特許第6792703号(P6792703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6792703半導体パッケージ構造及び半導体デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792703
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】半導体パッケージ構造及び半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20201116BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20201116BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   H01L23/12 501B
   H01L25/04 C
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-520706(P2019-520706)
(86)(22)【出願日】2018年8月14日
(65)【公表番号】特表2019-532516(P2019-532516A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(86)【国際出願番号】CN2018100352
(87)【国際公開番号】WO2019034036
(87)【国際公開日】20190221
【審査請求日】2019年4月17日
(31)【優先権主張番号】201710693212.6
(32)【優先日】2017年8月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515308855
【氏名又は名称】蘇州捷芯威半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】GPOWER SEMICONDUCTOR,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】趙 樹峰
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0237829(US,A1)
【文献】 特開2016−201565(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0307826(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第110692128(CN,A)
【文献】 特開2005−183582(JP,A)
【文献】 特開2001−176899(JP,A)
【文献】 特開2015−029157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体チップのパッケージングに用いられる半導体パッケージ構造であって、
前記半導体チップは、少なくとも2つの電極を備え、各電極には少なくとも1つの電極開孔が設けられており、
前記半導体パッケージ構造は、パッケージベース及び少なくとも2つの拡張電極を備え、
前記パッケージベースには、前記少なくとも2つの電極にそれぞれ対応する少なくとも2つのリード電極が設けられており、
前記少なくとも2つの拡張電極のうちの各拡張電極は、1つの前記リード電極と電気的に接続されており、且つ、導電柱を備えており、
前記導電柱は、前記電極に開設された1つの電極開孔に挿し込まれる
ことを特徴とする半導体パッケージ構造。
【請求項2】
前記リード電極は、少なくとも1つのトレンチを備え、前記拡張電極は、前記リード電極におけるトレンチと嵌合する導電突起を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項3】
各拡張電極は、さらに導電本体を備え、前記拡張電極における導電柱と導電突起は、前記導電本体の両端にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項4】
前記半導体チップは、2端子デバイスであり、前記少なくとも2つの電極は、第1の電極と第2の電極とを備え、
その中、前記少なくとも2つの拡張電極は、
前記第1の電極に開設された電極開孔に挿し込むための第1の導電柱、及び前記第1の電極に対応するリード電極に設けられたトレンチと嵌合する第1の導電突起を有する、前記第1の電極と対応する第1の拡張電極と、
前記第2の電極に開設された電極開孔に挿し込むための第2の導電柱、及び前記第2の電極に対応するリード電極に設けられたトレンチと嵌合する第2の導電突起を有する、前記第2の電極と対応する第2の拡張電極と、を含むことを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項5】
前記少なくとも2つのリード電極は、前記第1の電極及び前記第2の電極とそれぞれ対応する第1のリード電極及び第2のリード電極を含み、前記第1のリード電極及び前記第2のリード電極は、前記パッケージベースの対向する両端にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項4に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項6】
前記半導体チップは、3端子デバイスであり、前記少なくとも2つの電極は、ソースと、ドレインと、ゲートとを備え、
その中、前記少なくとも2つの拡張電極は、
前記ソースに開設された電極開孔に挿し込むための第1の導電柱、及び前記ソースに対応するリード電極に設けられたトレンチと嵌合する第1の導電突起を有する、前記ソースと対応する第1の拡張電極と、
前記ドレインに開設された電極開孔に挿し込むための第2の導電柱、及び前記ドレインに対応するリード電極に設けられたトレンチと嵌合する第2の導電突起を有する、前記ドレインと対応する第2の拡張電極と、
前記ゲートに開設された電極開孔に挿し込むための第3の導電柱、及び前記ゲートに対応するリード電極に設けられたトレンチと嵌合する第3の導電突起を有する、前記ゲートと対応する第3の拡張電極と、を含むことを特徴とする請求項2に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項7】
前記少なくとも2つのリード電極は、前記ソースに対応する第1のリード電極と、前記ドレインに対応する第2のリード電極と、前記ゲートに対応する第3のリード電極とを備え、
前記第3のリード電極の数は少なくとも1つであり、前記パッケージベース上において前記ゲートに対応する両端に位置することを特徴とする請求項6に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項8】
前記トレンチは、底部が弧状の凹溝であり、前記導電突起は、前記底部が弧状の凹溝の曲率とマッチングする凸ブロックであることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項9】
前記導電突起は、等間隔に配列された複数の突起を含み、前記トレンチは、前記複数の突起とマッチングする複数のブラインドホールであることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項10】
各電極は、等間隔の配列又は複数列の配列を呈する複数の電極開孔を有し、各拡張電極は、前記電極における前記複数の電極開孔に対応して同じルールで配列された複数の導電柱を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項11】
前記導電柱は、予めに前記電極開孔内に形成された金属柱であり、前記拡張電極には、前記金属柱とマッチングするブラインドホールが開設されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項12】
前記半導体チップを収容するためのチップ収容溝と、前記チップ収容溝の底部に設けられた放熱シートと、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の半導体パッケージ構造。
【請求項13】
半導体チップと、前記半導体チップのパッケージングに用いられる半導体パッケージ構造とを備える半導体デバイスであって、
前記半導体チップは、少なくとも2つの電極を備え、その中、それぞれの電極が少なくとも1つの電極開孔を有し、
前記半導体パッケージ構造は、
前記少なくとも2つの電極にそれぞれ対応する少なくとも2つのリード電極が設けられたパッケージベースと、
それぞれが1つの前記リード電極と電気的に接続され、且つ、1つの前記電極に開設された電極開孔に挿し込むための導電柱を有する少なくとも2つの拡張電極と、を備えることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項14】
前記半導体チップの上面に被覆されたパッシベーション誘電体層をさらに備え、前記電極開孔は、前記パッシベーション誘電体層を通り抜けることを特徴とする請求項13に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記パッケージベース上に設けられた前記リード電極以外の領域を被覆するための誘電体保護層をさらに備え、前記誘電体保護層は、前記電極開孔と対応するスルーホールを有することを特徴とする請求項13又は14のいずれか1項に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体技術の分野に関し、具体的に、半導体パッケージ構造及び半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パワーデバイスの実用では、半導体デバイスの応用システムが安定に作動するように、用いられる半導体パワーデバイスの基本的特性(例えば、デバイスの高耐圧特性、大電流特性、低オン抵抗)に対する要求が厳しい上、半導体デバイスの高信頼性に対してより高いニーズがある。半導体デバイスの信頼性の性能は、主に半導体デバイスチップとパッケージ技術とにより決定され、特に、合格した半導体デバイスチップを備えた場合、合理的なパッケージ方法又は技術を選択することも特に重要であった。
【0003】
第3の世代のワイドバンドギャップ半導体窒化ガリウム(GaN)及び炭化ケイ素(SiC)技術の急速な発展に伴って、高電圧、大電流、高周波数等の特性を有するハイパワー半導体デバイスチップが生み出されている。しかし、パッケージングの際に導入される寄生インダクタンスは高周波作動条件での信号発振を劣化させ、不良な放熱経路はデバイスのハイパワー作動過程に発生する熱を迅速に逃がすことができず、デバイスの接合部温度を急激に上昇させ、これらの悪現象はいずれも半導体デバイスの応用システムの安定性及び効率を直接影響することになる。従って、低寄生パラメータ(低寄生インダクタンス、低寄生抵抗等)、高熱伝導能力のパッケージ方法及び技術の開発が、業界において高周波数、ハイパワー半導体デバイスの信頼性を向上させる鍵となる研究に向かうようになりつつある。同時に、システム体積の小型化も業界発展に必要である。
【0004】
現在、業界の半導体パワーデバイスチップのパッケージとして、主にTO(Transistor Out−line、トランジスタアウトライン)シリーズ及びQFN(Quad Flat No−lead、クワッド・アウトライン・リード端子なし)等のプラスチックパッケージ形態があり、パッケージ技術では、主にワイヤボンディングプロセスを用いてかかる半導体チップ電極と特定のパッケージピンとの間をワイヤ又は金属ストリップによって電気的に接続させる。ワイヤボンディングされたワイヤが寄生インダクタンスを導入するため、高周波作動条件の下で信号発振を悪化させる要因となり、システム応用の安定性を悪くする。同時に、半導体デバイスのハイパワー作動で生じる大量の熱を迅速に消散させることができなくて、半導体デバイスの性能劣化を招き、ひいてはデバイス故障の原因となる。また、ボンディング空間のニーズによって、パッケージの体積をさらに小さくできないため、当該パッケージ構造を用いる応用モジュールも体積の小型化を図ることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、上記問題を解決する半導体パッケージ構造及び半導体デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面において、それぞれが少なくとも1つの電極開孔を有する少なくとも2つの電極を備えた半導体チップのパッケージングに用いられる半導体パッケージ構造であって、少なくとも2つの電極にそれぞれ対応する少なくとも2つのリード電極が設けられたパッケージベースと、それぞれが1つのリード電極と電気的に接続され、且つ、1つの電極に開設された電極開孔に挿し込むための導電柱を有する少なくとも2つの拡張電極と、を備える半導体パッケージ構造を提供する。
【0007】
1つの実施例において、リード電極は、少なくとも1つのトレンチを備え、拡張電極は、リード電極におけるトレンチと嵌合する導電突起を備える。
【0008】
また、1つの実施例において、各拡張電極は、さらに導電本体を備え、拡張電極における導電柱と導電突起は、導電本体の両端にそれぞれ設けられる。
【0009】
さらに、1つの実施例において、半導体チップは、2端子デバイスであり、少なくとも2つの電極は、第1の電極と第2の電極とを備え、少なくとも2つの拡張電極は、第1の電極に開設された電極開孔に挿し込むための第1の導電柱、及び第1の電極に対応するリード電極に設けられたトレンチと嵌合する第1の導電突起を有する、第1の電極と対応する第1の拡張電極と、第2の電極に開設された電極開孔に挿し込むための第2の導電柱、及び第2の電極に対応するリード電極に設けられたトレンチと嵌合する第2の導電突起を有する、第2の電極と対応する第2の拡張電極と、を含む。
【0010】
また、1つの実施例において、少なくとも2つのリード電極は、第1の電極及び第2の電極とそれぞれ対応する第1のリード電極及び第2のリード電極を含み、第1のリード電極及び第2のリード電極は、パッケージベースの対向する両端にそれぞれ設けられる。
【0011】
さらに、1つの実施例において、半導体チップは、3端子デバイスであり、少なくとも2つの電極は、ソースと、ドレインと、ゲートとを備え、少なくとも2つの拡張電極は、ソースに開設された電極開孔に挿し込むための第1の導電柱、及びソースに対応するリード電極に設けられたトレンチと嵌合する第1の導電突起を有する、ソースと対応する第1の拡張電極と、ドレインに開設された電極開孔に挿し込むための第2の導電柱、及びドレインに対応するリード電極に設けられたトレンチと嵌合する第2の導電突起を有する、ドレインと対応する第2の拡張電極と、ゲートに開設された電極開孔に挿し込むための第3の導電柱、及びゲートに対応するリード電極に設けられたトレンチと嵌合する第3の導電突起を有する、ゲートと対応する第3の拡張電極と、を含む。
【0012】
また、1つの実施例において、少なくとも2つのリード電極は、ソースに対応する第1のリード電極と、ドレインに対応する第2のリード電極と、ゲートに対応する第3のリード電極とを備え、第3のピンの数は少なくとも1つであり、パッケージベース上においてゲートに対応する両端に位置する。
【0013】
また、1つの実施例において、トレンチは、底部が弧状の凹溝であり、導電突起は、底部が弧状の凹溝の曲率とマッチングする凸ブロックである。
【0014】
さらに、1つの実施例において、導電突起は、等間隔に配列された複数の突起を含み、トレンチは、複数の突起とマッチングする複数のブラインドホールである。
【0015】
また、1つの実施例において、導電突起は、複数列に配列された複数の突起を含み、各列に配列された突起の数は異なり、トレンチは、複数の突起とマッチングする複数のブラインドホールである。
【0016】
さらに、1つの実施例において、各電極は、等間隔の配列又は複数列の配列を呈する複数の電極開孔を有し、各拡張電極は、電極における複数の電極開孔に対応して同じルールで配列された複数の導電柱を備える。
【0017】
また、1つの実施例において、電極開孔は、面取りされた直方体孔であり、電極開孔と対応する導電柱は、電極開孔の形状とマッチングする面取りされた直方体柱である。
【0018】
さらに、1つの実施例において、導電柱は、予めに電極開孔内に形成された金属柱であり、拡張電極には、金属柱とマッチングするブラインドホールが開設される。
【0019】
また、1つの実施例において、当該半導体パッケージ構造は、半導体チップを収容するためのチップ収容溝と、収容溝の底部に設けられた放熱シートと、をさらに備える。
【0020】
さらに、1つの実施例において、放熱シートは、1つの平面単枚式の放熱素子からなるか、或いは、縦方向複数枚式の放熱素子の組み合せから形成される。
【0021】
本発明の他の側面において、半導体チップと、半導体チップのパッケージングに用いられる半導体パッケージ構造とを備え、半導体チップは、それぞれが少なくとも1つの電極開孔を有する少なくとも2つの電極を備え、パッケージ構造は、少なくとも2つの電極にそれぞれ対応する少なくとも2つのリード電極が設けられたパッケージベースと、それぞれが1つのリード電極と電気的に接続され、且つ、1つの電極に開設された電極開孔に挿し込むための導電柱を有する少なくとも2つの拡張電極と、を備える半導体デバイスを提供する。
【0022】
また、1つの実施例において、リード電極は、少なくとも1つのトレンチを備え、拡張電極は、リード電極におけるトレンチと嵌合する導電突起を備える。
【0023】
さらに、1つの実施例において、当該半導体デバイスは、半導体チップの上面に被覆されるパッシベーション誘電体層をさらに備え、電極開孔は、パッシベーション誘電体層を通り抜ける。
【0024】
また、1つの実施例において、当該半導体デバイスは、リード電極以外の領域を被覆するためのパッケージベース上に設けられる誘電体保護層をさらに備え、誘電体保護層は、電極開孔と対応するスルーホールを有する。
【0025】
さらに、1つの実施例において、誘電体保護層の上面とリード電極の上面は面一である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施例が提供する半導体パッケージ構造は、半導体チップに電極開孔を設けることで、拡張電極における導電柱及び導電突起を介して半導体チップとリード電極とを接続する。リード線を使用せずに半導体チップとリード電極との接続を実現でき、ワイヤボンディングによる接続で導入される寄生インダクタンスを効果的に回避し、寄生インダクタンスによる高周波作動条件下で信号発振が激しくなることを改善し、高周波デバイスの電気信号伝送の品質をさらに向上する。導電柱及び導電突起が半導体チップ上の対応する電極及びリード電極とそれぞれシームレスに接続される形態を用いて、電気的に接続される接触面積を広げ、電極間の接触抵抗を低減し、確実な電気的接続方式を実現する。同時に、拡張電極は、半導体チップの作動時に発生する熱の伝導経路を改善でき、半導体チップの温度上昇を低減し、半導体デバイスの使用効率及び信頼性を高める。また、本発明の実施例が提供するパッケージ技術は、半導体チップのサイズに応じてパッケージ型を製造でき、半導体デバイスのパッケージ体積を効果的に低減でき、半導体デバイスモジュールの応用の小型化を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下、本発明の実施例による技術案をより明らかに説明するために、実施例で利用する必要がある図面について簡単に紹介する。なお、後述する図面は、本発明の幾つかの実施例を示したものに過ぎず、範囲に対する限定的なものではないことを理解できるであろう。当業者であれば、創造的な活動をしない前提で、これらの図面に基づいて他の関連する図面を得ることもできる。
図1】本発明の一実施例が提供する半導体パッケージ構造の構造模式図である。
図2】本発明の一実施例が提供する半導体パッケージ構造におけるパッケージベースの構造模式図である。
図3図2に示すaa’方向の断面模式図である。
図4図2に示すbb’方向の断面模式図である。
図5】本発明の一実施例が提供する半導体パッケージ構造の断面模式図である。
図6】本発明の他の実施例が提供する半導体パッケージ構造の断面模式図である。
図7】本発明の一実施例が提供する半導体チップの断面模式図である。
図8】本発明の一実施例が提供する半導体パッケージ構造におけるパッケージベースと半導体チップとの嵌合を示す断面模式図である。
図9】本発明の他の実施例が提供する半導体パッケージ構造の構造模式図である。
図10】本発明の一実施例が提供する半導体パッケージ構造の断面模式図である。
図11】本発明の一実施例が提供する半導体パッケージ構造にパッケージされた半導体チップの断面模式図である。
図12】本発明の一実施例が提供する半導体パッケージ構造の断面模式図である。
図13】本発明の他の実施例が提供する半導体パッケージ構造の断面模式図である。
図14】本発明のまた他の実施例が提供する半導体パッケージ構造の断面模式図である。
図15】本発明の更に他の実施例が提供する半導体パッケージ構造の断面模式図である。
図16】本発明の更に他の実施例が提供する半導体パッケージ構造の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例における技術案について、本発明の実施例における図面を参照しながら明らかで完全な説明を行う。また、説明する実施例も本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではないことは勿論である。一般に、これらの図面に描いた本発明の実施例のアッセンブリーは、様々な異なる配置で設置及び設計することができる。
【0029】
従って、以下の図面において提供する本発明の実施例の詳細な説明は保護請求する本発明の範囲を制限するためのものではなく、ただ本発明の好ましい実施例を示すだけである。なお、本発明の実施例に基づいて、当業者の創造的な活動をしない前提で得られる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0030】
また、類似な符号及び文字は次の図面で類似項を表すため、ある1項が1つの図面で定義されると、その後の図面ではそれに対してさらに定義し解釈する必要がないことに注意すべきである。本発明の説明において、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等の用語はただ分けて説明するためのものであり、相対的な重要性を指示する、又は暗示すると理解してはいけない。
【0031】
本発明の実施例は、半導体チップのパッケージングに用いられる半導体パッケージ構造を提供している。当該半導体チップは、少なくとも2つの電極を備え、各電極には、少なくとも1つの対応する電極開孔が形成されている。当該パッケージ構造は、パッケージベースと、少なくとも2つの拡張電極とを備える。パッケージベース上には、半導体チップの少なくとも2つの電極とそれぞれ対応するリード電極が設けられている。各拡張電極は、1つのリード電極と電気的に接続され、且つ、1つの電極に開設された電極開孔に挿し込まれる導電柱を有する。
【0032】
1つの実施例において、リード電極上には、少なくとも1つのトレンチが形成され、拡張電極上には、導電突起が形成され、導電突起とリード電極上のトレンチとが嵌合することで、拡張電極とリード電極の電気的な接続が実現される。
【0033】
半導体チップとして、2端子デバイス(例えばダイオード)又は3端子デバイス(例えばトライオードやトランジスタ)であってもよく、異なる実施例によって以下で詳しく説明する。
【0034】
先ず、3端子デバイスを例として、図1及び図2に示すように、本発明の一実施例は、半導体チップ200のパッケージングに用いられる半導体パッケージ構造100を提供する。当該半導体チップ200の少なくとも2つの電極は、ソース201と、ドレイン202と、ゲート203とを含み、当該ソース201、ドレイン202及びゲート203上には、電極開孔がそれぞれ形成されている。半導体パッケージ構造100は、パッケージベース101と、少なくとも2つの拡張電極とを備え、半導体チップ200はパッケージベース101に収容される。
【0035】
パッケージベース101上には、ソース201、ドレイン202及びゲート203とそれぞれ対応する複数のリード電極と、半導体チップ200を収容するためのチップ収容溝1011とが設けられている(図3及び図4参照)。リード電極上には、少なくとも1つのトレンチ1015が形成されている。一実施形態において、ソース201と対応するリード電極が第1のリード電極1012で、ドレイン202と対応するリード電極が第2のリード電極1013で、ゲート203と対応するリード電極が第3のリード電極1014である。
【0036】
各拡張電極は、ソース201、ドレイン202又はゲート203上に開設された電極開孔に挿し込むための導電柱と、当該ソース201、ドレイン202又はゲート203に対応するリード電極上に設けられたトレンチ1015と嵌合する導電突起とを有する。詳しくは、1つの実施例において、当該少なくとも2つの拡張電極は、第1の拡張電極102と、第2の拡張電極103と、第3の拡張電極104とを含む。
【0037】
半導体チップ200を製造する半導体材料として、窒化ガリウム、炭化ケイ素、ケイ素、ダイヤモンド、ヒ化ガリウム等の半導体材料から選ぶことができ、本発明の実施例では特に制限はない。チップ収容溝1011の形状及びサイズは、半導体チップ200の具体的な形状に応じて確定できる。好ましくは、チップ収容溝1011の長さと幅は、半導体チップ200の長さと幅よりも0〜5%大きい。
【0038】
半導体チップ200に開設される電極開孔の位置及び数について、チップの具体的構造に従って確定でき、幾つかの具体的な実施形態において、ソース201及びドレイン202に複数の電極開孔を開設することができ、ゲート203にはゲート線の両端にそれぞれ1つ又は複数の電極開孔を開設することができる。また、1つの具体的な実施例において、図1に示すように、ゲート203には2つの電極開孔が開設され、それぞれゲート線の両端に開設されている。
【0039】
電極開孔の形状として、円形又はその他の形状であってもよい。1つの実施例において、電極開孔は、面取りされた直方体孔であり、電極開孔と対応する導電柱は、当該電極開孔の形状とマッチングする面取りされた直方体柱である。
【0040】
なお、半導体チップ200における電極開孔が、ソース201上に開設されたソース電極開孔2011と、ドレイン202上に開設されたドレイン電極開孔2021と、ゲート203上に開設されたゲート電極開孔2031とを含んでもよいことはよく理解できるであろう。好ましくは、各電極に開設された複数の電極開孔は、電極に等間隔又は複数列で配列され、それに対応して、拡張電極における複数の導電柱は、チップ電極における電極開孔に対応して同じルールで配列される。
【0041】
半導体チップ200は、ソース201、ドレイン202が両端に位置し、ゲート203がソース201とドレイン202との間に位置する。対応するように、第1のリード電極1012及び第2のリード電極1013の数はそれぞれ1つであり、第1のリード電極1012及び第2のリード電極1013はパッケージベース101の対向する両端に位置し、且つ、第1のリード電極1012はソース201に近接して設けられ、第2のリード電極1013はドレイン202に近接して設けられる。第3のリード電極1014は、パッケージベース101の別の両端にそれぞれ位置するように2つ設けてもよい。
【0042】
好ましくは、リード電極におけるトレンチ1015は、底部が弧状の凹溝であり、その深さはリード電極の厚み以下である。図3及び図4に示すように、その中でトレンチ1015の深さはその位置しているリード電極の厚みよりも小さい。導電突起は、底部が弧状の凹溝1015の曲率とマッチングする凸ブロックである。
【0043】
図1を参照すると、第1の拡張電極102は、ソース201上に開設されたソース電極開孔2011に挿し込むための第1の導電柱1021と、当該ソース201に対応する第1のリード電極1012上に設けられたトレンチ1015と嵌合する第1の導電突起1022とを備える。また、第1の拡張電極102は、さらに第1の導電本体1023を備え、第1の導電柱1021と第1の導電突起1022は、第1の導電本体1023の両端にそれぞれ設けられる。1つの実施例において、第1の導電本体1023の形状は、シート状又は他の形状であってもよい。
【0044】
第1の拡張電極102における第1の導電柱1021の形状は、円柱形又は他の形状であってもよく、その形状はソース201における電極開孔の形状とマッチングし、第1の導電柱1021はソース電極開孔2011に挿し込んだ後にソース201と電気的に接続される。第1の導電柱1021の数はソース電極開孔2011の数とマッチングし、ソース電極開孔2011は複数個設けてもよく、複数の第1の導電柱1021は、対応するソース電極開孔2011に挿し込んだ後、第1の拡張電極102とソース201との電気的な接続を実現できる。
【0045】
第1の拡張電極102における第1の導電突起1022の形状は、第1のリード電極1012に開設されたトレンチ1015の形状とマッチングする。例えば、第1のリード電極1012におけるトレンチ1015は、楕円体型のトレンチ1015であり、第1の導電突起1022の形状は、楕円体型のトレンチ1015に挿入可能な凸ブロックであってもよく、第1の導電突起1022が第1のリード電極1012におけるトレンチ1015に挿入した後、第1の拡張電極102と第1のリード電極1012との電気的な接続を実現できる。つまり、第1の拡張電極102上に設けられた第1の導電柱1021及び第1の導電突起1022によって、半導体チップ200のソース201とパッケージベース101の第1のリード電極1012とを接続することができる。
【0046】
第2の拡張電極103は、ドレイン202上に開設されたドレイン電極開孔2021に挿し込むための第2の導電柱1031と、当該ドレイン202に対応する第2のリード電極1013上に設けられたトレンチ1015と嵌合する第2の導電突起1032とを備える。また、第2の拡張電極103はさらに第2の導電本体1033を備え、第2の導電柱1031と第2の導電突起1032とは、第2の導電本体1033の両端にそれぞれ設けられる。第2の導電本体1033の形状は、シート状又は他の形状であってもよい。
【0047】
第1の拡張電極102の構造と同様に、第2の拡張電極103は、第2の導電柱1031及び第2の導電突起1032によってドレイン202と第2のリード電極1013とを接続する。第2の導電柱1031の数及び形状は、ドレイン電極開孔2021の数及び形状とマッチングする。第2の導電突起1032の形状は、第2のリード電極1013におけるトレンチ1015の形状とマッチングする。
【0048】
第3の拡張電極104は、ゲート203上に開設されたゲート電極開孔2031に挿し込むための第3の導電柱1041と、当該ゲート203に対応する第3のリード電極1014上に設けられたトレンチ1015と嵌合する第3の導電突起1042とを備える。また、第3の拡張電極104はさらに第3の導電本体1043を備え、第3の導電柱1041と第3の導電突起1042とは、第3の導電本体1043の両端にそれぞれ設けられる。第3の導電本体1043の形状は、シート状又は他の形状であってもよい。
【0049】
上記したように、ゲート203におけるゲート電極開孔2031は2つであってもよく、第3のリード電極1014も2つであってもよい。対応するように、第3の拡張電極104は2つであり、2つの第3の拡張電極104は2つのゲート電極開孔2031と対応する第3のリード電極1014とをそれぞれ接続させてもよい。ゲート電極開孔2031が2つである時、各第3の拡張電極104における第3の導電柱1041は、各ゲート電極開孔2031に挿入可能で、1つであってもよい。各第3の拡張電極104における第3の導電突起1042は、各第3のリード電極1014におけるトレンチ1015とマッチングすることで、第3の拡張電極104を介してゲート203と第3のリード電極1014との接続を実現する。
【0050】
第1の導電本体1023、第2の導電本体1033、第3の導電本体1043の形状は、互いにマッチングしてもよいが、互いに接触しなく、任意の両者間に所定の距離を確保するようにする。第1の導電本体1023、第2の導電本体1033、第3の導電本体1043の厚みは、100μm〜5000μmであってもよい。第1の導電本体1023、第2の導電本体1033、第3の導電本体1043の材質は、Cu、Ag、Al等の電気抵抗率の小さい金属であってもよい。
【0051】
第1の導電柱1021、第2の導電柱1031、第3の導電柱1041の材質は、Cu、Ag、Al等の電気抵抗率の小さい金属であってもよい。
【0052】
第1の導電突起1022、第2の導電突起1032、第3の導電突起1042は、Cu、Ag、Al等の電気抵抗率の小さい金属であってもよい。第1の導電突起1022、第2の導電突起1032、第3の導電突起1042の曲率は、対応するトレンチ1015の曲率と一致し、第1の導電突起1022、第2の導電突起1032、第3の導電突起1042が対応するトレンチ1015内に置かれる時、シームレスな接触を実現できればよい。
【0053】
半導体チップ200のパッケージ過程において、半導体チップ200をチップ収容溝1011に入れ、対応する拡張電極における導電柱を対応する電極開孔に挿し込み、導電突起を対応するリード電極のトレンチ1015内に入れる。最後に、プラスチックパッケージプロセスにより一体にパッケージングすると、完全な半導体パッケージデバイスが形成される。
【0054】
本発明の実施例では、第1の拡張電極102における第1の導電柱1021及び第1の導電突起1022と、第2の拡張電極103における第2の導電柱1031及び第2の導電突起1032と、第3の拡張電極104における第3の導電柱1041及び第3の導電突起1042とにより、ソース201、ドレイン202、ゲート203を対応するリード電極に接続する。リード線を使用しなくても半導体チップとリード電極との接続を実現でき、ワイヤボンディングによる接続で導入される寄生インダクタンスを効果的に回避し、寄生インダクタンスによる高周波作動条件下で信号発振が激しくなることを改善し、高周波デバイスの電気信号伝送の品質をさらに向上する。導電柱及び導電突起が半導体チップ上の対応する電極及びリード電極とそれぞれシームレスに接続される形態を用いて、電気的に接続される接触面積を広げ、電極間の接触抵抗を低減し、確実な電気的接続方式を実現する。また、拡張電極は、半導体チップの作動時に発生する熱の伝導経路を改善でき、半導体チップの温度上昇を低減し、半導体デバイスの使用効率及び信頼性を高める。
【0055】
一部の具体的な実施形態において、図5に示すように、チップ収容溝1011には、放熱シート105がさらに設けられている。放熱シート105は、チップ収容溝1011の底部に設けてもよく、チップ収容溝1011の底部の全体又は一部を被覆してもよい。放熱シート105の具体的な長さ及び幅のサイズは、チップ収容溝1011の実際のサイズに応じて確定できる。半導体チップ200をチップ収容溝1011に入れる時、導電材料や金半田等の材料により半導体チップ200を放熱シート105に固定することができる。
【0056】
放熱シート105の厚みは、実際の必要に応じて確定でき、放熱シート105の厚みと半導体チップ200の厚みとの和がチップ収容溝1011の深さと一致することが好ましい。半導体チップ200をチップ収容溝1011内の放熱シート105に固定した後、半導体チップ200の上面はチップ収容溝1011の上面と面一になる。1つの具体的な実施例において、放熱シート105の厚みは10μm〜5000μmであってもよい。
【0057】
放熱シート105の材質は、例えば、Cu、Al、Ag等の金属又は合金の金属材料であってもよく、高い熱伝導率を有するダイヤモンド、炭化ケイ素、黒鉛等の材料であってもよい。
【0058】
放熱シート105を設けることによって半導体チップ200の発生した熱を放熱シート105に伝えて、半導体チップ200の放熱を加速化し、温度に対する耐性をより好ましくすることができ、半導体チップ200の温度上昇を低減して、より優れた作動環境にする。
【0059】
1つの実施例において、図6に示すように、放熱シート105は、1つの平面単枚式の放熱素子で構成されてもよく、縦方向複数枚式の放熱素子8105から組合わせて形成されてもよい。縦方向複数枚式の放熱素子8105は、平面単枚式の放熱素子と比べて、放熱面積をさらに広げて、半導体チップ200の放熱能力を向上することができる。
【0060】
本願の実施例における半導体チップは、平面構造のデバイスであってもよく、垂直構造のデバイスであってもよい。半導体チップ200の上面は、他の材料に被覆されてもよい。また、電極開孔の深さは、被覆材料の深さに応じて確定でき、電極開孔の底部は、ソース201、ドレイン202又はゲート203と接触する。或いは、電極開孔の底部は、ソース201、ドレイン202又はゲート203内に位置してもよい。第1の導電柱1021、第2の導電柱1031、第3の導電柱1041が電極開孔に挿入した後、導電柱は、対応する電極と良好な面接触を保持することで、ソース201、ドレイン202又はゲート203とその対応するリード電極との接続の信頼性を保証できる。
【0061】
また、一部の具体的な実施形態では、図7に示すように、半導体チップ200の上面は、パッシベーション誘電体層204により被覆される。パッシベーション誘電体層204の材料は、窒化シリコン、二酸化ケイ素又は他の真空の誘電率が7よりも大きい高誘電率材料であってもよく、パッシベーション誘電体層204の厚みは、0.5μmから5μmであってもよい。半導体チップ200にパッシベーション誘電体層204を被覆する時、電極開孔は、パッシベーション誘電体層204を通り抜け、底部がソース201、ドレイン202又はゲート203の表面又は内部に位置するブラインドホールである。パッシベーション誘電体層204を設けることによって、チップ表面へのダメージを低減でき、同時に、電極の真上にあるパッシベーション誘電体層204内に電極開孔を形成して、導電柱の挿入時の自己位置合わせを実現し、半導体デバイスの電気的な接続の信頼性を向上する。
【0062】
幾つかの具体的な実施形態において、図8乃至図12に示すように、パッケージベース101には、誘電体保護層106がさらに設けられても良い。誘電体保護層106は、リード電極以外の領域を被覆することができ、同時に、当該誘電体保護層106はチップ収容溝1011内に置かれた半導体チップ200も被覆できる。また、当該誘電体保護層106上に電極開孔と対応するスルーホールを開設してもよいことは理解できるであろう。製造過程において、誘電体保護層106の上面は、リード電極の上面と面一であってもよい。誘電体保護層106を設けることで、半導体チップ200に対する保護を実現でき、組み立て中における半導体チップ200の表面への傷つけや潰れを防止できる。
【0063】
誘電体保護層106の材料は、高い絶縁性を有すると共に良好な熱伝導性能を有することができ、抵抗率ρ>107Ω・mである材料を選んで用いることができる。また、誘電体保護層106は、FR−4レベルを満たす材料から形成されてもよい。さらに、誘電体保護層106は、ブレークダウン電圧が2000Vよりも大きい材料を採用することができる。また、1つの実施例において、誘電体保護層106の厚みは、100μm〜1000μmであってもよい。
【0064】
また、1つの実施例において、図13及び図14に示すように、拡張電極における導電突起5042(6022、6032、6042)は、円柱状又は直方体形状であってもよい。導電突起5042(6042)は、複数列に配列された複数の突起を備えればよく、複数の突起は、所定の方向に沿って次第に増える、又は減るように配列されてもよい。或いは、導電突起5042(6042)は、等間隔で配列された複数の突起であってもよい。同時に、リード電極上に複数の突起とマッチングする直方体状のブラインドホール5015又は円柱状のブラインドホール6015を設け、導電突起5042(6042)を直方体状のブラインドホール5015又は円柱状のブラインドホール6015と完全にマッチングさせて、シームレスな電気的接続を実現してもよい。導電突起5042(6042)の辺縁及びブラインドホールの底部は、面取り構造とすることができ、シームレスな電気的接続をより好ましく実現できると共に、電極の先端の放電現象を回避できる。
【0065】
また、1つの実施例において、図15に示すように、拡張電極における導電柱は、電極開孔内に形成して半導体チップの電極と接続される金属柱7500であってもよく、対応するように、拡張電極上には、金属柱7500が挿入できるように導電柱とマッチングするブラインドホール7021を開設して、電気的な接続を実現してもよい。よく理解できるように、金属柱7500は、蒸着、スパッタリング、電着等のプロセス方法により実現されてもよく、金属材料は、Au、Ag、Pt、Al、Ni、Ti、W等の金属又は合金を採用してもよい。
【0066】
半導体チップに誘電体保護層106が製造された時、誘電体保護層106に金属柱7500と対応するスルーホールを開設してもよく、金属柱7500は誘電体保護層106を通り抜けて電極と接続することができる。金属柱7500の高さは、電極開孔の深さ、ブラインドホールの深さ及び誘電体保護層内のスルーホールの深さの和に等しくてもよい。
【0067】
次に、2端子デバイスを例として、本発明の実施例が提供する半導体パッケージ構造について詳しく説明する。
【0068】
図16は、本発明の他の実施例が提供する半導体パッケージ構造の構造模式図である。図16に示すように、本発明の実施例が提供する半導体パッケージ構造300は、半導体チップ400のパッケージングに適用され、半導体チップ400は2端子デバイスである。当該2端子デバイスは、第1の電極401(例えばダイオードのアノード)と、第2の電極402(例えばダイオードのカソード)とを備え、本実施例において2端子デバイスのパッケージングに用いられる半導体パッケージ構造300は、上記3端子デバイスのパッケージングに用いられる半導体パッケージ構造100と類似である。
【0069】
半導体チップ400の第1の電極401及び第2の電極402には電極開孔がそれぞれ形成され、それぞれ第1の電極開孔4011及び第2の電極開孔4021である。第1の電極401及び第2の電極402に開設された電極開孔の位置及び数は、チップの具体的な構造に応じて確定でき、幾つかの具体的な実施形態では、第1の電極401及び第2の電極402のそれぞれに複数の電極開孔を開設することができる。電極開孔の形状は、円形又は他の形状であってもよい。
【0070】
当該半導体パッケージ構造300は、パッケージベース301と、少なくとも2つの拡張電極とを備える。パッケージベース301には、第1の電極401及び第2の電極402とそれぞれ対応する複数のリード電極と、半導体チップ400を収容するためのチップ収容溝とが設けられ、リード電極には少なくとも1つのトレンチ2015が形成されている。また、トレンチ2015の深さはリード電極の厚みを超えないことが好ましい。一実施形態において、第1の電極401と対応するリード電極は、第1のリード電極2012であり、第2の電極402と対応するリード電極は、第2のリード電極2013である。
【0071】
当該少なくとも2つの拡張電極における各拡張電極は、第1の電極401又は第2の電極402に開設された電極開孔に挿し込むための導電柱と、第1の電極401又は第2の電極402に対応するリード電極に設けられたトレンチ2015と嵌合する導電突起とを備える。
【0072】
詳しくは、本実施例において、当該少なくとも2つの拡張電極は、第1の拡張電極302と第2の拡張電極303とを備える。
【0073】
第1の拡張電極302は、第1の電極401に開設された第1の電極開孔4011に挿し込むための第1の導電柱3021と、当該第1の電極401に対応する第1のリード電極2012に設けられたトレンチ2015と嵌合する第1の導電突起3022とを備える。また、第1の拡張電極302は、第1の導電本体3023を更に備え、第1の導電柱3021と第1の導電突起3022は、第1の導電本体3023の両端にそれぞれ設けられる。第1の導電柱3021の形状は、円柱形又は他の形状であってもよい。その形状は第1の電極401における電極開孔の形状とマッチングする。第1の導電突起3022の形状は、第1のリード電極2012に開設されたトレンチ2015の形状とマッチングする。第1の導電柱3021は、第1の電極開孔4011に挿入された後、第1の電極401と電気的に接続され、第1の導電突起3022は、第1のリード電極2012におけるトレンチ2015に挿入された後、第1のリード電極2012と電気的に接続される。これによって、第1の電極401及び第1のリード電極2012は、第1の拡張電極302を介して接続される。
【0074】
第2の拡張電極303は、第2の電極402に開設された第2の電極開孔4021に挿し込むための第2の導電柱3031と、当該第2の電極402に対応する第2のリード電極2013に設けられたトレンチ2015と嵌合する第2の導電突起3032とを備える。また、第2の拡張電極303は、第2の導電本体3033を更に備え、第2の導電柱3031と第2の導電突起3032は、第2の導電本体3033の両端にそれぞれ設けられる。第1の拡張電極302の構造と同様に、第2の拡張電極303は、第2の導電柱3031及び第2の導電突起3032によって第2の電極402を第2のリード電極2013に接続する。
【0075】
図16に示すように、パッケージベース301に誘電体保護層306をさらに設けてもよい。誘電体保護層306は上記実施例の誘電体保護層106と類似であり、ここではさらに説明しない。
【0076】
本発明の実施例は、上記の半導体チップと半導体パッケージ構造とを備える半導体デバイスも提供している。
【0077】
以上より、本発明の実施例が提供する半導体パッケージ構造は、半導体チップに電極開孔を設けることで、拡張電極における導電柱及び導電突起を介して半導体チップとリード電極とを接続する。リード線を使用せずに半導体チップとリード電極との接続を実現でき、ワイヤボンディングによる接続で導入される寄生インダクタンスを効果的に回避し、寄生インダクタンスによる高周波作動条件下で信号発振が激しくなることを改善し、高周波デバイスの電気信号伝送の品質をさらに向上する。導電柱及び導電突起が半導体チップ上の対応する電極及びリード電極とそれぞれシームレスに接続される形態を用いて、電気的に接続される接触面積を広げ、電極間の接触抵抗を低減し、確実な電気的接続方式を実現する。同時に、拡張電極は、半導体チップの作動時に発生する熱の伝導経路を改善でき、半導体チップの温度上昇を低減し、半導体デバイスの使用効率及び信頼性を高める。また、本発明の実施例が提供するパッケージ技術は、半導体チップのサイズに応じてパッケージ型を製造でき、半導体デバイスのパッケージ体積を効果的に低減でき、半導体デバイスモジュールの応用の小型化を実現する。
【0078】
本発明の記述において、説明する必要があることは、特に明確に規定及び限定しない限り、「設ける」、「結合」、「接続」という用語は広義に理解すべきである。例えば、固定接続であることも、着脱可能な接続であることも、或いは一体的な接続であることも可能である。また、機械的接続であることも可能で、電気的接続であることも可能である。さらに、直接的な結合であることも可能で、中間媒体を介した間接的な結合であることも可能で、2つの素子内部の連通であることも可能である。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明での具体的な意味を理解することができる。
【0079】
また、本発明の記述において、説明する必要があることは、「上」、「下」、「内」、「外」等の用語で指示される方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づく、或いは当該発明の商品の使用時の通常放置の方位又は位置関係に基づくものであり、単に本発明の記述を容易にし、簡略化させるためのものであり、所定の装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構造し操作されることを指示又は暗示することではない。よって、本発明を制限するものであると理解してはいけない。
【0080】
以上の記述は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではない。当業者にとって、本発明は種々の変更や変形を含む。なお、本発明の構想や原則内でなされる如何なる修正、同等な置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
100、300 半導体パッケージ構造;200、400 半導体チップ;201 ソース;2011 ソース電極開孔;202 ドレイン;2021 ドレイン電極開孔;203 ゲート;2031 ゲート電極開孔;204 パッシベーション誘電体層 ;101、301 パッケージベース;1011 チップ収容溝;1012、2012 第1のリード電極;1013、2013 第2のリード電極;1014 第3のリード電極;1015、2015 トレンチ;102、302 第1の拡張電極;1021、3021 第1の導電柱; 1022、3022 第1の導電突起;1023、3023 第1の導電本体;103、303 第2の拡張電極;1031、3031 第2の導電柱;1032、3032 第2の導電突起;1033、3033 第2の導電本体;104 第3の拡張電極;1041 第3の導電柱;1042 第3の導電突起;1043 第3の導電本体;105 放熱シート;106、306 誘電体保護層;401 第1の電極;402 第2の電極;4011 第1の電極開孔;4021 第2の電極開孔;5042、6022、6032、6042 導電突起;5015 直方体状のブラインドホール;6015 円柱状のブラインドホール;7500 金属柱;7021 ブラインドホール;8105 放熱素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16