特許第6792925号(P6792925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6792925マスク間隙空間へ外部空気を送風する大規模施設用送風システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6792925
(24)【登録日】2020年11月11日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】マスク間隙空間へ外部空気を送風する大規模施設用送風システム
(51)【国際特許分類】
   A62B 7/12 20060101AFI20201119BHJP
   A62B 15/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   A62B7/12
   A62B15/00
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-148760(P2020-148760)
(22)【出願日】2020年9月4日
【審査請求日】2020年9月5日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314011471
【氏名又は名称】花田 都美恵
(72)【発明者】
【氏名】花田 都美恵
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−286165(JP,A)
【文献】 特表2003−530922(JP,A)
【文献】 特開2001−333992(JP,A)
【文献】 特開2016−202309(JP,A)
【文献】 特開昭53−87598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 7/00−33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数人のマスク装着者のマスク内面と口および鼻腔のマスク間隙空間に、大規模施設外の外部空気を除菌して得られた除菌済み外部空気を送出する大規模施設用送風システムにおいて、
大規模施設の管理者の管理範囲内に設置され、施設外の外部空気取入口(17D)から外部空気を取り入れ、少なくとも家庭用マスクあるいは医療用高性能除菌マスクと同程度のウイルス除去性能を有する使い捨て除菌フィルター(17A)で除菌し、該除菌済み外部空気を送出する送風部本体(10)と;
送風部本体(10)と通風状態で予め接続し、前記除菌済み外部空気を大規模施設内の複数の座席近傍に設置した複数の送風チューブ接続口(31)へ送出する固定送風パイプ(30)と;
各座席に座ったマスク装着者自身が一端を前記送風チューブ接続口(31)に挿入し、他端をマスクと顎の間から差込み、口元に至る顔面形状に沿うように滑らせて口および鼻腔の間のマスク間隙空間へ挿入し、マスク装着者個々人が個別に前記除菌済み外部空気を該マスク間隙空間へ導入して、マスク装着者の吸気全部に相当する除菌済の外部空気を供給する屈曲自在な送風チューブ(20);とで構成したことを特徴とする大規模施設用送風システム(1)。
【請求項2】
前記大規模施設には、観光バス、電車や航空機、学校の教室や大規模事務所、映画館やコンサートホール、パチンコ店、野球場やサッカー場、等の不特定多数が参集し3密(密閉、密集、密接)になり易い場所や施設が含まれることを特徴とする請求項1記載の大規模施設用送風システム(1)。
【請求項3】
前記送風チューブ(20)が、前記大規模施設の管理者が予め座席に座った複数のマスク装着者へ配布した使い捨て送風チューブ、または各マスク装着者のMy送風チューブであることを特徴とする請求項1記載の大規模施設用送風システム(1)。
【請求項4】
前記送風チューブ(20)が、装着したマスク端の顔面に対する押圧力で押圧保持することが可能であって、更に先端の空気噴出口(21)を前記マスク間隙空間の適切な位置に緩く固定することが可能であることを特徴とする請求項1記載の大規模施設用送風システム(1)。
【請求項5】
前記差込まれた送風チューブ(20)から送出された外部空気の送風圧により、装着するマスク内面を口および鼻腔から離れる方向に膨らませて、マスク内面が顔面に直接接触する接触面を減少させるのに好適な送風量に微調整する制御部(風量調節つまみ)(12)を前記送風部本体(10)に具備することを特徴とする請求項1記載の大規模施設用送風システム(1)。
【請求項6】
前記送風部本体(10)の送風出口に、エアコン部(18A)、イオン発生部(18B)、殺菌灯(18C)、そしてオゾン発生器(18D)、のいずれかを設置して、冷涼かつ高度に殺菌された外部空気を送出するように構成したことを特徴とする請求項1記載の大規模施設用送風システム(1)。
【請求項7】
ネック固定子(22)により送風チューブ(20)の先端部をマスク(100)内で安定的に緩く固定することが可能であるネック式送風チューブ(20A)で、前記送風チューブ(20)を構成したことを特徴とする請求項1記載の大規模施設用送風システム(1)。
【請求項8】
マスク(100)内に収納したインナーフレーム・ユニット(20B-4)により、送風チューブ(20)の先端部を安定的に緩く固定することが可能であるインナーフレーム式送風チューブ(20B)で、前記送風チューブ(20)を構成したことを特徴とする請求項1記載の大規模施設用送風システム(1)。
【請求項9】
マスク(100)内に収納した紐カニューレ・ユニット(25)を送風チューブ(20)に接続し、該紐カニューレ・ユニットの空気噴出チューブ(24)には複数個の空気噴出口群(26)を有する紐カニューレ式送風チューブ(20C)で、前記送風チューブ(20)を構成したことを特徴とする請求項1記載の大規模施設用送風システム(1)。
【請求項10】
マスク(100)内に収納した耳カニューレ・ユニット(28)を送風チューブ(20)に接続し、該耳カニューレ・ユニットの空気噴出カニューレ(27)には複数の空気噴出口群を有する耳カニューレ式送風チューブ(20D)で、前記送風チューブ(20)を構成したことを特徴とする請求項1記載の大規模施設用送風システム(1)。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大規模施設内に参集する多人数のマスク使用者のマスク間隙空間に、ウイルス除去済の外部空気を供給する大規模施設用送風システムに関する。具体的には、顔面に装着したマスク内面と唇および鼻腔の間隙空間に、使い捨て除菌フィルターを通した除菌済み外部空気を送出して、この間隙空間に籠ったマスク使用者自身の呼気を積極的に排除し、かつマスク使用者自身の吸気を供給するマスク使用者のための大規模施設用送風システムに関する。なお本発明で指称する「マスク」とは、一般社団法人 日本衛生材料工業連合会が分類する、1)カゼ、花粉対策や防寒・保湿などの目的で日常に使われる「ガーゼタイプ」や「不織布タイプ」の家庭用マスク、2)主に医療現場もしくは医療用に使用される感染防止用マスクで、外科手術などの際に使われる医療用マスクが含まれる。また「大規模施設」とは、例えば観光バス、電車や航空機、学校の教室や大規模事務所、映画館やコンサートホール、パチンコ店、野球場やサッカー場、等の不特定多数が参集し3密(密閉、密集、密接)になり易い場所や施設を含む広い概念である。更にまた「外部空気」とは、多数人が参集しない3密空間外から供給される「施設外空気」を意味し、例えば観光バスでは乗客の呼気(排気)から隔絶された「車外空気」、野球場では観客席から離れた観客の呼気が浮遊しない観客席外から吸気された「観客席外空気」、等を意味する。本願発明は、同一発明者、同一出願人に係る特願2020-106653(マスク用の小型送風装置)、および特願2020-127483(マスク用の送風装置)の関連発明である。
【背景技術】
【0002】
昨今の新型コロナウイルス対策として、不織布製使い捨てマスク、ガーゼ製マスク、手造りマスク等が広く使用されている。このマスクの欠点は、1)大規模施設内の既存の空調施設では、もし施設内にウイルス保菌者が一人でも居れば、空調により逆にウイルスの館内拡散が起こりやすい、2)マスク内面と唇および鼻腔の間のマスク間隙空間に、マスク装着者自身の呼気(口からの排気)が籠もりやすい、3)マスク内面が、唇および鼻腔と直接接触するため不潔になりやすい、等の欠点を有していた。例えば観光バスや映画館等の密接空間で長時間にわたり椅子に座り続ける場合等には、この欠点が顕著にみられるという問題があった。ただし実際の観光バスや航空機の最新型空調装置では、高性能除菌フィルターが既に使用されており、0.3マイクロメータ程度の異物なら99.97%以上除去可能とされている。また乗客が装着する一般的な不織布マスクの網目間隙は、唾液等の飛沫と略同一の約5マイクロメートルであるため、性能的にはこれ等の飛沫は不織布マスクでも防御可能である。しかしながらコロナウイルス等は0.1マイクロメータ程度の小ささであるため、N95マスク等の高性能除菌フィルターでも完全に捕捉することは難しい。なお一方では観光バスの車内の空気が完全に入れ替わるのに最新機材でも約5分、航空機でも約3分程度の時間を要する。このため上記高性能除菌フィルターで捕捉されない0.1マイクロメータ程度のエアロゾル・コロナウイルス等は、少なくともこの時間内は内部空間を自由に浮遊し、乗客は防ぐ手段が無いのが実情である。こうした理由により、マスクを装着していてもウイルス保菌者と座席が隣接する乗客が、車内や機内で集団感染する事例も現実に既に起きている。
【0003】
一方、航空機では緊急事態発生により客室内に十分な酸素が供給できなくなった場合には、機内空気とは無関係に酸素を自動生成して、各乗客にその生成した酸素を供給する酸素マスクが自動的に天井から下りくるシステムが昔から導入されている。しかしながらこの酸素マスクの供給システムは、内部で発生させた酸素をカップ状のマスクから短時間だけ供給するものであり、例えばバスの乗客に長時間に渡りウイルス除去済の外部空気を、乗客のマスク内面と唇および鼻腔の間のマスク間隙空間に供給する本願発明に係る大規模施設用送風システムとは根本的に異なる。
【0004】
一方、マスク間隙空間にフィルター済の外部空気を送出する手段として、特開2005-165242号(粉塵防止器具)の第2実施例には、キャップに取り付けられた粉塵防止装置からの清浄空気を粉塵防止マスクへ供給する構成が開示されている。また特開2016-202309(携帯式エアポンプ付きマスク、及び携帯式エアポンプ付設用マスク)にも、HEPAフィルター(HEPA規格の不織布)を介して0.3マイクロメータ以上の粒子を除去した清浄空気をマスク内へ供給する構成が開示されている。しかしながらこれ等のマスクでも、観光バス等の大規模施設内を自由浮遊する0.1マイクロメータ程度のエアロゾル・コロナウイルス等を、乗客が防ぐ手段が無いのが実情である。この他、米国公開公報US2014-0261428(RESPIRATORY FILTER DEVICE(呼吸フィルター装置))、中国公開公報第110841209(携帯型濾過通気手段)でも、同様にエアロゾル・コロナウイルス等を完全には防御することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-165242号公報
【特許文献2】特開2016-202309号公報
【特許文献3】特開2019-163556号公報
【特許文献4】米国特許公開公報US2014-0261428号公報
【特許文献5】中国特許公開公報0841209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
密接空間である観光バスや映画館等の大規模施設内を自由浮遊する0.1マイクロメータ程度のエアロゾル・コロナウイルス等を、乗客や観客が家庭用不織布マスクはもとより、N95マスク等の医療用高性能除菌マスクを使用しても、完全には防ぐ手段が無いのが実情である。またマスク内面が唇および鼻腔と直接接触しないように、マスク内面を適度な送風圧(正圧)により外側へ膨らませる送風システムが無い点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はマスク装着者のマスク内面と唇および鼻腔の間のマスク間隙空間に、除菌済み外部空気(例えば観光バスの例では、車内空気とは完全に隔絶された車外空気)を送出するマスク用の大規模施設用送風システムを開示する。そしてその具体的構成は、(i)少なくとも家庭用マスクあるいは医療用高性能除菌マスクと同程度のウイルス除去性能を有する使い捨て除菌フィルターを通した外部空気(車外空気、観客席外空気等)を送出する送風部本体と、(ii)上記使い捨て除菌フィルターを通した外部空気を、各客席近傍に固定配置されている送風チューブ接続口まで供給する固定送風パイプと、(iii)上記送風チューブ接続口へ差込み、他端をマスク間隙空間へ外部空気を送風する送風チューブで構成される。すなわち各乗客や観客は、手元の送風チューブの一端を送風チューブ接続口へ差込み、他端を自分のマスク内面と唇および鼻腔の間のマスク間隙空間に自分で差込む。これにより送風部本体から送出されるのは車外空気あるいは観客席外空気(除菌フィルター済)であり、車内空気や観客席空気とは完全に隔絶されたウイルス・フリーの空気がマスク内の間隙空間へ導かれる。この送風チューブは、屈曲自在かつ装着したマスク端の顔面に対する押圧力で押圧保持することが可能である。そして差込まれた送風チューブ先端の空気噴出口から噴出されるウイルス・フリーの外部空気(車外空気、観客席外空気等)を、各乗客は吸気できるように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
車内や施設内に仮にコロナウイルス菌の感染者が混在していたとしても、送風チューブ接続口からは車内空気とは完全に隔絶された車外空気が送風されるため、乗客や施設入場者は、ウイルス・フリーの空気を吸気できる利点がある。また自分の呼気がそのマスク間隙空間に籠らず爽快感を得ることが可能であり、特に暑い夏には効果大である。また供給される外部空気量をマスク装着者自身が自分で微調整し適度の送風圧にすれば、この送風圧により装着するマスク内面を、内面から外面に向かって唇および鼻腔から離れるように適度に膨らますことが出来るので、マスク内面が唇および鼻腔に直接接触する接触面を減少させて、マスク内面を常に清潔に使用することが出来る利点を有する。なお密接空間である観光バスや映画館等の大規模施設で本願発明に係る大規模施設用送風システムを導入すれば、除菌された外部空気が各乗客や入場者へ提供されるため、いわゆるソーシャル・ディスタンス確保による乗客人数や入場人数の減少をカバーし、より多くの人員を乗車、収容できるため経営効率を大幅に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本願発明に係る大規模施設用送風システムを観光バスに応用した場合のイメージ図である。
図2図2は本願発明に係る大規模施設用送風システムを観光バスに応用した場合の概念構成図である。
図3図3は送風部本体の構成を示す概念図である。
図4】(A)はファン型送風部本体のブロック図であり、(B)はブロワ型送風部本体のブロック図である。
図5図5はネック式送風チューブの正面装着図である。
図6図6(A)はインナーフレーム・ユニットを装着したインナーフレーム式送風チューブの正面装着図であり、(B)は断面斜視図である。
図7図7(A)は紐カニューレ・ユニットを装着した紐カニューレ式送風チューブの正面装着図であり、(B)はマスク内の紐カニューレ・ユニットを示す概念図である。
図8図8は耳カニューレ・ユニットを装着した耳カニューレ式送風チューブの正面装着図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本願発明に係る大規模施設用送風システム1を観光バスに応用した場合、乗客が如何にしてバス車外の外部空気を取入れるかを示すイメージ図である。各乗客は各自のマスク100を装着していることを前提とする。そして乗客は、実施例1に係る送風チューブ20の一端を客席近傍に配置されている送風チューブ接続口31に挿入し、他端を自分が装着したマスク内に挿入する。この例では送風チューブ接続口31は前席の背もたれに設けられているが、他の例では自席の肘掛や荷物棚の天板に設置してもよい。設置されている送風チューブ接続口31には、後述の様に使い捨て除菌フィルターを通したバス車外の外部空気が送られる。従って送風チューブ接続口31に挿入した送風チューブ20から乗客のマスク内に車内空気とは隔絶されたウイルス・フリーの外部空気が送られるため、たとえ他の乗客の中に例えばコロナ患者が同乗していても、そのウイルスを他の乗客が吸気することはない。なおマスク100と送風チューブ20は、上記引例特開2005-165242号とは異なり、完全に相互に独立しているため容易に着脱可能である。また送風チューブ20には例えば屈曲自在かつ軽量の塩化ビニール樹脂を用いられ、送風チューブ20は顎から口元に至る顔面形状に沿うように滑らせて口および鼻腔の間のマスク間隙空間へ挿入可能であり、かつその形状を維持できる素材を用いる。この様に適度の屈曲性ある軽いチューブ素材を選択すれば、装着したマスク端の顔面に対する押圧力でこの挿入された送風チューブ20を押圧保持することが可能である。これにより送風チューブ20の先端である空気噴出口21を、マスク間隙空間の適切な位置に緩く固定することが可能である。またチューブ先端が塞がれないように、必要により空気噴出口21には、空気を拡散させる多孔質の空気拡散部材を装着してもよい。乗客にはこの様に送風チューブ20を経由して外部空気がマスク内に常に供給されるため、車内に浮遊するかもしれないウイルスを吸入する恐れが無いばかりか、マスク内に自己の呼気(排気)が籠るのを防止することが可能である。なお送風チューブ20の先端である空気噴出口21を覆うマスク100は、不自然に角張ることなく、外見上は送風チューブ20の存在は外部からは視認されず、ごく自然な装着感を得ることが可能となる。
【0011】
図2は本願発明に係る大規模施設用送風システム1を観光バスに応用した場合の構成を示す概念構成図である。こうした大規模施設において、本願発明に係る大規模施設用送風システム1をシステム管理者(例えば観光バスの運転手やコンサートホールのホールマネージャー)の管理範囲内に配置し、多数の乗客や観客のマスク内に除菌済み外部空気を提供することが可能である。すなわち図中上方が観光バスの前方であり、大規模施設用送風システム1は、1)送風部本体10、2)各乗客が利用する複数の送風チューブ20、3)送風部本体と送風チューブを通風状態で接続する固定送風パイプ30、で構成する。すなわち外部空気が送風部本体10から、固定送風パイプ30を経由して、各客席近傍(例えば前席の背部、または自席の肘掛)の送風チューブ接続口31まで送風し、各乗客の送風チューブ20により各乗客のマスク間隙空間に供給される。これにより各乗客は、車内空気とは完全に隔絶された外部空気(車外空気)のみを吸気することになる。
【0012】
以下に送風部本体10の各モジュールについて説明する。図3には送風部本体10の概念図が示されている。図3に示す外部空気取入口17Dは、図2に示すように例えば観光バスの車外前部に固定設置されている。外部空気取入口17Dの内部には従来例に係る粉塵フィルターが取付けられており、この粉塵フィルターを通した外部空気が外気取入管17Cを介して車内の運転手席近くに設置された除菌フィルターボックス17Bへ送られる。除菌フィルターボックス17Bはヒンジで開閉自在であり、内部には少なくとも一般の家庭用マスクと同一の除菌フィルター、或いはN95マスク等の医療用高性能除菌マスクと同程度あるいはそれ以上の除菌性能がある使い捨て除菌フィルター17Aを内蔵する。そして外部空気は、この使い捨て除菌フィルター17Aで除菌されて、図2に示すように固定送風パイプ30を介して各客席近傍に設置された複数個の送風チューブ接続口31へ送風される。前述の様に各乗客は送風チューブ20をこの送風チューブ接続口31へ挿入して、除菌済の外部空気を自己のマスク間隙空間へ導入する。これにより乗客は3密状態にある車内空気とは完全に隔絶された車外空気を吸気することが可能となり、また自己の呼気を積極的にマスク外に排除することが可能である。なお除菌フィルターボックス17Bは、乗客が乗降する際に視認できる出入口ドアー付近の位置に設置して、乗客に対しバス会社が、使い捨て除菌フィルター17Aでフィルター処理されている外部空気を乗客に供給している事実を告知できるようにすれば、乗客に安心感を与えるという営業ツールとして活用することも出来る。また使い捨て除菌フィルター17Aは、例えば運転手の管理アイテムとし、運転手が例えば毎日の乗勤時にルーチン的に交換する。更にまた上記除菌フィルターボックス17Bを透明カバーとし、乗客が使い捨て除菌フィルター17Aを直接視認できるように構成してもよい。
【0013】
上述の固定送風パイプ30は、図2に示すように既存の観光バスの床下または車内の床面にも追加設置することは可能であり、送風チューブ接続口31も例えば客席の肘掛のみを交換して肘掛に追加設置することは可能であるため、この大規模施設用送風システム1を既存の観光バスに追加設置することは比較的容易である。また他の大型施設、例えば電車、学校の教室や大規模事務所、映画館やコンサートホール、パチンコ店、野球場やサッカー場、等においても同様に、既存設備に対して固定送風パイプ30と送風チューブ接続口31の追加設置は比較的容易に行うことが出来る。
【0014】
送風部本体10のうちで、図4(A)には送風部本体(ファン型)10Aのブロック図と、図4(B)には送風部本体(ブロワ型)10Bのブロック図が示されている。この10Aと10Bは、夫々一般のファン型送風器や、小魚へ空気泡を供給する水槽用ブロワと比較して、外部空気取入口17Dの位置、使い捨て除菌フィルター17A、エアコン部18A、イオン発生部18B、殺菌灯18C、そしてオゾン発生器18Dの追加設置、以外は、大差無い構成であるので詳述は省略する。すなわち前者の送風部本体(ファン型)10AのAC電源部11、制御部(風量調節つまみ)12、ファン部14は、従来例に係る粉塵防止用の送風器の構成と略同一である。本願発明が従来例に係る粉塵防止用の送風器と異なるのは、使い捨て除菌フィルター17Aが、一般の家庭用マスクと同一の除菌フィルター、或いはN95マスク等の医療用高性能除菌マスクと同程度あるいはそれ以上の除菌性能がある使い捨て除菌フィルターを使用している点である。すなわち従来技術に係る送風器で用いられているフィルターは、上記引例特開2005-165242号のように、主として物混入防止の観点から異物除去フィルターが用いられているが、本願発明の送風器本体10Aではウイルス除去という異なる観点から使い捨て除菌フィルター17Aが用いられている。なお一般にN95マスク等の医療用高性能除菌マスクを装着すると、不織布の密度が高いため息苦しく感じるが、上述のように装着するマスクとは別筐体の送風部本体10にN95マスク等の医療用高性能除菌マスクと同程度あるいはそれ以上の除菌性能がある使い捨て除菌フィルター17Aを装着し、マスク装着者は一般の家庭用マスクを装着する構成となっているため、マスク装着者は息苦しさを解消することができる利点を有する。
【0015】
なお使い捨て除菌フィルター17Aで除菌されファン部14により強制的に一定の風圧を掛けられた外部空気は、必要により送風出口近傍に設置されたエアコン部18A、イオン発生部18B、殺菌灯18C、そしてオゾン発生器18Dで、更に冷涼かつ高度に殺菌される。特にオゾン発生器18Dから発生するオゾンは、最近の研究では適度の濃度のオゾンを病院の待合室で放出することで、コロナ菌対策として実用化されつつあり、本願発明でも有用と考えられる。そしてその後にこの冷涼かつ高度に殺菌された外部空気は、固定送風パイプ30、各客席近傍に設置された複数個の送風チューブ接続口31、そして乗客の送風チューブ20を経由して各乗客のマスク内面と唇および鼻腔の間のマスク間隙空間へ送風される。またファン型の送風部本体10Aでは、駆動モータの発熱がそのまま送風チューブに送出され易いため、モータとファンとは相互間で断熱構造とするのが好ましい。
【0016】
次に図4(B)に示す送風部本体(ブロワ型)10Bでも基本的には同一の構成ではあるが、この例では交番磁力を発生させる電磁駆動部13、この発生させた磁力により振動するバイブレーション部15、そしてこのバイブレーション部の振動により容積変化させるダイヤフラムを振動させて空気を押し出すダイヤフラムポンプ部16、がそれぞれ用いられる。これ等はすべて従来技術と異なることはない。この他にも種々の異なるブロワ型の送風器が存在するがタイプは問わない。いずれの構成でもファン型と比較すると内部風圧を高くすることが可能であり、接続する送風チューブ20が比較的細い場合には、より高い内部風圧が要求されるためブロワ型の送風器(圧縮器)が用いられる。一般に送風器内部が圧力比1.1以下となる場合にはファンが用いられ、それ以上の圧力比の場合はブロワ型が用いられる。この送風器内部の圧力比は接続される送風チューブのサイズ(断面積)と接続する送風チューブ接続口31の数すなわち客席数、そして送出空気量により異なるため、ファン型またはブロワ型のいずれを用いるかは設計事項である。なお一般には「送風器」の圧力比が、2.0以下を指称するが、大規模施設用送風システム1が更に大型化してそれ以上の圧力比を必要とする場合はコンプレッサが用いられる。このコンプレッサを使用するか否かの選択も設計事項であり、本願ではこれ等すべてを「送風器」と指称する。またこのブロワ型の送風部本体10Bでも、電磁駆動部13からの発熱を取込まず外部の冷涼な空気のみ送風する構成となっている。この点で上述の特開2005-165242号の構成がモータの発熱を無用に取込んでしまう構成とは異なる。
【0017】
バスの既設エアコンとは異なり、図2に示すように送風部本体10は運転手の近くに置かれており、その送風部本体10に取付けられた使い捨て除菌フィルター17Aは運転手により管理され、頻繁に交換される。これに対し通常のエアコンの場合は、エアコン装置のフィルターを運転手が頻繁に交換することはなく、またそのフィルターは主として防塵用フィルターであって除菌フィルターではない点で、本願発明の使い捨て除菌フィルター17Aとは異なる。また既設エアコンからの外部空気は乗客全員に一斉に提供されるが、本願発明では個々人へ個々に除菌済の外部空気が提供される点で異なる。なお送風チューブ接続口31には内部へ開放する弁体があり、送風チューブ20が挿入された時のみに除菌済み外部空気を噴出し、送風チューブ20が取外されると弁体は風圧で閉じる構成となっている。
【0018】
また図3図4に示す使い捨て除菌フィルター17Aで除菌され、固定送風パイプ30を介して各客席近傍に設置された複数個の送風チューブ接続口31へ送風される外部空気の送出量は、乗客の椅子の数に対応する十分な送風容量とする。なお一般にマスク内の呼気(口からの排気)を排除するためには、使い捨て除菌フィルター17Aを通して例えば1.5L〜2L/分/人の除菌済み外部空気を噴出すれば足りる。この空気噴出量は、例えば中サイズの金魚鉢へ気泡供給するために用いられる金魚用小型ブロワと略同一であり比較的小さな噴出量である。しかしながら観光バスのようにエアコンが完備されているとはいえ密接空間で使用される大規模施設用送風システム1では、それ以上に、人間の平均的吸気8L〜10L/分/人の全てをこの除菌済み外部空気で賄うようにする。この様に本願発明に係る大規模施設用送風システム1によって、マスク装着者全員の吸気全部に相当する除菌済の外部空気をマスク間隙空間へ供給する構成は、例えばコロナ対策上、乗客に安心感を与えるため他社の観光バスとの差別化戦略上も有利となる利点を有する。その理由は、仮に観光バスのエアコンをフル稼働させて新鮮な外部空気を車内に取入れたとしても、車内にコロナ感染者が一人でも同乗していれば、その感染者の呼気は車内空気が入れ替わる前に、車内に拡散する危険性が残るからである。この点、本願発明による大規模施設用送風システム1では、除菌済み外部空気のみが送風チューブ20を介して乗客の個々人へ個別に供給されるため、安心感を与えることが可能となる。更に外部空気量の多少のみでなく、使用する除菌フィルター自体の除菌レベルについても、通常の除菌フィルターより高性能除菌フィルターを使用し、その旨を乗客に告知すれば、その高性能除菌フィルターの使用を営業ツールとして積極的に乗客にアピールでき、他社の観光バスとの差別化戦略上も有利となる利点を有する。
【0019】
なお送風部本体10の制御部(風量調節つまみ)を調整しマスク間隙空間に適度の送風圧を掛けることで、マスク間隙空間はマスクの外と比較して正圧状態となりウイルスの侵入を防止できる。またこの送風圧により装着するマスク内面を、唇および鼻腔から離れる方向に適度に膨らませ、マスク内面が顔面に直接接触する接触面を減少させることでマスク内面を常に清潔に使用することができる。更にまたこの送風圧により、マスク間隙空間に自分の呼気が籠るのを防止することできる。なお当然ながら膨らんだマスク面は、他人から直接浴びる飛沫等を防御することができる。上記送風チューブ接続口31に挿入する送風チューブ20は、例えば塩化ビニール樹脂製の長さ略1m、太さ略5〜10mm程度の部材であり非常に安価である。したがってバス会社が無償で送風チューブ20を乗客に提供してもよく、また更に送風チューブ接続口31のサイズが標準化されれば、いわゆるMyチューブとして各人が持ち歩くことがNewノーマルの時代になる可能性もあり得る。
【0020】
使い捨て除菌フィルター17Aは、カセット式の専用除菌フィルターでも良いし、或いはシート状の汎用シートでも良い。この除菌フィルターの除菌性能は、一般の家庭用マスクまたは医療用のN95と同程度またはそれ以上とする。このためマスク100のマスク間隙空間へは除菌された冷涼な空気が噴出されることになる。したがって本願発明の送風装置1Aから送出された除菌済み外部空気が、装着したマスクが本来有する除菌性能を棄損することはあり得ない。使い捨て除菌フィルター17Aのサイズは可能な範囲で大きく取り、除菌性能を高めるのがよい。なお図3ではシート状の使い捨て除菌フィルター17Aが図示されているが、当然、掃除機等で一般的に使用されている蛇腹状のカセット式フィルターでもよい。
【0021】
次に図5には、図1に示す実施例1に係る送風チューブ20とは異なり、ネック固定子22により送風チューブ20を固定する実施例2に係るネック式送風チューブ20Aの構成を示している。すなわち上述のように、マスク間隙空間へ図1に示す送風チューブ20を挿入すれば、この挿入した送風チューブ20は装着したマスク端の顔面に対する押圧力で押圧保持され、先端の空気噴出口21は前記マスク間隙空間の適切な位置に緩く固定される。ただしこの送風チューブ20を装着中に通常よりは激しい動きをする場合も考えられる。そこで図5に示すように、首に巻き付けたネック固定子22に送風チューブ20を遊動自在に取り付けたネック式送風チューブ20Aでは、こうした場合にも更に安定的に送風チューブ20を所定の位置に緩く固定することが可能である。すなわちマスク装着者は送風チューブ20をマスク100と顎の間から差込み、口元に至る顔面形状に沿うように滑らせて口および鼻腔の間のマスク間隙空間へ挿入し、その後ネック固定子22を首に巻き付けて安定固定する。このネック固定子22は適度の柔軟性を有する素材で作られており、自在に首周りに緩く巻き付け可能である。そしてこのネック固定子22に遊動自在に取り付けられた送風チューブ20を微調整して、先端の空気噴出口21が唇と鼻孔周辺の適切な位置に来るようにする。これによりマスク端の顔面に対する押圧力だけで押圧保持する場合よりも、更に安定して送風チューブ20を装着することが可能となる。なおこの場合ネック固定子22だけは視認されるが、送風チューブ20の先端部分は、マスク100で覆い隠されるため外見上も違和感は無いという利点を有する。
【0022】
次に図6(A)は、図1に示す実施例1に係る送風チューブ20をマスク内部に収納したインナーフレーム・ユニット20B-4で固定装着した実施例3に係るインナーフレーム式送風チューブ20Bの正面装着図である。図6(B)はマスク内の断面斜視図であり、向かって右側が顔面側で、左側がマスク側である。インナーフレーム・ユニット20B-4は、カップ形状のフレームであり、マスク内面と唇および鼻腔の間に間隙空間を確保するためにマスク内に収納して、装着したマスク面の顔面に対する押圧力で押圧保持される。このインナーフレーム・ユニット20B-4は、顔面に当接する顔面当接リング20B-1と、間隙空間を確保するための複数本の凸曲線フレーム20B-2、そして送風チューブ20を保持する送風チューブ固定子20B-3、で構成される。顔面当接リング20B-1は、図示しないが鼻筋部分と顎部分はピッタリと接するために曲部を有する。屈曲自在の素材で作り、各自の顔面に合わせて曲げられる塩ビ等の素材を用いてもよい。送風チューブ20の装着方法は、送風チューブ20を送風チューブ固定子20B-3で挟むようにして固定し、インナーフレーム・ユニット20B-4をマスク100で覆いマスク内に安定装着する。これによりマスク内で送風チューブ20を安定的に保持することが可能となる。
【0023】
次に図7(A)は、図1に示す実施例1に係る送風チューブ20とは異なり、送風チューブ20に接続した空気噴出チューブ24を用いた実施例4に係る紐カニューレ式送風チューブ20Cの構成を示している。空気噴出チューブ24は図7(B)に示すようにマスク100の内側(顔面側)に収納できる程度の長さであり、両耳に耳掛け紐23により安定した状態で上唇と鼻の間に横方向に装着するように構成されている。この紐カニューレ・ユニット25(空気噴出チューブ24)もマスク100で覆われるため、外見上は耳掛け紐23以外は見えない構造となっており、スタイルを気にする女性にとっても自然な装着感が得られる。このように紐カニューレ式送風チューブ20Cでは、プロング(nasal prong)を鼻腔に挿入して酸素を投与する一般の医療用鼻カニューレとは異なり、プロングは無く、その代わりに送風チューブ20に接続する空気噴出チューブ24が使用される。この実施例では、上唇または顎に当接する横方向の空気噴出チューブ24に複数個の空気噴出口群26を設けている。そしてこの空気噴出口群26から顔面にフィルター済の新鮮な外部空気を常時噴出させることで、マスク空間に籠ったマスク装着者自身の呼気を排除し、更に吸気に相当する外部空気が供給されるように構成されている。この空気噴出チューブ24の素材は、送風チューブ20と同様に例えば屈曲自在かつ軽量の塩化ビニール樹脂等を用いることで、顔面形状に沿うように折り曲げ可能であり、かつその形状を維持できる素材を用いる。このために外見からは、紐カニューレ式送風チューブ20Cの上を覆ったマスク100の表面が、不自然に角張って見えることもなく自然の装着感が得られる。
【0024】
更に図8は、図7に示す実施例4に係る空気噴出チューブ24を使用する紐カニューレ式送風チューブ20Cとは異なり、空気噴出チューブ24は使用しない。それに代わりに送風チューブ20に接続する第5実施例に係る耳カニューレ・ユニット28が使用される。この実施例では、プロング(nasal prong)を鼻腔に挿入して酸素を投与する医療用の鼻カニューレと比べるとプロングが無く、その代わりに上唇と鼻孔の間に当接する耳カニューレ・ユニット28の中央部付近の一部を空気噴出カニューレ27として、この部分に図示しない複数の空気噴出口群が設けられている。その他は医療用の鼻カニューレと同様に、チューブを耳に掛けて装着する構成となっている。
【産業上の利用可能性】
【0025】
新型コロナウイルスにより観光バスや大型施設での乗客や観客の大幅減少は、現在、営業的にも大きな問題である。観光バスの乗客に対する既存のエアコンによる新鮮な外部空気の提供は、従来から当然行われており、快適な環境づくりには重要ではある。ただしその中に一人でもウイルス保菌者が混在すればエアコンによる空気拡散は、逆にウイルスを拡散させる結果となり易い。したがって防疫上は単にエアコンのように全員に対し外部空気を供給するのではなく、乗客の個々人へ個別に、「除菌フィルターによる除菌済み外部空気(車外空気、観客席外空気)」を提供する必要がある。今後、新型コロナウイルス対応だけでなく社会的な無菌志向の時代には、本願発明に係る大規模施設用送風システム1による乗客やその他の施設利用者個々人に対する「除菌フィルターによる除菌済み外部空気」の提供は、乗客確保や施設利用者確保のための重要な営業ツールになり得る可能性を有する。
【符号の説明】
【0026】
1 大規模施設用送風システム
10 送風部本体
17A 使い捨て除菌フィルター
17D 外部空気取入口(粉塵フィルター付き)
20 送風チューブ
20A ネック式送風チューブ
22 ネック固定子
20B インナーフレーム式送風チューブ
24B-4インナーフレーム・ユニット
20C 紐カニューレ式送風チューブ
25 紐カニューレ・ユニット
20D 耳カニューレ式送風チューブ
28 耳カニューレ・ユニット
26 空気噴出口群
30 固定送風パイプ
31 送風チューブ接続口

【要約】
【課題】 密接空間である観光バスや映画館等の大規模施設内を自由浮遊する0.1マイクロメータ程度のエアロゾル・コロナウイルス等は、乗客や観客が家庭用不織布マスクはもとよりN95マスク等の医療用高性能除菌マスクを使用しても、完全には防ぐ手段が無かった。
【解決手段】 (i)少なくとも家庭用マスクあるいは医療用高性能除菌マスクと同程度のウイルス除去性能を有する使い捨て除菌フィルターを通した外部空気(車外空気、観客席外空気等)を送出する送風部本体と、(ii)上記使い捨て除菌フィルターを通した外部空気を、各客席近傍に固定配置されている送風チューブ接続口まで供給する固定送風パイプと、(iii)この送風チューブ接続口へ差込み、マスク内のマスク間隙空間へ外部空気を送風する送風チューブで構成される大規模施設用送風システムを開示する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8