特許第6792977号(P6792977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6792977旅行の複数要因ベースのランク付けのためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792977
(24)【登録日】2020年11月11日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】旅行の複数要因ベースのランク付けのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/14 20120101AFI20201119BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20201119BHJP
【FI】
   G06Q50/14
   G06Q30/02 480
【請求項の数】10
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-153430(P2016-153430)
(22)【出願日】2016年8月4日
(65)【公開番号】特開2017-41240(P2017-41240A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2019年8月5日
(31)【優先権主張番号】14/831,326
(32)【優先日】2015年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518359845
【氏名又は名称】コンデュエント ビジネス サービシーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】エリック・セレ
(72)【発明者】
【氏名】ステファニア・カステラーニ
(72)【発明者】
【氏名】ワシリーサ・ルウー
【審査官】 小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0305984(US,A1)
【文献】 特開2011−191997(JP,A)
【文献】 特表平09−511596(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/147056(WO,A1)
【文献】 特開2013−210752(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/023219(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅行を計画する際にユーザを支援するための方法において、
ユーザから旅行についての出発地及び到着地を指定する要求を受信することと、
プロセッサが
a)複数の輸送モードのそれぞれについてのユーザ嗜好、ユーザ目的及び必要に応じて旅行に関するユーザ制約を含む前記ユーザについてのユーザプロファイルにアクセスすることであり、前記ユーザ嗜好が、それぞれ、推定されたユーザ嗜好値と、規定された場合には規定されたユーザ嗜好値とを含み、前記ユーザ目的が、それぞれ、推定されたユーザ目的値と、規定された場合には規定されたユーザ目的値とを含むことと、
b)前記ユーザの制約を満たす前記出発地から前記到着地までの旅行について、前記複数の輸送モードの各セットをそれぞれ規定する候補旅程のセットを作成することと、
c)前記ユーザ嗜好のそれぞれについて、規定された場合には規定された嗜好値、及び、推定された嗜好値を集計し、嗜好重みを生成することと、
d)前記ユーザ目的のそれぞれについて、規定された場合には規定された目的値、及び、推定された目的値を集計し、目的重みを生成することと、
e)前記候補旅程のそれぞれについて、前記ユーザ目的のそれぞれについてのコストを計算することと、
f)前記候補旅程のそれぞれについて、嗜好重み、目的重み及び前記ユーザ目的のそれぞれについて計算されたコストに基づいて旅程をランク付けすることと、
前記旅行についての旅程を前記ユーザが選択するのを可能とするために前記ランク付けされた旅程の少なくともサブセットに関する情報を出力すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記ランク付けすることが、複数の目的関数の集計としての効用関数を計算することを含み、前記複数の目的関数が、
前記ユーザ目的のそれぞれについて、前記目的重み及びその目的についての前記候補旅程の各計算されたコストの関数である第1の目的関数と、
前記ユーザ嗜好のそれぞれについて、前記嗜好重み及び前記候補旅程に対する各輸送モードの計算された寄与の関数である第2の目的関数とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記輸送モードの各々の寄与が、その輸送モードの前記旅程における期間及び距離のうちの少なくとも一方の関数として計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記嗜好重みを生成するための前記規定された嗜好値及び前記推定された嗜好値の集計において、前記規定された嗜好値及び前記推定された嗜好値のうちの少なくとも一方の係数を計算することを含み、前記係数が、嗜好が最後に規定されてからの期間の関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザ目的の重みを生成するための前記規定された目的値及び前記推定された目的値の集計、前記規定された目的値及び前記推定された目的値のうちの少なくとも一方の係数を計算することを含み、前記係数が、前記ユーザ目的が最後に規定されてからの期間の関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ユーザ目的のそれぞれについてのコストを計算することが、前記ユーザ目的に関連した計算されたコスト値を一般的な範囲に投影することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザ目的が、フィットネス目的、コスト削減目的、時間節約目的及び環境影響目的から選択される目的を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
出発地から到着地までの旅行を計画するためのシステムにおいて、
複数のユーザのそれぞれについて、対応するユーザプロファイルを管理するプロファイルマネージャであり、前記ユーザプロファイルが、複数の輸送モードのそれぞれについてのユーザ嗜好、ユーザ目的及び必要に応じて旅行に関するユーザ制約を含み、前記ユーザ嗜好が、それぞれ、推定されたユーザ嗜好値と、規定された場合には規定されたユーザ嗜好値とを含み、前記ユーザ目的が、それぞれ、推定されたユーザ目的値と、規定された場合には規定されたユーザ目的値とを含む、プロファイルマネージャと、
旅行に関する前記ユーザの制約を満たす前記ユーザのいずれかによって要求された前記出発地から前記到着地までの旅行についての候補旅程のセットを作成する旅行プランナであり、前記候補旅程が、それぞれ、前記複数の輸送モードの各セットを規定する、旅行プランナと、
前記ユーザ嗜好のそれぞれについて、嗜好重みを生成するために規定された場合には規定された嗜好値と推定された嗜好値とを集計し、前記ユーザ目的のそれぞれについて、目的重みを生成するために規定された場合には規定された目的値と推定された目的値とを集計する集計コンポーネントと、
前記嗜好重み、目的重み及び前記ユーザ嗜好及びユーザ目的のそれぞれについて計算されたコストに基づいて前記候補旅程のそれぞれについて前記候補旅程をランク付けするランク付けコンポーネントと、
前記ユーザが前記旅行についての旅程を選択するのを可能とするために前記ランク付けされた旅程のうちの少なくともサブセットに関する情報を出力する表現生成器と、
前記プロファイルマネージャ、前記旅行プランナ、前記集計コンポーネント、前記ランク付けコンポーネント及び前記表現生成器を実装するプロセッサとを備える、システム。
【請求項9】
さらに、
前記ユーザに関連付けられた移動追跡器及び活動追跡器のうちの少なくとも一方から受信した情報、及び、
前記ユーザの選択した旅程の少なくとも一方に基づいて、前記ユーザの推定された嗜好及び推定された目的を更新する更新コンポーネントを備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
プロセッサによって、
出発地から到着地までの旅行についての複数の輸送モードのそれぞれについて嗜好値を規定することをユーザに提供することと、
旅行日程に使用される輸送モードが異なって寄与する複数の目的のそれぞれについて目的値を規定することを前記ユーザに提供することと、
必要に応じて、前記輸送モードのうちの少なくとも1つの制約を規定することを前記ユーザに提供することと、
前記ユーザについてのユーザプロファイルを生成することであり、前記ユーザプロファイルが、複数の輸送モードのそれぞれについてのユーザ嗜好、ユーザ目的及び旅行に関するユーザ制約を含み、前記ユーザ嗜好が、それぞれ、推定されたユーザ嗜好値と、規定された場合には規定されたユーザ嗜好値とを含み、前記ユーザ目的が、それぞれ、推定されたユーザ目的値と、規定された場合には規定されたユーザ目的値とを含み、前記推定されたユーザ目的値及び推定されたユーザ嗜好値が前のユーザの行動に基づいていることと、
前記ユーザ制約を考慮に入れて、前記出発地から前記到着地までの旅行について、候補旅程のセットを作成することと、
前記旅行についての前記候補旅程のそれぞれについて、前記候補旅程をランク付けすることであり、前記ランク付けすることが、前記規定された及び推定された嗜好並びに規定された及び推定された目的を考慮した効用関数と、各目的又は嗜好が最後に規定されてからの期間の関数として前記推定された目的及び推定された嗜好に重みをおく係数とを計算することを備えることと、
前記ユーザが前記旅行の旅程を選択することを可能にするための、前記ランク付けされた前記候補旅程のサブセットに関する情報を出力することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、旅行計画に関し、個人的な要因に基づいて旅行をランク付けするためのシステム及び方法に関連して特定の用途を見出す。
【背景技術】
【0002】
旅行計画における旅行者のサポートを提供することは、本研究の積極的領域となっている。システムは、旅行についての旅程を定義し、対応する輸送モードを選択するために旅行者を支援するように設計されている。しかしながら、そのようなシステムは、一般に、旅行者の集団についての仮定に基づく旅程を提案する。例えば、旅行者は、長いものよりも短い旅行を好むと仮定することができる。集団的旅行者の行動に関するデータは、同様の期間の旅程をランク付けするために使用することができる。例えば、ポイントAとBとの間を移動する多くの旅行者はバスよりも電車を使用することを判定することができる。
【0003】
しかしながら、旅行者は、旅行者のグループの集団行動とは異なる個々のニーズや嗜好を有することがある。ユーザの期待を満たさない旅程を提示すると、ユーザは、固有の興味があるものをみつけるために多数の可能な旅程を見直すように選択することができる。しかしながら、旅行者は、通常、異なる旅程を見直す大量の時間を消費したくなく、又は、それらの興味により良好に合う選択肢について知らされない。さらに、ユーザは、それらの個々の嗜好が旅程の選択にいかに影響を与えるべきであるかを認識していないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザ又はシステムの選択プロセスの複雑さを過度に増大させることなく、個々のユーザにパーソナライズされた旅行を計画する際にユーザを支援するためのシステム及び方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な実施形態の1つの態様によれば、旅行を計画する際にユーザを支援するための方法は、ユーザから旅行についての要求を受信することを含む。複数の輸送モードのそれぞれについてのユーザ嗜好、ユーザ目的及び必要に応じて旅行に関するユーザ制約を含むユーザについてのユーザプロファイルがアクセスされる。ユーザ嗜好は、それぞれ、推定されたユーザ嗜好値と、規定された場合には規定されたユーザ嗜好値を含む。ユーザ目的は、それぞれ、推定されたユーザ目的値と、規定された場合には規定されたユーザ目的値とを含む。候補旅程のセットが、それぞれがユーザの制約を満たす旅行について作成される。候補旅程は、それぞれ、複数の輸送モードの各セットを規定する。ユーザ嗜好のそれぞれについて、規定された場合には規定された嗜好値、及び、対応する推定された嗜好値が嗜好重みを生成するために集計される。ユーザ目的のそれぞれについて、規定された場合には規定された目的値、及び、推定された目的値が目的重みを生成するために集計される。候補旅程のそれぞれについて、目的のそれぞれについてのコストが計算される。候補旅程のそれぞれについて、旅程は、嗜好重み、目的重み及び目的のそれぞれについて計算されたコストに基づいてランク付けされる。ランク付けされた旅程の少なくともサブセットに関する情報は、旅行についての旅程をユーザが選択するのを可能とするために出力される。
【0006】
本方法のステップのうちの1つ以上は、プロセッサ装置によって実現されることができる。
【0007】
例示的な実施形態の他の態様によれば、旅行を計画するためのシステムは、複数のユーザのそれぞれについて、各ユーザプロファイルを管理するプロファイルマネージャを含む。ユーザプロファイルは、複数の輸送モードのそれぞれについてのユーザ嗜好、ユーザ目的及び必要に応じて旅行に関するユーザ制約を含む。ユーザ嗜好は、それぞれ、推定されたユーザ嗜好値と、規定された場合には規定されたユーザ嗜好値を含み、ユーザ目的は、推定されたユーザ目的値と、規定された場合には規定されたユーザ目的値とを含む。旅行プランナは、旅行に関するユーザの制約を満たすユーザのいずれかによって要求された旅行についての候補旅程のセットを作成する。候補旅程は、それぞれ、複数の輸送モードの各セットを規定する。ユーザ嗜好のそれぞれについて、集計コンポーネントは、嗜好重みを生成するために規定された場合には規定された嗜好値と推定された嗜好値とを集計し、ユーザ目的のそれぞれについて、目的の重みを生成するために規定された場合には規定された目的値と推定された目的値とを集計する。ランク付けコンポーネントは、嗜好重み、目的重み及び目的のそれぞれについて計算されたコストに基づいて候補旅程のそれぞれについて候補旅程をランク付けする。表現生成器は、ユーザが旅行についての旅程を選択するのを可能とするためにランク付けされた旅程のうちの少なくともサブセットに関する情報を出力する。プロセッサは、プロファイルマネージャ、旅行プランナ、集計コンポーネント、ランク付けコンポーネント及び表現生成器を実装する。
【0008】
例示的な実施形態の他の態様によれば、方法は、複数の輸送モードのそれぞれについての嗜好値を規定することをユーザに提供することと、旅程において使用される輸送モードが異なって寄与する複数の目的のそれぞれについての目的値を規定することをユーザに提供することを含む。必要に応じて、輸送モードのうちの少なくとも1つの制約を規定することをユーザに提供することを含む。必要に応じて、制約(例えば、車椅子使用)又は体力情報(例えば、年齢、体重、歩行速度)に影響を与える他の旅程を規定することをユーザに提供することを含む。ユーザについてのユーザプロファイルを生成し、ユーザプロファイルは、複数の輸送モードのそれぞれについてのユーザ嗜好、ユーザ目的及び必要に応じてユーザ制約を含み、ユーザ嗜好は、それぞれ、推定されたユーザ嗜好値と、規定された場合には規定されたユーザ嗜好値とを含み、ユーザ目的は、それぞれ、推定されたユーザ目的値と、規定された場合には規定されたユーザ目的値とを含む。推定されたユーザ目的値及び推定されたユーザ嗜好値は、前のユーザ行動に基づいている。旅行についての候補旅程のセットのそれぞれについて、候補旅程がランク付けされる。ランク付けは、規定された及び推定された嗜好並びに規定された及び推定された目的を考慮した効用関数と、各目的又は嗜好が最後に規定されてからの期間の関数としての推定された目的及び推定された嗜好についての重みをおく係数とを計算することを含む。ランク付けに基づく情報は出力される。
【0009】
本方法のステップのうちの1つ以上は、プロセッサ装置によって実行されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、例示的な実施形態の1つの態様にかかる旅行計画システムの機能ブロック図である。
図2図2は、例示的な実施形態の他の態様にかかる旅行計画方法を図示するフロー図である。
図3図3は、ユーザプロファイルを図示している。
図4図4は、図2の方法における例示的な効用関数における複数の目的関数の集計のための例示的な方法を図示している。
図5図5は、図4の方法における効用関数の計算をまとめたものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態の態様は、旅行を編成する際にユーザに関連する個人的要因のセットに基づいてユーザについての旅行計画をパーソナライズするシステム及び方法に関する。
【0012】
パーソナライズされた方法は、輸送モード、乗り換え回数、時間及び条件などの旅行変数のセットに関連したユーザの嗜好、目的及び制約などのユーザ基準のセットを考慮する。
【0013】
ユーザ基準のいくつかは、ユーザによって規定することができる。ユーザ基準のいくつかは、ユーザの前の行動に基づいてシステムによって推定(学習)することができる。システムはまた、例外的状況を処理するための特定のツールを提供することができる。
【0014】
図1を参照すると、旅行計画システム10は、動作環境において図示されている。システム10は、図2に図示する方法を実行するための命令14を記憶するメモリ12と、命令を実行するためにメモリと通信するプロセッサ16とを含む。1つ以上の入力/出力装置18、20は、システムがインターネットなどの有線又は無線接続28を介して図示されたクライアントコンピューティング装置22及び1つ以上のユーザ監視装置24、26などの外部装置と通信するのを可能とする。システム10は、図示されたサーバコンピュータ30などの1つ以上のコンピューティング装置によってホスティングされることができる。システムのハードウェアコンポーネント12、16、18、20は、データ/制御バス32によって通信可能に接続されている。
【0015】
システム10は、1つ以上の公共交通機関サービス(例えば、バス、トラム、電車、飛行機など)の経路計画、公共交通機関サービスについてのタイムスケジュール、徒歩、個人車両(例えば、自動車)及び/又は自転車などの自由旅行経路を計画するためのマップなどの旅行計画データ34へのアクセスを有する。旅行計画データ34は、1つ以上のローカル及び/又はリモートデータベースに記憶されることができ、及び/又は、1つ以上のウェブサイトを介してアクセス可能とすることができる。システム及び方法は、ローカル又はリモートメモリに記憶されることができるユーザプロファイル36を利用する。ユーザプロファイルは、個人の嗜好、個人の目的及び制約などの特定ユーザの基準に関する情報をモデリングする。
【0016】
システム10は、出発地点D及び到着地点Aを指定することができる所定のユーザについての旅行を計画するための要求40を入力として受信する。出発地点及び到着地点は、(例えば、出発地点がユーザの現在位置である場合には)地理位置情報、住所、地図上の地点、以前に特定された位置(例えば、「自宅」、「職場」)の識別子などの任意の適切な形式での入力とすることができる。要求40は、クライアント装置22によってホスティング又はアクセスされるモバイルデバイスアプリケーション42又はウェブアシスタント44によって生成されることができる。旅行計画システム10は、ユーザの嗜好、目的及び制約を考慮して、DからAへの旅行についての1つ以上の候補旅程46のリストを作成し、確認のためにユーザに対して最も高いランク付けされた旅程48のうちの1つ以上を出力することができる。
【0017】
図示された命令14は、同一又は異なるコンピューティング装置においてホスティングされることができるコンポーネント50、52、54、56、58、60のセットの観点で説明される。これらのコンポーネントは、プロセッサ装置16などのハードウェアによって実装されるソフトウェアの形態とすることができる。コンポーネントは、他のコンポーネント52、54、56、58、60の活動を監督する編成エンジン50を含む。
【0018】
プロファイルマネージャ52は、システムの各ユーザについてのユーザプロファイル36を維持(生成及び更新)し、要求された旅行40を計画するための情報を抽出するために現在のユーザプロファイル36にアクセスする。
【0019】
旅行プランナ54は、入力として、ユーザプロファイル36から抽出された制約情報62を受信し、出発地点及び到着地点が与えられると、指定された出発及び到着地点間の旅行を完成するために、旅行計画データ34にアクセスし、ユーザについての制約62を考慮して、候補旅程46及びそれらの対応する輸送モードのセットを計算する。各候補旅程は、予め定義された順序でしたがうべきセグメントのシーケンスを含み、各セグメントは、そのセグメントについて使用されることになる各輸送モード(並びに、必要に応じて、「YからYへのバス21」又はXからYへの8.15電車などの使用される特定車両に関する情報)及びセグメントの予測期間に関連付けられる。
【0020】
旅行プランナ54は、上述した米国特許出願第14/450,628号に記載されたものと同様に構成することができる。F.Roulland等、「公共交通機関運賃収集データからの移動ユーザの選択及び需要モデルの学習(Learning mobility user choice and demand models from public transport fare collection data)」、Intelligent Transport Systems、21st World Congress、2015年4月8日も参照のこと。理解されるように、旅行プランナ54は、「旅程は最短のX倍の時間を超えることができない」、「旅程はY回を超える乗り継ぎを有することができない」、「Z分を超えた徒歩/自転車の時間は除外される」などの候補旅程を識別するのに使用される内部制約及び基準のセットを有することができ、それらはその地域における旅行者についての平均の関数とすることができる。旅行プランナはまた、ユーザの嗜好や目的をより容易に収容することができるように、異なる輸送モードの範囲を使用して候補旅程を識別するように構成されてもよい。例えば、旅行プランナは、それらのうち、少なくとも2つ又は少なくとも3つ又は少なくとも4つの異なる輸送モードを含む候補旅程を提供することができる。旅程のうちの少なくとも1つ以上は、1つ以上又は全ての他の候補日程から輸送モードの異なる組み合わせ及び/又はシーケンスを使用することができる。旅程のうちの少なくとも1つ以上は、少なくとも2つ又は少なくとも3つの異なる輸送モードを利用することができる。それゆえに、(旅行プランナがその番号を識別することができると仮定して)少なくとも3つ又は少なくとも4つ又は少なくとも5つ又は少なくとも10個の候補旅程が旅行について生成されてもよい。
【0021】
集計コンポーネント55は、各嗜好重み又は目的重みを生成するために、候補旅程に関連する各目的及び嗜好、各目的又は嗜好についてのユーザの規定された及び推定された値を集計する。
【0022】
ランク付けコンポーネント56は、ユーザの目的64及び嗜好66についての計算された重み並びに目的についての計算コスト及び嗜好についての寄与に基づいて、候補旅程46をランク付けする。
【0023】
表現生成器58は、例えば、ユーザがスクロール又は他の方法で調べることができる1つ、2つ以上のトップランク付けされた旅程のセットの表現の形態で、トップランク付けされた旅程に関する情報48を生成する。情報48は、例えば、関連する表示装置68における表示によって及び/又はスピーカ装置を介して聴覚的にユーザへの提示のためにクライアント装置に送信される。データ取得コンポーネント60は、監視装置24及び26から並びにクライアント装置22から情報70を収集し、ユーザプロファイル36についての推定された嗜好及び目的を生成又は更新するために情報を使用する。
【0024】
コンピュータシステム10は、デスクトップ、ラップトップ、パームトップコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、サーバコンピュータ、携帯電話、タブレットコンピュータ、ポケットベル、それらの組み合わせ、又は、例示的な方法を実行するための命令を実行することができる他のコンピューティング装置などの1つ以上のコンピューティング装置30を含むことができる。
【0025】
メモリ12は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、磁気ディスク若しくはテープ、光ディスク、フラッシュメモリ又はホログラフィックメモリなどの任意の種類の持続性コンピュータ読み取り可能な媒体を表すことができる。1つの実施形態において、メモリ12は、ランダムアクセスメモリ及び読み出し専用メモリの組み合わせを備える。いくつかの実施形態において、プロセッサ16及びメモリ12は、単一チップに組み合わされることができる。メモリ12は、処理されたデータ36、46とともに、例示的な方法を実行するための命令を記憶する。
【0026】
ネットワークインターフェース18、20は、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)又はインターネットなどのコンピュータネットワークを介して他の装置とコンピュータが通信するのを可能とし、変調器/復調器(MODEM)、ルータ、ケーブル及び/又はイーサネット(登録商標)ポートを備えることができる。
【0027】
ディジタルプロセッサ装置16は、シングルコアプロセッサ、デュアルコアプロセッサ(又はより一般的にはマルチコアプロセッサ)、ディジタルプロセッサ及び協働数値演算コプロセッサ、ディジタルコントローラなどによって様々に具現化することができる。ディジタルプロセッサ16はまた、命令14の実行に加えて、コンピュータ30の動作を制御することができる。
【0028】
本願明細書において使用される用語「ソフトウェア」は、ソフトウェアの目的であるタスクを実行するためにコンピュータ又は他のディジタルシステムを構成するようにコンピュータ又は他のディジタルシステムによって実行可能な命令の任意の集合又はセットを包含するように意図される。本願明細書において使用される用語「ソフトウェア」は、RAM、ハードディスク、光ディスクなどの記憶媒体に記憶されたそのような命令を包含するように意図され、また、ROMなどに記憶されたソフトウェアであるいわゆる「ファームウェア」を包含するように意図される。そのようなソフトウェアは、様々な方法で編成することができ、ライブラリ、リモートサーバなどに記憶されたインターネットベースのプログラム、ソースコード、解釈コード、オブジェクトコード、直接実行可能コードなどとして編成されたソフトウェアコンポーネントを含むことができる。ソフトウェアは、特定の機能を実行するためにサーバ又は他の場所に存在する他のソフトウェアに対してシステムレベルコード又はコールを呼び出すことができることが想定される。
【0029】
図3に図示されるように、ユーザプロファイル36は、以下の情報の一部又は全てを含むことができる。
【0030】
1.嗜好情報66:異なる潜在的な輸送モードの使用及び乗り継ぎ回数に関連したユーザの嗜好。考えられる輸送モードは、例えば、場所において利用可能なモードに応じて、徒歩、(例えば、ユーザの個人車両による)運転、トラム、自転車、電車、飛行機及びボートの一部又は全てを含むことができる。輸送モードは、少なくとも1つの公共交通機関モード(例えば、バス、トラム、又は電車)と、少なくとも1つの個人輸送モード(例えば、自動車、自転車、徒歩)を含むことができる。輸送モードのうちの1つ以上は、ディーゼル又は電動バスなどの汚染CO生成を直接的又は間接的にもたらすモータによって電力供給されてもよい一方で、輸送の1つ以上のモードは、徒歩や自転車などの人力としてもよい。輸送モードのいくつかは、他のものよりも高い金銭的コストに関連付けられてもよく、例えば、バスは、電車よりも安くすることができるが、これはまた、特定旅行のチケット価格の関数であってもよい。
【0031】
モードの嗜好は、ユーザによって規定(規定された嗜好72)及び/又はシステムによって推定(推定された嗜好74)することができる。推定された嗜好74は、規定された嗜好72についてユーザから収集されたもの以外の情報単独に基づいて、システムによって計算されることができる。いくつかの実施形態において、規定された嗜好は、数学的又は他の評価法を使用して、例えば、(5が最も好ましく且つ0が最も好ましくない0〜5の評価などの)所定の数値範囲内の数値を使用して、ユーザによって規定されることができる。他の実施形態において、ユーザは、「私はトラムを使用することが好き」又は「私は本当にバスを使用することが好きではない」などのテキストの嗜好を提供することができ、それらは規定された嗜好についての対応する数値評価を特定するようにシステムによって処理される。推定された嗜好74は、ユーザによって行われる選択を反映し、ユーザの前の行動から導出される。これらは、システムによって計画された前の旅行についてユーザによって選択された輸送モード及び/又は監視装置24、26から収集されたデータから推定された追跡経路を含むことができる。それゆえに、規定された及び推定された嗜好は、例えば、0(「絶対にこれを行いたくない」)から5(「これを行うことが非常に好き」)の数値として、同じスケールで表現することができる。規定された及び推定された嗜好値の組み合わせは、候補旅程46の最も正確なリストを提示するために使用することができる。例えば、ユーザがバスを使用したくないことを宣言している場合には、バスを含む旅程は、可能な選択肢46のリストから除外することができる。しかしながら、ユーザは、バスを使用することは好きではないかもしれないが、それを使用することをなおも受け入れることができる。それゆえに、バスの選択肢は、候補旅程の中で表示されるが、他の旅程よりも低くランク付けされる可能性が高い。
【0032】
2.目的64:これらは、例えば所定期間にわたる身体的活動/フィットネスの増加、環境への影響の低減、時間の節約、金銭の節約の一部又は全てなどをユーザが有することができる規定された及び推定された目的(目的)76、78を含むことができる。規定された目的76について、多数の可能な目的がユーザに提供されることができ、各目的は、例えば、0から5などの所定の数値範囲内の数値としてモデル化することができる。ここで、0は、ユーザが目的の重要性を定義していないことを示し、1は、この目的が重要でないことを意味し、5は、目的がユーザにとって非常に重要であることを意味する。推定された目的78は、プロファイルマネージャ52によるユーザの目的の予測に基づいている。例えば、ユーザは、規定された目的76において高いランク付けが与えられている、(例えば、旅行の関数として排出されるCOを削減することによって)環境への影響を低減したいと宣言することができる。しかしながら、例えば移動追跡器24からシステムによって取得された情報は、彼女が自動車で旅行することを頻繁に選択することを示唆することがある。そのような場合には、プロファイルマネージャ52は、ユーザが環境影響低減に比べて時間節約に高い優先順位をおいていると推定することができる。そして、これは、彼女の推定された目的78に反映される。
【0033】
3.制約62:これらは、候補旅程46の特定に影響を与えるユーザの制約を含む。例としての制約は、ユーザが車椅子を利用すること、ユーザが運転免許証を有していないこと、又は、ユーザが階段を登ることができないこと、又は、ユーザがXメートル未満しか歩行しないこと、又は、それらの組み合わせを含むことができる。制約は、例えば、制約が存在しない場合には0、そうである場合には1など、ブール値として表すことができる。いくつかの実施形態において、規定された制約80のみが使用される。他の実施形態において、推定された制約82もまた生成されることができる。
【0034】
それゆえに、システム及び方法は、ユーザによって明示的に規定されることができるか及び/又はシステムによって経時的に学習されることができるユーザの一般的な嗜好66、及び、個人目的76又は嗜好の変化を定義することによって行動を変更するためのユーザの意思を考慮することができる。
【0035】
ユーザの規定された嗜好72に関して、ユーザは、嗜好の誘発に対して異なる態度を有することができる。一部のユーザは、自己の嗜好を明示的に宣言する意思がないかもしれない。例えば、サービスの質の向上など、そうすることに利点をみつけた場合には、他人は、嗜好の一部を表現する意思があるかもしれない。さらに他人は、徐々にであっても、そのプロファイルの規定された要素を完全に定義する意思があるかもしれない。異なるユーザの態度に対処するために、ユーザは、以下のような異なるプロファイル選択機構を提供することができる:(1)何ら自己のプロファイルを定義しない;(2)ユーザがそうすることを望む場合、その後に調整されることができる予め定義されたプロファイルにそれぞれ対応するステレオタイプ84のセットの中から選択する;及び(3)漸増的且つ動的にこれを行う可能性によって自己のプロファイルを定義する。そして、システムは、必要に応じて、規定された嗜好を使用し、それらの定義に変更があった場合にはそれらを変更する。
【0036】
ステレオタイププロファイル84は、ユーザが急いでいる、学生である、移動している又は視覚障害がある、訪問者であるなど、よく観察される状況に対応するプロファイルを予め定義することができる。予め定義された嗜好及び目的は、各ステレオタイプに関連付けられており、旅程ランク付けコンポーネント56は、規定された嗜好及び目的のためと同様に候補旅程をソートするために、これらの予め定義されたパラメータに依存することができる。ステレオタイププロファイル84は、例えば、予期しないイベントがユーザの現在の嗜好及び目的に大きな変化を誘導するが、ユーザが将来的に規定された嗜好及び目的に戻す計画である場合に、ユーザのプロファイルを定義するための開始点として又は特定の旅行の必要性に対応する例外的なプロファイルとして使用することができる。例えば、ユーザは、1日だけ急ぐことがあり、したがって、その日の予め定義された体力目的にしたがうことを希望しない場合がある。
【0037】
各ステレオタイププロファイル84は、予め定義された嗜好及び目的のセットであり、プロファイル及び/又は個々のステレオタイププロファイルのセットは、システムのユーザの集合的必要性に適合させることができる。ステレオタイプのいくつかは、一般に、例えば以下の可能な目的のセットに対応することができる。
【0038】
1.私は金銭を節約したい:ユーザの唯一の目的は、金銭を節約する(旅行のコストを可能な限り低減する)ことである。他の規定された目的は使用されず、嗜好は所定のデフォルト値である。
【0039】
2.私は時間を節約したい:ユーザの唯一の目的は、時間を節約する(旅行期間を可能な限り低減する)ことである。他の規定された目的は使用されず、嗜好は所定のデフォルト値である。
【0040】
3.私は身体的活動を増やしたい:ユーザの唯一の目的は、例えば自転車又は徒歩を使用することによって旅行中の身体的活動を増加させることである。他の規定された目的は使用されず、嗜好は所定のデフォルト値である(又は、例えば距離及び/又は旅程時間が閾値を超えている場合には、特定の条件下でのみ実施される)。
【0041】
4.私は環境への影響を低減したい:ユーザの唯一の目的は、実現可能である場合には他のものよりも低い環境への影響を有する輸送モードのサブセットを使用することによって環境への影響を低減することである。他の規定された目的は使用されず、嗜好は所定のデフォルト値である。
【0042】
一般的な状況に対応するステレオタイプもまた定義することができる:
【0043】
1.私は急いでいる:ユーザは、可能な限り速く移動することを意図している。これは、非常に重要であると考えられる目的「時間節約」を除き、使用されていない全ての規定された嗜好及び目的に変換される。全ての推定された目的は、1に設定されることができる。
【0044】
2.私は学生である:ユーザは、限られた資源を有するが、身体的にアクティブに滞在する意思があると考えられる。これは、「金銭節約」(例えば「非常に重要」と評価される)及び「身体的活動増加」(例えば、金銭を節約するよりも僅かに重要視されないと考えられることがあるため「重要」と評価される)という2つの規定された目的に変換される。嗜好は使用されず、推定された目的は1に設定されることができる。
【0045】
3.私は移動する障害者である:この場合、推定された嗜好とともに、全ての規定された目的及び嗜好は使用されない。推定された目的は1に設定されることができ、システムは、例えば「車椅子使用」などの制約を考慮して旅行プランナ54に対してその要求において送信するように構成される。
【0046】
図2は、図1のシステムによって実行することができる例示的なコンピュータ実装方法を図示している。本方法はS100から始まる。
【0047】
S102において、ユーザは、システムに登録されることができる。システムは、複数の輸送モードのそれぞれについてユーザに(直接的又は間接的に)嗜好値72を規定することを提供し、複数の目的のそれぞれについてユーザに(直接的又は間接的に)目的値76を規定することを提供し、それらは所定の旅程に使用される輸送モードが異なって寄与することがある。そして、ユーザは、(例えば、輸送モードのセットの1つ以上に対して)規定された嗜好72、規定された目的76及び必要に応じて候補旅程に使用可能な輸送モードを制限する制約80によって自己のプロファイルをインスタンス化するために使用することができる情報を提供する。ユーザは、ユーザの個人的な監視装置24、26に対するアクセスを与えることができ、及び/又は、体重、年齢などの候補旅程のランク付けに使用される他の情報を提供することができる。
【0048】
S104において、提供された情報に基づいて、プロファイルマネージャ52によってユーザについてプロファイル36が生成される。ユーザプロファイル36は、推定された嗜好の値と、嗜好がユーザによって規定された場合には嗜好のそれぞれについての規定された値とを含む。ユーザプロファイル36はまた、推定された目的の値と、目的がユーザによって規定された場合には目的のそれぞれについての規定された値とを含む。
【0049】
S106において、出発地点D及び到着地点Aによって旅行を計画するために登録されたユーザから旅行要求40が受信される。
【0050】
S108において、制約62がユーザプロファイル36から抽出される。具体的には、編成エンジン50は、ユーザのプロファイルから制約62を抽出するためにプロファイルマネージャ52を呼び出す。制約は、例えば、車椅子の必要性、又は、それらが0に設定されている場合には可能な輸送モードに関する嗜好などの明示的な要求とすることができる。例えば、自動車運転が0に設定された場合、これは、ユーザが輸送モードとして自動車を使用したくないことを意味する。そして、この嗜好は制約に変換される。
【0051】
S110において、DからAへの候補旅程46のリストが作成される。具体的には、編成エンジン50は、ユーザの制約62を考慮して、2地点間の少なくとも1つの(一般には少なくとも2つの)候補旅程46のセットを作成する旅行プランナ54を呼び出す。ユーザの制約を満たす旅行についての候補旅程の検索されたセットは、それぞれ、輸送モードの各セットを指定する。
【0052】
S112において、規定された及び推定された目的76、78並びに嗜好72、74が集計される。例えば、編成エンジン50は、例えば、規定された目的/嗜好が最後に設定されてから経過した時間86を考慮した規定された目的/嗜好係数(忘却因子)を組み込むことができる重み関数を使用して、各目的についての規定された及び推定された目的76、78及び各嗜好についての規定された及び推定された嗜好72、74を集計するためにプロファイルマネージャ52を呼び出す。
【0053】
S114において、候補旅程46は、特にS112においてユーザの集計された目的及び嗜好の出力の機能を最適化するために、ユーザプロファイル36に基づいてランク付けされる。例えば、編成エンジン50は、図4に関して以下にさらに詳細に概説されるように、ユーザの目的及び嗜好に応じて旅行プランナ54によって提案された候補旅程46のセットをランク付けするランク付けコンポーネント56を呼び出す。
【0054】
S116において、候補旅程の少なくとも1つのサブセット48は、提案された旅程としてユーザに提示される。システムはまた、良好にユーザの目的を促進する方法の観点で各旅程の表現を生成することができる。
【0055】
S118において、ユーザは、システムによって受信した提案された旅程のうちの1つの選択を行う。選択は、推定された目的及び嗜好78、74の後の計算のためにプロファイルマネージャ52によってメモリに記録される。
【0056】
S120において、システム10は、必要に応じて、選択した旅程についてのナビゲーション命令を提供することによってユーザを支援する。例えば、ナビゲーション命令が乗り継ぎを容易とするように設計される、Rehrl,K.等、「マルチモーダル旅行者支援:個人旅行仲間の設計及び原型実装(Assisting Multimodal Travelers:Design and Prototypical Implementation of a Personal Travel Companion)」、Intelligent Transportation Systems、IEEE Trans.on Intelligent Transportation Systems、vol.8、no.1、pp.31−42(2007年)を参照のこと。
【0057】
S122において、データ取得コンポーネント60は、必要に応じて、ユーザの実際の移動について記録されたデータを取得する。このデータ収集は、第三者アプリケーション(例えば、速度、加速度などに基づいてユーザによって使用される輸送モードを自動的に検出することができるユーザのスマートフォンにおける移動追跡アプリケーション24)又は専用装置(例えば、ユーザが自分で運ぶ歩数計などの活動追跡器26)のいずれかによって行うことができる。これらのデータソースは、(ユーザの選択した旅程に基づいて洗練されることができる)使用可能性の高い輸送モード、ユーザの地理位置情報、ユーザが毎日歩行したステップ数などのデータを推定して収集する。
【0058】
本方法はS104に戻り、プロファイルマネージャ52は、データ取得コンポーネントによって取得した記録されたデータ及び選択した旅程情報を使用して、ユーザの嗜好及び目的に関連する情報を推定し、必要に応じて、推定した嗜好/目的74、78を更新する。例えば、ユーザが旅行について自転車の使用を含む旅程を選択すると、プロファイルマネージャ52は、ユーザが実際に自転車を使用した場合を特定するために検出された輸送モードを使用することができる。ユーザがそのように行っていると推定される場合には、これは、自転車についての推定された嗜好を強化又は維持し、そうでない場合には、この推定された嗜好を弱める。忘却因子は、最近取得した情報に少なく重点をおくよりも最近取得した情報により多く重点をおくために推定された嗜好及び目的を更新する際に使用することができる。
【0059】
そして、システムは、ユーザからの新たな旅行要求を待機し(S106)、前のように進行することができる。
【0060】
本方法はS124において終了する。
【0061】
ここでシステム及び方法のさらなる詳細が記載される。
【0062】
目的及び嗜好値の集計(S112)
嗜好又は目的の規定された及び推定された値は、グローバル値を定義するために、例えば重み付けされた組み合わせで結合される。推定された嗜好/目的にしたがう重み(係数)は、より最近に規定された嗜好/目的が過去に規定された対応する値よりも正確であるという前提で時間とともに増加することができる。例えば、バスを使用するための所定の基準cについての集計値c(例えば、嗜好又は目的)は、
【0063】
【数1】
【0064】
などの規定された値cstated及び推定された値cinferredの関数又はその関数として集計することができる。ここで、推定された目的/嗜好の係数winferredは、基準(例えば嗜好)の値が最後に規定されてからの経過時間の非ゼロの増加関数とすることができ(例えば、winferredは、12か月にわたって最小から最大値まで(例えば、1から12まで又は0.5〜6)増加する値とすることができ、時間が経過するにつれて推定された嗜好に大きな重みをおく)、規定された目的/嗜好wstatedの係数は、経過時間の減少関数とすることができる。それゆえに、ユーザが自己の規定された嗜好のうちの1つ以上を変更した場合、対応する推定された嗜好の重みは、その最小値(例えば1)にリセットされる。推定された目的の重みはまた、ユーザが自己の目的のうちの1つ以上を規定した場合、その最小値(例えば1)にリセットされる。この機構は、システムが(まだ)有していない情報をユーザが有することができるという事実を反映する(例えば、ユーザは、自己の自動車が故障したこと又は今から複数の身体的活動に従事することを希望していることを知ることができる)。
【0065】
(少なくとも候補旅程において使用される輸送モードについての)集計された目的及び嗜好は、集計コンポーネント55によってランク付けコンポーネント56に出力される。
【0066】
候補旅程のランク付け(S114)
ユーザの嗜好及び目的のセットに基づく候補旅程46のセットのランク付けのために様々な方法が意図される。
【0067】
1つの実施形態において、各候補旅程について、基準(嗜好及び目的)のそれぞれのランキングの集計としてスコアが計算される。各基準のスコアは、例えば、(S112において計算された)基準の集計値と、例えば時間的に測定された候補旅程に対する基準の寄与の測定値との積などの関数とすることができる。例えば、旅程についてのスコアSitineraryは、n個の基準の全ての合計、(式1にしたがって計算された)基準の集計値c、(目的の場合)基準のユニットコストcost、及び/又は(例えば、時間的に測定される)候補旅程に対するその基準の寄与tの関数又はその関数として計算される。
【0068】
【数2】
【0069】
そして、候補旅程は、例えば、最も高いスコアを有するものが第1位にランク付けされるなど、それらのスコアに基づいてランク付けすることができる。
【0070】
式2に示されるような目的関数は、基準が異なるスケールを使用して測定することができることから実際に使用することは困難であり得る。例えば、環境への影響を低減するという目的のために、コストは、発生する一酸化炭素の観点で表現することができる一方で、フィットネス目的のために、それは消費カロリーの関数として表すことができる。それゆえに、全てのパラメータが互いに互換性があるという確信はない(例えば、旅行によって誘発される身体的活動及び汚染を比較して集計することを検討)。そのような場合、それぞれの考えられる基準において一連の評価者を作成するのを可能とするいくつかの目的関数が使用可能である:候補旅程は、フォームf(s)={γ1(s),γ2(s),・・・,γn(s)}の索引のセットとしてその後に評価される。ここで、sは、候補旅程であり、γi(s)は、i番目の基準においてsを評価するi番目の目的関数の結果である。グローバルランキングは、集計されたランクρを生成する。
【0071】
そして、いくつかの候補日程の比較は、以下のような様々なアプローチを使用して行うことができる:
【0072】
1.完全な優先順位を定義する単一関数(例えば、加重平均)における複数の目的関数の集計;
【0073】
2.実現可能なセットの探査とともに嗜好のプログレッシブ定義;
【0074】
3.n個の目的関数に関連するn個の完全な順位の積よりも強い部分順位の定義;
【0075】
4.不確実性及び無比の最大減少。
【0076】
例えば、Roy,B.、「複数の目的関数の問題及び方法(Problems and methods with multiple objective functions)」、Mathematical Programming、1(1):239−266 (1971年)を参照のこと。
【0077】
図4に図示されたランク付け方法において、ランク付けを洗練するプログレッシブ方法は、複数の目的関数の集計としての効用関数を計算するために使用される。これは、旅行プランナにより、出発地点から到達地点までの旅行を定義する要求に対する回答として返される候補旅程のセットに適用される。
【0078】
特に、本方法は、目的のそれぞれについて、集計された目的重み及びその目的についての候補旅程の各計算された(正規化された)コストの関数である第1の目的関数と、嗜好のそれぞれについて、集計された嗜好重み及び候補旅程に対するその嗜好についての各計算された寄与の関数である第2の目的関数とを集計することによって効用関数を計算する。輸送モードについての嗜好の場合、各寄与は、旅程における各輸送モードによる移動の全期間の関数として計算することができる。
【0079】
説明のための例として要求者の自宅から職場まで行くために以下の旅行が使用される。
A.午前7:15に自宅からスタート
B.自動車が位置する駐車場まで徒歩、午前7:25に到着
C.駅まで運転、午前7:40に到着して自動車を駐車する
D.電車に乗り、午前7:50に繁華街に到着
E.午前7:52にトラムに乗り、午前8:00に目的駅に到着
F.職場まで歩き、午前8:07に到着
【0080】
本例における自宅から職場へのこの旅行は、(シーケンスの順序で)以下の輸送モードの組み合わせである:徒歩、自動車、電車、トラム及び徒歩
【0081】
図4に図示されるように、簡略的には、ランク付けプロセスは、候補旅程の要約(S202)、目的についてのコスト計算(S204)、コストの正規化(S206)、目的のランク付け(S208)、目的のランク付けの前、最中又は後に起こり得る嗜好のランク付け(S210)、及び、嗜好上のランク付け及び目的のランク付けに基づくグローバルランク付け(S212)を含むことができる。
【0082】
要約
S202において、旅行プランナ54によって提供された候補セット46からの各候補旅程が要約される。具体的には、ランク付けコンポーネント56は、旅程に含まれる各輸送モードの期間/距離、その合計期間、及び、旅行の合計時間、及び、必要に応じて乗り継ぎの総数を計算する。このモード期間情報90は記憶される。例としての旅程を使用すると、情報90は、以下を含むことができる:
徒歩:18分、1.2km;
運転:15分、11km;
電車利用:10分、21km;
トラム利用:8分、1.7km;
総旅程期間:52分
【0083】
コスト計算
S204において、候補日程のそれぞれにおいて考慮された輸送モードのそれぞれによって誘発されるコスト94が各目的について計算される。コスト計算は、距離、期間及び輸送モードに依存することができる。各輸送モードについて、各目的について特定の式が定義されることができる。例えば、以下のとおりである:
【0084】
1.歩行時の消費カロリー=歩行距離*ユーザ体重(kg)*エネルギ因子。ユーザ体重は、ユーザの健康記録92から抽出することができるか又は集団の平均とすることができる。エネルギ因子は、歩行速度に依存する。例えば、Didier,J.−P.等、「若者及び高齢者の2つのグループにおける歩行時のエネルギコスト及び心肺応答(Energy cost and cardiorespiratory responses while walking in two groups of young and elderly people)」、Annales de Readaptation et de Medecine Physique、Vol.38、Issue 8、pp 475-480(1995年)を参照のこと。例えば、0.8m/sで歩行するとき、因子は、1.042kCal/kg/kmに等しい。歩行速度は、ユーザによる前の旅行又はより一般的な歩行中に活動追跡器26から導出することができ、健康記録92に記憶されているユーザの年齢に基づいて計算することができるか又は平均値とすることができ、又は、これらの因子の組み合わせを考慮することができる。
【0085】
2.運転時の消費カロリーは、各時間自然に燃焼した量の上において(例えば、時間あたり80kCalのベースライン)時間あたりおよそ50kCalであると仮定することができるか又はユーザの体重に基づいて計算されることができる。そのような情報は、知識ベース又はオンラインで利用可能な情報から得ることができる。例えば、https://www.exercise.com/activity/driving−carを参照のこと。
【0086】
3.椅子に座っているときはベースライン以上の余分なカロリーを消費しないことから、トラム、地下鉄又は電車によって輸送されるときの消費カロリーは、0に等しいと考えられる。
【0087】
4.排出されるCOは、燃料の種類に依存する。例えば、ディーゼル燃料は、消費リットルあたり2.6kgのCOを放出し、液化石油ガス(LPG)は、1.66kgを放出し、超無鉛ガソリンは、2.28kgのCOを放出する。そのような情報は、知識ベース又はオンラインで利用可能な情報から得ることができる。例えば、http://www.ecoscore.be/en/how−calculate−co2−emission−level−fuel−consumptionを参照のこと。燃料の種類は、輸送システムにおいて使用される輸送モードから、又はユーザ指定情報(例えば、ユーザによって運転される車両の種類、使用される燃料の等級、得られた平均燃費効率など)に基づいて、推定することができる。
【0088】
4.地域電車は、例えば、平均(SNCF)で、kmあたりの乗客あたり30.7gのCOなどの標準値を生成すると仮定することができる。
【0089】
5.公共交通機関についての金銭的コストは、旅行計画データ34から得ることができる。自動車又は自転車などのユーザ提供輸送の場合、(車両の特性に依存することができる)単位距離あたりの固定の金銭的コストは、各モードについて推定することができ、ユーザが発生する可能性がある駐車料金/通行料などの任意の固定費もまた考慮することができる。
【0090】
上述したように、コストの一部は、ユーザの体重及び歩行速度に、他はユーザの車両特性に依存することができる。理解されるように、計算を容易とするために近似が行われることができる。いくつかの場合において、ユーザが(トラムパスなどの)輸送モード又は経路についてのシーズンパスを取得している場合、その輸送モード又は経路を使用するためのコストは、0又は0に近いと考えることができる。考えられる例についての例示結果が表1に示されている。
【0091】
【表1】
【0092】
正規化
S206において、目的のそれぞれについて計算されたコスト94は、値の一般的な範囲にわたって正規化コスト96を生成するために正規化される。これは、様々なコストの集計及びそれらをより互換性のあるものとすることを容易とする。正規化は、固定範囲内の値を生成することができ、範囲は各コスト種類について同じである。例えば、正規化は、−5(非常に悪い)と+5(非常に良い)との間の数、必要に応じてコストが許容できないと考えられたときのペナルティに対応する−6という追加の値を生成することができる。正規化は、候補旅程のセットにおける全ての旅程の費用と1つの旅程のコストを比較するために固定範囲におけるコストの非線形変換(例えば、指数関数)又は線形変換(例えば、区分線形関数)を含むことができる。
【0093】
例えば、例としての旅程は52分持続する。期間についての最良値は、自動車のみを使用することによる32分である。期間についての最悪値は、トラムの部分を徒歩によって置き換えることによって得られた67分である。候補セットにわたる平均期間は44分である。同じ地域に住んでいる及び/又はユーザの近くで働いている人々の通勤の平均期間とすることができる基準値(57分)は、ポイントとして使用することができる。これは、それぞれ32、44、57及び67分という4点を提供し、それらは、その後に正規化コストの範囲に投影することができる。
【0094】
得られた正規化コスト96を計算するための1つの例としての式が表2に示されている。目的は、基準点のそれぞれに値を関連付けることである(最良のものは+5とスコアリングされ、2番目に良いものは0とスコアリングされ、2番目に悪いものは−5とスコアリングされ、最悪のものは−6とスコアリングされる)。これらの基準点の2つの間の各線分は、横座標として考えられるコストに対応する縦座標としての中間値についての正規化コストを計算するために使用することができる。古典的な数学的関数y=ax+bは、xに等しい非正規化コストの正規化コストであるyを特定するために使用される。
【0095】
【表2】
【0096】
52分持続する例としての旅程は、期間において−3.08とランク付けされる。同じ種類の計算は、CO、金銭的コスト及び消費カロリーに適用することができる。全ての候補旅程は、例としての旅程及び2つの代替候補旅程について表3に示されるように正規化コストの場合、同じようにランク付けされる。
【0097】
【表3】
【0098】
理解されるように、正規化された一般的な範囲とは異なる単位で表されたコストを変換する他の方法が使用されてもよい。
【0099】
目的についてのランク付け
S208において、正規化コストは、ユーザの目的に応じて集計される。目的は、定義されないかもしれず(これは0として実装される)又は1(「私にとって重要な目的ではない」)から5(「私にとって非常に重要な目的」)の値によって定義されるかもしれない。上述したように、システムは、規定された及び/又は推定された目的を考慮することができる。例えば、ユーザは、より多くの時間がかかる(目的「時間節約」:+2)場合であっても、自己の環境への影響を低減することを望んでいる(目的「環境影響低減」:+5)ことを宣言する。しかしながら、彼が常に最速の旅程を選択することをシステムが特定する場合、システムは、彼の主な目的が時間を節約することであると推定することができ(推定された目的「時間の節約」:+5)、2つの旅程が同時を必要とする場合にのみ、COに注意を払うように思われる(推定された目的「環境影響低減」:+2)。
【0100】
さらに、目的は、期限を有していてもよい(「私は、3月30日前に身体的活動を増やしたい」)。そのような場合、目的は、期限後にはもはや考慮されない(その値は0にリセットされる)。期限前に、それは計算に含まれる。1つの実施形態において、目的の重要性は、期限が近づいたときに増大すると考えることができる。この機能は、それが設定された日付と期限の間において線形的に目的の推定値を変更することによって実現することができる。例えば、ユーザが3月30日前に身体的活動を増加したいと1月1日に言い、この目的が3の規定された値を有することを示す場合、システムは、目的が1月1日に3で始まり且つ3月30日に5まで増加する線形的に増加する値を有することを考えることができる。
【0101】
目的において旅程をランク付けするために、規定された及び推定された目的76、78の値は、S112において最初に集計される。データが集計される方法は、値の評価された有効性に依存することができる。例えば、ユーザが最近目的を規定した場合、規定された値は、最も有効なものである。しかしながら、宣言が長時間前になされたものであり且つ関連する履歴がこの宣言以降ある場合には、この履歴から計算された推定された目的は、宣言よりも有効である可能性が高い。結果は加重平均であり、重み(係数)は有効性に依存する。
【0102】
例として、目的係数は、年間ベースで定義することができる。例えば、各係数は、1から12などの最小値と最大値の間の値を有する。例えば、それらがちょうど規定され且つ宣言以降の月数によって1年にわたって線形的に減少する場合には、規定された目的の係数は12である。6か月後、それらの係数は6である。一方、目的宣言がちょうど行われ且つその後に最大値まで1年間線形的に増加する場合には、推定された目的のそれぞれの係数は1である(規定された目的が変更されたときにリセットが行われる)。
【0103】
集計目的値は、その後に以下のように計算することができる。
【0104】
【数3】
【0105】
これは最も近い整数に切り上げてもよい。
【0106】
表4は、規定された及び推定された目的の関数としてランク付けプロセスにおいて使用されることになる例としての集計された目的値の計算(S112)を示している。
【0107】
【表4】
【0108】
所定の目的における旅程のランク付けは、この目的についての旅程の正規化コストに基づいている。例えば、目的「時間節約」における旅程のランク付けは、旅程の正規化された期間に基づいており、その値は、−6(非常に悪いと考えられる期間についての値)よりも高く且つ+5(非常に良いと考えられる期間についての値)よりも低い。
【0109】
各候補旅程についての目的98におけるランク付けは、式3を使用することによって計算することができる(ここで考慮される目的は、0よりも大きい集計値を有するものである)。
【0110】
【数4】
【0111】
ここで、goalは、用途について定義された目的のセットであり、goal weightは、規定された及び推定された値の集計である1から5の値に対応し(例えば、金銭節約=2)、normalizedCost(goal)は、目的に対応するパラメータの正規化コスト96である(例えば、金銭節約という目的について、正規化された金銭的コスト=+3.53)。
【0112】
例えば、例における目的についての旅程のランクは、その後に以下のとおりとすることができる:
【0113】
【数5】
【0114】
ここで、ecocostは、環境目的(CO削減)のための正規化コストであり、eco wtは、この目的の集計された重みであり、moncostは、金銭節約目的(金銭的コストの削減)のための正規化コストであり、mon wtは、この目的の集計された重みであり、durcostは、期間目的(時間節約)のための正規化コストであり、dur wtは、この目的の集計された重みであり、fitcostは、フィットネス目的(カロリー消費量増加)のための正規化コストであり、fit wtは、この目的の集計された重みである。
【0115】
表5は、3つの候補旅程について式3にしたがって計算された目的におけるランクを示しており、最初の行は上記使用された例示に対応し、2行目は、自転車を使用した旅程に対応する代替案#1の値を示しており、3行目は、自動車を使用した旅程に対応する代替案#2の値を示している。
【0116】
【表5】
【0117】
嗜好についてのランク付け
上述したように、いくつかの嗜好を定義することができる。それらのそれぞれは、徒歩の嗜好を除いて同じ方法で処理することができる。全ての旅程は、例えば旅行の開始地点、すなわち出発地点から最も近い駅又は自動車の駐車場まで行くために少なくともいくつかの徒歩を含むと仮定される。ユーザが徒歩を避けたいと規定している場合、最初と最後のものを除く旅程段階のみがこの嗜好によって影響されると考えられる。
【0118】
目的に関して、嗜好は、規定されて推定されることができる。目的について定義された経時的に進化する係数の同じアルゴリズムがS112における嗜好集計のために使用することができる。表6は、規定された及び推定された嗜好集計の例を示しており、規定された嗜好は10という係数を有し、推定された嗜好は2という係数を有する。
【0119】
【表6】
【0120】
モード嗜好における旅程の段階のランク付け100の計算は、式(4)にかかる第2の目的関数によって計算することができる。
【0121】
【数6】
【0122】
ここで、modesは、旅程に含まれる輸送モードのセットであり、pmodeは、段階のモードについての嗜好、すなわち、式1にしたがって計算された規定された及び推定された嗜好の加重集計であり、
【0123】
【数7】
【0124】
であり、maxD(mode)は、旅程のセットにわたるモードの最大期間であり、d(mode)は、モードの合計期間であり、number of modesは、旅程に含まれる輸送モードの数である。
【0125】
pmodeが0である場合、それは、ユーザが旅行においてそのモードを使用したくないであろうことを意味し、そのため、旅程全体は、そのモードに−∞などの非常に負の値を割り当てることによって非常に低い値を受ける。表7は、表6において定義されるような嗜好におけるランク付けを示している。
【0126】
【表7】
【0127】
最終ランク付け
最終(グローバル)ランク付け(S212)は、目的におけるランク付け及び嗜好におけるランク付けの加重平均とすることができる。それゆえに、候補旅程のそれぞれ(又は少なくとも一部)は、最終ランク付け102(又はランク付けに変換されることができるスコア)を受ける。重みは、目的及び嗜好の相対的な重要性に依存することができる。例示的な実施形態において、目的は、嗜好よりも重要であると考えられる。この場合、目的は、嗜好よりも高い重みを有し、例えば、目的は2という重みを有し、嗜好は1という重みを有する。
【0128】
表8は、最終ランク付けの例を示している。
【0129】
【表8】
【0130】
図5は、複数の目的関数の集計として本願明細書において使用される例示的な効用関数を図示している。
【0131】
図2及び図4に図示される方法は、コンピュータ上で実行可能なコンピュータプログラム製品において実装することができる。コンピュータプログラム製品は、ディスク、ハードドライブなどの制御プログラムが記録(記憶)された持続性コンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えることができる。持続性コンピュータ読み取り可能な媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ又は任意の他の磁気記憶媒体、CD−ROM、DVD又は任意の他の光媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH−EPROM又は他のメモリチップ若しくはカートリッジ、又は、コンピュータが読み取って使用可能な任意の他の持続性媒体を含む。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ30と一体化することができ(例えば、RAMからなる内部ハードドライブ)、又は、別個とすることができ(例えば、コンピュータ30に動作可能に接続された外部ハードドライブ)、又は、別個にされ且つローカルエリアネットワーク(LAN)又はインターネットなどのディジタルデータネットワークを介してアクセスされることができる(例えば、ディジタルデータネットワークを介してコンピュータ30によって間接的にアクセスされる独立ディスクの安価な冗長アレイ(RAID)又は他のネットワークサーバストレージとして)。
【0132】
あるいは、本方法は、電波及び赤外線データ通信中に生成されるものなどの音波又は光波などの伝送媒体を使用したデータ信号として制御プログラムが具現化される送信可能搬送波などの一時媒体で実装することができる。
【0133】
例示的な方法は、1つ以上の汎用コンピュータ、専用コンピュータ、プログラミングされたマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラ及び周辺集積回路素子、ASIC若しくは他の集積回路、ディジタル信号プロセッサ、離散素子回路などのハードワイヤード電子若しくは論理回路、PLD、PLA、FPGAなどのプログラマブル論理素子、グラフィックカードCPU(GPU)又はPALなどに実装することができる。一般に、図2及び/又は図4に示されたフローチャートを順次実施することが可能な有限状態機械を実現することができる任意の装置は、旅行ランク付け方法を実施するために使用することができる。理解されるように、本方法のステップは、全てコンピュータ実装することができるが、いくつかの実施形態において、ステップのうちの1つ以上は、少なくとも部分的に手動で実行することができる。同様に理解されるように、本方法のステップは、図示された順序で全て進められる必要はなく、より少ない、より多い又は異なるステップを実行してもよい。
【0134】
嗜好及び目的の規定及び学習の混合
このように、例示的なシステム及び方法は、ユーザの嗜好及び目的の進化を考慮することができ且つ大きな変化にも対応することができるプロファイルスキーム及びランク付け機能を提供する。
【0135】
ユーザ嗜好が安定している場合、Arentze,T.A.、「適応的個人旅行情報システム:マルチモーダル輸送ネットワークにおいてユーザの個人嗜好を学ぶためのベイズ法(Adaptive Personalized Travel Information Systems:A Bayesian Method to Learn Users’ Personal Preferences in Multimodal Transport Networks)」、IEEE Trans.on Intelligent Transportation Systems、vol.14、no.4.(2013年)及びZhang,J.等、「個人化されたマルチモーダル経路計画:嗜好測定及び学習ベースアプローチ(Personalized multi−modal route planning:a preference measurement and learning−based approach)」、Proc.11th Int’l Conf.on Mobile and Ubiquitous Systems:Computing,Networking and Services、pp.338−344(2014年)において提案されたものなどの学習技術は、ユーザの旅行選択肢から嗜好を推定するために使用することができる。推定された嗜好は、特に所定量のデータの取得をともなう学習フェーズが使用される場合には、規定された嗜好よりも正確である傾向がある。しかしながら、そのようなアプローチにおいて、履歴データ量は、現在の推定された嗜好に重みをおき、ユーザの行動の変化は、所定時間(及び選択肢)後に完全に考慮されるにすぎない。
【0136】
規定された目的及び嗜好のみならず推定されたものを考慮する本方法は、システムが変更についてのユーザの願望を考慮し、標準的な学習アプローチが推定された嗜好を更新することができる前の段階において例外的状況を検討するのを可能とする。規定後に経時的に推定値の係数を増加させることにより、推定の精度向上を考慮することができる。
【0137】
さらに、目的及び嗜好を規定することは、システムが旅行に影響を与える突然のイベントに対処するのを可能とすることができる(例えば、今週は、ユーザはより多くの時間を有しており、通常は好む自動車よりも自転車を好むであろう)。
【0138】
以下の例は、システムが異なる使用ケースにおいて候補旅程の関連ランク付けを与えることができることを示している。
【0139】
例1:初期状況、嗜好又は目的が何ら規定又は推定されていない
この状況において、規定された嗜好のデフォルト値のセットが確立され、規定された目的は、(特に指定のない場合、ユーザは時間を節約したいであろうという仮定に対応する)1に設定された時間節約における目的を除き、全て0に等しいと考えられる。
【0140】
例2:一部の嗜好及び目的が推定される
ユーザは、自己の旅行についての少なくとも1つの選択を行っており、システムは、ユーザの嗜好及び目的を推定するために旅行ログ70とともにこのデータを使用する。例えば、システムは、ユーザが一般に自動車を使用するのを好む(推定された嗜好「運転」は5に設定され、全ての他の嗜好は不明である)ことを知っており、時間節約を目的とする(推定された目的「時間節約」は5に設定され、全ての他の目的は1のままである)。システムは、将来要求される旅行をランク付けするためにこれらの推定値を使用する。
【0141】
例3:1つの目的が規定される
ユーザは、目的を規定する。これは、(新たなデータを考慮するために)推定された目的の係数をリセットし、嗜好のものを変更しない。
【0142】
例4:一部の嗜好が規定される
ユーザは、いくつかの嗜好を規定するか又はそれらのいくつかを変更する。そして、システムは、ユーザがシステムの結果を変更したいと考えるのにともない、推定された嗜好係数を1にリセットする(及び規定された嗜好の係数は12に設定される)。この機構は、新たな状況に適応するための時間を用途に与える。
【0143】
例5:例外的状況における候補旅程のランク付け
ユーザは、例えば、通常の輸送モードが利用可能でないか又はユーザが急いでいるなど、例外的イベントに対応することができる特定の状況にある。そして、ユーザは、状況に対応する特定の基準を使用する必要があり、したがって、ステレオタイププロファイル84を選択する。このプロファイルに関連付けられた嗜好及び目的は、ユーザの嗜好及び目的の代わりにその後に使用される。この特定の場合において、嗜好は全て「不明」に設定される((ユーザが実際に対応する輸送モードを使用したくないことを意味する)0に設定された嗜好を除く:そのような嗜好は、制約として考えられ、例えば、ユーザは、長時間歩行することができず、自己の嗜好においてこれを表現し、それゆえに変更されない)。全ての目的は、「非常に重要」(5)に設定される目的「時間節約」を除き、「未定義」(0)に設定される。推定された目的は、関係を壊すために全て1に設定される。
【0144】
例6:嗜好を有しないが目的を有するユーザ
この場合、ユーザは、いかなる嗜好も表現していないが、少なくとも1つの目的を指定している。そのような場合、規定された嗜好は考慮されず、ランク付けモジュールは、(利用可能な場合には)推定された嗜好と規定された及び推定された目的のみを考慮する。
【0145】
例7:完全な自己記述
この場合、ユーザは、ユーザプロファイル36の規定された嗜好及び目的を完全に記入している。システムは、ランク付けプロセスにおいて規定された及び推定されたパラメータの双方を考慮するが、規定されたパラメータよりも推定されたパラメータをあまり重要と考えない。規定された嗜好の変化はいつでも発生する可能性があり、推定されたパラメータ係数をリセットする。例えば、自転車を購入して現在それを使用したいユーザ、又は、医師が毎日の歩行活動を増加することを勧めしており、すぐに考慮されることをそれらに期待してそれに応じて新たな嗜好を設定する者に対応することができる。
【0146】
いくつかの例は、システムが以下の状況のシーケンスに自己を適応させて経時的にどのように反応するかを説明している。
A.ユーザは、自己の嗜好及び目的を規定することなくシステムを使用することを開始する;
B.しばらくすると、システムは、以下のようにユーザの嗜好及び目的を推定する;ユーザは、一般に、自動車を使用することを好み、時間を節約したい;
C.ユーザは、環境影響低減である目的を規定する;
D.ユーザは、以下のようにいくつかの嗜好を規定する;自転車に高レベル、自動車に低レベルの嗜好を設定する;
E.今日、ユーザは急いでいる;
【0147】
これらの様々な状況は、自宅から職場までの要求された旅行についての旅程選択肢の同じセットのランク付けにおいて考慮される。
1.自宅から最寄りのトラム駅まで徒歩(5分)、トラムBに乗り(15分)、トラム駅からユーザの職場まで徒歩(3分)。
2.自宅から最寄りのバス停まで徒歩(7分)、バス21に乗り(4分)、バス47を待機し(4分)、バス47に乗り(5分)、バス停からユーザの職場まで徒歩(1分)。
3.自宅から自動車の駐車場まで徒歩(1分)、職場まで運転し(9分)、駐車場から職場まで徒歩(1分)。
4.自宅から職場まで自転車を使用(17分)。
5.自宅から職場まで徒歩(46分)。
【0148】
代替案に対応するコストが表9に示されている。
【0149】
【表9】
【0150】
正規化後、コストは表10に示されるようになる。
【0151】
【表10】
【0152】
例における状況A〜Eのシーケンスを考えると、初めにユーザは、何ら嗜好又は目的を表現しておらず、時間節約における推定された目的のみが1に設定される。この状況において、嗜好も規定された目的も表11に示されるように考慮されない。
【0153】
【表11】
【0154】
これらの結果によれば、その期間(17分)が最良の期間(11分)に近く、金銭的コスト、環境影響を最小化し、トラム、バス又は自動車を使用するよりも多い身体的活動をもたらすことから、最良の選択肢として代替案#4(自転車使用)が提案される。歩行のみに依存する旅程は、非常に長く持続し、自転車を使用するよりも悪いと考えられる。
【0155】
しかしながら、ユーザは、自動車を使用することを選択する。それゆえに、システムは、以下のようにユーザの嗜好及び目的についての第1の値を推定する:表12に示されるように、ユーザが自動車を使用することを好み(推定された嗜好「運転」は5に設定され、全ての他の嗜好は不明である)、時間節約を目的とする(推定された目的「時間節約」は5に設定され、全ての他の推定された目的は1のままである)。
【0156】
【表12】
【0157】
これらのパラメータによって提案された最良の選択肢は、時間節約(それが最速のものである)という推定された目的及び運転という推定された嗜好に対応する代替案#3である。
【0158】
そして、ユーザは、環境への影響を低減するために3という目的値を規定する。これは、規定された目的と同じ値(又は規定されていない目的については1)に推定された目的をリセットし、規定された目的係数を12に且つ推定された目的係数を1にリセットし、嗜好は変更しない。そして、目的値は、表13に示されるように、金銭節約=(0/1)、時間節約=(0/1)、環境影響低減=(3/3)、身体的活動増加=(0/1)に規定/推定される。
【0159】
【表13】
【0160】
自動車による代替案は、時間節約がもはや主な目的ではないことから、もはや最適なものではない。2つの代替案は、自転車及び徒歩を使用して環境への影響を低減するのを可能とする。徒歩は自転車を使用するよりもはるかに長いことから、最良の選択肢は、ここでは代替案#4である。
【0161】
ユーザは、いくつかの嗜好を規定している:高レベルにトラムを設定し、自転車を利用するための全体的な嫌悪を表現する。既に述べたように、ユーザが自己の嗜好を規定又は再定義した場合、ユーザがシステムの結果を変更したいと考えるのにともない、システムは、推定された嗜好係数を1にリセットする(及び規定された嗜好の係数は12に設定される)。この機構は、新たな状況に適応するための時間を用途に与える。嗜好(規定された/推定された)の値は、ここでは以下のとおりである:表14に示されるように、運転(未定義/5)、トラム使用(5/未定義)、自転車使用(0/未定義)。
【0162】
【表14】
【0163】
そして、この文脈における最良の選択肢は代替案#5である。トラムを使用する選択肢#1は、ユーザが好きと表現する輸送モードであるが、ユーザがまた自己の環境への影響を低減するという目的を表現しているので、最も高くランク付けされた選択肢ではない。トラムを使用すると、徒歩よりも汚染され、様々な基準の組み合わせは、最適な選択肢として徒歩を配置する。ユーザが徒歩よりもトラムの使用を好む場合、ユーザは、当然のことながら、明示的に徒歩についての嗜好値を定義することによって又は時間節約という目的を表現することによって規定することができる。しかしながら、ユーザがそうしない場合であっても、少し時間が経過した後、システムは、ユーザが徒歩を好まないことを推定し(例えば、ユーザは、トラムを毎回使用することを選択する)、推定された嗜好は、このランク付けを変更する。
【0164】
ユーザは急いでおり、彼女は、対応するステレオタイププロファイル「急いで」を選択する。このプロファイルに関連付けられた嗜好及び目的は、ユーザの嗜好及び目的の代わりに使用される。この特定の場合において、規定された及び推定された嗜好は、全て「未定義」に設定される(ユーザが実際に対応する輸送モードを使用したくないことを意味する0に設定されたそれらの嗜好を除く。そのような嗜好は制約として考慮される。例の場合において、自転車の使用は、完全に望ましくないと考えられたままであり、変更されることはない)。全ての規定された目的は、「非常に重要」(5)に設定される目的「時間節約」を除き、「未定義」(0)に設定され、推定された目的は、表15に示されるように全て1に設定される。
【0165】
【表15】
【0166】
そして、最良の選択肢は、自動車を使用した代替案#3であり、これは、確かに最も速いものである。
【0167】
旅程をランク付けするための方法は、ウェブサイトとして実装されることができる。ランク付け関数は、例えばJavaScript(登録商標)で作成することができる。それは、例えば、米国特許出願第14/450,628号の旅行プランナによって提案されたように候補旅程のセットを入力として受け入れ、上述した全ての工程を実行し、各提案された旅程についてのランクを生成する。
図1
図2
図3
図4
図5