特許第6793150号(P6793150)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793150
(24)【登録日】2020年11月11日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】歩み板
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/43 20060101AFI20201119BHJP
   B60R 3/00 20060101ALI20201119BHJP
   B60P 1/30 20060101ALN20201119BHJP
【FI】
   B60P1/43 B
   B60R3/00
   !B60P1/30 Z
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-78313(P2018-78313)
(22)【出願日】2018年4月16日
(65)【公開番号】特開2019-182326(P2019-182326A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2019年11月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年10月25日〜11月5日(一般公開日:平成29年10月28日〜11月5日)東京ビッグサイトにおいて開催された第45回東京モーターショー2017で展示
(73)【特許権者】
【識別番号】591084388
【氏名又は名称】株式会社花見台自動車
(74)【代理人】
【識別番号】100094536
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 隆二
(74)【代理人】
【識別番号】100129805
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100189315
【弁理士】
【氏名又は名称】杉原 誉胤
(72)【発明者】
【氏名】能條 幹也
(72)【発明者】
【氏名】相良 慎
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−044461(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/004615(WO,A1)
【文献】 特開平04−129848(JP,A)
【文献】 特開2017−065641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/43
B60P 1/00, 1/32, 1/52
B60P 3/07
B60R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向の後方に下傾するチルトフレームと、該チルトフレームに対して車両前後方向にスライド自在に支持されている荷台とを有する車両運搬車の該荷台の後端部において、該荷台の荷物搭載面から略垂直に立設した起立状態と、該荷物搭載面と略面一をなして該荷台より後方に延びる倒伏状態とになるように、該荷台の後端部に回動自在に支持されている歩み板であって、
一端部が自由端になっており、他端部側が前記荷台の後端部に回動自在に支持されている共に、その一方面が搬送面になっており、
前記荷台に車両を搬入或いは搬出する際に、前記チルトフレームを後方側に傾斜した傾斜姿勢にすると、該チルトフレームにスライド自在に支持されている該荷台が、該チルトフレームと共に傾斜し且つ該チルトフレームに沿って後方側にスライドし移動すると共に、後方側に移動した荷台の後端の下端部が地上面に接地するようになっており、
前記荷台の後端の下端部が地上面に接地した状態において、前記歩み板を前記倒伏状態にしてその自由端を地上面に接地させると、前記搬送面が上方に向くと共に、前記下端部が地上面に接地した状態の前記荷台と前記地上面との間に架設され、前記搬送面が該地上面から連続的に繋がり該荷台まで延びる搬送路を形成し、
前記搬送面には、複数の段差部が形成されており、
前記搬送面は、前記搬送路を形成したときに、前記複数の段差部により、前記地上面から前記荷台に向けて、段階的に地上面からの高さ寸法が大きくなるようになっていると共に、前記搬送路を形成したとき、複数の前記段差部のそれぞれに、前記地上面に対して略平行の水平面部が形成されていることを特徴とする歩み板。
【請求項2】
複数の前記段差部には、いずれも、前記搬送路を形成したときに、その一端部側に、一端部側から他端部側に向けて地上面からの高さ寸法が徐々に大きくなる斜面部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歩み板。
【請求項3】
複数の前記段差部には、前記搬送路を形成したときに、前記斜面部の頂部から他端部に向けて前記水平面部が形成されるようになっており、且つ前記搬送路を形成したときに、前記水平面部は、一端部から他端部に向かう方向の長さ寸法が、前記斜面部のものより大きくなっていることを特徴とする請求項2に記載の歩み板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩み板に関し、例えば、車両運搬車の荷台の後端部に設けられる歩み板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、歩み板を備えた車両運搬車の構成が開示されている。この車両運搬車は、車枠(車体フレーム)上に枢軸を以て傾動自在に設けられた支持枠(チルトフレーム)と、支持枠に前後方向にスライド自在に支持された荷台(荷箱)と、当該荷台の後部に取付けられる歩み板とを備えている。また、上記の歩み板は、その一方面に、表面が平坦な搬送面(乗り込み面)が形成されている。
【0003】
上記の車両運搬車に、車両を積み込む場合には、先ず、作業者が車両運搬車の操作部を操作し、水平姿勢の支持枠を後方側に傾斜した傾斜姿勢にし、支持枠にスライド自在に支持されている荷台を、支持枠と共に傾斜させ且つ支持枠に沿って後方に移動させる。次に、作業者は、荷台の後端部に立設している歩み板を回動させて歩み板の先端(自由端)を地上面に接地させる。これにより、歩み板は、荷台と地上とに架設されて、地上から連続的に繋がった登坂路(搬送路)を形成する。そして、作業者は、地上の運搬車両(車両)を運転し、上記の搬送路を通行させて、荷台に車両を搭載させることができるようになっている。
なお、表面が平坦な搬送面になっている歩み板の構成は、例えば、特許文献2にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平7−2304号公報
【特許文献2】特許6232264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した従来技術は、いずれも、歩み板の搬送面(乗り込み面)が平坦に形成されている。そして、荷台と地上との間に歩み板を架設した状態にすると、歩み板の搬送面は、地上面から荷台まで直線状に延びる傾斜面を形成し、その傾斜面の上を車両が通行するようになっている。
しかし、上述した従来技術は、地上面にある車両を荷台に積み込むために、略水平の地上面から、荷台に向けて直線状に延びる傾斜面を形成している歩み板(搬送面)の上に移動させている最中に、車両のフロントスポイラーが歩み板に干渉することがあった。これは、車両が、略水平の地上面から直線状に上昇する傾斜面になっている歩み板に移動するときに、直線状に延びる傾斜面の距離が長いと、車両のフロントスポイラーが歩み板に干渉する可能性が高まるためである。その結果、上述した従来技術の歩み板では、荷台に車両を積み降ろしする際に、歩み板に車両のフロントスポイラーがぶつかり、フロントスポイラーを損傷或いは破損させる虞があった。
【0006】
本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両運搬車の荷台の後端部に設けられる歩み板であって、荷台に車両を積み降ろしする際に、車両のフロントスポイラーとの干渉を防止した歩み板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明は、車両前後方向の後方に下傾するチルトフレームと、該チルトフレームに対して車両前後方向にスライド自在に支持されている荷台とを有する車両運搬車の該荷台の後端部において、該荷台の荷物搭載面から略垂直に立設した起立状態と、該荷物搭載面と略面一をなして該荷台より後方に延びる倒伏状態とになるように、該荷台の後端部に回動自在に支持されている歩み板であって、一端部が自由端になっており、他端部側が前記荷台の後端部に回動自在に支持されている共に、その一方面が搬送面になっており、前記荷台に車両を搬入或いは搬出する際に、前記チルトフレームを後方側に傾斜した傾斜姿勢にすると、該チルトフレームにスライド自在に支持されている該荷台が、該チルトフレームと共に傾斜し且つ該チルトフレームに沿って後方側にスライドし移動すると共に、後方側に移動した荷台の後端の下端部が地上面に接地するようになっており、前記荷台の後端の下端部が地上面に接地した状態において、前記歩み板を前記倒伏状態にしてその自由端を地上面に接地させると、前記搬送面が上方に向くと共に、前記下端部が地上面に接地した状態の前記荷台と前記地上面との間に架設され、前記搬送面が該地上面から連続的に繋がり該荷台まで延びる搬送路を形成し、前記搬送面には、複数の段差部が形成されており、前記搬送面は、前記搬送路を形成したときに、前記複数の段差部により、前記地上面から前記荷台に向けて、段階的に地上面からの高さ寸法が大きくなるようになっていると共に、前記搬送路を形成したとき、複数の前記段差部のそれぞれに、前記地上面に対して略平行の水平面部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
このように本発明では、地上面から該荷台まで延びる搬送路(歩み板により形成された搬送路)は、上述した従来技術のような「地上面から荷台まで直線状に延びる傾面」ではなく、段階的に地上面からの高さ寸法が大きくなる段差部が形成された構成になっている。
この構成によれば、車両は、歩み板の各段差部を登ることで、地上面から段階的に上昇するようになる。また、このとき、車両のフロントスポイラーは、車両と共に、段差部の高さ寸法分(厚さ方向の寸法分)だけ、歩み板から離間する方向に押し上げられるため、「直線状に上昇する傾斜面(段差が無い傾斜面)を形成する歩み板」を通る場合と比べて、車両のフロントスポイラーが、歩み板Wの搬送面に干渉する可能性が軽減される。
【0009】
また、複数の前記段差部には、いずれも、前記搬送路を形成したときに、その一端部側に、一端部側から他端部側に向けて地上面からの高さ寸法が徐々に大きくなる斜面部が形成されていることが望ましい。
本発明では、車両のフロントスポイラーとの干渉を防ぐために、歩み板の搬送面に段差部を設けた構成を採用しているが、その一端部側に斜面部を形成することにより、車両がスムーズに段差部の上に登ることができる。すなわち、本発明の歩み板は、段差部を有する構成でありながら、車両をスムーズに通行させることができる。
【0010】
また、複数の前記段差部には、前記搬送路を形成したときに、前記斜面部の頂部から他端部に向けて前記水平面部が形成されるようになっており、且つ前記搬送路を形成したときに、前記水平面部は、一端部から他端部に向かう方向の長さ寸法が、前記斜面部のものより大きくなっていることが望ましい。
本発明の歩み板は、地上面から荷台までの搬送路となる搬送面に、複数の段差部が設けられ、その段差部に、斜面部と水平面部とを形成している。また、搬送路を形成したときに、水平面部は、一端部から他端部に向かう方向の長さ寸法が、斜面部のものより大きくなっている。この構成によれば、地上面から荷台まで延びる搬送路において、斜面部の長さを短くできるため、車両のフロントスポイラーが歩み板に干渉する可能性を軽減できる。

【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両運搬車の荷台の後端部に設けられる歩み板であって、荷台に車両を積み降ろしする際に、車両のフロントスポイラーとの干渉を防止する歩み板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の歩み板が設けられた荷台を備えた車両運搬車を示した模式図であり、水平姿勢の荷台に運搬車両が積み込まれた状態を示している。
図2】本発明の実施形態の歩み板が設けられた荷台を備えた車両運搬車を示した模式図であり、荷台を傾斜させて運搬車両を積み込みでいる最中の状態を示している。
図3】本発明の実施形態の歩み板が設けられた荷台と当該荷台を支持するチルトフレームとを示した模式図である。
図4】本発明の実施形態の歩み板が設けられた荷台の平面を示した模式図である。
図5】本発明の実施形態の歩み板の搬送面を示した模式図である。
図6】本発明の実施形態の歩み板の接地面を示した模式図である。
図7】本発明の実施形態の歩み板の側面を示した模式図である。
図8】本発明の実施形態の歩み板と荷台との接続部分を説明するための模式図である。
図9図2に示すA部を拡大して示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態は、荷台の後部に取り付けられる歩み板の構成に特徴があり、それ以外の構成は従来のものと同じである。そのため、以下では、上記特徴を詳細に説明し、それ以外の構成については、省略或いは簡略化して説明する。また、歩み板は、テールゲート、或いは踏板とも呼ばれているが、本実施形態では、歩み板の名称で説明する。
【0014】
先ず、本実施形態の概略について、図1図4を参照しながら説明する。
ここで、図1は、本実施形態の歩み板が設けられた荷台を備えた車両運搬車を示した模式図であり、水平姿勢の荷台に運搬車両が積み込まれた状態を示している。図2は、本実施形態の歩み板が設けられた荷台を備えた車両運搬車を示した模式図であり、荷台を傾斜させて運搬車両を積み込みでいる最中の状態を示している。図3は、本実施形態の歩み板が設けられた荷台と当該荷台を支持するチルトフレームとを示した模式図である。図4は、本実施形態の歩み板が設けられた荷台の平面を示した模式図である。
【0015】
本実施形態の歩み板Wは、車両運搬車100の荷台110の後端部において、荷台110の荷物搭載面(以下、「搭載面」という)110aから略垂直・上方に延びる起立状態(図1参照)と、搭載面110aと略面一をなして該荷台より後方(車両前後方向における後方)に延びる倒伏状態(図2参照)とになるように、荷台110の後端部に回動自在に支持されている。
【0016】
また、図1、2に示すように、車両運搬車100は、車体フレーム101と、車両前後方向(図中に示すX方向)の後方に下傾するチルトフレーム103と、チルトフレーム103に対して車両前後方向にスライド自在に支持されている荷台110とを有し、荷台110の後端部側に、歩み板Wが設けられている。
【0017】
上記の歩み板Wは、その下端部が、車両運搬車100の荷台110の後端部に設けられたヒンジ軸130を介して、荷台110に対して回動自在に取り付けられている。
また、歩み板Wは、一方面が運搬車両Cを通行させる搬送面(乗り込み面)Waになっており、他方面が地上面Gに接地する接地面Wbになっている。また、歩み板Wの搬送面Waには、複数の段差部が形成されており、この段差部により、荷台110に運搬車両Cを積み込む際に、歩み板Wと、運搬車両Cのフロントスポイラーとの干渉を防止している。
【0018】
なお、車両運搬車100は、走行しているとき等には、図1、3に示すように、チルトフレーム103が水平姿勢で車体フレーム101に支持され、この姿勢のチルトフレーム103に荷台110が引き上げられた状態で支持されている。この場合、歩み板Wは、荷台110の後端部において、荷台110の搭載面110a(図1、3、4参照)に対して略垂直に立てられた起立状態で利用される。このとき、歩み板Wは、搬送面Waが荷台110側に向けて配置されると共に、接地面Wbが後方・外側方向に向けて配置されるようになっている。
【0019】
また、荷台110に運搬車両Cを搬入(或いは荷台100から運搬車両Cを搬出)するときには、先ず、停止した状態の車両運搬車100の操作部(図示せず)を操作し、チルトフレーム103を水平姿勢から後方側に傾斜した傾斜姿勢にする。
そして、チルトフレーム103を水平姿勢から後方側に傾斜した傾斜姿勢にすると、チルトフレーム103にスライド自在に支持されている荷台110が、チルトフレーム103と共に傾斜し且つチルトフレーム103に沿って後方側にスライドし移動する。また、後方側に移動した荷台110は、その後端の下端部が地上面Gに接地するようになっている。
【0020】
次に、起立状態の歩み板Wをヒンジ軸130回りに後方へ向けて回動させ倒し倒伏状態にし、歩み板Wの接地面Wbの自由端(先端)側の接地板21を地上面Gに接地させると、搬送面Waが上方に向くと共に、歩み板Wが荷台110と地上面Gとの間に架設され、搬送面Waが地上面Gから連続的に繋がり該荷台まで延びる搬送路を形成する。
【0021】
そして、荷台110と地上面Gとの間に架設させた歩み板Wにより形成された搬送路の搬送面Waに運搬車両Cを乗り上げ通行させることにより、荷台110に運搬車両Cを搬入(或いは荷台100から運搬車両Cを搬出)できるようになっている(図2参照)。
なお、搬送面Waのうち、後述する、一対の歩み板本体部20・20に運搬車両Cのタイヤが乗り上げられ、運搬車両Cの搬入や搬出が行われる。
【0022】
次に、本実施形態の歩み板Wの構成について、上述した図1〜4と、図5〜7とを参照しながら説明する。
なお、図5は、本実施形態の歩み板の搬送面を示した模式図であり、図6は、本実施形態の歩み板の接地面を示した模式図であり、図7は、本実施形態の歩み板の側面を示した模式図である。
【0023】
図5、6に示すように、歩み板Wは、荷台110の車幅方向(図示するY方向)に延びる基端部10と、基端部10の左右・両側に所定間隔を開けて取り付けられた一対の歩み板本体部20・20と、1対の歩み板本体部20・20の間に配置され、1対の歩み板本体部20・20を連結する連結部30とを有している。
【0024】
上記の連結部30は、平面視で矩形の板状に形成されており、車幅方向の一端部が一方の歩み板20の内側・側面に当接し固定され、車幅方向の他端部が他方の歩み板20の内側・側面に当接し固定されている(連結部30は、左右両側が1対の歩み板本体部20・20に挟持されている)。また、連結部30は、その下端部が基端部10に支持・固定されている。なお、連結部30は、縦方向(図中のZ方向)の長さ寸法が、歩み板本体部20の縦方向の長さ寸法よりも小さくなっている(図示する例では、連結部30は、縦方向の長さ寸法が、歩み板本体部20の縦方向の長さ寸法の半分程度の寸法になっている)。
【0025】
また、基端部10は、荷台110の車幅方向に延びる底壁10aと、底壁10aの長手方向の両端から略直角に延設された側壁10b・10bと、底壁10aの短手方向の一端から略直角に延設された後壁10cとを有する、断面視L字状に形成されている。
そして、基端部10の底壁10aには、一対の歩み板本体部20の下端部と、連結部30の下端部とが載置されている。また、基端部10の一方の側壁10bには、一方の歩み板本体部20の下端部の外側・側面が当接し、基端部10の他方の側壁10bには、他方の歩み板本体部20の下端部の外側・側面が当接している。また、基端部10の後壁10cには、一対の歩み板本体部20の接地面の下端部側の部分と、連結部30の下端部側の部分とが当接している。
【0026】
また、歩み板本体部20は、平面視矩形に形成されており(図5、6参照)、一端部が自由端になっており、他端部が基端部10に支持・固定されている。
【0027】
また、図7に示すように、歩み板本体部20は、その一方面である搬送面Wa側に、複数(3段)の段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)が形成されており、自由端から他端部(基端部10側)に向けて、厚さ方向(図示する「h方向」)の寸法が段階的に大きくなっている。
【0028】
図示する例では、自由端を基準にして(自由端から見て)1段目の第1段差部22は、厚さ寸法が「h1(mm)」になっており、自由端から見て2段目の第2段差部23は、厚さ寸法が「h2(mm)」になっており、自由端から見て3段目の第3段差部24は、厚さ寸法が「h3(mm)」になっている。
なお、各段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)の厚さ寸法は、「h1」<「h2(h2=2*h1)」<「h3(h3=3*h1)」の関係になっている。
【0029】
また、各段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)は、いずれも、その一端部側の端部(先端部)に、一端部側から他端部側に向けて徐々に厚さ寸法が大きくなる斜面部(第1斜面部22a、第2斜面部23a、第3斜面部24a)が形成されている。
また、各段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)には、斜面部(第1斜面部22a、第2斜面部23a、第3斜面部24a)に加えて、当該斜面部の頂部から他端部に向けて水平方向(図示するZ方向)に延びる水平面部(第1水平面部22b、第2水平面部23b、第3水平面部24b)が形成されている。
【0030】
具体的には、第1段差部22は、歩み板本体部20の一端部から他端部に向け且つ斜め上方に延びる第1斜面部22aと、第1斜面部22aの頂部から前記他端部に向けて水平方向に延びる第1水平面部22bとにより構成されている。なお、第1斜面部22aの縦方向(図中のZ方向)の長さ寸法は、第1水平面部22bの縦方向の長さ寸法より小さくなっている(図示する例では、第1斜面部22aの縦方向の長さ寸法は、第1水平面部22bの縦方向の長さ寸法の1/2程度になっている)。
【0031】
また、第2段差部23は、第1水平面部22bの後端部から前記他端部に向け且つ斜め上方に延びる第2斜面部23aと、第2斜面部23aの頂部から前記他端部に向けて水平方向に延びる第2水平面部23bとにより構成されている。なお、第2斜面部23aの縦方向(図中のZ方向)の長さ寸法は、第2水平面部23bの縦方向の長さ寸法より小さくなっている(図示する例では、第2斜面部23aの縦方向の長さ寸法は、第2水平面部23bの縦方向の長さ寸法の1/6程度になっている)。
【0032】
また、また、第3段差部24は、第2水平面部23bの後端部から前記他端部に向け且つ斜め上方に延びる第3斜面部24aと、第3斜面部24aの頂部から前記他端部に向けて水平方向に延びる第3水平面部24bとにより構成されている。なお、第3斜面部24aの縦方向(図中のZ方向)の長さ寸法は、第3水平面部24bの縦方向の長さ寸法より小さくなっている(図示する例では、第3斜面部24aの縦方向の長さ寸法は、第3水平面部24bの縦方向の長さ寸法の1/8程度になっている)。
なお、第1段差部22の一端部側の裏面(接地面Wb)には、矩形の薄板状の接地板21が取り付けられており、歩み板Wを倒伏状態にしたときに、この接地板21が地上面Gに接地するようになっている。
【0033】
なお、本実施形態は、歩み板本体部20がどのような製造方法で形成されてもよい。例えば、3枚の平面視・矩形状の板材(後述する第1板材20a、第2板材20b、第3板材20c)と、1枚の平面視・矩形状の板材(接地板21)と、補強部材(後述する補強部材28a、28b、28c)とを組み立て溶接手段やボルト及びナット等の手段で固定して形成しても良いし、鋳造やプレス成形等により、図示する形状の歩み板本体部20を形成するようにしても良い。
【0034】
例えば、3枚の平面視・矩形状の板材と、平面視・矩形の薄板状の接地板21と、補強部材とを組み立てることで歩み板本体部20を形成する場合、横幅寸法が同じになっている、3枚の平面視・矩形状の板材(金属等で形成された板材(第1板材20a、第2板材20b、第3板材20c))を準備する。
また、上記の板材(第1板材20a、第2板材20b、第3板材20c)は、少なくとも、平面視・矩形状の上面部と、上面部の左右両側から略直角に屈曲した1対の側面部とを有している。また、1対の側面部の下端には、当該下端から内側に向けて略直角に屈曲して延設された脚片部が形成されている。
【0035】
また、上記の板材の上面部は、一端部側にテーパ部が形成されており、組み立てられたときに、このテーパ部が斜面部(第1斜面部22a、第2斜面部23a、第3斜面部24a)を形成する。
なお、第1板材20aは縦方向(図中のZ方向)の長さ寸法が「z1(mm)」、第2板材20bは縦方向の長さ寸法が「z2(z2>z1)(mm)」、第3板材20cは縦方向の長さ寸法が「z3(z3<z2)(mm)」になっている(図7参照)。
【0036】
そして、3枚の板材を部分的に重なり合うように配置して固定する(例えば、溶接手段により固定する)ことにより、搬送面Wa側に、3段の段差部を形成している。
具体的には、第1板材20aと、第2板材20bとを他端部(下端部)の位置を揃えると共に、左右両側の位置を揃えて、且つ第2板材20bの上面部に、第1部材20aの脚片部を重ね合わせて固定する。また、第2板材20bと第3板材20cの左右両側の位置を揃えて、且つ第2板材20bの脚片部のなかの第1板材20aと重なっている部分に、第3板材20cの上面部を重ね合わせて固定する。
【0037】
また、上記のように、3枚の板材(第1板材20a、第2板材20b、第3板材20c)を重ね合わせて固定された中間体の裏面(接地面Wbになる側)に、中空棒状の補強部材28a、28b、28c(図6参照)を取り付ける。その後、第3板材20cの一端側の脚片部に、矩形の薄板状の接地板21を重ね合わせて取り付けて固定する。この作業により、搬送面Wa側に、複数(3段)の段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)が形成された、縦方向(図中のZ方向)の長さ寸法が「z4(mm)」の歩み板本体部20が得られる。
【0038】
また、歩み板本体部20の各寸法については、特に限定されるものではない。
例えば、歩み板Wは、第1斜面部22aのZ方向の長さ寸法が、第1水平面部22bのZ方向の長さ寸法の半分程度の長さ寸法であり、第2、3斜面面部23a、24aのZ方向の長さ寸法が、厚さ寸法「h1」の2倍程度(2*h1)の長さ寸法であっても良い。
【0039】
次に、歩み板Wと、荷台110との接続構造について、上述した図1、2と、図8とを用いて説明する。
なお、図8は、本実施形態の歩み板と荷台との接続部分を説明するための模式図である。
【0040】
図示するように、本実施形態の歩み板Wは、基端部10側の左右・両端部が、一対の荷台接続部材120・120に固定されている。また、荷台接続部材120・120は、荷台110の後端部側に設けられたヒンジ軸130に回動自在に取り付けられている。
【0041】
図示する例では、荷台接続部材120は、ヒンジ軸130に回動自在に取り付けられた回動部120aと、回動部120aに支持・固定されており、回動部120と共に回動するアーム部120bとを有している(図8参照)。また、アーム部120bに、歩み板Wの基端部10が支持・固定されている。
この構成により、歩み板Wは、荷台接続部材120を介して、荷台110に回動自在に支持される。そして、歩み板Wは、荷台接続部材120を介して、荷台110に略垂直に起立させた起立状態で支持されるともに、起立状態からヒンジ軸130回りに後方へ向けて回動させて倒して倒伏状態にすることができる。
【0042】
次に、荷台110に運搬車両Cを搬入(或いは荷台100から運搬車両Cを搬出)させるために、歩み板Wを倒伏させ、荷台110と地上面Gとの間に架設させて形成した搬送路について、上述した図7と、図9とを参照しながら説明する。
なお、図9は、図2に示すA部を拡大して示した模式図である。
【0043】
起立状態の歩み板Wをヒンジ軸130回りに後方へ向けて回動させ倒し倒伏状態にして、歩み板Wの接地面Wbの自由端(先端)側の接地板21を地上面Gに接地させると、歩み板Wは、荷台110と地上面Gとの間に架設されて、地上面Gから連続的に繋がり荷台110まで延びる搬送路を形成する(図9参照)。また、搬送路となっている歩み板Wの搬送面Waには、3つの段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)が形成され、搬送面Waは、地上面Gから荷台110に向けて、段階的に地上面Gからの高さ寸法が上昇している。
【0044】
また、上述した通り、上記の搬送路を形成する搬送面Waには、複数の段差部22、23、24が設けられている。そして、各段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)には、いずれも、搬送路を形成したときに、その一端部側に、一端部側から他端部側に向けて地上面Gからの高さ寸法が徐々に大きくなる斜面部22a、23a、24aが形成されている。また、各段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)には、いずれも、搬送路を形成したときに、斜面部22a、23a、24aに加えて、各斜面部22a、23a、24aの頂部から他端部に向けて延びる水平面部22b、23b、24bが形成されている。
なお、上記の各水平面部22b、23b、24bは、一端部から他端部に向かう方向(図中のX方向)の長さ寸法が、斜面部22a、23a、24aのものより大きくなっている。
【0045】
そして、地上面Gにある運搬車両Cを荷台110に搬入する場合、運搬車両Cは、先ず、地上面Gと略同じ高さ位置に配置されている「歩み板Wの第1段差部22の先端部」から第1斜面部22aに乗り上がり、第1斜面部22aを通って、第1段差部22の第1水平面部22bの位置に進入する。これにより、運搬車両Cは、地上面Gから1段差分・上段の位置に移動し、地上面Gから「約h1(h1+接地板21の厚さ寸法)mm」の高さ寸法分・上昇した状態になる。
【0046】
次に、運搬車両Cは、第1水平面部22bと略同じ高さ位置に配置されている「歩み板Wの第2段差部23の先端部」から第2斜面部23aを通って、第2段差部23の第2水平面部23bまで進入する。これにより、運搬車両Cは、第1水平面部22bから1段差分・上段の位置に移動し、第1水平面部22bから「h1mm」の高さ寸法分・上昇した状態になる。なお、運搬車両Cは、地上面Gから見ると、2段差分・上段の位置に移動し、地上面Gから「約h2(h2(2*h1)+(接地板21の厚さ寸法))mm」の高さ寸法分・上昇した状態になる。
【0047】
次に、運搬車両Cは、第2水平面部22bと略同じ高さ位置に配置されている「歩み板Wの第3段差部24の先端部」から第3斜面部24aを通って、第3段差部24の第3水平面部24bまで進入する。これにより、運搬車両Cは、第2水平面部23bから1段差分・上段の位置に移動し、「h1mm」の高さ寸法分・上昇する。なお、運搬車両Cは、地上面Gから見ると、3段差分・上段の位置に移動し、地上面Gから「約h3(h3(3*h1)+(接地板21の厚さ寸法))mm」の高さ寸法分・上昇する。
その後、運搬車両Cは、歩み板Wの第3段差部24の第3水平面部24bから荷台110の搭載面110aに移動していき、荷台110の上に搬入される。
【0048】
このように、本実施形態の歩み板Wは、倒伏状態にして、荷台110と地上面Gとの間に架設させると、地上面Gから連続的に繋がって荷台110の搭載面110aまで延びる搬送路を形成する。また、この搬送路は、3つの段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)により、地上面Gから荷台110の搭載面110aに向けて、段階的に地上面Gからの高さ寸法が上昇していく構成になっている。
すなわち、本実施形態では、地上面Gから荷台110まで延びる搬送路(歩み板Wにより形成された搬送路)は、上述した従来技術のような「地上面から荷台まで直線状に延びる傾斜面」ではなく、段階的に地上面からの高さ寸法が大きくなる段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)が形成された構成になっている。
【0049】
この構成によれば、運搬車両Cは、歩み板Wの各段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)を登ることで、段階的に、地上面Gから上昇するようになる。また、このとき、運搬車両Cのフロントスポイラーは、車両Cと共に、段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)の高さ寸法分(厚さ方向の寸法分)だけ、歩み板Wから離間する方向に押し上げられるため、「直線状に延びる傾斜面(段差が無い傾斜面)を形成する歩み板」を通る場合と比べ、車両Cのフロントスポイラーが、歩み板Wの搬送面Waに干渉する可能性が軽減される。
【0050】
また、本実施形態では、上述したように、運搬車両Cのフロントスポイラーとの干渉を防ぐために、歩み板Wの搬送面Waに段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)を設けた構成を採用しているが、各段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)の一端部側に斜面部を形成しているため、運搬車両Cがスムーズに段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)の上に登ることができる。すなわち、本実施形態の歩み板Wは、段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)を有する構成でありながら、車両Cをスムーズに荷台110まで通行させることができる。
【0051】
また、本実施形態の歩み板Wは、地上面Gから荷台110までの搬送路となる搬送面Waに、複数の段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)が設けられ、その段差部に、斜面部22a、23a、24aと、水平面部22b、23b、24bとを形成している。また、搬送路を形成したときに、水平面部22b、23b、24bは、一端部から他端部に向かう方向(図示するX方向)の長さ寸法が、斜面部22a、23a、24aのものより大きくなっている。この構成によれば、地上面Gから荷台110まで延びる搬送路において、各斜面部22a、23a、24aの長さを短くできるため、運搬車両Cのフロントスポイラーが歩み板Wに干渉する可能性を軽減できる。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、歩み板Wを倒伏させて荷台110と地上面Gとの間に架設した状態にして、歩み板により地上面Gから連続的に繋がって荷台110まで延びる搬送路を形成したときに、歩み板Wの搭載面110aに、段階的に地上面Gからの高さ寸法が上昇する、3段の段差部(第1段差部22、第2段差部23、第3段差部24)を設けているが、特にこれに限定されるものではない。段差部が4段以上であってもよいし、段差部が2段であってもよい。
【0054】
また、上述した実施形態の歩み板10では、運搬車両Cのタイヤが通る、一対の歩み板本体部20を有する構成になっているが、特にこれに限定されるものではない。例えば、基端部10に、基端部10と同じ横幅寸法に形成された「1枚の歩み板本体部」が取り付けられている構成になっていても良い。この場合は、連結部30が不要になる。また、歩み板本体部の一方面の搬送面には、歩み板本体部20と同様、複数の段差部が形成されているものとする。
【符号の説明】
【0055】
C…運搬車両
G…地上面

100…車両運搬車
101…車体フレーム
103…チルトフレーム
110…荷台
110a…
120…荷台接続部材
120a…回動部
120b…アーム部
130…ヒンジ軸

W…歩み板
Wa…搬送面
Wb…接地面
10…基端部
10a…底壁
10b…側壁
10c…底壁

20…歩み板本体部
21…接地板
22…第1段差部
22a…第1斜面部
22b…第1水平面部
23…第2段差部
23a…第2斜面部
23b…第2水平面部
24…第3段差部
24a…第3斜面部
24b…第3水平面部
28a…補強部材
28b…補強部材
28c…補強部材
30…連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9