特許第6792694号(P6792694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6792694TVCMの効果を評価するための装置、方法及びそのためのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6792694
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】TVCMの効果を評価するための装置、方法及びそのためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20201116BHJP
【FI】
   G06Q30/02 382
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-240038(P2019-240038)
(22)【出願日】2019年12月30日
(62)【分割の表示】特願2019-240037(P2019-240037)の分割
【原出願日】2019年12月30日
【審査請求日】2019年12月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512257392
【氏名又は名称】ラクスル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174078
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】安井 一浩
(72)【発明者】
【氏名】古谷 文弥
【審査官】 松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−198005(JP,A)
【文献】 特開2019−003595(JP,A)
【文献】 特許第6619116(JP,B1)
【文献】 特開2016−118957(JP,A)
【文献】 特開2013−142906(JP,A)
【文献】 特開2007−122358(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0049602(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、TVCMの効果を評価するための方法であって、
評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信するステップと、
前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトの1又は複数の標準偏差を取得するステップと、
前記放映時刻の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記1若しくは複数の標準偏差又は前記1若しくは複数の標準偏差を用いて定まる値σと比較して前記TVCMの効果を評価するステップと
を含み、
取得された前記1又は複数の標準偏差は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの分布について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記コンピュータが取得可能に記憶されており、
前記第1及び第2の期間は所定の分数の単位又は所定の秒数の単位で表されることを特徴とする。
【請求項2】
前記比較は、
Δ−σ>1.5σ
を満たすか否かの判定であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記TVCMの放映地域を受信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
コンピュータに、TVCMの効果を評価するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信するステップと、
前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトの1又は複数の標準偏差を取得するステップと、
前記放映時刻の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記1若しくは複数の標準偏差又は前記1若しくは複数の標準偏差を用いて定まる値σと比較して前記TVCMの効果を評価するステップと
を含み、
取得された前記1又は複数の標準偏差は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの分布について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記コンピュータが取得可能に記憶されており、
前記第1及び第2の期間は所定の分数の単位又は所定の秒数の単位で表されることを特徴とする。
【請求項5】
TVCMの効果を評価するための装置であって、
評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信し、
前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトの1又は複数の標準偏差を取得し、
前記放映時刻の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記1若しくは複数の標準偏差又は前記1若しくは複数の標準偏差を用いて定まる値σと比較して前記TVCMの効果を評価し、
取得された前記1又は複数の標準偏差は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの分布について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記装置が取得可能に記憶されており、
前記第1及び第2の期間は所定の分数の単位又は所定の秒数の単位で表されることを特徴とする。
【請求項6】
コンピュータが、TVCMの効果を評価するための方法であって、
評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信するステップと、
前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトのしきい値を取得するステップと、
前記放映時刻の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記しきい値又は前記しきい値を用いて定まる値εと比較して前記TVCMの効果を評価するステップと
を含み、
取得された前記しきい値は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの値について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記コンピュータが取得可能に記憶されており、
前記第1及び第2の期間は所定の分数の単位又は所定の秒数の単位で表されることを特徴とする。
【請求項7】
コンピュータに、TVCMの効果を評価するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、
評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信するステップと、
前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトのしきい値を取得するステップと、
前記放映時刻の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記しきい値又は前記しきい値を用いて定まる値εと比較して前記TVCMの効果を評価するステップと
を含み、
取得された前記しきい値は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの値について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記コンピュータが取得可能に記憶されており、
前記第1及び第2の期間は所定の分数の単位又は所定の秒数の単位で表されることを特徴とする。
【請求項8】
TVCMの効果を評価するための装置であって、
評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信し、
前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトのしきい値を取得し、
前記放映時刻の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記しきい値又は前記しきい値を用いて定まる値εと比較して前記TVCMの効果を評価し、
取得された前記しきい値は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの値について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記装置が取得可能に記憶されており、
前記第1及び第2の期間は所定の分数の単位又は所定の秒数の単位で表されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TVCMの効果を評価するための装置、方法及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット広告の市場規模(日本)がテレビで放映されるCM(以下「TVCM」と呼ぶ。)の市場規模である2兆円前後に向けて大きく成長しつつも、テレビは、依然として最大の影響力をもつメディアである。音声と映像により反復してメッセージを伝達することで、強い印象を視聴者に与えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
TVCMは、どの番組と関連して放送されたものであるかがその効果に影響を及ぼしていると推測されるが、現在そのような解像度でTVCMの効果測定を行うことは出来ていない。そして、発明者らは、かかる解像度で効果測定を行うためには、1日単位等ではなく、より細かな単位で効果を評価することが必要となることに着目した。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、TVCMの効果を評価するための装置、方法及びそのためのプログラムにおいて、より細かな単位の評価を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、コンピュータが、TVCMの効果を評価するための方法であって、評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信するステップと、前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトの1又は複数の標準偏差を取得するステップと、前記放映時刻の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記1又は複数の標準偏差又は前記1又は複数の標準偏差を用いて定まる値σと比較して前記TVCMの効果を評価するステップとを含み、取得された前記1又は複数の標準偏差は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの分布について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記コンピュータが取得可能に記憶されていることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記比較は、Δ−σ>1.5σを満たすか否かの判定であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記第1及び第2の期間は所定の分数の単位又は所定の秒数の単位で表されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記第1及び第2の期間は1分から5分の間の単位で表されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第5の態様は、第1から第3のいずれかの態様において、前記TVCMの放映地域を受信するステップをさらに含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第6の態様は、コンピュータに、TVCMの効果を評価するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信するステップと、前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトの1又は複数の標準偏差を取得するステップと、前記放映時刻の以後又は後の第1の期間におけるウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記1又は複数の標準偏差又は前記1又は複数の標準偏差を用いて定まる値σと比較して前記TVCMの効果を評価するステップとを含み、取得された前記1又は複数の標準偏差は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの分布について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記コンピュータが取得可能に記憶されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第7の態様は、TVCMの効果を評価するための装置であって、評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信し、前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトの1又は複数の標準偏差を取得し、前記放映時刻の以後又は後の第1の期間におけるウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記1又は複数の標準偏差又は前記1又は複数の標準偏差を用いて定まる値σと比較して前記TVCMの効果を評価し、取得された前記1又は複数の標準偏差は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの分布について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記装置が取得可能に記憶されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第8の態様は、コンピュータが、TVCMの効果を評価するための方法であって、評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信するステップと、前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトの1又は複数のしきい値を取得するステップと、前記放映時刻の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記1又は複数のしきい値又は前記1又は複数のしきい値を用いて定まる値εと比較して前記TVCMの効果を評価するステップとを含み、取得された前記1又は複数のしきい値は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの値について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記コンピュータが取得可能に記憶されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第9の態様は、コンピュータに、TVCMの効果を評価するための方法を実行させるためのプログラムであって、前記方法は、評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信するステップと、前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトの1又は複数のしきい値を取得するステップと、前記放映時刻の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記1又は複数のしきい値又は前記1又は複数のしきい値を用いて定まる値εと比較して前記TVCMの効果を評価するステップとを含み、取得された前記1又は複数のしきい値は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの値について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記コンピュータが取得可能に記憶されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第10の態様は、TVCMの効果を評価するための装置であって、評価の対象である前記TVCMの放映時刻を受信し、前記放映時刻から定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、前記TVCMに関連づけられたウェブサイトの1又は複数のしきい値を取得し、前記放映時刻の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された前記1又は複数のしきい値又は前記1又は複数のしきい値を用いて定まる値εと比較して前記TVCMの効果を評価し、取得された前記1又は複数のしきい値は、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの値について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出された値であって、前記コンピュータが取得可能に記憶されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、評価対象のTVCMに関連づけられたウェブサイトに対する所定の分数の単位又は所定の秒数の単位で記録されたアクセス数を用いて当該TVCMの効果を評価することによって、各TVCMの放映の効果を高い精度で評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果を評価するための装置を示す図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果を評価するための方法の流れを示す図である。
図3】本発明の一実施形態において用いる過去のN個の時点tの前後におけるアクセス数を模式的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態において算出されるウェブサイトに対するアクセス数の曜日及び時間帯ごとの標準偏差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
図1に、本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果を評価するための装置を示す。装置100は、TVCMの放映時刻及び当該TVCMと関連づけられたウェブサイトに対するアクセス数に基づいて、当該TVCMの効果を評価する。
【0019】
装置100は、通信インターフェースなどの通信部101と、プロセッサ、CPU等の処理部102と、メモリ、ハードディスク等の記憶装置又は記憶媒体を含む記憶部103とを備え、各処理を行うためのプログラムを実行することによって構成することができる。また、装置100は、1又は複数の装置、コンピュータないしサーバを含むことがあり、また当該プログラムは1又は複数のプログラムを含むことがあり、また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して非一過性のプログラムプロダクトとすることができる。当該プログラムは、記憶部103又は装置100からアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶しておき、処理部102において実行することができる。
【0020】
装置100は、さらにデータベース104を備え、ウェブサイト110に対するアクセス数に基づいて算出される一組のパラメータを記憶している。当該一組のパラメータの少なくとも一部を用いて、TVCMの効果の評価が行われる。当該一組のパラメータについては後述する。
【0021】
ここでは、データベース104が記憶部103とは別個に設けられている例を図示しているものの、データベース104に記憶されるデータは記憶部103に記憶されてもよく、また、装置100からコンピュータネットワークを介してアクセス可能な記憶装置又は記憶媒体に記憶されてもよい。
【0022】
評価の対象となるTVCMの放映時刻は、装置100とコンピュータネットワークを介して通信可能なユーザー端末120から受信することができる。装置100が提供するウェブサイト上で利用可能なTVCM効果評価サービスのユーザーがユーザー端末120を用いて当該ウェブサイトに対してTVCMの放映時刻を入力したり、TVCMの1又は複数の放映時刻を含むデータをユーザーがユーザー端末120から装置100にアップロードしたりすることが考えられる。また、TVCMの1又は複数の放映時刻を含むデータを装置100がコンピュータネットワークを介して、たとえばAPIを用いて、TVCMに関するデータを提供するサーバ(図示せず)から受信することが考えられる。このように、装置100がTVCMの放映時刻を受信する方式にはさまざまなものが考えられる。
【0023】
図2に、本発明の一実施形態にかかるTVCMの効果を評価するための方法の流れを示す。まず、装置100は、データベース104から、過去のN個の時点t(Nは1以上の整数であり、iは1以上N以下の整数である。)の以後又は後の第1の期間におけるウェブサイト110に対するアクセス数及び当該複数の時点の以前又は前の第2の期間におけるウェブサイト110に対するアクセス数を取得し、各時点tにおいて、第1の期間におけるアクセス数と第2の期間におけるアクセス数との差Δを算出する(S201)。一例として、一分単位でアクセス数を表し、図3に示すような過去の各時点tについて、各時点t以後の3分間のアクセス数と当該時点tの前の3分間のアクセス数との差Δを算出する。アクセス数の差Δは、各時点tを基準としたアクセス増加数と言うことができる。
【0024】
ここで、発明者らは、TVCMの視聴者がインターネット上で行動を取り、ウェブサイト110に対するアクセス数として現れるまでの期間は概ね3分間等であることを見出し、必ずしも3分間に限るものではないが、本発明は、TVCMの放映後数分間に着目するものである。
【0025】
次に、装置100は、曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に基づいてN個の時点tを区分して、区分ごとのアクセス増加数の分布の標準偏差を算出する(S202)。一例として、曜日及び一時間ごとに区分した場合の標準偏差σm,n(mは1以上7以下の整数であり、nは0以上23以下の整数である。)を図4に示す。ここで、mが1のときに日曜日に対応し、nが0のときに0時に対応する。標準偏差は、曜日の属性について、平日か休日かによって区分したり、時間帯の属性について、朝か昼か夜かによって区分したりしてもよい。装置100は、このように算出された標準偏差をデータベース104に記憶しておき、以後の効果測定においてこれを取得可能とすることができる。
【0026】
また、標準偏差の算出は、東京、福岡等の地域ごとに行うことが有益であることがあり、N個の時点tを曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に加えてさらに地域に基づいて区分してもよい。ウェブサイト110に対するアクセスは、どの地点又は地域に所在する端末から行われたかを判別可能であることがあり、そのような場合にウェブサイト110に対するアクセス数の地域ごとの区分が可能である。
【0027】
そして、装置100は、評価の対象となるTVCMの放映時刻tをコンピュータネットワークを介して受信する(S203)。装置100は、当該TVCMの識別子を加えて取得することが好ましい。TVCMの識別子とウェブサイトの識別子との対応づけを記憶しておけば、装置100は、取得したTVCMの識別子に基づいて、当該TVCMの効果測定に用いるウェブサイトを判定し、当該ウェブサイトに対するアクセス数を用いて算出された標準偏差を取得することができる。または、装置100は、TVCMの放映時刻tに加えて、当該TVCMと関連づけられたウェブサイト110の識別子をユーザー端末120その他のコンピュータから直接取得してもよい。
【0028】
また、装置100は、受信した放映時刻tから定まる放映の曜日又はその属性及び時間帯又はその属性の少なくとも一方に対応する1又は複数の区分について、当該TVCMに関連づけられたウェブサイト110の1又は複数の標準偏差を取得する(S204)。
【0029】
一組のパラメータとして、図4に示すように曜日及び時間帯ごとに標準偏差が記憶されている場合、装置100は、受信した放映時刻tに対応する曜日及び時間帯の値を取得すればよい。また、装置100は、受信した放映時刻tが平日か休日かを判定して、平日であれば平日に該当する複数の曜日の値を取得して、これを用いて例えば平日の平均的な標準偏差を定めてもよい。また、装置100は、受信した放映時刻tが夜か否かを判定して、夜であれば夜に該当する複数の時間帯の値を取得して、これを用いて例えば夜の平均的な標準偏差を定めてもよい。あるいは、一組のパラメータとして、平日又は休日という曜日の属性に対応する区分と、朝、昼又は夜という時間帯の属性に対応する区分とによって区分した標準偏差が記憶されている場合には、装置100は、受信した放映時刻tの属性を判定して、対応する区分の値を取得することができる。また、標準偏差が地域ごとに記憶されている場合には、装置100は、放映時刻tに加えて放映地域を取得して、当該放映地域に対応する区分の標準偏差を取得することができる。
【0030】
装置100は、取得したTVCMの放映時刻tにおいて、当該時刻の以後又は後の第1の期間におけるウェブサイト110に対するアクセス数と当該時刻の以前又は前の第2の期間におけるウェブサイト110に対するアクセス数との差Δを算出する(S205)。ここで、放映時刻tは1分若しくは数分単位又は1秒、数秒若しくは数十秒単位により表すことができる。また、放映時刻tは、1秒、数秒又は数十秒単位で表されたデータを取得してアクセス増加数の算出に当たって1分又は数分単位に変換してもよい。ここで、「数分」とは発明者らの知見によれば、2分又は3分が好ましいが、これに限定するものではなく、4分、5分等とすることも考えられる。また、「数秒」とは3秒、5秒等とすることが挙げられ、「数十秒」とは30秒、50秒等とすることが挙げられる。放映時刻tは、より広くは所定の分数の単位又は所定の秒数の単位で表すことができ、たとえば10分未満又は数十分未満の任意の単位で表すことが考えられる。
【0031】
そして、装置100は、ウェブサイト110に対するアクセス増加数Δとウェブサイト110の1又は複数の標準偏差又は当該1又は複数の標準偏差を用いて定まる値σとを比較してTVCMの効果を評価する(S206)。一例として、Δ>1.5σで表されるように、アクセス増加数Δが標準偏差σに所定の係数を乗じた値よりも大きければ効果があり、それ以下であれば効果がなかったと評価することが挙げられる。あるいは、Δ/σで表される比を算出して、当該比が所定の値よりも大きければ効果があり、それ以下であれば効果がなかったと評価することが挙げられる。
【0032】
上述の説明において「アクセス数」とは、ウェブサイト110に対してなされたアクセスの数を意味し、閲覧されたページ数をカウントするページビュー、複数のページが閲覧されても同一の端末による閲覧であれば1とカウントするセッション数等、さまざまなカウントの方式が可能である。
【0033】
また、上述の説明においては、TVCMの効果の有無を評価しているが、アクセス増加数Δと標準偏差σとの比較に基づいて、TVCMの効果が出た確率を評価してもよい。具体的には、アクセス増加数Δと標準偏差σとの比較結果について1又は複数のしきい値を設定して、各しきい値を超えていれば効果が出た確率xはa<x≦b(a及びbは0から100の間の数)と評価することが考えられる。
【0034】
また、上述の説明においては、区分ごとの標準偏差の算出を装置100で行うものとして記述しているが、装置100とは異なる装置、コンピュータ又はサーバにおいて算出を行い、装置100が後にこれを取得可能に記憶してもよい。
【0035】
また、上述の説明においては、過去のN個の時点tの以後又は後の第1の期間におけるウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの分布について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出した標準偏差を記憶しておくものとして説明したが、過去のN個の時点tの以後又は後の第1の期間におけるウェブサイトに対するアクセス数と前記N個の時点tの以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数とのそれぞれの差Δの値について、前記N個の時点tを区分した区分ごとに算出した平均値等のしきい値を記憶しておき、これを装置100が後に取得して、評価の対象であるTVCMの放映時刻の以後又は後の第1の期間におけるウェブサイトに対するアクセス数と前記放映時刻の以前又は前の第2の期間における前記ウェブサイトに対するアクセス数との差Δを取得された当該しきい値又は当該しきい値を用いて定まる値εと比較して前記TVCMの効果を評価することも考えられる。
【0036】
なお、「××のみに基づいて」、「××のみに応じて」、「××のみの場合」というように「のみ」との記載がなければ、本明細書においては、付加的な情報も考慮し得ることが想定されていることに留意されたい。また、一例として、「aの場合にbする」という記載は、明示した場合を除き、「aの場合に常にbする」こと、「aの直後にbする」ことを必ずしも意味しないことに留意されたい。また、「Aを構成する各a」という記載は、必ずしもAが複数の構成要素によって構成されることを意味するものではなく、構成要素が単数であることを含む。
【0037】
また、念のため、なんらかの方法、プログラム、端末、装置、サーバ又はシステム(以下「方法等」)において、本明細書で記述された動作と異なる動作を行う側面があるとしても、本発明の各態様は、本明細書で記述された動作のいずれかと同一の動作を対象とするものであり、本明細書で記述された動作と異なる動作が存在することは、当該方法等を本発明の各態様の範囲外とするものではないことを付言する。
【符号の説明】
【0038】
100 装置
101 通信部
102 処理部
103 記憶部
104 データベース
110 ウェブサイト
120 ユーザー端末
【要約】
【課題】TVCMの効果を評価するための方法において、より細かな単位の評価を可能とする。
【解決手段】装置100は、過去のN個の時点tの前後のアクセス数の差Δを算出する(S201)。次に、装置100はN個の時点tを区分して、区分ごとのアクセス増加数の分布の標準偏差を算出する(S202)。そして、装置100は、表かの対象となるTVCMの放映時刻tを取得する(S203)。装置100は、当該TVCMの識別子を加えて取得し、TVCMの識別子とウェブサイトの識別子との対応づけから、当該TVCMの評価に用いるウェブサイト110を判定する。装置100は、取得したTVCMの放映時刻tの前後のアクセス数の差Δを算出する(S204)。装置100は、ウェブサイト110に対するアクセス増加数Δとウェブサイト110に関して決定された標準偏差σとを比較してTVCMの効果を評価する(S205)。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4