(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来のグリース阻集器としては阻集器本体の流入部区画隔板と流出部区画隔板との間に設けられた中間部の底部に1枚の隔板を設けたものが知られている。
また、グリース阻集器の改良として、阻集器本体の一方に流入部を設け、他方に流出部を設け、該流入部に間隔を置いて、かつ流入水が阻集器本体底部を通過できるような流入部区画隔板を設け、また流出部側にも該流出部に間隔を置いて流入水が阻集器本体底部を通過できる流出部区画隔板を設け、流入部区画隔板と流出部区画隔板の中間の底部に1枚の隔板を設けて成るグリース阻集器に於いて、前記流入部区画隔板と流出部区画隔板との間に設けられた中間部の水面下に傾斜板または垂板を設け、底部に隔板を複数個設けることで中間部に流れてきた排水を減速し、カルマン過流を生起させ、中間部の滞留時間を長くすることで油水分離が効果的に行なわれることを特徴とするグリース阻集器が提案されている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら流入部区画隔板と流出部区画隔板との間に設けられた中間部の水面部に傾斜板または垂板を設け、底部に隔板を複数個設けたグリース阻集器の場合、排水の流入量の変動に関わらず、油水分離は好適に行われるが、分離された油分が、流入部区画隔板と流出部区画隔板との間の水面全体に薄く浮上し、この水面全体に浮上した油分をヒシャクで回収したり、あるいは、油吸着マットを投げ込んで回収するため、回収に手間がかかっていた。
また他の方法として水面全体に浮上した油分をスクレーパーでかき寄せて濃くした後、ヒシャクで回収したり、あるいは、油吸着マットで回収する方法も試みられていた。
そこで本発明者は、既設のグリース阻集器を用いて、浮上分離された油分が、薄く浮上した場合或いは濃く浮上した場合に関わらず、浮上分離された油分を、1か所に集めることができるグリース阻集器の構造について種々検討を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、阻集器本体の一方に流入部を設け他方に流出部を設け、該流入部側に流入部区画隔板を設け、該流出部側に流出部区画隔板を設け、かつ流入部区画隔板と流出部区画隔板によって設けられた中間部の水面下に傾斜板または垂板を設け、さらに底部に複数の隔板を設けてなるグリース阻集器の前記流入部区画隔板と前記流出部区画隔板によって設けられた中間部の水面部にV字型の集油板をその開口部を流入部側に向けて設けることを特徴とするグリース阻集器である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、厨房等から排出される油脂分を含む排水から油脂分を分離するグリース阻集器に、V字型の集油板を設けることにより、グリース阻集器内の排水の流れを利用し、一か所に油脂分を集めて油脂層を厚くすることにより、油脂分の回収を容易にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明を図面を参照しながら説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
図1は、従来のグリース阻集器の一例を示す側断面図である。
長方形の箱型を有する阻集器本体1の上部に排水の流入部2を設け、他方に流出部3を設ける。
流入部2側には間隔を置いて流入部区画隔板4を設け、その際流入部区画隔板4の下縁部5と阻集器本体1の底部6との間に間隔部を有するように設け、かつ流入部区画隔板4の下縁部5と底部6との間隔部も排水が自由に流れるように設けられている。
また流出部3側にも流入部2側と同様に間隔を置いて流出部区画隔板7を設け、該流出部区画隔板7の下縁部8は、流入部区画隔板4と同様に底部6との間を排水が自由に流れるように間隔が設けられている。
流入部区画隔板4と流出部区画隔板7との間に設けられた中間部9には水面下に傾斜板あるいは垂板10を設け、そしてこの傾斜板あるいは垂板10は排水の流れ方向と同方向に傾斜している。傾斜板あるいは垂板10は、一枚の板状体が間隔を置いて多数並列されている。
また阻集器本体1の中間部9の底部6には隔板13,13´,13″が設けられている。
阻集器本体1の流入部2には例えば厨房等から流された排水を運ぶための導入管14を連結する。また導入管14は管状の外、溝状のものも使用することができる。
また阻集器本体1と流入部区画隔板4で仕切られた室には着脱自在なバスケット15を設けることもできる。これは厨房等から排出される排水中の固形分を分離するために効果的である。
阻集器本体1の流出部3にはトラップ16を設け、これに流出管17を連結している。
阻集器本体1の上部には蓋18を設ることによって、臭気拡散防止と共に人が転落することを防止し安全性を確保することができる。
【0009】
図2は、本発明のグリース阻集器の一例を示す側断面図である。
長方形の箱型を有する阻集器本体1の上部に排水の流入部2を設け、他方に流出部3を設ける。該流入部2側には間隔を置いて流入部区画隔板4を設ける。その際流入部区画隔板4の下縁部5と阻集器本体1の底部6との間に間隔部を有するように設け、該流入部区画隔板4の該下縁部5と該底部6との間隔部を排水が自由に流れるようにする。
また該流出部3側にも該流入部2側と同様に間隔を置いて流出部区画隔板7を設ける。該流出部区画隔板7の下縁部8は、該流入部区画隔板4と同様に該底部6との間を排水が自由に流れるように間隔が設けられている。
該流入部区画隔板4と該流出部区画隔板7との間に設けられた中間部9には水面下に傾斜板あるいは垂板10を設ける。そしてこの傾斜板10は排水の流れ方向と同方向に傾斜している。該傾斜板あるいは該垂板10は、1枚の板状体が間隔を置いて多数並列されている。
また該阻集器本体1の該中間部9の該底部6には隔板13,13´,13″が設けられている。
阻集器本体1の該中間部9の水面部12にV字型の集油板11をその開口部を流入部2側に向けて設ける。該V字型の集油板11は、その下縁部が水面下に位置するように設けられている。
阻集器本体1と該流入部区画隔板4で仕切られた室には厨房等から排出される排水中の固形分を分離するために着脱自在なバスケット15を設けることが好ましい。
阻集器本体1の該流出部3にはトラップ16を設け、これに流出管17を連結することが好ましい。
阻集器本体1の上部には蓋18を設けて、臭気拡散防止と共に人が転落することを防止し安全性を確保してる。
図3は本発明のグリース阻集器の平面図である。
阻集器本体1の該中間部9の水面部12にV字型の集油板11を設ける。該V字型の集油板11の開口部19は該流入部区画隔板4へ向けて設ける。該阻集器本体1における流入水の流れは、該中間部9の該流入部区画隔板4から該流出部区画隔板7へ向かって流れるので、該V字型の集油板11により浮上分離した油分を溜めながら油脂層を厚くすることができる。厚くなった油脂層とすることによって、油脂の回収が容易に行われるようになる。
分離された油脂を回収する方法としては、従来のようにヒシャクですくうか、油吸着マットを投げ込んで回収することができる。
【0010】
また阻集器本体1の形状および大きさにより、該V字型の集油板11は一枚のV字型の集油板11から間隔を置いて多数並列(図示せず)させることもできる。さらに2個の該V字型の集油板11を縦列にしたW字型(図示せず)にすることもできる。さらに複数の該V字型の集油板11を縦列にしたジグザグ字型(図示せず)にすることもできる。
【0011】
該V字型の集油板11は排水の流れ方向に傾斜させる(図示せず)こともでき、傾斜させることにより、該V字型の集油板11の背面に油分を流さないようにすることができる。
【0012】
V字型の集油板11の素材としては合成樹脂、木、金属、油吸着シート等種々のものが使用できる。
図4はV字型の集油板11が水より比重の小さい合成樹脂、木等の水に浮かぶ素材の場合の下先端部に重り21をつけた場合を示す斜視図である。V字型の集油板11の下縁部に重り21をつけた場合、該V字型の集油板11の下部の一部分を水に沈め、該V字型の集油板11を水平に保つ構造とすることができる。
また、V字型の集油板11の他の形態として、該V字型の集油板11の屈曲部20近傍の下縁部に重り21をつけた場合、該V字型の集油板11を排水の流れ方向に傾斜させることができる。
なお該V字型の集油板11を排水の流れ方向に傾斜させて使用する場合、該V字型の集油板11の開口部19側の高さh、屈曲部20側の高さh′と表すと、h>h′にすることが好ましい。
【0013】
さらにV字型の集油板11の屈曲部20に蝶番22等を設けることにより、阻集器本体1の幅に応じて、該V字型の集油板11を広げることも狭くすることも自在にできる。
【0014】
また本発明のV字型の集油板11としては、
図5に示すように一方の集油板23を他の集油板24より短くし、かつ集油板23に凹状の切欠き部25を設けた変形V字型集油板を用いることができる。さらにこの凹状の切欠き部25には
図6に示すように油脂の誘導弁26を設けることが好ましい。この誘導弁26を設けることによって集油部27に溜まった油脂を逆流出することを防止することができる。
また他の集油板24はその長さが調節できるようにスライド式にした補助板を設けることによって所望の長さに調節することができるので(図示せず)、種々の大きさのグリース阻集器に使用することができる。
前記変形V字型の集油板を用いることによって、
図7に示すように該集油板の裏側のデッドスペースを小さくすることができると共に、一方のデッドスペース27を油脂溜部として使用し得るので好ましい。
【0015】
本発明におけるV字型の集油板11は、流入部2と流入部区画隔板4、流出部区画隔板7、流出部3を有する阻集器本体1に使用することができると共に、阻集器本体1の流入部2には例えば厨房等から流された排水を運ぶための側溝に好適に使用することができる。