(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792713
(24)【登録日】2020年11月10日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】導体コンタクト、コンタクト体、導体コンタクトを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/18 20060101AFI20201116BHJP
H01R 43/048 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
H01R4/18 Z
H01R43/048 Z
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-533531(P2019-533531)
(86)(22)【出願日】2017年12月11日
(65)【公表番号】特表2020-502763(P2020-502763A)
(43)【公表日】2020年1月23日
(86)【国際出願番号】EP2017082231
(87)【国際公開番号】WO2018114433
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年6月20日
(31)【優先権主張番号】102016125647.1
(32)【優先日】2016年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ジアン, ユン
(72)【発明者】
【氏名】フレイ, カルステン
(72)【発明者】
【氏名】シュミッド, クラウス−ユルゲン
【審査官】
鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−252700(JP,A)
【文献】
特開昭52−005486(JP,A)
【文献】
特開2007−128800(JP,A)
【文献】
特開2015−050082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 3/00 − 4/22
H01R43/027−43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクト体と複数の電気導体とを有する導体コンタクトであって、
前記コンタクト体は1つ以上の開口を有し、
前記導体はそれぞれ前記開口のうちの1つを介して前記コンタクト体中まで達し、
前記コンタクト体は壁部を有し、前記コンタクト体の長手軸から前記壁部の距離は前記開口のうちの少なくとも1つに向かって増大し、
前記コンタクト体は、前記導体周りで屈曲した金属製の帯体として形成されており、
前記帯体の側方領域は、前記長手軸から前記壁部の前記距離が増加する領域において重なり合っている、
導体コンタクト。
【請求項2】
前記導体のうちの少なくとも1つは剛性の接続要素として形成されている、
請求項1記載の導体コンタクト。
【請求項3】
重なり合う前記側方領域は少なくとも部分的に互いに密着して接触している、
請求項1又は2記載の導体コンタクト。
【請求項4】
前記コンタクト体は前記開口の領域において筒形状を有する、
請求項1乃至3いずれか1項記載の導体コンタクト。
【請求項5】
前記コンタクト体は前記開口の領域においてラッパ形状を有する、
請求項1乃至3いずれか1項記載の導体コンタクト。
【請求項6】
前記開口の領域における前記壁部の経過は、前記導体のうちの少なくとも1つの経過に適合されている、
請求項1乃至5いずれか1項記載の導体コンタクト。
【請求項7】
前記導体のうちの少なくとも1つは前記開口の領域において前記長手軸から離れていく、
請求項1乃至6いずれか1項記載の導体コンタクト。
【請求項8】
少なくとも1つの開口領域と、平坦領域とを有し、
前記開口領域において、前記長手軸から前記壁部の前記距離は前記開口に向かって増大し、
前記平坦領域において、前記長手軸から前記壁部の前記距離は一定である、
請求項1乃7いずれか1項記載の導体コンタクト。
【請求項9】
前記開口の領域における前記長手軸から前記導体のうちの少なくとも1つの距離は、前記平坦領域における前記長手軸から前記壁部の距離以上である、
請求項8記載の導体コンタクト。
【請求項10】
前記導体のうちの少なくとも1つは導体ワイヤとして形成されている、
請求項1乃至9いずれか1項記載の導体コンタクト。
【請求項11】
前記コンタクト体は2つの開口を有し、
前記長手軸から前記壁部の前記距離は各開口に向かって増大する、
請求項1乃至10いずれか1項記載の導体コンタクト。
【請求項12】
前記導体は、それぞれ自由端を有し、
前記自由端は前記コンタクト体の同一の開口に配置されている、
請求項1乃至11いずれか1項記載の導体コンタクト。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれか1項記載の導体コンタクトを有する部品であって、
機能部分を有し、そこから前記導体のうちの少なくとも1つが前記コンタクト体の開口の中まで達しており、
この開口に向けて前記壁部の前記距離は増大する、
部品。
【請求項14】
請求項1乃至12いずれか1項記載の導体コンタクトを製造するための方法であって、
A) 平坦な帯体を用意するステップと、
B) 互いに配置された2つの導体を用意するステップと、
C) 前記導体コンタクト及び/又は前記コンタクト体を製造するために、前記帯体の側方領域が前記帯体の第1領域及び第2領域において重なり合うように、前記の両導体周りで前記帯体を湾曲させるステップと、
D) 前記帯体の前記第2領域には圧力を作用させずに前記第1領域に圧力を作用させるステップであって、前記コンタクト体の壁部の前記距離は、前記第2領域において前記開口のうちの少なくとも1つに向かって増大する、ステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の相互に固定された導体を有する導体コンタクトに関する。これらの導体は、導体ワイヤであり、例えば接続ピン等の剛性の接続要素とコンタクトされている。このような導体は、例えば電気的部品、特に誘導性の部品に使用される。
【背景技術】
【0002】
通常、このような導体は、はんだ付け又は溶接によって相互に電気的にコンタクトされる。電気的接続の製造の前に、導体は機械的に相互に固定される。導体ワイヤを接続ピンとコンタクトする場合に、導体ワイヤは例えば接続ピンに巻き付けられる。巻き付けによる固定は、その後の電気的接続に対して十分な機械的安定性をもたらさないことがしばしばある。ワイヤ相互の付加的な機械的固定はしばしば時間がかかりコストが集中する(kostenintensiv)。
【発明の概要】
【0003】
本発明の課題は、改善された特性を有する導体コンタクト及びコンタクト体を提供することにある。
【0004】
本発明の第1態様によれば、コンタクト体と複数の電気導体とを有する導体コンタクトがもたらされる。
導体コンタクトは例えば部品の構成部分である。例えば部品はインダクタンスである。
【0005】
コンタクト体は複数の開口を有する。コンタクト体は特に2つの開口を有する。複数の導体は、それぞれ開口を介してコンタクト体の中にまで達する。複数の導体はコンタクト体を介して相互に固定されている。特にコンタクト体は圧着コンタクト(eine Pressverbindung)を形成する。このようなコンタクトはクリンプ・コンタクト(Crimpverbindung)とも称されることができる。
【0006】
コンタクト体は特に所謂「スプライス・クリンプ(splice crimp)」である。この場合、コンタクト体は導体周りに屈曲した金属の帯体として形成される。導体コンタクトの製造及びコンタクト体の形成のためには、金属帯体は、相互に配置された導体周りに屈曲される(herumgebogen)。その際、帯体は導体に圧着される。
【0007】
コンタクト体は、その形状、特にスリーブ形状を、導体周りの変形の際に初めて得る。帯体は曲げプロセスの前は平坦に形成されている。変形プロセスの後、帯体の側方領域は重なり合う。側方領域が重なり合うことによって、そのようなコンタクト体は、例えばケーブル・シューのような予め製造されたスリーブと区別される。
【0008】
コンタクト体は壁部を有し、コンタクト体の長手軸から壁部の距離は開口に向かって増大する。開口に向って増大する壁部の距離は、コンタクト体の少なくとも縦断面において存在する。増大する壁部の距離は周方向に(umlaufend)形成されることができる。
【0009】
例えば、コンタクト体の直径及び/又は横断面(Querschnitt)も開口に向かって増大する。増大する直径は、コンタクト体の少なくとも縦断面において存在する。コンタクト体は周方向に増大する直径を有する。
【0010】
コンタクト体は、例えば、開口内へ開口する開口領域を有し、長手軸から壁部の距離は開口領域において増大する。コンタクト体は例えば平坦領域を有し、そこでは長手軸から壁部の距離は一定である。特に直径及び/又は横断面は平坦領域において一定である。
【0011】
コンタクト体は、例えば開口の領域において、特に開口領域において凹状の形状を有する。特にコンタクト体の輪郭線は凹状に経過する。輪郭線として、縦断面におけるコンタクト体の壁部の経過(der Verlauf)が示される。例えばコンタクト体は開口の領域においてラッパ形状を有する。
【0012】
あるいは、コンタクト体は、例えば開口の領域において、特に開口領域において、筒形状を有することができる。特に輪郭線は直線的(linear)に経過する。
【0013】
開口の領域におけるコンタクト体のこのような形状は、導体の機械的及び熱機械的負荷(Beanspruchung)を低減することができる。これは特に、開口の領域におけるコンタクト体の形状が導体のうちの少なくとも1つの経過に適合されている場合に当てはまる。このようにして、導体におけるコンタクト体の摩擦又はコンタクト体を介した導体の押し込み(eine Einkerbung des Leiters durch das Verbindungsstueck)及びそれにともなう機械的破損を回避することができる。
【0014】
例えば、導体のうちの少なくとも1つは開口の領域においてコンタクト体の長手軸から離れていく(weg fuehrt)。例えば、導体は開口の領域において長手軸に対して角度をなして経過する。特に、開口の領域におけるコンタクト体の長手軸から導体の距離は、平坦領域における長手軸から壁部の距離以上である。完全に平坦なコンタクト体の場合、コンタクト体を介して導体が機械的に損傷する危険が生じ得る。
【0015】
一実施形態において、導体のうち少なくとも1つは機械的柔軟性(Flexibilitaet)を有する。例えば、導体のうちの1つはワイヤとして、特に導体ワイヤとして形成されている。導体ワイヤは例えば開口の領域においてコンタクト体の長手軸から離れていく。
【0016】
例えば、導体のうちの少なくとも1つは剛性の接続要素として形成されている。特に接続ピンである。接続要素は、例えば開口の領域においてもコンタクト体の長手軸に対して平行に経過する。
【0017】
例えば、導体のうちの1つはコンタクト体の領域において他の導体周りに巻き付けられている。巻き付けは、コンタクト体を装着する間に、導体相互の所定の配置を可能にする。
【0018】
一実施形態において、コンタクト体は導体ワイヤを剛性の接続要素、特に接続ピンと接続する。導体ワイヤは、導体コンタクトの領域において、接続ピン周りに巻き付けられている。
【0019】
導体はそれぞれ自由端を有する。自由端において、それぞれの導体は例えば切断されている。自由端は、例えば開口から突出しており、又は、コンタクト体の内部に配置されている。例えば、自由端は同一の開口の領域内に配置されている。このような実施形態において、自由端は特に、付加的に良好に互いにはんだ付けされることができる。
【0020】
各導体は、例えば部品の構成部分であるか、部品と接続されている。特に導体は、部品の機能部分と接続されることができる。この場合、例えばインダクタンスであることができる。複数の導体は、例えば、それぞれ、部品から又は機能部分から来て、コンタクト体の開口のうちの1つにまで達する。複数の導体は同一の開口に又は異なる開口にまで達することができる。
【0021】
一実施形態において、コンタクト体は2つの開口を有し、長手軸から壁部の距離は両開口に向かって増大する。特にコンタクト体の直径及び/又は断面は両開口に向かって増大する。コンタクト体は各開口の領域において上述したように形成されることができる。例えば、コンタクト体は両開口の領域において筒形状又はラッパ形状を有する。
【0022】
コンタクト体は例えば2つの開口領域を有し、それぞれ、複数の開口のうちの1つへと開口している。開口領域の間には平坦領域が形成されることができる。開口領域において、長手軸から壁部の距離は開口に向けて増大する。平坦領域において壁部の距離は一定である。開口領域は同様に又は異なって形成されることができる。
【0023】
このような形態のコンタクト体は、例えば、複数の導体のうちの少なくとも1つが各開口の領域において長手方向軸から離れていくという、複数の導体をコンタクトするために特に好都合である(guenstig)。
【0024】
一実施形態において導体のコンタクトはコンタクト体によってのみ製造される。代替的な実施形態において、導体は付加的に相互にはんだ付けされることができる。導体は一実施形態において付加的に相互に溶接されることもできる。例えばコンタクト体を介して導体相互の機械的な固定をもたらし、付加的なはんだ付け又は溶接を介して電気的接続がもたらされる。はんだ付け又は溶接はさらに機械的接続も強化する。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、前述の導体コンタクトを有する部品が提供される。特に電気的部品、例えばインダクタンスである。
【0026】
部品は例えば機能部分を有し、そこから導体のうちの少なくとも1つがコンタクト体の開口へと達している。これは、例えば、長手軸から壁部の距離が増大する開口である。導体は例えば両方とも機能部分から来て同一の開口内まで達し得る。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、コンタクト体は2つの電気導体を接続するために装着される。コンタクト体は、その際、上述したコンタクト体の構造的及び機能的特性の全てを有することができる。
【0028】
コンタクト体は、特に屈曲された金属製の帯体(「スプライス・クリンプ」)として形成されており、帯の側方領域は重なり合う。重なり合う側方領域は少なくとも部分的に互いに密接に接触する。コンタクト体は、相対向する端面において(an gegenueberliegenden Stirnseiten)2つの開口を有し、コンタクト体の長手軸からコンタクト体の壁部の距離は少なくとも1つの開口に向かって増大する。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、上述の導体コンタクト及び/又は上述のコンタクト体を製造するための方法が提供される。
【0030】
方法において、平坦な金属製の帯体が用意される。帯体は例えばより長い帯から分離される。2つの相互に配置された導体が用意される。例えば導体のうちの1つは他の導体に少なくとも部分的に巻き付けられる。導体は例えばただ相互に当接するだけでもよい。
【0031】
帯体は両導体周りに屈曲され、従って記載された導体コンタクト及び/又はコンタクト体が得られる。この場合、コンタクト体を介した導体の圧着コンタクトが得られる。その後、導体は、例えば開口のうちの1つの領域において分離される(abgetrennt)。
【0032】
導体コンタクトは十分な機械的安定性を有し、従ってさらなる接続技術は必要とされない。あるいは、圧着コンタクトの製造後に、付加的に電気的及び/又は機械的接続が行われることができる。このような付加的に接続は例えばはんだ付けによって又は溶接によって行われる。付加的な接続は例えば導体の分離された端部の領域において製造される。
【0033】
本開示において、本発明の複数の態様が記載される。コンタクト体、部品又は方法と関係で開示された全ての特性は、各特性が明示的に他の態様のコンテクストにおいて述べられていなかったとしても、相応に他の態様との関係でも開示されている。
【0034】
さらに、ここに挙げられた対象の説明は、個別の特定の実施形態に制限されない。むしろ、個別の実施形態の特徴は、技術的に意義のある限り、相互に組み合わせられることができる。
【0035】
以下では、ここで述べられた対象が模式的な実施形態を参照して詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】導体コンタクト及びコンタクト体の実施形態を側面図で模式的に示す図である。
【
図2】導体コンタクトとコンタクト体の実施形態を正面図で示す図である。
【
図5】
図2乃至4の実施形態を断面で示す図である。
【
図6】導体コンタクト及びコンタクト体を製造する際の方法ステップを示す図である。
【
図7】コンタクト体のさらなる実施形態を側面図で模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
好ましくは、以下の図面において、異なる実施形態の、機能的に又は構造的に対応する部分は同一の符号で示される。
【0038】
図1は、複数の電気導体2,3をコンタクト又は接続する(Verbinden)ためのコンタクト体1を有する導体コンタクト(eine Leiterverbindung)100を示す。コンタクト体1は導体2,3周りに屈曲されて、導体2,3の圧着コンタクトを形成する。
【0039】
導体コンタクト100は電気部品5の一部である。導体2,3のうちの一方又は両方は、電気部品5の機能部分4からコンタクト体1まで導かれる。機能部分4は、例えば部品の電気的機能部、例えばインダクタンスであり、又は、例えば機械的機能部分、例えばキャリアであり得る。
【0040】
コンタクト体1は金属製の帯体18として形成されており、長手軸6周りに屈曲されている。長手軸6はコンタクト体1の長手軸方向における中心軸である。長手軸6はコンタクト体1の対称軸を表すことができる。長手軸6は、例えば導体2,3の長手軸に相当する。
【0041】
コンタクトを製造するために、導体2,3周りに屈曲して、導体2,3に圧着するために、平坦な帯体を金属帯から切り取る。この方法は、
図6との関係で詳細に述べられる。
【0042】
導体2,3はコンタクト体1を介して、互いに機械的にコンタクトされる。コンタクトは十分な安定性を有し、従ってはんだ付けも他のさらなるコンタクト技術も必要とされない。あるいは、コンタクト体1とコンタクトされる導体2,3は、さらにはんだ付け及び/又は溶接を介して相互にコンタクトされることができる。コンタクト体1を用いたコンタクトは、例えば、導体2,3周りに巻き付けられた追加のワイヤを用いたコンタクトよりも、より容易に製造可能であり、より信頼性が高い。
【0043】
このようなタイプのコンタクト体1は通常「スプライス・クリンプ」と称される。コンタクト体1は、1つ以上の導体が挿入される予め製造されたスリーブとは異なる。本発明のコンタクト体1は、導体2,3周りで変形する間に初めて、そのスリーブ形状を得る。導体2,3は従ってコンタクト体1内に挿入されない。コンタクト体1は導体2,3のいずれとも一体的に形成されていない。
【0044】
コンタクト体1は材料として、例えば、銅、真鍮、青銅、又は、他の銅合金を有する。
【0045】
第1導体2は例えば剛性の接続要素である。
例えば、ピン(Pin)とも称される、接続バー(einen Anschlussstift)である。第2導体3は例えば任意のワイヤであり、例えば撚り線ワイヤ(einen Litzendraht)である。撚り線ワイヤは銅を含むことができる。撚り線ワイヤは、例えば2〜5000本の個別ワイヤ(Einzeldraehte)を有する。第2導体3は例えば少なくとも部分的に第1導体2周りに巻き付けられている。
【0046】
あるいは、両導体2,3は同じ種類の導体であってもよい。さらに、2つの導体2,3より多くの導体がコンタクト体1を介して接続されることもできる。例えば複数の撚り線ワイヤ及び接続バーが互いにコンタクトされる。
【0047】
導体2,3は例えば部品5の機能要素4から出発してコンタクト体1の中に入るように導かれる(fuehren hinein)。導体2,3は例えばそれぞれ自由端9,10を有する。
【0048】
コンタクト体1は2つの開口7,8を有する。開口7,8はコンタクト体1の相対向する端面に形成されている。開口7,8のうちの少なくとも1つにおいて、導体2,3のうちの少なくとも1つがコンタクト体1の中に導入され又は導出されて(hinein- und/oder herausgefuehrt)いる。
【0049】
図示された実施形態において、各導体2,3は機能要素4から出発して、先ず第1開口7の中まで達している(reicht hinein)。導体2,3が異なる開口からコンタクト体の中まで達しているという場合もあり得る。例えば、第1導体2は機能要素4から来て第1開口7の中まで達し、第2導体は、例えばさらなる機能要素(図示せず)から出発して第2開口を通って達する。
【0050】
この場合、両自由端9,10は第2開口8を介してコンタクト体1から突出する。一方又は両方の自由端9,10は、コンタクト体1の内部にあることもできる。さらに、一方又は両方の自由端9,10は第1開口7から突出することができ、そこを介して導体2,3がコンタクト体1の中まで達する。例えば、第2導体3は、第1開口7を介してコンタクト体1の中に達し、その自由端9が第1開口7から再び突出するように屈曲されている。
【0051】
コンタクト体1は壁部11を有し、長手軸6から壁部11の距離aは第1開口7に向かって増大する。相応に、縦断面における壁部11の輪郭は第1開口7に向かって長手軸6から離れていく。コンタクト体1は、周方向に増大する壁部11の距離を有することもできる、
【0052】
例えば、コンタクト体1の直径Dは第1開口7に向かって増大する。コンタクト体1は、例えば第1開口7においてその最大直径を有する。コンタクト体1の横断面も、例えば第1開口に向かって増大する。
【0053】
コンタクト体1は、例えば第1開口領域12を有し、そこでは長手軸6から離れていく壁部11の輪郭の経過(Verlauf)がある。さらに、コンタクト体1は平坦領域13を有し、そこでは、長手軸6から壁部11の距離aが一定である。
【0054】
長 手軸6から壁部11の距離の増大に基づいて、導体2,3の機械的負荷を低減することができ、従って、導体2,3の損傷を防止することができる。コンタクト体1の壁部11の輪郭は、例えば第2導体3の経過に適合している。従って、開口領域12は導入補助として形成されているのではなく、機械的損傷を防止するように形成されている。
【0055】
これは、第1開口7の領域において長手軸6から離れていくように経過する導体3の場合に、特に有利である。導体3の主延在方向は、その際、開口7の領域において長手軸6に対して角度をなして経過する。導体3は、例えば長手軸に対して平行に経過する第1導体2から離れていく。従って、導体2,3の主延在方向は、少なくとも第1開口7の領域において平行には経過しない。
【0056】
特に、長手軸6から第2導体3の距離Iは、開口7の領域において外側に向けて増大する。開口7の領域における距離Iは、その際、例えば平坦領域13における壁部11の距離以上であり得る。
【0057】
機能要素4は例えばコンタクト体1からのわずかな距離のみを有する。従って、コンタクト体1と機能要素4との間には狭い間隙(Spalt)のみがある。例えば、機能要素4とコンタクト体1との間の距離dは1mm以下である。この場合、長手軸から離れていく導体3の機械的負荷は特に高い。コンタクト体1の壁部11の適合された輪郭を介して破損は回避される。これは例えば高温での(bei hoeheren Temperaturen)部品5の使用をも可能にすることができる。
【0058】
全体として、コンタクト体1は例えば長手軸6に沿って最大30mmの延在部(eine Erstreckung)を有する。長手軸6に沿った延在部は例えば最小1.5mmである。第1開口領域12は例えば、コンタクト体1の延在部の0.15%〜0.5%の長手軸6に沿った延在部tを有する。
【0059】
壁部11の輪郭は例えば凹状に形成されている。例えば、壁部11の輪郭線と長手軸6との間の角度は開口7に向かって増大する。例えば、コンタクト体1は少なくとも開口7の領域においてラッパ形状を有する。
【0060】
あるいは、壁部11の輪郭は直線的に経過することもできる。この場合、壁部11の輪郭線は長手軸6に対して一定の角度で経過する。例えばコンタクト体1は少なくとも開口7の領域において筒形状を有する。
【0061】
第1開口7の代わりに、第2開口8が長手軸6から離れていく壁部11の輪郭を有することもできる。さらに、両開口7,8が長手軸6から離れていく壁部11の輪郭を有することも考えられる。これは、長手軸6から離れていくように経過する両開口7,8から導体が突出している場合に有利である。さらに、長手軸6から離れていく壁部11の輪郭を有する両開口7,8の形成の際に、コンタクト体1は対称に形成されることができ、コンタクト体1の製造が容易になり、フレキシブルな使用(einen flexibleren Einsatz)が可能になる。
【0062】
コンタクト体1は、重なり合う2つの側方領域14,15を有する。特に領域14,15は、長手軸6に対して垂直方向に重なり合い、従ってそこで第2領域15は第1領域14の上に配置される。重なりは、例えば長手方向においてコンタクト体全体にわたって延在する。このような重なり合う領域を有するコンタクト体1は、予め形成されたスリーブと容易に区別される。
【0063】
コンタクト体1の重なり合う領域14,15は互いに密接に接触している(liegen vorliegend eng aneinander an)。これは、特にコンタクト体1の平坦領域13に該当する。開口領域12において重なり合う領域14,15の接触は、
図2に見られるように、全ての場合に与えられるわけではない。
【0064】
図2は、コンタクト体1と、それによってコンタクトされる2つの導体2,3を正面図で示す。特に、コンタクト体1の端面の平面図である。例えば、
図1の実施形態と同様又は同一の実施形態である。
【0065】
コンタクト体1は、例えば、第2導体3が開口7内に入るように導かれる領域16において、長手軸6から離れていく壁部11の輪郭を有する。例えば第1導体2から見て領域16に対向する、さらなる領域17において、コンタクト体1は別の輪郭を有する。例えば壁部11の輪郭はそこで長手軸6に対して平行に経過する。
【0066】
図3及び4は、
図2のコンタクト体1及びそれによりコンタクトされる導体2,3を、斜視図で示す。
【0067】
可撓性の第1導体3は剛性の第2導体2周りに部分的に巻き付けられている。導体3は例えば機能要素4から来て第1開口7の中に入り(hinein reicht)、第2開口8から出てくる(heraus reicht)。第2開口8の向こう側では第1導体3は例えば屈曲されており、第2開口8を介して再びコンタクト体1内に入る。第2導体の端部はコンタクト体1内に配置される。
【0068】
図5は
図2乃至4の実施形態をコンタクト体1の開口領域12を示す。
【0069】
特に、ここでは導体2,3はコンタクト体1の内部に見られる。導体2,3は相互に圧着されている。可撓性の導体3は部分的に加圧によって変形している。特に可撓性導体3の導体ワイヤは変形している。
【0070】
図6は、
図1乃至5による導体コンタクト100の製造の際の方法ステップを示す。方法において、コンタクト体1は変形装置19を用いて導体2,3の周りで屈曲される。
【0071】
コンタクトされるべき導体2,3は相互に配置されている。例えば第2導体3は第1導体2の周りに巻き付けられている。相互に配置された導体2,3は変形装置19の支持部20内に設置(eingelegt)される。
【0072】
金属帯体18が用意される。帯体18は方法の開始時には平坦に形成されている。帯体18は、より長い帯、例えばロールから分離される。帯体18は、変形装置19のさらなる支持部21内に設置される。
【0073】
変形装置19は1つ以上の可動の変形部22、特に可動のパンチ(Stempel)を有する。変形部22は金属体18に対して移動し、金属体18の側方領域を下方へ押圧する。従って側方領域は導体2,3周りに回り込む(legen herum)。
【0074】
変形部22は、例えば金属体18の領域23に沿っては延在せず、そこから長手軸から離れていく壁部11の輪郭を有する開口領域12(
図1参照)が形成される。このようにして、変形部22の欠けた作用を介して(durch die fehlende Einwirkung)上述した輪郭が成形される。変形部22は領域24に作用し、そこから平坦領域13が形成される(
図1参照)。
【0075】
変形装置19は、帯体18を変形させるためと圧着コンタクトを形成するために、さらなる可動部を有することができる。変形部22は導体2,3周りに回り込むように案内される(herumgefuehrt)こともできる。
【0076】
導体2,3はコンタクト体1によるコンタクトの後、開口7,8のうちの一方の向こう側で、特に第2開口8の向こう側で(jenseits)切断されることができる。導体2,3は、その後絶縁されていない(nicht-isolierte)、はんだ付けのために良好にアクセス可能な(fuer eine Loetung gut zugaengliche)端部を有する。これは、はんだ付けプロセスを容易にし、短縮する。さらに、はんだブリッジ(Lotbruecken)が回避される。
【0077】
あるいは、このコンタクト後に追加のコンタクト、特にはんだ付け又は溶接コンタクトは行われず、従って導体2,3はコンタクト体1を介してのみ相互にコンタクトされる。
【0078】
図7は、コンタクト体1を有する導体コンタクト100のさらなる実施形態を側面から模式的に示す。
【0079】
図2乃至5のコンタクト体1とは異なり、このコンタクト体1は、2つの開口領域12,25を有し、そこにおいて長手軸6から壁部11の距離aはそれぞれの開口12,25に向かって増大する。特にコンタクト体1の横断面は両開口7,8に向かって増大する。
【0080】
これは、長手軸6から外側に向けて離れていく導体2,3が両開口7,8から突出する場合に、特に有利である。ここでは、同一の導体又は2つの異なる導体である。例えば、導体3,26は2つの可撓性導体、特に導体ワイヤは、コンタクト体1を介して剛性の導体2とコンタクトされる、2つの可撓性導体、特に導体ワイヤである。
【符号の説明】
【0081】
1 コンタクト体(Verbindungsstueck)
2 第1導体(erster Leiter)
3 第2導体(zweiter Leiter)
4 機能部分(Funktionsteil)
5 部品(Bauteil)
6 長手軸(Laengsachse)
7 第1開口(erste Oeffnung)
8 第2開口(zweite Oeffnung)
9 第1自由端(erstes freies Ende)
10 第2自由端(zweites freies Ende)
11 壁部(Wandung)
12 第1開口領域(erster Oeffnungsbereich)
13 平坦領域(Flachbereich)
14 第1側方領域(erster seitlicher Bereich)
15 第2側方領域(zweiter seitlicher Bereich)
16 領域(Bereich)
17 さらなる領域(weiterer Bereich)
18 帯体(Bandstueck)
19 変形装置(Umformvorrichtung)
20 支持部(Halteteil)
21 さらなる支持部(weiteres Halteteil)
22 変形部(Umformteil)
23 帯体の領域(Bereich des Bandstuecks)
24 帯体の領域(Bereich des Bandstuecks)
25 第2開口領域(zweiter Oeffnungsbereich)
26 導体(Leiter)
100 導体コンタクト(Leiterverbindung)
a 長手軸から壁部の距離(Abstand der Wandung von der Laengsachse)
D 直径(Durchmesser)
l 長手軸から導体の距離(Abstand des Leiters von der Laengsachse)
t 開口領域の長さ(Laenge des Oeffnungsbereichs)
d 機能要素からコンタクト体の距離(Abstand des Verbindungsstuecks vom Funktionselement)