(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外部の無線機器と無線通信する通信部と、外部からの指令を受信する指令受信部と、光源を含む点灯部と、前記通信部、前記指令受信部および前記点灯部に接続された制御部とを備え、
前記指令受信部は、前記通信部が無線通信を行う前記無線機器を特定する無線機器特定指令を受信し、
前記制御部は、受信した前記無線機器特定指令に基づき、前記通信部を介して前記無線機器との無線通信を試行して、前記無線通信の信頼性に関する通信信頼性情報を取得し、取得した前記通信信頼性情報に基づいて、前記点灯部の点滅、調光および調色のうちの少なくとも1つを行う
照明器具。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態に係る照明システムおよび照明器具について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0012】
(実施の形態1)
[1−1.照明システムの構成]
図1は、実施の形態1に係る照明システム100を正面から見た概略図である。
図2は、照明システム100における照明器具および無線コントローラの配置の一例を示す平面図である。
図3は、照明システム100における照明器具および無線コントローラの通信信頼性情報を確認する様子を示す図である。
【0013】
照明システム100は、複数の照明器具11a、12a、13a、11b、12b、13b、11c、12c、13cと、設定器20と、コントローラ30とを備える。コントローラ30は、複数の無線コントローラ(無線機器)32a、32b、32cと、複数の無線コントローラ32a〜32cを束ねる上位コントローラ31とで構成されている。また、照明システム100は、設定器20とは別に、操作端末40を備えている。
【0014】
なお、
図1では、9台の照明器具11a、12a、13a、11b、12b、13b、11c、12c、13cが示されているが、実際は、建物の造営材(天井など)に100台以上の照明器具が設置されることがある。また、それに伴い、無線コントローラ32a、32b、32cも4台以上設置されることがある。以下、照明器具11a、12a、13a、11b、12b、13b、11c、12c、13c・・を総称して照明器具10と呼ぶ場合がある。無線コントローラ32a、32b、32c・・を総称して無線コントローラ32と呼ぶ場合がある。
【0015】
まず、複数の照明器具10、設定器20および複数の無線コントローラ32の通信系統について説明する。
【0016】
図1および
図2に示すように、複数の照明器具11a、12a、13aのそれぞれと無線コントローラ32aとは、無線r1により通信可能である。無線r1による通信方式としては、920MHz帯または2.4GHz帯の周波数を利用した特定小電力無線、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または、WiFi(登録商標)などの方式が用いられる。照明器具11b、12b、13bと無線コントローラ32bとの関係、照明器具11c、12c、13cと無線コントローラ32cとの関係についても同様である。
【0017】
図3に示すように、複数の照明器具10のそれぞれと、設定器20とは、指向性を有する赤外線通信icによって通信可能である。例えば、照明器具11aの近くに設定器20を位置させ、照明器具11aに向けて赤外線通信icで信号を送ることで、対象とする照明器具11aのみに指令を送信することができる。照明器具10のそれぞれは、設定器20からの赤外線信号を個別に受信することができるように、例えば、5mほど間隔をあけて天井に設置されている。なお、赤外線通信icに限られず、レーザ光またはNFC(Near Field Communication)など1対1で対応をとることが可能な無線を用いて、照明器具10に対して個別に信号を送信してもよい。
【0018】
操作端末40は、WiFi(登録商標)などの無線r2によって、上位コントローラ31と通信可能となっている。操作端末40は、上位コントローラ31に対して、照明器具10の通常時の点灯動作に関する設定を行う。
【0019】
以下、照明器具10、設定器20およびコントローラ30のそれぞれの構成について説明する。
【0020】
[1−2.照明器具]
照明器具10は、例えば、LEDライトであり、住宅等の建物の造営材に設置される。なお、照明器具10は、LEDライトに限られず、シーリングライトであってもよい。以下、照明器具10のうち照明器具11aを代表例に挙げて説明する。
【0021】
図4は、照明器具11aの制御構成を示すブロック図である。
【0022】
照明器具11aは、外部の無線コントローラ32aと無線通信する通信部15と、外部からの指令を受信する指令受信部16と、光源を含む点灯部17と、通信部15、指令受信部16および点灯部17に接続された制御部18と、制御部18に接続された記憶部19とを備えている。
【0023】
通信部15は、アンテナおよび無線モジュールなどにより構成されている。通信部15は、前述したように、無線r1を用いて無線コントローラ32aと通信可能である。
【0024】
指令受信部16は、例えば、赤外線センサであり、赤外線通信icで送信された指令を受信する。指向性を有する赤外線通信icを用いることで、例えば設定器20から個別に指令を受信することができる。
【0025】
本実施の形態において、指令受信部16は、通信部15がどの無線コントローラ32と無線通信を行うかを特定する無線機器特定指令を、設定器20から受信する。無線機器特定指令の中には、無線コントローラ32aのMACアドレス、利用チャンネル、および、照明器具11aの管理アドレス(例えばUDID:Unique Device IDentifier)などに関する設定情報が含まれている。
【0026】
点灯部17は、例えば、白色光、赤色光、緑色光または青色光を発する複数の発光ダイオードを含んでいる。点灯部17は、通信部15と無線コントローラ32aとの無線通信の信頼性に関する通信信頼性情報に基づいて、予め定められた点灯パターン(例えば点滅、調光、調色、消灯、フェード)の点灯を行う。通信信頼性情報とは、例えば、電波強度の強弱、管理アドレスの異常や利用チャンネルの異常、所定時間における通信回数の異常などに関する情報である。
【0027】
制御部18は、CPU(central processing unit)により構成され、点灯部17の作動状態を制御する。制御部18は、受信した無線機器特定指令に基づき、通信部15を介して特定された無線コントローラ32aとの通信を試行する。この通信の試行によって、制御部18は、通信部15と無線コントローラ32aとの通信信頼性情報を取得し、取得した通信信頼性情報に基づいて、点灯部17の点灯状態を変更させる。
【0028】
記憶部19は、RAM(Random Access Memory)およびROM(read only memory)などにより構成される。記憶部19には、上記の通信信頼性情報に対応する予め定められた点灯パターン(点滅、調光、調色、消灯、フェード)が保存されている。また、記憶部19からは、必要に応じて上記の通信信頼性情報に基づく所定の点灯パターンが読み出される。
【0029】
[1−3.設定器]
設定器20は、例えば、簡易リモコン(リモートコントローラ)であり、赤外線LEDなどの発信器を備えている。設定器20は、設定器20から照明器具10への一方向通信である赤外線通信icを用いて、照明器具10の通信部15に無線機器特定指令を送信する。この無線機器特定指令には、所定の照明器具10と所定の無線コントローラ32とを通信確立(ペアリング)させるための設定情報が含まれている。
【0030】
また、設定器20は、取得すべき通信信頼性情報に応じて複数種類の操作キー、例えば、電波強度に関する情報を取得する操作キー、管理アドレスや利用チャンネルの異常に関する情報を取得する操作キー、または、所定時間における通信回数の異常に関する情報を取得する操作キーを有していてもよい。
【0031】
[1−4.コントローラ]
コントローラ30は、複数の照明器具10を管理する管理サーバである。コントローラ30は、
図1に示すように、上位コントローラ31と、上位コントローラ31にケーブルで接続された無線コントローラ32a、32b、32cとを有している。
【0032】
上位コントローラ31は、照明器具10の作動を制御する指令を、無線コントローラ32を介して照明器具10に送信する。
【0033】
無線コントローラ32は、照明器具10と無線r1で通信する無線機器である。無線機器は、無線ルータや無線中継器であってもよいし、パーソナルコンピュータや携帯通信端末であってもよい。
【0034】
照明器具10と無線コントローラ32とが相手を特定して無線通信を行うためには、施工時等において、照明器具10と無線コントローラ32との通信確立(ペアリング)を行っておく必要がある。以下、照明器具10および無線コントローラ32の通信確立について説明する。
【0035】
[1−5.照明器具および無線コントローラの通信確立]
次に、照明器具10と無線コントローラ32との通信確立(ペアリング)について説明する。以下、照明器具11aを代表例に挙げ、照明器具1台ずつ通信確立を行う方法について説明する。
【0036】
図5Aは、照明器具11aの通信確立方法を示すフローチャートである。
図5Bの(a)は、照明器具11aにおいて通信確立を行う様子を示す図であり、(b)は(a)の次のアクションを示す図である。
【0037】
まず、設定器20を用いて、100%点灯している照明器具11aに無線機器特定指令を送信する。これにより、照明器具11aは無線機器特定指令を受信する(S11)。無線機器特定指令は、例えば、照明器具11aが、特定の無線コントローラ32aと無線通信を行う指令である。
【0038】
無線機器特定指令を受信した照明器具11aは、通信部15を介して無線コントローラ32aとの無線通信を試行する(S12)。本実施の形態では、無線通信の施行によって、電波強度に関する通信信頼性情報を取得する。無線通信を試行した後、照明器具11aは点滅状態となる。この点滅は、無線通信の試行を終了して、取得した通信信頼性情報をこれから報知することを示すスタート合図である。このスタート合図(点滅)により施工業者は、照明器具11aと無線コントローラ32aとの通信信頼性情報が、今から開示されることを視覚的に把握する。
【0039】
次に照明器具11aは、第1段階として、無線通信の試行の結果である通信信頼性情報に応じて点灯状態を変化させる(S13)。具体的には、照明器具11aは、無線コントローラ32aの電波強度の強弱を3段階の調光で表現する。例えば、電波強度が強ければ100%点灯し、電波強度が中であれば30%点灯し、電波強度が弱ければ0%点灯(消灯)する。この点灯状態は、例えば、数秒間保持される。この点灯状態の保持により、施工業者は、照明器具11aと無線コントローラ32aとの電波強度の強さを視覚的に把握する。
【0040】
第1段階の点灯を終えた照明器具11aは、無線コントローラ32aとの通信確立を実行する(S14)。通信確立を実行した後、照明器具11aは点滅状態となる。この点滅は、通信確立を終了して、通信確立の結果をこれから報知することを示すエンド合図である。このエンド合図(点滅)により施工業者は、照明器具11aと無線コントローラ32aとの通信確立の結果が、今から開示されることを視覚的に把握する。
【0041】
次に、照明器具11aの制御部18は、通信確立が成功したか失敗したかを判断する(S15)。そして、第2段階として、通信確立の成否に応じ、点灯状態を変化させる。具体的には、通信確立が成功した場合は成功パターンである下限点灯を行い(S16)、通信確立が失敗した場合は失敗パターンである100%点灯を行う(S17)。この点灯状態により、施工業者は、照明器具11aと無線コントローラ32aとの通信確立の成否を視覚的に把握する。なお、照明器具11aは、成功パターンとして100%点灯し、失敗パターンとして下限点灯するように設定されていてもよい。
【0042】
次に、施工業者は、照明器具11aのこれまでの点灯状態の経緯から、次に示すアクション(対策行動)をとる。
【0043】
例えば、
図5Bの(b)に示すように、S13において電波強度が強く、かつ、S16において通信確立が成功している場合は、照明器具11aと無線コントローラ32aとの通信確立が問題なく終了したと判断する。また、S13において電波強度が中レベルで、かつ、S16において通信確立が成功している場合も、特に問題なしと判断する。一方、S13において電波強度が弱いと認識した場合は、S16において通信確立が成功していても、不安定な状態にあるのでこのまま放置せず、他の無線コントローラ(例えば32b)との接続を試みる。または、無線コントローラ32aとの間に中継器を入れたり、新たな無線コントローラを追加したりする。
【0044】
また、例えば、S13において電波強度が強いにもかかわらず、S17のように通信確立が失敗している場合は、電波環境以外に問題があると判断し、照明器具11aおよび無線コントローラ32aの販売メーカへ問い合わせを行う。また、S13において電波強度が中レベルで、かつ、S17のように通信確立が失敗している場合は、上記と同様の対策をとる。また、S13において電波強度が弱く、かつ、S17において通信確立が失敗している場合は、電波環境に問題があると判断し、他の無線コントローラ(例えば32b)との接続を試みる。または中継器を入れたり、新たな無線コントローラを追加したりする。
【0045】
これらの作業によって、照明器具11aと無線コントローラ32aとの通信確立を終了する。以下、他の照明器具10についても1台ずつ同様に通信確立を行う。
【0046】
この照明器具10の通信確立方法によれば、無線通信の試行から通信確立に至る経緯において、無線通信の電波状態を視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が照明器具10の電波状態の良否を実感し、また、電波状態が良くない照明器具10および無線コントローラ32等に対しては確信を持って対策をとることができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0047】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る照明器具10および無線コントローラ32の通信確立について説明する。実施の形態2では、通信信頼性情報が電波強度ではなく、通信の際の異常情報である点で実施の形態1と異なる。
【0048】
図6Aは、実施の形態2に係る照明器具11aの通信確立方法を示すフローチャートである。
図6Bの(a)は照明器具11aにおいて通信確立を行う様子を示す図であり、(b)は(a)の次のアクションを示す図である。
【0049】
まず、照明器具11aは無線機器特定指令を受信する(S11)。次に、照明器具11aは、通信部15を介して無線コントローラ32aとの無線通信を試行する(S12)。
【0050】
本実施の形態では、このステップS12において、無線通信が異常であるという異常情報に関する通信信頼性情報を取得する。次に、照明器具11aは、第1段階として、異常情報に応じて点灯状態を変化させる(S13)。具体的には、照明器具11aは、異常情報を3段階の調光で表現する。例えば、通信タイムアウトなどの異常であれば100%点灯し、混信などの異常であれば30%点灯し、照明器具11aの管理アドレスが重複しているなどの異常であれば0%点灯(消灯)する。この点灯状態は、例えば、数秒間保持される。この点灯状態の保持により、施工業者は、照明器具11aと無線コントローラ32aとの異常状態を視覚的に把握する。なお、照明器具11aの調光の違いは、異常レベルの高低を表わすものでなく、照明器具11aの状態を知らせるための表現の違いである。
【0051】
第1段階の点灯を終えた照明器具11aは、無線コントローラ32aとの通信確立を実行する(S14)。通信確立を実行した後、照明器具11aは点滅状態となる。この点滅は、通信確立の結果をこれから報知することを示すエンド合図である。
【0052】
次に、照明器具11aの制御部18は、通信確立が成功したか失敗したかを判断するが、本実施の形態の場合、異常情報をすでに取得しているので、通信確立は失敗となる。すなわち、照明器具11aは、失敗パターンである100%点灯となる(S17)。
【0053】
次に、施工業者は、照明器具11aのこれまでの点灯状態の経緯から、次に示すアクションをとる。
【0054】
例えば、
図6Bの(b)に示すように、S13において通信タイムアウトであると認識すれば、無線コントローラ32aが起動されているか、無線コントローラ32aの管理アドレスが正しいか、利用チャンネルが正しいかなどを確認する。これらの確認事項が正しく設定されている場合は、具体的な対策として他の無線コントローラ(例えば32b)との接続を試みる。また、S13において混信などの異常があると認識すれば、他の無線コントローラ32との接続を試みる。また、S13において照明器具11aの管理アドレスの重複があると認識すれば、照明器具11aの管理アドレスを確認し、管理アドレスが誤りであれば変更してリトライする。
【0055】
これらの作業によって、照明器具11aと無線コントローラ32aとの通信確立を終了する。以下、他の照明器具10についても1台ずつ同様に通信確立を行う。
【0056】
この照明器具10の通信確立方法によれば、無線通信の試行から通信確立に至る経緯において、無線通信の異常状態を視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が照明器具10の異常状態を実感し、また、異常状態にある照明器具10および無線コントローラ32等に対しては確信を持って対策をとることができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0057】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る照明器具10および無線コントローラ32の通信確立について説明する。実施の形態3では、実施の形態1または2において通信確立に失敗した場合の、その後の対処方法について説明する。
【0058】
図7Aは、実施の形態3に係る照明器具11aであって、通信確立失敗後の対処方法を示すフローチャートである。
図7Bの(a)は通信確立失敗後の対処方法を示す図であり、(b)は(a)の次のアクションを示す図である。
【0059】
まず、実施の形態1と同様にステップS11〜S17を実行する。次に、
図5の(b)に示された項目のように、結果的に通信確立に失敗したのか、または、電波強度が弱かったのかという判断確認を行う(S18)。通信確立に失敗しておらず、また、電波強度が弱くない場合(S18のNo)、すなわち適切に通信確立を行った場合は、このフローを終了する。一方、通信確立に失敗した、または、電波強度が弱かった場合(S18のYes)は、他の無線コントローラ32との無線通信ができないかを試みる(S19)。具体的には、電波強度が強または中の他の無線コントローラ32が存在しないか探す。他の無線コントローラ32との無線通信を試行した後、照明器具11aは点滅状態となる。この点滅により、施工業者は、照明器具11aと他の無線コントローラ32との無線通信の試行が終了したことを視覚的に把握する。ただし、この時点では、他の無線コントローラ32がどれであるかを把握できない。
【0060】
そこで、照明器具11aが他の無線コントローラ32と通信確立できそうな場合は、他の無線コントローラ32の管理アドレス(識別情報)を、点灯部17の点滅回数によって通知する(S20)。例えば、通信確立できそうな無線コントローラ32bの管理アドレスが「B」であれば、アルファベットの2番目を示すように2回点滅させて、管理アドレスBの無線コントローラ32bと通信確立できることを知らせる。この点滅回数により、施工業者は、照明器具11aと、どの無線コントローラ32bとが通信確立できるかを視覚的に把握する。照明器具11aは、通信確立できそうな他の無線コントローラ32の識別情報を報知した後、点滅状態となってエンド合図を出す。
【0061】
次に、施工業者は、
図7Bの(b)に示すように、照明器具11aの点滅回数によって示された無線コントローラ32bに対して通信確立を試みる。これらの作業によって、照明器具11aと無線コントローラ32bとの通信確立を終了する。以下、他の照明器具10についても1台ずつ同様に通信確立を行う。
【0062】
この照明器具10の通信確立方法によれば、無線通信の試行から通信確立に至る経緯において、通信確立することができる他の無線コントローラ32を視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が確信を持って他の無線コントローラ32との通信確立を行うことができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0063】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る照明器具10および無線コントローラ32の通信確立について説明する。実施の形態4では、照明器具11aの通信確立が設定済み(管理アドレスを設定済み)である場合について説明する。本実施の形態は、例えば、日をまたがって施工作業をした場合、どこまで設定作業を行ったか失念した場合、また、単純に、目の前の照明器具11aがどういう設定状態にあるかを確認したい場合などに適用される。
【0064】
図8Aは、実施の形態4において、アドレス設定の有無の確認方法を示すフローチャートである。
図8Bの(a)はアドレス設定の有無を確認する様子を示す図であり、(b)は(a)の次のアクションを示す図である。
【0065】
まず、100%点灯などの任意の状態にある照明器具11aは、通信確立に関する確認指令を受信し(S11)、自身がいずれかの無線コントローラ32と通信確立済みであるか否かを確認する。(S11A)。ここで、照明器具11aが通信確立をまだ行っていない場合(S11AのNo)は、
図8Aの右側に示すステップS12〜S17に進む。ステップS12〜S17については、実施の形態1と同様なので説明を省略する。
【0066】
照明器具11aがすでに通信確立済である場合(S11AのYes)は、通信確立済であることを点灯状態によって知らせる(S11B)。具体的には、照明器具11aの記憶部19に所定の無線コントローラ32と通信確立を行った記録がある場合は、色温度を3000Kから5000Kに変化させることで、通信確立済であることを知らせる。この色温度の変化により、施工業者は、照明器具11aと所定の無線コントローラ32とが通信確立済であることを視覚的に把握する。ただし、この時点では、どの無線コントローラ32と通信確立済であるかを把握できない。
【0067】
そこで、照明器具11aは、通信確立済である無線コントローラ32の管理アドレスを、点灯部17の点滅回数によって通知する(S11C)。例えば、通信確立済である無線コントローラ32aの管理アドレスが「A」であれば、アルファベットの1番目を示すように1回点滅させて、管理アドレスAの無線コントローラ32aと通信確立済であることを知らせる。この点滅回数により、施工業者は、照明器具11aと、どの無線コントローラ32とが通信確立済であることを視覚的に把握する。照明器具11aは、通信確立できそうな他の無線コントローラ32の識別情報を報知した後、点滅状態となってエンド合図を出す。
【0068】
照明器具11aがすでに通信確立済であるので、施工業者は、
図8Bの(b)に示すように、他の照明器具10について通信確立を設定する作業に移る。もしくは、照明器具11aの設定を一旦リセットして照明器具11aの通信確立を設定しなおしてもよい。
【0069】
このように本実施の形態の照明器具11aの指令受信部16は、通信確立に関する確認指令を受信し、制御部18は、受信した確認指令に基づき、自身がいずれかの無線コントローラ32と通信確立済みであるか否かを確認し、取得した通信確立に関する情報に基づいて、点灯部17の点滅、調光および調色のうちの少なくとも1つを行う。
【0070】
この照明器具10の通信確立方法によれば、照明器具10の通信確立が設定済であるか否かを視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が照明器具10の通信確立の有無を実感することができ、また、通信確立を行っていない照明器具10に対しては確信を持って次の行動をとることができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0071】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5に係る照明器具10および無線コントローラ32の通信確立について説明する。実施の形態5では、瞬間状況でなく所定期間における通信信頼性情報を取得する点で実施の形態1と異なる。本実施の形態は、例えば、照明システム100の施工完了後における仮運用時に適用される。
【0072】
図9Aは、実施の形態5に係る照明器具11aの通信確立方法を示すフローチャートである。
図9Bの(a)は照明器具11aにおいて通信確立を行う様子を示す図であり、(b)は(a)の次のアクションを示す図である。
【0073】
まず、照明器具11aは無線機器特定指令を受信する(S11)。次に、照明器具11aは、通信部15を介して無線コントローラ32aとの無線通信を試行する(S12)。
【0074】
本実施の形態では、このステップS12において、一定時間の通信回数による通信成否に関する情報、または、一定時間の電波強度に関する情報である通信信頼性情報を取得する(S33)。例えば、一定時間の通信回数とは、一定時間における所定情報量の転送回数であり、一定時間における電波強度とは、一定時間における電波強度の平均値である。
【0075】
これら通信信頼性情報を取得後、照明器具11aは、通信成否に関する情報または電波強度に関する情報に応じて点灯状態を変化させる(S34)。具体的には、照明器具11aは、通信信頼性情報を3段階の調光で表現する。例えば、通信成功率99%以上であれば100%点灯し、通信成功率99%未満95%以上であれば30%点灯し、通信成功率95%未満であれば0%点灯(消灯)する。この点灯状態は、例えば、数秒間保持される。この点灯状態の保持により、施工業者は、照明器具11aと無線コントローラ32aとの通信成功率を視覚的に把握する。照明器具11aは、通信成功率に関する情報を報知した後、点滅状態となってエンド合図を出す。
【0076】
次に、施工業者は、照明器具11aの点灯状態から、次に示すアクションをとる。
【0077】
例えば、
図9Bの(b)に示すように、S33において通信成功率99%以上であると認識すれば、対策不要とする。また、S33において通信成功率99%未満95%以上であると認識した場合も対策不要とする。ただし、S33において通信成功率95%未満であると認識すれば、他の無線コントローラ32と接続を試行する。
【0078】
これらの作業によって、照明器具11aと無線コントローラ32aとの通信確立を終了する。以下、他の照明器具10についても1台ずつ同様に通信確立を行う。
【0079】
この照明器具10の通信確立方法によれば、瞬間状況でなく所定期間において、照明器具10と無線コントローラ32との通信成功率を視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が照明器具10の通信成功率の良否を実感し、また、通信成功率が低い照明器具10および無線コントローラ32等に対しては確信を持って対策をとることができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0080】
(効果等)
本実施の形態に係る照明器具10は、外部の無線コントローラ(無線機器)32と無線通信する通信部15と、外部からの指令を受信する指令受信部16と、光源を含む点灯部17と、通信部15、指令受信部16および点灯部17に接続された制御部18とを備える。指令受信部16は、通信部15が無線通信を行う無線コントローラ32を特定する無線機器特定指令を受信する。制御部18は、受信した無線機器特定指令に基づき、通信部15を介して無線コントローラ32との無線通信を試行して、無線通信の信頼性に関する通信信頼性情報を取得し、取得した通信信頼性情報に基づいて、点灯部17の点滅、調光および調色のうちの少なくとも1つを行う。
【0081】
この構成によれば、無線通信の試行から通信信頼性情報の取得に至るまでの無線通信状態を視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が照明器具10の無線通信状態の良否を実感しながら、無線通信状態が良くない照明器具10等に対しては確信を持って次のアクションをとることができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0082】
また、通信信頼性情報は、通信部15が受信した電波強度であり、制御部18は、電波強度の大きさに基づく予め定められた複数の点灯パターンで、点灯部17の点滅、調光および調色のうちの少なくとも1つを行ってもよい。
【0083】
この構成によれば、無線通信の試行から電波強度に関する通信信頼性情報の取得に至るまでの電波強度の状況を視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が照明器具10の電波強度の良否を実感し、また、電波強度が良くない照明器具10等に対しては確信を持って次のアクションをとることができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0084】
また、通信信頼性情報は、通信部15が検出した異常情報であり、制御部18は、異常情報に基づく予め定められた複数の点灯パターンで、点灯部17の点滅、調光および調色のうちの少なくとも1つを行ってもよい。
【0085】
この構成によれば、無線通信の試行から異常情報に関する通信信頼性情報の取得に至るまでの無線通信の異常の有無を視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が照明器具10の異常の有無を実感し、また、異常状態にある照明器具10等に対しては確信を持って次のアクションをとることができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0086】
また、通信信頼性情報に基づく無線通信の信頼性が、定められた基準よりも低い場合、制御部18は、無線機器特定指令における無線コントローラ(例えば32a)とは異なる他の無線コントローラ(例えば32b)を抽出し、他の無線コントローラ32bの識別情報を、点灯部17の点滅回数によって報知してもよい。
【0087】
この構成によれば、通信確立することができる他の無線コントローラ32を視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が確信を持って他の無線コントローラ32との通信確立を行うことができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0088】
照明器具10は、さらに、通信確立を行った無線コントローラ32を特定する情報を記憶する記憶部19を有し、制御部18は、記憶部19における当該無線コントローラ32を特定する情報の有無に応じて、点灯部17の点滅、調光および調色のうちの少なくとも1つを行ってもよい。
【0089】
この構成によれば、照明器具10の通信確立が設定済であるか否かを視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が照明器具10の通信確立の有無を実感し、また、通信確立を行っていない照明器具10等に対しては確信を持って次のアクションをとることができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0090】
また、通信信頼性情報は、一定時間の通信回数による通信成否に関する情報、または、一定時間の電波強度に関する情報であり、制御部18は、記憶部19に、通信成否に関する情報および電波強度に関する情報のうちの少なくとも一方を記憶させてもよい。
【0091】
この構成によれば、所定期間における無線通信状況を視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が照明器具10の無線通信状態の良否を実感し、また、無線通信状態が良くない照明器具10等に対しては確信を持って次のアクションをとることができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0092】
また、指令受信部16は、赤外線センサを含み、無線機器特定指令は、赤外線通信によって指令受信部16に受信されてもよい。
【0093】
このように、指向性を有する赤外線通信を用いることで、個別に無線機器特定指令を受信することができる。これにより、1台ずつ着実に照明器具10の通信確立を実行することができる。また、特許文献1に記載された照明システムでは、試験信号を無線で送信しているため、無線の通信品質が良くなければ試験自体を正確に行なえない場合もあるが、本実施の形態のように赤外線通信を用いることで確実に無線機器特定指令を受信し、無線通信の試行を行うことが可能となる。
【0094】
本実施の形態に係る照明システム100は、複数の上記照明器具10と、複数の照明器具10の通信部15と無線通信する無線コントローラ(無線機器)32と、照明器具10の指令受信部16に指令を送信する設定器20とを含む。
【0095】
この構成によれば、設定器20から無線機器特定指令を受信し、無線通信を試行してから通信信頼性情報の取得に至るまでの無線通信状況を視覚的に把握することができる。そのため、施工業者が照明器具10と無線コントローラ32との無線通信状態の良否を実感し、また、無線通信状態が良くない照明器具10等に対しては確信を持って次のアクションをとることができる。これにより、施工時の安心感および作業性を向上することができる。
【0096】
(その他の形態)
以上、照明器具10および照明システム100について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。