特許第6792852号(P6792852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792852
(24)【登録日】2020年11月11日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】角化歯肉誘導剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/39 20060101AFI20201119BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A61K38/39ZNA
   A61P1/02
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-113309(P2016-113309)
(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-218405(P2017-218405A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002206
【氏名又は名称】特許業務法人せとうち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪木 拓男
(72)【発明者】
【氏名】大野 充昭
(72)【発明者】
【氏名】前川 賢治
(72)【発明者】
【氏名】植田 淳二
(72)【発明者】
【氏名】小盛 大志
【審査官】 佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−542824(JP,A)
【文献】 特表2014−504944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00−38/58
C07K 1/00−19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非角化歯肉に注入又は塗布して口腔粘膜上皮を角化歯肉に角化誘導するための角化歯肉誘導剤であって、
薬理学的に許容される担体1gに対してLaminin332を0.1μg〜1mg含む角化歯肉誘導剤を非角化歯肉に注入又は塗布により投与されるように用いられることを特徴とする角化歯肉誘導剤。
【請求項2】
請求項1記載の角化歯肉誘導剤からなる角化歯肉治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角化歯肉誘導剤に関する。
【背景技術】
【0002】
健全な歯の周囲には、粘膜上皮が角化した角化歯肉と非角化組織である歯槽粘膜が存在するが、なかでも角化歯肉は、コラーゲン繊維が豊富な肥厚性組織であり、細菌、ブラッシング、食物の刺激に抵抗性を示し、歯周組織を長期間安定した状態に維持するために必要不可欠と考えられている。歯周病等で角化歯肉を喪失して辺縁歯肉が歯槽粘膜のみとなった場合、角化歯肉の再獲得には、遊離歯肉弁移植などの外科的手法が唯一の方法であるため、侵襲が少なく簡便な治療法が望まれている。
【0003】
特許文献1には、歯肉上皮細胞の培養において、細胞外マトリックスがコートされた培養器を用いる歯肉上皮細胞の培養方法であって、細胞外マトリックスが、ラミニン(laminin)、コラーゲン(collagen)、パールカン(perlecan)、テネイシン(tenascin)、FAD104(fibronectin type III domain containing 3B)、フィブリリン(fibrillin)、neugrin、ニドジェン(nidogen)、アグリン(agrin)、フィブロネクチン(fibronectin)のいずれかひとつ以上であることが記載されている。しかしながら、角化歯肉と非角化歯肉において、その性質が異なることについての記載はなく、特に、Keratin1(K1)とKeratin10(K10)の発現量に差があることや、LAMα3等の発現量に差があること等についての記載もなかった。
【0004】
非特許文献1には、角化上皮において、Keratin1(K1)とKeratin10(K10)が発現していることが記載されており、非角化口腔上皮の結合組織に高発現しているelastinが、非角化口腔上皮の維持に重要であるとされている。しかしながら、非特許文献1には、Laminin332についての記載はなく、また、角化歯肉への誘導を示唆するものでもなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−78326号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Hsieh P-C et al., J. Clin. Periodontol., 2010, Vol.37, p.705-711
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、侵襲が少なく、組織再生の簡便な治療に有効に用いることのできる角化歯肉誘導剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、口腔粘膜上皮を角化誘導するための角化歯肉誘導剤であって、薬理学的に許容される担体1gに対してLaminin332を0.1μg〜1mg含む角化歯肉誘導剤を非角化歯肉に注入又は塗布により投与されるように用いられることを特徴とする角化歯肉誘導剤を提供することによって解決される。
【0009】
口腔粘膜上皮を再生させるために用いられる、角化歯肉誘導剤からなる角化歯肉治療剤が本発明の好適な実施態様である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の角化歯肉誘導剤は、口腔粘膜上皮を角化誘導することが可能であるため、侵襲が少なく、組織再生の簡便な治療に有効に用いることができる。したがって、角化歯肉治療剤として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1において、角化歯肉と非角化歯肉における各遺伝子の発現量の結果を示した図である。
図2】実施例1において、角化歯肉と非角化歯肉における各遺伝子の発現量の結果を示した図である。
図3】実施例1において、角化歯肉と非角化歯肉における細胞接着能、細胞増殖能及び細胞遊走能の結果を示した図である。
図4】実施例1において、角化歯肉と非角化歯肉における各遺伝子の発現量の結果を示した図である。
図5】実施例1において、Laminin332が上皮細胞の角化に与える影響の検討結果を示した図である。
図6】実施例2において、間葉系線維芽細胞が上皮細胞の角化に与える影響の検討結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の角化歯肉誘導剤は、口腔粘膜上皮を角化誘導するための角化歯肉誘導剤であって、薬理学的に許容される担体1gに対してLaminin332を0.1μg〜1mg含む角化歯肉誘導剤を非角化歯肉に注入又は塗布により投与されるように用いられることを特徴とするものである。
【0013】
角化歯肉と非角化歯肉は連続しているにも関わらず、組織学的には異なっており、また、後述する実施例からも分かるように、角化歯肉由来線維芽細胞と非角化歯肉由来線維芽細胞とでは、各遺伝子の発現量や、細胞接着能、細胞増殖能、細胞遊走能等に差があり、性質の異なる細胞群であることが本発明者らにより確認された。そして、Laminin332を一定量含む角化歯肉誘導剤を口腔粘膜上皮細胞に加えることにより、Keratin1(K1)とKeratin10(K10)が有意に発現しており、したがって、本発明の角化歯肉誘導剤により、口腔粘膜上皮を角化誘導することが可能であることが確認された。
【0014】
本発明の角化歯肉誘導剤は、薬理学的に許容される担体1gに対してLaminin332を0.1μg〜1mg含むものである。Laminin332の含有量が0.1μg未満の場合、口腔粘膜上皮を角化誘導することが困難となり、0.2μg以上であることが好適である。一方、Laminin332の含有量が1mgを超える場合、コスト高となり、500μg以下であることが好適であり、100μg以下であることがより好適である。
【0015】
本発明で使用される薬理学的に許容される担体としては特に限定されず、蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液等の溶媒;デンプン、デキストリン、ゼラチン等の結合剤;殺菌剤;界面活性剤;pH調整剤;乳化剤;酸化防止剤;増粘剤等が挙げられ、これらを適宜組み合わせて使用することも好適な実施態様である。
【0016】
本発明の角化歯肉誘導剤を投与する方法としては、非角化歯肉に注入又は塗布により投与する方法であれば特に限定されない。例えば、注射器等を用いて該当箇所に注入する方法であってもよいし、ブラシ、綿棒、スポンジ等のアプリケーターを用いて該当箇所に塗布する方法であってもよい。また、歯をブラッシングすることにより投与される方法であってもよく、かかる観点から、角化歯肉誘導剤からなる歯磨材であることが本発明の好適な実施態様である。
【0017】
前述のとおり、本発明の角化歯肉誘導剤により、口腔粘膜上皮を角化誘導することが可能であることが本発明者らにより確認された。したがって、本発明の角化歯肉誘導剤は、侵襲が少なく、組織再生の簡便な治療に有効に用いることができるため、口腔粘膜上皮を再生させるために用いられる、角化歯肉誘導剤からなる角化歯肉治療剤が本発明の好適な実施態様である。
【実施例】
【0018】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【0019】
実施例1
(1)角化歯肉と非角化歯肉におけるKeratin1(K1)とKeratin10 (K10)の発現解析
(A)定量性RT-PCR
Wistar系ラットをイソフル(登録商標)2.0 %の吸引麻酔で全身麻酔を施し、頸椎脱臼により屠殺した。口腔粘膜をヨード(イソジン(登録商標))にて染色し、実体顕微鏡下で角化歯肉と非角化歯肉を分離し採取した。採取した角化歯肉と非角化歯肉からそれぞれmRNAを回収し、定量性RT-PCRによりKeratin1(K1)、Keratin10(K10)の遺伝子発現量を確認した。用いたプライマーは以下のとおりである。内部標準遺伝子として、Ribosomal protein S29 (rat)遺伝子(配列番号1、2)を用いた。得られた結果を図1に示す。
S29 sense:AAGGACATAGGCTTCATTAAGTTG(配列番号1)
S29 anti-sense:AGGGTAGACAGTTGGTTTCAT(配列番号2)
K1 sense:TGCTCAGATTAGGCTTATTTCC(配列番号3)
K1 anti-sense:GCTCTTCGTGGTTCTTCTTC(配列番号4)
K10 sense:ATCAAGGAGTGGTACGAGAA(配列番号5)
K10 anti-sense:AGCAGGACATTGGCATTG(配列番号6)
【0020】
(B)免疫組織化学染色
また、採取した角化歯肉と非角化歯肉からSuper Cryoembedding Medium(SECTION-LAB Co. Ltd.)を用いて凍結包埋し、凍結切片を作製した。1次抗体としてK1(ab8068,1:10,Abcam)、K10(ab9026,1:50,Abcam)を使用し、2次抗体としてAlex Fluor(登録商標)488 goat anti-mouse IgG[H+L](Life technologiesTM)又はAlex Fluor(登録商標)488 goat anti-rabbit IgG[H+L](Life technologiesTM)を使用して免疫組織化学染色を行った。得られた結果を図1に示す。
【0021】
(2)角化歯肉と非角化歯肉における間葉系線維芽細胞の採取とその性質
(A)定量性RT-PCR
上記(1)と同様にして、ラット口腔粘膜から角化歯肉と非角化歯肉を採取した。10%ウシ胎仔血清(Fetal bovine serum; FBS,Life technologiesTM)、2mM L-glutamine(Life technologiesTM)、100 units/mL penicillin(SIGMA)含有High Glucose Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium(D-MEM)培地(Life technologiesTM)を用い、Out Growth法にて約20日間培養し、角化歯肉と非角化歯肉における線維芽細胞を分離して採取した。採取した角化歯肉と非角化歯肉からそれぞれmRNAを回収し、定量性RT-PCRにより各遺伝子の発現量を確認した。用いたプライマーは以下のとおりである。内部標準遺伝子として、Ribosomal protein S18 (rat)遺伝子(配列番号7、8)を用いた。得られた結果を図2に示す。
S18 sense:CTTCGCTATCACTGCCATT(配列番号7)
S18 anti-sense:CGTCCTTCTGTCTGTTCAAG(配列番号8)
Col1a1 sense:GACAATTTCACATGGACTTTGG(配列番号9)
Col1a1 anti-sense:ACGTTCAGTTGGTCAAAGATAA(配列番号10)
Fibronectin sense:TGTCCTCCTTCCATCTTCTTA(配列番号11)
Fibronectin anti-sense:CCCTGAGCATCTTGAGTG(配列番号12)
Tenascin C sense:TTCTCAGTGCTCAGTGGAT(配列番号13)
Tenascin C anti-sense:GATGTTGATGCGGTGTGT(配列番号14)
【0022】
(B)細胞接着能の評価
線維芽細胞培養培地を用いて、角化歯肉または歯槽粘膜由来線維芽細胞を96 well plateに5.0×103個/wellの濃度で播種し、培養後30分後の接着細胞数をCellTiter 96 Aqueous(登録商標) One Solutionを用いて測定することにより、細胞接着能を評価した。得られた結果を図3に示す。
【0023】
(C)細胞増殖能の評価
線維芽細胞培養培地を用いて、角化歯肉または歯槽粘膜由来線維芽細胞を96 well plateに5.0×103個/wellの濃度で播種し、培養後3日目の生細胞数をCellTiter 96 Aqueous(登録商標) One Solutionを用いて測定することにより、細胞増殖能を評価した。得られた結果を図3に示す。
【0024】
(D)細胞遊走能の評価
24 well plate用Boyden chamber(poresize 8 μm:BD)に5×104個/wellの濃度で線維芽細胞を播種した。培養24 時間後にフィルター下面に遊走した細胞を4’,6-diamidino-2-phenylindole(DAPI:Life technologiesTM)にて染色し、蛍光顕微鏡(Biozero BZ-X700,株式会社キーエンス)下でランダムに4箇所を選択し、細胞数をカウントすることにより、細胞遊走能を評価した。得られた結果を図3に示す。
【0025】
(3)角化歯肉と非角化歯肉におけるLamα3、Lamβ3及びLamγ2の発現解析
(A)免疫組織化学染色
角化歯肉と非角化歯肉の部位を確認するため、ラット上顎組織を4 % paraformaldehyde(PFA)で固定後、ギ酸・クエン酸ナトリウム水溶液(22.5 %ギ酸,10 %(W/V)クエン酸ナトリウム)を用いて脱灰した。通常の方法に従ってパラフィン包埋し、厚さ5 μmの切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)を行い、組織学的に評価した。また、LAMα3の発現を確認するため、上記と同様の方法で作製したパラフィン切片を用い、1次抗体として、LAMα3(bs-1969R,1:50,Bioss)を使用し、2次抗体として、Alex Fluor(登録商標) 488 goat anti-mouse IgG[H+L](Life technologiesTM)もしくはAlex Fluor(登録商標) 488 goat anti-rabbit IgG[H+L](Life technologiesTM)を使用して、免疫組織化学染色を行った。得られた結果を図4に示す。
【0026】
(B)定量性RT-PCR
上記と同様にして、採取した角化歯肉と非角化歯肉からそれぞれmRNAを回収し、定量性RT-PCRにより各遺伝子の発現量を確認した。用いたプライマーは以下のとおりである。内部標準遺伝子として、Ribosomal protein S29 (rat)遺伝子(配列番号1、2)を用いた。得られた結果を図4に示す。
Lamα3 sense:TACCACCTCTGAACACCAA(配列番号15)
Lamα3 anti-sense:AAGAGCCAGGAAGGAGTC(配列番号16)
Lamβ3 sense:GGCGTGTGCTGTACTATG(配列番号17)
Lamβ3 anti-sense:CAGACTATGCTATCAATGGTATCC(配列番号18)
Lamγ2 sense:AGTCCTGCTGCTATGTCA(配列番号19)
Lamγ2 anti-sense:CCATTACTACTGTCTCACTATGC(配列番号20)
【0027】
(4)Laminin332が上皮細胞の角化に与える影響の確認
(A)定量性RT-PCR
上部chamberである24 well plate用Thin Cert 細胞培養インサート(株式会社グライナー・ジャパン)に5×105個/wellのTR146(DSファーマバイオメディカル株式会社)から購入したヒト口腔扁平上皮癌(頸部リンパ節)細胞を播種し、上皮細胞培養培地(10 % FBS,2 mM L-glutamine(DSファーマバイオメディカル株式会社)含有F-12 Nutrient Mixture(Ham‘s F-12)培地(Life technologiesTM))にて1日間培養した。下部chamberにも、上皮細胞培養培地を加えた。TR146が細胞培養インサートに接着したのを確認した後、上部chamberには培地を加えず、下部chamberに0、300および1000 ng/mLのrecombinant human Laminin332(rhLAM332)(株式会社リプロセル)含有上皮細胞培養培地を加え、4日毎に培地交換を行い、20日間培養した。その後、上部chamberの細胞からtotal RNAを回収し、定量性RT-PCRによりK1とK10の遺伝子発現量を確認した。用いたプライマーは以下のとおりである。内部標準遺伝子として、Ribosomal protein S29 (human)遺伝子(配列番号21、22)を用いた。得られた結果を図5に示す。
S29 sense:TCTCGCTCTTGTCGTGTCTGTTC(配列番号21)
S29 anti-sense:ACACTGGCGGCACATATTGAGG(配列番号22)
K1 sense:CTTACTCTACCTTGCTCCTACT(配列番号23)
K1 anti-sense:AAATCTCCCACCACCTCC(配列番号24)
K10 sense:ACACCGCACAGAACCACCACTC(配列番号25)
K10 anti-sense:GGCAGGCACAGGTCTTGATGAAC(配列番号26)
【0028】
(B)免疫組織化学染色
上部chamberのメンブレンと一緒に、4 % paraformaldehyde(PFA)で固定後、通常の方法に従ってパラフィン包埋し、厚さ5 μmの切片を作製した。1次抗体としてK1(ab8068,1:10,Abcam)、K10(ab9026,1:50,Abcam)を使用し、2次抗体としてAlex Fluor(登録商標) 488 goat anti-mouse IgG[H+L](Life technologiesTM)又はAlex Fluor(登録商標) 488 goat anti-rabbit IgG[H+L](Life technologiesTM)を使用して、免疫組織化学染色を行った。得られた結果を図5に示す。
【0029】
実施例2
(1)角化歯肉由来と非角化歯肉由来の間葉系線維芽細胞が角化に与える影響の確認
(A)定量性RT-PCR
実施例1の(2)と同様にして、角化歯肉と非角化歯肉における間葉系線維芽細胞を分離して採取した。上皮細胞と線維芽細胞の共培養実験を行うため、上部chamberであるThin Cert 細胞培養インサートに1×105個/wellの角化歯肉または歯槽粘膜由来線維芽細胞を播種し、線維芽細胞培養培地にて1日間培養した。線維芽細胞が細胞培養インサートに接着したのを確認した後、5×105個/wellのTR146を播種し、さらに1日間培養した。TR146が細胞培養インサートに接着したのを確認した後、上部chamberには培地を加えず、下部chamberにのみ上皮細胞培養培地を加え、4日毎に培地交換を行い、28日間培養した。その後、total RNAを回収し、定量性RT-PCRにより各遺伝子の発現量を確認した。用いたプライマーは以下のとおりである。内部標準遺伝子として、Ribosomal protein S29 (human)遺伝子(配列番号19、20)を用いた。Keratin1(K1)とKeratin10(K10)のプライマーは、配列番号23〜26のものを用いた。得られた結果を図6に示す。
Lamα3 sense:AGTCTGAATGGTTGTCCTGA(配列番号:27)
Lamα3 anti-sense:TGGTTTGTGTCCTAATTGAAGAA(配列番号:28)
Lamβ3 sense:GACAGTTACACTTGACAGACA(配列番号:29)
Lamβ3 anti-sense:CCAGCTTCCTTGACTTGAG(配列番号:30)
Lamγ2 sense:TCTGTGCTGATGGCTACT(配列番号:31)
Lamγ2 anti-sense:CGGCTGTGTTGTGGATAC(配列番号:32)
【0030】
(B)免疫組織化学染色
実施例1と同様にして、1次抗体としてLAMα3(bs-1969R,1:50,Bioss)、K1(ab8068,1:10,Abcam)、K10(ab9026,1:50,Abcam)を使用し、2次抗体として、Alex Fluor(登録商標) 488 goat anti-mouse IgG[H+L](Life technologiesTM)もしくはAlex Fluor(登録商標) 488 goat anti-rabbit IgG[H+L](Life technologiesTM)を使用して、免疫組織化学染色を行った。得られた結果を図6に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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