特許第6793013号(P6793013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793013
(24)【登録日】2020年11月11日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ワイヤ放電加工機
(51)【国際特許分類】
   B23H 7/02 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   B23H7/02 J
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-221280(P2016-221280)
(22)【出願日】2016年11月14日
(65)【公開番号】特開2018-79516(P2018-79516A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩明
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−257524(JP,A)
【文献】 特開平09−120308(JP,A)
【文献】 特開2005−266895(JP,A)
【文献】 特開2007−307661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物をワイヤ電極で加工するワイヤ放電加工機において、
前記被加工物の加工対象範囲全体を表示するメインウインド、並びに、前記被加工物の加工がなされている加工箇所及び該加工箇所の周辺からなる加工周辺領域を拡大して表示する拡大ウインドが設けられた表示装置と、
前記メインウインド及び前記拡大ウインドにそれぞれ表示させる画像データを該表示装置に与える画像制御手段とを備え、
前記画像制御手段は、前記被加工物の加工の進行に伴って移動する前記加工周辺領域を、該被加工物の加工が行われている間、前記拡大ウインドに連続的に表示させることを特徴とするワイヤ放電加工機。
【請求項2】
請求項1記載のワイヤ放電加工機において、前記画像制御手段は、前記加工周辺領域を、前記拡大ウインドの中心に前記被加工物の加工箇所が配置された状態で、該拡大ウインドに表示させることを特徴とするワイヤ放電加工機。
【請求項3】
請求項1又は2記載のワイヤ放電加工機において、前記メインウインド及び前記拡大ウインドは、前記被加工物の加工を終えた部分を該被加工物の加工が未完了の部分とは異なる色で表示することを特徴とするワイヤ放電加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ電極によって被加工物を加工するワイヤ放電加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ放電加工機は、張設したワイヤ電極と被加工物の間で放電を生じさせて、加工槽内の加工液に浸漬した被加工物を、予め設定した形状に加工する(特許文献1、2参照)。ワイヤ放電加工機には、加工中の被加工物を表示する表示装置が設けられており、作業者は表示装置を見ることで被加工物の加工の様子を確認することができる。作業者は、表示装置に加工中の被加工物全体を表示させることや、加工中の被加工物の一部を拡大して表示させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−318433号公報
【特許文献2】特開平11−165218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示装置に被加工物全体を表示させると、加工している箇所の詳細な様子を視認することが困難であるという課題があった。一方、表示装置に被加工物の加工している部分を拡大して表示させると、加工している部分が被加工物のどの位置に該当するのか認識することが困難であり、更に、加工している部分は時間の経過によって位置が変わるため、加工している部分が表示装置に表示されない状態になるという課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、加工中の被加工物の加工している部分を詳細に表示すると共に、被加工物の加工している部分の位置が容易に視認可能なワイヤ放電加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係るワイヤ放電加工機は、被加工物をワイヤ電極で加工するワイヤ放電加工機において、前記被加工物の加工対象範囲全体を表示するメインウインド、並びに、前記被加工物の加工がなされている加工箇所及び該加工箇所の周辺からなる加工周辺領域を拡大して表示する拡大ウインドが設けられた表示装置と、前記メインウインド及び前記拡大ウインドにそれぞれ表示させる画像データを該表示装置に与える画像制御手段とを備え、前記画像制御手段は、前記被加工物の加工の進行に伴って移動する前記加工周辺領域を、該被加工物の加工が行われている間、前記拡大ウインドに連続的に表示させる。
【0006】
本発明に係るワイヤ放電加工機において、前記画像制御手段は、前記加工周辺領域を、前記拡大ウインドの中心に前記被加工物の加工箇所が配置された状態で、該拡大ウインドに表示させるのが好ましい。
【0007】
本発明に係るワイヤ放電加工機において、前記メインウインド及び前記拡大ウインドは、前記被加工物の加工を終えた部分を該被加工物の加工が未完了の部分とは異なる色で表示するのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るワイヤ放電加工機は、被加工物の加工対象範囲全体を表示するメインウインド、並びに、被加工物の加工がなされている加工箇所及び加工箇所の周辺からなる加工周辺領域を拡大して表示する拡大ウインドが設けられた表示装置と、メインウインド及び拡大ウインドにそれぞれ表示させる画像データを表示装置に与える画像制御手段とを備え、画像制御手段は、被加工物の加工の進行に伴って移動する加工周辺領域を、拡大ウインドに表示させるので、加工中の被加工物の加工している部分を拡大ウインドで詳細に表示でき、被加工物の加工している部分の位置がメインウインドで容易に視認可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係るワイヤ放電加工機の正面図である。
図2】表示装置に表示される画像の説明図である。
図3】表示装置に表示される画像の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るワイヤ放電加工機10は、被加工物をワイヤ電極で加工するものであり、加工中の被加工物の加工対象範囲全体を表示するメインウインド11、並びに、被加工物の加工がなされている加工箇所P及び加工箇所Pの周辺からなる加工周辺領域を拡大して表示する拡大ウインド12が設けられた表示装置13と、メインウインド11及び拡大ウインド12にそれぞれ表示させる画像データを表示装置13に与える画像制御手段14とを備えている。以下、詳細に説明する。
【0011】
ワイヤ放電加工機10は、図1に示すように、被加工物の加工を行う加工ユニット15と、加工ユニット15の一側、例えば、右側に配置され、被加工物の加工条件の設定等が行われる制御ユニット16を備えている。
加工ユニット15は、図1に示すように、外側にカバー部材17が設けられ、カバー部材17の内側に、被加工物を加工するための各部材を具備している。
【0012】
制御ユニット16は、図1に示すように、下部に設けられたベース台18の上側に、表示装置13と表示装置13に表示させる画像データを表示装置13に与える画像制御手段14とを有する情報処理端末19が設けられている。本実施の形態では、表示装置13が液晶モニタである。
【0013】
表示装置13には、図2図3に示すように、被加工物の加工対象範囲全体を表示するメインウインド11と被加工物の所定領域を拡大して表示する拡大ウインド12が設けられている。表示装置13には、タッチキーが設けられており、被加工物の加工条件の設定がタッチキーによってなされると、画像制御手段14は、被加工物の加工後の状態を表示させるための画像データを生成し、表示装置13に与える。これによって、メインウインド11には、被加工物の加工完了後の加工形状(目標加工形状)が表示される。本実施の形態では、メインウインド11に被加工物の加工予定の部分が白色で表示される。
【0014】
画像制御手段14は、被加工物において現在加工がなされている加工箇所Pの位置を検出可能であり、被加工物の加工が開始されると、被加工物の加工を終えた部分を赤色で表わした画像をメインウインド11に表示させるための画像データと、加工箇所P及び加工箇所Pの周辺からなる領域(以下、「加工周辺領域」と言う)を拡大した画像を拡大ウインド12に表示させるための画像データとを表示装置13に与える。
【0015】
これによって、メインウインド11には、被加工物の加工を終えた部分(切断した経路)が赤色で表わされ、被加工物のこれから加工される部分(切断予定の経路)が白色で表わされた画像が表示され、拡大ウインド12には、加工周辺領域を拡大した画像が表示される。加工周辺領域は、拡大ウインド12の中心に加工箇所Pが位置した状態で拡大ウインド12に表示され、被加工物の加工を終えた部分及び被加工部のこれから加工される部分がそれぞれ赤色及び白色で表わされる。即ち、メインウインド11及び拡大ウインド12は、被加工物の加工を終えた部分を被加工物の加工が未完了の部分とは異なる色で表示する。
【0016】
なお、図2図3においては、被加工物の加工を終えた領域及び加工が未完了の領域を実線及び二点鎖線でそれぞれ記載している。
被加工物の加工が行われている間、画像制御手段14は、被加工物の加工の進行に伴って加工箇所Pと共に移動する加工周辺領域を、拡大ウインド12の中心に加工箇所Pが配置された状態で拡大ウインド12に表示させるための画像データを生成して表示装置13に与える処理を連続的に行う。
【0017】
そのため、被加工物の加工が行われている間、拡大ウインド12は、拡大ウインド12の中心に加工箇所Pが配置された加工周辺領域を表示している状態を維持することができる。従って、画像制御手段14は、被加工物の加工の進行に伴って移動する加工周辺領域を、拡大ウインド12の中心に常に加工箇所Pが配置された状態で、拡大ウインド12に表示させることができる。
【0018】
作業者は、被加工物の加工周辺領域の詳細な様子を拡大ウインド12で視認でき、メインウインド11で被加工物における加工箇所Pの位置を視認可能である。
なお、表示装置13には、メインウインド11、拡大ウインド12及びタッチキーに加えて、設定した被加工物の加工条件等が表示されている。
【0019】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、拡大ウインドの中心に被加工物の加工箇所が配置されている必要は無い。
また、被加工物の加工を終えた部分を被加工物の加工が未完了の部分と異なる色で表示する必要は無く、例えば、被加工物の加工を終えた部分と被加工物の加工が未完了の部分を同色で線種の異なる線で表示してもよい。
【符号の説明】
【0020】
10:ワイヤ放電加工機、11:メインウインド、12:拡大ウインド、13:表示装置、14:画像制御手段、15:加工ユニット、16:制御ユニット、17:カバー部材、18:ベース台、19:情報処理端末、P:加工箇所
図1
図2
図3