特許第6792981号(P6792981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6792981
(24)【登録日】2020年11月11日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】止水構造及び該止水構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20201119BHJP
   E06B 1/60 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   E06B5/00 Z
   E06B1/60
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-168069(P2016-168069)
(22)【出願日】2016年8月30日
(65)【公開番号】特開2018-35540(P2018-35540A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】砂川 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 功明
(72)【発明者】
【氏名】和田 徹彦
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−50412(JP,A)
【文献】 特開2015−151717(JP,A)
【文献】 特開2016−94785(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203175312(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/12
E06B 1/56−1/68
E06B 5/00
E06B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内縁側に受片を有する環状の枠体と、該枠体内に嵌め合わせられて前記受片に水密に押し付けられる開閉体と備えた止水装置を、構造物の開口部内に嵌め合わせ固定するようにした止水構造において、
前記開口部の内縁には、前記枠体の周方向に沿って連続する長尺状の基材が固定され、
前記基材には、前記受片における受面に対する裏側の下流側面を受ける支持部材が、前記周方向に間隔を置いて複数固定されていることを特徴とする止水構造。
【請求項2】
前記受片における下流側面には、前記複数の支持部材に対応する複数の取付片が接続され、これら複数の取付片には、それぞれ、その下流側面に前記支持部材が重ね合わせられて接続されていることを特徴とする請求項1記載の止水構造。
【請求項3】
前記支持部材は、第1片部と該第1片部に交差する第2片部とを一体に有する山形鋼であり、前記第1片部が前記基材に接続され、前記第2片部が前記取付片に接続され、これら支持部材及び取付片の周囲にモルタルが設けられていることを特徴とする請求項2記載の止水構造。
【請求項4】
前記基材を前記開口部の内縁に固定し、前記取付片を止着した前記枠体を前記開口部に嵌め合わせた後、前記支持部材の第1片部を前記基材に、同支持部材の第2片部を前記取付片に、それぞれ溶接するようにしたことを特徴とする請求項3記載の止水構造の施工方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の浸入を防ぐ止水構造及び該止水構造の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
止水装置は、ビルや、家屋、倉庫等の建築物を含む構造物に形成された開口を、豪雨等による水の氾濫時に開閉体により閉鎖して、該構造物内への水の浸入を防ぐものである(例えば特許文献1参照)。
従来の止水装置は、図8に例示するように、矩形枠状の枠体101と、この枠体101内で円弧状に回動する開閉体102とを備え、枠体101の内縁寄りには、閉鎖状態の開閉体102に外部から水圧が加わった際に、この開閉体102の裏面(水圧方向の下流側の面)の外縁寄りを、止水ゴム105を介して受けるように受け片101aが設けられている。
そして、従来の止水装置を用いた止水構造では、枠体101の下流側において、開口部aの内縁に打ち込まれたアンカーボルトa1に、複数の鉄筋棒a2を溶接し、これら鉄筋棒a2の先端に、枠体101の側面から後方へ延設された平板状ブラケット104を溶接するようにしている。鉄筋棒a2の周囲の閉鎖空間、及び枠体101の裏側の閉鎖空間には、モルタルa3が注入され固められる。
すなわち、従来の止水扉の設置構造では、開口部aの内縁と枠体101の側面とを、鉄筋棒a2及び平板状ブラケット104等を介して接続しており、枠体101の裏側はモルタルのみによって受けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−148096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来構造において、開閉体102が強大な水圧を受けると、この水圧は、枠体101裏側のモルタルに加わり、さらに、平板状ブラケット104、鉄筋棒a2等にも加わる。このため、前記モルタルが崩れたり、平板状ブラケット104が変形したり、平板状ブラケット104と鉄筋棒a2の溶接箇所や、鉄筋棒a2とアンカーボルトa1の溶接箇所が外れてしまったり等するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
内縁側に受片を有する環状の枠体と、該枠体内に嵌め合わせられて前記受片に水密に押し付けられる開閉体と備えた止水装置を、構造物の開口部内に嵌め合わせ固定するようにした止水構造において、前記開口部の内縁には、前記枠体の周方向に沿って連続する長尺状の基材が固定され、前記基材には、前記受片における受面に対する裏側の下流側面を受ける支持部材が、前記周方向に間隔を置いて複数固定されていることを特徴とする止水構造。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、止水扉における枠体の接続強度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る止水構造の要部を示す斜視図である。
図2】止水装置の一例を示す正面図である。
図3】同止水装置の背面図である。
図4】同止水装置を具備した本発明に係る止水構造の一例を示す縦断面図である。
図5図4における下端側部分を示す拡大断面図であり、モルタルは省いている。
図6】同止水構造の一例を示す横断面図である。
図7図6における下端側部分を示す拡大断面図であり、モルタルは省いている。
図8】従来の止水構造の一例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を有する発明を開示している。
第1の特徴は、内縁側に受片を有する環状の枠体と、該枠体内に嵌め合わせられて前記受片に水密に押し付けられる開閉体と備えた止水装置を、構造物の開口部内に嵌め合わせ固定するようにした止水構造において、前記開口部の内縁には、前記受片における受面に対する裏側の下流側面を受けるようにして支持部材が固定されている(図4及び図6参照)。
この構成によれば、水圧による下流方向への力が局部的に加わる受片を、その裏側側から支持部材により受けるようにしているため、各部の変形、破損、外れ等を生じにくい。
【0009】
第2の特徴は、より強度及び施工性等を向上するために、前記開口部の内縁には、前記枠体の周方向に沿って連続する長尺状の基材が固定され、前記支持部材は、前記周方向に間隔を置いて複数設けられ、前記基材に固定されている。
【0010】
第3の特徴は、より強度及び施工性等を向上するために、前記受片における下流側面には、前記複数の支持部材に対応する複数の取付片が接続され、これら複数の取付片には、それぞれ、その下流側面に前記支持部材が重ね合わせられて接続されている。
【0011】
第4の特徴は、より強度及び施工性等を向上するために、前記支持部材は、第1片部と該第1片部に交差する第2片部とを一体に有する山形鋼であり、前記第1片部が前記基材に接続され、前記第2片部が前記取付片に接続され、これら支持部材及び取付片の周囲にモルタルが設けられている。
【0012】
第5の特徴は、前記止水構造の施工方法であって、前記基材を前記開口部の内縁に固定し、前記取付片を止着した前記枠体を前記開口部に嵌め合わせた後、前記支持部材の第1片部を前記基材に、同支持部材の第2片部を前記取付片に、それぞれ溶接するようにした。
【0013】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1図3は、本発明に係る止水構造Bの一例に用いられる止水装置Aを示している。
なお、以下の説明において、上流側とは、水が流れてくる方向側を意味する。また、下流側とは、水が流れて行く方向側を意味する。なお、図示例では、止水装置Aよりも上流側を屋外側とし、同止水装置Aよりも下流側を屋内側としている。
【0014】
止水装置Aは、内縁に受片11を有する無端矩形環状の枠体10と、該枠体10内に嵌め合わせられて、該枠体10の受片11に水密に押し付けられる開閉体20と備える。
この止水装置Aは、ビルや、家屋、倉庫等の建築物、トンネルや、地下道を含む構造物Sの開口部aに設置されて、該開口部aへの水の通過を阻む止水構造Bを構成する。
【0015】
枠体10は、上下の横枠部材10a,10aと左右の縦枠部材10b,10bにより中央部を開口した一体の矩形枠状に構成される。
横枠部材10aと縦枠部材10bの各々は、鋼板等の金属材料を曲げ加工してなり、その内縁側に、下流側(図7によれば上側)へ凹んで枠内側(図7によれば左側)へ突出する略凹状の受片11を有する。
各受片11は、開閉体20の外縁側部分を、その下流側から受けている。
【0016】
また、各受片11の突端側には、下流側へ突出するように四方枠12が接続固定されている。
四方枠12は、枠体10の下流側にて、枠内の通路を上下左右から囲む板金製の矩形状枠体である。
この四方枠12は、枠体10の受片11に嵌め合せられ、周知の止着手段(例えば溶接やネジ止め等)によって止着されている。
【0017】
四方枠12の前端側は、受片11の受け面よりも前方へ突出している。したがって、四方枠12の前端側、及び受片11は、前方を開口した断面凹状(図5及び図7参照)に構成される。この凹状部分は、枠体10の内縁に沿って無端矩形環状に連続しており、その内部には、先端部を上流側へ向けるようにして、シールゴム1と止水ゴム2が嵌め合せられている。
【0018】
枠体10及び四方枠12の裏面側は、補強片14によって補強されている。この補強片14は、各横枠部材10aの長手方向に間隔を置いて複数設けられ、さらに、各縦枠部材10bの長手方向に間隔を置いて複数設けられる。
各補強片14は、帯状の板金材料を断面クランク状に曲げ加工してなり、枠体10及び四方枠12と開口部a内縁の間において、枠体10における受片11よりも上流側の部分、受片11、及び四方枠12の後端側部分に、溶接等の止着手段によって、止着されている(図5及び図6参照)。
【0019】
また、シールゴム1は、無端矩形環状の受片11の全周にわたり連続して設けられ、開閉体20が枠体10内の開口を閉塞した閉塞位置にある状態で、開閉体20の下流側面と受片11の間に挟まれて弾性変形し、気体の通過や、水の流れ等を抑制する。
このシールゴム1は、例えば、エラストマー樹脂やその他の弾性樹脂材料、合成ゴム等から形成され、図示例によれば、断面中空状に形成される。
【0020】
止水ゴム2は、シールゴム1よりも枠内側において、無端矩形環状の受片11の全周にわたり連続して設けられ、開閉体20が枠体10内の開口を閉塞し、更に下流側へ若干移動した止水位置にある状態で、開閉体20の下流側面と受片11の間に挟まれて弾性変形し、水の浸入を阻む。
なお、上述したシールゴム1も水の浸入を阻む作用を若干有するが、止水ゴム2は、シールゴム1よりも強力な止水作用を奏する。
この止水ゴム2は、例えば、エラストマー樹脂やその他の弾性樹脂材料、合成ゴム等から形成され、図示例によれば、断面中実状に形成され、シールゴム1よりも柔軟性を有し且つ強い弾発力を有する。
なお、止水ゴム2の他例としては、独立気泡を有する軟質樹脂材料や、スポンジ状の軟質樹脂材料、中空部を有する軟質樹脂材料等から形成することも可能である。
【0021】
また、枠体10の受片11において、受面に対する裏側に位置する下流側面には、該枠体10の周方向(縦枠部材10bにおいては上下方向、横枠部材10aにおいては略水平方向)へ間隔を置いて複数の取付片13が固定されている。
この取付片13は、鋼材からなる矩形平板状の部材であり、一端側を受片11から枠外方向(図7によれば右方向)へ突出させるようにして、受片11の背面に固定されている。この固定手段は、例えば、ボルト締めや溶接等とすればよい。
【0022】
また、開閉体20は、一方を子扉21とし、他方を親扉22とした両開きタイプの扉体である。
ここで、子扉21とは、先に閉鎖される方の扉体を意味し、親扉22とは、子扉21よりも後に閉鎖される方の扉体を意味する。これら子扉21と親扉22の幅寸法の大小関係は、図示例によれば略同一としているが、その一方が他方よりも大きくてもよい。
【0023】
子扉21は、略矩形板状に形成され、左右辺部のうち、その一方(図2によれば左側)の辺部を、枠体10の一方の縦枠部材10bに対し、二軸蝶番3を介して支持している。
この子扉21は、上側の横枠部材10aに設けられる周知の閉鎖順序規制装置(図示せず)により、親扉22が先に閉鎖動作した場合でも該親扉22よりも先に全閉される。
この子扉21の戸先側には、親扉22の戸先側に対し下流側から重なり合うように平板状の受部21bが設けられている(図6参照)。
【0024】
親扉22は、略矩形板状に形成され、左右辺部のうち、その他方(図2によれば右側)の辺部を、枠体10の他方の縦枠部材10bに対し、二軸蝶番3を介して支持している。
この親扉22は、上述した周知の閉鎖順序規制装置(図示せず)により、子扉21よりも後に全閉される。
この親扉22の戸先側には、子扉21の戸先側の受部21bに重なり合うように止水ゴム22aが設けられている(図6参照)。
【0025】
二軸蝶番3は、二つの回転軸とこれら回転軸に枢支されたリンク部材等を具備した周知の軸支装置である。この二軸蝶番3は、子扉21と親扉22の各々を、縦枠部材10b寄りの一方の回転軸を支点にして回動させて開閉動作する。また、子扉21と親扉22が全閉した閉鎖位置において、これら子扉21及び親扉22を、他方の回転軸を支点にして回動させることで下流側へ略平行に移動させる。この平行移動により、子扉21及び親扉22は、上述した止水ゴム2を弾性的に押し潰して止水位置となる。
【0026】
次に、上記構成の止水装置Aを構造物Sの開口部aに設置してなる止水構造Bについて、その施工方法を詳細に説明する。
【0027】
先ず、構造物Sのコンクリート製の開口部aの内縁に、枠体10の周方向に沿って連続する長尺状の基材32が固定される。詳細に説明すれば、この基材32は、開口部a内縁を形成する上下の水平面にそれぞれ設けら、左右の側面にもそれぞれ設けられる。
各基材32は、鋼材からなる長尺帯状の部材であり、開口部a内縁に打ち込まれた複数のアンカーボルト31によって不動に固定される。



【0028】
次に、各基材32に対し、その長手方向に間隔を置いて複数の支持部材33が固定される。これら複数の支持部材33の配置は、枠体10側の複数の取付片13の位置に対応する。
各支持部材33は、前記第1片部が前記第2片部から下流側へ延設され、この延設部分が基材32に止着されている。
各支持部材33は、図示例によれば、第1片部と該第1片部に略直交する第2片部とを一体に有する山形鋼(図示例によれば等辺山形鋼)を短尺状に切断したものである。
前記第1片部は、基材32の表面に面接触した状態で、下流側からのすみ肉溶接により基材32に止着される。
また、前記第2片部は、取付片13の裏面(下流側面)に面接触した状態で、下流側からのすみ肉溶接により取付片13の裏面に止着される。図5及び図7において、符号Wは、すみ肉溶接の箇所を示す。
なお、各支持部材33の他例としては、第1片部の中央部分から第2片部が立ち上がるT字鋼としてもよい。
【0029】
次に、下側の横枠部材10aと、対向する開口部a内縁との間、及び上側の横枠部材10aと、対向する開口部a内縁との間に、複数の鉄筋棒34が固定される。
各鉄筋棒34は、その一端側が、下流側からの溶接により基材32の表面に止着され、その他端側が、下流側からの溶接により、補強片14の下流側端部寄りに止着される(図5参照)。
これら鉄筋棒34は、水圧や、通過物の重量等により、四方枠12の下流側が上下方向へ傾くのを抑制する。
【0030】
また、枠体10の外側面と開口部aの間には、弾性体からなる止水パッキン35が、水の浸入方向に対し複層状に装着される。
そして、支持部材33の周囲には、モルタルMが充填され固められる(図4及び図6参照)。この充填作業においては、モルタルMを、間隔を置いた複数の支持部材33の間に流し込めるため、その作業効率が良好である。
なお、この施工方法は、枠体10の上側と下側(図4及び図5参照)、同枠体10の左側と右側(図6及び図7参照)において、それぞれ同様である。
【0031】
なお、図1図3において、符号6は、親扉22の開閉操作を行うための開閉用ノブ、符号7,8は、閉鎖位置にある親扉22を止水位置に移動するために回転操作されるグレモンハンドル、符号4,5は、閉鎖位置にある子扉21を止水位置に移動するために回転操作されるグレモンハンドルである。
【0032】
よって、次に上記構成の止水構造B及び該止水構造Bの施工方法について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
開閉体20(親扉22及び子扉21)の閉鎖位置において、グレモンハンドル4,5,7,8がそれぞれ操作されると、親扉22と子扉21はシールゴム1及び止水ゴム2を圧縮変形させ、親扉22戸先側の止水ゴム22aを子扉21戸先側の受部21bに押し付けて、開閉体20内外を水密に保持した止水位置になる。
この状態において、止水装置Aの屋外側に水害等に起因する水圧が加わると、その水圧によって開閉体20は下流方向へ押圧され(図4及び図6参照)、さらに、これら開閉体20を受片11によって受ける枠体10も下流方向へ押圧される。
この際の押圧力は、受片11の部分に局部的に加わり、受片11の真後ろ側で、複数の取付片13により受けられる(図5及び図6参照)。
取付片13の後ろ側は、先に説明した頑強な固定構造を有する。すなわち、各取付片13は、すみ肉溶接により支持部材33に接続されている。さらに、複数の支持部材33は、それぞれ、すみ肉溶接により長尺状の基材32に接続されている。そして、基材32は、複数のアンカーボルト31によって構造物Sに固定され、これらの周囲にはモルタルMが固められている。
よって、止水構造Bによれば、水圧による各部の変形を生じにくく、枠体10よりも下流側の固定構造が破損したり、溶接箇所が外れたり、モルタルMが崩れたり等するようなことを防ぐことができ、良好な止水性能を維持することができる。
【0033】
なお、上記実施態様によれば、支持部材33は基材32に止着した後に取付片13に止着しているが、その止着順序を逆にすることも可能である。
【0034】
また、上記実施態様によれば、枠体10における受片11裏側の下流側面を、取付片13を介して支持部材33により受けるようにしたが、他例としては、同下流側面を直接支持部材33によって受ける構造とすることも可能である。
【0035】
また、上記実施態様によれば、止水装置Aよりも上流側を屋外側とし、同止水装置Aよりも下流側を屋内側としているが、構造物Sの設置状況等によっては上流側が屋内側、下流側が屋外側とすることも可能である。このような場合には、止水装置Aについて厚み方向を図示と逆に設置すればよい。すなわち、開閉体20を屋内側へ向けて、この開閉体20を屋外外から枠体10の受片11により受けるようにする。
【0036】
また、上記実施態様によれば、止水装置Aとして両開きタイプの止水扉を構成したが、他例としては、片開きタイプの止水扉や、引戸タイプの止水扉等を構成することも可能である。
【0037】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0038】
10:枠体
10a:横枠部材
10b:縦枠部材
11:受片
20:開閉体
21:子扉
22:親扉
31:アンカーボルト
32:基材
33:支持部材
34:鉄筋棒
A:止水装置
B:止水構造
M:モルタル
S:構造物
W:溶接箇所
a:開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8