【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、合成例、実施例及び比較例におけるポリイミドの動的粘弾性測定における損失弾性係数(tanδ)、フレキシブル金属箔積層体のデスミア液浸漬時のクラック耐性の評価法は次の通りである。
【0055】
(動的粘弾性測定)
SIIナノテクノロジー社製 DMS6100により空気雰囲気下にて動的粘弾性を測定し、測定温度に対して損失弾性係数(tanδ)をプロットしたグラフを作成した。貯蔵弾性率が急激に低下する温度付近でのtanδの極大化はα緩和によるものとみなし、それよりも低温でのtanδの極大化をβ緩和によるものとして、β緩和による極大化に基づいて、極大温度および極大値を読み取った。α緩和を示さないポリイミドについては、観察されたtanδの極大化をβ緩和によるものとみなした。
【0056】
・サンプル測定範囲;幅9mm、つかみ具間距離20mm
・測定温度範囲;0℃〜440℃
・昇温速度;3℃/分
・歪み振幅;10μm
・測定周波数;5Hz
・最小張力/圧縮力;100mN
・張力/圧縮ゲイン;1.5
・力振幅初期値;100mN
(フレキシブル金属箔積層体のデスミア液浸漬時のクラック耐性の評価)
実施例ならびに比較例で得られたフレキシブル金属箔積層体から長手方向に20cm、幅方向に25cmの大きさの積層体を切り取った。切り取った積層体の片側の金属箔層をエッチング処理し、配線幅250μm、配線間隔250μmのパターンを形成した。パターン形成していない側の金属箔は全てエッチングにより除去した。配線と平行な方向を長手方向とし、積層体から、長手方向に10cm、幅1.5cmのテストピースを切り出した。このテストピースを
図2示すように積層材に挟み、180℃、3.8kgf/cm
2の条件で60分間の熱プレス(一回目)を行った。
【0057】
別途、リジッド基板として、10cm×12cmのガラスエポキシ基板(FR4基板:厚み0.4mm)を用い、その中央部を、1cm×10cmの開口部が形成されるようにくり抜いた。その後、くり抜いた残りの縁の部分に両面テープを貼り付けた。上記熱プレス後のテストピースの端が両面テープに重なるように、テストピースをFR4基板の開口部上に並べ、リジッド基板とフレキシブル基板を一括して、180℃、30kgf/cm
2の条件で60分間、加熱および加圧(熱プレス工程(ニ回目))を行った。
【0058】
二回目の熱プレス工程後、テストピースをFR4基板から引き剥がし、当該テストピースを、50℃に保った膨潤液(セキュリガントP、Atotech社製)に90秒、65℃に保ったデスミア液(セキュリガントP500 P−Etch、Atotech社製)に300秒、40℃に保った中和液(セキュリガントP500、Atotech社製)に40秒の条件で順次浸漬した。浸漬後、当該テストピースを、水で洗浄した後に60℃で10分間乾燥させた。
【0059】
乾燥後のテストピースについて、二回目の熱プレス時にFR4基板と重なっていた箇所を光学顕微鏡にて観察を実施し、クラックの発生有無を確認した。クラック耐性において、クラックが確認されないものを「◎」、クラックが確認されるもののクラックの大きさ(長手方向)が1μm未満のものを「○」、クラックが確認されかつクラックの大きさ(長手方向)が1μm以上のものを「×」とした。なお、光学顕微鏡を使用して確認されたクラック(割れ、裂け)は、その大きさを問わずクラックと判定した。光学顕微鏡の倍率は、クラックと思われる箇所を判断するために最適な倍率とした。
【0060】
(合成例1)
反応系内を20℃に保った状態で、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFともいう)159.4kgに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAともいう)17.7kgを添加し、窒素雰囲気下で撹拌しながら1,4−ジアミノベンゼン(以下、p−PDAともいう)6.1kgを徐々に添加した。BPDAとp−PDAが溶解したことを目視確認した後、30分撹拌を行った。続いて、4,4’−オキシフタル酸二無水物(以下、ODPAともいう)2.1kgを添加して撹拌を続け、ODPAが溶解したことを目視確認した後、2,2’−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン(以下、BAPPともいう)3.3kgを添加し、30分撹拌を行った。
【0061】
最後に、0.8kgのBAPPを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0062】
このポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.8)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、350℃×87秒で乾燥およびイミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
【0063】
(合成例2)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF164.7kgにBPDAを16.0kg添加し、窒素雰囲気下で撹拌しながらBAPPを2.8kg、p−PDAを4.8kg徐々に添加した。BPDA、BAPP、および p−PDAが溶解したことを目視確認した後、30分撹拌を行った。続いて、ピロメリット酸二無水物(以下、PMDAともいう)3.0kgを添加して撹拌を続け、PMDAが溶解したことを目視確認した後、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、ODAともいう)3.0kgを添加し、30分撹拌を行った。
【0064】
最後に、0.4kgのODAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0065】
このポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.7)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、350℃×87秒で乾燥およびイミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
【0066】
(合成例3)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF164.5kgに4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(以下、m−TBともいう)を13.8kg添加し、窒素雰囲気下で撹拌を行った。m−TBの溶解を目視で確認した後、BPDAを7.7kg、PMDAを8.1kg添加して撹拌を続け、BPDAとPMDAとが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0067】
最後に、0.4kgのPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0068】
このポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/3.0)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、350℃×87秒で乾燥およびイミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
【0069】
(合成例4)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF164.3kgにm−TBを14.3kg添加し、窒素雰囲気下で撹拌を行った。m−TBの溶解を目視で確認した後、BPDAを4.0kg、PMDAを11.3kg添加して撹拌を続け、BPDAとPMDAとが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0070】
最後に、0.4kgのPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0071】
このポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.8)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、350℃×87秒で乾燥およびイミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
【0072】
(合成例5)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF167.6kgにm−TBを12.0kg添加し、窒素雰囲気下で撹拌を行った。m−TBの溶解を目視で確認した後、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAともいう)を17.9kg添加して撹拌を続け、BTDAが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0073】
最後に、0.2kgのPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0074】
このポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/3.8)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、350℃×87秒で乾燥およびイミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
【0075】
(合成例6)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF162.5kgにPDAを8.8kg、m−TBを4.5kg添加し、窒素雰囲気下で撹拌を行った。PDAとm−TBとの溶解を目視で確認した後、BPDA9.79kg、PMDA10.61kg添加して撹拌を続け、BPDAとPMDAとが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0076】
最後に、0.4kgのPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0077】
このポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.9)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、350℃×87秒で乾燥およびイミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
【0078】
(合成例7)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF164.5kgにODAを2.6kg、BAPPを8.1kg添加し、窒素雰囲気下で撹拌を行った。ODAとBAPPとの溶解を目視で確認した後、BTDAを4.2kg、PMDAを3.6kg添加して撹拌を続け、BTDAとPMDAとが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0079】
続いて、p−PDAを3.6kg添加して撹拌を続け、溶解を目視確認した後、PMDAを7.5kg添加し、PMDAが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0080】
最後に、0.4kgのPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0081】
このポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.9)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、350℃×87秒で乾燥およびイミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
【0082】
(合成例8)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF163.7kgにp−PDAを4.0kg添加し、窒素雰囲気下で撹拌を行った。p−PDAの溶解を目視で確認した後、PMDAを7.3kg添加して撹拌を続け、PMDAが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0083】
続いて、ODAを7.5kg添加して撹拌を続け、溶解を目視確認した後、BPDAを8.8kg、PMDAを2.0kg添加し、BPDAとPMDAとが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0084】
最後に、0.5kgのPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0085】
このポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.2)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、350℃×87秒で乾燥およびイミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
【0086】
(合成例9)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF163.4kgにm−TBを4.3kg、BAPPを5.5kg添加し、窒素雰囲気下で撹拌を行った。m−TBとBAPPとの溶解を目視で確認した後、BPDAを7.9kg添加して撹拌を続け、BPDAが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0087】
続いて、p−PDAを3.6kg添加して撹拌を続け、溶解を目視確認した後、PMDAを8.3kg添加し、PMDAが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0088】
最後に、0.5kgのPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0089】
このポリアミック酸溶液に、無水酢酸/イソキノリン/DMF(重量比2.0/0.6/2.8)からなるイミド化促進剤をポリアミック酸溶液に対して重量比50%で添加し、連続的にミキサーで撹拌しTダイから押出してステンレス製のエンドレスベルト上に流延した。この樹脂膜を130℃×100秒で加熱した後エンドレスベルトから自己支持性のゲル膜を引き剥がしてテンタークリップに固定し、250℃×15秒、350℃×87秒で乾燥およびイミド化させ、厚み12.5μmのポリイミドフィルムを得た。
【0090】
(合成例10)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF165.8kgにPDAを5.62kg添加し、窒素雰囲気下で撹拌を行った。PDAの溶解を目視で確認した後、BPDAを9.91kg、BTDAを2.15kg添加して撹拌を続け、BPDAとBTDAとが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0091】
続いて、ODAを4.46kg添加して撹拌を続け、溶解を目視確認した後、PMDAを5.66kg添加し、PMDAが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0092】
最後に、0.5kgのPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が3000ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0093】
(合成例11)
反応系内を20℃に保った状態で、DMF161.5kgにBAPPを21.8kg添加し、窒素雰囲気下で撹拌を行った。BAPPの溶解を目視で確認した後、BPDAを2.3kg、PMDAを9.5kg添加して撹拌を続け、BPDAとPMDAとが溶解したことを目視確認した後、30分間撹拌を行った。
【0094】
最後に、0.4kgのPMDAを固形分濃度7%となるようにDMFに溶解した溶液を調製し、この溶液を粘度上昇に気を付けながら上記反応溶液に徐々に添加し、粘度が300ポイズに達した時点で重合を終了した。
【0095】
(実施例1)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの両面に、合成例11で得られたポリアミック酸溶液を、片面あたりの最終厚みが3.0μmとなるように塗布し、140℃で2分間乾燥した。続いて、350℃で1分間加熱してイミド化を行い、総厚み18.5μmの積層ポリイミドフィルムを得た。
【0096】
得られた積層ポリイミドフィルムの両面に、金属箔として厚み12.5μmの電解銅箔(3EC−M3S−HTE、三井金属製)を配し、さらに両方の電解銅箔の外側に保護フィルム(アピカル125NPI;カネカ製)を配し、当該保護フィルムの外側からラミネート温度360℃、ラミネート圧力265N/cm(27kgf/cm)、ラミネート速度1.0m/分の条件で熱ラミネートを行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0097】
(実施例2)
合成例11で得たポリアミック酸溶液を、金属箔として厚み12.5μmの電解銅箔(3EC−M3S−HTE、三井金属製)の上に、イミド化後の最終厚みが3μmとなるようにバーコータを用いて塗布し、120℃で2分間乾燥した。さらに、乾燥後のポリアミック酸溶液の上から合成例1で得たポリアミック酸溶液を、イミド化後の厚みが12.5μmとなるようにバーコータを用いて塗布し、130℃×5分間乾燥した。さらに、乾燥後のポリアミック酸溶液の上にイミド化後の最終厚みが3μmとなるようにバーコータを用いて合成例11で得たポリアミック酸溶液を塗布し、120℃で2分間乾燥して、45分かけて350℃まで昇温させてイミド化を完了し、片面フレキシブル金属箔積層体を得た。片面フレキシブル金属箔の電解銅箔がない面に厚み12.5μmの電解銅箔(3EC−M3S−HTE、三井金属製)を配し、さらに両方の電解銅箔の外側に保護フィルム(アピカル125NPI;カネカ製)を配し、当該保護フィルムの外側から、ラミネート温度360℃、ラミネート圧力265N/cm(27kgf/cm)、ラミネート速度1.0m/分の条件で熱ラミネートを行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0098】
(実施例3)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例2で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0099】
(実施例4)
合成例1で得られたポリアミック酸の代わりに、合成例2で得られたポリアミック酸を使用する以外は実施例2と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0100】
(実施例5)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例3で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0101】
(実施例6)
合成例1で得られたポリアミック酸の代わりに、合成例3で得られたポリアミック酸を使用する以外は実施例2と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0102】
(実施例7)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例4で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0103】
(実施例8)
合成例1で得られたポリアミック酸の代わりに、合成例4で得られたポリアミック酸を使用する以外は実施例2と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0104】
(実施例9)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例5で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0105】
(実施例10)
合成例1で得られたポリアミック酸の代わりに、合成例5で得られたポリアミック酸を使用する以外は実施例2と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0106】
(実施例11)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例6で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0107】
(実施例12)
合成例1で得られたポリアミック酸の代わりに、合成例6で得られたポリアミック酸を使用する以外は実施例2と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0108】
(比較例1)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例7で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0109】
(比較例2)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例8で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0110】
(比較例3)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例9で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0111】
(比較例4)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、厚み12.5μmのポリイミドフィルム(アピカルNPI、カネカ製)を使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0112】
(比較例5)
合成例1で得られたポリイミドフィルムの代わりに、合成例10で得られたポリイミドフィルムを使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
【0113】
(参考例1)
比較例1と同様の操作を行い、フレキシブル金属箔積層体を作製した。クラック耐性の評価時に、二回の熱プレス工程を経ず、切り出したテストピースをそのまま評価液に浸漬した。
【0114】
実施例、比較例および参考例で使用した非熱可塑性ポリイミド樹脂層および積層ポリイミドフィルムのβ緩和由来のtanδの極大値温度および極大値、ならびにフレキシブル金属箔積層体のクラック耐性の結果を表1に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
比較例1〜5のフレキシブル金属箔積層体は、デスミア液に浸漬することでクラックが生じた。比較例1と同じフレキシブル金属箔積層体を使用し、熱プレスを省略した参考例1ではクラックが発生しておらず、熱プレスによってテストピース内に生じた熱歪みがクラック発生を促進していることを示している。
【0117】
これに対し、実施例1〜12のフレキシブル金属箔積層体ではクラックが発生しない結果となった。樹脂層がβ緩和を発現することにより、熱プレス時の熱歪みが緩和されていることを示している。また、実施例3〜10は、実施例1、2、11および12と比較して、クラック耐性の評価が更に高かった。