(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のモードにおいて、前記制御部は、前記第2のモードにおいて前記入力部が指示を受け付けたときの前記感知部の検出値に基づき更新された条件に基づいて、前記光学モジュールに対する電気制御を行う、請求項1に記載のアイウェア。
前記感知部は、メカニカルスイッチ、位置検出センサ、加速度センサ、角速度センサ、ジャイロセンサ、近接センサ、接触センサ、通信素子、撮像素子、またはこれらの組み合わせをさらに含む、
請求項3に記載のアイウェア。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、複数の実施形態を用いて、本発明のアイウェアを説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
(アイウェアの構造)
図1および
図2は、本発明の第1の実施形態に係るアイウェア100を示す斜視図である。
【0012】
アイウェアには、例えば、視力補正レンズのようにユーザの視力向上のための補助機構を有するいわゆる眼鏡(電子メガネ、サングラスを含む)やゴーグル、ユーザの視界あるいは眼に対して情報提示を行う機構を有する種々のデバイス(例えば、眼鏡型ウェアラブル端末、ヘッドマウントディスプレイ等)が含まれる。以下の本実施形態では、一対のレンズを有する両目用の電子眼鏡を例に説明するが、本発明に係るアイウェアは、この態様に限定されない。アイウェアは、装着されることにより、眼に対して視力または視界向上のための補助機構や情報提示のための機構を保持する構成であればよく、両方の耳に装着される眼鏡型に限らず、頭部や片方の耳のみに装着される装置であってもよい。また、両眼用ではなく、片眼のみに作用するアイウェアであってもよい。
【0013】
図1および
図2に示すように、アイウェア100は、フロント110および一対のテンプル120aおよび120bを有するフレーム130、入力部140、電気制御により光学特性が変化する光学モジュールである一対の電気制御型レンズ150、感知部170、制御部160としても機能するCPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)、ならびに記憶部194としても機能するROM(Read Only Memory)などが含まれるCPUユニット165などの演算装置、ならびに電源180を有する。CPUは、アイウェア100の機能を実行するためのプログラムをROMから読み出してRAMに展開し、展開したプログラムを実行してアイウェア100の各機能部の動作を制御する。なお、以下の記載では、一対の電気制御型レンズ150が配置されている部分をアイウェア100の正面(前方)とする。
【0014】
また、アイウェア100の機能構成を表すブロック図である
図3に示すように、アイウェア100が備える各機能部は、バスBにより接続される。
以下、本実施形態のアイウェア100の各構成について説明する。
【0015】
フロント110は、一対の電気制御型レンズ150を保持する。フロント110は、上記一対の電気制御型レンズ150をそれぞれ支持する一対のリム112と、上記一対のリム112を接続するブリッジ114と、を有する。リム112は、電気制御型レンズ150の形状に対応する形状を有する。特に図示しないが、フロント110の内部には、電気制御型レンズ150とCPUユニット165(制御部160)とを電気的に接続するための配線が配置されている。
【0016】
フロント110の材料は、特に限定されず、メガネのフロントの材料として使用されている公知の材料とすることができる。フロント110の材料の例には、ポリアミド、アセテート、カーボン、セルロイド、ポリエーテルイミドおよびポリウレタンが含まれる。
【0017】
一対のテンプル120aおよび120bは、左右対称となるようにフロント110に接続された棒状の部材であり、その前端部においてフロント110に接続される。一対のテンプル120aおよび120bの一方(
図1および
図2では右側のテンプル120a)には、入力部140、CPUユニット165(制御部160および記憶部194)、感知部170、および電源180が配置される。
【0018】
テンプル120aおよび120bの材料は、特に限定されず、メガネのテンプルの材料として使用されている公知の材料とすることができる。テンプル120aおよび120bの材料の例には、ポリアミド、アセテート、カーボン、セルロイド、ポリエーテルイミドおよびポリウレタンが含まれる。
【0019】
入力部140は、ユーザからの入力動作を受け付ける。入力部140の構造は特に制限されない。入力部140は、例えば、テンプル120aの外側かつ前方の領域に、前方から後方に向けて列状に配置された複数の静電容量型のタッチセンサとすることができる。この場合、ユーザが複数のタッチセンサに沿って前方から後方、もしくは後方から前方へ指などを移動させる(スワイプする)動作や、指などを移動させずに触れる(タップする)動作、所定時間指などで触れる(長押しする)動作等によって、入力部140は、ユーザからの指示を受け付けることができる。
【0020】
また、入力部140は、上記スワイプ動作によって静電容量が変化したタッチセンサの数から、入力動作の動作量(移動量)を識別して受け付け可能であってもよい。
【0021】
一対の電気制御型レンズ150は、フレームのフロント110に保持されている。電気制御型レンズ150は、電圧の印加により光学特性が変化する電気活性部を有する。それぞれの電気制御型レンズは、球面レンズであってもよく、非球面レンズであってもよい。それぞれの電気制御型レンズは、電圧の印加によりその焦点距離(度数)を変更可能な第1の領域150aと、当該第1の領域外の第2の領域150bとを有する。
【0022】
電気制御型レンズ150のA−A部分の模式断面図を
図4に示す。
図4に示すように、第1の領域150aには、後方(使用者側)から、第1の透明基板1510、第1の透明電極1520、電気活性部としての屈折率可変層1530、第2の透明電極1540、第2の透明基板1550、第3の透明電極1560、電気活性部としての透過率可変層1570、第4の透明電極1580、および第3の透明基板1590が、この順に積層されている。
【0023】
なお、特に図示しないが、第1の透明基板1510および第1の透明電極1520、または第2の透明基板1550および第2の透明電極1540は、第1の領域150aにおいてフレネルレンズ形状を有していてもよい。
【0024】
一方、第2の領域150bには、
図4に示すように、後方(使用者側)から、第1の透明基板1510、第1の透明電極1520、接着層1535、第2の透明電極1540、第2の透明基板1550、第3の透明電極1560、電気活性部としての透過率可変層1570、第4の透明電極1580、および第3の透明基板1590がこの順に積層されている。
【0025】
なお、第2の透明電極1540と第3の透明電極1560とは、共通電極であってもよい。このとき、第2の透明基板1550は、その配置を省略することができる。
【0026】
第1の透明基板1510、第2の透明基板1550、および第3の透明基板1590は、アイウェア100の前方側に向かって凸状となるように湾曲した透明部材である。
【0027】
第1の透明基板1510、第2の透明基板1550、および第3の透明基板1590の材料は、可視光に対する透光性を有していれば特に限定されず、レンズの材料として使用されうる公知の材料とすることができる。第1の透明基板1510、第2の透明基板1550、および第3の透明基板1590の材料の例には、ガラスおよび樹脂が含まれる。上記樹脂の例には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネートおよびポリスチレンが含まれる。第1の透明基板1510、第2の透明基板1550、および第3の透明基板1590の材料は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0028】
第1の透明電極1520および第2の透明電極1540、ならびに第3の透明電極1560および第4の透明電極1580は、それぞれ透光性を有する透明電極である。第1の透明電極1520および第2の透明電極1540は、少なくとも屈折率可変層1530に電圧を印加しうる範囲(第1の領域150a)に配置される。一方、第3の透明電極1560および第4の透明電極1580は、少なくとも透過率可変層1570に電圧を印加しうる範囲(第1の領域150aおよび第2の領域150b)に配置される。
【0029】
第1の透明電極1520、第2の透明電極1540、第3の透明電極1560、および第4の透明電極1580の材料は、可視光に対する透光性と導電性とを有するものであれば特に限定されない。これらの材料の例には、酸化インジウムスズ(ITO)および酸化亜鉛(ZnO)が含まれる。第1の透明電極1520、第2の透明電極1540、第3の透明電極1560、および第4の透明電極1580の材料は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0030】
屈折率可変層1530は、電圧の印加により可視光の屈折率が変化する層である。屈折率可変層1530の材料の例には、コレステリック液晶およびネマティック液晶などが含まれる。第1の透明電極1520および第2の透明電極1540によって屈折率可変層1530に電圧が印加されると、液晶分子の配向が変化することなどにより、屈折率可変層1530の屈折率が可逆的に変化する。そのため、屈折率可変層1530に電圧を印加すると、第1の領域150aの焦点距離(度数)が変化する。
【0031】
透過率可変層1570は、電圧の印加によって可視光の透過率(以下、単に「透過率」とも称する)が変化する層である。透過率可変層1570の材料の例には、エレクトロクロミック素子およびゲスト−ホスト液晶などが含まれる。第3の透明電極1560および第4の透明電極1580によって透過率可変層1570に電圧が印加されると、供給された電子による酸化還元反応や、液晶分子の配向の変化などにより、透過率可変層1570の透過率が可逆的に変化する。そのため、透過率可変層1570に電圧を印加すると、第1の領域150aおよび第2の領域150bの可視光の透過率が変化する。
【0032】
接着層1535は、第2の領域150bにおいて、第1の透明基板1510と第2の透明基板1550との間に配置されて、第1の透明基板1510と第2の透明基板1550とを接着する。ただし第1の透明電極1520および第2の透明電極1540が、第2の領域150bにも配置される場合には、接着層1535は、第1の透明電極1520と第2の透明電極1540との間に配置される。また、接着層1535は、屈折率可変層1530を構成する材料を封止する機能も有する。接着層1535の材料は、可視光に対する透光性を有する、接着剤の硬化物であれば特に限定されない。
【0033】
感知部170は、水平軸に対する鉛直下方へのアイウェア100の傾斜角度(以下、単に「傾斜角度」ともいう。)を感知する傾斜センサ、およびアイウェア100への光の照度を感知する照度センサを少なくとも含む。感知部170は、上記傾斜センサが感知した傾斜角度、および照度センサが感知した照度を、それぞれ制御部160に出力する。
【0034】
記憶部194は、後述するアイウェアの制御におけるオートモードにおいて、電気制御型レンズ150の第1の領域150aの屈折率、電気制御型レンズ150の第1の領域150aおよび第2の領域150bの透過率、もしくはこれらの両方を変化させるための条件(閾値)を記憶する。
【0035】
制御部160は、後述するように設定モードに応じて、入力部140が受け付けた入力動作や、記憶部194に記憶された条件、および感知部170の検出値に基づき、電気制御型レンズ150の光学特性を変化させる。
【0036】
制御部160は、電気制御型レンズ150の第1の透明電極1520、第2の透明電極1540、第3の透明電極1560、および第4の透明電極1580、ならびに、入力部140、感知部170、および記憶部194に電気的に接続されている。後述する制御によって、第1の透明電極1520と第2の透明電極1540との間、および/または第3の透明電極1560と第4の透明電極1580との間に電圧を印加して、電気制御型レンズ150の光学特性(屈折率または透過率)をそれぞれ変化させる。つまり、本実施形態のアイウェア100は、制御部160が、電気制御型レンズ150の屈折率を変化させて視力補正を行う機能(以下、単に「視力補正機能」とも称する)、電気制御型レンズ150の透過率を変化させて調光補正を行う機能(以下、単に「調光補正機能」とも称する)、および電気制御型レンズ150の屈折率および透過率を独立に変化させて、視力補正および調光補正を同時に行う機能(以下、単に「視力調光補正機能」とも称する)をそれぞれ実行する。
【0037】
電源180は、テンプル120aの後端部に着脱可能に保持される充電式のバッテリーパックであり、入力部140、制御部160および感知部170などの電力を消費する機能部に電力を供給する。電源180の例には、ニッケル水素充電池が含まれる。
【0038】
(アイウェアの制御)
・モードについて
本実施形態のアイウェア100には、上述の視力補正機能、調光補正機能、および視力調光補正機能を実施するための複数のモードが
図5の模式図に示すように階層状に設定されている。当該アイウェア100では、ユーザが入力部140を通じて、各階層のモードを選択することで、制御部160に所望の動作を実行させることができる。アイウェア100の制御部160は、複数のモードのうち、設定されたモードに従って、第1の透明電極1520及び第2の透明電極1540の間に印加する電圧を制御することにより、電気活性部の光学特性を制御する。
【0039】
本実施形態のアイウェア100では、
図5に示すように、複数のモードが3階層にわけて設定されている。本実施形態のアイウェア100の第1階層には、視力補正機能を実行するための視力補正モード、調光補正機能を実行するための調光補正モード、ならびに視力調光補正機能を実行するための視力調光補正モード、が含まれる。
【0040】
また、視力補正モード、調光補正モード、および視力調光補正モードの下層(第2階層)には、視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能を、ユーザが手動でオンまたはオフにするモード(以下、「マニュアルモード」とも称する)と、記憶部194に記憶された条件および感知部170で検出された検出値に基づき、制御部160が視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能をオンまたはオフにするモード(以下、「オートモード」とも称する)とがそれぞれ含まれる。
【0041】
さらに、各マニュアルモードの下層(第3階層)には、上記オートモードにおいて、視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能をオンまたはオフにする条件を学習するための自動学習モードが含まれる。
【0042】
ユーザは各階層のモードを、入力部140を通じて変更する。例えば、入力部140が前方から後方に向けて列状に配置された複数の静電容量型のタッチセンサである場合、複数のタッチセンサに沿って前方から後方へ指などを移動させる(スワイプする)第1の指示動作によって第1階層のモードを1段階遷移させることができる。同様に、上記第1の方向とは略反対方向である、上記複数のタッチセンサに沿って後方から前方へ指などを移動させる(スワイプする)第2の指示動作によって、第2階層のモードを1段階遷移させることができる。さらに、スワイプせずに上記複数のタッチセンサのいずれかをタップする第3の指示動作によって、第3階層のモードを1段階遷移させることができる。
【0043】
図6は、本実施形態に係るアイウェア100のユーザが、アイウェア100の制御部160が実行するモードを選択し、制御部160に各種機能を実行させるときの、アイウェア100の動作例を示すフローチャートである。
図6に示す動作は、例えば、電源180の取り付けによって入力部140、制御部160および感知部170がオン状態になることにより開始される。
【0044】
以下の説明において、
図6に示すフローを開始するときに、制御部160は第1階層のモードとして視力補正モードを、第2階層のモードとしてマニュアルモードを、第3階層のモードとして自動学習モード(オン)を、それぞれ実行していると仮定する。
【0045】
まず、入力部140は、ユーザの指の接触などによるタッチセンサの静電容量の変化を検出して、入力動作として受け付ける(ステップS10)。上記入力動作を受け付けた旨の信号を入力部140から受信した制御部160は、当該指示動作が第1の指示動作(前方から後方へのスワイプ)か否かを判定する(ステップS11)。
【0046】
制御部160は、ステップS11において上記指示動作が第1の指示動作であると判定すると、第1階層のモードを一段階遷移させる(ステップS12)。本説明では、フロー開始時、制御部160が、第1階層のモードとして視力補正モードを実行している。そこで、上記指示動作が第1の指示動作であると判定したとき、制御部160は、第1階層のモードを調光補正モードに遷移して、調光補正モードを実行する。制御部160が上記第1階層のモードを遷移して実行することで、処理はステップS40に遷移する。
【0047】
一方で、制御部160は、ステップS11において上記指示動作が第1の指示動作ではないと判定すると、次に、上記指示動作が第2の指示動作(後方から前方へのスワイプ)であるか否かを判定する(ステップS21)。
【0048】
制御部160は、ステップS21において上記指示動作が第2の指示動作であると判定すると、現在実行している第1階層のモードに対応する第2階層のモードが存在するか否かを判定する(ステップS22)。
【0049】
制御部160は、ステップS22において現在実行している第1階層のモードに対応する第2階層のモードが存在すると判定すると、現在実行している第1階層のモードを実行したまま、第2階層のモードを遷移して、遷移された第2階層のモードを実行する(ステップS23)。本説明では、フロー開始時に、制御部160は、第1階層のモードとして視力補正モードを、第2階層のモードとしてマニュアルモードを、それぞれ実行している。そのため、制御部160は、ステップS23において、第1階層のモードである視力補正モードを実行したまま、第2階層のモードをオートモードに遷移して実行する。制御部160が第2階層のモードを遷移して実行すると、処理はステップS40に遷移する。
【0050】
一方で、ステップS22において対応する第2階層のモードは存在しないと制御部160が判定すると、処理はステップS40に遷移する。
【0051】
また、ステップS21において上記指示動作は第2の指示動作ではないと制御部160が判定すると、制御部160は、上記指示動作が第3の指示動作(移動を伴わないタップ)であるか否かを判定する(ステップS31)。
【0052】
制御部160は、ステップS31において上記指示動作が第3の指示動作であると判定すると、現在実行している第2階層のモードに対応する第3階層のモードが存在するか否かを判定する(ステップS32)。
【0053】
制御部160は、ステップS32において現在実行している第2階層のモードに対応する第3階層のモードが存在すると判定すると、現在実行している第1階層のモードおよび第2階層のモードを実行したまま、第3階層のモードを一段階遷移して、遷移された第3階層のモードを実行する(ステップS33)。本説明では、フロー開始時に、制御部160は、第1階層のモードとして視力補正モードを、第2階層のモードとしてマニュアルモードを、第3階層のモードとして自動学習モードを、それぞれ実行している。そのため、制御部160は、ステップS33において、第1階層のモードである視力補正モードおよび第2階層のモードであるマニュアルモードを実行したまま、第3階層のモードを自動学習モードオフに遷移して実行する。制御部160が第3階層のモードを遷移して実行すると、処理はステップS40に遷移する。
【0054】
一方で、ステップS32において対応する第3階層のモードは存在しないと制御部160が判定すると、処理はステップS40に遷移する。
【0055】
また、ステップS31において上記指示動作は第3の指示動作ではないと制御部160が判定すると、処理はステップS40に遷移する。
【0056】
その後、制御部160は、処理を終了させる必要があるか否かについて判定する(ステップS40)。例えば、制御部160は、予め定められた処理を終了させる条件が満たされているときは、処理を終了させる必要があると判定する。一方、上記条件が満たされていないときは、処理を終了させる必要がないと判定する。判定の結果、処理を終了させる必要がある場合、制御部160は、
図6における処理を終了する。一方、処理を終了させる必要がない場合、処理はステップS10の前に戻る。
【0057】
・アイウェアの動作について
本実施形態のアイウェア100は、上述のようにユーザに選択されたモードに基づき、各機能を実行する。ユーザによって上述の第1階層のモードとして、視力補正モード、調光補正モード、および視力調光補正モードのいずれかが選択されると、制御部160は、視力補正機能、調光補正機能、および視力調光補正機能のうち、各モードに対応する機能を実行する。また、第2階層のモードとして、マニュアルモードが選択されると、制御部160は、入力部140がユーザから指示動作を受け付けたときのみ、視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能のオン/オフを変更する。一方、オートモードが選択されると、制御部160は、記憶部194に記憶された条件および感知部170で検出された検出値に基づいて、視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能のオン/オフを変更する。さらに、上述の第3階層のモードとして、自動学習モードが選択されると、制御部160は、オートモードにおいて視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能をオンまたはオフにするための条件を、適宜更新する。
【0058】
以下、上記アイウェア100の動作について説明する。
図7は、本実施形態に係るアイウェア100をユーザが使用するときの、アイウェア100の動作例を示すフローチャートである。
図7に示す動作は、例えば、電源180の取り付けによって入力部140、制御部160および感知部170がオン状態になることにより開始される。なお、以下の説明では、
図7に示すフローを開始するときに、第1階層のモードとして視力補正モードを、第2階層のモードとしてマニュアルモードを、第3階層のモードとして自動学習モード(オン)を、それぞれ実行していると仮定する。またこのとき、視力補正機能はオフとなっている、と仮定する。
【0059】
制御部160は、まず、第2階層のモードとして、いずれのモードが実行されているかを参照する(ステップS110)。そして、制御部160は、現在実行されている第2階層のモードが、マニュアルモードであるか否かを判定する(ステップS111)。
【0060】
マニュアルモードが実行されていると制御部160が判定すると、入力部140は、タッチセンサの静電容量変化を検出し、ユーザの指示動作を受け付ける(ステップS121)。そして、入力部140は、指示動作を受け付けた旨の信号を制御部160に伝える。入力部140からの信号を受信した制御部160は、当該指示動作が、第1〜第3の指示動作とは異なる第4の指示動作(例えばスワイプせずに上記複数のタッチセンサのいずれかを所定時間指等で触る(長押し)等)であるかを判定する(ステップS122)。
【0061】
上記指示動作が第4の指示動作であると判定すると、制御部160は、入力部140が指示動作を受け付けたときの傾斜角度および/または照度を感知部170から受け取る(ステップS123)。このとき、制御部160が受け取るデータの種類は、第1階層のモードに応じて選択される。本説明では、
図7に示すフローを開始するとき、第1階層のモードとして視力補正モードが実行されていると仮定している。そこで、制御部160は、感知部170から傾斜角度に関するデータを受け取る。なお、「入力部140が指示動作を受け付けたとき」とは、指示動作の受け付けと略同一のタイミングであればよく、完全に一致していなくてもよい。
【0062】
続いて、制御部160は、入力部140がステップS121において指示動作を受け付けてから所定の時間内に、再度、指示動作を受け付けたか否かを判定する(ステップS124)。所定時間内に再度、指示動作を受け付けたと制御部160が判定すると、先のユーザからの指示は取り消されたものとして、処理はステップS128に遷移する。
【0063】
一方、所定時間内に再度、入力部140が指示動作を受け付けなかったと判定すると、制御部160は第1階層のモードに対応する補正機能をオンまたはオフに切り替える(ステップS125)。本説明では、第1階層のモードとして視力補正モードが実行されており、視力補正機能がオフに設定されている。そこで、制御部160は、第1の透明電極1520および第2の透明電極1540の間に電圧を印加し、視力補正機能をオンにする。
【0064】
そしてさらに制御部160は、第3階層のモードを参照し、自動学習モードがオンであるか否かを判定する(ステップS126)。ステップS126において、アイウェア100の自動学習モードがオフであると制御部160が判定すると、自動学習は不要であるとして、処理はステップS128に遷移する。
【0065】
一方、ステップS126において、アイウェア100の自動学習モードがオンであると判定すると、制御部160は、記憶部194に記憶された条件のうち、第1階層のモードに対応する条件を更新する(ステップS127)。本説明では、
図7に示すフローを開始するときに、第1階層のモードとして視力補正モードが実行されており、視力補正機能がオフであると仮定している。そこで、制御部160は、入力部140がユーザからの指示動作を受け付けた日時、ステップS123で感知部170が検出した傾斜角度、およびユーザからの指示内容(例えば、視力補正機能をオンにするための指示であったこと)等を記憶部194に記憶させる。そして、記憶部194に記憶されている、視力補正機能をオンにするための閾値を、ステップS123で感知部170が検出した傾斜角度と置き換える。その後、処理はステップS128に遷移する。
【0066】
そして、制御部160は、処理を終了させる必要があるか否かについて判定する(ステップS128)。例えば、制御部160は、予め定められた処理を終了させる条件が満たされているときは、処理を終了させる必要があると判定する。一方、上記条件が満たされていないときは、処理を終了させる必要がないと判定する。判定の結果、処理を終了させる必要がある場合、制御部160は、
図7における処理を終了する。一方、処理を終了させる必要がない場合、処理はステップS121の前に戻る。
【0067】
一方、ステップS111においてオートモードが実行されていると判定すると、制御部160は、アイウェア100の傾斜角度および/または照度を感知部170から受け取る(ステップS131)。このとき、制御部160が受け取るデータの種類も、第1階層のモードに応じて選択され、本説明では、傾斜角度とされる。
【0068】
そして、制御部160は、第1階層のモードに対応する補正機能(本説明では、視力補正機能)がオンになっているかを判定する(ステップS132)。補正機能がオンであると判定すると、制御部160は補正機能をオフにするための傾斜角度および/または照度に関する閾値(本説明では、傾斜角度に関する閾値)を、記憶部194から読み出す(ステップS133)。アイウェア100の初回使用時の閾値は、予め設定された値とされる。一方、前述の自動学習モードが行われ、閾値が更新されている場合、制御部160は、自動学習モードで更新された後の閾値を記憶部194から読み出す。
【0069】
続いて制御部160は、ステップS131において感知部170で検出された検出値が、ステップS133で読み出された閾値以下であるか否かを判定する(ステップS135)。ステップS135において、検出値が閾値以下であると判定すると、制御部160は補正機能をオフにする(ステップS137)。本説明では、電気制御型レンズ150の第1の透明電極1520および第2の透明電極1540の間への電圧の印加を取りやめる。そして、処理はステップS139に遷移する。一方、検出値が閾値より高いと制御部160が判定すると、補正機能をオフにする必要はないとして、処理はステップS139に遷移する。
【0070】
一方、ステップS132において、第1階層のモードに対応する補正機能(本説明では、視力補正機能)がオフであると判定すると、制御部160は補正機能をオンにするための傾斜角度および/または照度に関する閾値(本説明では、傾斜角度に関する閾値)を記憶部194から読み出す(ステップS134)。この場合も、アイウェア100の初回使用時の閾値は、予め設定された値とされる。一方、前述の自動学習モードが行われ、閾値が更新されている場合、制御部160は、自動学習モードで更新された後の閾値を記憶部194から読み出す。なお、補正機能をオンにするための閾値は、上記補正機能をオフにするための閾値と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、視力補正機能をオンにするための閾値(初期設定値)を20°、視力補正機能をオフにするための閾値(初期設定値)を5°等と設定することができる。
【0071】
続いて制御部160は、ステップS131において感知部170で検出された検出値が、ステップS134で読み出された閾値以上であるか否かを判定する(ステップS136)。ステップS136において、検出値が閾値以上であると判定すると、制御部160は補正機能をオンにする(ステップS138)。本説明では、電気制御型レンズ150の第1の透明電極1520および第2の透明電極1540の間に電圧を印加する。そして、処理はステップS139に遷移する。一方、検出値が閾値より低いと制御部160が判定すると、補正機能をオンにする必要はないとして、処理はステップS139に遷移する。
【0072】
その後、制御部160は、処理を終了させる必要があるか否かについて判定する(ステップS139)。例えば、制御部160は、予め定められた処理を終了させる条件が満たされているときは、処理を終了させる必要があると判定する。一方、上記条件が満たされていないときは、処理を終了させる必要がないと判定する。判定の結果、処理を終了させる必要がある場合、制御部160は、
図7における処理を終了する。一方、処理を終了させる必要がない場合、処理はステップS131の前に戻る。
【0073】
なお、上述の説明では、
図7に示すフローを開始するときに、第1階層のモードとして視力補正モードが実行されていると仮定して説明したが、第1階層のモードとして調光補正モードが実行されている場合、上述のステップS123やステップS131において、制御部160は感知部170から照度を検出値として受け取る。また、ステップS127では、記憶部194に記憶された条件のうち、照度に関する条件を更新する。
【0074】
一方、第1階層のモードとして、視力調光補正モードが実行されている場合、上述のステップS123やステップS131において、制御部160は感知部170から傾斜角度および照度の両方を検出値として受け取る。また、ステップS127では、記憶部194に記憶された条件のうち、傾斜角度および照度に関する条件を更新する。
【0075】
以上のように、本実施形態のアイウェア100のオートモードでは、マニュアルモードで収集された傾斜角度および/または照度に関する情報に基づき、視力補正機能、調光補正機能、または視力補正調光機能を自動でオンまたはオフにすることができる。したがって、本実施形態のアイウェア100によれば、ユーザの嗜好等に合わせて、各機能を発現させる条件を設定することが可能である。
【0076】
・・アイウェアの動作の変形例
上述の説明(
図7に示すフロー)では、自動学習モードがオンである場合に入力部140が指示動作を受け付けると、ステップS127において、記憶部194に記憶された条件が常に更新される。ただし、本実施形態のアイウェア100は、制御部160が、条件の更新が必要であると判定した場合にのみ、ステップS127で条件を更新してもよい。例えば、制御部160が、ステップS123で検出された検出値と記憶部194に記憶された閾値とを比較するステップ(図示せず)を行い、検出値が閾値と所定の値以上ずれている判定した場合にのみ、ステップS126に遷移し、記憶部194に記憶された条件を更新してもよい。
【0077】
また、ステップS126で検出された値が、過去に感知部170によって検出された検出値と所定の回数同一の範囲に含まれるかを制御部160が判定するステップ(図示せず)を行ってもよい。この場合、ステップS126において、所定の回数、同一の範囲に含まれる値が検出された場合にはじめて、ステップS126に遷移し、制御部160は、記憶部194に記憶された条件を更新する。また、所定の回数、同一の値が検出された場合に、記憶部194に記憶された条件を更新してもよい。
【0078】
さらに、入力部140が指示動作を受け付けたときの、感知部160の検出値取得回数に応じて、記憶部194に記憶された条件が更新されてもよい。例えば、ステップS126で検出された値と、過去に検出された所定の回数分の検出値の平均値を演算するステップ(図示せず)を行ってもよい。この場合、ステップS126では、制御部160は、記憶部194に記憶された条件を、上記平均値に基づいて更新する。
【0079】
さらに、ステップS127が行われるタイミングは、入力部140が指示動作を受け付けた直後でなくてもよい。例えば、ステップS123で検出された検出値を、記憶部194に記憶された閾値とは別に記憶しておき、任意のタイミング(例えば、オートモードが選択されたタイミング等)で、ステップS127を行い、記憶部194に記憶された条件を更新してもよい。
【0080】
また、上記では、階層が3つにわかれている例を挙げて説明したが、階層はさらに細かく分かれていてもよい。例えば、
図5に示す第1階層と第2階層との間に、種々のモードが含まれていてもよい。例えば、視力補正モードの下層に、読書モードやモバイル機器使用モード等が含まれていてもよい。この場合、これらの各モードのさらに下層にそれぞれオートモードおよびマニュアルモードを含めることができる。一方、調光補正モードの下層に、アイウェア100への光の照度に対して電気制御型レンズ150の透過率を
図8に示すように変化させる淡色調光モード、中間色調光モード、および濃色調光モードが含まれていてもよい。
図8に示す照度と透過率との関係は、初期設定値であり、透過率を変化させる条件を自動学習モードで学習させ、適宜更新してもよい。
【0081】
なお、調光補正モードの下層に、淡色調光モード、中間色調光モード、および濃色調光モードが含まれる場合、
図7のステップS121で入力部140が受け付ける指示動作は、調光補正機能のオンまたはオフに関する指示ではなく、電気制御型レンズ150の透過率を低くまたは高くする指示であってもよい。この場合、ステップS125では、制御部160が、調光補正機能のオンまたはオフを切り替えるのではなく、電気制御型レンズ150の可視光の透過量(第3の透明電極1560または第4の透明電極1580に印加する電圧の量)を変更する。
【0082】
またこの場合、ステップS127では、ステップS121において入力部140が指示を受け付けた日時、入力部140が指示動作を受け付けたときのアイウェア100への光の照度、およびユーザが設定した透過率を、制御部160が記憶部194に記憶させる。そして、
図8に示す照度の上限値または下限値を、当該検出値に合わせて置き換える。
【0083】
なお、このときの第4の指示動作は、スワイプ動作としてもよい。第4指示動作がスワイプ動作であると、静電容量が変化したタッチセンサの数から、入力動作の動作量(移動量)を識別し、電気制御型レンズ150の透過率をどの程度とするかの指示を受け付けることが可能となる。
【0084】
また、本実施形態のアイウェア100は、制御部160が、上述した以外の機能を実行可能であってもよい。例えば、制御部160が、感知部170等の一部の機能部にのみ電気を供給するスリープ機能や、略全ての機能部に電気を供給しないオフ機能等を実行可能であってもよい。また、制御部160がこれらの機能に遷移するまでの待機時間(変化条件)をユーザからの指示動作によって変更可能としてもよい。
【0085】
例えば、上記スリープ機能またはオフ機能は、下位階層の機能として、入力部140への指示動作の入力がなされない時間(待機時間)が1分であるときに自動でスリープ機能またはオフ機能に遷移する短時間オフ機能、上記待機時間が3分であるときに自動でスリープ機能またはオフ機能に遷移する中間時間オフ機能、および待機時間が5分であるときに自動でスリープ機能またはオフ機能に遷移する長時間オフ機能等を含んでいてもよい。
【0086】
また、上記の説明におけるユーザからの指示動作は、アイウェア100を装着したユーザからの指示動作でなくてもよく、アイウェア100の近傍にいる非装着者からの指示動作であってもよい。
【0087】
さらに、上記説明では、前方から後方へのスワイプを第1の指示動作、後方から前方へのスワイプを第2の指示動作等として説明したが、入力部140の構成に基づいて、適宜変更可能である。さらに、第1の指示動作、第2の指示動作、第3の指示動作、および第4の指示動作は、指示動作同士を識別可能な限りにおいて、回数を変更した同一の動作(例えばタップの回数やスワイプの回数)であってもよく、異なる入力動作とその回数の組み合わせ等であってもよい。
【0088】
[第2の実施形態]
(アイウェア)
本発明の第2の実施形態に係るアイウェアの構成は、
図1および
図2に示す第1の実施形態のアイウェア100の構成と、感知部170以外は同様である。そこで、感知部170以外の構成要素に関する説明は省略し、以下、感知部170についてのみ説明する。
【0089】
本実施形態における感知部170は、傾斜センサおよび照度センサの他に、Global Positioning System(GPS)などの位置検出センサ、加速度センサ、角速度センサ、ジャイロセンサ、近接センサ、接触センサ、振動センサ、方位センサ、Bluetooth(「Bluetooth」はBluetooth SIGの登録商標)などでスマートフォンなどの所定のモバイル機器と接続可能な通信素子、自然光と蛍光灯からの光とを識別して感知するためのカメラなどの撮像素子、およびメカニカルスイッチから選ばれる一つ以上のセンサまたは素子を含む。アイウェア100が、いずれのセンサまたは素子を含むかは、アイウェア100の用途や使用形態に応じて適宜選択される。また、これらのセンサまたは素子は、アイウェア100の外部に設けられていてもよく、例えば通信素子を介して制御部160に検出値を出力するものであってもよい。
【0090】
感知部170が、傾斜センサおよび照度センサの他に、上記センサや素子が含まれることで、例えば以下のような情報を制御部160が取得することができる。
【表1】
【0091】
(アイウェアの制御)
・モードについて
本実施形態のアイウェア100には、上述の視力補正機能、調光補正機能、および視力調光補正機能を行うための複数のモードが
図9の模式図に示すように階層状に設定されている。当該アイウェア100でも、ユーザが入力部140を通じて、各階層のモードを選択することで、制御部160に所望の動作を実行させることができる。
【0092】
本実施形態のアイウェア100では、
図9に示すように、複数のモードが3階層にわけて設定されている。本実施形態のアイウェア100の第1階層には、視力補正機能を実行するための視力補正モード、調光補正機能を実行するための調光補正モード、ならびに視力調光補正機能を実行するための視力調光補正モード、が含まれる。
【0093】
また、視力補正モード、調光補正モード、および視力調光補正モードの下層(第2階層)には、マニュアルモード、オートモード、ならびに記憶部194に記憶された条件および感知部170で検出された各種検出値(傾斜角度および/または照度、ならびにこれら以外の検出値)に基づき、制御部160が視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能をオンまたはオフにする第3モード(以下、「インテリジェントモード」とも称する)が含まれる。
【0094】
さらに、各マニュアルモードの下層(第3階層)には、上記オートモードにおいて、視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能をオンまたはオフにするタイミングを学習するための自動学習モードが含まれる。
【0095】
なお、ユーザが各階層のモードを選択するときのアイウェア100の動作は、第1の実施形態と同様(
図6に示すフロー)であるため、説明を省略する。
【0096】
・アイウェアの動作について
以下、ユーザに選択されたモードに基づき、アイウェア100が各種機能を実行するときのアイウェア100の動作について説明する。上述の第1階層のモードとして、視力補正モード、調光補正モード、および視力調光補正モードのいずれかが選択されると、制御部160は、視力補正機能、調光補正機能、および視力調光補正機能のうち、各モードに対応する機能を実行する。また、第2階層のモードとして、マニュアルモードが選択されると、制御部160は、入力部140がユーザから指示動作を受け付けたときのみ、視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能のオン/オフを変更する。一方、オートモードが選択されると、制御部160は、記憶部194に記憶された条件および感知部170で検出された検出値に基づいて、視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能のオン/オフを変更する。また、インテリジェントモードが選択されると、制御部160は、記憶部194に記憶された条件および感知部170で検出された検出値(傾斜角度および/または照度、ならびに上記センサや素子による検出値)に基づいて、視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能のオン/オフを変更する。さらに、上述の第3階層において、自動学習モードが選択されると、制御部160は、オートモードにおいて視力補正機能、調光補正機能、または視力調光補正機能をオンまたはオフにする条件を、適宜更新する。
【0097】
以下、感知部170が、傾斜センサ、照度センサ、および加速度センサを備えるアイウェア100の動作について説明する。
図10は、本実施形態に係るアイウェア100をユーザが使用するときの、アイウェア100の動作例を示すフローチャートであり、
図11は、
図10におけるフローの一部(インテリジェントモード)を示すフローチャートである。また、
図10に示す動作は、例えば、電源180の取り付けによって入力部140、制御部160および感知部170がオン状態になることにより開始される。
【0098】
また、以下の説明では、
図10に示すフローを開始するときに、上述の第1階層のモードとして視力補正モードを、第2階層のモードとしてマニュアルモードを、第3階層のモードとして、自動学習モード(オン)をそれぞれ実行している、と仮定する。またこのとき、視力補正機能はオフである、と仮定する。
【0099】
まず、制御部160は、第2階層のモードとして、いずれのモードが実行されているかを参照する(ステップS210)。そして、制御部160は、現在実行されている第2階層のモードが、マニュアルモードであるか否かを判定する(ステップS211)。
【0100】
制御部160がステップS211においてマニュアルモードが実行されていると判定すると、入力部140は、タッチセンサの静電容量変化を検出し、ユーザの指示動作を受け付ける(ステップS221)。そして、入力部140は、指示動作を受け付けた旨の信号を制御部160に伝える。入力部140からの信号を受信した制御部160は、当該指示動作が、第1〜第3の指示動作とは異なる第4の指示動作(例えばスワイプせずに上記複数のタッチセンサのいずれかを所定時間指等で触る(長押し)等)であるかを判定する(ステップS222)。
【0101】
上記指示動作が第4の指示動作であると判定すると、制御部160は入力部140が指示動作を受け付けたときのアイウェア100の傾斜角度および/または照度、ならびに加速度を感知部170から受け取る(ステップS223)。このとき、制御部160が受け取るデータの種類は、第1階層のモードに応じて選択される。本説明では、
図10に示すフローを開始するときに、上述の第1階層のモードとして、視力補正モードが実行されていると仮定している。そこで、制御部160は、感知部170が検出した傾斜角および加速度に関するデータを受け取る。
【0102】
続いて、制御部160は、入力部140がステップS221において指示動作を受け付けてから所定の時間内に、再度、指示動作を受け付けたか否かを判定する(ステップS224)。所定時間内に再度、指示動作を受け付けたと制御部160が判定すると、先のユーザからの指示は取り消されたものとして、処理はステップS228に遷移する。
【0103】
一方、所定時間内に再度、入力部140が指示動作を受け付けなかったと判定すると、制御部160は、第1階層のモードに対応する補正機能(本説明では、視力補正機能)をオンまたはオフに切り替える(ステップS225)。
【0104】
その後、制御部160は、第3階層のモードを参照し、自動学習モードがオンであるか否かを判定する(ステップS226)。ステップS226において、アイウェア100の自動学習モードがオフであると制御部160が判定すると、自動学習は不要であるとして、処理はステップS228に遷移する。
【0105】
一方、ステップ226において、アイウェア100の自動学習モードがオンであると判定すると、制御部160は、記憶部194に記憶された条件のうち、第1階層のモードに対応する条件を更新する(ステップS227)。本説明では、
図10に示すフローを開始するときに、第1階層のモードとして視力補正モードが実行されており、視力補正機能がオフであると仮定している。そこで、制御部160は、入力部140がユーザからの指示動作を受け付けた日時、ステップS223で感知部170が検出した傾斜角度等および加速度、ならびにユーザからの指示内容(例えば、視力補正機能をオンにするための指示であったこと等)を記憶部194に記憶させる。そして、記憶部194に記憶されていた、視力補正機能をオンにするための閾値(傾斜角度および加速度)をそれぞれ、ステップS223で感知部170が検出した傾斜角度および加速度と置き換える。その後、処理はステップS228に遷移する。
【0106】
そして、制御部160は、処理を終了させる必要があるか否かについて判定する(ステップS228)。例えば、制御部160は、予め定められた処理を終了させる条件が満たされているときは、処理を終了させる必要があると判定する。一方、上記条件が満たされていないときは、処理を終了させる必要がないと判定する。判定の結果、処理を終了させる必要がある場合、制御部160は、
図10における処理を終了する。一方、処理を終了させる必要がない場合、処理はステップS221の前に戻る。
【0107】
一方、ステップS211においてマニュアルモード以外が実行されていると判定すると、制御部160は、オートモードが選択されているか否かを判定する(ステップS212)。そして、ステップS212において、オートモードが選択されていると判定すると、制御部160は、アイウェア100の傾斜角度および/または照度を感知部170から受け取る(ステップS231)。このとき、制御部160が受け取るデータの種類は、第1階層のモードに応じて選択され、本説明では、傾斜角度とされる。
【0108】
制御部160は、第1階層のモードに対応する補正機能(本説明では、視力調整機能)がオンになっているかを判定する(ステップS232)。ステップS232において、補正機能がオンであると判定すると、制御部160は補正機能をオフにするための傾斜角度および/または照度に関する閾値(本説明では、傾斜角度に関する閾値)を、記憶部194から読み出す(ステップS233)。アイウェア100の初回使用時の閾値は、予め設定された値とされる。一方、前述の自動学習モードが行われ、閾値が更新されている場合、制御部160は、自動学習モードで更新された後の閾値を記憶部194から読み出す。
【0109】
続いて、制御部160は、ステップS231において感知部170で検出された検出値が、ステップS233で読み出された閾値以下であるか否かを判定する(ステップS235)。ステップS235において、検出値が閾値以下であると判定すると、制御部160は、補正機能をオフにし(ステップS237)、処理はステップS239に遷移する。一方、検出値が閾値より高いと制御部160が判定すると、補正機能をオフにする必要はないとして、処理はステップS239に遷移する。
【0110】
一方、ステップS232において、補正機能がオフであると判定すると、制御部160は補正機能をオンにするための傾斜角度および/または照度に関する閾値(本説明では、傾斜角度に関する閾値)を、記憶部194から読み出す(ステップS234)。この場合も、アイウェア100の初回使用時の閾値は、予め設定された値とされる。一方、前述の自動学習モードが行われ、閾値が更新されている場合、制御部160は、自動学習モードで更新された後の閾値を記憶部194から読み出す。なお、補正機能をオンにするための閾値は、上記補正機能をオフにするための閾値と同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0111】
続いて、制御部160は、ステップS231において、感知部170で検出された検出値が、ステップS234で読み出された閾値以上であるか否かを判定する(ステップS236)。ステップS236において、検出値が閾値以上であると判定すると、制御部160は視力補正機能をオンにし(ステップS238)、処理はステップS239に遷移する。一方、検出値が閾値より低いと制御部160が判定すると、補正機能をオンにする必要はないとして、処理はステップS239に遷移する。
【0112】
その後、制御部160は、処理を終了させる必要があるか否かについて判定する(ステップS239)。例えば、制御部160は、予め定められた処理を終了させる条件が満たされているときは、処理を終了させる必要があると判定する。一方、上記条件が満たされていないときは、処理を終了させる必要がないと判定する。判定の結果、処理を終了させる必要がある場合、制御部160は、
図10における処理を終了する。一方、処理を終了させる必要がない場合、処理はステップS231の前に戻る。
【0113】
また、ステップS212において、オートモード以外が選択されたと制御部160が判定すると、処理はインテリジェントモード(ステップS240)に遷移する。
【0114】
図11に示すように、ステップ212において、オートモード以外が選択されたと判定すると、制御部160は、アイウェア100の傾斜角度および/または照度、ならびに加速度を感知部170から受け取る(ステップS241)。このとき、制御部160が受け取るデータの種類も、第1階層のモードに応じて選択され、本説明では、傾斜角度および加速度とされる。
【0115】
そして、制御部160は、アイウェア100の補正機能(本説明では、視力補正機能)がオンになっているかを判定する(ステップS242)。ステップS242において、補正機能がオンであると判定すると、制御部160は補正機能をオフにするための加速度に関する閾値を、記憶部194から読み出す(ステップS243)。アイウェア100の初回使用時の閾値は、予め設定された値とされる。一方、前述の自動学習モードが行われ、閾値が更新されている場合、制御部160は、自動学習モードで更新された後の閾値を記憶部194から読み出す。
【0116】
そして、ステップS241で検出された検出値のうち、加速度が、ステップS243で読み出された閾値以上であるか否かを制御部160が判定する(ステップS245)。ステップS245において、検出値が閾値以上であると制御部160が判定すると、ユーザが移動中であるとして、制御部160は視力補正機能をオフにし(ステップS248)、処理はステップS255に遷移する。一方、検出値が閾値より低いと判定すると、制御部160は、補正機能をオフにするための傾斜角度および/または照度に関する閾値を記憶部194から読み出す(ステップS247)。そして、ステップS241で検出された検出値(本説明では、傾斜角度)が、ステップS247で読み出された閾値以下であるか否かを制御部160が判定する(ステップS251)。ステップS251において、検出値が閾値以下であると判定すると、制御部160は補正機能をオフにし(ステップS253)、処理はステップS255に遷移する。一方、検出値が閾値より高いと制御部160が判定すると、視力補正機能をオフにする必要はないとして、処理はステップS255に遷移する。
【0117】
一方、ステップS242において、補正機能がオフであると判定すると、制御部160は補正機能をオンにするための加速度に関する閾値を、記憶部194から読み出す(ステップS244)。そして、制御部160は、ステップS241で検出された検出値(加速度)が、ステップS244で読み出された閾値以下であるか否かを判定する(ステップS246)。ステップS246において、検出値が閾値より高いと制御部160が判定すると、ユーザが移動中であり、視力補正機能をオンにする必要がないとして、処理はステップS255に遷移する。一方、検出値が閾値以下であると判定すると、制御部160は、補正機能をオンにするための傾斜角度に関する閾値を記憶部194から読み出す(ステップS250)。そして、ステップS241で検出された検出値(本説明では傾斜角度)が、ステップS250で読み出された閾値以上であるか否かを判定する(ステップS252)。ステップS252において、検出値が閾値以上であると判定すると、制御部160は、視力補正機能をオンにし(ステップS254)、処理はステップS255に遷移する。一方、検出値が閾値より低いと制御部160が判定すると、視力補正機能をオンにする必要はないとして、処理はステップS255に遷移する。
【0118】
その後、制御部160は、処理を終了させる必要があるか否かについて判定する(ステップS255)。例えば、制御部160は、予め定められた処理を終了させる条件が満たされているときは、処理を終了させる必要があると判定する。一方、上記条件が満たされていないときは、処理を終了させる必要がないと判定する。判定の結果、処理を終了させる必要がある場合、制御部160は、
図10における処理を終了する。一方、処理を終了させる必要がない場合、処理はステップS241の前に戻る。
【0119】
なお、上記では、第1階層のモードとして視力補正モードが実行されている場合のみを説明したが、第1階層のモードとして調光補正モードが実行されている場合や、視力調光補正モードが実行されている場合にも、上記と同様の制御を行うことができる。また上記では、ステップS227で常に記憶部194に記憶された条件を更新しているが、第1の実施形態と同様に、制御部160が、条件の更新が必要であると判定した場合にのみ、ステップS227で条件を更新してもよい。
【0120】
また、第1の実施形態と同様に、各モードの階層はさらに細かく分かれていてもよく、視力補正モードの下層に読書モードやモバイル機器使用モードが含まれていてもよく、調光補正モードの下層に、淡色調光モード、中間色調光モード、および濃色調光モード等が含まれていてもよい。
【0121】
上記では、感知部170が加速度センサを備えるアイウェア100について説明したが、感知部170が他のセンサや素子を備える場合にも、同様に制御を行うことができる。例えば、感知部170が位置検出センサや撮像素子等を備える場合には、インテリジェントモードのステップS245やステップS246において、屋外であるか屋内であるかを判定し、調光補正機能をオンまたはオフにしたり、電気制御型レンズ150の透過率を調整したりすること等ができる。また、感知部170が近接センサや通信素子を備える場合には、インテリジェントモードのステップS245やステップS246において、アイウェア100から視認対象物(例えばモバイルフォン等の通信機器)までの距離を判定し、視力補正機能や調光補正機能をオンまたはオフにしたり、電気制御型レンズ150の透過率を調整したりすることができる。
【0122】
また、感知部170が加速度センサや角速度センサ、ジャイロセンサを備える場合には、インテリジェントモードのステップS245やステップS246において、制御部160がユーザの状態(例えば、姿勢や眠気等)を判定し、視力補正機能や調光補正機能をオンまたはオフにしたり、電気制御型レンズ150の透過率を調整したりすることができる。
【0123】
以上のように、本実施形態のアイウェア100のオートモードでは、マニュアルモードで収集された傾斜角度および/または照度に関する情報に基づき、視力補正機能、調光補正機能、または視力補正調光機能を自動でオンまたはオフにすることができる。一方、インテリジェントモードでは、マニュアルモードで収集された傾斜角度や照度だけでなく、感知部170が含む各種センサや素子で検出される情報(アイウェアの外的環境、またはユーザの状態)に基づいて、視力補正機能、調光補正機能、または視力補正調光機能を自動でオンまたはオフにすることが可能である。つまり、本実施形態のアイウェア100によれば、ユーザの嗜好や、環境、ユーザの状態等に合わせて、より細かく各機能を発現させる条件を設定することが可能である。
【0124】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態はそれぞれ本発明の一例を示すものであり、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において、他の種々多様な実施形態も可能であることは言うまでもない。
【0125】
例えば、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、アイウェア100が、視力補正機能および調光補正機能の両方を実行可能な形態を説明した。ただし、アイウェアは、これらのうちいずれか一方のみを実行可能であってもよい。
【0126】
例えば、視力補正機能を実行可能なアイウェアとする場合、上述の電気制御型レンズは、後方(使用者側)から、第1の透明基板、第1の透明電極、屈折率可変層、第2の透明電極、および第2の透明基板が配置された第1の領域と、後方(使用者側)から、第1の透明基板、第1の透明電極、接着層、第2の透明電極、および第2の透明基板が配置された第2の領域と、を備えていればよい。
【0127】
また、調光補正機能を実行可能なアイウェアとする場合、上述の電気制御型レンズは、第一の透明基板、第1の透明電極、透過率可変層、第2の透明電極、および第2の透明基板を備えていればよい。
【0128】
また、上述の第1の実施形態または第2の実施形態に係るアイウェア100は、複数の指示動作を受け付け可能な単一の入力部140を有していたが、入力部は、フレームの複数個所に配置されてもよい。このとき、制御部は、上記複数個所に配置された複数の入力部が受け付ける同一の指示動作によって、いずれも同一の階層の機能を実行してもよいし、受け付ける指示動作によって、入力部ごとに異なる階層の機能を実行してもよい。
【0129】
また、上述のフレームは、ユーザの鼻に接触してアイウェアを位置固定する一対の鼻パッド、テンプルを回転可能にフロントのリムに接続するヒンジ部、リムの両端に配置されて電気制御型レンズをリムにねじ止めするリムロック部およびヨロイ部、テンプルを耳に掛ける形状を有するモダン部などを有していてもよい。入力部、制御部および感知部などは、これらの部材のうちいずれに配置されてもよい。
【0130】
また、
図12に、本発明のアイウェアの例示的な機能構成を表すブロック図を示す。
図12に示すように、アイウェアは、上述の実施形態で説明した各構成の他に、他のデバイスと通信可能な通信部192、ディスプレイなどの表示装置またはLEDランプなどの機能の変更などを通知する外部の通知装置と有線または無線で接続可能な出力部196などを有していてもよい。アイウェアが備える各機能部は、バスBにより接続される。
【0131】
なお、上記説明では、電気制御により光学特性が変化する光学モジュールの例として電気制御型レンズを挙げて説明していたが、上記光学モジュールは、投射部198により画像および映像などを投射可能な透明板などであってもよい。このとき、制御部160は、投射される画像または映像などの種類に関する機能およびそのパターンに関する機能などを第1の指示動作および第2の指示動作で実行してもよい。
【0132】
2017年3月13日出願の特願2017−047407号の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。