特許第6792947号(P6792947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792947
(24)【登録日】2020年11月11日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】鉄塔部材の防腐工法
(51)【国際特許分類】
   E04H 12/00 20060101AFI20201119BHJP
   C23F 11/02 20060101ALI20201119BHJP
   C23F 15/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   E04H12/00 F
   C23F11/02
   C23F15/00
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-6397(P2016-6397)
(22)【出願日】2016年1月15日
(65)【公開番号】特開2017-125376(P2017-125376A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591124167
【氏名又は名称】中電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】笠谷 真輝
(72)【発明者】
【氏名】井上 佳昭
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0326007(US,A1)
【文献】 特開2002−242332(JP,A)
【文献】 特開2006−045952(JP,A)
【文献】 特開2003−064490(JP,A)
【文献】 特開2004−084438(JP,A)
【文献】 特開平11−256371(JP,A)
【文献】 特開平03−287791(JP,A)
【文献】 特開2012−233236(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103883154(CN,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0128075(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 12/00
C23F 11/02,15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状であり且つ長手方向の両端が開口する支柱管と、該支柱管の各開口を閉塞し且つ該支柱管と一体又は別体である一対の閉塞部とを備えた鉄塔部材の腐食を防止する鉄塔部材の防腐工法であって、一方の閉塞部又は支柱管の一方の端部には、該鉄塔部材の内部と外部とを連通する連通口が形成され、該連通口を閉塞し且つ該連通口に着脱可能な密栓が設けられ、該密栓が取り外されている前記連通口から前記支柱管の内部に気体を注入することによって、前記支柱管の内部を乾燥させる乾燥工程と、前記支柱管の内部における錆の発生を抑える防食剤を収容する少なくとも一つの収容部を備える腐食防止具を前記連通口から前記支柱管の内部に挿入する挿入工程と、前記乾燥工程、及び該挿入工程のそれぞれを行った後に、前記支柱管の前記連通口を前記密栓によって密閉する密閉工程とを備える鉄塔部材の防腐工法。
【請求項2】
前記腐食防止具は、複数の前記収容部であって、それぞれが前記支柱管の長手方向に並んで互いに連結される複数の前記収容部を備え、前記挿入工程では、前記複数の収容部のそれぞれを前記連通口から前記支柱管の内部に挿入する請求項1に記載の鉄塔部材の防腐工法。
【請求項3】
前記腐食防止具は、前記複数の収容部が接続される接続具を備え、該接続具は、前記密栓に接続される請求項2に記載の鉄塔部材の防腐工法。
【請求項4】
前記乾燥工程では、送風機から供給される気体を送り出す送風管を備える送風装置によって前記支柱管の内部を乾燥させるにあたり、前記連通口から前記支柱管の内部に挿入した該送風管の先端部を前記支柱管の前記一方の端部とは反対側に位置し且つ前記連通口が設けられていない端部側に配置し、該送風管から前記支柱管の内部に気体を注入する請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の鉄塔部材の防腐工法。
【請求項5】
前記乾燥工程では、前記先端部を前記支柱管の前記一方の端部とは反対側に位置し且つ前記連通口が設けられていない端部側に配置した前記送風管を前記支柱管の内部から取り出すときに、前記送風管の位置を前記支柱管の一方の端部側にずらすことと、前記送風管を前記支柱管の一方の端部側にずらした状態で留めることとを繰り返す請求項4に記載の鉄塔部材の防腐工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄塔部材内における錆の発生を抑えることによって、鉄塔部材の腐食を防止する鉄塔部材の防腐工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄塔は、地面に設けられたコンクリートの基礎部から延出する複数の主柱材や、該主柱材に連結される斜材等の複数の鉄塔部材を互いに組み合わせることによって造られている。そして、鉄塔部材には、筒状の鋼管が採用されることがある。
【0003】
この種の鉄塔では、鉄塔部材の内部における錆の発生を抑えるための鉄塔部材の防腐工法が行われている。かかる防腐工法では、主柱材の上端の開口から該主柱材の内部に気体を常時流通させ、該気体とともに主柱材の内部の水分を主柱材の下端の開口から排出している。従って、主柱材の内部が常時乾燥した状態で維持されるため、主柱材の内部における錆の発生が抑えられ、これにより、主柱材の腐食が防止される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、両端の開口が閉塞されている鉄塔部材(例えば、根巻きされた斜材等)が鉄塔に用いられる場合、該鉄塔部材には、従来の防腐工法を適用することができなかった。
【0005】
より具体的に説明すると、従来の防腐工法は、内部に気体を注入するための開口と、内部に注入した気体を排出するための開口とが鉄塔部材に形成される必要があるため、両端の開口が閉塞されている鉄塔部材には適用できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−242332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、両端の開口が閉塞されている鉄塔部材に対して、腐食を防止するための処置を施せる鉄塔部材の防腐工法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の鉄塔部材の防腐工法は、筒状であり且つ長手方向の両端が開口する支柱管と、該支柱管の各開口を閉塞し且つ該支柱管と一体又は別体である一対の閉塞部とを備えた鉄塔部材の腐食を防止する鉄塔部材の防腐工法であって、一方の閉塞部又は支柱管の一方の端部には、該鉄塔部材の内部と外部とを連通する連通口が形成され、該連通口を閉塞し且つ該連通口に着脱可能な密栓が設けられ、該密栓が取り外されている前記連通口から前記支柱管の内部に気体を注入することによって、前記支柱管の内部を乾燥させる乾燥工程と、前記支柱管の内部における錆の発生を抑える防食剤を収容する少なくとも一つの収容部を備える腐食防止具を前記連通口から前記支柱管の内部に挿入する挿入工程と、前記乾燥工程、及び該挿入工程のそれぞれを行った後に、前記支柱管の前記連通口を前記密栓によって密閉する密閉工程とを備える。
【0009】
かかる構成によれば、一方の閉塞部又は支柱管の一方の端部に対して鉄塔部材の内部と外部とを連通する連通口が形成されるため、該連通口を介して該支柱管の内部に対する作業を行うことができる。
【0010】
乾燥工程では、連通口から支柱管の内部に気体を注入することによって、該支柱管の内部を乾燥させるため、支柱管の内部を錆が発生し難い状態にすることができる。そして、挿入工程では、支柱管の内部における錆の発生を抑える防食剤を収容する少なくとも一つの収容部を備える腐食防止具を連通口から支柱管の内部に挿入するため、収容部内に挿入した収容部内の防食剤によって支柱管の内部における錆の発生が抑えられ、これにより、鉄塔部材の腐食が防止される。
【0011】
さらに、乾燥工程、及び挿入工程のそれぞれの後に行う密閉工程では、支柱管の連通口を密栓によって密閉するため、連通口を通じて支柱管の内部に水分が進入することを抑えることができる。従って、支柱管の内部の乾燥した状態をより確実に維持することができるため、支柱管の内部における錆の発生がより確実に抑えられる。
【0012】
このように、鉄塔部材の防腐工法は、両端が閉塞されている鉄塔部材の内部に対して、腐食を防止するための処置を施すことができる。
【0013】
本発明に係る鉄塔部材の防腐工法の一態様として、前記腐食防止具は、複数の前記収容部であって、それぞれが前記支柱管の長手方向に並んで互いに連結される複数の前記収容部を備え、前記挿入工程では、前記複数の収容部のそれぞれを前記連通口から前記支柱管の内部に挿入してもよい。
【0014】
かかる構成によれば、挿入工程では、それぞれが支柱管の長手方向に並んで互いに連結される複数の収容部を連通口から支柱管の内部に挿入するため、支柱管の内部で複数の収容部のそれぞれを長手方向に並べることによって、支柱管の長手方向における全長に亘って錆の発生を抑え易くなる。これにより、鉄塔部材の腐食がより確実に防止される。
【0015】
本発明に係る鉄塔部材の防腐工法の他態様として、前記腐食防止具は、前記複数の収容部が接続される接続具を備え、該接続具は、前記密栓に接続されてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、複数の収容部のそれぞれが接続具を介して密栓に接続されるため、支柱管の連通口を密栓で密閉するに伴って各収容部が支柱管に固定され、密栓を連通口から取り外すに伴って各収容部が支柱管から取り外される。従って、支柱管に対する各収容部の固定と取り外しとを容易に行うことができるため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0017】
本発明に係る鉄塔部材の防腐工法の別の態様として、前記乾燥工程では、送風機から供給される気体を送り出す送風管を備える送風装置によって前記支柱管の内部を乾燥させるにあたり、前記連通口から前記支柱管の内部に挿入した該送風管の先端部を前記支柱管の前記一方の端部とは反対側に位置し且つ前記連通口が設けられていない端部に配置し、該送風管から前記支柱管の内部に気体を注入してもよい。
【0018】
かかる構成によれば、支柱管の他方の端部に対応する位置に配置した送風管によって、前記支柱管の内部に気体を注入するため、外部と連通しない支柱管の他方の端部側から外部と連通する一方の端部側へ向けて気体を流すことができる。従って、前記鉄塔部材の防腐工法では、支柱管の他方の端部側に気体を注入しつつ、支柱管内の気体を支柱管外に排出することによって、支柱管の内部を効率良く乾燥させることができる。
【0019】
前記乾燥工程では、前記先端部を前記支柱管の前記他方の端部に配置した前記送風管を前記支柱管の内部から取り出すときに、前記送風管の位置を前記支柱管の一方の端部側にずらすことと、前記送風管を前記支柱管の一方の端部側にずらした状態で留めることとを繰り返してもよい。
【0020】
かかる構成によれば、送風管を支柱管の内部から取り出すときに、支柱管の両端の間の各位置において、送風機で発生させた気体を送り出している送風管を留めるため、支柱管の内部全体を気体に曝し易い。従って、支柱管の内部をより確実に乾燥させることができ、これにより、支柱管の内部における錆の発生をより確実に抑えることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の鉄塔部材の防腐工法によれば、両端の開口が密閉されている鉄塔部材に対して、腐食を防止するための処置を施すことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法で作業対象とする鉄塔の概要図である。
図2図2は、同実施形態に係る斜材の支柱管の端部の拡大図である。
図3図3は、同実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法で用いる送風装置の概要図である。
図4図4は、同実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法で用いる腐食防止具の概要図である。
図5図5は、同実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法で用いるガイド部材の部分断面図である。
図6図6は、同実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法の説明図であって、斜材に連通口を形成した状態の説明図である。
図7図7は、同実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法の説明図であって、連通口に挿込部を挿し込んだ状態の説明図である。
図8図8は、同実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法の説明図であって、(a)は、連通口に挿込部と、ガイド部材と、送風管とを挿通した状態における支柱管の断面図であり、(b)は、送風管を挿通した状態におけるガイド部材の平面図である。
図9図9は、同実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法の説明図であって、各斜材に送風管を挿入した状態の説明図である。
図10図10は、同実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法の説明図であって、(a)は、支柱管の他方の端部に配置した送風管から気体を注入している状態の説明図であり、(b)は、支柱管の一方の端部側に移動させた送風管から気体を注入している状態の説明図である。
図11図11は、同実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法の説明図であって、支柱管の内部に腐食防止具を挿入している状態の説明図である。
図12図12は、同実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法の説明図であって、各斜材に腐食防止具を設置した状態の説明図である。
図13図13は、本発明の他実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法の説明図であって、支柱管の内部に腐食防止具を挿入している状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る鉄塔部材の防腐工法(以下、防腐工法とする)について添付図面を参照しつつ説明を行う。
【0024】
本実施形態に係る防腐工法は、鉄塔部材の内部における錆の発生を抑えることによって、該鉄塔部材の腐食を防止する鉄塔部材の防腐工法に関する。また、防腐工法では、鉄塔部材の内部を乾燥させるための送風装置と、鉄塔部材の内部における錆の発生を抑える防食剤を配置するための腐食防止具とが用いられる。まず、鉄塔と、送風装置と、腐食防止具とについて説明する。
【0025】
図1に示すように、鉄塔1は、地面に設けられた基礎部Bから延出する複数の主柱材10と、隣り合う主柱材10のそれぞれに架け渡される複数の水平材11と、該水平材11を支持する複数の斜材12と、を有する。すなわち、本実施形態に係る鉄塔1は、骨組みとなる鉄塔部材として、複数の主柱材10と、複数の水平材11と、複数の斜材12と、を有する。なお、本実施形態において、図1には、二つの主柱材10と、一つの水平材11と、二つの斜材12とを図示している。また、本実施形態では、鉄塔部材のうちの斜材12に対して腐食を防止するための処置を施すことを前提に以下の説明を行うこととする。
【0026】
各主柱材10は、基礎部Bに埋設される基端部を有する。本実施形態に係る鉄塔1では、各主柱材10の基端部のそれぞれが、高さの異なる地面に設けられた基礎部Bに埋設される。基礎部Bは、コンクリートによって構成される。
【0027】
各水平材11は、隣り合う主柱材10のそれぞれに架け渡される。
【0028】
各斜材12は、筒状であり、且つ両端の開口が閉塞された支柱管120を有する。また、図2、及び図11に示すように、斜材12は、内部と外部とを連通する連通口121を有する。さらに、本実施形態に係る各斜材12は、連通口121を密閉する密閉部材122を有する。
【0029】
図1に示すように、本実施形態に係る各斜材12では、支柱管120の少なくとも一方の端部に対して、水平材11に連結可能な連結部123が設けられる。なお、本実施形態に係る支柱管120は、一方の端部が連結部123を介して水平材11に連結され、他方の端部が基礎部Bに埋設されているが、連結部123は、支柱管120の両端部に対して設けられている。そのため、支柱管120は、両端の開口が連結部123によって閉塞されている。
【0030】
斜材12は、支柱管120の一方の端部を支柱管120の他方の端部よりも上方に配置した状態において設置される。
【0031】
支柱管120は、二つの管材120aを有する。各管材120aは、筒状の筒部120bと、該筒部120bの中心線方向における一方の端部に接続されるフランジ部120cと、を備える。
【0032】
一方の筒部120bの他方の端部は、支柱管120の一方の端部を構成する。他方の筒部120bの他方の端部は、支柱管120の他方の端部を構成する。そのため、本実施形態に係る斜材12では、一方の筒部120bにおける他方の端部の開口が連結部123によって閉塞され、他方の筒部120bにおける他方の端部の開口が連結部123によって閉塞される。
【0033】
各管材120aにおいて、フランジ部120cは、筒部120bの一方の端部の外周全周から該筒部120bの径方向外方向に向けて延出する。各支柱管120において、フランジ部120cは、周方向に間隔をあけて形成される複数の連結穴(図示しない)を有する。そのため、二つの管材120aは、それぞれのフランジ部120cを突き合わせた状態において、互いに連結可能である。
【0034】
なお、各斜材12において、支柱管120は、二つの管材120aを互いに連結する中継管120dを備えていてもよい。中継管120dは、筒状の中継筒部120eと、該中継筒部120eの中心線方向における各端部に形成される鍔部120fと、を備える。
【0035】
そのため、各斜材12の支柱管120は、中継管120dを備える場合、一方の管材120aのフランジ部120cが中継管120dの一方の鍔部120fに連結され、他方の管材120aのフランジ部120cが中継管120dの他方の鍔部120fに連結される。
【0036】
本実施形態に係る鉄塔1において、一方の斜材12の支柱管120は、二つの管材120aが中継管120dを介して互いに連結される。そして、他方の斜材12の支柱管120は、二つの管材120aが直接的に連結される。すなわち、一方の斜材12の支柱管120は、他方の斜材12の支柱管120よりも長い。
【0037】
図2、及び図11に示すように、各斜材12における一対の連結部123のそれぞれは、水平材11に連結可能な本体部123aと、該本体部123aと支柱管120の開口端縁との間を塞ぐ閉塞板123bとを有する。連通口121は、一方の連結部123の閉塞板123bに形成される。
【0038】
密閉部材122は、連通口121に挿し込まれる挿込部124であって、連通口121に挿し込まれる方向において貫通する挿込穴124aを含む挿込部124と、該挿込部124に挿入される密栓125であって、挿込部124に挿入される方向において貫通する固定穴125aを含む密栓125とを有する。
【0039】
挿込穴124aの穴径は、送風管21の外径よりも大きいことが好ましい。すなわち、挿込部124は、挿込穴124aに送風管21が挿通された状態において、内周部と、送風管21の外周部との間に隙間が形成されることが好ましい。
【0040】
挿込部124は、筒状の挿込部本体124bであって、外周全周が閉塞板123bの連通口121を画定する部分に対して密接する挿込部本体124bと、該挿込部本体124bの中心線方向における一方の端部に形成される止部124cであって、該挿込部本体124bの外周全周から径方向外方向に向けて延出する止部124cとを有する。
【0041】
挿込穴124aは、挿込部本体124bと、止部124cとに亘って貫通する。上述のように、止部124cは、挿込部本体124bの外周全周から径方向外方向に向けて延出する。また、止部124cの外径は、連通口121の穴径よりも大きい。従って、挿込部124では、挿込部本体124bが連通口121に挿し込まれると、止部124cが閉塞板123bに当接する。
【0042】
密栓125は、筒状の挿入部125bであって、外周全周が挿込部124の内周(挿込部本体124bの内周、及び止部124cの内周)に密接する挿入部125bと、該挿入部125bの中心線方向における一方の端部に形成される頭部125cであって、該挿入部125bの外周全周から径方向外方向に向けて延出する頭部125cとを有する。
【0043】
固定穴125aは、挿入部125bと、頭部125cとに亘って貫通する。頭部125cの外径は、挿込穴124aの穴径よりも大きい。そのため、密栓125では、挿入部125bが挿込部124の挿込穴124aに挿し込まれると、頭部125cが止部124cに当接する。
【0044】
さらに、密栓125は、挿入部125bが挿込部124の挿込穴124aに挿入した状態を維持できるように構成される。より具体的に説明する。挿込部124の内周(挿込部本体124bの内周と止部124cの内周)には、雌ねじが形成される。すなわち、挿込穴124aは、ねじ穴である。そして、密栓125の挿入部125bの外周には、挿込穴124aの雌ねじに螺合する雄ねじが形成される。従って、密栓125では、挿込穴124aに挿入部125bを螺合させることができる。これにより、密栓125は、挿込部124に対して着脱可能に構成される。
【0045】
図3に示すように、送風装置2は、気体を送り出す送風機20と、該送風機20からの気体が流入する少なくとも一つ(本実施形態では、二つ)の送風管21と、を備える。また、送風装置2は、送風機20に電力を供給する発電機22を備える。さらに、本実施形態に係る送風装置2は、送風機20と各送風管21とを接続する接続部23を備える。そして、送風装置2は、各送風管21に取り付けられる金属製のキャップ部24を備える。
【0046】
本実施形態に係る送風装置2は、二つの送風管21を備える。各送風管21は、長尺である。また、各送風管21は、柔軟性を有する。各送風管21は、接続部23に接続される基端と、該基端とは反対側の先端とを有する。さらに、各送風管21は、長手方向における距離を測定可能な目盛り210を有する。
【0047】
目盛り210は、送風管21の先端を基準として、送風管21の長手方向における距離を測定可能である。そのため、送風装置2では、目盛り210によって、送風管21の支柱管120に対する挿入量を把握することができる。
【0048】
各送風管21は、それぞれの長さが異なる。すなわち、一方の送風管21は、他方の送風管21よりも長い。
【0049】
接続部23は、送風機20に流体的に接続される接続管230と、該接続管230を介して送風機20につながる分岐部231と、を有する。
【0050】
接続管230は、長尺である。また、接続管230は、柔軟性を有する。
【0051】
分岐部231は、二つの送風管21を接続管230に対して流体的に接続する。そのため、送風装置2では、送風機20から接続管230に注入された気体が分岐部231を介して各送風管21に送り込まれる。すなわち、分岐部231は、送風機20から接続管230に注入された気体を各送風管21に分岐させる。なお、送風装置2が一つの送風管21を備える場合、分岐部231は、該一つの送風管21を接続管230に対して流体的に接続する。
【0052】
キャップ部24は、金属製である。キャップ部24は、筒状である。キャップ部24の内部には、送風管21の先端が挿し込まれる。キャップ部24の中心線方向における一方の端部は、送風管21の先端に対応するように配置される。さらに、キャップ部24の一方の端部は、丸みを帯びている。
【0053】
図4に示すように、腐食防止具3は、支柱管120の内部における錆の発生を抑える防食剤(例えば、気化防錆剤や、乾燥剤)を収容する少なくとも一つの収容部30と、該収容部30に繋がれる接続具31とを備える。
【0054】
本実施形態に係る腐食防止具3は、複数の収容部30を備える。各収容部30は、防食剤を収容可能なケース300であって、開口(図示しない)を有するケース300と、該ケース300に接続具31を接続するための接続環301とを有する。なお、ケース300は、開口を開閉可能なカバーを有することが好ましい。このようにすれば、ケース300に収容した防食剤が開口を通じてケース300外に漏れ出すことを防止できる。また、本実施形態に係るケース300は、メッシュ状に形成されることによって、内部と外部との通気性が確保されている。
【0055】
ケース300は、一方向に延びる。そして、ケース300の長手方向における各端部には、別々の接続環301が取り付けられる。すなわち、収容部30は、一方向において並ぶ一対の接続環301を有する。
【0056】
接続具31は、単一の収容部30に繋がれる固定用接続具310を有する。また、接続具31は、収容部30を別の収容部30に繋ぐための複数の中間接続具311を有する。
【0057】
固定用接続具310は、柔軟性を有し且つ長尺な固定ライン310aと、該固定ライン310aの長手方向における一端部に取り付けられ且つ収容部30の接続環301に着脱可能な着脱部310bとを有する。
【0058】
各中間接続具311は、柔軟性を有し且つ長尺な連結ライン311aと、該連結ライン311aの長手方向における各端部に取り付けられ且つ収容部30の接続環301に着脱可能な一対の装着部311bとを有する。
【0059】
本実施形態に係る防腐工法では、図5に示すように、送風装置2と、腐食防止具3とに加えて、鉄塔部材の連通口121に挿入するガイド部材4をさらに用いる。以下、ガイド部材4について説明する。
【0060】
図5、及び図8(a)、図8(b)に示すように、ガイド部材4は、筒状の案内管部40と、該案内管部40の中心線方向における一端から延出するテーパー部41とを有する。さらに、本実施形態に係るガイド部材4は、案内管部40内に配置される少なくとも一つの保護管42を有する。
【0061】
案内管部40は、斜材12の連通口121に挿通される。本実施形態に係る案内管部40は、挿込部124を介して連通口121に挿通される。案内管部40の内径は、送風管21の外径よりも大きい。すなわち、案内管部40は、内部に挿通された送風管21との間に隙間が形成されるように構成される。
【0062】
案内管部40の長さは、挿込穴124aの中心線方向における挿込部124の長さよりも大きい。そのため、案内管部40は、挿込穴124aに挿通した状態において、一部が挿込部124から露出する。
【0063】
テーパー部41は、案内管部40から離れるほど、内径が大きくなっている。また、テーパー部41は、柔軟性を有する。そのため、テーパー部41は、折り畳むことによって、挿込部124の挿込穴124aに挿入できる状態になり、全体が支柱管120内に配置されたときに形状が復帰する。
【0064】
本実施形態に係るガイド部材4は、複数の保護管42を有する。各保護管42は、案内管部40内に固定される。なお、保護管42は、案内管部40とテーパー部41とに跨って配置されているが、案内管部40内のみに配置されていてもよい。
【0065】
本実施形態に係る鉄塔1と、送風装置2と、腐食防止具3と、ガイド部材4とは、以上の通りである。続いて、防腐工法について添付図面を参照しつつ説明を行う。
【0066】
本実施形態に係る防腐工法は、密栓125が取り外されている連通口121から支柱管120の内部に気体を注入することによって、支柱管120の内部を乾燥させる乾燥工程と、腐食防止具3の収容部30を連通口121から支柱管120の内部に挿入する挿入工程と、乾燥工程、及び該挿入工程のそれぞれを行った後に、支柱管120の連通口121を密栓125によって密閉する密閉工程とを備える。
【0067】
より具体的に説明する。図6に示すように、本実施形態に係る防腐工法では、乾燥工程を行うにあたり、斜材12における支柱管120の各開口を閉塞する一対の閉塞部123のうちの何れか一方の閉塞部123(一方の閉塞部123の閉塞板123b)に連通口121を形成する準備工程を備える。
【0068】
斜材12は、上述のように、支柱管120の一方の端部を支柱管120の他方の端部よりも上方に配置した状態で設置されるため、準備工程では、支柱管120の一方の端部を閉塞する閉塞板123bに連通口121を形成する。
【0069】
このように、閉塞板123bに連通口121を形成することによって、支柱管120の強度が低下することを抑えつつ、支柱管120内に対して作業を行えるようにしている。
【0070】
本実施形態に係る準備工程では、二つの斜材12のそれぞれにおいて、支柱管120の一方の端部を閉塞する閉塞板123bに連通口121を形成する。
【0071】
さらに、本実施形態に係る準備工程では、連通口121に密閉部材122の挿込部124を取り付ける。より具体的に説明する。図7に示すように、連通口121に挿込部本体124bを挿入し、止部124cを閉塞板123bに当接させる。これにより、挿込部124が閉塞板123bに取り付けられる。なお、閉塞板123bに挿込部124を固定するには、例えば、挿込部本体124bの外周に接着剤を塗布した後に、該挿込部本体124bを連通口121に挿し込めばよい。このようにすれば、接着剤によって、挿込部本体124bの外周と閉塞板123bの連通口121を画定する部分とが互いに接着される。また、閉塞板123bに挿込部124を固定できれば、例えば、挿込部本体124bを連通口121に圧入してもよい。
【0072】
本実施形態では、二つの斜材12のそれぞれにおいて、連通口121に挿込部124を取り付ける。
【0073】
そして、乾燥工程では、図8(a)、及び図8(b)に示すように、送風管21を挿込部124及びガイド部材4を介して送風管21を連通口121から支柱管120の内部に挿入する。
【0074】
より具体的に説明する。まず、乾燥工程では、ガイド部材4を挿込部124の挿込穴124aに挿入する。テーパー部41は、柔軟性を有するため、折り畳まれた状態で挿込部124の挿込穴124aに挿入される。そして、テーパー部41全体が支柱管120内に配置されることによって、該テーパー部41の形状が復帰する。これにより、テーパー部41が支柱管120内に配置され、案内管部40が挿込部124の挿込穴124a内に配置される。
【0075】
そして、送風管21の先端から案内管部40に挿通する。すなわち、送風管21をキャップ部24が取り付けられている端部から案内管部40に挿通する。
【0076】
さらに、送風管21の先端を支柱管120の他方の端部と対応する位置に配置する。本実施形態では、送風管21を先端(キャップ部24が取り付けられている端部)から挿込穴124aに挿通するため、該キャップ部24の重みによって、送風管21の先端を容易に支柱管120の他方の端部と対応する位置に移動させることができる。
【0077】
また、キャップ部24の一方の端部は、上述のように、丸みを帯びているため、送風管21を支柱管120の一方の端部に対応する位置から他方の端部に対応する位置に移動させるにあたり、支柱管120の内部にキャップ部24の一方の端部が引っ掛かることが抑えられる。従って、送風管21を支柱管120内において円滑に移動させることができる。
【0078】
本実施形態に係る乾燥工程では、図9に示すように、一方の斜材12の支柱管120には、一方の送風管21を挿入する。そして、他方の斜材12の支柱管120には、他方の送風管21を挿入する。すなわち、支柱管120の長さに対応する長さの送風管21を選んだうえで、該支柱管120に該送風管21を挿入する。このようにして、本実施形態に係る乾燥工程では、一方の送風管21から送り出される気体によって、一方の斜材12の支柱管120内を乾燥させ、他方の送風管21から送り出される気体によって、他方の斜材12の支柱管120内を乾燥させる。
【0079】
発電機22から送風機20に電力を供給して送風機20を作動させると、送風機20から送り出された気体は、接続管230に流入した後に分岐部231を介して各送風管21に流入する。
【0080】
上述のように、送風管21の一方の端部は、支柱管120の他方の端部に対応する位置に配置されるため、外部と連通しない支柱管120の他方の端部側から外部と連通する一方の端部側へ向けて気体を流すことができる。そして、支柱管120の一方の端部側に流れた気体は、各保護管42から支柱管120の外部に排出される。
【0081】
従って、乾燥工程では、支柱管120の他方の端部側に注入した気体によって、支柱管120の内部の気体を円滑に排出することで、支柱管120の内部を効率良く乾燥させることができる。
【0082】
このとき、図10(a)、及び図10(b)に示すように、送風管21から支柱管120内に気体を送り出しながら、該送風管21の先端の位置を支柱管120の一方の端部側にずらす。本実施形態では、送風管21の先端の配置位置を支柱管120の一方の端部側にずらした後に、所定時間の間、送風管21の先端を留める。そして、所定時間が経過した後に、送風管21の先端の配置位置を支柱管120の一方の端部側にさらにずらし、再度、所定時間の間、送風管21の先端を留める。この作業を送風管21の先端が支柱管120の一方の端部に対応する位置に到達するまで繰り返す。
【0083】
すなわち、支柱管120の他方の端部に対応する位置に配置した送風管21を支柱管120の内部から取り出すときに、送風管21の位置を支柱管120の一方の端部側にずらすことと、送風管21を支柱管120一方の端部側にずらした状態で留めることとを繰り返す。このように、本実施形態に係る乾燥工程では、送風管21に対する支柱管120からの引き出し操作を断続的に行うことによって、支柱管120から送風管21を取り出す。
【0084】
従って、乾燥工程では、支柱管120の長手方向における各位置において、気体を送り出している送風管21を所定時間の間留めることによって、支柱管120内を乾燥させる。
【0085】
そして、一方の斜材12において、一方の送風管21の先端が支柱管120の一方の端部に対応する位置に到達した後に、該一方の送風管21をガイド部材4から引き抜く。他方の斜材12においても同様に、他方の送風管21の先端が支柱管120の一方の端部に対応する位置に到達した後に、該他方の送風管21をガイド部材4から引き抜く。そして、各斜材12の支柱管120からガイド部材4を引き抜く。
【0086】
挿入工程では、腐食防止具3の各収容部30を順に挿込穴124aから支柱管120内に挿入し、各収容部30が支柱管120の長手方向において互いに間隔をあけて並んだ状態にする。
【0087】
そして、図11に示すように、密栓125によって接続具31を閉塞板123bに対して着脱可能に固定する。より具体的に説明する。接続具31を閉塞板123bに着脱可能に固定するにあたり、接続具31の固定ライン310aの他端を密栓125の固定穴125aに挿通する。
【0088】
そして、連結ライン311aの他端を密栓125に固定する。連結ライン311aの他端を密栓125に固定するには、例えば、連結ライン311aの他端を挿通した固定穴125aの内部にシーリング剤を注入すればよい。そして、挿入部125bを挿込穴124aに螺合させる。従って、挿込部124と密栓125とによって、連結ライン311aが閉塞板123bに対して着脱可能に固定される。
【0089】
これにより、斜材12の支柱管120内が湿潤になることによる錆の発生が抑えられ、斜材12の腐食が防止される。
【0090】
本実施形態に係る挿入工程では、図12に示すように、一方の斜材12の支柱管120と、他方の斜材12の支柱管120とに対して、別々の腐食防止具3を設置する。
【0091】
以上のように、本実施形態に係る防腐工法によれば、鉄塔部材である斜材12の支柱管120の内部と外部とを連通する連通口121が形成されるため、該連通口121を介して該支柱管120の内部に対する作業を行うことができる。さらに、本実施形態に係る防腐工法では、閉塞板123bに連通口121を形成するため、支柱管120の強度が低下することを抑えつつ、支柱管120内に対して作業を行える状態にすることができる。
【0092】
乾燥工程では、連通口121から支柱管120の内部に気体を注入することによって、該支柱管120の内部を乾燥させるため、支柱管120の内部を錆が発生し難い状態にすることができる。
【0093】
本実施形態において、ガイド部材4の案内管部40と、送風管21の外周部との間には隙間が形成されるため、送風管21から支柱管120内に気体を送り出すとともに、該隙間から排出することによって、支柱管120の内部の気体を円滑に排出することができる。従って、防腐工法では、支柱管120の内部を効率良く乾燥させることができる。
【0094】
さらに、乾燥工程では、支柱管120の他方の端部に対応する位置に配置した送風管21によって、支柱管120の内部に気体を注入するため、外部と連通しない支柱管120の他方の端部側から外部と連通する一方の端部側へ向けて気体を流すことができる。そして、支柱管120の一方の端部側に流れた気体は、各保護管42から支柱管120の外部に排出される。
【0095】
従って、乾燥工程では、支柱管120の他方の端部側に注入した気体によって、支柱管120の内部の気体を円滑に排出することによって、支柱管120の内部を効率良く乾燥させることができる。
【0096】
また、乾燥工程では、支柱管120の他方の端部に対応する位置に配置した送風管21を支柱管120の内部から取り出すときに、送風管21の位置を支柱管120の一方の端部側にずらすことと、送風管21を支柱管120の一方の端部側にずらした状態で留めることとを繰り返す。そのため、送風管21を支柱管120の内部から取り出すときに、支柱管120の両端の間の各位置において、送風機20で発生させた気体を送り出している送風管21を留めることで、支柱管120の内部全体を気体に曝し易くすることができる。従って、支柱管120の内部をより確実に乾燥させることで、支柱管120の内部における錆の発生をより確実に抑えることができる。
【0097】
そして、本実施形態に係る送風装置2は、キャップ部24の一方の端部が丸みを帯びているため、送風管21を支柱管120の一方の端部に対応する位置から他方の端部に対応する位置に移動させるにあたり、支柱管120の内部にキャップ部24の一方の端部が引っ掛かることが抑えられる。従って、本実施形態に係る防腐工法では、送風管21を支柱管120内において円滑に移動させることができる。
【0098】
本実施形態に係る挿入工程では、支柱管120の内部における錆の発生を抑える防食剤を収容する少なくとも一つの収容部30を備える腐食防止具を連通口121から支柱管120の内部に挿入するため、収容部30内に挿入した収容部30内の防食剤によって支柱管120の内部における錆の発生が抑えられ、これにより、鉄塔部材である斜材12の腐食が防止される。
【0099】
本実施形態に係る挿入工程では、それぞれが支柱管120の長手方向に並んで互いに連結される複数の収容部30を挿込部124の挿込穴124a及び密栓125の固定穴125aから支柱管120の内部に挿入するため、支柱管120の内部で複数の収容部30のそれぞれを長手方向に並べることによって、支柱管120の長手方向における全長に亘って錆の発生を抑え易くなる。これにより、鉄塔部材である斜材12の腐食がより確実に防止される。
【0100】
また、本実施形態に係る防腐工法では、複数の収容部30のそれぞれが接続具31を介して密栓125に接続されるため、支柱管120の連通口121を密栓125で密閉するに伴って各収容部30が支柱管120に固定され、支柱管120を連通口121から取り外すに伴って各収容部30が支柱管120から取り外される。従って、支柱管120に対する各収容部30の固定と取り外しとを容易に行うことができるため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0101】
さらに、防腐工法では、乾燥工程、及び挿入工程のそれぞれを行った後に、支柱管120の連通口121を密栓125によって密閉する密閉工程を行うため、連通口121を通じて支柱管120の内部に水分が進入することを抑えることができる。従って、支柱管120の内部の乾燥した状態をより確実に維持することができるため、支柱管120の内部における錆の発生がより確実に抑えられる。
【0102】
以上のように、鉄塔部材の防腐工法は、両端が閉塞されている鉄塔部材の内部に対して、腐食を防止するための処置を施すことができる。
【0103】
なお、本発明に係る防腐工法は、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0104】
上記実施形態に係る防腐工法では、両端の開口が閉塞された斜材12を作業対象としていたが、この構成に限定されない。例えば、両端の開口が閉塞された主柱材10や、水平材11を作業対象としてもよい。
【0105】
また、防腐工法では、支柱管120の一方の端部が連結部123によって水平材11に連結され、支柱管120の他方の端部が基礎部Bに埋設される斜材12(いわゆる、根巻きされた斜材12)を作業対象としていたが、例えば、支柱管120の両端部のうちの何れか一方の端部が、支柱管120の両端部のうちの何れか他方の端部よりも上方に配置された状態で設置されている斜材12であれば、支柱管120の各端部が別々の主柱材10に連結される斜材12や、支柱管120の両端部のうちの何れか一方の端部が水平材11に連結されるとともに、支柱管120の両端部のうちの何れか他方の端部が主柱材10に連結される斜材12を作業対象としてもよい。
【0106】
さらに、上記実施形態に係る防腐工法では、支柱管120の両端の開口が連結部123によって閉塞されている斜材12を作業対象としていたが、例えば、支柱管120の一方の端部のみが連結部123によって閉塞され、支柱管120の他方の端部(連結部123によって閉塞されていない端部)が基礎部Bに埋設されることによって閉塞されている斜材12を作業対象としてもよい。
【0107】
そして、上記実施形態に係る防腐工法では、長さの異なる二つの斜材12を作業対象としていたが、例えば、同じ長さの二つの斜材12を作業対象としてもよい。
【0108】
また、上記実施形態に係る防腐工法では、支柱管120と、該支柱管120の両端の開口を閉塞する部材である連結部123とが別体の斜材12を作業対象としていたが、例えば、支柱管120と、該支柱管120の両端の開口を閉塞する部材とが一体的である斜材12(例えば、支柱管120の両端を扁平状に圧縮することによって開口を閉塞した斜材12)を作業対象としてもよい。
【0109】
上記実施形態において、密栓125では、挿入部125bと、頭部125cとに亘って貫通する固定穴125aが形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、密栓125は、挿入部125bの先端部に接続具31を接続することができれば、固定穴125aが形成されていなくてもよい。
【0110】
上記実施形態において、送風装置2は、二つの送風管21を備えていたが、この構成に限定されない。例えば、送風装置2は、一つの送風管21を備えていてもよいし、三つ以上の送風管21を備えていてもよい。また、送風装置2が複数の送風管21を備える場合、各送風管21は、それぞれの長さが異なっていてもよいし、それぞれの長さが同じであってもよい。
【0111】
上記実施形態において、各送風管21は、接続部23を介して送風機20に接続されていたが、この構成に限定されない。例えば、各送風管21は、送風機20に対して直接的に接続されていてもよい。すなわち、送風管21は、送風機20に対して直接的または間接的に接続されていればよい。
【0112】
上記実施形態において、キャップ部24では、一方の端部のみが丸みを帯びていたが、この構成に限定されない、例えば、キャップ部24では、他方の端部も丸みを帯びていてもよい。このようにすれば、送風管21を斜材12の支柱管120から引き出す際においても、キャップ部24が支柱管120の内部に引っ掛かることが抑えられる。
【0113】
上記実施形態において、腐食防止具3では、収容部30同士が中間接続具311によって接続されていたが、この構成に限定されない。例えば、腐食防止具3では、収容部30同士を接続してもよい。なお、上記実施形態では、支柱管120の長手方向において、複数の収容部30が等間隔で配置されていたが、支柱管120内に既に錆が発生している部分や、支柱管120内の錆が発生し易い部分の近傍の領域に複数の収容部30を集めて配置してもよい。
【0114】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、支柱管120において、二つの管材120aのフランジ部120cを直接的に連結する場合、二つの管材120aのフランジ部120cのそれぞれの間にシーリング剤(例えば、シリコン樹脂)を塗布し、さらに、防水性を有する帯状の防水部材を二つの管材120aのフランジ部120cのそれぞれに亘って巻き付けてもよい。このようにすれば、二つの管材120aのフランジ部120cの間から支柱管120内に水分が進入することが抑えられる。
【0115】
また、管材120aのフランジ部120cと中継管120dの鍔部120fとを連結する場合も同様に、フランジ部120cと鍔部120fとの間にシーリング剤(例えば、シリコン樹脂)を塗布し、さらに、防水性を有する帯状の防水部材をフランジ部120cと鍔部120fとに亘って巻き付けてもよい。このようにすれば、フランジ部120cと鍔部120fとの間から支柱管120内に水分が進入することが抑えられる。
【0116】
上記実施形態に係る防腐工法では、乾燥工程を行った後に、挿入工程を行っていたが、この構成に限定されない。例えば、防腐工法では、挿入工程を行った後に乾燥工程を行ってもよい。
【0117】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、準備工程は、斜材12を製造する際に行ってもよいし、作業現場に運搬した斜材12を組み立てる前に行ってもよいし、さらには、既設の斜材12に対して行ってもよい。すなわち、防腐工法では、乾燥工程、及び挿入工程が行われる前に、準備工程が行われていればよい。
【0118】
上記実施形態において、ガイド部材4は、複数の保護管42を有していたが、この構成に限定されない。例えば、ガイド部材4は、一つの保護管42を有していてもよい。さらに、ガイド部材4は、案内管部40と、該案内管部40との間に隙間を確保することができれば、保護管42を有していなくてもよい。
【0119】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、支柱管120の内部に水が溜まっている場合、乾燥工程では、支柱管120の内部に気体を注入するに先立ち、支柱管120の内部の排水を行ってもよい。
【0120】
さらに、上記実施形態において、準備工程では、連通口121を斜材12の連結部123(一方の連結部123の閉塞板123b)に形成していたが、この構成に限定されない。例えば、準備工程では、連通口121を支柱管120の側面に形成してもよい。
【0121】
なお、参考例として、両端が閉塞されていない支柱管120を有する鉄塔部材に対しての防腐工法について説明する。両端が閉塞されていない鉄塔部材としては、例えば、支柱管120が長手方向に複数連結された斜材12や、主柱材10が挙げられる。
【0122】
このような鉄塔部材に防腐工法を施す場合、準備工程として、連通口121を支柱管120の側面に形成し、該連通口121から支柱管120の内部に気体を流入し(乾燥工程)、該連通口121から腐食防止具3を支柱管120の内部に複数の収容部30が支柱管120の長手方向に並ぶように挿入し(挿入工程)、連通口121を接続具31が接続された密栓で密閉する(密閉工程)。このように施工することで、両端が閉塞されていない支柱管120を有する鉄塔部材に対しても防腐処理を施すことができる。
【0123】
上記実施形態において、挿入工程では、接続具31の固定ライン310aの他端を固定穴125aに挿通した状態で密栓125に固定していたが、この構成に限定されない。例えば、挿入工程では、図13に示すように、中実である密栓125の挿入部125bの先端に取り付けた連結具126に接続具31の固定ライン310aの他端を固定してもよい。
【符号の説明】
【0124】
1…鉄塔、2…送風装置、3…腐食防止具、4…ガイド部材、10…主柱材、11…水平材、12…斜材、20…送風機、21…送風管、22…発電機、23…接続部、24…キャップ部、30…収容部、31…接続具、40…案内管部、41…テーパー部、42…保護管、120…支柱管、120a…管材、120b…筒部、120c…フランジ部、120d…中継管、120e…中継筒部、120f…鍔部、121…連通口、122…密閉部材、123…連結部、123a…本体部、123b…閉塞板、124…挿込部、124a…挿込穴、124b…挿込部本体、124c…止部、125…密栓、125a…固定穴、125b…挿入部、125c…頭部、126…連結具、210…目盛り、230…接続管、231…分岐部、300…ケース、301…接続環、310…固定用接続具、310a…固定ライン、310b…着脱部、311…中間接続具、311a…連結ライン、311b…装着部、B…基礎部
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