特許第6792783号(P6792783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792783
(24)【登録日】2020年11月11日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ジヒドロリポ酸の生成・抽出プロセス
(51)【国際特許分類】
   C12P 11/00 20060101AFI20201119BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   C12P11/00
   C12N1/00 A
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-545119(P2018-545119)
(86)(22)【出願日】2016年11月16日
(65)【公表番号】特表2018-537126(P2018-537126A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】US2016062228
(87)【国際公開番号】WO2017087488
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年11月14日
(31)【優先権主張番号】14/943,185
(32)【優先日】2015年11月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518168100
【氏名又は名称】プレミア リサーチ ラボズ,リミテッドパートナー
【氏名又は名称原語表記】Premier Research Labs,LP
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,ロバート,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラビンスキー,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ダナム,リンジー
(72)【発明者】
【氏名】ラトコヴィッチ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】トリコスコ,ウォルター
【審査官】 平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−526767(JP,A)
【文献】 特開2010−213609(JP,A)
【文献】 特開2005−312393(JP,A)
【文献】 特表2009−538614(JP,A)
【文献】 特開2003−304892(JP,A)
【文献】 特開平07−079791(JP,A)
【文献】 特開平05−268983(JP,A)
【文献】 特開昭60−027396(JP,A)
【文献】 特開2008−239504(JP,A)
【文献】 特開2006−282609(JP,A)
【文献】 特開2006−166807(JP,A)
【文献】 特開2006−306825(JP,A)
【文献】 特表2004−509856(JP,A)
【文献】 松郷誠一, 他,1,2‐ジチオラン環を持つ天然抗酸化物質,リポ酸の科学,オレオサイエンス,2001年,Vol.1, No.1,pp.47-54
【文献】 Gerreke Ph. Biewenga, et al.,The pharmacology of the antioxidant lipoic acid,General Pharmacology,1997年,Vol.29, No.3,pp.315-331
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 1/00−41/00
C12N 1/00− 7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジヒドロリポ酸(DHLA)またはその塩の生成プロセスにおいて、
(a)ラクトバチルス属(Lactobacillus)の種、エンテロコッカス属(Enterococcus)の種、ペディオコッカス属(Pediococcus)の種、またはバチルス属(Bacillus)の種の少なくとも1つを含む微生物培養物を調製するステップと、
(b)糖蜜と、N−アセチル−L−システインと、コメタンパク質と、栄養酵母と、糖と、1種以上のミネラル塩と、1種以上のヌクレオチドと、オリーブ油と、を含有する水性ブロスを前記微生物培養物で処理して微生物ブロスを生成するステップと、
(c)少なくとも約48時間にわたり約35℃〜約40℃の温度で前記微生物ブロスをインキュベートするステップと、
(d)R−リポ酸、ウコン根茎、N−アセチル−L−システイン、グルタチオン、L−アルギニン、およびNADHを前記微生物ブロスに供給するステップと、
(e)pHを約8.0に調整するステップと、
(f)少なくとも約10日間にわたり前記微生物ブロスをインキュベートするステップと、
(g)任意選択的に、少なくとも12日後に糖蜜、コメタンパク質、栄養酵母、およびナタマイシンを前記微生物ブロスに供給するステップと、
(h)任意選択的に、pHを約8.0に調整するステップと、
(j)少なくとも約2日間〜少なくとも約9日間にわたり前記微生物ブロスをインキュベートするステップと、
(k)pHを約2.0に調整するステップと、
(l)全微生物ブロス体積の約60〜100%の体積のオリーブ油と、全微生物ブロス体積の約100%の体積の水と、を添加して2層を形成するステップと、
(m)前記オリーブ油層と前記水性層とを混合して前記オリーブ油層へのDHLAまたはその塩の抽出を行うステップと、
(n)DHLAまたはその塩を含有する前記オリーブ油層を分離するステップと、
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記微生物培養物がL.カゼイ(L.casei)とL.ファーメンタム(L.fermentum)とを含むことを特徴とするプロセス。
【請求項3】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記インキュベートするステップが約35℃〜約40℃の温度で行われることを特徴とするプロセス。
【請求項4】
請求項1に記載のプロセスにおいて、R−リポ酸が前記微生物ブロスの全重量を基準にして約20g/kg〜約40g/kgの量で前記微生物ブロスに添加されることを特徴とするプロセス。
【請求項5】
請求項1に記載のプロセスにおいて、DHLAまたはその塩を含有する前記オリーブ油層が約10mg/mlのDHLA濃度を有することを特徴とするプロセス。
【請求項6】
ジヒドロリポ酸(DHLA)またはその塩の生成プロセスにおいて、
(a)ラクトバチルス属(Lactobacillus)の種、エンテロコッカス属(Enterococcus)の種、ペディオコッカス属(Pediococcus)の種、またはバチルス属(Bacillus)の種の少なくとも1種を含む微生物培養物を調製するステップと、
(b)糖蜜と、N−アセチル−L−システインと、コメタンパク質と、栄養酵母と、糖と、1種以上のミネラル塩と、1種以上のヌクレオチドと、第1の食用油と、を含有する水性ブロスを前記微生物培養物で処理して微生物ブロスを生成するステップと、
(c)少なくとも約48時間にわたり約35℃〜約40℃の温度で前記微生物ブロスをインキュベートするステップと、
(d)R−リポ酸、ウコン根茎、N−アセチル−L−システイン、グルタチオン、L−アルギニン、およびNADHを前記微生物ブロスに供給するステップと、
(e)pHを約8.0に調整するステップと、
(f)少なくとも約10日間にわたり前記微生物ブロスをインキュベートするステップと、
(g)任意選択的に、少なくとも12日後に糖蜜、コメタンパク質、栄養酵母、およびナタマイシンを前記微生物ブロスに供給するステップと、
(h)任意選択的に、pHを約8.0に調整するステップと、
(j)少なくとも約2日間〜約9日間にわたり前記微生物ブロスをインキュベートするステップと、
(k)pHを約2.0に調整するステップと、
(l)全微生物ブロス体積の約60〜100%の体積の第2の食用油と、全微生物ブロス体積の約100%の体積の水と、を添加して2層を形成するステップと、
(m)前記食用油層と前記水性層とを混合して前記食用油層へのDHLAまたはその塩の抽出を行うステップと、
(n)DHLAまたはその塩を含有する前記食用油層を分離するステップと、
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項7】
請求項6に記載のプロセスにおいて、前記微生物培養物がL.カゼイ(L.casei)とL.ファーメンタム(L.fermentum)とを含むことを特徴とするプロセス。
【請求項8】
請求項6に記載のプロセスにおいて、前記インキュベートするステップが約35℃〜約40℃の温度で行われることを特徴とするプロセス。
【請求項9】
請求項6に記載のプロセスにおいて、R−リポ酸が前記微生物ブロスの全重量を基準にして約20g/kg〜約40g/kgの量で前記微生物ブロスに添加されることを特徴とするプロセス。
【請求項10】
請求項6に記載のプロセスにおいて、DHLAまたはその塩を含有する前記食用油層が約10mg/mlのDHLA濃度を有することを特徴とするプロセス。
【請求項11】
請求項6に記載のプロセスにおいて、前記第1の食用油および前記第2の食用油が同一でありうるかまたは異なりうるとともに、前記第1の食用油および前記第2の食用油が、それぞれ独立して、オリーブ油、ブドウ種子油、ゴマ油、ボラージ油、魚油、シーバックソーン油、アマ油、ココヤシ油、ピーナッツ油、キャノーラ油、ホホバ油、トウモロコシ油、パーム油、マツヨイグサ油、アマランス油、サフラワー油、ダイズ油、ヒマワリ油、パーム油、メンジツ油、アーモンド油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、マカデミア油、ペカン油、ピスタシオ油、クルミ油、アサイー油、ブラックカラント油、アンズ油、アルガン油、アーティチョーク油、アボカド油、ババス油、ベン油、ボルネオタローナッツ油、バッファローヒョウタン油、イナゴマメ莢油、コリアンダー種子油、アマナズナ油、アサ油、カポック種子油、ラレマンティア油、メドウフォーム種子油、カラシ油、オクラ種子油、シソ種子油、ペキ油、パインナッツ油、ケシ種子油、プルーン核油、カボチャ種子油、キノア油、ラムティル油、コメヌカ油、チャ油、アザミ油、およびコムギ胚芽油からなる群から選択されることを特徴とするプロセス。
【請求項12】
請求項11に記載のプロセスにおいて、前記第1の食用油および前記第2の食用油がそれぞれオリーブ油であることを特徴とするプロセス。
【請求項13】
請求項12に記載のプロセスにおいて、DHLAまたはその塩を含有する前記食用油層が約10mg/mlのDHLA濃度を有することを特徴とするプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、R−リポ酸からジヒドロリポ酸(DHLA)へのバイオ変換に関する。本プロセスは、次のいずれかの細菌の属:ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、またはバチルス属(Bacillus)から選択される細菌を用いてリポ酸を発酵させる。より特定的には、本発明は、非伝統的溶媒系(すなわち食品油)を利用したDHLAの抽出方法に関する。一般的には、本方法で生成されるDHLAは、不活性化または死滅させた細胞から単離される。
【背景技術】
【0002】
ジヒドロリポ酸は価値のある栄養物質である。その生成および単離は、そのジスルフィド形すなわちリポ酸への酸化が各種標準条件下で容易に起こるため困難である。
【0003】
DHLAは、典型的には、正常代謝活性時にリポ酸またはα−リポ酸(ALA)のレドックス変換により生体内で生成される。しかしながら、生体は、一般に、代謝機能を支援するのに足る量のDHLAを生成するにすぎない。しかしながら、DHLAは、糖尿病、緑内障、アテローム硬化症、他のニューロパチーなどのいくつかの分解性病理学的症候群の原因となりうる反応性窒素種(RNS)および反応性酸素種(ROS)たとえば一重項酸素などを捕捉するために利用可能な少なくとも部分的には有効な抗酸化剤およびキレート化剤であることが示されている。DHLAはまた、細胞内で酸化的損傷の防止または修復および生体内である特定の重要な栄養素たとえばビタミンCやEなどの再生に少なくとも部分的には有効であることが見いだされている。しかしながら、市販のDHLAは存在しておらず、ALAが存在するにすぎないが、このALAは、DNAを有していない非生物源に由来するものであり、とくに長期使用では細胞DNA分解を誘発するおそれがある。結果として、最小量のDHLAを生成するように細胞内で使用されるかかるALAは、長期使用には有益でないと考えられる。それとは逆に、かつて生きていた生物源に由来するDHLAは、細胞DNAを支持することが知られるDNAを含む。Marshallに付与された米国特許第8,530,209号明細書では、医薬または栄養サプリメントに使用される安定化ジヒドロリポ酸(DHLA)は、かつて生きていた生物源に由来する。とくに、安定化DHLA化合物は、少なくとも1種の生存プロバイオティック生物と、R−リポ酸と、少なくとも1種の栄養医薬剤または栄養剤と、を含む微生物培養培地に由来しうる。
【0004】
多量のDHLAの単離および/または安定化が困難であることは明らかである。天然源では、以上で考察したように比較的少量をin vivoで単離可能である。しかしながら、in situでより多量のDHLAを調製・単離する方法が見いだせれば、これは栄養医薬および医療の技術分野に価値のある貢献を果たすであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、細菌を利用したリポ酸からジヒドロリポ酸(DHLA)へのバイオ変換に関する。
【0006】
本発明の一般的な目的は、医薬または栄養サプリメントに使用されるDHLAまたはその塩を含む有益な化合物の生成方法を提供することである。
【0007】
実施形態では、少なくとも1種の生存プロバイオティック生物、R−リポ酸、および/または少なくとも1種の栄養剤を含む微生物培養培地を蒸溜水に分散させてブロスを形成するステップと、選択された期間にわたり所定の温度でブロスをインキュベートしてプロバイオティック活性を誘発するステップと、任意選択的に、有機エタノールを添加してプロバイオティック活性を停止するステップと、オリーブ油抽出によりブロスから所望の化合物を分離するステップと、を含むDHLAの生成方法が本明細書に記載されている。
【0008】
他の実施形態では、以下のステップ、すなわち、
(a)ラクトバチルス属(Lactobacillus)の種、エンテロコッカス属(Enterococcus)の種、ペディオコッカス属(Pediococcus)の種、またはバチルス属(Bacillus)の種の少なくとも1種を含む微生物培養物を調製するステップと、
(b)糖蜜と、N−アセチル−L−システインと、コメタンパク質と、栄養酵母と、糖と、1種以上のミネラル塩と、1種以上のヌクレオチドと、第1の食用油と、を含有する水性ブロスを微生物培養物で処理して微生物ブロスを生成するステップと、
(c)少なくとも約48時間にわたり約35℃〜約40℃の温度で微生物ブロスをインキュベートするステップと、
(d)R−リポ酸、ウコン根茎、N−アセチル−L−システイン、グルタチオン、L−アルギニン、およびNADHを微生物ブロスに供給するステップと、
(e)pHを約8.0に調整するステップと、
(f)少なくとも約10日間にわたり微生物ブロスをインキュベートするステップと、
(g)任意選択的に、少なくとも12日後に糖蜜、コメタンパク質、栄養酵母、およびナタマイシンを微生物ブロスに供給するステップと、
(h)任意選択的に、pHを約8.0に調整するステップと、
(j)少なくとも約2日間〜少なくとも約9日間にわたり微生物ブロスをインキュベートするステップと
(k)pHを約2.0に調整するステップと、
(l)全微生物ブロス体積の約60〜100%の体積の第2の食用油と、全微生物ブロス体積の約100%の体積の水と、を添加して2層を形成するステップと、
(m)食用油層と水性層とを混合して食用油層へのDHLAまたはその塩の抽出を行うステップと、
(n)DHLAまたはその塩を含有する食用油層を分離するステップと、
を含む、ジヒドロリポ酸(DHLA)またはその塩の生成プロセスが記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、油層に含まれるDHLAを生成するためにバッチモードで行われるバルク発酵プロセスの一実施形態の模式図を示す。
図2A図2Aは、一実施形態でバルク発酵プロセスの原理に基づいて使用されるスキッド上の代表的反応器を示す。
図2B図2Bは、バルク発酵プロセスに使用される各種例示的ポートが示されている図2Aの反応器スキッドの上面図を示す。ポートレイアウトおよび各ポートの説明が示されている。
図3図3は、オリーブ油の添加前にバルク発酵プロセスで生成されたmg/ml単位のDHLA変換量を時間に対して示す。
図4A図4Aは、DHLA分析標準のHPLCクロマトグラムを示す。
図4B図4Bは、バルク発酵プロセスの一実施形態に従って14日間の発酵を行った後の生成されたDHLAサンプルのHPLCクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
過去数十年間にわたり、医学産業、医薬産業、および栄養産業は、さまざまな疾患の治療/予防のためにさらには良好な健康および生体機能の維持のために、伝統的なハーブ医薬および/またはホメオパシー医薬の使用に大きな関心を示してきた。生物学、化学、および医学の分野の進歩のおかげで、研究者は、人体ならびにその膨大な数の代謝プロセスおよび生理学的プロセスに及ぼす各種化合物の影響および効果をより詳細かつ正確に研究できるようになってきた。かかる進歩は、たとえば、栄養素、ビタミン、ミネラル、他の天然に存在するまたは合成の化合物など、多くの化合物の摂取に関して、さらにはこれらの化合物が日々の生体機能に果たす役割に関して、理解の向上につながっている。
【0011】
一研究領域では、「反応性酸素種」(ROS)の生理学的効果の理解に重点が置かれてきた。ROSは、生物の正常代謝プロセスの副産物である。ROSには、生体構造に酸化的損傷を引き起こす可能性のある酸素由来フリーラジカルや非ラジカル誘導体が含まれる。ROSはまた、老化プロセスやいくつかの病理学的症候群たとえば糖尿病などに関与することも示されている。しかしながら、ROSにより引き起こされる酸化的損傷は、たとえば、生体内でROSと直接反応しうる抗酸化剤を使用するなど、いくつかの機序により低減したり防止したりすることが可能である。
【0012】
各種の栄養医薬剤または栄養剤を本発明の微生物培養培地で利用しうるが、好適な栄養医薬剤または栄養剤は、所望の有益な化合物の生成のほかに微生物培地の安定性にも寄与すべきである。微生物培養培地で利用される1種または複数種の特定の栄養医薬剤または栄養剤は、誘導される有益な化合物に依存するであろう。たとえば、微生物培養培地から誘導される有益な化合物が安定化ジヒドロリポ酸(DHLA)である場合、微生物培地に含まれる栄養剤はウコン根茎(クルクマ・ロンガ(curcuma longa))でありうる。他の好ましい実施形態では、微生物培養培地で利用される栄養医薬剤または栄養剤は、誘導される有益な化合物の合成形もしくは前駆体でありうるか、またはたとえば、有益な化合物を単離するために処理しなければならない植物やハーブなど、有益な化合物の天然に存在する供給源でありうる。
【0013】
DHLAの可能な使用としては、フリーラジカルを中和して害を引き起こさないようにする栄養医薬成分または活性医薬成分(API)としての使用が挙げられる。それは、損傷を引き起こすスーパーオキシドラジカル、ヒドロペルオキシラジカル、およびヒドロキシルラジカルを直接破壊する。ジヒドロリポエート(DL−6,8−ジチオールオクタン酸)は、ミクロソーム脂質過酸化に対して抗酸化活性を有することがin vitroで示されている。ジヒドロリポエートは、低酸素・興奮毒性ニューロン損傷のin vitroモデルおよび脳虚血のin vivo齧歯動物モデルを用いて、ニューロン保護活性に関して試験されている。ジヒドロリポエートは、ジメチルチオウレアと同様に、大脳組織内への反応性酸素種の蓄積を減少させることにより、虚血性損傷に対してニューロンを保護することが可能である。
【0014】
本明細書に記載のプロセスは、比較的短い時間で多量のDHLAを生成する方法を提供する。さらに、抽出方法は、抽出プロセスで通常使用される従来の溶媒を用いずにDHLAおよびリポ酸を抽出して取り出す方法を提供する。このプロセスは、すべての溶媒抽出プロセスの最終生成物に通常存在する溶媒残留物を残さない。
【0015】
一態様では、その主な実施形態のプロセスは、in situでDHLAを生成するために以下の成分を含有する。この処方では、変換率は他の例示的方法ほど高くなく、ピーク変換量を達成する期間は21日を超える。
【0016】
ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)
R−リポ酸
ウコン(根茎源)
N−アセチルLシステイン
NADH
糖蜜
RO水
水酸化ナトリウム
塩酸
オリーブ油
コメタンパク質
酵母フレーク
有機ショ糖
硫酸マンガン
硫酸マグネシウム
リン酸二カリウム
ナタマイシン
【0017】
一般的には、R−リポ酸を溶解する溶媒系は、生成物DHLAを抽出して取り出すために使用可能である。しかしながら、水溶性成分が抽出されて取り出されないようにまたはかかる成分の共抽出が少なくとも最小限に抑えられるように、水と非混和性の溶媒が好ましい。使用する細菌もまた、変更可能である。ほとんどの細菌はDHLAを生成する。本明細書に記載および列挙された細菌種は、たとえばDHLA生成に使用して非常に高い収率が得られる非常に効率的なものの一部である。
【0018】
他の実施形態では、in situで大規模にDHLAを生成するために以下の成分が使用される。
【0019】
ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)
ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)
R−リポ酸
ウコン
グルタチオン
N−アセチルLシステイン
L−アルギニン
NADH
糖蜜
RO水
水酸化ナトリウム
塩酸
オリーブ油
コメタンパク質
酵母フレーク
有機ショ糖(スクロースとして)
硫酸マンガン
硫酸マグネシウム
リン酸二カリウム
ナタマイシン
【0020】
Nucleocellヌクレオチドは、Future Food,Santa Rosa,Californiaから入手可能である。
【0021】
Aussi/Aussieミネラルは、Symbio Alliance,Eight Mile Plains,Q4113,Australiaから入手可能である。
【0022】
ナタマイシン50%は、ProFood International,Inc.,Lisle,Illinoisから入手可能である。
【0023】
抽出に有用なオリーブ油は、Cibaria Moroccan Olive Oil,Riverside,Californiaである。
【0024】
代替的に、DHLA抽出を目的として他の天然油を本プロセスで使用しうる。好適な油としては、本プロセスの実施形態で使用しうる食品油や植物油をはじめとする食用油が挙げられ、さらには、限定されるものではないが、ブドウ種子油、ゴマ油、ボラージ油、魚油、シーバックソーン油、アマ油、ココヤシ油、ピーナッツ油、キャノーラ油、ホホバ油、トウモロコシ油、パーム油、マツヨイグサ油、アマランス油、サフラワー油、ダイズ油、ヒマワリ油、パーム油、メンジツ油、アーモンド油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、マカデミア油、ペカン油、ピスタシオ油、クルミ油、アサイー油、ブラックカラント油、アンズ油、アルガン油、アーティチョーク油、アボカド油、ババス油、ベン油、ボルネオタローナッツ油、バッファローヒョウタン油、イナゴマメ莢油、コリアンダー種子油、アマナズナ油、アサ油、カポック種子油、ラレマンティア油、メドウフォーム種子油、カラシ油、オクラ種子油、シソ種子油、ペキ油、パインナッツ油、ケシ種子油、プルーン核油、カボチャ種子油、キノア油、ラムティル油、コメヌカ油、チャ油、アザミ油、およびコムギ胚芽油が挙げられる。そのほかに、イソアミルアセテートを本プロセスで抽出剤として使用しうる。
【0025】
リポ酸からDHLAへのバイオ変換のための生成プロセスでは、1種以上の食用油を使用可能である。第1の食用油および第2の食用油は、同一でありうるかまたは異なりうるとともに、食用油は、食品油、植物油、ボタニカル油、ブドウ種子油、ゴマ油、ボラージ油、魚油、シーバックソーン油、アマ油、ココヤシ油、ピーナッツ油、キャノーラ油、ホホバ油、トウモロコシ油、パーム油、マツヨイグサ油、アマランス油、サフラワー油、ダイズ油、ヒマワリ油、パーム油、メンジツ油、アーモンド油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、マカデミア油、ペカン油、ピスタシオ油、クルミ油、アサイー油、ブラックカラント油、アンズ油、アルガン油、アーティチョーク油、アボカド油、ババス油、ベン油、ボルネオタローナッツ油、バッファローヒョウタン油、イナゴマメ莢油、コリアンダー種子油、アマナズナ油、アサ油、カポック種子油、ラレマンティア油、メドウフォーム種子油、カラシ油、オクラ種子油、シソ種子油、ペキ油、パインナッツ油、ケシの実、プルーン核油、カボチャ種子油、キノア油、ラムティル油、コメヌカ油、チャ油、アザミ油およびコムギ胚芽油からなる群から選択される。
【0026】
バイオ変換は、DHLAを生成するために供給原料としてリポ酸を用いて発酵プロセスで行われる。微生物培養物は、記載の1つ以上の種の細菌細胞を含有するものと理解される。微生物培養物は、酵母を含有する微生物ブロスを調製するために使用される。
【0027】
一般的原理として、以上の成分リストにより提供されるブロスは、いくつかの予想外の利点および有益な性質を含む。理論により拘束されるものではないが、発酵ブロスは、成分の1つ以上に基づいて次の性質を含む。コメタンパク質およびL−システイン(すなわち、N−アセチル−L−システインの形態で)はそれぞれ、窒素質および炭素質の化合物を提供しうる。酵母フレークは必須ビタミンBを提供し、有機ショ糖(スクロース)は発酵性炭水化物およびエネルギー源である。オリーブ油(ブロス部分)は、乳酸桿菌の代謝に必要とされるオレイン酸および他の脂肪酸を供給する。硫酸マグネシウムおよび硫酸マンガンは、乳酸桿菌の増殖に必須のイオンを提供する。リン酸塩は、良好な緩衝作用を提供する。ナタマイシンは、糸状菌および酵母の成長を防止する。グルタチオン、L−アルギニン、N−アセチルL−システイン、およびNADHは、成長促進剤および還元剤である。ウコンは、R−リポ酸(出発材料供給原料として)の重合を防止することが可能である。ヌクレオチドは、成長因子として利用される。Aussieミネラルは、必須ミネラルを提供可能である。糖蜜は、ラクトバチルス属(Lactobacillus)生物の追加の成長因子を提供する。
【0028】
以上に記載の方法は、以下の実施例と関連させるとさらに理解しうる。そのほかに、本発明を例示するために、限定されるものではないが以下の実施例を提供する。
【実施例】
【0029】
実施例1
DHLAバルク発酵プロセス(バッチモード)
(1)以下のように、L.カゼイ(L.casei)およびL.ファーメンタム(L.fermentum)のストック培養物から48時間接種培養物を調製する。
【0030】
(1a)ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)接種物の調製:
混合開始日の48時間前、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)接種物を調製した。Nebraska Cultures,Inc.製の10グラムの原料(0022)フリーズドライ100億CFU/gラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)をEdge Biologicals,Inc.カタログ番号B−0965 Memphis,TNにより供給された500mLのMRSブロスに添加した。90%N2:5%CO2:5%O2の雰囲気を用いて37℃で接種物をインキュベートした。48時間のインキュベーション後、遠心分離機を用いて500mLの接種物をリン酸緩衝液で2回洗浄した。次いで、洗浄されたペレットを合計100mLのリン酸緩衝液で再構成し、DHLA発酵バルクバッチに接種するために1つの容器にまとめた。
【0031】
(1b)ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)接種物の調製:
使用したラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)接種物は、ケフィアから単離した。ストック培養プログラム作業指示書FM9802−11に従ってグリセロールストック培養物を作製した。この接種物は、混合開始日の48時間前に調製した。L.ファーメンタム(L.fermentum)グリセロールストック(Lot#2014−30.04)の一掻きをEdge Biologicals,Inc.カタログ番号B−0965 Memphis,TNにより供給された500mLのMRSブロスに添加した。90%N2:5%CO2:5%O2の雰囲気を用いて37℃で接種物をインキュベートした。48時間のインキュベーション後、遠心分離機を用いて500mLの接種物をリン酸緩衝液で2回洗浄した。次いで、洗浄されたペレットを合計100mLのリン酸緩衝液で再構成し、DHLA発酵バルクバッチに接種するために1つの容器にまとめた。
【0032】
(2)接種培養物を2回洗浄する。洗浄は、細胞の遠心分離と、上清のデカンテーションと、次いでRO水中への細胞の浸漬と、を含む。
【0033】
(3)PRLブロス(以下の表1の通り)中に糖蜜(14kg)を混合してステップ(2)の細胞培養物(「接種物」)を接種することにより、培地を調製した。この培地は、以下に記載の反応器内でインターバル撹拌が可能な培養システム内にある。インターバル設定は、150RPMで3分間および休止1分間である。したがって、以上の成分は、98°Fおよび5%CO:5%O:90%Nの大気条件に設定された反応器に添加される。
【0034】
反応器および装置(図2Aおよび2Bも参照されたい)。
【0035】
ステンレス鋼DCI 150ガロン反応器の変更はすべて、自社内のメンテナンス部門により達成した。所要の雰囲気を形成するためにおよびこのプロセスに関連するすべてのデータを取得するために、槽上で利用可能な11個のポートのうち7個のポートを利用した。気密シール槽を備えうることは、雰囲気の調整に不可欠である。槽の模式図を図2Aに示す。
【0036】
ポートレイアウトおよび各ポートの説明は、図2Bに規定される。pH読取りはすべて、毎日校正したAccumet Ab15 pH計を用いて行った。調整手順時に槽内のリアルタイムpHを測定するために、Hannah Instruments製のフロースルーモニターpH電極を二次的補助手段として使用した。温度読取りはすべて、温度読取りオンラインへのライブアクセスによりDickson製のデータプローブを用いて測定した。このプロジェクトの温度範囲は、85〜105°Fであった。雰囲気条件はすべて、iSense二酸化炭素酸素バイオガスメーターおよびサンプリングデータロガーを用いてモニターした。表2には、槽を変更するために使用したすべての部品についてそれぞれの販売業者および部品番号が記載されている。
【0037】
したがって、反応器の拡張およびデータの取得に使用した装置は、表2に列挙されている。
【0038】
(4)3日目:R−リポ酸、ウコン、N−アセチル L−システイン、グルタチオン、Lアルギニン、およびNADHを表3のようにバッチに添加する。
【0039】
(5)10分以内に50%水酸化ナトリウムを用いてバッチを8.0のpHにpH調整し、次いで、5%Oおよび5%COの雰囲気で37℃に維持した。
【0040】
(6)バッチを14〜21日間(ステップ7および8を含めて)発酵する。注:3〜13日目のプロセス時、50%水酸化ナトリウムを用いてpHを8.0(±0.5)に調整する。
【0041】
(7)3日目から始めて、水酸化ナトリウムを用いて酸性pHから8.0のpHにバッチを毎日pH調整する。8のpHが達成されて維持されたら調整を停止し、所要により再開する。
【0042】
(8)12日目:表4のように、水中の糖蜜、コメタンパク質、酵母フレーク、およびナタマイシン(50%)をバッチに供給する。また、この供給後、再びpHを8.0に再調整する。
【0043】
(9)発酵が終了し、バッチが70%以上の変換率に達したら(以下で実証される通り)、塩酸を用いてバッチを2.0.のpHにpH調整する。一般的には、発酵は14〜21日目に終了する。好ましい一実施形態では、発酵は約14日後に終了する。
【0044】
(9a)DHLA分析用のHPLCプロトコル
3日目から始めて、サンプルを毎日捕集することによりDionex Chromeleon 7 ネットワークHPLCシステムでHPLC−UV Visダイオードアレイ分析を用いてDHLA変換量をモニターした。表5には、使用したすべての試薬および標準が規定されており、また、表6には、HPLC分析に使用したすべての一般設備および供給品が規定されている。
【0045】
試験方法TM9802−095に従って途中段階および最終生成物の両方のサンプルを分析した。ピペッティングにより2.000mLのサンプルを50mLのメスフラスコに入れてDHLAバルク発酵希釈剤(0.1%w/vグルタチオンおよびN−アセチル−L−システイン、0.1%リン酸v/v、アセトニトリル/蒸留水中(499:499:2))を用いて所定の体積に希釈することにより、バルク発酵サンプルを毎日調製した。シリンジフィルターを用いてサンプルを濾過し、濾液の最初の1〜2mLを廃棄したうえで、HPLCバイアルに入れた。ピペッティングにより2.000mLのサンプルを50mLメスフラスコに入れてIPAで所定の体積に希釈することにより、最終生成物サンプルを調製した。シリンジフィルターを用いてサンプルを濾過し、濾液の最初の1〜2mLを廃棄したうえで、HPLCバイアルに入れた。代表的なHPLC条件は以下の表7に概説されている。
【0046】
DHLA発酵バルク変換量のHPLC結果。
【0047】
DHLA変換量の進行を追跡するために、毎日行ったすべてのサンプルをHPLCで試験した。表8は、処理終了までの毎日の結果を示す(図3の線グラフも参照されたい)。各ピークの面積を計算するために、DHLA標準を毎日調製してさまざまな体積で注入することにより、曲線を作成した。DHLA変換の連続進行は、7日後から毎日観測された(図3)。図4Aは、DHLA標準のHPLCクロマトグラムを示し、また、図4Bは、発酵14日後に生成されたDHLAサンプルのHPLCクロマトグラムを示す。
【0048】
(10)全ブロス体積の60〜100%のオリーブ油をバッチに添加し、ブロス体積の100%の水をバッチに添加する。
【0049】
(11)次いで、水性ブロスからDHLA油を抽出するためにバッチを45分間以上混合する。
【0050】
(12)混合後、ブロスを沈降させる(または遠心分離する)。遠心分離によりほとんどの残留細胞物質は除去されるであろう。
【0051】
(13)沈降後、DHLAを含有するオリーブ油層を吸い上げる。
【0052】
一実施形態では、単離されたDHLA含有油層は、DHLA含有率または抗酸化活性に関してアッセイ可能である。
【0053】
一実施形態では、DHLAを含有して得られるオリーブ油層は、約10mg/mlのDHLA濃度を有しうる。他の実施形態では、DHLAを含有して得られるオリーブ油層は、約5mg/ml〜約20mg/mlのDHLA濃度を有しうる。
【0054】
プロセスの他の実施形態では、細菌細胞を溶解しうるかまたはエタノールにより不活性化しうる。すなわち、細胞を不活性化させるかまたは死滅させることが可能である。別の言い方をすると、死細胞は、「かつて生きていた」とみなしうるものであり、別の言い方をすると、溶解または不活性化された細胞は、CFU数が0に近いかまたは本質的に0である「細胞状態」を有しうる。MRS寒天を用いた標準プレートカウントは、細胞の生存能を評価するために利用される。
【0055】
次に、図1に目を向けると、DHLA生成プロセス(10)が示されている。微生物培養物から作製された微生物ブロスは、「0日目」に反応器(20)に添加される。約48時間の発酵後、実施例では、「3日目」に供給原料R−リポ酸を含めて成分が微生物ブロスに供給され、そして反応器(20)内で発酵が14〜21日間継続される。「12日目」に「12日目」の成分、すなわち、水中の糖蜜、コメタンパク質、酵母フレーク、およびナタマイシンが発酵バッチに供給される。発酵が終了した後、バッチは、2.0のpHに調整され、DHLA生成物の抽出のためにオリーブ油(30)が反応器(20)内の発酵微生物ブロスに添加される。DHLAはオリーブ油層(40)に単離される。プロセス(10)の生成物はDHLA含有油層(40)である。
【0056】
有用なDHLA塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどを含むカルボン酸の付加塩が挙げられうる。
【0057】
最後に、現在では、非生物源から誘導される化合物は、細胞DNAの栄養供給および再生が可能なコヒーレント光を発することが知られるDNAを欠如しているが分かっている。非生物源栄養素が細胞に入ると、DNA分解および早期細胞死を引き起こすおそれがある。それとは逆に、かつて生きていた生物源から誘導される化合物は細胞DNAを支持する。したがって、かつて生きていた生物源から誘導される化合物は、生体内で天然に摂取または生成される化合物にかなり近く、とくに長期使用ではより安全であるので、摂取にはより好適であると考えられる。例示的なDNA源の1つは、本明細書で用いられるNucleocellヌクレオチドである。
【0058】
各種生存プロバイオティック生物が本発明の微生物培養培地に含まれうるが、ある特定の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のプロバイオティック生物は、ラクトバチルス属(Lactobacillus)の種、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)の種、エンテロコッカス属(Enterococcus)の種、一般に安全と認められる(GRAS)ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、およびそれらの組合せから選択可能である。
【0059】
他の実施形態によれば、本明細書に記載のプロセスは、次のいずれかの細菌の属:ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、またはバチルス属(Bacillus)から選択される細菌を用いてリポ酸を発酵させる。
【0060】
好適なラクトバチルス属(Lactobacillus)の種の例としては、限定されるものではないが、L.アシドフィルス(L.acidophilus)、L.パラカゼイ(L.paracasei)、L.ファーメンタム(L.fermentum)、L.ラムノサス(L.rhamnosus)、L.ジョンソニイ(L.johnsonii)、L.プランタラム(L.plantarum)、L.ロイテリ(L.reuteri)、L.サリバリウス(L.salivarius)、L.ブレビス(L.brevis)、L.ブルガリカス(L.bulgaricus)、L.ヘルベティカス(L.helveticus)、L.グラッセリ(L.grasseri)、L.カゼイ(L.casei)、L.ラクティス(L.lactis)、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0061】
好適なエンテロコッカス属(Enterococcus)種の例としては、限定されるものではないが、E.ファセウム(E.faceum)、E.フェカリス(E.faecalis)、E.デュランス(E.durans)、E.ガリナルム(E.gallinarum)、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0062】
各種の栄養医薬剤または栄養剤を本発明の微生物培養培地で利用しうるが、好適な栄養医薬剤または栄養剤は、所望の有益な化合物の生成のほかに微生物培地の安定性にも寄与すべきである。微生物培養培地で利用される1種または複数種の特定の栄養医薬剤または栄養剤は、誘導される有益な化合物に依存するであろう。たとえば、微生物培養培地から誘導される有益な化合物が安定化ジヒドロリポ酸(DHLA)である場合、微生物培地に含まれる栄養剤はウコン根茎(クルクマ・ロンガ(curcuma longa))でありうる。他の好ましい実施形態では、微生物培養培地で利用される栄養医薬剤または栄養剤は、誘導される有益な化合物の合成形もしくは前駆体でありうるか、またはたとえば、有益な化合物を単離するために処理しなければならない植物やハーブなど、有益な化合物の天然に存在する供給源でありうる。
【0063】
本発明のある特定の好ましい実施形態によれば、医薬または栄養サプリメントに使用される安定化ジヒドロリポ酸(DHLA)は、かつて生きていた生物源から誘導される。とくに、安定化DHLA化合物は、少なくとも1種の生存プロバイオティック生物と、R−リポ酸と、少なくとも1種の栄養医薬剤または栄養剤と、を含む微生物培養培地に由来しうる。
【0064】
α−リポ酸(ALA)の合成源は、一般に、等量でR−リポ酸とS−リポ酸とを含む。しかしながら、S−リポ酸を含有するALAは、望ましくない化合物の生成をもたらす炎症誘発性を有し、ALAの機能を損ねるおそれがあることを発見した。したがって、実際には、微生物培養培地および微生物発酵ブロスではR−リポ酸が利用される。
【0065】
各種の栄養医薬剤または栄養剤を本発明の微生物培養培地で利用しうるが、好適な栄養医薬剤または栄養剤は、DHLAの生成に寄与すべきであるほかに微生物培地の安定性にも寄与するべきである。ある特定の好ましい実施形態によれば、栄養医薬剤または栄養剤はウコン根茎(クルクマ・ロンガ(curcuma longa))でありうる。
【0066】
本発明の安定化ジヒドロリポ酸(DHLA)は、少なくとも1種の生存プロバイオティック生物と、R−リポ酸と、少なくとも1種の栄養剤と、を含む微生物培養培地を蒸溜水中に分散させて微生物ブロスを形成することにより、調製可能である。次いで、選択された期間、たとえば、約72〜約336時間(すなわち約3〜約14日間)などにわたり、所定のまたは好ましいpH範囲(たとえば約8.0)および温度範囲(たとえば約35℃〜約40℃)でブロスをインキュベートして、プロバイオティック活性を誘発する。インキュベーション期間の終了時、有機エタノールをブロスに添加してプロバイオティック活性を停止し、合成化合物を保存しうる。その後、生成物DHLAは、油抽出によりブロスから分離され、医薬または栄養サプリメントの調製に使用される。
【0067】
以上の明細書では本発明をそのある特定の好ましい実施形態との関連で記載するとともに、多くの詳細事項を例示目的で述べてきたが、本発明は、そのほかの実施形態も可能であり、本明細書に記載の詳細事項のいくつかは、本発明の基本原理から逸脱することなく、かなりの変更を加えうることは、当業者には自明なことであろう。
【0068】
本明細書で引用した参照文献はすべて、その全体が参照により組み込まれる。本発明は、その趣旨またはその本質的属性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化しうるので、本発明の範囲を示すものとしては、上記の明細書ではなく、添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4A-4B】