【実施例】
【0029】
実施例1
DHLAバルク発酵プロセス(バッチモード)
(1)以下のように、L.カゼイ(L.casei)およびL.ファーメンタム(L.fermentum)のストック培養物から48時間接種培養物を調製する。
【0030】
(1a)ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)接種物の調製:
混合開始日の48時間前、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)接種物を調製した。Nebraska Cultures,Inc.製の10グラムの原料(0022)フリーズドライ100億CFU/gラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)をEdge Biologicals,Inc.カタログ番号B−0965 Memphis,TNにより供給された500mLのMRSブロスに添加した。90%N2:5%CO2:5%O2の雰囲気を用いて37℃で接種物をインキュベートした。48時間のインキュベーション後、遠心分離機を用いて500mLの接種物をリン酸緩衝液で2回洗浄した。次いで、洗浄されたペレットを合計100mLのリン酸緩衝液で再構成し、DHLA発酵バルクバッチに接種するために1つの容器にまとめた。
【0031】
(1b)ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)接種物の調製:
使用したラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)接種物は、ケフィアから単離した。ストック培養プログラム作業指示書FM9802−11に従ってグリセロールストック培養物を作製した。この接種物は、混合開始日の48時間前に調製した。L.ファーメンタム(L.fermentum)グリセロールストック(Lot#2014−30.04)の一掻きをEdge Biologicals,Inc.カタログ番号B−0965 Memphis,TNにより供給された500mLのMRSブロスに添加した。90%N2:5%CO2:5%O2の雰囲気を用いて37℃で接種物をインキュベートした。48時間のインキュベーション後、遠心分離機を用いて500mLの接種物をリン酸緩衝液で2回洗浄した。次いで、洗浄されたペレットを合計100mLのリン酸緩衝液で再構成し、DHLA発酵バルクバッチに接種するために1つの容器にまとめた。
【0032】
(2)接種培養物を2回洗浄する。洗浄は、細胞の遠心分離と、上清のデカンテーションと、次いでRO水中への細胞の浸漬と、を含む。
【0033】
(3)PRLブロス(以下の表1の通り)中に糖蜜(14kg)を混合してステップ(2)の細胞培養物(「接種物」)を接種することにより、培地を調製した。この培地は、以下に記載の反応器内でインターバル撹拌が可能な培養システム内にある。インターバル設定は、150RPMで3分間および休止1分間である。したがって、以上の成分は、98°Fおよび5%CO
2:5%O
2:90%N
2の大気条件に設定された反応器に添加される。
【0034】
反応器および装置(
図2Aおよび2Bも参照されたい)。
【0035】
ステンレス鋼DCI 150ガロン反応器の変更はすべて、自社内のメンテナンス部門により達成した。所要の雰囲気を形成するためにおよびこのプロセスに関連するすべてのデータを取得するために、槽上で利用可能な11個のポートのうち7個のポートを利用した。気密シール槽を備えうることは、雰囲気の調整に不可欠である。槽の模式図を
図2Aに示す。
【0036】
ポートレイアウトおよび各ポートの説明は、
図2Bに規定される。pH読取りはすべて、毎日校正したAccumet Ab15 pH計を用いて行った。調整手順時に槽内のリアルタイムpHを測定するために、Hannah Instruments製のフロースルーモニターpH電極を二次的補助手段として使用した。温度読取りはすべて、温度読取りオンラインへのライブアクセスによりDickson製のデータプローブを用いて測定した。このプロジェクトの温度範囲は、85〜105°Fであった。雰囲気条件はすべて、iSense二酸化炭素酸素バイオガスメーターおよびサンプリングデータロガーを用いてモニターした。表2には、槽を変更するために使用したすべての部品についてそれぞれの販売業者および部品番号が記載されている。
【0037】
したがって、反応器の拡張およびデータの取得に使用した装置は、表2に列挙されている。
【0038】
(4)3日目:R−リポ酸、ウコン、N−アセチル L−システイン、グルタチオン、Lアルギニン、およびNADHを表3のようにバッチに添加する。
【0039】
(5)10分以内に50%水酸化ナトリウムを用いてバッチを8.0のpHにpH調整し、次いで、5%O
2および5%CO
2の雰囲気で37℃に維持した。
【0040】
(6)バッチを14〜21日間(ステップ7および8を含めて)発酵する。注:3〜13日目のプロセス時、50%水酸化ナトリウムを用いてpHを8.0(±0.5)に調整する。
【0041】
(7)3日目から始めて、水酸化ナトリウムを用いて酸性pHから8.0のpHにバッチを毎日pH調整する。8のpHが達成されて維持されたら調整を停止し、所要により再開する。
【0042】
(8)12日目:表4のように、水中の糖蜜、コメタンパク質、酵母フレーク、およびナタマイシン(50%)をバッチに供給する。また、この供給後、再びpHを8.0に再調整する。
【0043】
(9)発酵が終了し、バッチが70%以上の変換率に達したら(以下で実証される通り)、塩酸を用いてバッチを2.0.のpHにpH調整する。一般的には、発酵は14〜21日目に終了する。好ましい一実施形態では、発酵は約14日後に終了する。
【0044】
(9a)DHLA分析用のHPLCプロトコル
3日目から始めて、サンプルを毎日捕集することによりDionex Chromeleon 7 ネットワークHPLCシステムでHPLC−UV Visダイオードアレイ分析を用いてDHLA変換量をモニターした。表5には、使用したすべての試薬および標準が規定されており、また、表6には、HPLC分析に使用したすべての一般設備および供給品が規定されている。
【0045】
試験方法TM9802−095に従って途中段階および最終生成物の両方のサンプルを分析した。ピペッティングにより2.000mLのサンプルを50mLのメスフラスコに入れてDHLAバルク発酵希釈剤(0.1%w/vグルタチオンおよびN−アセチル−L−システイン、0.1%リン酸v/v、アセトニトリル/蒸留水中(499:499:2))を用いて所定の体積に希釈することにより、バルク発酵サンプルを毎日調製した。シリンジフィルターを用いてサンプルを濾過し、濾液の最初の1〜2mLを廃棄したうえで、HPLCバイアルに入れた。ピペッティングにより2.000mLのサンプルを50mLメスフラスコに入れてIPAで所定の体積に希釈することにより、最終生成物サンプルを調製した。シリンジフィルターを用いてサンプルを濾過し、濾液の最初の1〜2mLを廃棄したうえで、HPLCバイアルに入れた。代表的なHPLC条件は以下の表7に概説されている。
【0046】
DHLA発酵バルク変換量のHPLC結果。
【0047】
DHLA変換量の進行を追跡するために、毎日行ったすべてのサンプルをHPLCで試験した。表8は、処理終了までの毎日の結果を示す(
図3の線グラフも参照されたい)。各ピークの面積を計算するために、DHLA標準を毎日調製してさまざまな体積で注入することにより、曲線を作成した。DHLA変換の連続進行は、7日後から毎日観測された(
図3)。
図4Aは、DHLA標準のHPLCクロマトグラムを示し、また、
図4Bは、発酵14日後に生成されたDHLAサンプルのHPLCクロマトグラムを示す。
【0048】
(10)全ブロス体積の60〜100%のオリーブ油をバッチに添加し、ブロス体積の100%の水をバッチに添加する。
【0049】
(11)次いで、水性ブロスからDHLA油を抽出するためにバッチを45分間以上混合する。
【0050】
(12)混合後、ブロスを沈降させる(または遠心分離する)。遠心分離によりほとんどの残留細胞物質は除去されるであろう。
【0051】
(13)沈降後、DHLAを含有するオリーブ油層を吸い上げる。
【0052】
一実施形態では、単離されたDHLA含有油層は、DHLA含有率または抗酸化活性に関してアッセイ可能である。
【0053】
一実施形態では、DHLAを含有して得られるオリーブ油層は、約10mg/mlのDHLA濃度を有しうる。他の実施形態では、DHLAを含有して得られるオリーブ油層は、約5mg/ml〜約20mg/mlのDHLA濃度を有しうる。
【0054】
プロセスの他の実施形態では、細菌細胞を溶解しうるかまたはエタノールにより不活性化しうる。すなわち、細胞を不活性化させるかまたは死滅させることが可能である。別の言い方をすると、死細胞は、「かつて生きていた」とみなしうるものであり、別の言い方をすると、溶解または不活性化された細胞は、CFU数が0に近いかまたは本質的に0である「細胞状態」を有しうる。MRS寒天を用いた標準プレートカウントは、細胞の生存能を評価するために利用される。
【0055】
次に、
図1に目を向けると、DHLA生成プロセス(10)が示されている。微生物培養物から作製された微生物ブロスは、「0日目」に反応器(20)に添加される。約48時間の発酵後、実施例では、「3日目」に供給原料R−リポ酸を含めて成分が微生物ブロスに供給され、そして反応器(20)内で発酵が14〜21日間継続される。「12日目」に「12日目」の成分、すなわち、水中の糖蜜、コメタンパク質、酵母フレーク、およびナタマイシンが発酵バッチに供給される。発酵が終了した後、バッチは、2.0のpHに調整され、DHLA生成物の抽出のためにオリーブ油(30)が反応器(20)内の発酵微生物ブロスに添加される。DHLAはオリーブ油層(40)に単離される。プロセス(10)の生成物はDHLA含有油層(40)である。
【0056】
有用なDHLA塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどを含むカルボン酸の付加塩が挙げられうる。
【0057】
最後に、現在では、非生物源から誘導される化合物は、細胞DNAの栄養供給および再生が可能なコヒーレント光を発することが知られるDNAを欠如しているが分かっている。非生物源栄養素が細胞に入ると、DNA分解および早期細胞死を引き起こすおそれがある。それとは逆に、かつて生きていた生物源から誘導される化合物は細胞DNAを支持する。したがって、かつて生きていた生物源から誘導される化合物は、生体内で天然に摂取または生成される化合物にかなり近く、とくに長期使用ではより安全であるので、摂取にはより好適であると考えられる。例示的なDNA源の1つは、本明細書で用いられるNucleocellヌクレオチドである。
【0058】
各種生存プロバイオティック生物が本発明の微生物培養培地に含まれうるが、ある特定の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のプロバイオティック生物は、ラクトバチルス属(Lactobacillus)の種、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)の種、エンテロコッカス属(Enterococcus)の種、一般に安全と認められる(GRAS)ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、およびそれらの組合せから選択可能である。
【0059】
他の実施形態によれば、本明細書に記載のプロセスは、次のいずれかの細菌の属:ラクトバチルス属(Lactobacillus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、またはバチルス属(Bacillus)から選択される細菌を用いてリポ酸を発酵させる。
【0060】
好適なラクトバチルス属(Lactobacillus)の種の例としては、限定されるものではないが、L.アシドフィルス(L.acidophilus)、L.パラカゼイ(L.paracasei)、L.ファーメンタム(L.fermentum)、L.ラムノサス(L.rhamnosus)、L.ジョンソニイ(L.johnsonii)、L.プランタラム(L.plantarum)、L.ロイテリ(L.reuteri)、L.サリバリウス(L.salivarius)、L.ブレビス(L.brevis)、L.ブルガリカス(L.bulgaricus)、L.ヘルベティカス(L.helveticus)、L.グラッセリ(L.grasseri)、L.カゼイ(L.casei)、L.ラクティス(L.lactis)、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0061】
好適なエンテロコッカス属(Enterococcus)種の例としては、限定されるものではないが、E.ファセウム(E.faceum)、E.フェカリス(E.faecalis)、E.デュランス(E.durans)、E.ガリナルム(E.gallinarum)、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0062】
各種の栄養医薬剤または栄養剤を本発明の微生物培養培地で利用しうるが、好適な栄養医薬剤または栄養剤は、所望の有益な化合物の生成のほかに微生物培地の安定性にも寄与すべきである。微生物培養培地で利用される1種または複数種の特定の栄養医薬剤または栄養剤は、誘導される有益な化合物に依存するであろう。たとえば、微生物培養培地から誘導される有益な化合物が安定化ジヒドロリポ酸(DHLA)である場合、微生物培地に含まれる栄養剤はウコン根茎(クルクマ・ロンガ(curcuma longa))でありうる。他の好ましい実施形態では、微生物培養培地で利用される栄養医薬剤または栄養剤は、誘導される有益な化合物の合成形もしくは前駆体でありうるか、またはたとえば、有益な化合物を単離するために処理しなければならない植物やハーブなど、有益な化合物の天然に存在する供給源でありうる。
【0063】
本発明のある特定の好ましい実施形態によれば、医薬または栄養サプリメントに使用される安定化ジヒドロリポ酸(DHLA)は、かつて生きていた生物源から誘導される。とくに、安定化DHLA化合物は、少なくとも1種の生存プロバイオティック生物と、R−リポ酸と、少なくとも1種の栄養医薬剤または栄養剤と、を含む微生物培養培地に由来しうる。
【0064】
α−リポ酸(ALA)の合成源は、一般に、等量でR−リポ酸とS−リポ酸とを含む。しかしながら、S−リポ酸を含有するALAは、望ましくない化合物の生成をもたらす炎症誘発性を有し、ALAの機能を損ねるおそれがあることを発見した。したがって、実際には、微生物培養培地および微生物発酵ブロスではR−リポ酸が利用される。
【0065】
各種の栄養医薬剤または栄養剤を本発明の微生物培養培地で利用しうるが、好適な栄養医薬剤または栄養剤は、DHLAの生成に寄与すべきであるほかに微生物培地の安定性にも寄与するべきである。ある特定の好ましい実施形態によれば、栄養医薬剤または栄養剤はウコン根茎(クルクマ・ロンガ(curcuma longa))でありうる。
【0066】
本発明の安定化ジヒドロリポ酸(DHLA)は、少なくとも1種の生存プロバイオティック生物と、R−リポ酸と、少なくとも1種の栄養剤と、を含む微生物培養培地を蒸溜水中に分散させて微生物ブロスを形成することにより、調製可能である。次いで、選択された期間、たとえば、約72〜約336時間(すなわち約3〜約14日間)などにわたり、所定のまたは好ましいpH範囲(たとえば約8.0)および温度範囲(たとえば約35℃〜約40℃)でブロスをインキュベートして、プロバイオティック活性を誘発する。インキュベーション期間の終了時、有機エタノールをブロスに添加してプロバイオティック活性を停止し、合成化合物を保存しうる。その後、生成物DHLAは、油抽出によりブロスから分離され、医薬または栄養サプリメントの調製に使用される。
【0067】
以上の明細書では本発明をそのある特定の好ましい実施形態との関連で記載するとともに、多くの詳細事項を例示目的で述べてきたが、本発明は、そのほかの実施形態も可能であり、本明細書に記載の詳細事項のいくつかは、本発明の基本原理から逸脱することなく、かなりの変更を加えうることは、当業者には自明なことであろう。
【0068】
本明細書で引用した参照文献はすべて、その全体が参照により組み込まれる。本発明は、その趣旨またはその本質的属性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化しうるので、本発明の範囲を示すものとしては、上記の明細書ではなく、添付の特許請求の範囲を参照すべきである。