【文献】
Julian Beitzel, et al.,Ultrasound Bone Detection Using Patient-Specific CT Prior,34th Annual International Conference of the IEEE EMBS,2012年 8月28日,pp.2664-2667
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コンピュータ装置を用いて、患者の骨格における1つの部位に対応する超音波画像と、それぞれ該患者の骨格における異なる部位に対応する複数のコンピュータ断層撮影画像のうちの所定の1つとの画像位置合わせを実行することができる医用画像位置合わせ方法であって、
前記コンピュータ装置により、前記超音波画像の関心領域に対応する超音波目標画像を取得するステップ(A)と、
前記コンピュータ装置により、各前記コンピュータ断層撮影画像の関心領域に対応する複数のスキャン画像を取得するステップ(B)と、
前記コンピュータ装置により、各前記スキャン画像における行ごとの最初のピクセル値が0ではないピクセルのピクセル値を255に設定するとともに他のピクセルのピクセル値を0に設定して、各前記スキャン画像における物体に対して上部輪郭の特徴を抽出して、そして抽出が行なわれた前記スキャン画像において物体の前記上部輪郭のみを残すステップ(C)と、
前記コンピュータ装置により、各抽出が行なわれた前記スキャン画像と前記超音波目標画像との類似度を取得するステップ(D)と、
前記コンピュータ装置により、各抽出が行なわれた前記スキャン画像において、前記超音波目標画像との類似度が最も高いものを目標スキャン画像として取得するステップ(E)と、
前記コンピュータ装置により、前記超音波目標画像と前記目標スキャン画像との画像位置合わせを実行するステップ(F)と、を含む
ことを特徴とする医用画像位置合わせ方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記に記載された従来の手術位置を決定する方法は、患者の身体が移動されることにより生じる誤差を即時に測定することができないのみならず、コンピュータ断層撮影には放射線を用いるので、患者が過多な放射線を受ける恐れがある。
【0006】
よって、本発明は上記問題点に鑑みて、上記欠点を解決できる医用画像位置合わせ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための手段として、本発明は、コンピュータ装置を用いて、患者の骨格における所定の1つの部位に対応する超音波画像と、それぞれ該患者の骨格における異なる部位に対応する複数のコンピュータ断層撮影画像のうちの所定の1つとの画像位置合わせを実行することができる医用画像位置合わせ方法であって、以下の(A)〜(E)の各ステップを含むことを特徴とする医用画像位置合わせ方法を提供する。
(A)コンピュータ装置により、超音波画像の関心領域に対応する超音波目標画像を取得する。
(B)コンピュータ装置により、各コンピュータ断層撮影画像の関心領域に対応する複数のスキャン画像を取得する。
(C)コンピュータ装置により、各スキャン画像と超音波目標画像との類似度を取得する。
(D)コンピュータ装置により、各スキャン画像において、超音波目標画像との類似度が最も高いものを目標スキャン画像として取得する。
(E)コンピュータ装置により、超音波目標画像と目標スキャン画像との画像位置合わせを実行する。
【発明の効果】
【0008】
上記手段によれば、本発明に係る医用画像位置合わせ方法は、コンピュータ装置を用いて、超音波画像の関心領域に対応する超音波目標画像と各コンピュータ断層撮影画像の関心領域に対応する複数のスキャン画像との類似度を分析して超音波目標画像との類似度が最も高いものを目標スキャン画像として取得し、そして、超音波目標画像と目標スキャン画像との画像位置合わせを実行することによって、手術を実行している際に、患者がコンピュータ断層撮影による過多な放射線にさらされずに、且つ外科医が手術位置を決定することを即時に補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る医用画像位置合わせ方法の実施形態のコンピュータ装置と超音波画像撮影装置とが電気的に接続されていることを説明するブロック図である。
【
図2】該実施形態に係るコンピュータ装置に記憶されている複数のコンピュータ断層撮影画像の1つを示す図である。
【
図3】該実施形態に係る超音波画像撮影装置により撮影された超音波画像を示す図である。
【
図4】本発明に係る医用画像位置合わせ方法の実施形態のステップS51〜ステップS54を説明するフローチャートである。
【
図5】該実施形態のステップS55〜ステップS58を説明するフローチャートである。
【
図6】本発明に係る医用画像位置合わせ方法の他の実施形態のステップS51´〜ステップS54´を説明するフローチャートである。
【
図7】超音波画像に対応する超音波目標画像を示す図である。
【
図8】各コンピュータ断層撮影画像に対応する複数のスキャン画像の1つを示す図である。
【
図9】スキャン画像における物体に対して上部輪郭を抽出した画像を示す図である。
【
図10】超音波目標画像と目標スキャン画像との画像位置合わせの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る医用画像位置合わせ方法について図面を参照して説明する。
【0011】
図1〜
図3を参照して本発明に係る医用画像位置合わせ方法を実施するためのコンピュータ装置1及び超音波画像撮影装置2を説明する。ここで、
図1は本発明に係る医用画像位置合わせ方法の実施形態のコンピュータ装置1と超音波画像撮影装置2とが電気的に接続されていることを説明するブロック図であり、
図2は該実施形態に係るコンピュータ装置1に記憶されている複数のコンピュータ断層撮影画像の1つを示す図であり、また、
図3は該実施形態に係る超音波画像撮影装置2により撮影された超音波画像を示す図である。
【0012】
図1に示されるように、本発明に係る医用画像位置合わせ方法の実施形態を実施するためのコンピュータ装置1は、超音波画像撮影装置2と電気的に接続されていると共に、記憶モジュール11と、入力モジュール12と、表示モジュール13と、処理モジュール14と、を具えている。また、処理モジュール14は、記憶モジュール11と入力モジュール12と表示モジュール13と電気的に接続されている。
【0013】
また、記憶モジュール11は、それぞれ患者の骨格における異なる部位に関する複数のコンピュータ断層撮影(CT)画像を記憶している。具体的には、例えば、該患者の骨格は、複数の脊椎関節を有している脊椎であり、各コンピュータ断層撮影画像(
図2参照)は、それぞれ対応する各脊椎関節における複数のセクションのうちの1つに関している。さらに、
図2に示されるように、いずれか1つの脊椎関節における1つのセクションに対応するコンピュータ断層撮影画像において、棘突起21が画像の上側に表示されており、そして椎弓22が画像の下側に表示されている。
【0014】
超音波画像撮影装置2は、患者の骨格におけるいずれか1つの部位の超音波画像を撮影すると共に、撮影された超音波画像をコンピュータ装置1に送信するように配置されている。具体的には、前述した例を続けると、該超音波画像撮影装置2は、患者がうつ伏せの状態で該患者の脊椎におけるいずれか1つの脊椎関節の1つのセクションに関する超音波画像(
図3参照)を撮影する。
図3に示されるように、いずれか1つの脊椎関節における1つのセクションに対応する超音波画像において、棘突起31が画像の上側に表示されており、そして椎弓32が画像の下側に表示されている。
【0015】
よって、該超音波画像に表示されている方位は、該コンピュータ断層撮影画像に表示されている方位と同様である。
【0016】
本実施形態では、コンピュータ装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、クラウドコンピュータなどであることができるが、それらに限定されない。また、超音波画像撮影装置2は、例えば、超音波診断装置であることができるが、それらに限定されない。
【0017】
図4〜
図10を参照して本発明に係る医用画像位置合わせ方法を説明する。ここで、
図4は本発明に係る医用画像位置合わせ方法の実施形態のステップS51〜ステップS54を説明するフローチャートであり、
図5は該実施形態のステップS55〜ステップS58を説明するフローチャートである。
【0018】
また、
図6は本発明に係る医用画像位置合わせ方法の他の実施形態のステップS51´〜ステップS54´を説明するフローチャートである。
【0019】
また、
図7は超音波画像に対応する超音波目標画像を示す図であり、
図8は各コンピュータ断層撮影画像に対応する複数のスキャン画像の1つを示す図であり、
図9はスキャン画像における物体に対して上部輪郭を抽出した画像を示す図であり、
図10は超音波目標画像と目標スキャン画像との画像位置合わせの結果を示す図である。
【0020】
<医用画像位置合わせ方法>
本発明に係る医用画像位置合わせ方法の実施形態は、コンピュータ装置1を用いて、患者の骨格における1つの部位に対応する超音波画像と、それぞれ該患者の骨格における異なる部位に対応する複数のコンピュータ断層撮影画像のうちの所定の1つとの画像位置合わせを実行することに適用できる。医用画像位置合わせ方法の実施形態は、
図4及び
図5に示されているように、以下のステップS51〜ステップS54(
図4参照)と、ステップS55〜ステップS58(
図5参照)と、を含む。
【0021】
ステップS51において、コンピュータ装置1は、超音波画像を受信した後に、超音波
【0022】
画像の関心領域に対応する超音波目標画像(
図7参照)を取得する。
【0023】
具体的には、コンピュータ装置1は、外科医の操作に応じて、入力信号を生成し、そして該入力信号に基づいて超音波画像に対応する超音波目標画像を取得する。また、別の実施形態では、従来の画像認識方法を用いて超音波画像に対応する超音波目標画像を取得しても良い。
【0024】
ステップS52において、コンピュータ装置1は、各コンピュータ断層撮影画像の関心領域に対応する複数のスキャン画像(
図8参照)を取得する。
【0025】
具体的には、各コンピュータ断層撮影画像に対して、コンピュータ装置1は、外科医の操作に応じて、他の入力信号を生成し、そして該他の入力信号に基づいてコンピュータ断層撮影画像に対応するスキャン画像を取得する。また、別の実施形態では、従来の画像認識方法を用いてコンピュータ断層撮影画像に対応するスキャン画像を取得しても良い。
【0026】
ステップS53において、コンピュータ装置1は、各スキャン画像における物体に対して上部輪郭の特徴を抽出して、そして抽出が行なわれたスキャン画像において物体の上部輪郭(
図9参照)のみを残す。
【0027】
具体的には、本実施形態では、コンピュータ装置1は、スキャン画像のノイズを除去して、そして各スキャン画像における行ごとの最初のピクセル値が0ではないピクセルのピクセル値を残して、他のピクセルのピクセル値を0に設定することによって、各スキャン画像における物体に対して上部輪郭の特徴を抽出する。また、別の実施形態では、コンピュータ装置1は、スキャン画像に残されたピクセル値が0ではないピクセルのピクセル値を255に設定する。
【0028】
また、
図6に示される本発明に係る医用画像位置合わせ方法の他の実施形態は、上記の実施形態と共通するが、ここでは、本発明に係る医用画像位置合わせ方法をより速やかに完了するために、超音波画像に関するステップ51´とコンピュータ断層撮影画像に関するステップ52´及びステップ53´とが同時に実行される。
【0029】
なお、ステップS53によって上部輪郭の特徴が抽出されたスキャン画像に対して類似度を分析する際に、下部輪郭の特徴は、超音波目標画像のノイズと重ならないので、上部輪郭の特徴が抽出されていないスキャン画像に比べて、上部輪郭の特徴が抽出されたスキャン画像を用いて類似度分析を行なうほうが精確度が高い。
【0030】
ステップS54において、コンピュータ装置1は、超音波目標画像のサイズと各スキャン画像のサイズとが等しいか否かを判定する。
【0031】
コンピュータ装置1は、超音波目標画像のサイズと目標スキャン画像のサイズとが等しいと判定すると、ステップS56へ進む。一方、コンピュータ装置1は、超音波目標画像のサイズと目標スキャン画像のサイズとが異なっていると判定すると、ステップS55へ進む。
【0032】
ステップS55において、コンピュータ装置1は、いずれか1つのスキャン画像のサイズを基準として超音波目標画像を校正し、校正された超音波目標画像のサイズを基準としてのスキャン画像のサイズと等しくさせる。
【0033】
ステップS56において、コンピュータ装置1は、各スキャン画像と超音波目標画像との類似度を取得する。
【0034】
なお、場合によって、コンピュータ装置1は、各スキャン画像と校正された超音波目標画像との類似度を取得し、或いは、各抽出が行なわれたスキャン画像と超音波目標画像との類似度を取得し、或いは、各抽出が行なわれたスキャン画像と校正された超音波目標画像との類似度を取得する。なお、以下の説明において、単に「スキャン画像」、「超音波目標画像」と記載した場合も、これらはそれぞれ、上記抽出が行なわれた或いは行なわれていないスキャン画像、上記校正が行なわれた或いは行なわれていない超音波画像を含むものとする。
【0035】
具体的には、本実施形態では、コンピュータ装置1は、相互情報量(mutual information、略称:MI)最大化法によって各スキャン画像と超音波目標画像との類似度、及び、マッピング関係の幾何学的変換のパラメータセットを取得する。
【0036】
また、別の実施形態では、コンピュータ装置1は、ICP(iterative closest point)法によって各スキャン画像と超音波目標画像との類似度を取得しても良い。
【0037】
ステップS57において、コンピュータ装置1は、各スキャン画像において超音波目標画像との類似度が最も高いものを目標スキャン画像として取得する。
【0038】
ステップS58において、コンピュータ装置1は、超音波目標画像と目標スキャン画像との画像位置合わせを実行する。特に、コンピュータ装置1は、校正された超音波目標画像と類似度が最も高い目標スキャン画像との画像位置合わせを実行する。
【0039】
また、
図10に示されるように、超音波目標画像と目標スキャン画像との画像位置合わせを実行した結果を示す結果画像(
図10参照)は、表示モジュール13に表示される。そして、外科医は、手術中に該結果画像によって手術位置を正確に判断することができる。
【0040】
特に、本実施形態では、コンピュータ装置1は、超音波目標画像と目標スキャン画像とに対応する幾何学的変換のパラメータセットによって、超音波目標画像と目標スキャン画像との画像位置合わせを実行する。
【0041】
また、別の実施形態では、コンピュータ装置1は、位置合わせ演算(例えば、B−spline)によって画像位置合わせを実行しても良い。
【0042】
総括すると、本発明に係る医用画像位置合わせ方法は、コンピュータ装置1が、超音波画像の関心領域に対応する超音波目標画像と各コンピュータ断層撮影画像の関心領域に対応する複数のスキャン画像とに基づいて、相互情報量最大化法を用いて各スキャン画像において超音波目標画像との類似度が最も高いものを目標スキャン画像として取得して、そして該目標スキャン画像、及び、超音波目標画像を互いに画像位置合わせを実行することによって、手術中に、患者がコンピュータ断層撮影による過多な放射線にさらされずに、外科医が手術位置を決定することを即時に補助することができる。
【0043】
上記においては、本発明の全体的な理解を促すべく、多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施形態及び変化例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。