計測を行う。慣性計測装置220は、ジャイロセンサ222、加速度センサ224、及び位置センサ226を有する。慣性計測装置220は、慣性計測装置120と同様であってよい。
【0084】
推進装置230は、移動通信装置200を推進させる。推進装置230は、推進装置130と同様であってよい。
【0085】
無線通信装置232は、水中以外の場所で他の移動通信装置200と無線通信する。無線通信装置232は、無線通信装置132と同様であってよい。
【0086】
発光部236は、発光ポート212から出力される光の指向性よりも指向性が低い光を出力する。発光部236は、発光部136と同様であってよい。
【0087】
制御装置240は、移動通信装置200の各部を制御する。制御装置240は、通信制御部242、映像解析部244、機体制御部246、及び潜水艇通信部252を有する。
【0088】
通信制御部242は、通信制御部142と同様であってよい。映像解析部244は、映像解析部144と同様であってよい。機体制御部246は、機体制御部146と同様であってよい。
【0089】
潜水艇通信部252は、ケーブル302を介して潜水艇300と通信する。潜水艇通信部252は、ケーブル302を介して潜水艇300から受信したデータを、通信制御部242を介して、光無線通信装置210による光無線通信によって、他の移動通信装置200に送信してよい。他の移動通信装置200は、受信したデータを、ケーブル302を介して自らに接続されている潜水艇300に送信してよい。
【0090】
他の移動通信装置200は、ケーブル302を介して自らに接続されている潜水艇300から受信したデータを、光無線通信によって移動通信装置200に送信してよい。潜水艇通信部252は、光無線通信装置210による光無線通信によって他の移動通信装置200から受信したデータを、ケーブル302を介して自らに接続されている潜水艇300に送信してよい。潜水艇通信部252は、通信中継部の一例であってよい。
【0091】
図9、
図10では、移動通信装置200が潜水艇100に接続される場合を例に挙げたが、これに限らない。移動通信装置200は、任意の通信装置に接続されてもよい。例えば、移動通信装置200は、飛行能力を有して、無人航空機及びヘリコプター等の飛行体、自動車、船、及び無線基地局等に接続されてもよい。
【0092】
図11は、制御装置140又は制御装置240として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0093】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0094】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0095】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0096】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0097】
プログラムは、ICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0098】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0099】
また、CPU1212は、記憶装置1224、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0100】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0101】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0102】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0103】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0104】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0105】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0106】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0107】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【解決手段】移動体であって、移動体の3次元の角速度及び加速度の計測結果を示す第1慣性計測情報と、第1機体制御情報に従って移動体を推進させる推進部が用いる第1機体制御情報とを含む第1移動体情報を、第1光無線通信部による光無線通信によって他移動体に送信する移動体情報送信部と、他移動体の3次元の角速度及び加速度の計測結果を示す第2慣性計測情報と、第2機体制御情報に従って他移動体を推進させる推進部が用いる第2機体制御情報とを含む第2移動体情報を、第1光無線通信による光無線通信によって他移動体から受信する移動体情報受信部と、第1移動体情報及び第2移動体情報に基づいて、第1光無線通信部の光軸の方向を制御する光軸方向制御部とを備える移動体を提供する。