特許第6793338号(P6793338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793338
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】移動装置、搬送システム及び移動方法
(51)【国際特許分類】
   B61B 13/00 20060101AFI20201119BHJP
【FI】
   B61B13/00 V
【請求項の数】19
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-19000(P2017-19000)
(22)【出願日】2017年2月3日
(65)【公開番号】特開2018-122829(P2018-122829A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】栗原 飛光
(72)【発明者】
【氏名】浜口 慎平
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特表2020−516510(JP,A)
【文献】 特開2014−131799(JP,A)
【文献】 特開昭63−275473(JP,A)
【文献】 特開2015−224001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B62B 1/00− 5/08
B62D 41/00−63/08
B62D 7/14,15/00
B60B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1分割部及び第2分割部を含む基台と、
前記第1分割部と前記第2分割部とを連結する連結部と、を備え、
前記第1分割部は、少なくとも1つの第1駆動輪を有し、
前記第2分割部は、少なくとも1つの第2駆動輪を有し、
前記基台は、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との少なくとも一方の駆動力によって一体に移動するように構成され、
前記連結部は、前記第1分割部が前記第2分割部に最も近づいた状態となる第1位置と、前記第1分割部が前記第2分割部から最も離れた状態となる第2位置との間で伸縮可能であり、
前記第2分割部は、搬送対象台車の一部を保持可能な保持部を含み、
前記連結部は、前記保持部によって前記搬送対象台車の前記一部を保持した状態で伸縮するように構成されている
ことを特徴とする移動装置。
【請求項2】
前記第1分割部は、前記搬送対象台車の他の一部を載置する載置部を含む
請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
前記連結部は、前記搬送対象台車を搬送する場合において前記第1位置をとり、前記搬送対象台車を搬送しない場合において前記第2位置をとる
請求項1又は2に記載の移動装置。
【請求項4】
前記第2分割部はスライド溝を有し、前記保持部が前記スライド溝を所定の位置に移動することにより、前記搬送対象台車の制動状態を解除する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との速度差によって伸縮するように構成される
請求項1〜4のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項6】
前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪の各々は、互いに交差する少なくとも2つの軸方向に回転可能に構成された車輪である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項7】
前記連結部は、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との一方を停止させ、かつ前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との他方を駆動させることによって伸縮するように構成されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項8】
前記連結部は、回転速度と回転方向との少なくとも一方が異なるように前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪をそれぞれ駆動させることによって伸縮するように構成されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項9】
前記第1分割部は、前記第1駆動輪として、互いに交差する少なくとも2つの軸方向に回転可能に構成された2つの車輪を有し、
前記第2分割部は、前記第2駆動輪として、互いに交差する少なくとも2つの軸方向に回転可能に構成された2つの車輪を有している
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項10】
前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪とは別の少なくとも1つの従動輪を更に備えている
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項11】
前記第1分割部と前記第2分割部との少なくとも一方は、少なくとも1つのセンサを有している
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の移動装置。
【請求項12】
前記連結部が前記第1位置に位置している状態と前記連結部が前記第2位置に位置している状態とで前記センサの検知範囲が変更されるように構成されている
ことを特徴とする請求項11に記載の移動装置。
【請求項13】
前記搬送対象台車の位置の検出結果に基づいて、前記移動装置の移動を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記センサから入力される検出結果のうち、前記搬送対象台車の車輪が含まれる領域に対してマスク処理を行う
請求項11又は12に記載の移動装置
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の移動装置によって、前記搬送対象台車を搬送する
搬送システム。
【請求項15】
第1分割部及び第2分割部を含む基台と、
前記第1分割部と前記第2分割部とを連結する連結部と、を備えた移動装置を用いた搬送対象台車の移動方法であって、
前記第2分割部が前記搬送対象台車の一部を保持する保持ステップと、
前記連結部が、前記第1分割部が前記第2分割部に最も近づいた状態となる第1位置と、前記第1分割部が前記第2分割部から最も離れた状態となる第2位置との間で伸縮する伸縮ステップと、を含み、
前記伸縮ステップは、前記保持ステップによって前記第2分割部が前記搬送対象台車を保持した状態で実行される
移動方法。
【請求項16】
前記第1分割部に、前記搬送対象台車の他の一部を載置する載置ステップを更に含み、
前記載置ステップは、前記伸縮ステップの後に実行される
請求項15に記載の移動方法
【請求項17】
前記保持ステップは、
前記搬送対象台車の制動状態を解除する制動解除ステップを含む
請求項15又は16に記載の移動方法。
【請求項18】
前記搬送対象台車の位置を検出する検出ステップと、
前記検出ステップの検出結果に基づいて、前記移動装置の移動を制御する制御ステップと、を更に含み、
前記制御ステップは、前記検出結果のうち、前記搬送対象台車の車輪が含まれる領域に対してマスク処理を行うマスクステップを含む
請求項15〜17のいずれか1項に記載の移動方法。
【請求項19】
第1分割部及び第2分割部を含む基台と、
前記第1分割部と前記第2分割部とを連結する連結部と、を備え、
前記第1分割部は、少なくとも1つの第1駆動輪を有し、
前記第2分割部は、少なくとも1つの第2駆動輪を有し、
前記基台は、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との少なくとも一方の駆動力によって一体に移動するように構成され、
前記連結部は、前記第1分割部が前記第2分割部に最も近づいた状態となる第1位置と、前記第1分割部が前記第2分割部から最も離れた状態となる第2位置との間で伸縮可能であり、
前記連結部は、搬送対象台車を搬送する場合において前記第1位置をとり、前記搬送対象台車を搬送しない場合において前記第2位置をとる
ことを特徴とする移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に移動装置、搬送システム及び移動方法に関し、より詳細には、複数の駆動輪を備えた移動装置、搬送システム及びこの移動装置を用いた移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工場内に予め定められた経路に沿って自動的に走行する無人運搬車が記載されている。特許文献1に記載の無人運搬車は、車体と、車体の前部に配置された前進用駆動ユニットと、車体の後部に配置された後退用駆動ユニットと、を備える。この無人運搬車は、前進用駆動ユニットの駆動輪を前進方向に回転させることで前進し、後退用駆動ユニットの駆動輪を後退方向に回転させることで後退する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−171010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような無人運搬車(移動装置)では、収納スペースを小さくすることが望まれていた。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされており、収容スペースを小さくできる移動装置、搬送システム及びこの移動装置を用いた移動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る移動装置は、基台と、連結部と、を備える。前記基台は、第1分割部及び第2分割部を含む。前記連結部は、前記第1分割部と前記第2分割部とを連結する。前記第1分割部は、少なくとも1つの第1駆動輪を有する。前記第2分割部は、少なくとも1つの第2駆動輪を有する。前記基台は、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との少なくとも一方の駆動力によって一体に移動するように構成されている。前記連結部は、前記第1分割部が前記第2分割部に最も近づいた状態となる第1位置と、前記第1分割部が前記第2分割部から最も離れた状態となる第2位置との間で伸縮可能である。前記第2分割部は、搬送対象台車の一部を保持可能な保持部を含む。前記連結部は、前記保持部によって前記搬送対象台車の前記一部を保持した状態で伸縮するように構成されている。
第2の態様に係る移動装置では、第1の態様において、前記第1分割部は、前記搬送対象台車の他の一部を載置する載置部を含む。
第3の態様に係る移動装置では、第1又は2の態様において、前記連結部は、前記搬送対象台車を搬送する場合において前記第1位置をとり、前記搬送対象台車を搬送しない場合において前記第2位置をとる。
第4の態様に係る移動装置では、第1〜3のいずれかの態様において、前記第2分割部はスライド溝を有し、前記保持部が前記スライド溝を所定の位置に移動することにより、前記搬送対象台車の制動状態を解除する。
第5の態様に係る移動装置では、第1〜4のいずれかの態様において、前記連結部は、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との速度差によって伸縮するように構成される。
【0007】
の態様に係る移動装置では、第1〜5のいずれかの態様において、前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪の各々は、互いに交差する少なくとも2つの軸方向に回転可能に構成された車輪である。
【0008】
の態様に係る移動装置では、第1〜6のいずれかの態様において、前記連結部は、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との一方を停止させ、かつ前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との他方を駆動させることによって伸縮するように構成されている。
【0009】
の態様に係る移動装置では、第1〜6のいずれかの態様において、前記連結部は、回転速度と回転方向との少なくとも一方が異なるように前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪をそれぞれ駆動させることによって伸縮するように構成されている。
【0010】
の態様に係る移動装置では、第1〜のいずれかの態様において、前記第1分割部は、前記第1駆動輪として、互いに交差する少なくとも2つの軸方向に回転可能に構成された2つの車輪を有する。前記第2分割部は、前記第2駆動輪として、互いに交差する少なくとも2つの軸方向に回転可能に構成された2つの車輪を有する。
【0011】
10の態様に係る移動装置は、第1〜のいずれかの態様において、前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪とは別の少なくとも1つの従動輪を更に備える。
【0012】
11の態様に係る移動装置は、第1〜10のいずれかの態様において、前記第1分割部と前記第2分割部との少なくとも一方は、少なくとも1つのセンサを有する。
【0013】
12の態様に係る移動装置は、第11の態様において、前記連結部が前記第1位置に位置している状態と前記連結部が前記第2位置に位置している状態とで前記センサの検知範囲が変更されるように構成されている。
第13の態様に係る移動装置は、第11又は12の態様において、前記搬送対象台車の位置の検出結果に基づいて、前記移動装置の移動を制御する制御部を有する。前記制御部は、前記センサから入力される検出結果のうち、前記搬送対象台車の車輪が含まれる領域に対してマスク処理を行う。
第14の態様に係る搬送システムは、第1〜13のいずれかの態様に係る移動装置によって、前記搬送対象台車を搬送する。
第15の態様に係る移動方法は、第1分割部及び第2分割部を含む基台と、第1分割部と第2分割部とを連結する連結部と、を備えた移動装置を用いた搬送対象台車の移動方法である。前記移動方法は、前記第2分割部が前記搬送対象台車の一部を保持する保持ステップと、前記連結部が、前記第1分割部が前記第2分割部に最も近づいた状態となる第1位置と、前記第1分割部が前記第2分割部から最も離れた状態となる第2位置との間で伸縮する伸縮ステップと、を含む。前記伸縮ステップは、前記保持ステップによって前記第2分割部が前記搬送対象台車を保持した状態で実行される。
第16の態様に係る移動方法は、第15の態様において、前記第1分割部に、前記搬送対象台車の他の一部を載置する載置ステップを更に含む。前記載置ステップは、前記伸縮ステップの後に実行される。
第17の態様に係る移動方法では、第15又は16の態様において、前記保持ステップは、前記搬送対象台車の制動状態を解除する制動解除ステップを含む。
第18の態様に係る移動方法は、第15〜17のいずれかの態様において、前記搬送対象台車の位置を検出する検出ステップと、前記検出ステップの検出結果に基づいて、前記移動装置の移動を制御する制御ステップと、を更に含む。前記制御ステップは、前記検出結果のうち、前記搬送対象台車の車輪が含まれる領域に対してマスク処理を行うマスクステップを含む。
第19の態様に係る移動装置は、第1分割部及び第2分割部を含む基台と、前記第1分割部と前記第2分割部とを連結する連結部と、を備える。前記第1分割部は、少なくとも1つの第1駆動輪を有する。前記第2分割部は、少なくとも1つの第2駆動輪を有する。前記基台は、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪との少なくとも一方の駆動力によって一体に移動するように構成される。前記連結部は、前記第1分割部が前記第2分割部に最も近づいた状態となる第1位置と、前記第1分割部が前記第2分割部から最も離れた状態となる第2位置との間で伸縮可能である。前記連結部は、搬送対象台車を搬送する場合において前記第1位置をとり、前記搬送対象台車を搬送しない場合において前記第2位置をとる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、移動装置の収容スペースを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る移動装置がカートを搬送する状態を示す斜視図である。
図2図2は、同上の移動装置の底面図である。
図3図3Aは、同上の移動装置の連結部を縮めた状態の平面図、図3Bは、同上の移動装置の連結部を伸ばした状態の平面図である。
図4図4は、同上の移動装置を前方から見た斜視図である。
図5図5は、同上の移動装置のブロック図である。
図6図6は、同上の移動装置の第1駆動輪及び第2駆動輪のレイアウトを示す模式図である。
図7図7A図7Cは、同上の移動装置をカートに連結する動作を説明するための説明図である。
図8図8A図8Cは、同上の移動装置をカートに連結する動作を説明するための別の説明図である。
図9図9は、同上の移動装置に搭載されたセンサの検出範囲を説明するための説明図である。
図10図10は、本発明の一実施形態の第1変形例に係る移動装置の連結部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について説明する。下記の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。また、下記の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0017】
(1)概要
まず、本実施形態に係る移動装置1の概要について、図1及び図2を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る移動装置1は、例えば空港施設で使用される手荷物用のカート10(搬送対象台車)を搬送するための搬送装置である図1参照)。空港施設には、ユーザが荷物を運ぶために使用するカート10が用意されている。ユーザは、カート10に荷物を載せて、空港施設内を移動することができる。ユーザは、使い終わったカート10をカート置き場の正規の位置に戻すことが好ましいが、カート置き場にカート10を戻すことを忘れたり、正規の位置からはみ出した状態でカート10をカート置き場に置いたりする場合がある。また、カート置き場によって置かれたカート10の台数も異なる。空港施設では、出発口と到着口とが離れている場合があり、一方向に人の流れが偏るため、カート10を移動させる必要性が高い。本実施形態に係る移動装置1は、自律走行が可能なロボットであり、カート置き場以外の場所に放置されたカート10を回収し、回収したカート10をカート置き場に移動させる作業を無人で行う。また、本実施形態に係る移動装置1は、ユーザの使用頻度が高いカート置き場に、他のカート置き場からカート10を移動させる作業を無人で行う。
【0019】
また、空港施設では、例えば子供連れのユーザや車いすのユーザがカート10を使用する場合もあるが、これらのユーザではカート10を運搬できない可能性がある。本実施形態に係る移動装置1は、これらのユーザに追従しながらカート10を運搬することも可能である。
【0020】
本実施形態に係る移動装置1は、図1及び図2に示すように、基台2と、連結部5と、を備える。基台2は、第1分割部21及び第2分割部22を含む。連結部5は、第1分割部21と第2分割部22とを連結する。第1分割部21は、少なくとも1つの第1駆動輪12を有する。第2分割部22は、少なくとも1つの第2駆動輪13を有する。基台2は、第1駆動輪12と第2駆動輪13との少なくとも一方の駆動力によって一体に移動するように構成されている。
【0021】
連結部5は、第1分割部21が第2分割部22に最も近づいた状態となる第1位置と、第1分割部21が第2分割部22から最も離れた状態となる第2位置との間で伸縮可能である。連結部5は、第1駆動輪12と第2駆動輪13との速度差によって伸縮するように構成されている。
【0022】
このように、連結部5を縮めて第1分割部21が第2分割部22に最も近づいた状態にすることにより、連結部5の伸縮方向に移動装置1を小型化することができ、連結部5の伸縮方向において移動装置1の収容スペースを小さくできる。
【0023】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る移動装置1について詳細に説明する。なお、以下の説明では特に断りのない限り、図1図4図6及び図10に示す矢印により、移動装置1の上下、左右、前後の各方向を規定する。すなわち、移動装置1が走行する床面と直交する方向を上下方向とし、移動装置1の連結部5の伸縮方向を前後方向とし、上下方向及び前後方向の両方と直交する方向を左右方向とする。ただし、これらの方向は移動装置1の使用方向を規定する趣旨ではない。また、図1図4図6及び図10に示す矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0024】
本実施形態に係る移動装置1は、図1図4に示すように、基台2と、一対の支柱3と、表示装置4と、連結部5と、を備えている。
【0025】
基台2は、第1分割部21と、第2分割部22と、を含む。
【0026】
第1分割部21は、下面(床面との対向面)が開口し、平面視の形状が三角状である。第1分割部21は、一対の突出部210と、一対の覆い部211と、開口部212と、を有している。
【0027】
一対の突出部210は、第1分割部21の後部で、かつ左右方向の両側からそれぞれ後方に突出している。一対の突出部210の各々は、平面視の形状が矩形状である。一対の突出部210の各々には、後述するセンサ8が収納される。センサ8は、突出部210に収納された状態において、センシング部81が突出部210の上面から上方に突出している。センシング部81には、レーザ光を照射する発光部と、反射光を受光する受光部と、が含まれている。
【0028】
一対の覆い部211は、一対の突出部210の上面に一体に形成されている。一対の覆い部211の各々は、センサ8のセンシング部81の上面及び側面の一部を覆う。言い換えると、一対の覆い部211の各々は、センサ8の走査範囲を遮らないようにしてセンシング部81を覆う。
【0029】
開口部212は、第1分割部21の前端縁において左右方向に沿って形成されている(図4参照)。開口部212は、前方が開放されている。開口部212内には、第1分割部21の前端部に収納されたセンサ8のセンシング部81が収容される。このセンサ8は、センシング部81から照射されたレーザ光を、開口部212を通して前方に照射する。
【0030】
また、第1分割部21は、図2に示すように、一対の駆動部11と、一対の第1駆動輪12と、1つの従動輪14と、複数(図示例では4つ)のセンサ8(図4参照)と、を有している。
【0031】
一対の駆動部11の各々は、モータ110と、伝達機構111と、を含む。伝達機構111は、複数のギアを有し、モータ110からの駆動力を第1駆動輪12に伝達する。なお、モータ110は、伝達機構111を介さずに、第1駆動輪12を直接回転させるように構成されていてもよい。
【0032】
一対の第1駆動輪12の各々は、例えばオムニホイール(全方向移動型車輪)である。オムニホイールは、回転方向と垂直に1又は複数のローラが配置された車輪である。言い換えると、オムニホイールは、互いに交差(直交)する2つの軸方向に回転可能に構成された車輪である。一対の第1駆動輪12は、図2に示すように、前側にいくほど互いの間隔が狭くなるように第1分割部21に取り付けられている。なお、第1駆動輪12のレイアウトについては、「(4)第1駆動輪及び第2駆動輪の制御式」の欄で説明する。
【0033】
従動輪14は、第1分割部21の後部で、かつ左右方向の右側に取り付けられている。従動輪14は、例えばキャスターであり、走行面内の任意の方向に移動可能である。
【0034】
センサ8は、例えば測域センサ(Laser Range Scanner)である。センサ8は、例えばレーザ光などの光を周囲に照射し、反射光を受光するまでの時間に基づいて、移動装置1の周囲にある物体までの距離を計測する。センサ8は、センシング部81内の光学系を回転させることで水平方向に走査しており、ここでは走査角度は270度である。すなわち、センサ8によれば、270度の範囲にある物体までの距離を計測することができる。
【0035】
複数のセンサ8のうちの1つは、第1分割部21の前端部に収納される。このセンサ8は、第1分割部21に収納された状態において、センシング部81が開口部212内に収容される。したがって、このセンサ8によれば、前後方向を中心軸とした左右270度の範囲にある物体までの距離を計測することができる。また、複数のセンサ8のうち残りの2つは、一対の突出部210にそれぞれ収納される。これらのセンサ8は、一対の突出部210にそれぞれ収納された状態において、左右方向を中心軸とした前後270度の範囲にある物体までの距離を計測することができる。なお、移動装置1をカート10に連結した状態でのセンサ8の検出範囲については、「(6)センサの検出範囲」の欄で説明する。
【0036】
第1分割部21の前部の上面には、図1図3A図3B及び図4に示すように、カート10の第1フレーム100の一部を載せる載置台9が設けられている。載置台9は、昇降台91と、一対の支持枠92と、を有している。昇降台91は、第1分割部21の上面と面一になる位置と、第1分割部21の上面から上方に突出する位置との間で上下方向に移動可能である。昇降台91を上下方向に移動させる機構は、例えば昇降台91の側面に設けられたラックと、ラックに噛み合うピニオンギアとで構成される。一対の支持枠92は、金属製の棒を逆U字状に折り曲げて形成され、昇降台91の左右方向の両側にそれぞれ配置されている。また、一対の支持枠92の各々の上部には、第1フレーム100の一部が嵌まる凹部920(図4参照)が設けられている。
【0037】
第2分割部22は、下面(床面との対向面)が開口し、平面視の形状が逆U字状である。第2分割部22は、第1凹部220と、一対の第2凹部221と、一対の第1開口部222と、一対の第2開口部223と、を有している。
【0038】
第1凹部220は、第2分割部22の後部で、かつ左右方向の中央に設けられている。第1凹部220は、第1分割部21の前側の一部が収納可能な大きさである。したがって、複数台の移動装置1を収納する際には、後側に位置する移動装置1の第1分割部21の前側の一部を、前側に位置する移動装置1の第2分割部22の第1凹部220内に収容することができる。
【0039】
一対の第2凹部221は、第2分割部22の前部で、かつ左右方向の両側にそれぞれ設けられている。一対の第2凹部221の各々は、平面視の形状が矩形状であり、上述の突出部210が収納可能な大きさである。言い換えると、第1分割部21と第2分割部22とを最も近づけた状態では、一対の第2凹部221に一対の突出部210がそれぞれ収納される。
【0040】
第2分割部22の後側の角部には、第2分割部22にセンサ8を収納した状態で、センシング部81が収容される収容部が設けられている。一対の第1開口部222は、収容部に収容されたセンシング部81からのレーザ光を外部に照射できるように、第2分割部22の外側面に形成されている。また、一対の第2開口部223は、収容部に収容されたセンシング部81からのレーザ光を外部に照射できるように、第1凹部220の内側面に形成されている。
【0041】
また、第2分割部22は、図2に示すように、一対の駆動部11と、一対の第2駆動輪13と、1つの従動輪14と、複数(図示例では2つ)のセンサ8(図9参照)と、を有している。なお、センサ8及び駆動部11については、第1分割部21と同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0042】
一対の第2駆動輪13の各々は、第1駆動輪12と同様に、例えばオムニホイール(全方向移動型車輪)である。オムニホイールは、回転方向と垂直に1又は複数のローラが配置された車輪である。言い換えると、オムニホイールは、互いに交差(直交)する2つの軸方向に回転可能に構成された車輪である。一対の第2駆動輪13は、図2に示すように、後側にいくほど互いの間隔が狭くなるように第2分割部22に取り付けられている。そして、本実施形態に係る移動装置1は、一対の第1駆動輪12と一対の第2駆動輪13とで、走行面において全方向(360度)に移動可能である。なお、第2駆動輪13のレイアウト、第1駆動輪12及び第2駆動輪13の制御式については、「(4)第1駆動輪及び第2駆動輪の制御式」の欄で説明する。
【0043】
従動輪14は、第2分割部22の前側で、かつ左右方向の左側に取り付けられている。すなわち、第1分割部21に取り付けられた従動輪14と第2分割部22に取り付けられた従動輪14とは、左右方向において反対側に位置している。
【0044】
複数のセンサ8は、第2分割部22の後部で、かつ左右方向の両側にそれぞれ収納されている。このとき、各センサ8のセンシング部81は、上記収容部内に収容されている。これらのセンサ8は、前方から右方までの90度の範囲又は前方から左方までの90度の範囲を除いた270度の範囲にある物体までの距離を計測することができる。なお、移動装置1をカート10に連結した状態でのセンサ8の検出範囲については、「(6)センサの検出範囲」の欄で説明する。
【0045】
一対の支柱3は、図1及び図4に示すように、第2分割部22の後部で、かつ左右方向の両側からそれぞれ上向きに突出している。各支柱3の上部は、鉛直方向(上下方向)に対して前方に傾斜している。各支柱3は、上側にいくほど断面積が小さくなるような形状である。各支柱3の前側には、移動装置1の電源であるバッテリが配置されている。これらのバッテリは、カバー6により覆われている。なお、支柱3の形状は一例であり、例えば全長に亘って断面積が同じ形状であってもよいし、上側にいくほど断面積が大きくなるような形状であってもよい。
【0046】
表示装置4は、図1図3A図3B及び図4に示すように、筐体41と、タッチパネル42と、を有している。筐体41は、直方体状である。筐体41の下端部には、一対の支柱3が連結されている。言い換えると、一対の支柱3の上端部に表示装置4の筐体41が連結されている。タッチパネル42は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)のような表示装置と、抵抗膜方式のタッチパッドとを組み合わせて構成されている。なお、表示装置はLCDに限らず、例えば有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであってもよい。また、タッチパッドは抵抗膜方式に限らず、例えば静電容量方式であってもよい。
【0047】
タッチパネル42の背面には、図7A図8Cに示すように、レバー421が設けられている。レバー421は、カート10を搬送する際にカート10の制動装置(後述する)を解除するためのレバーである。レバー421は、タッチパネル42の背面に収納される位置(図7Aに示す位置)と、タッチパネル42の背面から突出する位置(図7Cに示す位置)との間で回転可能である。また、レバー421は、タッチパネル42の背面から突出した状態で、タッチパネル42の背面に設けられたスライド溝422に沿って移動可能である。
【0048】
レバー421を回転させる機構は、例えばレバー421の側面に設けられたピニオンギアと、ピニオンギアに噛み合うモータとで構成される。また、レバー421をスライド溝422に沿って移動させる機構は、上記ピニオンギアと、スライド溝422に沿って設けられて上記ピニオンギアに噛み合うラックとで構成される。なお、レバー421の動作については、「(5)カートとの連結動作」の欄で説明する。
【0049】
連結部5は、図1及び図3Bに示すように、複数(図示例では3枚)のプレート51,52,53を有している。複数のプレート51,52,53の各々は、平面視の形状が矩形状である。プレート53の左右寸法は、プレート52の左右寸法よりもわずかに小さく、前後方向においてプレート52内に収納される位置(図3Aに示す位置)と、プレート52から突出する位置(図3Bに示す位置)との間で移動可能にプレート52に連結されている。プレート52の左右寸法は、プレート51の左右寸法よりもわずかに小さく、前後方向においてプレート51内に収納される位置(図3Aに示す位置)とプレート51から突出する位置(図3Bに示す位置)との間で移動可能にプレート51に連結されている。プレート51の後端部は、第2分割部22の前端部に連結されている。プレート53の前端部は、第1分割部21の後端部に連結されている。
【0050】
第1分割部21と第2分割部22とは、連結部5を介して連結されている。そして、連結部5が最も縮んだ状態、つまりプレート53がプレート52内に収納され、かつプレート52がプレート51内に収納された状態では、第1分割部21が第2分割部22に最も近づいた状態になる。また、連結部5が最も伸びた状態、つまりプレート53がプレート52から突出し、かつプレート52がプレート51から突出した状態では、第1分割部21が第2分割部22から最も離れた状態になる。ここに、本実施形態では、第1分割部21が第2分割部22に最も近づいた状態となる連結部5の位置が第1位置であり、第1分割部21が第2分割部22から最も離れた状態となる連結部5の位置が第2位置である。なお、連結部5の伸縮動作については、「(3)連結部の伸縮動作」の欄で説明する。
【0051】
ところで、本実施形態に係る移動装置1は、カート10を搬送する場合には、連結部5が最も伸びた状態にあり、第1分割部21が第2分割部22から最も離れた状態で移動する。また、移動装置1は、カート10を搬送しない場合には、連結部5が最も縮んだ状態にあり、第1分割部21が第2分割部22に最も近づいた状態で移動する。そのため、本実施形態に係る移動装置1では、連結部5が最も縮んだ状態及び連結部5が最も伸びた状態で連結部5を保持する保持機構が設けられている。
【0052】
次に、移動装置1によって搬送されるカート10について説明する。
【0053】
カート10は、図1に示すように、第1フレーム100と、ハンドル101と、一対の車輪102と、一対の車輪103と、一対の第2フレーム104と、制動装置と、を備えている。
【0054】
第1フレーム100は、平面視の形状が矩形枠状である。一対の車輪102は、第1フレーム100の前側で、かつ左右方向の両側にそれぞれ取り付けられている。一対の車輪103は、第1フレーム100の後側で、かつ左右方向の両側にそれぞれ取り付けられている。これらの車輪102,103は、水平面内で任意の方向に移動可能である。
【0055】
一対の第2フレーム104は、第1フレーム100の後部で、かつ左右方向の両側からそれぞれ上向きに突出している。ハンドル101は、平面視の形状がU字状である。ハンドル101の左右方向の両端は、一対の第2フレーム104の上端部にそれぞれ取り付けられている。ハンドル101は、第2フレーム104に対して所定の可動範囲内で回転可能である。
【0056】
制動装置は、後側の一対の車輪103に制動力を加える機能を有している。制動装置は、ハンドル101が可動範囲の上端位置に位置している状態で、一対の車輪103に制動力を加える。したがって、この状態では、ユーザはカート10を動かすことができない。一方、制動装置は、ハンドル101が可動範囲の下端位置に位置している状態では、一対の車輪103に制動力を加えていない。したがって、この状態では、ユーザはカート10を動かすことができる。なお、ハンドル101は、可動範囲の下端位置に位置している状態でユーザが手を離すと、可動範囲の上端位置まで自動的に回転するように構成されている。つまり、ユーザがハンドル101から手を離すことによって、一対の車輪103に制動力が加えられ、カート10の移動が規制される。
【0057】
図5は、本実施形態に係る移動装置1の機能を説明するブロック図である。移動装置1は、センサ8と、モータ110と、制御部15と、検知部16と、を備えている。なお、センサ8及びモータ110については既に説明しているため、ここでは説明を省略する。
【0058】
移動装置1は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを備えたマイクロコンピュータを備えている。この移動装置1では、CPUがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、制御部15として機能する。CPUが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。
【0059】
検知部16は、例えばマイクロスイッチである。この検知部16は、例えば連結部5が第1位置に位置している状態、つまり連結部5が最も縮んだ状態では、内部接点がオフである。また、検知部16は、連結部5が第2位置に位置している状態、つまり連結部5が最も伸びた状態では、内部接点がオンである。
【0060】
そして、制御部15は、検知部16のオン/オフ状態から連結部5の位置を検知し、連結部5の位置に応じて第1駆動輪12及び第2駆動輪13の回転速度を変更する。なお、制御部15による第1駆動輪12及び第2駆動輪13の制御については、「(4)第1駆動輪及び第2駆動輪の制御式」の欄で説明する。
【0061】
(3)連結部の伸縮動作
連結部5の伸縮動作について、図2図3A及び図3Bを参照して説明する。本実施形態に係る移動装置1では、第1分割部21に取り付けられた一対の第1駆動輪12と、第2分割部22に取り付けられた一対の第2駆動輪13との速度差によって、連結部5が伸縮するように構成されている。以下では、一対の第2駆動輪13を停止させ、一対の第1駆動輪12のみを駆動させる場合を例として説明する。
【0062】
まず、連結部5が最も縮んだ状態から最も伸びた状態になるまでの動作について説明する。言い換えると、連結部5が第1位置から第2位置に移動する動作について説明する。
【0063】
連結部5が最も縮んだ状態では、図3Aに示すように、プレート52,53がプレート51内に収納されており、第1分割部21が第2分割部22に最も近づいた状態にある。このとき、検知部16はオフである。この状態から、制御部15は、駆動部11に対して制御信号を出力することにより、一対の第2駆動輪13を停止させ、一対の第1駆動輪12のみを駆動(回転)させる。これにより、第2分割部22は停止したままで、第1分割部21のみが前進する。その結果、プレート53がプレート52から突出し、かつプレート52がプレート51から突出することにより、連結部5が最も伸びた状態となる(図3B参照)。つまり、第1分割部21は、第2分割部22から最も離れた状態になる。このとき、検知部16はオンである。制御部15は、検知部16がオンであることから、連結部5が第2位置にあると判断する。
【0064】
次に、連結部5が最も伸びた状態から最も縮んだ状態になるまでの動作について説明する。言い換えると、連結部5が第2位置から第1位置に移動する動作について説明する。
【0065】
連結部5が最も伸びた状態では、図3Bに示すように、プレート53がプレート52から突出し、かつプレート52がプレート51から突出しており、第1分割部21が第2分割部22から最も離れた状態にある。このとき、検知部16はオンである。この状態から、制御部15は、駆動部11に対して制御信号を出力することにより、一対の第2駆動輪13を停止させ、一対の第1駆動輪12のみを駆動(回転)させる。これにより、第2分割部22は停止したままで、第1分割部21のみが後退する。このとき、第1駆動輪12の回転方向は、連結部5を伸ばすときと逆方向である。その結果、プレート53がプレート52内に収納され、かつプレート52がプレート51内に収納されることにより、連結部5が最も縮んだ状態になる(図3A参照)。つまり、第1分割部21は、第2分割部22に最も近づいた状態になる。このとき、検知部16はオフである。
【0066】
ところで、連結部5が最も伸びた状態、つまり第1分割部21が第2分割部22から最も離れた状態では、第1分割部21の後端部と第2分割部22の前端部にそれぞれ下向きの荷重が作用する。本実施形態では、第1分割部21の後端部及び第2分割部22の前端部に従動輪14がそれぞれ取り付けられており、これらの従動輪14によって上記荷重を受けることができる。言い換えると、従動輪14によって第1分割部21及び第2分割部22を支持することができる。
【0067】
(4)第1駆動輪及び第2駆動輪の制御式
第1駆動輪12及び第2駆動輪13の制御式について説明する。図6は、本実施形態に係る移動装置1の第1駆動輪12及び第2駆動輪13のレイアウトを示す模式図である。第1駆動輪12及び第2駆動輪13は、後述する制御式に従って回転することにより、移動装置1が全方向に移動可能となる。
【0068】
ここで、2つの第1駆動輪12のうち左側の第1駆動輪12を「第1駆動輪12A」、右側の第1駆動輪12を「第1駆動輪12B」と区別する。また、2つの第2駆動輪13のうち左側の第2駆動輪13を「第2駆動輪13A」、右側の第2駆動輪13を「第2駆動輪13B」と区別する。なお、図6中の「Rc1」は移動装置1の回転中心であり、前後方向及び左右方向の両方に平行な平面と直交し、かつ移動装置1の重心を通る直線である。また、図6中の「CL1」は回転中心Rc1を通る前後方向に沿った第1中心線であり、「CL2」は回転中心Rc1を通る左右方向に沿った第2中心線である。
【0069】
一方の第1駆動輪12Aは、移動装置1の基台2を上方から見たときに、前側かつ左側に配置されている。他方の第1駆動輪12Bは、基台2を上方から見たときに、前側かつ右側に配置されている。そして、これらの第1駆動輪12A,12Bは、上述のように、前側にいくほど互いの間隔が狭くなるように第1分割部21に取り付けられている。第1中心線CL1から第1駆動輪12A,12Bの回転中心までの距離は、それぞれW1である。第2中心線CL2から第1駆動輪12A,12Bの回転中心までの距離は、それぞれL1である。また、第1中心線CL1と第1駆動輪12A,12Bの回転軸とがなす角度は、それぞれθである。
【0070】
一方の第2駆動輪13Aは、基台2を上方から見たときに、後側かつ左側に配置されている。他方の第2駆動輪13Bは、基台2を上方から見たときに、後側かつ右側に配置されている。そして、これらの第2駆動輪13A,13Bは、上述のように、後側にいくほど互いの間隔が狭くなるように第2分割部22に取り付けられている。第1中心線CL1から第2駆動輪13A,13Bの回転中心までの距離は、それぞれW2(W2>W1)である。第2中心線CL2から第2駆動輪13A,13Bの回転中心までの距離は、それぞれL2である。また、第1中心線CL1と第2駆動輪13A,13Bの回転軸とがなす角度は、それぞれθである。つまり、第1中心線CL1に対する第1駆動輪12A,12B及び第2駆動輪13A,13Bの傾斜角度は同じである。
【0071】
ここで、第1駆動輪12Aの回転速度をV1、第1駆動輪12Bの回転速度をV4、第2駆動輪13Aの回転速度をV2、第2駆動輪13Bの回転速度をV3とする。また、移動装置1の回転中心Rc1の前向きの速度をVx、左向きの速度をVy、角速度をωとする。第1駆動輪12A,12B及び第2駆動輪13A,13Bの制御式は、数1のようになる。
【0072】
制御部15は、移動装置1の回転中心Rc1の速度Vx,Vy及び角速度ωの目標値をもとに、数1を用いて回転速度V1〜V4を求める。そして、制御部15は、第1駆動輪12A,12B及び第2駆動輪13A,13Bが求めた回転速度V1〜V4でそれぞれ回転するように、駆動部11に対して制御信号を出力する。
【0073】
【数1】
【0074】
ところで、本実施形態に係る移動装置1では、上述のように、連結部5が伸縮可能であり、第2中心線CL2から第1駆動輪12A,12Bまでの距離L1、及び第2中心線CL2から第2駆動輪13A,13Bまでの距離L2が、それぞれ可変である。制御部15は、連結部5が最も縮んでいる状態と、連結部5が最も伸びている状態とで、異なる制御式に従って第1駆動輪12A,12B及び第2駆動輪13A,13Bの回転速度V1〜V4をそれぞれ制御する。
【0075】
また、第1中心線CL1と第1駆動輪12A,12B及び第2駆動輪13A,13Bとがなす角度θは、例えば15度よりも大きく、かつ75度よりも小さいことが好ましい。さらに、上記角度θは、例えば45度よりも大きく、かつ60度よりも小さいことがより好ましい。
【0076】
(5)カートとの連結動作
本実施形態に係る移動装置1のカート10との連結動作について、図7A図8Cを参照して説明する。
【0077】
移動装置1の制御部15は、例えばカメラなどの映像からカート10の位置を検出し、検出結果に基づいて第1駆動輪12及び第2駆動輪13の少なくとも一方を駆動する。このとき、移動装置1は、タッチパネル42の背面に設けられたレバー421を回転可能な位置まで後方からカート10に近づく(図7A及び図7B参照)。
【0078】
次に、制御部15は、図7Cに示すように、レバー421を時計回りに回転させて、タッチパネル42からレバー421を突出させる。さらに、制御部15は、図8Aに示すように、レバー421がカート10のハンドル101の把持部1010に近づくように、タッチパネル42の背面に設けられたスライド溝422に沿ってレバー421を移動させる。
【0079】
制御部15は、レバー421が把持部1010に接触する位置まで移動すると、レバー421の移動速度に合わせて移動装置1を前進させる。レバー421がスライド溝422に沿って移動し、かつ移動装置1が前進することにより、レバー421によってハンドル101の把持部1010が下向きに押される(図8B参照)。そして、制御部15は、図8Cに示すように、レバー421がスライド溝422の所定位置に到達するまでレバー421を移動させ、かつ移動装置1を前進させる。その結果、移動装置1の基台2がカート10の下側に差し込まれ、かつカート10の制動装置が解除されて後側の一対の車輪103が回転可能となる。つまり、制動装置による車輪103の制動状態が解除される。
【0080】
続けて、制御部15は、一対の第2駆動輪13を停止させ、一対の第1駆動輪12のみを駆動させることにより、第1分割部21を所定位置まで前進させる。このとき、第1分割部21の移動に伴って、連結部5のプレート53がプレート52から突出し、かつプレート52がプレート51から突出する(図1参照)。その後、制御部51は、載置台9の昇降台91を上方に移動させてカート10の第1フレーム100を持ち上げる。このとき、第1フレーム100の一部が一対の支持枠92の凹部920に嵌り込む。カート10の前側の一対の車輪102は、カート10の第1フレーム100が載置台9によって上方に持ち上げられることにより上方に移動し、かつ第1分割部21の側面に接触することで保持される。なお、一対の車輪102は、例えば第1分割部21に設けられた磁石によって第1分割部21に固定されることが好ましい。
【0081】
そして、移動装置1は、上述のようにカート10を保持した状態で、カート置き場にカート10を搬送する。
【0082】
(6)センサの検出範囲
移動装置1に搭載された複数(図示例では5つ)のセンサ8は、上述のように、走査角度が270度であり、第1分割部21の前端部及び後端部と、第2分割部22の後端部とにそれぞれ配置されている。そのため、本実施形態に係る移動装置1では、複数のセンサ8によって、走行面と平行な面において全方向(360度)について物体までの距離を計測可能である。
【0083】
ところで、図1に示すように、移動装置1をカート10に連結した状態では、カート10の前側の一対の車輪102及び後側の一対の車輪103がセンサ8の検出範囲に含まれてしまい、カート10を連結した状態で移動装置1を移動させることができない。
【0084】
そこで、本実施形態に係る移動装置1は、カート10を連結した状態であっても移動可能なように、複数のセンサ8の検出範囲を変更するように構成されている。以下、複数のセンサ8の各々について、図9を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明では、第1分割部21の前端部に配置されたセンサ8を「センサ8A」とし、第1分割部21の後端部に配置された2つのセンサ8のうち、左側のセンサ8を「センサ8B」、右側のセンサ8を「センサ8C」と区別する。また、第2分割部22の後端部に配置された2つのセンサ8のうち、左側のセンサ8を「センサ8D」、右側のセンサ8を「センサ8E」と区別する。
【0085】
センサ8Aは、図9に示すように、走査角度が270度であるため、前側の一対の車輪102が検出範囲に含まれている。制御部15は、センサ8Aから入力される検出結果のうち、一対の車輪102が含まれる領域に対してマスク処理を行うことにより、当該領域の検出結果を無効にしている(図9中の領域A1参照)。
【0086】
センサ8Bは、図9に示すように、左側の車輪102,103が検出範囲に含まれている。制御部15は、センサ8Bから入力される検出結果のうち、左側の車輪102,103が含まれる領域に対してマスク処理を行うことにより、当該領域の検出結果を無効にしている(図9中の領域A2参照)。
【0087】
センサ8Cは、図9に示すように、右側の車輪102,103が検出範囲に含まれている。制御部15は、センサ8Cから入力される検出結果のうち、右側の車輪102,103が含まれる領域に対してマスク処理を行うことにより、当該領域の検出結果を無効にしている(図9中の領域A3参照)。
【0088】
なお、第2分割部22に搭載された2つのセンサ8D,8Eについては、移動装置1をカート10に連結した状態でも、カート10が検出範囲に含まれないように設定されている。したがって、これらのセンサ8D,8Eについては、移動装置1がカート10に連結されているか否かにかかわらず、検出範囲は一定である(図9中の領域A4,A5参照)。
【0089】
このように、移動装置1がカート10に連結されているか否かによってセンサ8の検出範囲を変更することにより、移動装置1がカート10に連結されているか否かにかかわらず、移動装置1の周囲にある物体を検出することができる。
【0090】
(7)変形例
以下、本実施形態の変形例について説明する。
【0091】
(7.1)第1変形例
本実施形態では、3枚のプレート51,52,53により連結部5が構成されている場合を例として説明したが、当該構成は連結部5の一例であって、連結部5は、図10に示す構成であってもよい。以下、連結部5の第1変形例について、図10を参照して説明する。
【0092】
第1変形例の連結部5は、図10に示すように、一対の第1固定部54と、一対の第1スライド棒55と、第1連結板56と、一対の第2固定部57と、一対の第2スライド棒58と、第2連結板59と、第3連結板60と、を有している。
【0093】
一対の第1固定部54は、左右方向に間隔を空けた状態で、第1分割部21の後端部にそれぞれ固定されている。一対の第2固定部57は、左右方向に間隔を空けた状態で、第2分割部22の前端部にそれぞれ固定されている。一対の第2固定部57の間隔は一対の第1固定部54の間隔よりも大きく、一対の第2固定部57は、左右方向において一対の第1固定部54よりも外側に位置している。
【0094】
一対の第1スライド棒55の一端部(前端部)は、一対の第1固定部54にそれぞれ固定されており、一対の第1スライド棒55の他端部(後端部)は、左右方向に細長い第1連結板56に連結されている。一対の第1スライド棒55は、第1連結板56によって前後方向の移動量が決められている。すなわち、第1連結板56は、一対の第1スライド棒55の移動を規制するストッパとして機能する。
【0095】
一対の第2スライド棒58の一端部(前端部)は、左右方向に細長い第2連結板59に連結されている。一対の第2スライド棒58の他端部(後端部)は、左右方向に細長い第3連結板60に連結されている。一対の第2スライド棒58は、一対の第2固定部57によって前後方向に移動可能に保持されている。つまり、一対の第2スライド棒58は、一対の第2固定部57に対して前後方向に移動可能である。一対の第2スライド棒58は、第2連結板59及び第3連結板60によって前後方向の移動距離が決められている。すなわち、第2連結板59及び第3連結板60は、一対の第2スライド棒58の移動を規制するストッパとして機能する。
【0096】
次に、連結部5の動作について説明する。
【0097】
制御部15が一対の第2駆動輪13を停止させ、一対の第1駆動輪12のみを駆動させることによって、第2分割部22に対して第1分割部21が前方へ移動すると、第1分割部21の移動に伴って一対の第1スライド棒55及び第1連結板56が前方へ移動する。一対のスライド棒55は、第1連結板56が第2連結板59に接触する位置まで移動する。
【0098】
第1連結板56が第2連結板59に接触した状態から、第1分割部21が更に前方へ移動すると、第1分割部21の移動に伴って第2連結板59に連結された一対の第2スライド棒58が前方へ移動する。一対の第2スライド棒58は、第3連結板60が一対の第2固定部57に接触する位置まで移動する。その結果、連結部5が最も伸びた状態になる。
【0099】
また、第1分割部21を後方、すなわち第2分割部22に近づく向きに移動させることにより、上記手順と逆の手順を経て連結部5が最も縮んだ状態になる。
【0100】
第1変形例によれば、第1分割部21に取り付けられた第1駆動輪12と第2分割部22に取り付けられた第2駆動輪13との速度差によって連結部5を前後方向に伸縮可能であり、連結部5を伸縮させるための専用の駆動機構が不要であるという利点がある。特に、第1変形例では、第1分割部21のみを前後方向に移動させるだけで連結部5を伸縮させることができる。なお、連結部5を伸縮させる際に、第2駆動輪13のみを駆動させてもよいし、第1駆動輪12及び第2駆動輪13の両方を駆動させてもよい。
【0101】
(7.2)その他の変形例
本実施形態では、基台2が第1分割部21及び第2分割部22を含む場合を例として説明したが、基台2は本実施形態に限らず、少なくとも第1分割部21及び第2分割部22を含んでいればよい。言い換えると、基台2は、第1分割部21及び第2分割部22を含んでいれば、3つ以上に分割されていてもよい。
【0102】
本実施形態では、第1駆動輪12及び第2駆動輪13がオムニホイールである場合を例として説明したが、第1駆動輪12及び第2駆動輪13は全方向移動型車輪であればよく、例えばメカナムホイールであってもよいし、オムニボールであってもよい。
【0103】
また、例えば、第1駆動輪12及び第2駆動輪13の一方が一方向に走行(前進及び後進)可能な駆動輪であって、第1駆動輪12及び第2駆動輪13の他方が方向転換のための車輪であってもよい。さらに、例えば、第1駆動輪12及び第2駆動輪13の両方が一方向に走行可能な駆動輪であってもよい。
【0104】
本実施形態では、1台の移動装置1により1台のカート10を搬送する場合を例として説明した。これに対して、例えば2台の移動装置1により複数台のカート10を前後方向から挟み込み、2台の移動装置1が協調することによって複数台のカート10を搬送することも可能である。
【0105】
本実施形態では、移動装置1の周囲にある物体を検出するために、複数(本実施形態では5つ)のセンサ8を用いているが、例えば全周方向の画像を撮影可能な全周カメラを用いて移動装置1の周囲にある物体を検出してもよい。この場合、物体までの距離だけでなく、物体が人物であるか否かについても判別することができる。また、センサ8は、本実施形態のように、レーザ光でスキャニング(走査)を行うセンサに限らず、超音波でスキャニングを行うセンサであってもよい。
【0106】
本実施形態では、3枚のプレート51,52,53により連結部5が構成されているが、プレートの枚数は本実施形態に限らず、2枚であってもよいし、4枚以上であってもよい。言い換えると、プレートの枚数は2枚以上であればよく、第1分割部21を伸ばす長さに応じて適宜決定すればよい。
【0107】
本実施形態では、第2駆動輪13を停止させ、かつ第1駆動輪12のみを駆動させることによって連結部5を伸縮させる場合を例として説明したが、第1駆動輪12を停止させ、かつ第2駆動輪13のみを駆動させることによって連結部5を伸縮させてもよい。
【0108】
また、例えば、第1駆動輪12の回転方向と第2駆動輪13の回転方向とを同一方向とし、かつ第1駆動輪12の回転速度と第2駆動輪13の回転速度とを異ならせることにより、連結部5を伸縮させてもよい。この場合、第1駆動輪12の回転速度は、第2駆動輪13の回転速度よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。このように、第1駆動輪12の回転速度と第2駆動輪13の回転速度とを異ならせるだけで、連結部5を伸縮させることができる。
【0109】
さらに、例えば、第1駆動輪12の回転方向と第2駆動輪13の回転方向とを異ならせることにより、連結部5を伸縮させてもよい。この場合、第1駆動輪12の回転速度と第2駆動輪13の回転速度とが同じであってもよいし、異なっていてもよい。このように、第1駆動輪12の回転方向と第2駆動輪13の回転方向とを異ならせることにより、第1駆動輪12と第2駆動輪13との間で速度差が生じ、連結部5を伸縮させることができる。特に、この場合には、第1駆動輪12と第2駆動輪13との一方を停止させる場合や、第1駆動輪12の回転方向と第2駆動輪13の回転方向とが同一方向である場合と比較して、連結部5の伸縮に要する時間を短縮することができる。
【0110】
本実施形態では、第1分割部21に3つのセンサ8を取り付け、第2分割部22に2つのセンサ8を取り付けているが、第1分割部21と第2分割部22との少なくとも一方において少なくとも1つのセンサ8が取り付けられていればよい。
【0111】
本実施形態では、第1分割部21に取り付けられた第1駆動輪12が2つ、第2分割部22に取り付けられた第2駆動輪13が2つの場合を例として説明したが、第1駆動輪12及び第2駆動輪13の個数は2つに限定されない。言い換えると、第1駆動輪12及び第2駆動輪13の合計の個数は4つに限らず、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0112】
本実施形態では、検知部16がマイクロスイッチである場合を例として説明したが、検知部16はマイクロスイッチに限らず、連結部5の位置を検知できるようになっていればよい。したがって、検知部16は、例えば磁気センサとマグネットとで連結部5の位置を検知するように構成されていてもよい。
【0113】
本実施形態では、レバー421をスライド溝422に沿って移動させる機構が、ラックとピニオンギアとで構成されているが、上記機構はラックとピニオンギアとの構成に限らない。すなわち、上記機構は、レバー421をスライド溝422に沿って移動可能であればよく、例えばエアシリンダなどのシリンダ、ボールねじによりレバー421がスライド溝422に沿って移動するように構成されていてもよい。
【0114】
本実施形態では、載置台9の昇降台91を上下方向に移動させる機構が、昇降台91に設けられたラックと、ラックに噛み合うピニオンギアとで構成されているが、上記機構はラックとピニオンギアとの組み合わせに限らない。すなわち、上記機構は、昇降台91を上下方向に移動可能となっていればよく、例えばエアシリンダなどのシリンダ、ボールねじにより昇降台91が上下方向に移動するように構成されていてもよい。
【0115】
本実施形態では、載置台9によってカート10を持ち上げる場合を例として説明したが、例えばカート10の第1フレーム100が前側にいくほど低くなるように斜め下向きに傾斜していてもよい。この場合、基台2の第1分割部21が前方へ移動するのに伴って、カート10の前側が第1分割部21の上面に乗り上げ、これによりカート10の前側が持ち上がる。その結果、カート10の前側の車輪102を浮かせることができる。
【0116】
本実施形態では、表示装置4がタッチパネル42を備えている場合を例として説明したが、表示装置4は、タッチパネル42ではなく、表示機能のみを有する表示パネルを備えていてもよい。
【0117】
本実施形態では、移動装置1が2つの従動輪14を備えている場合を例として説明したが、移動装置1は少なくとも1つの従動輪14を備えていればよい。したがって、従動輪14の個数は1つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0118】
本実施形態では、基台2がカート10の下側に差し込まれてから第1分割部21を伸ばしているが、第1分割部21を伸ばした状態で基台2がカート10の下側に差し込まれるように構成されていてもよい。
【0119】
本実施形態における従動輪14の配置は一例であり、例えば第1分割部21側の従動輪14が、第1分割部21の後部で、かつ左右方向の左側に配置され、第2分割部22側の従動輪14が、第2分割部22の前部で、かつ左右方向の右側に配置されていてもよい。
【0120】
本実施形態では、一対の第1駆動輪12が、前側にいくほど互いの間隔が狭くなるように第1分割部21に取り付けられ、一対の第2駆動輪13が、後側にいくほど互いの間隔が狭くなるように第2分割部22に取り付けられている。これに対して、一対の第1駆動輪12が、後側にいくほど互いの間隔が狭くなるように第1分割部21に取り付けられ、一対の第2駆動輪13が、前側にいくほど互いの間隔が狭くなるように第2分割部22に取り付けられていてもよい。
【0121】
(8)効果
第1の態様に係る移動装置(1)は、基台(2)と、連結部(5)と、を備える。基台(2)は、第1分割部(21)及び第2分割部(22)を含む。連結部(5)は、第1分割部(21)と第2分割部(22)とを連結する。第1分割部(21)は、少なくとも1つの第1駆動輪(12)を有する。第2分割部(22)は、少なくとも1つの第2駆動輪(13)を有する。基台(2)は、第1駆動輪(12)と第2駆動輪(13)との少なくとも一方の駆動力によって一体に移動するように構成されている。連結部(5)は、第1分割部(21)が第2分割部(22)に最も近づいた状態となる第1位置と、第1分割部(21)が第2分割部(22)から最も離れた状態となる第2位置との間で伸縮可能である。連結部(5)は、第1駆動輪(12)と第2駆動輪(13)との速度差によって伸縮するように構成されている。
【0122】
第1の態様によれば、第1分割部(21)と第2分割部(22)とを連結する連結部(5)が第1位置と第2位置との間で伸縮可能である。そのため、移動装置(1)を収容する際には、連結部(5)を縮めて第1分割部(21)を第2分割部(22)に最も近づけた状態で収容することができる。これにより、基台(2)が伸縮するように構成されていない場合と比較して、伸縮方向(前後方向)に基台(2)を小型化することができ、その結果、移動装置(1)の収容スペースを小さくできる。また、第1駆動輪(12)と第2駆動輪(13)との速度差によって連結部(5)を伸縮させるので、連結部(5)を伸縮させるための専用の駆動機構が不要であるという利点もある。
【0123】
第2の態様に係る移動装置(1)では、第1の態様において、第1駆動輪(12)及び第2駆動輪(13)の各々は、互いに交差する少なくとも2つの軸方向に回転可能に構成された車輪である。
【0124】
第2の態様によれば、移動装置(1)を全方向に移動させることができる。ただし、この構成は移動装置の必須の構成ではなく、第1駆動輪及び第2駆動輪は、互いに交差する少なくとも2つの軸方向に回転可能に構成された車輪でなくてもよい。
【0125】
第3の態様に係る移動装置(1)では、第1又は2の態様において、連結部(5)は、第1駆動輪(12)と第2駆動輪(13)との一方を停止させ、かつ第1駆動輪(12)と第2駆動輪(13)との他方を駆動させることによって伸縮するように構成されている。
【0126】
第3の態様によれば、第1駆動輪(12)と第2駆動輪(13)との一方を駆動させるだけで連結部(5)を伸縮させることができる。ただし、この構成は移動装置の必須の構成ではなく、連結部を伸縮できるようになっていれば、第1駆動輪と第2駆動輪との一方のみを駆動するように構成されていなくてもよい。
【0127】
第4の態様に係る移動装置(1)では、第1又は2の態様において、連結部(5)は、回転速度と回転方向との少なくとも一方が異なるように第1駆動輪(12)及び第2駆動輪(13)をそれぞれ駆動させることによって伸縮するように構成されている。
【0128】
第4の態様によれば、第1駆動輪(12)と第2駆動輪(13)との間で回転速度と回転方向との少なくとも一方を異ならせるだけで連結部(5)を伸縮させることができる。特に、回転方向を異ならせた場合には、第1駆動輪(12)又は第2駆動輪(13)のみを駆動させる場合と比較して、連結部(5)の伸縮に要する時間を短くすることができる。ただし、この構成を採用するか否かは任意である。
【0129】
第5の態様に係る移動装置(1)では、第1〜4のいずれかの態様において、第1分割部(21)は、第1駆動輪(12)として、互いに交差する少なくとも2つの軸方向に回転可能に構成された2つの車輪を有する。第2分割部(22)は、第2駆動輪(13)として、互いに交差する少なくとも2つの軸方向に回転可能に構成された2つの車輪を有する。
【0130】
第5の態様によれば、2つの第1駆動輪(12)と2つの第2駆動輪(13)とで移動装置(1)を全方向に移動させることができる。ただし、この構成は移動装置の必須の構成ではなく、第1駆動輪及び第2駆動輪の個数及び構成については任意である。
【0131】
第6の態様に係る移動装置(1)は、第1〜5のいずれかの態様において、第1駆動輪(12)及び第2駆動輪(13)とは別の少なくとも1つの従動輪(14)を更に備える。
【0132】
第6の態様によれば、連結部(5)を伸ばした状態において、従動輪(14)によって第1分割部(21)及び第2分割部(22)を支持することができる。ただし、この構成は移動装置の必須の構成ではなく、従動輪は省略されていてもよい。
【0133】
第7の態様に係る移動装置(1)では、第1〜6のいずれかの態様において、第1分割部(21)と第2分割部(22)との少なくとも一方は、少なくとも1つのセンサ(8)を有する。
【0134】
第7の態様によれば、連結部(5)が第1位置に位置している状態と連結部(5)が第2位置に位置している状態とで、センサ(8)の検出範囲を異ならせることができる。ただし、この構成は移動装置の必須の構成ではなく、センサは省略されていてもよい。
【0135】
第8の態様に係る移動装置(1)は、第7の態様において、連結部(5)が第1位置に位置している状態と連結部(5)が第2位置に位置している状態とでセンサ(8)の検知範囲を変更するように構成されている。
【0136】
第8の態様によれば、連結部(5)の状態に応じてセンサ(8)の検出範囲を設定することができる。ただし、この構成は移動装置の必須の構成ではなく、連結部の状態にかかわらずセンサの検出範囲が一定であってもよい。
【符号の説明】
【0137】
1 移動装置
2 基台
21 第1分割部
22 第2分割部
5 連結部
8,8A,8B,8C,8D,8E センサ
12,12A,12B 第1駆動輪
13,13A,13B 第2駆動輪
14 従動輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10