特許第6792877号(P6792877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6792877ワイヤボンディング装置、半導体装置の製造方法、および、半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792877
(24)【登録日】2020年11月11日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ワイヤボンディング装置、半導体装置の製造方法、および、半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   H01L21/60 301D
   H01L21/60 301G
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-65905(P2018-65905)
(22)【出願日】2018年3月29日
(65)【公開番号】特開2019-176111(P2019-176111A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2019年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉野 浩章
(72)【発明者】
【氏名】手井 森介
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−004464(JP,A)
【文献】 特開2007−266062(JP,A)
【文献】 特開2010−067786(JP,A)
【文献】 特開2015−173235(JP,A)
【文献】 特開2010−103403(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0136334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60−607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被実装体に設けられた第一ボンディング点と第二ボンディング点との間をワイヤで接続するワイヤボンディング装置であって、
前記ワイヤを保持するキャピラリと、
前記キャピラリを被実装体に対して移動させる移動機構と、
前記移動機構の駆動を制御する制御部と、
を備え、前記制御部は、少なくとも、
前記ワイヤの先端にフリーエアーボールが形成された後、前記キャピラリを前記第一ボンディング点に向かって規定の圧着高さまで下降させることで、前記第一ボンディング点に圧着ボールおよび前記圧着ボールの上に位置する円柱部を形成させる第一処理と、
前記第一処理の実行後、前記圧着高さにおいて、前記キャピラリを水平移動させることで、前記円柱部を前記キャピラリで削り取らせる第二処理と、
前記第二処理の実行後、前記圧着高さより高い移動高さにおいて前記キャピラリを前記第二ボンディング点に近づく方向であるフォワード方向に移動させるとともに、当該移動の途中で前記圧着ボールの上に重なるワイヤ部分を前記キャピラリで踏みつけるべく前記キャピラリを一時的に下降させる踏み付け動作を1回以上繰り返させる第三処理と、
を実行させることを特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記制御部は、前記第二処理において、前記キャピラリを、前記第二ボンディング点から離れる方向であるリバース方向に水平移動させる、ことを特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記制御部は、前記第二処理において、前記キャピラリを、少なくとも、前記円柱部の直径以上、水平移動させる、ことを特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記制御部は、前記第三処理において、前記圧着ボールの上に重なるワイヤ部分が満遍なく前記キャピラリで押圧されるべく、前記キャピラリの水平位置を変えながら、前記踏み付け動作を2回以上行なわせる、ことを特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のワイヤボンディング装置であって、
前記制御部は、前記キャピラリの形状情報と、前記圧着ボールの目標形状情報と、前記ワイヤの情報と、に基づいて前記キャピラリの移動シーケンスを生成する、ことを特徴とするワイヤボンディング装置。
【請求項6】
第一ボンディング点と第二ボンディング点との間をキャピラリによりワイヤで接続することで半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
前記キャピラリに挿通された前記ワイヤの先端にフリーエアーボールが形成された後、前記キャピラリを前記第一ボンディング点に向かって規定の圧着高さまで下降させることで、前記第一ボンディング点に圧着ボールおよび前記圧着ボールの上に位置する円柱部を形成する第一工程と、
前記第一工程の実行後、前記圧着高さにおいて、前記キャピラリを水平移動させることで、前記円柱部を前記キャピラリで削り取る第二工程と、
前記第二工程の実行後、前記圧着高さより高い移動高さにおいて前記キャピラリを前記第二ボンディング点に近づく方向であるフォワード方向に移動させるとともに、当該移動の途中で前記圧着ボールの上に重なるワイヤ部分を前記キャピラリで踏みつけるべく前記キャピラリを昇降させる踏み付け動作を1回以上繰り返す第三工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、被実装体に設けられた第一ボンディング点と第二ボンディング点との間をワイヤで接続するワイヤボンディング装置、半導体装置の製造方法、および半導体装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯情報端末や、デジタルAV機器、ICカード等の高機能化に伴い、搭載される半導体チップの小型化、薄型化、高集積化が求められている。特に、スタックメモリデバイスなどでは積層できるチップ数によってメモリ容量が求められる。そのため、決められたパッケージ高さ内に、より多量の半導体チップを積層できることが重要となる。こうした要求を満たすためには、ワイヤボンディングで形成されるワイヤループの高さを低く抑えることが必要となる。そこで、従来から、ループ高さを抑える低ループ技術が多数、提案されている。
【0003】
ここで、第一ボンディング点および第二ボンディング点を接続するワイヤの一端には、扁平円板状の圧着ボールと、圧着ボールの上に重なる円柱部と、が存在する。従来の低ループ技術の多くは、圧着ボールの上に円柱部がそのまま残った状態でルーピングしているため、ループ高さを、十分に小さくすることは難しかった。
【0004】
ここで、特許文献1には、低ループ形成を可能とするワイヤボンディング方法が開示されている。具体的には、特許文献1では、キャピラリ先端のフリーエアーボールを第一ボンディング点に圧着して所望の圧着厚の圧着ボールを形成した後、キャピラリを上昇させてからキャピラリを第二ボンディング点側に移動させることで、圧着ボールの上部(円柱部)の側面を押圧して、圧着ボールの頭頂部を形成する第一工程と、第一工程の後、キャピラリを上昇させてから第2ボンディング点側に移動しながら下降してワイヤを斜め上から押圧する第二工程と、を実行している。この特許文献1の技術によれば、圧着ボールの上部(円柱部)の一部が、キャピラリにより押しつぶされるため、ループ高さをある程度、低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4625858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、円柱部の一部しか押しつぶせないため、ループ高さを十分に低減するのは難しかった。そこで、本明細書では、ループ高さをより低減できるワイヤボンディング装置、半導体装置の製造方法、および、半導体装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示するワイヤボンディング装置は、被実装体に設けられた第一ボンディング点と第二ボンディング点との間をワイヤで接続するワイヤボンディング装置であって、前記ワイヤを保持するキャピラリと、前記キャピラリを被実装体に対して移動させる移動機構と、前記移動機構の駆動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、少なくとも、前記ワイヤの先端にフリーエアーボールが形成された後、前記キャピラリを前記第一ボンディング点に向かって規定の圧着高さまで下降させることで、前記第一ボンディング点に圧着ボールおよび前記圧着ボールの上に位置する円柱部を形成させる第一処理と、前記第一処理の実行後、前記圧着高さにおいて、前記キャピラリを水平移動させることで、前記円柱部を前記キャピラリで削り取らせる第二処理と、前記第二処理の実行後、前記圧着高さより高い移動高さにおいて前記キャピラリを前記第二ボンディング点に近づく方向であるフォワード方向に移動させるとともに、当該移動の途中で前記圧着ボールの上に重なるワイヤ部分を前記キャピラリで踏みつけるべく前記キャピラリを一時的に下降させる踏み付け動作を1回以上繰り返させる第三処理と、を実行させることを特徴とする。
【0008】
かかる構成とした場合、円柱部が、キャピラリで削られ、また、圧着ボールの上に重なるワイヤ部分がキャピラリで踏みつけられるため、ループ高さをより低減できる。
【0009】
この場合、前記制御部は、前記第二処理において、前記キャピラリを、前記第二ボンディング点から離れる方向であるリバース方向に水平移動させてもよい。
【0010】
また、前記制御部は、前記第二処理において、前記キャピラリを、少なくとも、前記円柱部の直径以上、水平移動させてもよい。
【0011】
かかる構成とすることで、円柱部をほぼ確実に削ることができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記第三処理において、前記圧着ボールの上に重なるワイヤ部分が満遍なく前記キャピラリで押圧されるべく、前記キャピラリの水平位置を変えながら、前記踏み付け動作を2回以上行なわせてもよい。
【0013】
かかる構成とすることで、第一ボンド部の厚み、ひいては、ループ高さをより低減できる。
【0014】
また、前記制御部は、前記キャピラリの形状情報と、前記圧着ボールの目標形状情報と、前記ワイヤの情報と、に基づいて前記キャピラリの移動シーケンスを生成してもよい。
【0015】
かかる構成とすることで、オペレータの手間を軽減できる。
【0016】
他の本発明である半導体装置の製造方法は、第一ボンディング点と第二ボンディング点との間をキャピラリによりワイヤで接続することで半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、前記キャピラリに挿通された前記ワイヤの先端にフリーエアーボールが形成された後、前記キャピラリを前記第一ボンディング点に向かって規定の圧着高さまで下降させることで、前記第一ボンディング点に圧着ボールおよび前記圧着ボールの上に位置する円柱部を形成する第一工程と、前記第一工程の実行後、前記圧着高さにおいて、前記キャピラリを水平移動させることで、前記円柱部を前記キャピラリで削り取る第二工程と、前記第二工程の実行後、前記圧着高さより高い移動高さにおいて前記キャピラリを前記第二ボンディング点に近づく方向であるフォワード方向に移動させるとともに、当該移動の途中で前記圧着ボールの上に重なるワイヤ部分を前記キャピラリで踏みつけるべく前記キャピラリを昇降させる踏み付け動作を1回以上繰り返す第三工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
かかる構成とした場合、円柱部が、キャピラリで削られ、また、圧着ボールの上に重なるワイヤ部分がキャピラリで踏みつけられるため、ループ高さをより低減できる。
【発明の効果】
【0022】
本明細書で開示するワイヤボンディング装置、半導体装置の製造方法、および、半導体装置によれば、円柱部が、キャピラリで削られ、また、圧着ボールの上に重なるワイヤ部分がキャピラリで踏みつけられるため、ループ高さをより低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ワイヤボンディング装置の構成を示す図である。
図2】キャピラリ先端の形状を示す図である。
図3】ワイヤループ形状の一例を示す図である。
図4】キャピラリの移動軌跡を示す図である。
図5】第一ボンド部形成時の様子を示す図である。
図6】第一ボンド部形成時の様子を示す図である。
図7】実験結果を示す表である。
図8】本明細書で開示の技術で形成された第一ボンド部の一例を示す写真である。
図9】従来の第一ボンド部形成の様子を示す図である。
図10】従来の第一ボンド部形成の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照してワイヤボンディング装置10の構成について説明する。図1は、ワイヤボンディング装置10の構成を示す図である。このワイヤボンディング装置10は、第一ボンディング点P1と第二ボンディング点P2との間をワイヤ50で接続する装置であり、一般に、第一ボンディング点P1は、半導体チップ110のパッド112上に設定されており、第二ボンディング点P2は、半導体チップ110をマウントしたリードフレーム120のリード122上に設定されている。
【0025】
ワイヤボンディング装置10は、ボンディングヘッド16と、半導体チップ110をマウントしたリードフレーム120(以下、両者をまとめる場合は「被実装体」という)が載置されるステージ20と、を備えている。ボンディングヘッド16は、さらに、超音波ホーンとして機能するボンディングアーム14と、当該ボンディングアーム14の先端に取り付けられたキャピラリ12と、を備えている。ボンディングアーム14は、ボンディングヘッド16から水平方向に突出するアームで、その内部には超音波振動子が組み込まれている。ワイヤボンディング装置10に設けられた超音波発振器(図示せず)を用いて、この超音波振動子に電圧を印加することで、ボンディングアーム14の先端に位置するキャピラリ12に超音波振動を付与できる。
【0026】
キャピラリ12は、ステージ20と上下に対向するように、ボンディングアーム14の先端に取り付けられている。キャピラリ12には、軸方向に貫通する貫通孔(以下「ホール40」と呼ぶ、図1では図示せず)が形成されており、このホール40に金線などのワイヤ50が挿通される。キャピラリ12は、使用するワイヤ50の種類や、要求される圧着ボール60の形状等に応じて、適宜、交換される。
【0027】
キャピラリ12の近傍には、放電電極22が配置されている。放電電極22は、ワイヤ50の先端に、当該ワイヤ50が溶融して成るフリーエアーボール(以下「FAB52」という)を形成するために設けられている。この放電電極22とワイヤの先端との間に高電圧を印加して、放電を生じさせると、その放電エネルギによりワイヤ50の先端部が溶融する。そして、この溶融によりワイヤ50の先端に、FAB52が形成される。
【0028】
キャピラリ12の上方には、クランパ21が配されている。クランパ21は、ワイヤ50の両側に配された一対の把持部材を有しており、この把持部材を接近/離間させることで、ワイヤ50を挟んだり、開放したりする。
【0029】
ボンディングアーム14は、図示しない昇降機構を介してボンディングヘッド16に取り付けられている。また、ボンディングヘッド16は、XYテーブル18に設置されており、水平方向の移動が可能となっている。そして、ボンディングヘッド16の水平移動およびボンディングアーム14の垂直移動に伴い、キャピラリ12が、被実装体に対して水平方向および垂直方向に相対移動できる。つまり、昇降機構およびXYテーブル18は、キャピラリ12を、被実装体に対して相対移動させる移動機構として機能する。なお、本例では、キャピラリ12を移動させているが、キャピラリ12ではなく、ステージ20を移動させる構成としてもよい。
【0030】
ステージ20は、半導体チップ110がマウントされたリードフレーム120である被実装体が載置される。このステージ20には、リードフレーム120を加熱するヒータ(図示せず)が内蔵されている。ワイヤボンディングの実行時には、このヒータにより、リードフレーム120が、加熱される。
【0031】
制御部24は、ワイヤボンディング装置10の各部の駆動を制御する。制御部24は、例えば、各種データを記憶するメモリと、各種演算を行なうCPUと、を備えている。制御部24のメモリに記憶されるデータとしては、ボンディング処理を実行するための制御プログラムや、後述するキャピラリ12の移動シーケンスを生成するために必要なデータ等が含まれる。
【0032】
制御部24は、具体的には、XYテーブル18および昇降機構を駆動制御することでキャピラリ12の被実装体に対する位置を制御する。また、制御部24は、ボンディング処理の進行状況に応じて、クランパ21の開閉制御、放電電圧の印加制御、ステージ20のヒータの駆動制御も行なう。また、制御部24は、キャピラリ12の移動シーケンス(XYテーブル18および昇降機構の駆動シーケンス)を生成する生成部としても機能する。移動シーケンスを生成するために、制御部24のメモリには、キャピラリ12の形状に関する情報、後述する圧着ボール60の目標形状に関する情報等が記憶されているが、これについては、後述する。
【0033】
図2は、キャピラリ12の先端部の一例を示す図である。キャピラリ12には、その軸方向に貫通する貫通孔であるホール40が形成されている。このホール40内にはワイヤ50が挿通される。したがって、ホール40の直径(ホール径H)は、ワイヤ50の直径(ワイヤ径φ)よりも大きい(H>φ)。ホール40の下端は、円錐状に広がっている。この円錐状に広がるテーパー面は、チャンファー面42と呼ばれる。また、この円錐状の空間のうち最大直径(すなわち最下端の直径)は、チャンファー径CDと呼ばれる。
【0034】
キャピラリ12の下端面は、FAB52を押圧するフェース面44となる。このフェース面44は、フラットな水平面でもよいし、外側に近づくにつれ上方にすすむような傾斜面でもよい。フェース面44の幅、すなわち、ホール40下端の内周縁からキャピラリ12下端の外周縁までの距離を、以下では、「フェース幅W」と呼ぶ。フェース幅Wは、キャピラリ12の外径をTとした場合、W=(T−CD)/2である。
【0035】
図3は、ワイヤボンディング装置10により形成されるワイヤループのイメージ図である。半導体チップ110には、複数のパッド112が配設されており、リードフレーム120には、複数のリード122が配設されている。ワイヤボンディング装置10は、このパッド112上に位置する第一ボンディング点P1と、リード122上に位置する第二ボンディング点P2と、をワイヤ50で接続する。
【0036】
第一ボンディング点P1には、ワイヤ50の一端をパッド112に押し付けて形成される第一ボンド部54が形成されており、この第一ボンド部54から引き出されたワイヤ50が、第二ボンディング点P2まで延びる。第二ボンディング点P2には、ワイヤ50の他端をリード122に押し付けて形成される第二ボンド部58が形成されている。ここで、第二ボンド部58は、通常、ワイヤ50をリード122に押し当てて潰したステッチボンドである。
【0037】
半導体装置を薄型化するためには、このワイヤループの高さ、特に、パッド112の上面からワイヤループの最上点さまでの垂直方向距離、すなわち、ループ高さHLを低減することが必要となる。本明細書では、このループ高さHLを低減するために、第一ボンド部54を特殊な工程で形成している。これについて、従来技術と比較して説明する。なお、以下の説明では、第一ボンディング点P1からみて、第二ボンディング点P2に近づく方向を「フォワード方向」と呼び、第二ボンディング点P2から離れる方向を「リバース方向」と呼ぶ。
【0038】
はじめに、従来の第一ボンド部54の形成について簡単に説明する。図9は、従来の第一ボンド部54形成の流れを示すイメージ図である。第一ボンド部54を形成する場合は、まず、半導体チップ110のパッド112上に位置する第一ボンディング点P1に、圧着ボール60を形成する。具体的には、まず、図9(a)に示すように、ワイヤ50の先端にFAB52を形成する。続いて、図9(b)に示すように、キャピラリ12を第一ボンディング点P1に向かって下降させ、キャピラリ12のフェース面44でFAB52を第一ボンディング点P1に押圧する。なお、この押圧の際には、ボンディングアーム14を介してキャピラリ12に振動を付与してもよい。この押圧に伴い、FAB52は、扁平に変形し、パッド112上に扁平円板状の圧着ボール60が形成される。また、FAB52を構成する材料の一部は、キャピラリ12のホール40内に充填される。このホール40内に充填された材料は、圧着ボール60よりも小径かつワイヤ50よりも大径の円柱部62を構成する。そして、この押圧により、第一ボンディング点P1には、扁平円板状の圧着ボール60の上に円柱部62が載った第一ボンド部54が形成される。
【0039】
第一ボンド部54が形成されれば、制御部24は、キャピラリ12を、移動させて、ワイヤ50を、第二ボンディング点P2に向けてルーピングさせる。具体的には、制御部24は、図9(b)の矢印で示すように、キャピラリ12を、上方、リバース方向、上方に移動させ、ワイヤ50に曲げ癖をつけた上で、キャピラリ12を第二ボンディング点P2へと移動させる。そして、第二ボンディング点P2において、キャピラリ12をリード122に押し付けることで、ワイヤ50が押しつぶされた第二ボンド部58(ステッチボンド)が形成される。第二ボンド部58が形成されれば、制御部24は、キャピラリ12を上方に移動させた後、クランパ21を閉鎖した状態で、キャピラリ12を更に上方向に移動させ、ワイヤ50を引きちぎる。
【0040】
以上の手順で形成された第一ボンド部54周辺は、図9(c)のように、ワイヤ50が、第一ボンド部54の上端から上方に延びた後、緩やかな円弧を描いて、斜め下方向に延びる形状となる。この場合、ループ高さHLは、圧着ボール60の厚みと、円柱部62の厚みと、円柱部62から略U字状に引き出されるワイヤ50の高さと、の合計となる。このループ高さHLは、比較的高く、ワイヤ径φの2倍〜4倍であった。かかる大きなループ高さHLは、半導体装置の薄型化、ひいては、半導体装置の小型化、薄型化、高集積化を阻害していた。
【0041】
そこで、従来から、ループ高さHLをより低減でき得る低ループ化技術が検討されている。例えば、図10に示すように、第一ボンディング点P1において、圧着ボール60を形成した後、当該圧着ボール60の上でワイヤ50を折り返した後、この折り返したワイヤをキャピラリ12で押圧する技術が従来、提案されている。具体的には、制御部24は、圧着ボール60および円柱部62が形成されれば、キャピラリ12を、図10(a)の矢印で示すように、上方、リバース方向、下方、上方へと移動させた後、再び、フォワード方向に移動させ、その地点で一度、再度、下方へと移動させる。これにより、圧着ボール60の上でワイヤ50が折り返される。そして、以降は、通常のルーピング動作と同様に、キャピラリ12を、上方、リバース方向、上方へと移動させて、曲げ癖をつけた後、第二ボンディング点P2へと移動させる。
【0042】
かかる技術によれば、ワイヤ50が、第一ボンド部54から垂直に立ち上がらず、略水平方向に延びるため、図9で示した技術に比べて、ループ高さHLを低減できる。しかし、この技術では、円柱部62を、横に倒し、この横に倒れた円柱部62の上にワイヤ50が載っている。この円柱部62およびワイヤ50は、キャピラリ12により押圧されるものの、単純に押圧しただけでは、その高さを十分に低減することは難しい。特に、円柱部62は、圧着ボール60の形成による加工硬化により、他の部分に比べて硬くなっている。かかる円柱部62は、キャピラリ12で押圧するだけは、厚みを十分に低減することは難しい。その結果、図10の技術によるループ高さHLは、圧着ボール60の厚みBtとワイヤ径φとの合計程度になることが多く、例えば、ワイヤ径が18μm、圧着ボール60の厚みBtが7μの場合、図10の技術によるループ高さHLは、25μm程度となっていた。
【0043】
本明細書で開示するワイヤボンディング装置10では、ループ高さHLをより低減する。具体的には、本装置では、圧着ボール60および円柱部62を形成後、キャピラリ12を上方に移動させることなく、そのまま水平移動させることで、円柱部62をキャピラリ12で削り、これにより低ループ化を図る。これについて、図4図6を参照して説明する。図4は、第一ボンド部54形成時のキャピラリ12の移動軌跡を示す図である。また、図5図6は、第一ボンド部54を形成する際のキャピラリ12およびワイヤ50の動きを示す図である。なお、図5図6の各図に付されたアルファベットa〜lは、図4に示す軌跡a〜mに対応している。
【0044】
第一ボンド部54を形成する場合、制御部24は、まず、クランパ21を開放しておき、その状態で、XYテーブル18および昇降機構を駆動制御して、キャピラリ12を、第一ボンディング点P1の真上に移動させる。続いて、制御部24は、放電電極22とワイヤ50の先端との間に高電圧を印加して、放電を生じさせ、ワイヤ50の先端にFAB52を形成する。
【0045】
FAB52が形成されれば、制御部24は、キャピラリ12を第一ボンディング点P1に向かって下降させる。このとき、パッド112の上面からキャピラリ12の下端までの距離(以下「圧着高さH1」という)は、圧着ボール60の厚みBtの目標値に基づいて決められる。
【0046】
図4における軌跡aは、このキャピラリ12を圧着高さH1まで下降する際の軌跡を示している。また、図5の上段左端は、この軌跡aにおけるキャピラリ12およびワイヤ50の様子を示している。また、この下降時、キャピラリ12には、ボンディングアーム14を介して超音波振動が付与されてもよい。
【0047】
キャピラリ12の下降に伴い、FAB52が、キャピラリ12のフェース面44で押圧され、扁平化する。また、FAB52を構成する材料の一部は、キャピラリ12のホール40内に充填される。結果として、第一ボンディング点P1には、図5の上段左端に示す通り、扁平円板状の圧着ボール60と、当該圧着ボール60の上に載った円柱部62と、が形成される。この圧着ボール60および円柱部62を形成する工程・処理が、第一工程・第一処理である。
【0048】
圧着ボール60が形成されれば、続いて、制御部24は、キャピラリ12を、圧着高さH1において水平移動させて、円柱部62をキャピラリ12で削り取らせる。具体的には、制御部24は、図4の軌跡bで示すように、キャピラリ12を上昇させることなく、換言すれば、キャピラリ12のホール40内に円柱部62が存在する状態のまま、キャピラリ12をリバース方向に水平移動させる。図5の上段中央は、このときの様子を示す図である。この場合、当然ながら、ホール40の内周面と円柱部62とが干渉することになる。キャピラリ12が円柱部62に干渉しながら水平移動することで、円柱部62がキャピラリ12により削られる。削られた円柱部62の材料は、図5の上段中央において、濃墨ハッチングで示すように、一部は、横方向に逃げていき、一部は、ホール40の内部に逃げていく。いずれにしても、キャピラリ12が、圧着ボール60形成後に上昇することなく水平移動することで、円柱部62が削り取られる。この円柱部62を削り取る工程・処理が、第二工程・第二処理に該当する。
【0049】
ここで、このキャピラリ12の水平移動の距離(軌跡bの移動距離)は、特に限定されない。ただし、この第二工程(軌跡b)は、円柱部62を削ることを目的とするため、当該第二工程では、キャピラリ12を、円柱部62の直径以上、水平移動させることが望ましい。また、キャピラリ12の水平移動の方向は、円柱部62を削り取れるのであれば、リバース方向でもよいし、フォワード方向でもよい。また、キャピラリ12は、円柱部62を削り取れるのであれば、リバース方向およびフォワード方向に1回以上進退してもよい。また、この削り取り動作を円滑に行なうため、軌跡bの移動中も、キャピラリ12に超音波振動を付与してもよい。
【0050】
第二工程が終われば、続いて、制御部24は、圧着高さH1より高い移動高さH2においてキャピラリ12をフォワード方向に移動させるとともに、当該移動の途中でキャピラリ12を昇降させる踏み付け動作を1回以上繰り返させる第三工程(第三処理)を実行する。軌跡c〜軌跡kは、この第三工程におけるキャピラリ12の移動軌跡を示している。また、図5の上段右端から図6の下段中央は、この第三工程の様子を示している。
【0051】
具体的に説明すると、円柱部62が削り取れれば、制御部24は、キャピラリ12を上方に移動(軌跡c)させた後、フォワード側に所定距離、移動(軌跡d)させる。これにより、図5の上段右端、および、下段左端に示すように、ワイヤ50が、フォワード側に折り返され、圧着ボール60の上に載る。この状態になれば、制御部24は、キャピラリ12を、下方に移動(軌跡e)させ、図5の下段中央に示す通り、圧着ボール60の上のワイヤ50をキャピラリ12のフェース面44で踏みつける。これにより、踏み潰されたワイヤ50の材料の一部は、キャピラリ12の外側に逃げ、他の一部は、キャピラリ12のホール40の内部に逃げる。その一方で、フェース面44の真下における第一ボンド部54の厚みは、大幅に低減される。
【0052】
ここで、この折り返されたワイヤ部分には、円柱部62を構成していた材料(濃墨ハッチング箇所)が含まれる。円柱部62は、既述したとおり、他の箇所に比べて、硬くなっている。そのため、もともとの円柱部62は、キャピラリ12で踏みつけただけでは、変形しにくく、厚みも低減されにくい。しかし、この時点で、円柱部62は、キャピラリ12により削られ、破壊されている。そのため、キャピラリ12で踏みつけることで、容易に変形し、厚みも低減される。
【0053】
なお、ワイヤ50をフェース面44で踏みつける際、キャピラリ12に超音波振動を付与してもよい。いずれにしても、このように、キャピラリ12を、一時的に下降させる動作(軌跡e,h,kの動作)を、以下では、「踏み付け動作」と呼ぶ。
【0054】
制御部24は、この踏み付け動作を、ワイヤ50が圧着ボール60のフォワード側端部に到達するまで、水平位置を変えながら複数回繰り返す。本例では、制御部24は、踏み付け動作を、3回行っている。図4の軌跡e、図5の下段中央は、1回目の踏み付け動作を示している。また、図4の軌跡h、図5の下段左は、2回目の踏み付け動作を示し、図4の軌跡k、図6の下段中央は、3回目の踏み付け動作を示している。図5図6から明らかなとおり、ワイヤ50が圧着ボール60のフォワード側端部に到達するまで、踏み付け動作を繰り返すことで、第一ボンド部54の厚みを薄く保ったまま、ワイヤ50を、圧着ボール60のフォワード側端部から引き出すことができる。
【0055】
ここで、この踏み付け動作を行なう回数、および、水平間隔(軌跡d,g,jの距離)は、ホール40よりリバース側にあるフェース面44で、圧着ボール60の上に載るワイヤ50全体を満遍なく踏みつけられるように設定されることが望ましい。
【0056】
また、移動高さH2は、ワイヤ50の折り返しが可能な範囲で設定される。すなわち、ワイヤ径φに比べて移動高さH2が過度に小さいと、ワイヤ50が倒れにくく、ワイヤ50を折り返せない。一方で、移動高さH2が必要以上に大きいと、その分、余計な時間がかかる。そこで、使用するワイヤ50の径や材質に応じた移動高さH2の適した値を、予め実験などにより求めておき、制御部24に記憶しておくことが望ましい。
【0057】
踏み付け時におけるキャピラリ12の高さ、すなわち、踏み付け高さH3は、圧着高さH1とほぼ同じであることが望ましい。ただし、実際には、キャピラリ12に踏みつけられるワイヤ50からの抵抗力などにより、H3=H1とすることは難しく、実際には、H3<H1となる。踏み付け高さH3と圧着高さH1との差分ΔHは、第一ボンド部54の厚みに大きく影響する。そのため、使用するワイヤ50の径や材料ごとに差分ΔHの適した値も、予め実験などにより求めておき、制御部24に記憶しておくことが望ましい。
【0058】
第三工程が完了すれば、制御部24は、ワイヤ50を第二ボンディング点P2へと引き出すルーピング動作を実行する。具体的には、制御部24は、最後の踏み付け動作が完了すれば、踏み付け高さH3において、キャピラリ12をフォワード方向に移動(図4の軌跡l)させた後、上方に移動(図4の軌跡m)させて、ワイヤ50に曲げ癖をつける。その後、制御部24は、キャピラリ12を、第二ボンディング点P2に向かって斜め下方向に移動させる。
【0059】
キャピラリ12が第二ボンディング点P2に到達すれば、制御部24は、キャピラリ12を、第二ボンディング点P2に向かって下降させ、ワイヤ50をリード122に押し付ける。このとき、必要であれば、キャピラリ12に超音波振動を付与する。この押し付けにより、第二ボンディング点P2(リード122)には、第二ボンド部58となるステッチボンドが形成される。この状態になれば、制御部24は、キャピラリ12を、僅かに上昇させた後、クランパ21を閉鎖する。そして、クランパ21を閉鎖した状態で、キャピラリ12を横移動させることで、ワイヤ50を引きちぎる。
【0060】
以上の説明で明らかなとおり、本明細書で開示するワイヤボンディング装置10では、圧着ボール60および円柱部62を形成後、キャピラリ12を圧着高さH1で水平移動させることで、圧着ボール60の上に位置する円柱部62を削り取っている。さらに、円柱部62を削り取った後、圧着ボール60の上に折り重なるワイヤ50を、キャピラリ12で踏みつけている。これにより、第一ボンド部54の厚みを大幅に低減でき、ひいては、ワイヤループのループ高さHLを大幅に低減できる。
【0061】
図7は、本明細書で開示するワイヤボンディング装置10によるワイヤボンディングの実験結果を示す表である。実験では、φ=18μmの金線ワイヤを用いて、ワイヤループを30回形成し、各ワイヤループの、圧着ボール60の厚みBt、ループ高さHL、および、プル強度を計測した。
【0062】
図7に示すように、本明細書に開示の技術によれば、圧着ボール60の厚みBtは、6.6μm〜7.2μm(平均6.9μm)であり、ループ高さHLは、19.8μm〜21.5μm(平均20.5μm)となっている。一方、図10に示した従来技術におけるループ高さHLは、既述したとおり、圧着ボール60の厚みとワイヤ径との合計値程度であり、φ=18μmの場合、25μm前後である。つまり、本明細書に開示の技術によれば、図10に示した従来技術に比べて、ループ高さHLを約20%も低減できている。また、ワイヤループのプル強度は、図7に示す通り、2.0gf〜2.4gfであり、低ループでありながら、十分な強度を有していることが分かる。
【0063】
図8は、本明細書に開示の技術で形成された第一ボンド部54の一例を示す画像である。図8に示すように、本例の第一ボンド部54では、扁平円板状の圧着ボール60の上に、所定間隔で圧着ボール60に向かって押し潰されたワイヤ50の一部が載っている。また、ワイヤ50は、圧着ボール60のフォワード側端部からほぼ水平に引き出されており、ループ高さHLは、ワイヤ径φの1.1〜1.2倍程度に抑えられていることが分かる。
【0064】
次に、制御部24によるキャピラリ12の移動シーケンスの自動生成の流れについて説明する。既述したとおり、制御部24は、キャピラリ12の移動シーケンスを自動生成する。この移動シーケンスの自動生成のため、オペレータは、予め、少なくとも、キャピラリ12のサイズ情報、ワイヤ情報、圧着ボール60のサイズ情報を入力する。ここで、キャピラリ12のサイズ情報としては、キャピラリ12先端部の各部の寸法値、すなわち、ホール径H、チャンファー径CD、外径T、フェース幅W等が含まれる。また、こうした各部の寸法値に替えて、オペレータは、キャピラリ12の識別情報(例えば型番)のみを入力するようにしてもよい。この場合、制御部24は、予め、複数種類のキャピラリ12の寸法値を識別情報と対応付けて記憶しておき、オペレータから入力された識別情報に基づいて、実際に使用するキャピラリ12の寸法値を特定する。
【0065】
ワイヤ情報としては、使用するワイヤの径および材質などが含まれる。また、圧着ボール60のサイズ情報としては、形成したい圧着ボール60の直径Dおよび厚みBtの目標値が含まれる。なお、圧着ボール60の直径Dおよび厚みBtの目標値は、制御部24が、他の情報に基づいて、自動的に算出するようにしてもよい。例えば、制御部24は、使用するキャピラリ12の形状およびワイヤの径ごとに、形成可能な圧着ボール60の直径Dおよび厚みBtを記憶しておき、オペレータから入力されたキャピラリ12のサイズ情報およびワイヤ情報から、圧着ボール60の直径Dおよび厚みBtを自動的に特定してもよい。
【0066】
また、制御部24は、シーケンスの生成に先立って、第一ボンディング点P1および第二ボンディング点P2の位置情報、すなわち、半導体チップ110のパッド112およびリードフレーム120のリードの位置情報も取得する。こうした位置情報は、オペレータが入力してもよいし、制御部24において、自動的に取得してもよい。すなわち、例えば、ボンディングアーム14の近傍に、当該ボンディングアーム14とともに移動するカメラを設けておき、制御部24は、当該カメラで撮像して得られた画像に基づいて、第一ボンディング点P1および第二ボンディング点P2の位置を算出してもよい。
【0067】
これらの情報が取得できれば、制御部24は、各移動軌跡ごとのキャピラリ12の移動位置を算出する。ここでは、特に、第一ボンド部54形成のための軌跡b〜kにおける移動位置の算出について説明する。制御部24は、キャピラリ12の移動位置を算出するために、高さH1〜H3、および、水平移動量Lb,L1〜L3などを算出する。
【0068】
具体的には、制御部24は、第一工程(圧着ボール60および円柱部62の形成時)における、パッド112上面からキャピラリ12の下端までの距離である圧着高さH1を、圧着ボール60の厚みBtから算出する。また、制御部24は、第三工程において、キャピラリ12を水平移動させる際の高さである移動高さH2を、ワイヤ50の種類(径、材質など)に基づいて決定する。さらに、制御部24は、第三工程において、ワイヤ50をキャピラリ12で踏みつける際の高さである踏み付け高さH3を、圧着高さH1およびワイヤ50の種類(径、材質)に基づいて決定する。すなわち、踏み付け高さH3は、圧着高さH1に、ワイヤ50の種類などによって決まる余裕分ΔHを付加した値となる。
【0069】
さらに、制御部24は、円柱部62の最大直径(すなわちチャンファー径CD)に基づいて、第二工程における水平移動距離Lbを決定する。また、制御部24は、第三工程における踏み付け動作の回数N、および、踏み付け動作の水平間隔L1〜LNを、キャピラリ12の形状および圧着ボール60の形状に基づいて算出する。これらの値N,L1〜LNは、圧着ボール60の上に載るワイヤ50が、キャピラリ12のフェース面44で、満遍なく踏み付け出来るように設定される。
【0070】
各軌跡の高さH1〜H3、水平移動量Lb,L1〜LNが算出できれば、制御部24は、これらの値と、第一ボンディング点P1、第二ボンディング点P2の位置情報などを組み合わせて、キャピラリ12の移動シーケンスを生成する。
【0071】
以上の説明から明らかなとおり、本明細書で開示するワイヤボンディング装置10によれば、ループ高さHLを低減したワイヤループを形成できる。また、本明細書で開示するワイヤボンディング装置10によれば、こうした低ループを実現できるキャピラリ12の移動シーケンスが、キャピラリ12の形状情報、ワイヤ情報、圧着ボール60の形状情報に基づいて自動的に生成できる。これにより、オペレータの手間を軽減できる。
【0072】
なお、これまで説明した構成は、一例であり、少なくとも、圧着ボール60および円柱部62を形成する第一処理(第一工程)と、円柱部62を削るためにキャピラリ12を水平移動させる第二処理(第二工程)と、キャピラリ12をフォワード方向に移動させる途中で1回以上、踏み付け動作を行なう第三処理(第三工程)と、を実行させる制御部24を有するのであれば、その他の構成は、適宜、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 ワイヤボンディング装置、12 キャピラリ、14 ボンディングアーム、16 ボンディングヘッド、18 XYテーブル、20 ステージ、21 クランパ、22 放電電極、24 制御部、40 ホール、42 チャンファー面、44 フェース面、50 ワイヤ、54 第一ボンド部、58 第二ボンド部、60 圧着ボール、62 円柱部、110 半導体チップ、112 パッド、120 リードフレーム、122 リード。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10