(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、災害地などで使用されるロボットやドローンに取り付けるロボットハンドには、さまざまな形状、構造、剛性を有する対象物を把持する汎用性が要求される。
【0005】
本発明は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、汎用性の高いロボットハンドの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、ロボットハンドに関する。ロボットハンドは、複数M個(Mは二以上の整数)の関節を有し、第1平面内で可動である第1フィンガーと、複数N個(Nは、N≧Mの整数)の関節を有し、第2平面内で可動である第2フィンガーと、第1フィンガーおよび第2フィンガーそれぞれを、L個(1≦L≦M)の範囲に分け、第1フィンガーと第2フィンガーの同じ範囲に含まれる関節を一括して制御する駆動手段と、を備える。
【0007】
この態様によると、2本のフィンガーをフィンガーごとではなく、範囲ごとに制御する。これにより2本のフィンガーを、対象物に対して実質的に対称に動かすことができ、さまざまな対象物を安定的に把持することが可能となる。
【0008】
言い換えれば駆動手段は、第1フィンガーのM個の関節と第2フィンガーのN個の関節それぞれを、L個(1≦L≦M)のグループに割り当て、第1フィンガーと第2フィンガーの同じグループに属する関節を一括して制御する。
【0009】
第1フィンガーおよび第2フィンガーそれぞれの各関節のトルクは、第1フィンガーと第2フィンガーそれぞれと対象物との間に生ずる接触圧が均一化されるように設計されてもよい。
これにより、対象物の1カ所に力が集中するのを防止でき、対象物の変形、ダメージを抑制できる。
【0010】
駆動手段は、各フィンガーにおいて、先端に近い関節ほど低いトルクを発生させてもよい。これにより、各フィンガーが対象物に及ぼす接触圧を、先端から根元まで均一化することができ、対象物を安定的に把持することが可能となる。
【0011】
L=2であってもよい。2本のフィンガーの先端部分と、2本のフィンガーの根元部分を独立して、2自由度で制御することで、より多様な物体を把持する汎用性が提供される。
【0012】
第1フィンガー、第2フィンガーは、弾性体であってもよい。弾性体である第1フィンガーの背面には、M個の関節に対応する箇所にM個の溝が形成されてもよい。弾性体である第2フィンガーの背面には、N個の関節に対応する箇所にN個の溝が形成されてもよい。駆動手段は、加圧に応じて断面方向に膨張可能な第1チューブ、第2チューブ、第3チューブ、第4チューブ、ならびに第1圧力源、第2圧力源を含んでもよい。第1チューブは、少なくとも一部が第1フィンガーの第1範囲(グループ)に属する関節に対応する溝に沿っている。第2チューブは、少なくとも一部が第2フィンガーの第1範囲に含まれる関節に対応する溝に沿っている。第3チューブは少なくとも一部が第1フィンガーの第2範囲に含まれる関節に対応する溝に沿っている。第4チューブは少なくとも一部が第2フィンガーの第2範囲に含まれる関節に対応する溝に沿っている。第1圧力源は、第1チューブおよび第2チューブの圧力を制御する。第2圧力源は、第3チューブおよび第4チューブの圧力を制御する。流体圧を用いることで、装置を軽量化することができる。
【0013】
L=1であってもよい。第1フィンガー、第2フィンガーは、弾性体であってもよい。弾性体である第1フィンガーの背面には、M個の関節に対応する箇所M個の溝が形成されてもよい。弾性体である第2フィンガーの背面には、N個の関節に対応する箇所にN個の溝が形成されてもよい。駆動手段は、加圧に応じて断面方向に膨張可能な第5チューブ、第6チューブ、ならびに、第3圧力源を含んでもよい。第5チューブは少なくとも一部が第1フィンガーのM個の溝に沿って設けられ、第6チューブは少なくとも一部が第2フィンガーのN個の溝に沿っている。第3圧力源は、第5チューブおよび第6チューブの圧力を制御する。
流体圧を用いることで、装置を軽量化することができる。
【0014】
先端に近い関節の溝ほど、対応するチューブとの接触面積が小さくてもよい。チューブと溝の接触面積に応じて、関節の発生トルクを設計できる。
【0015】
駆動手段は、第1平面と第2平面のなす角度を制御可能であってもよい。これによりさらに多様な形状の対象物を把持することが可能となる。
【0016】
ロボットハンドは、第1フィンガーと第2フィンガーの間に設けられており、溝が形成されるベース部分を備えてもよい。駆動手段は、加圧に応じて断面方向に膨張可能であり、少なくとも一部がベース部分の溝に沿っている第7チューブと、第7チューブの圧力を制御する第4圧力源と、を備えてもよい。これによりベース部分が変形可能となり、第1平面と第2平面のなす角度を変化させることができる。
【0017】
駆動手段は、各チューブ内を挿通するガイド部材をさらに備えてもよい。
【0018】
本発明の別の態様は、飛行ロボットに関する。飛行ロボットは、マルチコプターと、マルチコプターに取り付けられた上述のいずれかのロボットハンドと、を備えてもよい。
【0019】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のある態様によれば、汎用性の高いロボットハンドが提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
また図面に記載される各部材の寸法(厚み、長さ、幅など)は、理解の容易化のために適宜、拡大縮小されている場合がある。さらには複数の部材の寸法は、必ずしもそれらの大小関係を表しているとは限らず、図面上で、ある部材Aが、別の部材Bよりも厚く描かれていても、部材Aが部材Bよりも薄いこともあり得る。
【0024】
図1は、実施の形態に係るロボットハンド10を模式的に示す図である。ロボットハンド10は、ベース部12、第1フィンガー20、第2フィンガー30、駆動手段40を備える。ベース部12は、手および腕に相当する部分と把握できる。
【0025】
第1フィンガー20は、複数M個(Mは二以上の整数)の関節22_1〜22_Mを有し、第1平面内で可動である。第2フィンガー30は、複数N個(Nは、N≧Mの整数)の関節32_1〜32_Nを有し、第2平面内で可動である。ここでは理解の容易化のため、大1平面と第2平面は同一平面(
図1の紙面)であるとする。
【0026】
このロボットハンド10は、人間の親指と人差し指の2本を模したものとすることができる。この場合、第1フィンガー20は親指に対応し、第2フィンガー30は人差し指に対応する。またM=2、N=3とすることができる。
【0027】
駆動手段40は、第1フィンガー20および第2フィンガー30はそれぞれ、L個(1≦L≦M)の範囲に分割されており、第1フィンガー20と第2フィンガー30の同じ範囲に含まれる関節22,32を一括して制御する。
【0028】
言い換えれば、第1フィンガー20のM個の関節と第2フィンガー30のN個の関節それぞれは、L個(1≦L≦M)のグループG1〜GMに割り当てられている。
図1の例ではG=2であり、第1グループG1には、第1フィンガー20の第1関節22_1と第2フィンガー30の第1関節32_1、第2関節32_2が属し、第2グループG2には、第1フィンガー20の第2関節22_2と第2フィンガー30の第3関節32_3が属している。
【0029】
駆動手段40は、第1フィンガー20と第2フィンガー30の同じグループに属する関節を一括して制御する。この例では、第1グループG1の3つの関節22_1、32_1、32_2がまとめて制御され、第2グループG2の2つの関節22_2、32_3がまとめて制御される。
【0030】
すなわち駆動手段40は、2本のフィンガーを、フィンガーごとではなく、グループごとに制御する。これにより2本のフィンガーの中央で対象物を保持できるため、アクチュエータの可動範囲を有効に活用でき、そのうえ力学的バランスを保ちやすくなる。その結果、フィンガーを個別に制御する場合に比べて、本実施の形態の方が、対象物を把持する成功率が高まる。
【0031】
以上がロボットハンド10の基本構成である。続いてその動作を説明する。
図2(a)〜(d)は、実施の形態に係るロボットハンド10の動作を示す図である。
図2(a)には、ロボットハンド10を開いた状態が示される。このロボットハンド10は、L=1であり、すべての第1フィンガー20および第2フィンガー30のすべての関節が一斉に曲げ伸ばしする。各関節の発生トルクは、オープンループで制御される。
図2(b)〜(d)は、対象物として、卵、ドアノブ、鍵を把持し、あるいは摘んだ状態が示される。
【0032】
このように、実施の形態に係るロボットハンド10によれば、さまざまな形状、堅さ、構造を有する対象物を把持することができる。
【0033】
続いて、ロボットハンド10が発生する力について説明する。
図3は、ロボットハンド10が対象物2に及ぼす力を説明する図である。ここでは円柱状の対象物2を例とする。第1フィンガー20と第2フィンガー30が対象物2に及ぼす接触圧(もしくは力)F1〜F5は均一化されることが好ましい。
F1≒F2≒F3≒F4≒F5 …(1)
【0034】
具体的には、式(1)を満たすように、第1フィンガー20の関節22_1、22_2のトルクτ
11、τ
12および第2フィンガー30の関節32_1、32_2、32_3のトルクτ
21、τ
22、τ
23が設計されている。各関節の距離xと、力Fを規定すれば、各関節に必要なトルクτは一義的に求めることができる。具体的には均一な力Fを発生するために、駆動手段40は、先端に近い関節ほど低いトルクを発生させる。すなわち以下の関係が成り立っている。
τ
11<τ
12
τ
21<τ
22<τ
23
これにより、各フィンガーと対象物の間に生ずる接触圧を、先端から根元まで均一化することができ、対象物を安定的に把持することが可能となる。
【0035】
続いて、ロボットハンド10の構成例を説明する。
【0036】
(第1構成例)
図4は、第1構成例に係るロボットハンド10aを示す図である。第1構成例では、M=2、N=3である。またグループ数L=1であり、2本のフィンガーのすべての関節が一括して制御可能となっている。ベース部分12、第1フィンガー20および第2フィンガー30は、発泡ウレタンなどの復元力を有する弾性体50であってもよい。ベース部分12、第1フィンガー20、第2フィンガー30は、1個の弾性体50として一体に形成されてもよい。
【0037】
第1フィンガー20の関節22_1,22_2に対応する部分には、溝52_1,52_2が設けられる。一般化すると任意のM個の関節に対応する箇所に、M個の溝52が形成される。溝52は、第1フィンガー20の背面側に形成される。
【0038】
同様に、第2フィンガー30の関節32_1,32_2,32_3に対応する部分には、溝54_1,54_2,54_3が設けられる。一般化すると任意のN個の関節に対応する箇所に、N個の溝54が形成される。溝54は、第2フィンガー30の背面側に形成される。
【0039】
駆動手段40aは、流体圧アクチュエータであり、第5チューブ60、第6チューブ62および第3圧力源64を備える。第5チューブ60は、第1フィンガー20の背面に、M(=2)個の溝52_1〜52_2に沿うように設けられる。第5チューブ60および第6チューブ62は、偏平チューブで構成される。偏平チューブは、先端側の一端が閉じられており、後端側の他端から内部流路を加圧することにより、断面方向に変形する。
【0040】
図5は、偏平チューブ70の正面図および平面図である。上段は、圧力がゼロの状態(P=0)の形状を、下段は加圧した状態(P>0)の形状を示す。偏平チューブ70は無加圧状態で断面がフラットであり、内部流路72を加圧すると丸くなる性質を有する。偏平チューブ70の内部には、糸などのガイド部材74を挿通しておくことが望ましい。これにより、偏平チューブ70が折れ曲がった箇所においても、空気などの流体の流路を確保することができる。
【0041】
図4に戻る。偏平チューブ70である第5チューブ60は、溝52以外の部分で変形しないように拘束することが望ましい。同様に第6チューブ62も、溝54以外の部分で変形しないように拘束することが望ましい。拘束部材76は、糸であってもよいし、ゴムバンド、結束バンド、角カン、あるいはバックルであってもよい。
【0042】
第3圧力源64は、第5チューブ60、第6チューブ62それぞれの根元側と接続され、第5チューブ60、第6チューブ62それぞれの内部流路の圧力を制御する。第3圧力源64は、空気や窒素などの流体圧を制御するポンプであってもよい。第5チューブ60と第6チューブ62は一体に構成されてもよい。
【0043】
第1フィンガー20の先端には爪24が取り付けられ、第2フィンガー30の先端には爪34が取り付けられる。また指の腹および手の平に相当する面には、シリコンやゴムなどの滑りの止め部材を貼付けてもよい。
【0044】
以上がロボットハンド10aの構成である。続いてその動作を説明する。
図6(a)、(b)は、
図4のロボットハンド10aの動作を説明する図である。
図6(a)には、1個の関節52の変形が示される。左側の非加圧状態において、関節は、弾性体50の復元力によって伸びた状態を維持している。右側に示す加圧状態では、第5チューブ60が溝52において膨張し、弾性体50の復元力に抗う力Fを溝52の側壁に及ぼす。この力Fが、関節22のトルクτとなる。
【0045】
図6(b)には、加圧状態におけるロボットハンド10aが示される。第3圧力源64によって、第5チューブ60、第6チューブ62を同時に加圧することにより、第1フィンガー20の関節22_1〜22_2および第2フィンガー30の関節32_1〜32_3においてトルクτが一斉に発生し、ロボットハンド10aが握り動作が実現できる。
【0046】
ロボットハンド10aは、弾性体とチューブで構成されるため、きわめて軽量である。また空気圧アクチュエータを用いることで、モータなどを用いた構成に比べてさらに軽量化することができる。
【0047】
また、2本のフィンガーの同一グループに属する、言い換えれば対称に位置する関節を、加圧経路を共有した流体圧アクチュエータで駆動することにより、軽量化と弁操作の簡便化を図れる。
【0048】
(第2構成例)
図7は、第2構成例に係るロボットハンド10bを示す図である。第2構成例では、
図1と同様にM=2、N=3であり、グループ数L=2となっている。
図1に示したように、第1グループG1には第1フィンガー20の関節22_1および第2フィンガー30の関節32_1,32_2が属しており、第2グループG2には第1フィンガー20の関節22_2および第2フィンガー30の関節32_3が属する。つまり2本のフィンガー20,30の先端部分と、2本のフィンガー20,30の根元部分を独立して、2自由度で制御することで、より多様な物体を把持する汎用性が提供される。
【0049】
第1構成例と同様に、ベース部分12、第1フィンガー20および第2フィンガー30は、発泡ウレタンなどの復元力を有する弾性体50であり、一体に形成してもよい。
【0050】
駆動手段40bは、第1チューブ81、第2チューブ82、第3チューブ83、第4チューブ84、第1圧力源85、第2圧力源86を備える。第1チューブ81〜第4チューブ84は、
図5に示す偏平チューブ70を用いることができる。
【0051】
第1チューブ81は、第1フィンガー20の第1グループG1に属する関節22_1に対応する溝52_1に沿って設けられ、溝52_1において、加圧に応じて断面方向に膨張する。第2チューブ82は、第2フィンガー30の第1グループG1に属する関節32_1,32_2に対応する溝54_1,54_2に沿って設けられ、各溝において、加圧に応じて断面方向に膨張する。
【0052】
第3チューブ83は、第1フィンガー20の第2グループG2に属する関節22_2に対応する溝52_2に沿って設けられ、各溝において、加圧に応じて断面方向に膨張する。第4チューブ84は、第2フィンガー30の第2グループG2に属する関節32_3に対応する溝54_3に沿って設けられ、各溝において、加圧に応じて断面方向に膨張する。
【0053】
第1圧力源85は、第1チューブ81および第2チューブ82の圧力P
1を制御する。第2圧力源86は、第3チューブ83および第4チューブ84の圧力P
2を制御する。
【0054】
以上がロボットハンド10bの構成である。続いてその動作を説明する。
図8(a)、(b)は、
図7のロボットハンド10bの動作を説明する図である。
図8(a)は、第1チューブ81、第2チューブ82のみを加圧した状態を示す。
図8(b)は、第3チューブ83、第4チューブ84のみを加圧した状態を示す。
【0055】
このようにロボットハンド10bでは、2本のフィンガーの先端部分と根元部分を独立して制御できるため、ロボットハンド10aよりも、多様な対象物の把持が可能となる。
【0056】
(第3構成例)
図9(a)、(b)は、第3構成例に係るロボットハンド10cを示す図である。
図9(a)は側面図であり、
図9(b)は平面図である。
図9(a)のロボットハンド10cの側面図と、
図7のロボットハンド10bの側面図は同様である。
【0057】
図9(b)に示すようにロボットハンド10cは、弾性体50であるベース部分12には、溝56が形成されている。溝56は、溝52や54と直交する向きに形成されている。駆動手段40cは、第7チューブ87と、第4圧力源88をさらに備える。第7チューブ87は、ベース部分12の溝56において、加圧に応じて断面方向に膨張可能である。第4圧力源88は、第7チューブ87の圧力を制御する。
【0058】
以上がロボットハンド10cの構成である。続いてその動作を説明する。
図10は、
図9のロボットハンド10cの動作を説明する図である。
図10には、第7チューブ87のみを加圧した状態が示される。第7チューブ87を加圧することにより、第1フィンガー20が可動である第1平面S1と、第2フィンガー30が可動である第2平面S2のなす角度θを変化させることができる。これにより、さらなる自由度が提供され、ロボットハンド10aや10bよりも多様な対象物の把持が可能となる。
【0059】
なお、第7チューブ87および第4圧力源88は、第1構成例のロボットハンド10aに追加してもよい。
【0060】
(第4構成例)
第1から第3の構成例では、ロボットハンドが握った状態から伸ばした状態に戻る際に、弾性体50の復元力を利用した。第4構成例では、復元力をアクチュエータにより制御可能である。
【0061】
図11は、第4構成例に係るロボットハンド10dを示す図である。このロボットハンド10dは、第1〜第3構成例に係るロボットハンドに加えて、第8チューブ89および第5圧力源90を備える。
【0062】
第8チューブ89は、非加圧状態において柔軟性を有し、加圧状態において真っ直ぐに戻ろうとする性質を有する。第8チューブ89は、弾性体50の手の平側に貼付けられている。第5圧力源90は、第8チューブ89に対する加圧を制御する。
【0063】
第4構成例によれば、アクチュエータによって手を伸ばす力を発生できるため、アクチュエータの動作を速めることができる。
【0064】
続いて、関節のトルクについて説明する。第1から第4構成例において、各関節のトルクは、溝とチューブとの接触面積に依存する。
図12は、第2フィンガー30を示す斜視図である。
図6(a)に示されるチューブ60が弾性体50に及ぼす力Fは、チューブ60が発生する圧力と接触面積の積であるから、接触面積に応じて力Fが設計でき、ひいては関節の発生トルクτを設計できる。
【0065】
つまり
図3に示すように、均一な接触圧を発生させるためには、先端に近い関節の溝ほど、溝とチューブとの接触面積が小さくなればよい。チューブの幅が一定である場合、接触面積は、溝の深さに比例する。したがって先端に近い関節の溝ほど、深さを浅くすればよい。
d1<d2<d3
第1フィンガー20についても同様である。
【0066】
(用途)
図13は、ロボットハンド10を備える飛行ロボット100を示す図である。飛行ロボット100は、マルチコプター102と、上述のロボットハンド10を備える。上述のようにロボットハンド10は、多様な形状、構造、堅さを有する対象物を安定的に把持できる。
【0067】
またロボットハンド10は軽量に構成することができるため、小型のマルチコプター102への取り付けが可能となる。
【0068】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0069】
図14(a)、(b)は、関節の変形例を示す図である。
図14(a)に示すように、弾性体92に形成された溝94の内部で、チューブ96を複数回、折り返してもよい。これにより、関節の変位量を大きくすることができる。
【0070】
図14(b)に示すように、チューブ96を、フィンガーの側面に沿って配置し、溝94に対して側面から挿入してもよい。
【0071】
実施の形態では、駆動手段40の動力源として、流体圧を用いた空気圧アクチュエータを説明したが、本発明はそれに限定されない。たとえば形状記憶合金を用いたアクチュエータ(バイオメタルともいう)、モータと回転運動を変換する機構の組み合わせであってもよいし、その他の公知のアクチュエータを用いてもよい。
【0072】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。