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特許6792690ウェアラブルデバイス及びそれを作動させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6792690
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ウェアラブルデバイス及びそれを作動させる方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20201116BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G01L5/00 101Z
   A61B5/11 210
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-211953(P2019-211953)
(22)【出願日】2019年11月25日
【審査請求日】2019年11月25日
(31)【優先権主張番号】108125915
(32)【優先日】2019年7月23日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】▲ちゃん▼ 翔閔
(72)【発明者】
【氏名】張 耀宗
(72)【発明者】
【氏名】陳 胤語
(72)【発明者】
【氏名】高 全淵
(72)【発明者】
【氏名】鄒 宗穎
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5747034(JP,B2)
【文献】 特開2012−11136(JP,A)
【文献】 特許第5993574(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴アセンブリと;
前記靴アセンブリに配置され、複数の圧力検出値を生成するように構成された、複数の圧力センサであって、中足骨領域の外側に配置される第1センサ、前記中足骨領域の内側に配置される第2センサ、踵領域の外側に配置される第3センサ、及び前記踵領域の内側に配置される第4センサを含む、複数の圧力センサと;
前記靴アセンブリに配置され、前記靴アセンブリの移動方向を感知するように構成される慣性センサであって、前記第1乃至前記第4センサの中心に配置される、慣性センサと;
前記複数の圧力検出値及び前記複数の圧力センサの座標にしたがって重心座標を計算するように構成されるとともに、前記重心座標と前記慣性センサの出力にしたがって判定結果を生成するように構成された処理回路と;
前記判定結果に従ってアラーム機能を実行するようアラーム信号を出力するように構成されたアラームモジュールと;を有する、
ウェアラブルデバイス。
【請求項2】
前記処理回路は、前記判定結果を生成するために前記重心座標が安全領域内に位置しているかどうかを判定し、前記判定結果が、前記重心座標が前記安全領域内に位置していないことを示すとき、前記アラームモジュールは、前記アラーム機能を実行するように前記アラーム信号を出力し、前記安全領域は、前記靴アセンブリの第1のアセンブリの内側に配置された前記圧力センサ及び前記靴アセンブリの第2のアセンブリの内側に配置された前記圧力センサによって形成された領域内である、
請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項3】
前記靴アセンブリは、第1のアセンブリ及び第2のアセンブリを含み、前記複数の圧力センサは、前記第1のアセンブリに配置される第1の前記複数の圧力センサ及び前記第2のアセンブリに配置される第2の前記複数の圧力センサを含み、前記慣性センサは、前記第1のアセンブリに配置される第1の慣性センサ及び前記第2のアセンブリに配置される第2の慣性センサを含み、前記第1のアセンブリに配置された前記第1の複数の圧力センサは、前記第1センサ及び前記第2センサを含む第1のグループの圧力センサと前記第3センサ及び前記第4センサを含む第2のグループの圧力センサに分割され、前記第1のグループの圧力センサの各々によって感知された検出値が、前記第2のグループの圧力センサの各々によって感知された検出値より大きく、前記処理回路は、前記第1のグループの圧力センサの重心座標及び前記第2のグループの圧力センサの重心座標を計算し、前記第1のグループの圧力センサの前記重心座標から前記第2のグループの圧力センサの前記重心座標を差し引くことによって重心のトレンドベクトルを計算し、前記処理回路は、前記の計算された重心のトレンドベクトルの方向と前記第2のアセンブリに配置された前記第2の慣性センサによって感知された前記移動方向との間の角度が第2の閾値角度値以上であるかどうかを判定して前記判定結果を生成し、前記判定結果が、前記計算された重心のトレンドベクトルの前記方向と前記第2のアセンブリに配置された前記第2の慣性センサによって感知された前記移動方向との間の前記角度が前記第2の閾値角度値以上であるとき、前記アラームモジュールは、前記アラーム信号を出力して前記アラーム機能を実行する、
請求項1又は2に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項4】
前記靴アセンブリは、第1のアセンブリ及び第2のアセンブリを含み、前記複数の圧力センサは、前記第1のアセンブリに配置される第1の前記複数の圧力センサ及び前記第2のアセンブリに配置される第2の前記複数の圧力センサを含み、前記慣性センサは、前記第1のアセンブリに配置される第1の慣性センサ及び前記第2のアセンブリに配置される第2の慣性センサを含み、前記処理回路は、第1の時点における前記第1の複数の圧力センサの座標及び前記第1の時点における前記第1の複数の圧力センサによって感知された圧力検出値に従って、前記第1の時点の重心座標を計算し、第2の時点における前記第1の複数の圧力センサの前記座標及び前記第2の時点における前記第1の複数の圧力センサによって感知された圧力検出値に従って、前記第2の時点の重心座標を計算し、前記第1の時点の前記重心座標から前記第2の時点の前記重心座標を差し引くことによって重心移動ベクトルを計算し、前記処理回路は、前記の計算された重心移動ベクトルの方向と前記第2のアセンブリに配置された前記第2の慣性センサによって感知された前記移動方向との間の角度が第3の閾値角度値以上であるかどうかを判定して前記判定結果を生成し、前記判定結果が、前記計算された重心移動ベクトルの前記方向と前記第2のアセンブリに配置された前記第2の慣性センサによって感知された前記移動方向との間の前記角度が前記第3の閾値角度値以上であるとき、前記アラームモジュールは、前記アラーム信号を出力して前記アラーム機能を実行する、
請求項1又は2に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項5】
前記重心座標は、
【数1】
に従って、前記処理回路によって計算され、
COG(XCOG、YCOG)は前記重心座標を表し、XCOGは、前記重心座標のx軸座標値を表し、YCOGは、前記重心座標のy軸座標値を表し、は、第iセンサのx軸座標値を表し、は第iセンサの圧力検出値を示し、yは、第iセンサのy軸座標値を表し、nは前記センサの数を表す、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブルデバイス及びそれを作動させる方法に関し、より詳細には、圧力センサ及び慣性センサを備えたウェアラブルデバイス及びそれを作動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の外骨格ロボットは、ユーザの動きを決定するために、ユーザの関節角度及び姿勢を集めることがある。しかし、現在の外骨格ロボットは、地面に接触し、重心(COG)を正確に予測することができる部品を有していない。そのため、ユーザが転倒したかどうかを確認することはできない。加えて、高齢者、若年者又は患者は、日常生活の中で転倒する可能性が高い。転倒事故はしばしば骨折、頭部外傷、又は死亡に至ることもある。そのため、転倒やけがをどのように防止するかは現場では重要な課題となっている。
【発明の概要】
【0003】
従って、本発明は、主として、圧力センサ及び慣性センサを備えたウェアラブルデバイスと、上記の問題を解決するためにそれを作動させる方法とを提供する。
【0004】
一実施形態の一態様によれば、ウェアラブルデバイスは、靴アセンブリ(shoe assembly)と;靴アセンブリ上に配置され、複数の圧力検出値を生成するように構成された、複数の圧力センサと;複数の圧力検出値及び複数の圧力センサの座標にしたがって重心座標を計算し、重心座標にしたがって判定結果を生成するように構成された処理回路と;判定結果に従ってアラーム機能を実行するようアラーム信号を出力するように構成されたアラームモジュールと;を含む。
【0005】
別の実施形態の一態様によれば、ウェアラブルデバイスを作動させる方法が開示される。ウェアラブルデバイスは、靴アセンブリと、靴アセンブリ上に配置された複数の圧力センサとを含む。方法は、複数の圧力検出値を生成するように複数の圧力センサを利用するステップと;複数の圧力検出値及び複数の圧力センサの座標にしたがって重心座標を計算し、重心座標にしたがって判定結果を生成するステップと;判定結果にしたがってアラーム機能を実行するようにアラーム信号を出力するステップと;を含む。
【0006】
本発明のこれら及び他の目的は、種々の図面及び図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態によるウェアラブルデバイスを示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、図1に示す靴アセンブリ及び圧力センサを示す概略図である。
図3】本発明の一実施形態による手順のフロー図である。
図4】本発明の一実施形態による重心座標及び安全領域を示す概略図である。
図5】本発明の一実施形態による重心座標の軌跡を示す概略図である。
図6】本発明の代替の実施形態による重心座標及び安全領域を示す概略図である。
図7】本発明の代替の実施形態による重心座標及び安全領域を示す概略図である。
図8】本発明の一実施形態による重心座標及び移動方向のトレンドベクトルを示す概略図である。
図9】本発明の一実施形態による重心移動方向及び慣性センサの移動方向を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特定の用語が、特定の構成要素を参照するために、明細書及び以下の特許請求の範囲の全体にわたって使用される。当業者が理解するように、ハードウェア製造業者は、異なる名称で構成要素を指すことがある。本文書は、名前は異なるが機能は異ならない構成要素を区別することを意図していない。以下の説明及び特許請求の範囲において、「含む」及び「有する」という用語は、オープンエンド方式で使用され、したがって、「含むが、これに限定されない」を意味すると解釈されるべきである。また、用語「結合する」は、間接的又は直接的な電気的接続を意味することを意図している。従って、ある装置が別の装置に結合されている場合、その接続は、直接的な電気的接続を介して、又は他の装置及び接続を介した間接的な電気的接続を介して行うことができる。
【0009】
本発明の一実施形態によるウェアラブルデバイス1を示す概略図である図1を参照されたい。例えば、ウェアラブルデバイス1は、靴、補助装置、外骨格ロボット、靴下、衣服に適用することができるが、これらに限定されない。ウェアラブルデバイス1は、靴アセンブリ10、処理回路20、アラームモジュール30、圧力センサPS及び慣性センサISを含む。靴アセンブリ10は、アウトソール、インソール、地面に接触する外骨格ロボットの底部、又は足に装着できる任意の他の装置であることができる。処理回路20は、マイクロプロセッサ制御ユニット(MCU)、中央処理ユニット(CPU)又はマイクロプロセッサであることができるが、これらに限定されない。アラームモジュール30は、アラーム機能を実行するためのアラーム信号を出力するように構成されている。アラームモジュール30は、限定されるものではないが、ユーザに知らせるために(あらゆる方法、例えば、音、光又は振動を介して)アラーム信号を発生するための、発光装置(例えば、発光ダイオード(LED))、スピーカ、ブザー又はバイブレータを含む。
【0010】
圧力センサPSは、靴アセンブリ10上に配置され、圧力検出値を感知し生成するように構成される。圧力センサPSは、力感知抵抗器(FSR)、容量性圧力センサ、圧電性圧力センサ又は歪み型圧力センサを含むが、これらに限定されない。慣性センサISは、靴アセンブリ10上に配置され、変位値(例えば、移動方向及び移動距離を含む)及び傾斜角を感知し生成するように構成される。慣性センサISは、加速度計、ジャイロスコープ及び磁力計を含み得るが、これらに限定されない。慣性センサISは、慣性測定ユニット(IMU)であることができる。圧力センサPSの数及び慣性センサISの数は、制限されず、実際のシステム要求に従って変化し、設計することができる。加えて、ウェアラブルデバイス1は、さらに、アナログデジタルコンバータ(図示せず)を含む。アナログデジタルコンバータは、圧力センサPSによって感知されたアナログ圧力検出値をデジタル圧力検出値に変換することができ、処理回路20に設けられる。アナログデジタルコンバータはまた、慣性センサISによって感知されたアナログ検出値をデジタル検出値に変換することができ、処理回路20に設けられる。
【0011】
例えば、図2を参照されたい。図2は、本発明の一実施形態による、図1に示す靴アセンブリ10及び圧力センサPSを示す概略図である。図2に示すように、靴アセンブリ10は、左靴アセンブリ102及び右靴アセンブリ104を含む。例えば、左靴アセンブリ102は左インソールであり、右靴アセンブリ104は右インソールである。圧力センサPS1〜PS4は、左靴アセンブリ102に配置される。圧力センサPS5〜PS8は、右靴アセンブリ104に配置される。各圧力センサによって感知された圧力検出値は、以下の動作のために処理回路20に送信されることができる。ここで、(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)、(x4,y4)は、圧力センサPS1〜PS4の座標をそれぞれ表す。(X5,y5)、(x6,y6)、(x7,y7)、(x8,y8)は、圧力センサPS5〜PS8の座標をそれぞれ表す。d1は左足とY軸の間の初期距離、d2は右足とY軸の間の初期距離であり、ユーザの足の間の距離は初期設定値として使用できるd1+d2として表すことができる。
【0012】
ウェアラブルデバイス1の動作の説明については、図3を参照されたい。図3は、本発明の一実施形態による手順3のフロー図である。図3のフローチャートは、主として、図1及び図2に示すウェアラブルデバイス1の動作に対応する。手順3によれば、ステップS302において、ユーザがウェアラブルデバイス1を装着し、ユーザの足が圧力センサに力を加えているとき、靴アセンブリ10上に配置された圧力センサは、対応する圧力検出値を感知し、生成するように構成される。各圧力センサによって感知された圧力検出値は、無線又は有線接続を介して処理回路20に送信することができる。靴アセンブリ10上に配置された慣性センサISは、移動方向と移動距離と傾斜角とを含む変位値を感知し、生成するように構成され、これらの検出値は、無線又は有線接続を介して処理回路20に送信することができる。
【0013】
ステップS304において、処理回路20は、ユーザが両足で立っているか(すなわち、両脚支持(double support))、片足で立っているか(すなわち、単脚支持(single support))を決定する。例えば、処理回路20は、ユーザが両足で立っているか、片足で立っているかを、圧力センサによって感知される圧力検出値に従って決定することができる。例えば、左靴アセンブリ102上に配置された圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値と、右靴アセンブリ104上に配置された圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値とが閾値以上であるとき、処理回路20は、ユーザが両足で立っていると決定する。左靴アセンブリ102上に配置された圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値(又は右靴アセンブリ104上に配置された圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値)が閾値より小さいとき、処理回路20は、ユーザが片足で立っていると決定する。例えば、左靴アセンブリ102上に配置された圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値の第1のパーセンテージ(例えば、50%、70%であるが、これに限定されない)と、右靴アセンブリ104上に配置された圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値の第1のパーセンテージが閾値以上であるとき、処理回路20は、ユーザが両足で立っていると決定する。左靴アセンブリ102上に配置された圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値の第1のパーセンテージ(又は右靴アセンブリ104上に配置された圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値の第1のパーセンテージ)が閾値より小さいとき、処理回路20は、ユーザが片足で立っていると決定する。
【0014】
処理回路20は、ステップS304において、ユーザが両足(すなわち、両脚支持)で立っていると決定したとき、ステップS306が実行される。ステップS306において、処理回路20は、左靴アセンブリ102上に配置された圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値及び右靴アセンブリ104上に配置された圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値にしたがって重心(COG)座標を計算する。COG座標は、以下の式に従って処理回路20によって計算され得る:
【数1】
ここで、COG(XCOG、YCOG)はCOG座標を表し、XCOGはCOG座標のX軸座標値を表し、YCOGはCOG座標のY軸座標値を表し、xはi番目の圧力センサ(例えば、圧力センサPS)のX軸座標値を表し、Pはi番目の圧力センサ(例えば、圧力センサPS)の圧力検出値を表し、yはi番目の圧力センサ(例えば、圧力センサPS)のY軸座標値を表し、nは圧力センサの数を表す。例えば、処理回路が、左靴アセンブリ102上に配置された圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値と、右靴アセンブリ104上に配置された圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値とに従ってCOG座標を計算する場合。このような場合、nは8である。
【0015】
ステップS308において、処理回路20は、計算されたCOG座標にしたがって、判定結果を生成するために、ユーザが安全な状態にあるか否かを判定する。例えば、処理回路20は、ステップS306で計算されたCOG座標が安全領域SA内に位置するか否かを判定することができる。例えば、安全領域SAは、左靴アセンブリ102と右靴アセンブリ104との間の領域であることができる。例えば、安全領域SAは、左靴アセンブリ102内に配置された圧力センサ(例えば、左靴アセンブリ102上に配置され、右靴アセンブリ104に近づく圧力センサ)及び右靴アセンブリ104内に配置された圧力センサ(例えば、右靴アセンブリ104上に配置され、左靴アセンブリ102に近づく圧力センサ)によって形成された領域内にある。例えば、図4に示すように、圧力センサPS2、PS4、PS5及びPS7は、領域402を形成する。安全領域SAは、圧力センサPS2、PS4、PS5及びPS7によって形成された領域402内にある。さらに、安全領域SAは、左靴アセンブリ102と右靴アセンブリ104との間の基準点から外側に延びる領域であることができる。例えば、図4に示すように、基準点404が圧力センサPS2、PS4、PS5、PS7の中心点である場合。安全領域SAは、基準点404から外側に延びる領域である。安全領域SAの領域サイズは、ユーザが調整することができる。セキュリティアラームのレベルは、異なる要件に従って安全領域SAの領域サイズを調整することによって決定することができる。処理回路20は、ステップS306において計算したCOG座標が安全領域SA内に位置するか否かを判定することができる。一実施形態では、COG座標COGが、圧力センサPS1〜PS8の現在の座標、圧力センサPS1〜PS8によって感知される圧力検出値及び式(1)に従って処理回路20によって計算される場合、図4に示すように、COG座標COGは、安全領域SAにあり、これは、ユーザがしっかりとした安定したステップで歩いていることを意味する。このように、処理回路20は、ユーザが安全状態にあると判定し、ユーザが安全状態にあることを示す判定結果を生成する。さらに、ステップS310が実行される。
【0016】
さらに、図4を参照すると、COG座標COG’が、圧力センサPS1〜PS8の現在の座標、圧力センサPS1〜PS8によって感知される圧力検出値、及び式(1)に従って処理回路20によって計算される場合、図4に示すように、COG座標COG’は、安全領域SAにない。これは、COG座標COG’が安全領域SAの外側に位置し、ユーザがバランスを失い、転倒の危険にさらされている可能性があることを意味する。このように、処理回路20は、ユーザが安全でない状態にあると判断し、それに応じてユーザが安全でない状態にあることを示す判定結果を生成する。詳細は、図5を参照されたい。図5は、本発明の一実施形態によるCOG座標の軌跡を示す概略図である。図5に示すように、安全領域SAは、圧力センサPS2、PS4、PS5、PS7によって形成された領域502内にある。ユーザが前方に歩くとき、COG座標の軌跡TRが図5に示される。最初の時点で、COG座標COG’は、圧力センサPS1〜PS8の現在の座標、圧力センサPS1〜PS8によって感知された圧力検出値及び式(1)に従って処理回路20によって計算される。図5に示すように、COG座標COG’は、安全領域SA内にない。このような状況では、処理回路20は、ユーザが安全でない状態にあると判定する。処理回路20は、ユーザが安全でない状態にあることを示す判定結果を生成する。さらに、ステップS312が実行される。換言すれば、処理回路20は、ユーザが移動中に安全状態にあるか否かを同時に検出することができる。
【0017】
加えて、圧力センサの座標は、慣性センサによって感知される水平方向(x−y平面)の変位値に従って更新することができる。例えば、図4をさらに参照すると、第1の時点における圧力センサPS8の座標が(x8,y8)として表される。第1の時点と第2の時点との間のX軸方向の変位値Δxが、慣性センサIS2によって感知される。第1の時点と第2の時点との間のY軸方向の変位値Δyが、慣性センサIS2によって感知される。このように、第2の時点における圧力センサPS8の座標は、(x8+Δx,y8+Δy)などとして表される。
【0018】
一方、ステップS308において、処理回路20は、以前の計算されたCOG座標及び現在の計算されたCOG座標に従って予測COG座標を計算し、予測COG座標が安全領域SA内に位置するか否かを判定することができる。例えば、処理回路20は、以前の計算されたCOG座標と現在の計算されたCOG座標との間の距離及び移動時間に従って、以前の計算されたCOG座標から現在の計算されたCOG座標へ移動する移動速度を計算することができる。処理回路20は、計算された移動速度及び計算された以前のCOG座標から現在の計算されたCOG座標への移動方向に従って、次の時点の予測COG座標を計算することができる。例えば、処理回路20は、時点t−1における圧力センサPS1〜PS8の座標、時点t−1における圧力センサPS1〜PS8によって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、時点t−1のCOG座標COG(t−1)を計算する。処理回路20は、時点tにおける圧力センサPS1〜PS8の座標、時点tにおける圧力センサPS1〜PS8によって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、時点tのCOG座標COG(t)を計算する。処理回路20は、COG座標COG(t−1)とCOG座標COG(t)との間の距離を計算し、計算された距離を時点tと時点t−1との間の時間差で除してCOG座標の移動速度を計算する。処理回路20は、計算されたCOG座標の移動速度に、時点t+1と時点tとの間の時間差を乗じて予測移動距離を計算する。処理回路20は、計算された予測移動距離及びCOG座標COG(t−1)からCOG座標COG(t)への移動方向に従って、時点t+1の予測COG座標を計算する。その後、処理回路20は、計算された予測COG座標が安全領域SA内に位置するかどうかを判定することができる。計算された予測COG座標が安全領域SA内にあると判定するとき、これは、ユーザが安全状態にあることを意味する。計算された予測COG座標が安全領域SAの外にあると判定するとき、これは、ユーザが安全でない状態にあることを意味する。処理回路20は、ユーザが安全でない状態にあることを示す判定結果を生成する。
【0019】
例えば、図6を参照されたい。時点tと時点t−1との間の時間差が、時点t+1と時点tとの間の時間差に等しいと仮定する。処理回路20は、時点t−1のCOG座標COG(t−1)及び時点tのCOG座標COG(t)に従って、COG座標の移動速度及び移動方向を計算する。処理回路20は、時点tのCOG座標COG(t)から時点t−1のCOG座標COG(t−1)を差し引くことによってベクトルMV1を計算する。ベクトルMV1は、時点t−1のCOG座標COG(t−1)と時点tのCOG座標COG(t)との間の距離、及び時点t−1のCOG座標COG(t−1)から時点tのCOG座標COG(t)までの移動方向を含む。処理回路20は、COG座標COG(t)にベクトルMV1を加えることにより、予測COG座標COG(t+1)を計算する。図6に示すように、安全領域SAは、圧力センサPS2、PS4、PS5、PS7によって形成された領域602内にある。計算された予測COG座標COG(t+1)は、安全領域SA内に位置し、これは、ユーザが次の時点において安全状態にあることを意味する。その後、ステップS310が実行される。
【0020】
例えば、図7を参照されたい。時点tと時点t−1との間の時間差が、時点t+1と時点tとの間の時間差に等しいと仮定する。処理回路20は、時点t−1のCOG座標COG(t−1)及び時点tのCOG座標COG(t)に従って、COG座標の移動速度及び移動方向を計算する。処理回路20は、時点tのCOG座標COG(t)から時点t−1のCOG座標COG(t−1)を差し引くことによってベクトルMV2を計算する。処理回路20は、COG座標COGにベクトルMV2を加えることによって予測COG座標COG(t+1)を計算する。図7に示すように、安全領域SAは、圧力センサPS2、PS4、PS5、PS7によって形成された領域702内にある。計算された予測COG座標COG(t+1)は安全領域SAの外側に位置し、これは、ユーザが次の時点で安全でない状態になることを意味する。その後、ステップS312が実行される。
【0021】
ステップS310において、各慣性センサは、水平面に対する傾斜角を感知するように構成される。処理回路20は、各慣性センサによって感知された傾斜角を、ユーザが平坦な地面又は傾斜地に立っているかどうかを判断するための第1の閾値角度値と比較する。第1の閾値角度値は、安息角(angle of repose)又は臨界安息角であり得るが、これらに限定されない。一実施形態では、図2に示される慣性センサIS1及びIS2は、それぞれ、水平面に対する傾斜角を感知するように構成される。慣性センサIS1及びIS2によって感知される傾斜角が第1の閾値角度値以上であるとき、これは、ユーザが傾斜地に立っていることを意味する。そして、ステップS312が実行され、アラームモジュール30は、アラーム信号を出力し、ユーザが安全でない状態にあることを知らせる。慣性センサIS1及びIS2によって感知される傾斜角が、第1の閾値角度値より小さいとき、これは、ユーザが平らな地面に立っていることを意味する。代替実施形態では、図2に示される慣性センサIS1及びIS2は、それぞれ、水平面に対する傾斜角を感知するように構成される。慣性センサIS1によって感知された傾斜角又は慣性センサIS2によって感知された傾斜角が、第1の閾値角度値以上であるとき、これは、ユーザが傾斜地に立っていることを意味する。その後、ステップS312が実行され、アラームモジュール30は、アラーム信号を出力し、ユーザが安全でない状態にあることを知らせる。慣性センサIS1及びIS2によって感知される傾斜角が、第1の閾値角度値より小さいとき、これは、ユーザが平らな地面に立っていることを意味する。換言すれば、慣性センサIS1及びIS2は靴アセンブリ10上に配置され、ユーザはウェアラブルデバイス1を装着しているので、処理回路20は、慣性センサIS1及びIS2によって感知された傾斜角にしたがって、ユーザが平らな地面に立っているのか傾斜地に立っているのかを判定することができ、それに応じて、アラームモジュール30は、ユーザが、転倒事象が発生することに気付き、転倒を防止するアクションをとることを可能にするようにアラーム信号を出力する。
【0022】
ステップS312において、アラームモジュール30は、ステップS308又はステップS310の判定結果に従って、アラーム機能を実行するためのアラーム信号を出力する。ステップS308又はステップS310の判定結果が、ユーザが安全でない状態にある又はユーザが安全でない状態になることを示すとき、アラームモジュール30は、アラーム信号を出力し、アラーム機能を実行するために、ユーザが安全でない状態にあり、転倒事象が発生することを通知する。このように、アラーム信号を通知を通じて、ユーザは、転倒事象が発生することを直ちに理解し、認識することができ、転倒を防止するための措置を講じることができる。簡単に説明すると、アラームモジュール30の通知を通じて、ユーザは、転倒事故を回避するために、容易かつ直ちに転倒予測アラームを得ることができる。加えて、ステップS308又はステップS310の判定結果が、ユーザが安全でない状態にあるか又はユーザが安全でない状態になることを示しているとき、処理回路20は、外部装置がアラーム信号を生成する又は関連する転倒アラーム機能を実行するように、外部装置に通知信号を送ることもできる。
【0023】
処理回路20は、ステップS304において、ユーザが片足で立っている(すなわち、単脚支持)と判定するとき、ステップS314が実行される。ステップS314において、処理回路は、ユーザがその左足で立っているか右足で立っているかを判定する。例えば、処理回路20は、ユーザが、圧力センサによって感知された圧力検出値に従って、その左足で立っているか右足に立っているかを判定することができる。例えば、左靴アセンブリ102上に配置された圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値が閾値より小さいとき、処理回路20は、ユーザがその右足で立っている(すなわち、右側単脚支持)と判定する。右靴アセンブリ104上に配置された圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値が閾値より小さいとき、処理回路20は、ユーザがその左足で立っている(すなわち、左側単脚支持)と判定する。例えば、左靴アセンブリ102上に配置された圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値の第1のパーセンテージが閾値より小さいとき、処理回路20は、ユーザがその右足で立っている(すなわち、右側単脚支持)と判定する。右靴アセンブリ104上に配置された圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値の第1のパーセンテージが閾値よりも小さい場合、処理回路20は、ユーザがその左足で立っている(すなわち、左側単脚支持)と判定する。
【0024】
処理回路20が、ステップS314において、ユーザがその左足で立っている(すなわち左側単脚支持)と判定したとき、ステップS316が実行される。ステップS316において、処理回路20は、左靴アセンブリ102上に配置された圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値に従ってCOG座標を計算する。一実施形態では、処理回路20は、圧力センサPS1〜PS4を第1のグループの圧力センサと第2のグループの圧力センサとに分割する。第2のグループの圧力センサと比較して、第1のグループの圧力センサは、第2のグループの圧力センサより大きい圧力検出値を有する。すなわち、第1のグループの圧力センサの各々によって感知される検出値は、第2のグループの圧力センサの各々によって感知される検出値よりも大きい。処理回路20は、圧力センサの第1のグループの座標、圧力センサの第1のグループによって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、第1のグループの圧力センサのCOG座標を計算する。処理回路20は、第2のグループの圧力センサの座標、第2のグループの圧力センサによって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、第2のグループの圧力センサのCOG座標を計算する。処理回路20は、第1のグループの圧力センサのCOG座標から第2のグループの圧力センサのCOG座標を差し引くことによって、COGのトレンドベクトルを計算する。加えて、右靴アセンブリ104上に配置された慣性センサIS2は、水平x−y平面上の移動方向を感知する。
【0025】
例えば、図8を参照されたい。圧力センサPS1によって感知される圧力検出値をP1とする。圧力センサPS2によって感知される圧力検出値はP2である。圧力センサPS3によって感知される圧力検出値はP3である。圧力センサPS4によって感知される圧力検出値はP4である。圧力検出値PS1〜PS4の関係は、P2>P1>P4>P3として表される。圧力センサPS1及びPS2は、処理回路20によって第1のグループの圧力センサとして設定される。圧力センサPS3及びPS4は、処理回路20によって第2のグループの圧力センサとして設定される。図8に示すように、処理回路20は、圧力センサPS1、PS2の座標、圧力センサPS1、PS2によって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、第1のグループの圧力センサのCOG座標COG1を計算し、圧力センサPS3、PS4の座標、圧力センサPS3、PS4によって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、第2のグループの圧力センサのCOG座標COG2を計算する。ベクトルMVはCOGのトレンドベクトルを表す。右靴アセンブリ104上に配置された慣性センサIS2は、移動方向DRを感知する。
【0026】
さらに、ステップS318において、処理回路20は、計算されたCOGのトレンドベクトルと慣性センサIS2によって感知された移動方向とを比較する。処理回路20は、計算されたCOGのトレンドベクトルの方向と慣性センサIS2によって感知された移動方向との間の角度が、第2の閾値角度値以上であるかどうかを判定する。計算されたCOGのトレンドベクトルの方向と慣性センサIS2によって感知される移動方向との間の角度は、0から180度の間である劣角(inferior angle)であり得る。計算されたCOGのトレンドベクトルの方向と慣性センサIS2によって感知された移動方向との間の角度が第2の閾値角度値以上であるとき、これは、ユーザの左足のCOGが、ユーザの右足の移動方向と著しく異なることを意味する。したがって、処理回路20は、ユーザが安全でない状態にあると判定し、それに応じてユーザが安全でない状態にあることを示す判定結果を生成する。図8に示すように、計算されたCOGのトレンドベクトルMVの方向と慣性センサIS2によって検知された移動方向DRとの間の角度θが第2の閾値角度値以上であるとき、処理回路20は、ユーザが安全でない状態にあると判断し、その後ステップS322が実行される。計算されたCOGのトレンドベクトルの方向と慣性センサIS2によって感知された移動方向との間の角度が第2の閾値角度値より小さいとき、処理回路20は、ユーザが安全状態にあると判定する。図8に示すように、計算されたCOGのトレンドベクトルMVの方向と慣性センサIS2によって感知された移動方向DRとの間の角度θが第2の閾値角度値より小さいとき、処理回路20は、ユーザが安全な状態にあると判定し、その後ステップS320が実行される。
【0027】
代替実施形態では、ステップS316において、処理回路は、左靴アセンブリ102上に配置された圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値に従ってCOG座標を計算する。処理回路20は、時点t−1における圧力センサPS1〜PS4の座標、時点t−1における圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、時点t−1のCOG座標COG(t−1)を計算する。処理回路20は、時点tにおける圧力センサPS1〜PS4の座標、時点tにおける圧力センサPS1〜PS4によって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、時点tのCOG座標COG(t)を計算する。処理回路20は、時点tのCOG座標COG(t)から時点t−1のCOG座標COG(t−1)を差し引くことによってCOG移動ベクトルを計算する。加えて、右靴アセンブリ104上に配置された慣性センサIS2は、水平x−y平面上の移動方向を感知する。例えば、図9を参照されたい。COG(t−1)は時点t−1のCOG座標を表す。COG(t)は、時点tのCOG座標を表す。MV3は、COG移動ベクトルを表す。DRは、慣性センサIS2によって感知された移動方向を表す。
【0028】
さらに、ステップS318において、処理回路20は、計算されたCOG移動ベクトルと慣性センサIS2によって感知された移動方向とを比較する。処理回路20は、計算されたCOG移動ベクトルの方向と慣性センサIS2によって感知された移動方向との間の角度が第3の閾値角度値以上であるかどうかを判定する。計算されたCOG移動ベクトルの方向と慣性センサIS2によって感知された移動方向との間の角度は、0から180度の間の劣角であり得る。計算されたCOG移動ベクトルの方向と慣性センサIS2によって感知された移動方向との間の角度が第3の閾値角度値以上であるとき、これは、ユーザの左足のCOG変動が、ユーザの右足の移動方向と著しく異なることを意味する。したがって、処理回路20は、ユーザが安全でない状態にあると判定し、それに応じてユーザが安全でない状態にあることを示す判定結果を生成する。図9に示すように、計算されたCOG移動ベクトルMV3の方向と慣性センサIS2によって感知された移動方向DRとの間の角度θが第3の閾値角度値以上であるとき、処理回路20は、それに応じてユーザが安全でない状態であると判定し、ステップS322がその後実行される。計算されたCOG移動ベクトルMV3の方向と慣性センサIS2によって検知された移動方向との間の角度が、第2の閾値角度値より小さいとき、処理回路20は、ユーザが安全状態にあると判断する。図9に示すように、計算されたCOG移動ベクトルの方向と慣性センサIS2によって検知された移動方向DRとの間の角度θが第2の閾値角度値より小さいとき、処理回路20は、ユーザが安全状態にあると判定し、ステップS320がその後実行される。
【0029】
ステップS320において、左靴アセンブリ102上に配置された慣性センサIS1は、水平面に対する傾斜角を感知するように構成される。処理回路20は、慣性センサIS1によって感知された傾斜角を、ユーザが平坦な地面に立っているか傾斜地に立っているかを判定するための第1の閾値角度値と比較する。第1の閾値角度値は、安息角又は臨界安息角であり得るが、これらに限定されない。一実施形態では、図2に示す慣性センサIS1は、水平面に対する傾斜角を感知するように構成される。慣性センサIS1によって感知された傾斜角が、第1の閾値角度値以上であるとき、これは、ユーザが傾斜地に立っている可能性があることを意味する。ステップS322がその後実行され、アラームモジュール30は、アラーム信号を出力し、ユーザが安全でない状態にあることを通知する。慣性センサIS1によって感知された傾斜角が第1の閾値角度値より小さいとき、これは、ユーザが平らな地面に立っている可能性があることを意味する。
【0030】
処理回路20が、ステップS314において、ユーザが右足で立っている(すなわち、右側単脚支持)と判定するとき、ステップS324が実行される。ステップS316と同様に、ステップS324において、処理回路20は、右靴アセンブリ104上に配置された圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値に従ってCOG座標を計算する。一実施形態では、処理回路20は、圧力センサPS5〜PS8を第1のグループの圧力センサと第2のグループの圧力センサに分割する。第2のグループの圧力センサと比較して、第1のグループの圧力センサは、第2のグループの圧力センサよりも大きい圧力検出値を有する。すなわち、第1のグループの圧力センサの各々によって感知される検出値は、第2のグループの圧力センサの各々によって感知される検出値よりも大きい。さらに、処理回路20は、第1のグループの圧力センサの座標、第1のグループの圧力センサによって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、第1のグループの圧力センサのCOG座標を計算する。処理回路20は、第2のグループの圧力センサの座標、第2のグループの圧力センサによって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、第2のグループの圧力センサのCOG座標を計算する。処理回路20は、第1のグループの圧力センサのCOG座標から第2のグループの圧力センサのCOG座標を差し引くことによって、COGのトレンドベクトルを計算する。加えて、左靴アセンブリ102上に配置された慣性センサIS1は、水平x−y平面上の移動方向を感知する。
【0031】
さらに、ステップS326において、処理回路20は、計算されたCOGのトレンドベクトルを慣性センサIS1によって感知された移動方向と比較する。処理回路20は、計算されたCOGのトレンドベクトルの方向と慣性センサIS1によって感知された移動方向との間の角度が、第2の閾値角度値以上であるかどうかを判定する。計算されたCOGのトレンドベクトルの方向と慣性センサIS1によって感知された移動方向との間の角度は、0から180度の間の劣角であり得る。計算されたCOGのトレンドベクトルの方向と慣性センサIS1によって感知された移動方向との間の角度が第2の閾値角度値以上であるとき、処理回路20は、ユーザが安全でない状態にあると判定し、それに応じてユーザが安全でない状態にあることを示す判定結果を生成する。その後、ステップS322が実行される。計算されたCOGのトレンドベクトルの方向と慣性センサIS1によって感知された移動方向との角度が第2の閾値角度値より小さいとき、処理回路20は、ユーザが安全状態にあると判定し、ステップS328がその後実行される。
【0032】
代替実施形態では、ステップS324において、処理回路は、右靴アセンブリ104上に配置された圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値に従ってCOG座標を計算する。処理回路20は、時点t−1における圧力センサPS5〜PS8の座標、時点t−1における圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、時点t−1のCOG座標COG(t−1)を計算する。処理回路20は、時点tにおける圧力センサPS5〜PS8の座標、時点tにおける圧力センサPS5〜PS8によって感知された圧力検出値及び式(1)に従って、時点tのCOG座標COG(t)を計算する。処理回路20は、時点tのCOG座標COG(t)から時点t−1のCOG座標COG(t−1)を差し引くことによってCOG移動ベクトルを計算する。加えて、左靴アセンブリ102上に配置された慣性センサIS1は、水平x−y平面上の移動方向を感知する。さらに、ステップS326において、処理回路20は、計算されたCOG移動ベクトルと慣性センサIS1によって感知された移動方向とを比較する。処理回路20は、計算されたCOG移動ベクトルの方向と慣性センサIS1によって感知された移動方向との間の角度が第3の閾値角度値以上であるかどうかを判定する。計算されたCOG移動ベクトルの方向と慣性センサIS1によって感知された移動方向との間の角度は、0から180度の間の劣角であり得る。計算されたCOG移動ベクトルの方向と慣性センサIS1によって感知された移動方向との間の角度が第3の閾値角度値以上であるとき、これは、ユーザの右足のCOG変動が、ユーザの左足の移動方向と著しく異なることを意味する。したがって、処理回路20は、ユーザが安全でない状態にあると判定し、それに応じてユーザが安全でない状態にあることを示す判定結果を生成する。ステップS322がその後実行される。計算されたCOG移動ベクトルの方向と慣性センサIS1によって感知された移動方向との間の角度が、第2の閾値角度値より小さいとき、処理回路20は、ユーザが安全な状態にあると判定する。ステップS328がその後実行される。
【0033】
ステップS328において、右靴アセンブリ104上に配置された慣性センサIS2は、水平面に対する傾斜角を感知するように構成される。処理回路20は、慣性センサIS2によって感知された傾斜角を、ユーザが平坦な地面又は傾斜地に立っているかどうかを判断するための第1の閾値角度値と比較する。第1の閾値角度値は、安息角又は臨界安息角であり得るが、これらに限定されない。一実施形態では、慣性センサIS2によって感知される傾斜角が第1の閾値角度値以上であるとき、これは、ユーザが傾斜地に立っている可能性があることを意味する。次いで、ステップS322が実行され、アラームモジュール30は、アラーム信号を出力し、ユーザが安全でない状態にあることを通知する。慣性センサIS2によって感知される傾斜角が第1の閾値角度値より小さいとき、これは、ユーザが平らな地面に立っている可能性が有ることを意味する。
【0034】
ステップS322において、アラームモジュール30は、ステップS318、S320、S326又はS328の判定結果に従ってアラーム機能を実行するためのアラーム信号を出力する。ステップS318、S320、S326又はS328の判定結果が、ユーザが安全でない状態にある又はユーザが安全でない状態になることを示しているとき、アラームモジュール30は、アラーム信号を出力し、アラーム機能を実行するために、ユーザが安全でない状態にあり、転倒事象が発生することを通知する。このように、アラーム信号の通知を通じて、ユーザは、転倒事象が発生することを直ちに理解し、認識することができ、転倒を防止するための措置を講じることができる。従って、アラームモジュール30の通知を通じて、ユーザは、転倒事故を回避するために、容易かつ直ちに転倒予測アラームを得ることができる。加えて、ステップS318、S320、S326又はS328の判定結果が、ユーザが安全でない状態にある又はユーザが安全でない状態になることを示しているとき、処理回路20は、外部装置がアラーム信号を発生させる又は関連する転倒アラーム機能を実行するように、外部装置に通知信号を送信することもできる。
【0035】
また、ステップS304において、左靴アセンブリ102上に配置されたPS1〜PS4の圧力センサによって感知された圧力検出値、及び右靴アセンブリ104上に配置されたPS5〜PS8の圧力センサによって感知された圧力検出値が閾値を下回ったとき、ステップS310、S320又はS328を直接実行し、ユーザが平らな地面に立っているか傾斜地に立っているかを判定し、それに応じて感知した傾斜角に基づいて転倒リスクを判定する。
【0036】
図1に示すウェアラブルデバイス1は、本発明の例示的な実施形態を表し、当業者は、それに応じて、変更及び修正を行うことができることに留意されたい。例えば、処理回路20は、Bluetooth(登録商標)、Wi−Fi、移動通信技術(3G、4G LTE、5G)、赤外線又は無線周波数識別(RFID)などの無線伝送技術を利用して、信号を伝送するために、各圧力センサ、各慣性センサ、アラームモジュール30又は外部装置(例えば、外骨格ロボット、移動通信装置)と通信することができるが、これらに限定されない。例えば、処理回路20は、信号を送信するために各圧力センサ、各慣性センサ、アラームモジュール30又は外部装置と通信するように、ユニバーサル非同期受信機/送信機(UART)インターフェース、集積回路間バス(IC)インターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース又はコントローラエリアネットワークバス(CAN bus)インターフェースなどの送信インターフェース技術を利用することができるが、これらに限定されない。手順3は、ほぼ同一の結果が得られた場合には、図3に示す厳密なシーケンスに従って実行されるものではないことに留意されたい。図3に示された手順3は、本発明の精神から逸脱することなく、適切な修正のために、他の中間ステップを含むことができ、或いは、いくつかのステップを単一のステップにマージすることができ、或いは、ステップの一部を省略することができる。例えば、ステップS308、S318及びS326は省略してもよい。例えば、ステップS310、S320及びS328は省略されてもよい。このような変更は、本発明の範囲にも含まれるべきである。
【0037】
一方、圧力センサの設置位置に関しては、図2に示すように、靴アセンブリ10は足底の形状に対応している。左靴アセンブリ102の形状は、ユーザの左足底の形状に対応する。右靴アセンブリ104の形状は、ユーザの右足底の形状に対応する。圧力センサは、靴アセンブリ10の中足骨領域に配置することができる。ユーザがウェアラブルデバイス1を着用するとき、足の中足骨は、靴アセンブリ10の中足骨領域に配置された圧力センサと接触し、靴アセンブリ10の中足骨領域に配置された圧力センサに力を加えることができる。例えば、圧力センサPS1及びPS2は、左靴アセンブリ102の中足骨領域に配置される。圧力センサPS5及びPS6は、中足骨領域に配置される。圧力センサはまた、左靴アセンブリ102及び右靴アセンブリ104の踵領域又は足底領域に配置することができるが、これらに限定されない。慣性センサの設置位置に関しては、慣性センサを圧力センサの中心又はCOGに配置することができる。例えば、図2に示すように、慣性センサIS1は、左靴アセンブリ102上に配置され、圧力センサPS1〜PS4の中心に配置される。慣性センサIS2は、右靴アセンブリ104上に配置され且つ圧力センサPS5〜PS8の中心に配置される。加えて、処理回路20は、左靴アセンブリ102又は右靴アセンブリ104に配置することもできる。
【0038】
当業者は、上述の説明及び例に関して、組み合わせ、修正及び/又は変更を容易に行うであろう。提案されたステップを含む手順の上述のステップは、ハードウェア、ハードウェア装置とコンピュータ命令との組み合わせとして知られるファームウェア、及びハードウェア装置、電子システム、又は上述のウェアラブルデバイス1上の読み取り専用ソフトウェアとして存在するデータであり得る手段によって実現することができる。上記の手順及び例は、いずれも、記憶装置に記憶されるプログラムコード又は命令にコンパイルされ得る。処理回路20は、上記機能を実現するために、記憶装置に記憶されたプログラムコード又は命令を読み出して実行することができる。
【0039】
要約すると、本発明の実施形態は、人体の重心の傾向を予測し、靴アセンブリ上に配置された圧力センサ及び慣性センサの検出値を用いて足底姿勢を測定することができ、従って、ユーザが転倒するリスクがあるかどうかを判定し、アラーム信号を出力することによってユーザに安全でない状態を知らせることができ、したがって、ユーザの日常生活における安全を効果的に改善することができる。
【0040】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置及び方法の多くの修正及び変更を行うことができることを容易に理解するであろう。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。
【要約】      (修正有)
【課題】ウェアラブルデバイス及びそれを作動させる方法を提供する。
【解決手段】ウェアラブルデバイスは、靴アセンブリ10と、複数の圧力センサPSと、処理回路20とアラームモジュール30とを含む。複数の圧力センサは、靴アセンブリ上に配置されるとともに、複数の圧力検出値を生成するように構成される。処理回路は、複数の圧力検出値及び複数の圧力センサの座標に従って重心座標を計算するとともに重心座標に従って判定結果を生成するように構成される。アラームモジュールは、アラーム信号を出力してアラーム機能を実行するように構成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9