特許第6792932号(P6792932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792932
(24)【登録日】2020年11月11日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】美容器
(51)【国際特許分類】
   A61H 15/00 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   A61H15/00 310D
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-133451(P2014-133451)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2015-163179(P2015-163179A)
(43)【公開日】2015年9月10日
【審査請求日】2017年5月31日
【審判番号】不服2019-10417(P2019-10417/J1)
【審判請求日】2019年8月7日
(31)【優先権主張番号】特願2014-15871(P2014-15871)
(32)【優先日】2014年1月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【合議体】
【審判長】 内藤 真徳
【審判官】 宮崎 基樹
【審判官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0083135(US,A1)
【文献】 特開2013−176681(JP,A)
【文献】 特開2011−104236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の軸部を有するハンドルと、
該軸部にそれぞれ配設されると共に、該軸部の軸線を中心に回転可能に支持され、かつ、互いの間隔を変更可能に構成されたローラーと、を備えた美容器であって、
該美容器は、
該一対のローラーの間隔を自然状態に戻すための付勢力を発生させる付勢手段と、
上記美容器の破損を防止するために上記一対のローラーの間隔の上限を規制する開閉規制手段とを有しており、
上記一対の軸部は、上記自然状態において、上記ハンドル側の基部から先端側へ向かうにつれて上記一対の軸線の間隔が広がる拡開状態となるよう配置されており、
上記ハンドルは、上記一対の軸線を含む平面に対して傾いていることを特徴とする美容器。
【請求項2】
上記付勢手段は金属よりなるばね部材であることを特徴とする請求項1に記載の美容器。
【請求項3】
上記ハンドルは、上記軸部をそれぞれ支持する一対のサブハンドル部と、該一対のサブハンドル部を開閉可能に連結する連結部とを有しており、上記一対の軸部と上記連結部とが、上記サブハンドル部における互いに反対側の端部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の美容器。
【請求項4】
上記一対のローラーの間隔の上限は、上記開閉規制手段により50mm以下に規制されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の美容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体各部の美容のために用いる美容器に関する。
【背景技術】
【0002】
肌の美容のために、ローラーを肌に押し当てつつ回転させて用いる美容器が知られている。この種の美容器として、二股に分岐した形状を呈する本体部と、本体部の先端にそれぞれ取り付けられたローラーとを有し、一対のローラーの間に使用者の身体各部を挟みこんで使用する美容器がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−130327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の美容器は、一対のローラーによって身体各部に加わる押圧力を、使用者の握力によって発生させる必要がある。そのため、体に加わる押圧力を一定にすることが難しく、押圧される部分の肌の血行促進や、新陳代謝の活性化などの効果が十分に体感できないという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、身体各部に好適に使用でき、優れた美容効果を期待できる美容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、一対の軸部を有するハンドルと、
該軸部にそれぞれ配設されると共に、該軸部の軸線を中心に回転可能に支持され、かつ、互いの間隔を変更可能に構成されたローラーと、を備えた美容器であって、
該美容器は、
該一対のローラーの間隔を自然状態に戻すための付勢力を発生させる付勢手段と、
上記美容器の破損を防止するために上記一対のローラーの間隔の上限を規制する開閉規制手段とを有しており、
上記一対の軸部は、上記自然状態において、上記ハンドル側の基部から先端側へ向かうにつれて上記一対の軸線の間隔が広がる拡開状態となるよう配置されており、
上記ハンドルは、上記一対の軸線を含む平面に対して傾いていることを特徴とする美容器にある。
【発明の効果】
【0007】
上記美容器は、上記軸部にそれぞれ配設され、該軸部の軸線を中心に回転可能に支持された上記一対のローラーを有している。また、上記一対のローラーは、互いの間隔を変更可能に構成されている。さらに、上記一対のローラーの間隔を自然状態に戻すための付勢力を発生させる付勢手段を有している。すなわち、上記一対のローラーは、互いの間隔が可変である一方で、互いの間隔が自然状態から変更された際には、自然状態の間隔に戻ろうとする付勢力を受けるよう構成されている。
【0008】
そのため、使用者は、美容効果を得たい部分に上記一対のローラーを押し当てることにより、美容効果を得たい部分の形状に応じて上記付勢力に抗して上記一対のローラーの間隔を押し広げることができ、使用する部位の形状に応じて上記一対のローラーの間隔を適宜調整できる。その結果、上記美容器は、顔や腕等の比較的起伏の大きい部分から腹部等の比較的起伏の小さい部分まで好適に使用することができるものとなる。
【0009】
また、上記美容器は、上記一対のローラーの間隔が広がった状態においては、上記付勢手段による上記付勢力が各々の上記ローラーに作用し、上記一対のローラーが互いに近づく方向に付勢される。そのため、一対のローラーの間に挟み込まれた部分に適度に大きな押圧力を加えることができる。その結果、押圧される部分の肌の血行が促進されたり、新陳代謝を活性化するなどの効果が期待でき、ひいては肌を美しくする等の美容効果を期待できる。
【0010】
以上のように、上記美容器は、身体各部に好適に使用でき、優れた美容効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1における、美容器の斜視図。
図2】実施例1における、美容器の上面図。
図3】実施例1における、美容器の側面図。
図4】実施例1における、美容器をローラー側から見た前面図。
図5】実施例1における、美容器の分解斜視図。
図6図2のVI−VI線矢視断面図。
図7図2のVII−VII線矢視断面図。
図8】実施例1における、美容器のハンドルを開く動作の説明図。
図9】実施例2における、美容器の側面図。
図10】実施例2における、ベース部の上面図。
図11】実施例2における、ばね収容部の下面図。
図12】実施例2における、ハンドルが上限まで開いた状態のばね収容部の下面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記美容器において、上記自然状態とは、上記美容器が使用されておらず、一対のローラーの間に美容効果を得たい部分が挟み込まれていない状態をいう。
【0013】
上記美容器は、上記一対のローラーの間隔の上限を規制する開閉規制手段を有している。上記美容器は、上記開閉規制手段を設けることにより、一対のローラーの間隔が過度に広くなることを確実に防止することができる。その結果、上記美容器の破損を確実に防止することができる。
【0014】
上記一対のローラーの間隔は、開閉規制手段により、50mm以下に規制されることが好ましく、35mm以下に規制されることがより好ましく、20mm以下に規制されることが更に好ましい。一方、上記ローラーの間隔の下限は規制されていなくても良いが、一対のローラーに挟まれる部分において体感する押圧力が過度に大きくなる場合には、上記開閉規制手段あるいはその他の手段により規制されていても良い。
【0015】
上記一対のローラーの間隔を変更可能な構成としては、例えば、上記軸部が開閉可能な状態で上記ハンドルに組み付けられている構成がある。この場合には、軸部の開閉動作に伴って一対のローラーの間隔を変更することができる。また、上記の構成をとる場合には、上記開閉規制手段として、例えば、軸部の開閉範囲の上限を規制する部材を設けることができる。つまり、自然状態よりも開いた状態の軸部と当接する位置に上記部材を設けることにより、上記軸部の開閉範囲の上限が上記部材の位置に応じて規制される。その結果、上記一対のローラーの間隔の上限を規制することができる。
【0016】
また、上記ハンドルは、上記軸部をそれぞれ支持する一対のサブハンドル部と、該一対のサブハンドル部を開閉可能に連結する連結部とを有しており、上記一対の軸部と上記連結部とが、上記サブハンドル部における互いに反対側の端部に設けられていることが好ましい。この場合には、使用者が上記サブハンドル部の開閉の度合いを調節することにより、上記一対のローラーの間隔を変更できる。そのため、上記ハンドルの開閉動作の大きさと、上記一対のローラーの間隔の変化量との関係が使用者にとって感覚的に把握し易くなる。また、上記サブハンドル部の開閉の度合いを調節することにより、美容効果を得たい部分に加わる押圧力を容易に調節することができる。その結果、美容器の扱い易さをより向上させることができ、より優れた美容効果を期待できる。
【0017】
上記ハンドルがサブハンドル部と上記連結部とを有する場合には、上記開閉規制手段として、例えば、サブハンドル部の開閉範囲の上限を規制する部材を設けることができる。つまり、自然状態よりも開いた状態のサブハンドル部と当接する位置に上記部材を設けることにより、サブハンドル部の開閉範囲の上限が上記部材の位置に応じて規制される。その結果、上記一対のローラーの間隔の上限を規制することができる。
【0018】
また、上記美容器が上述の構成を有する場合には、サブハンドル部自身が上記開閉規制手段として機能するように構成されていてもよい。上記構成としては、例えば、自然状態よりも開いた状態のサブハンドル部の一部が互いに当接する構成がある。このように構成されたサブハンドル部は、互いに当接した状態が上限となるように開閉範囲が規制される。その結果、上記一対のローラーの間隔の上限を規制することができる。
【0019】
また、上記美容器が上述の構成を有する場合には、上記開閉規制手段が上記連結部に設けられていてもよい。この場合には、上記サブハンドル部の開閉動作に関わる上記連結部及び上記開閉規制手段が1箇所にまとめて配置されるため、上記美容器のデザインの自由度がより高くなる。また、上記連結部及び上記開閉規制手段が1箇所にまとまることにより、美容器の扱い易さをより向上させることができる。
【0020】
上記一対の軸部は、上記自然状態において、上記ハンドル側の基部から先端側へ向かうにつれて上記一対の軸線の間隔が広がる拡開状態となるよう配置されているそのため、上記美容器を肌に押し当てる際に、上記一対のローラーの間隔を容易に押し広げることができる。その結果、上記美容器は、使用者にとってより扱い易いものとなる。
【0021】
また、上記自然状態において、上記一対のローラーが互いに離隔していてもよい。この場合には、美容効果を得たい部分に上記一対のローラーを押し当てた際に、上記ローラーの間に当該部分がある程度挟み込まれた状態を自然に実現することができる。一方、上記一対のローラーが自然状態において互いに当接している場合には、当該部分が上記ローラーの間に挟み込まれた状態を実現するために、上記付勢力に抗して上記一対のローラーの間隔を押し広げる必要がある。それ故、上記自然状態において、上記一対のローラーが互いに離隔している美容器は、美容効果を得たい部分を上記ローラーの間に挟みこむ動作をより容易に行うことができ、使用者にとってより扱い易いものとなる。なお、上記自然状態において、上記一対のローラーが互いに離隔している場合には、上記自然状態における上記一対のローラーの間隔は、1〜50mmの範囲で適宜設定することができる。
【0022】
また、上記一対の軸部は、常に、上記拡開状態となるよう配置されていてもよい。この場合には、一対のローラーの間に挟まれた部分において体感する押圧力を適度に大きくし、優れた美容効果を期待できると共に、美容器の扱い易さをより向上させることができる。
【0023】
また、上記ハンドルは、上記一対の軸線を含む平面に対して傾いている。そのため、上記ハンドルが肌面に沿うようにして上記一対のローラーを肌面に押し当てることにより、上記一対の軸線を含む平面が肌面に対して傾斜した状態となる。そして、この状態を維持しつつ上記美容器を動かすことにより、一対のローラーにより摘み上げられるように美容効果を得たい部分を変形させることができる。その結果、上記美容器の使用により、より優れた美容効果を期待できる。
【0024】
また、上述した肌を摘み上げる作用は、一対のローラーの間隔によって変化し、一対のローラーの間隔を適切な範囲に保つことにより、上記作用を確実に体感させることができる。それ故、上記ハンドルが上記一対の軸線を含む平面に対して傾いている場合には、さらに上記開閉規制手段を設けることにより、上記作用を確実に体感させることができ、ひいてはより優れた美容効果を期待できる。
【0025】
また、上記ローラーは、略球体形状とすることができる。この場合には、上記ローラーによる押圧力が、一対のローラーの間に挟まれた部分に集中し易くなるため、体感できる押圧力を十分に大きくでき、より優れた美容効果を期待できる。また、この場合には、上記一対のローラーを肌に押し付けつつ回転させる動作をよりスムーズに行うことができ、美容器の扱い易さをより向上させることができる。
【0026】
なお、上述した略球体形状には、真球と、回転楕円体や涙滴形状等の一般的な感覚として球形と認められる程度に真球を歪めてなる形状が含まれる。また、上記ローラーは、滑らかな曲面より構成された表面を有していても良く、例えば多数の三角形や四角形等により構成された表面を有する多面体であってもよい。上記ローラーが多面体である場合には、滑らかな曲面より構成された表面を有するローラーに比べて、ローラーの表面が肌に対して滑ることを抑制でき、より優れた美容効果を期待できる。
【0027】
また、上記付勢手段には、例えば、ばね部材やゴム等を用いることができる。これらのうち、上記付勢手段としては、金属製のばね部材を用いることが好ましい。金属製のばね部材は、上記付勢力を適度に大きくし易い。そのため、上記美容器の使用により、より優れた美容効果を期待できる。
【0028】
また、上記ハンドルは太陽電池パネルを有しており、該太陽電池パネルの起電力により、上記ローラーと接触する人体肌に電流を流すことができるよう構成されていてもよい。この場合には、人体肌に流れる電流により、皮膚細胞が活性化され、リンパの流れがよくなったり、血行が促進されたり、新陳代謝が向上されたりする等の効果を発揮する可能性がある。その結果、上記美容器の使用により、より優れた美容効果を期待できる。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
上記美容器の実施例について、図1図8を用いて説明する。図1及び図5に示すように、美容器1は、一対の軸部2を有するハンドル3と、一対のローラー4と、付勢手段5としてのばね部材51とを有している。一対のローラー4は、それぞれ軸部2に配設されると共に、軸部2の軸線A(図3及び図4参照)を中心に回転可能に支持されている。また、一対のローラー4は、図4に示す互いの間隔dを変更可能に構成されている。ばね部材51は、一対のローラー4の間隔dを自然状態に戻すための付勢力を発生させることができるよう構成されている。また、美容器1は、図8に示すように、一対のローラー4の間隔dの上限を規制する開閉規制手段としての規制プレート71及び規制ピン72を有している。
【0030】
図1及び図2に示すように、美容器1は略U字状を呈するハンドル3を有している。ハンドル3の二股に分かれた先端には、一対のローラー4が互いに並んで配置されている。一対のローラー4は、それぞれ、ハンドル3の先端に設けられた軸部2を介して、ハンドル3に回転可能に支持されている。また、図3に示すように、美容器1は、一対のローラー4の並び方向から見て略弧状を呈するように湾曲している。
【0031】
以下において、一対のローラー4の並び方向を「側方方向」、ローラー4とハンドル3との並び方向を「前後方向」ということがある。また、前後方向におけるローラー4側を「前方」といい、ハンドル3側を「後方」ということがある。また、美容器1を側方方向から見た時の略弧状形状における、凸形状側を「上方」といい、凹形状側を「下方」ということがある。これらの方向に関する記載は便宜上のものであり、美容器1を使用する際の実際の方向とは何ら関係がない。
【0032】
図1図4に示すように、ハンドル3は、軸部2を支持する軸支持部31が、それよりも後方の把持部32の長手方向に対して斜め下方を向くように屈曲されている。つまり、図2に示す上面視及び図4に示す前面視において、ハンドル3の軸支持部31は、前方へ向かうにつれて側方方向における外側へ広がっている。また、便宜上図示しないが、軸支持部31にそれぞれ支持された軸部2は、軸支持部31とともに、前方へ向かうにつれて外側に広がるように延設されている。これにより、一対の軸部2は、自然状態において、ハンドル3側の基部から先端側(前方)へ向かうにつれて一対の軸線Aの間隔が広がる拡開状態となるよう配置されている。なお、本例の美容器1における一対の軸線Aのなす角θ(図4参照)は70°である。一対の軸線Aのなす角θは、40〜120°の間で適宜設定することができ、50〜90°の範囲であることがより好ましい。
【0033】
また、図3に示す側面視において、ハンドル3の軸支持部31は、把持部32の長手方向に対して斜め下方を向いている。そして、軸支持部31にそれぞれ配設された軸部2は、軸支持部31とともに斜め下方へ向けて延設されている(図示略)。そのため、ハンドル3の把持部32は、一対の軸線Aを含む平面Pに対して傾いている。
【0034】
図2及び図3に示すように、軸部2を介してハンドル3に支持されるローラー4は、多数の三角形より構成される多面体であり、略球体状を呈している。ハンドル3とローラー4との間には、図示しないパッキンが設けられており、ハンドル3とローラー4との間から水分等が浸入することを防止できるよう構成されている。また、ローラー4の表面にはチタンめっきが施されており、電気伝導性を有している。ローラー4の表面は、後述する太陽電池パネル6と電気的に接続されている。なお、本例の美容器1は、自然状態における一対のローラー4の間隔d(図4参照)が10mmとなるように構成されている。また、本例のローラー4は、軸線Aに垂直な断面における直径を、15〜60mmの範囲から適宜選択することができる。
【0035】
また、図2図5図6及び図8に示すように、ハンドル3の後方には、ばね部材51及び開閉規制手段が設けられている。ばね部材51及び開閉規制手段の詳細については、後述する。
【0036】
図1図2及び図5に示すように、ハンドル3は、軸部2をそれぞれ支持する一対のサブハンドル部33と、一対のサブハンドル部33を開閉可能に連結する連結部34とを有している。図1及び図2に示すように、連結部34は、ハンドル3の後方、つまりローラー4と反対側の端部に配置されている。そして、サブハンドル部33は連結部34から前方へ向けて延設されており、側方方向に互いに並んで配置されている。このように、本例の美容器1は、一対の軸部2と連結部34とが、サブハンドル部33における互いに反対側の端部に設けられている。
【0037】
サブハンドル部33は、図2に示すように略棒状を呈すると共に、構造的に剛性が高くなるよう、前後方向に垂直な断面が略楕円状を呈している。
【0038】
また、図5に示すように、サブハンドル部33は、前後方向の全体にわたって延設されるベース部331と、ばね部材51を収容する下側ばね収容部332及び上側ばね収容部333と、上側ばね収容部333を覆うケース部334とを有している。下側ばね収容部332、上側ばね収容部333及びケース部334は、サブハンドル部33の後半部に配置されている。また、図5及び図7に示すように、下側ばね収容部332、上側ばね収容部333及びケース部334は、前後方向の両端において、ねじ335によりベース部331と締結されている。
【0039】
ベース部331は、電気絶縁性の樹脂より形成されている。また、図2及び図5に示すように、ベース部331は、ケース部334とハンドル3の軸支持部31との間に太陽電池パネル6を有している。太陽電池パネル6は、図示しないパッキンにより、ベース部331との間の隙間からの水分等の浸入を防止できるように組み付けられている。また、図には示さないが、同一のサブハンドル部33に設けられた太陽電池パネル6、ローラー4及びケース部334は互いに電気的に接続されている。そして、後述するように、太陽電池パネル6の起電力により、ローラー4と接触する人体肌に電流を流すことができるよう構成されている。
【0040】
上側ばね収容部333及び下側ばね収容部332は、電気絶縁性の樹脂より形成されている。図6に示すように、上側ばね収容部333及び下側ばね収容部332は、互いに組み合わされた状態において、両者の間にばね部材51を収容するためのばね収容空間35が形成されるよう構成されている。図2及び図6に示すように、ばね収容空間35は、ハンドル3の開閉動作を行う際にばね部材51が大きな遊びがなく変形するように、ばね部材51のサイズに対応した寸法に形成されている。また、図7に示すように、ばね収容空間35の後端部351は、後述する連結部34における筒状部材341の筒内空間342に連通している。これにより、ばね部材51は、図2に示すように、連結部34を通過して一対のサブハンドル部33まで延設されている。
【0041】
ケース部334は、ABS樹脂より構成されている。また、ケース部334の表面にはクロムめっきが施されており、表面が電気伝導性を有している。そして、ケース部334の表面は、太陽電池パネル6と電気的に接続されている。
【0042】
図5及び図6に示すように、一対のサブハンドル部33を連結する連結部34は、筒状部材341と、規制プレート71と、規制ピン72とを有している。規制プレート71及び規制ピン72は、一対のサブハンドル部33を連結する連結部34としての機能と、一対のローラー4の間隔dの上限を規制する開閉規制手段としての機能との双方の機能を有している。
【0043】
筒状部材341はエラストマーより構成されており、図5及び図7に示すように側方方向の両端に開口端部343を有している。各々の開口端部343にはサブハンドル部33の後端が挿入されている。また、筒状部材341の筒内空間342は、サブハンドル部33に組み付けられた状態において、ばね収容空間35と連通している。
【0044】
規制プレート71は、ハンドル3の後方端部における略U字形状に沿って配置されている。図2及び図8に示すように、規制プレート71は、筒状部材341内を通過する基部712と、基部712から各々のサブハンドル部33に向けて延設された腕部713とを有する金属板より構成されている。図8に示すように、腕部713は、略四角形状のピン挿通穴711を前方端部に有すると共に、ピン挿通穴711よりも基部712側(後方)にボス挿通穴714を有している。
【0045】
図6及び図8に示すように、ピン挿通穴711には、金属より構成された規制ピン72が貫通して配置されている。図6に示すように、規制ピン72は、ピン挿通穴711よりも小さい外径を有する円柱状に形成されている。また、規制ピン72は、上下方向の端部がベース部331及びケース部334に固定されている。そのため、規制ピン72の位置は、ハンドル3の開閉動作に伴い、ピン挿通穴711の開口している範囲を限度として変更される(図8、矢印101)。
【0046】
また、図7に示すように、ボス挿通穴714には、ケース部334に立設されたボス336が挿入されている。そのため、規制プレート71は、ボス336に対して一定の位置に保持される。また、ハンドル3を開閉する際に、サブハンドル部33がボス336を中心として回動する(図8、矢印102)。
【0047】
ばね部材51は、図2及び図5図7に示すように、略U字状に屈曲された金属棒より構成されており、サブハンドル部33のばね収容空間35と、筒状部材341の筒内空間342との双方を通過するように配置されている。また、ばね部材51は、ハンドル3の開閉動作に伴って変形し、ばね部材51が変形した状態においては、自然状態に戻る方向に付勢され、ばね収容空間35の壁面を押圧する。これにより、ばね部材51の付勢力は、サブハンドル部33を介して一対のローラー4に伝達される。
【0048】
次に、本例の美容器1の開閉規制手段の動作について、美容器1の使用方法と共に説明する。美容器1を使用する際、使用者は、サブハンドル部33のケース部334を手のひらに接触させつつ、太陽電池パネル6に光が入射するようにして把持部32を把持する。そして、図3に示すように、把持部32が肌面8に沿うようにして一対のローラー4を肌面8に押し当てる。このようにローラー4を押し当てることにより、一対の軸線Aを含む平面Pが肌面8に対して傾斜した状態となる。
【0049】
一対のローラー4を肌面8に当接させた状態から、一対のローラー4を押し当てる力をさらに強くすることにより、ばね部材51の付勢力に抗してハンドル3が開き(図8、矢印102)、一対のローラー4の間隔dを押し広げることができる(図4、矢印100)。本例の美容器1における一対の軸部2は、一対のローラー4の間隔dが自然状態から変更された状態及び自然状態のいずれの状態においても、ハンドル3側の基部から先端側へ向かうにつれて一対の軸線Aの間隔が広がる拡開状態を維持するよう構成されている。すなわち、本例の美容器1は、常に、拡開状態となるよう構成されている。
【0050】
このとき、規制プレート71及び規制ピン72は、以下のようにして開閉規制手段として機能する。サブハンドル部33の内部においては、ベース部331及びケース部334に固定された規制ピン72が、ハンドル3が自然状態から開く(図8、矢印102)につれて側方方向の外方に移動する(図8、矢印101)。そして、規制ピン72がピン挿通穴711の端縁に当接すると、それ以上ハンドル3を開くことができなくなる。
【0051】
本例の美容器1における規制プレート71及び規制ピン72は、サブハンドル部33を開閉させた際に、一対のローラー4の間隔dを1〜50mmの範囲内で変更できるように設計されている。一方、本例の美容器1は、ベース部331がABS樹脂より構成されている。そのため、一対のローラー4を肌面8に押し当てる力を大きくすることにより、サブハンドル部33を弾性変形させて一対のローラー4の間隔dを上記特定の範囲よりも広げることができる。本例の美容器1においては、実用上、サブハンドル部33を弾性変形させた場合における一対のローラー4の間隔dの最大値は65mmである。
【0052】
一対のローラー4を肌面8に当接させた状態において、美容器1をローラー4側からハンドル3側へ向かう方向へ移動させることにより、図3及び図4に示すように美容効果を得たい部分が一対のローラー4の間に巻き込まれ、肌面8が上記一対のローラー4により摘み上げられるように変形する。
【0053】
この時、美容器1を移動させると共に、ハンドル3を閉じる方向に力をかけることにより、一対のローラー4の間に挟みこまれた部分にかかる押圧力を大きくすることができる。
【0054】
また、ローラー4が肌面8と接触し、かつ、ハンドル3のケース部334が手のひらと接触している間は、太陽電池パネル6、ローラー4、ケース部334及び人体を含む閉回路が形成される。そのため、太陽電池パネル6の起電力により、ローラー4と接触する人体肌に電流を流すことができる。
【0055】
次に、本例の作用効果について説明する。
【0056】
美容器1は、互いの間隔dを変更可能に構成された一対のローラー4と、付勢手段5としてのばね部材51とを有している。そのため、美容器1は、顔や腕等の比較的起伏の大きい部分から腹部等の比較的起伏の小さい部分まで好適に使用することができるものとなる。
【0057】
また、美容器1は、一対のローラー4の間隔dが広がった状態においては、付勢手段5による付勢力が各々のローラー4に作用し、一対のローラー4が互いに近づく方向に付勢される。そのため、一対のローラー4に押圧される部分の肌の血行が促進されたり、新陳代謝を活性化するなどの効果が期待でき、ひいては肌を美しくする等の美容効果を期待できる。
【0058】
また、美容器1は、開閉規制手段としての規制プレート71及び規制ピン72を有している。そのため、美容器1は、一対のローラー4の間隔dが過度に広くなることを確実に防止でき、美容器1の破損を確実に防止できる。
【0059】
また、一対の軸部2は、常に、ハンドル3側の基部から先端側に向かうにつれて一対の軸線Aの間隔が広がる拡開状態となるよう配置されている。つまり、美容器1は、自然状態において上記拡開状態が実現されることにより、使用者にとってより扱い易いものとなる。また、一対のローラー4の間隔dが自然状態から変更された状態において上記拡開状態が実現されることにより、一対のローラー4の間に挟まれた部分において体感する押圧力を適度に大きくでき、より優れた美容効果を期待できる。
【0060】
また、ハンドル3は、軸部2をそれぞれ支持する一対のサブハンドル部33と、一対のサブハンドル部33を連結する連結部34とを有している。そして、一対の軸部2と連結部34とが、サブハンドル部33における互いに反対側の端部に設けられている。そのため、使用者は、サブハンドル部33の開閉の度合いを調節することにより、一対のローラー4の間隔dを変更し、美容効果を得たい部分に加わる押圧力を容易に調節することができる。その結果、美容器1の扱い易さをより向上させることができると共に、より優れた美容効果を期待できる。
【0061】
また、ハンドル3は、一対の軸線Aを含む平面Pに対して傾いている。さらに、本例においては、規制プレート71及び規制ピン72は、サブハンドル部33を開閉させた際に、一対のローラー4の間隔dを1〜50mmの範囲で変更できるように設計されている。一対のローラー4の間隔dを適切な範囲に保つことにより、上述した肌の摘み上げによる作用を確実に体感させることができる。その結果、より優れた美容効果を期待できる。
【0062】
また、ローラー4は、略球体形状を呈している。そのため、ローラー4による押圧力が集中し易くなり、使用者が体感する押圧力が十分に大きくなりやすい。また、一対のローラー4を肌に押し付けつつ回転させる動作をよりスムーズに行うことができ、美容器1の扱い易さをより向上させることができる。
【0063】
また、ハンドル3は太陽電池パネル6を有しており、太陽電池パネル6の起電力により、ローラー4と接触する人体肌に電流を流すことができるよう構成されている。そのため、美容器1の使用により、より優れた美容効果を期待できる。
【0064】
また、本例においては、同一のサブハンドル部33に設けられた太陽電池パネル6、ローラー4及びケース部334が互いに接続されているため、各々のサブハンドル部33ごとに人体肌を含む閉回路を形成することができる。その結果、ローラー4及びケース部334と人体肌との接触が不良となることを抑制できる。それ故、美容器1は、より優れた美容効果を期待できる。
【0065】
また、本例のサブハンドル部33は、前後方向の断面が略楕円形であるため、構造上、高い剛性を有する。そして、サブハンドル部33は、金属板よりなる規制プレート71により補強され、規制プレート71を有しない場合に比べてより高い剛性を有する。これらの構成を具備することにより、美容器1は、サブハンドル部33が弾性変形した場合にも、一対のローラー4により美容効果を得たい部分に加わる押圧力を十分に大きくすることができる。
【0066】
サブハンドル部33の剛性が過度に低い場合には、美容効果を得たい部分を一対のローラー4により押圧しようとすると、サブハンドル部33が撓むおそれがある。そのため、場合によってはハンドル3の開閉動作を行っても一対のローラー4の間隔dが十分に狭められず、美容効果を得たい部分に加わる押圧力が十分に体感できなくなるおそれがある。一方、本例の美容器1は、上記の構成を有することにより、かかる問題を回避でき、ハンドル3の開閉動作により美容効果を得たい部分に加わる押圧力を十分に大きくすることができる。以上の結果、美容器1は、体感できる押圧力を十分に大きくでき、より優れた美容効果を期待できる。
【0067】
以上のように、美容器1は、身体各部に好適に使用できると共に、優れた美容効果を期待できる。
【0068】
(実施例2)
本例は、部品点数を低減しつつ、剛性を高めたサブハンドル部36を有する美容器1の例である。なお、図には示さないが、本例の美容器1の外形は実施例1と同一である。
【0069】
図9に示すように、サブハンドル部36は、ベース部361と、ばね収容部362と、ケース部363との3つの部品から構成されている。ばね収容部362及びケース部363は、ベース部361の後半部に配置されており、ねじ(図示略)によりベース部361に締結されている。なお、図9においては、便宜上、ローラー4、規制ピン72及びねじ等の記載を省略している。
【0070】
図9及び図10に示すように、ベース部361は、ばね収容部362が重ね合わされる部分に、剛性を高めるためのリブ364を有している。これにより、ベース部361自身の剛性を高め、ひいてはサブハンドル部36の剛性をより高めることができる。
【0071】
ばね部材51が収容されるばね収容空間35は、ベース部361とばね収容部362との間に形成される。図11に示すように、本例のばね収容空間35は、ばね収容部362に、ばね部材51のサイズに対応した凹部を設けることにより形成されている。
【0072】
また、本例においては、図11に示すように、ばね収容部362の後端、すなわち、連結部34に挿入された状態で互いに対面する部分に、開閉規制手段として機能する規制凸部365が設けられている。
【0073】
規制凸部365は、前後方向の略中央部に設けられた頂部366が自然状態において互いに当接するように構成されている。また、規制凸部365は、頂部366から前後方向へ向かうにつれて、側方方向の外方へ後退する傾斜面367(367a、367b)を有している。傾斜面367a及び367bは、図11に示すように、自然状態において互いに離間するように配置されている。
【0074】
このように構成された規制凸部365は、以下のようにして開閉規制手段として機能する。すなわち、ハンドル3を開くと、規制プレート71のボス挿通穴714(図示略)に挿入されたボス368を中心として一対のサブハンドル部36が回動する(図11、矢印103)。このとき、サブハンドル部36の回動に伴い、規制凸部365における後方側の傾斜面367aが互いに接近し、やがて傾斜面367a同士が当接する。そして、図12に示す、後方側の傾斜面367a同士が当接した状態を限界として、それ以上ハンドル3を開くことができなくなる。このように、傾斜面367a同士が当接する位置を上限としてハンドル3の開閉動作が規制されることにより、一対のローラー4の間隔dの変更し得る範囲の上限が規制される。
【0075】
なお、本例においては、規制凸部365における前方側の傾斜面367bにより、ハンドル3を閉じる際の下限が規制される。すなわち、上述と同様に、ハンドル3を閉じると、サブハンドル部36が回動すると共に、前方側の傾斜面367bが互いに接近する。そして、ハンドル3を閉じる動作を継続すると、やがて傾斜面367bが当接し、前方側の傾斜面367b同士が当接した状態を限界として、それ以上ハンドル3を閉じることができなくなる。このように、傾斜面367b同士が当接する位置を下限としてハンドル3の開閉動作が規制されることにより、一対のローラー4の間隔dの変更し得る範囲の下限が規制される。
【0076】
また、図には示さないが、本例においては、規制プレート71の腕部713の長さが、実施例1に比べて3倍程度に長くなっている。腕部713を長くすることにより、サブハンドル部36の剛性をより高めることができる。
【0077】
その他は実施例1と同様である。なお、図9図12において用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に説明のない限り実施例1と同様の構成要素等を示す。
【0078】
本例のように、サブハンドル部36にリブ364を有するベース部361を用い、規制プレート71の腕部713をより長くすることにより、サブハンドル部36の剛性をより高めることができる。
【0079】
なお、実施例1及び実施例2には、開閉規制手段として、規制プレート71及び規制ピン72を用いた構成や、サブハンドル部36に規制凸部365を設けた構成を説明したが、これ以外の構成を採用することも可能である。例えば、一対のサブハンドル部36を鎖等で連結することにより、一対のサブハンドル部36の開閉可能な範囲を鎖の伸びる範囲内に規制する構成がある。
【符号の説明】
【0080】
1 美容器
2 軸部
3 ハンドル
4 ローラー
5 付勢手段
A 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12