(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792908
(24)【登録日】2020年11月11日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】乳清を使用した水産加工食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23B 4/044 20060101AFI20201119BHJP
A23L 17/00 20160101ALI20201119BHJP
【FI】
A23B4/044 503A
A23L17/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-96391(P2016-96391)
(22)【出願日】2016年5月12日
(65)【公開番号】特開2017-201948(P2017-201948A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2019年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】516141130
【氏名又は名称】山口 隆志
(72)【発明者】
【氏名】山口 隆志
【審査官】
戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−117368(JP,A)
【文献】
特開昭56−102768(JP,A)
【文献】
特表2004−517616(JP,A)
【文献】
特開2002−233336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/00−17/60
A23B 4/044−4/056
FSTA/CAplus/WPIDS/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水産加工食品の製造方法であって、
水産物を乳清に浸漬させる浸漬処理工程と
前記浸漬工程後の水産物を燻煙する燻煙工程と
を備える方法。
【請求項2】
前記水産物が魚類の精巣である請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳清を使用した水産加工食品及びその製造方法に関し、特に、乳清を使用した魚類の精巣の燻製食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚類や貝類等の水産物を加工する際には、原料となる水産物の微生物による汚染を防ぎ、加工食品の保存性を向上させるために、下処理として、高濃度の塩分を含有する漬け込み液への浸漬(湿塩)や塩の擦り込み(乾塩)等、いわゆる「塩漬け」を行うのが通常である。そのため、完成した加工食品の塩分含有量はかなり高いものとなる。
【0003】
近年、食塩に由来するナトリウムイオンの過剰摂取が、高血圧症をはじめとする腎臓や心臓の疾患等の循環器系疾病の誘発要因になるといわれており、水産加工食品においても塩分含有量の低減が求められている。しかしながら、塩分含有量の少ない水産加工食品は、抗菌力が低下するため品質の劣化が早い。よって、低塩分でありながら優れた保存性を有する水産加工食品の開発が望まれている。
【0004】
なお、本明細書において、「水産加工食品」とは、魚類や貝類等の水産物原料を加工して製造される食品をいい、例えば、燻製食品、缶詰食品、かまぼこ等の練り製品等が挙げられる。このうち燻製食品は、原料の水産物を燻煙することによって保存性を高めるとともに特有の風味を付加した加工食品であり、通常、下処理として塩漬けを行っている。この塩漬けも燻製食品の保存性の向上に重要な役割を果たしているが、塩分含有量を低減化させる観点からはあまり好ましいものではない。また、余分な塩分の添加は燻製食品の仕上がりの際の風味を損なってしまうこともある。
【0005】
ところで、水産加工食品の原料となる水産物のうち、特に、魚類の精巣(以下、白子ともいう)は、DNA(核酸)やヒストン及びプロタミン等の強塩基性タンパク質を多く含む、高タンパク、低脂肪の優れた食材である。白子は、鮮度の高いものが酢の物、汁物又は焼き物等として消費されるのが一般的であるため、加工食品としての消費は少ない。また、例えば、鮭の白子は独特の味や匂いのせいで万人に好まれるものではないため、生鮮品や加工食品の原料として扱われるのは一部であり、抽出されたDNA(核酸)やプロタミンが核酸系調味料、強化剤又は保存料等の原料として使用されることはあっても、ほとんどが水産廃棄物として処分されている。このような事情から白子(特に、鮭の白子)の有効利用が望まれている。
【0006】
また、牛乳からチーズを製造する際、副産物として大量に生成する乳清(ホエーともいう)は、牛乳の成分のうち、主要タンパクであるカゼイン、乳脂質、そして、カゼイン等と挙動をともにする一部のミネラル及び脂溶性ビタミンを除くすべての成分を含む高タンパク、低脂肪の半透明の液体である。乳清は、チーズの製造工程で行われる乳酸発酵のせいで腐敗しやすい傾向があること、また、水っぽくて味がよくないこと等から、これまでは廃棄されるか又は家畜の飼料にされることがほとんどであったが、近年ではその栄養価に注目が集まり、有効利用が期待されている。
【0007】
水産加工食品の低塩化を目的として、例えば、特許文献1には、鯵、秋刀魚、鮭、鱈子などの水産物を加工する際の塩汁浸漬工程において、塩汁に発酵乳を配合することで低塩分でありながら保存性を有する水産加工食品及びその製造方法が提案されている。また、特許文献2には、魚介類の燻製の塩分を抑えつつも保存性を高めるため、燻製の製造工程において魚介類を特定の乳酸菌培養液で処理することが提案されている。しかしながら、特許文献1−2はいずれも、従来の水産加工食品より使用する塩分を抑えてはいるものの、依然として下処理の際に塩漬けを行っており、必ずしも低塩化が実現されているとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2940302号
【特許文献2】特許第4236087号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述のような事情に基づいてなされたものであり、水産物、特に魚類の精巣(白子)の加工食品を製造するにあたり、下処理として、塩漬けではなく乳清への浸漬を行ってから燻煙処理を行うことにより、塩分含有量が極めて少なく、それでいて保存性に優れた水産加工食品及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、第一に本発明は、水産加工食品の製造方法であって、水産物を乳清に浸漬させる浸漬処理工程と、前記浸漬工程後の水産物を燻煙する燻煙処理工程とを備える方法を提供する(発明1)。
【0011】
かかる発明(発明1)によれば、まず水産物を乳清に浸漬させることにより、乳清に含まれる乳酸菌が発酵過程で産出する抗菌性物質によって、腐敗や食中毒の原因となる、水産物に含まれる微生物の繁殖を抑えることができるとともに、水産物に乳清の持つ独特のチーズ風味を付与させることができる。また、浸漬処理後の水産物に対して燻煙処理を行うことにより、加工食品の保存性をさらに高めることができる。
【0012】
また、近年、食塩の過剰摂取が高血圧症等の誘発原因になるといわれており、水産加工食品においても塩分含有量の低減が求められているところ、かかる発明(発明1)によれば、通常、塩漬けすることで行う抗菌処理を乳清への浸漬処理工程で行うため、塩漬けが不要となり、塩分含有量が極めて少ない水産加工食品を製造することができる。また、余分な塩分の添加によって風味が損なわれることを防ぐこともできる。
【0013】
さらに、完成した水産物の加工食品は、高タンパク、低脂肪でありながら独特のチーズ風味を有するため、チーズの代替品としても利用可能であり、特に、脂肪分が多く高カロリーであるチーズの積極的な摂取が推奨されていない病人や高齢者等に有用である。
【0014】
上記発明(発明1)においては、前記水産物が魚類の精巣であることが好ましい(発明2)。
【0015】
魚類の精巣は、高タンパク、低脂肪の優れた食材であるが、加工食品としての消費は未だ少なく、水産廃棄物として処分されることが多い。かかる発明(発明2)によれば、これまで廃棄されることの多かった魚類の精巣を有効に利用することができる。
【0016】
第二に本発明は、当該方法により製造される水産加工食品を提供する(発明3)。
【発明の効果】
【0017】
本発明の乳清を使用した水産加工食品及びその製造方法によれば、まず水産物を乳清に浸漬させることにより、乳清に含まれる乳酸菌が発酵過程で産出する抗菌性物質によって、腐敗や食中毒の原因となる水産物に含まれる微生物の繁殖を抑えることができるとともに、水産物に乳清の持つ独特のチーズ風味を付与させることができ、その後、燻煙処理を行うことにより、加工食品の保存性をさらに高めることができる。また、通常、塩漬けすることで行う抗菌処理を乳清への浸漬処理工程で行うため、塩漬けが不要となり、塩分含有量が極めて少ない水産加工食品を製造することができるとともに、余分な塩分の添加によって風味が損なわれることを防ぐこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る乳清を使用した水産加工食品の製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の乳清を使用した水産加工食品の製造方法の実施の形態について、適宜図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであって、何ら本発明を限定するものではない。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る乳清を使用した水産加工食品の製造方法を示すフロー図である。
図1の乳清を使用した水産加工食品の製造方法は、前処理工程(STP1)、冷凍処理工程(STP2)、解凍処理工程(STP3)、浸漬処理工程(STP4)、乾燥処理工程(STP5)、燻煙処理工程(STP6)及び後処理工程(STP7)をこの順に備えており、魚類の精巣を原料として、塩分含有量が極めて少なく、それでいて保存性に優れた水産加工食品を製造する方法である。
【0021】
本実施形態において使用される魚類の精巣は、特に限定されるものではないが、鮭の白子であることが好ましい。一般的に、魚類の白子は、核タンパク質と呼ばれるDNA(核酸)がヒストン又はプロタミン(塩基性タンパク質)に結合した物質を大量に含む、高タンパク、低脂肪の食材であるので、病人や高齢者が摂取するのに好適である。加えて、鮭の白子は、上述のように高タンパク、低脂肪の優れた食材でありながら、ほとんどが水産廃棄物として処分されているのが現状である。よって、鮭の白子を使用することにより、これまで廃棄するしかなかった水産資源を有効利用することができる。
【0022】
なお、鮭の白子としては、各個体の熟度が同程度であるものを使用することが好ましい。各個体の熟度が同程度であることにより、完成した鮭の白子の加工品の品質を均一化することが可能となる。
【0023】
前処理工程(STP1)は、鮭や真鱈等の魚類から白子を取り出す処理や、鱗等の異物除去処理、不可食部位の削除等の処理を行う工程である。この前処理工程(STP1)により、完成した魚類の白子の加工食品の品質を向上させることが可能となる。前処理工程(STP1)は、魚類の白子の大きさに応じて、一個体を100g程度に切り分ける工程をさらに有していてもよい。同サイズに切り分けることにより、完成した魚類の白子の加工品の大きさを均一化することが可能となる。なお、鮮度保持の観点から、前処理工程(STP1)はできるだけ速やかに行うことが好ましい。
【0024】
前処理工程(STP1)における白子を取り出す処理や異物除去処理等の手段としては、適切に異物除去等が可能であれば特に限定されるものではないが、具体的には、魚類専用の内臓除去装置を用いた処理、目視による人的処理がある。これらの処理をこの順に行うことにより、高精度な異物除去処理等が可能となる。
【0025】
冷凍処理工程(STP2)は、前処理後の魚類の白子を冷凍する工程である。この冷凍処理工程(STP2)により、前処理後の魚類の白子に寄生しているアニサキス類の幼虫を死滅させることができる。冷凍処理工程(STP2)は、前処理後の魚類の白子を、−30℃以下の温度で48時間以上冷凍することにより行う。通常、アニサキス類の幼虫は−20℃以下、24時間以上の冷凍で死滅するとされているが、30℃、48時間以上の冷凍を行うことにより、より確実に死滅させることが可能となる。
【0026】
冷凍処理工程(STP2)における冷凍手段としては、魚類の白子に寄生しているアニサキス類の幼虫を確実に死滅させることができるものであれば特に制限されるものではないが、急速冷凍機であることが好ましい。急速冷凍機を用いることで、冷凍時の細胞破損によるドリップの発生が抑えられ、高い鮮度を保つことが可能となり、魚類の白子の品質、味、食感等の低下を防ぐことができる。
【0027】
急速冷凍機としては、公知の液化窒素式のものが好適に使用できる。液体窒素式の急速冷凍機は、低温に保たれた冷凍室内の食材に対して、例えば−196℃で気化する液体窒素を噴霧状にして直接吹き付けることによって、食材を急速に冷凍するものである。液体窒素式の急速冷凍機の形態は特に制限されないが、例えば、トンネルフリーザーを用いてもよい。トンネルフリーザーを用いることで、魚類の白子の分散冷凍が可能となるので、取り扱いが容易になり作業効率が向上する。
【0028】
解凍処理工程(STP3)は、冷凍処理後の魚類の白子を解凍する工程である。この解凍処理工程(STP3)により、冷凍処理後の魚類の白子を解凍することで、寄生虫や細菌が高精度に制御された魚類の白子を後段の工程に移送することができる。解凍処理工程(STP3)は、冷凍処理後の魚類の白子を、5℃の温度で一晩かけて解凍することにより行う。このように長時間かけて低温解凍することで、冷凍処理後の魚類の白子の中心と表面との温度差を抑えられるので、ドリップの流出を抑えることができ、品質を高く保つことが可能となる。
【0029】
解凍処理工程(STP3)における解凍手段としては、低温状態を常に維持することが可能であれば特に限定されるものでなく、例えば、従来の冷蔵庫を用いることができる。
【0030】
浸漬処理工程(STP4)は、解凍処理後の魚類の白子を乳清に浸漬する工程である。この浸漬処理工程(STP4)により、乳清に含まれる乳酸菌が発酵過程で産出する抗菌性物質によって、腐敗や食中毒の原因となる微生物の繁殖を抑えることができるとともに、魚類の白子に独特のチーズ風味が付加される。
【0031】
浸漬処理工程(STP4)は、解凍処理後の魚類の白子を流水で洗浄し、水切りを行った後、常温で2時間程度、乳清に浸漬させることにより行う。なお、乳清への浸漬時間を2時間程度にすることで、乳清を魚類の白子に程よく浸透させることができるので、後述する燻煙処理工程において魚類の白子の表面を鮮やかな褐色に呈色させることが可能となる。
【0032】
浸漬処理工程(STP4)において使用される乳清は、特に限定されるものではないが、牛の乳に由来するものであることが好ましい。牛乳からチーズを製造する際、副産物として大量に生成する乳清は、牛乳の成分のうち、主要タンパクであるカゼイン、乳脂質、そして、カゼイン等と挙動をともにする一部のミネラル及び脂溶性ビタミンを除くすべての成分を含む高タンパク、低脂肪の半透明の液体であるが、乳酸発酵のせいで腐敗しやすい傾向があること等から、廃棄されるか又は家畜の飼料にされることがほとんどである。よって、牛乳由来の乳清を使用することにより、これまで廃棄されることが多かった畜産資源を有効することができる。
【0033】
浸漬処理工程(STP4)における浸漬手段としては、処理対象である魚類の白子を適切に浸漬できるものであれば特に限定されるものでないが、深底の容器であることが好ましい。また、浸漬液としての乳清の量は、処理対象である魚類の白子が十分に浸漬できる量であれば特に制限されないが、通常、魚類の白子100gに対して40mL程度である。
【0034】
牛乳に由来する乳清としては、酪農乳酸菌として食品衛生上許容される公知のものを含むものが使用でき、例えば、ラクトバチルス属(Lactobacillus:乳酸桿菌属)やラクトコッカス属(Lactococcus:乳酸球菌属)等の乳酸菌を含むものが挙げられる。これらの乳酸菌は、上記乳清に単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
【0035】
乾燥処理工程(STP5)は、浸漬処理後の魚類の白子を乾燥させる工程である。この乾燥処理工程(STP5)により、浸漬処理後の魚類の白子に含まれる水分を、仕上がりの時点で求められる硬さの度合いに応じて取り除くことができるので、仕上がりの際の型崩れ等を防いだり、程よい食感を付加させたりすることができる。また、乾燥処理の間に、魚類の白子に含まれるタンパク質がアミノ酸へ分解されることにより、旨み成分が凝縮されるので、魚類の白子そのものの風味を増加させることができる。
【0036】
乾燥処理工程(STP5)における乾燥処理の手段としては、浸漬処理後の魚類の白子に含まれる水分を、必要に応じて取り除くことが可能であれば特に制限されるものではないが、具体的には、浸漬処理後の魚類の白子をザルに上げて水切りし、そのままの状態で一晩、陰干しすることにより行う。
【0037】
また、乾燥処理の手段として、例えば冷風乾燥機を用いてもよい。冷風乾燥機としては、公知のものが好適に使用できる。冷風乾燥機は、低温の乾燥した空気を吹付けることで食材を乾燥させるものである。冷風乾燥機を用いることで、外気温や湿度に応じて干時間を調整することができるので、季節や天気に左右されず安定した品質を維持することが可能となり作業効率が向上する。
【0038】
燻煙処理工程(STP6)は、乾燥処理後の魚類の白子を燻煙する工程である。この燻煙処理工程(STP6)において、燻煙材を燻らせることにより発生する揮発性成分を乾燥処理後の魚類の白子に付着させることで、完成した加工品の保存性が高められる。加えて表面の光沢もよくなり風味も改善されるので、嗜好性が向上する。燻煙処理工程(STP6)は、乾燥処理後の魚類の白子から、乾燥により固まった表面部分を取り除いた後、20−40℃の温度帯で、一日当たり7−8時間の燻煙処理を3日程度実施することにより行う。
【0039】
燻煙処理工程(STP6)において使用される燻煙材は、特に限定されるものではないが、樹脂分の少ない広葉樹が好ましく、例えば、サクラ、ブナ、リンゴ等の堅木のチップが挙げられる。燻煙処理後の風味のよさの面では、リンゴが好ましい。
【0040】
燻煙処理工程(STP6)においては、燻煙手段として公知の燻製器を用いることができ、例えば、高電圧電源と燻煙のイオン化現象を応用して食材等に燻煙粒子を付着させる燻製器(電子スモーク装置ともいう)を用いてもよい。
【0041】
後処理工程(STP7)は、燻煙処理後の魚類の白子を、5℃の温度の冷蔵庫で一晩寝かせた後、計量、真空パッキング、冷凍保管、金属検査、箱詰め等を行う工程である。この後処理工程(STP7)により、真空パッキング等を行うことで、魚類の白子の加工品を流通、販売の便に供することができる。また後処理工程(STP7)によって金属検査を行うことで、魚類の白子の加工品の安全性を向上させることができる。
【0042】
なお、本発明の乳清を使用した水産加工食品及びその製造方法は、上記実施形態に限定されず、種々の変更実施が可能である。例えば、浸漬処理工程(STP4)と乾燥処理工程(STP5)との間に、食塩を添加することや、スパイスやハーブを擦りこむこと等による味付け/香り付け処理工程を有していてもよい。この味付け/香り付け処理工程により、完成した魚類の白子の加工品の嗜好性をさらに向上させることができる。
【0043】
また、乾燥処理工程(STP5)と燻煙処理工程(STP6)との間に、乾燥処理後の魚類の白子を成形する成形処理工程を有していてもよい。成形処理工程は、乾燥処理後の魚類の白子から乾燥により固まった表面部分を取り除いた上で、ペースト状にした魚類の白子を木枠等にはめ込むことによりブロック状に成形するものであってもよい。この成形処理工程により、後段の処理工程における取り扱いが容易になり、作業効率が上がる。
【0044】
なお、乾燥処理工程(STP5)における乾燥処理時間及び、燻煙処理工程(STP6)における燻煙処理時間は、仕上がりの時点で求められる硬さの度合いに合せて調整することが可能である。例えば、仕上がりをクリームチーズ状にしたい場合は、乾燥処理及び燻煙処理の時間を短めにすればよく、スモークチーズ状にした場合は、燻煙処理の時間を長めにすればよい。
【0045】
以上説明したように、本発明の乳清を使用した水産加工食品及びその製造方法によれば、まず水産物を乳清に浸漬させることにより、乳清に含まれる乳酸菌が発酵過程で産出する抗菌性物質によって、腐敗や食中毒の原因となる水産物に含まれる微生物の繁殖を抑えることができるとともに、水産物に乳清の持つ独特のチーズ風味を付与させることができ、その後、燻煙処理を行うことにより、加工食品の保存性をさらに高めることができる。また、通常、塩漬けすることで行う抗菌処理を乳清への浸漬処理工程で行うため、塩漬けが不要となり、塩分含有量が極めて少ない水産加工食品を製造することができるとともに、余分な塩分の添加によって風味が損なわれることを防ぐこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、乳清及び水産物、特に、魚類の精巣の有効利用を図るための水産加工食品及びその製造方法として有用である。