(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の記載において、前後方向、左右方向、上下方向は、それぞれ、壁面と直交する方向(X方向)、壁面に沿った水平方向(Y方向)、壁面に沿った鉛直方向(Z方向)を示す。なお、水栓を壁面に取り付けた際、正面から見て水栓本体中心部より+Y方向を右、−Y方向を左とする。
【0010】
(実施形態)
図1、
図2は、実施形態にかかる水栓10の概略構成を示す図である。
図1は水栓10の斜視図であり、
図2は水栓10の分解図である。
【0011】
図1に示すように、水栓10は、水栓ユニット20と、ハンドルユニット30とを備える。水栓ユニット20は、吐水を行うためのユニットである。ハンドルユニット30は、水栓ユニット20の吐水における吐水方向、吐水量、および湯水の混合度合いを変更可能にするユニットである。
【0012】
図2に示すように、水栓ユニット20は、水栓本体部21と、ステー40と、カバー23とを備える。カバー23は、第1カバー50と、第2カバー60とを備える。
【0013】
水栓本体部21は、湯水の流路を内部に有する部材であって、水栓ユニット20の本体部を構成する。水栓本体部21には2つの吐水口22a、22bが設けられる。本実施形態では、例えば、吐水口22aからはストレート吐水が行われ、吐水口22bからはシャワー吐水が行われる。なお、吐水口22bにはシャワーホースが接続されるが、ここでは省略する。
【0014】
ステー40は、壁(図示せず)に取り付けられる部材である。第1カバー50は、水栓本体部21を覆うようにステー40に取り付けられる部材である。第2カバー60は、第1カバー50とともに水栓本体部21を覆うように、水栓本体部21に取り付けられる部材である。
【0015】
図3は、ステー40と第1カバー50の取り付け前の斜視図である。ステー40と第1カバー50の取り付けは、ステー40に対して第1カバー50をZ1方向にスライドさせて行う。なお、ステー40および第1カバー50は左右対称な構造であるため、以下、主に、左側の構造について説明を行い、右側の構造の説明は省略する。
【0016】
ステー40は板状の部材であって、水栓本体部21を接続する湯水の配管を通す開口部41を有する。また、前面の左側には、上下の隅に第1カバー50との被嵌合部が設けられている。被嵌合部は、上部被嵌合部42と、爪部43と、下部被嵌合部44とを備える。上部被嵌合部42および爪部43はステー40の上部に設けられ、下部被嵌合部44はステー40の下部に設けられる。
【0017】
第1カバー50は、左右の側面51と、接続面52とを有し、接続面52に対向する側は開放している。左右の側面51は、水栓本体部21を挟んで対向するように配置される一対の面である。接続面52は、左右の側面51の下端部同士を接続して水栓本体部21に沿って左右方向に延びるように配置される。左右の側面51には、ステー40との嵌合部として、上部嵌合部53、爪部54、および下部嵌合部55が設けられる。上部嵌合部53は、ステー40の上部被嵌合部42と嵌合し、爪部54は、ステー40の爪部43と嵌合し、下部嵌合部55は、ステー40の下部被嵌合部44と嵌合する。
【0018】
次に、ステー40の上部被嵌合部42および第1カバー50の上部嵌合部53に関して、
図3から
図5を参照しながらより詳細に説明する。
図4は、ステーと第1カバーの取り付け後の斜視図である。
図5は、
図4におけるA1部の拡大図である。
【0019】
図3に示すように、ステー40の左側上部には上部被嵌合部42が形成される。上部被嵌合部42は前方に突出した前方突出部42aを備える。前方突出部42aには上下方向に貫通する開口部42bが形成される。一方、第1カバー50の左側面の上部には上部嵌合部53が設けられている。上部嵌合部53は、左右方向の内側に突出した内側突出部53aを備える。内側突出部53aの先端部には上方に突出した突起部53bが形成される。なお、本実施形態において、ステー40、第1カバー50および第2カバー60の内側とは、これらの部材によって囲まれる水栓本体部21が配置される領域へ向かう方向を示す。また、ステー40、第1カバー50および第2カバー60の外側とは、水栓本体部21が配置される領域から遠ざかる方向を示す。
【0020】
突起部53bが開口部42bに挿入されることにより、第1カバー50の上部嵌合部53は、ステー40の上部被嵌合部42に嵌合する。これにより、
図4と
図5に示すように、上部嵌合部53は上部被嵌合部42によって前後方向および左右方向が囲まれた状態になり、第1カバー50の前後方向および左右方向の移動が規制される。
【0021】
次に、ステー40の爪部43および第1カバー50の爪部54に関して、
図3と
図6を参照しながらより詳細に説明する。
図6は、
図4におけるA1部の後方から見た拡大図である。
【0022】
図3と
図6に示すように、ステー40の前方突出部42aには、左右方向の外側に向けて突出した爪部43が連続して形成される。
図6に示すように、爪部43を形成する前方突出部42aの先端部分は、ステー40の面とは間隔を空けて設けられた部分である。爪部43を形成する前方突出部42aの部分は、左右方向に弾性変形可能である。一方で、第1カバー50の左側面には、内側突出部53aよりも上部に、左右方向の内側に突出した爪部54が形成される。
【0023】
図6に示すように、第1カバー50をステー40に挿入した状態では、ステー40の爪部43が第1カバー50の爪部54の内側に配置される。爪部43と爪部54はスナップ式の嵌合を行い、上下方向に係り合った状態となる。これにより、第1カバー50の下方向への移動を規制している。また爪部43と爪部54の下方においては、第1カバー50の内側突出部53aとステー40の前方突出部42aが当接しており、上下方向に係り合っている。これにより、第1カバー50の上方向への移動を規制している。
【0024】
次に、ステー40の下部被嵌合部44および第1カバー50の下部嵌合部55に関して、
図3、
図7および
図8を参照しながらより詳細に説明する。
図7は、
図4におけるA2部の拡大図である。
図8は、
図4におけるA2部の下方から見た模式図である。
【0025】
図3に示すように、第1カバー50の左側面の下部および接続面52の上面には、下部嵌合部55が形成される。下部嵌合部55は、左側面から左右方向の内側に突出した突起片である。ステー40の左側の下部には、下部被嵌合部44が形成される。
図7と
図8に示すように、下部被嵌合部44は、ステー40の前面から前方に突出した突起片受け部である。下部被嵌合部44は、下部嵌合部55の突起片を前後方向に挟めるように下面および左側面が開放した溝部を有する。ここで、ステー40に対して第1カバー50を取り付けた状態において、第1カバー50の下部嵌合部55がステー40の下部被嵌合部44の溝部に挿入される。このとき、下部嵌合部55の前面A(
図8)が下部被嵌合部44の内部における前面B(
図8)に係り合う。これにより、ステー40に対する第1カバー50の前方向の移動が規制される。
【0026】
図3に示すように、下部被嵌合部44は、上部被嵌合部42の開口部42bよりも左右方向の内側に設けられている。ステー40に対して第1カバー50を下方から取り付ける際に、開口部42bに対応する突起部53bが上昇するが、突起部53bは下部被嵌合部44よりも左右方向の外側を通過可能となる。
【0027】
上述した構成を有するステー40と第1カバー50の取り付け方法について説明する。
【0028】
図3に示すように、壁に固定されたステー40に対して、鉛直方向に沿って第1カバー50を下方から上方へと移動させる。これにより、
図4に示すように、ステー40に第1カバー50が取り付けられた状態となる。前述したように、開口部42bに突起部53bが挿入され、爪部43と爪部54が上下方向に係り合い、下部被嵌合部44の中に下部嵌合部55が配置された状態となる。
【0029】
第1カバー50の上部嵌合部53が上方へ移動する際には、ステー40の下部被嵌合部44における左右方向の外側を通過する。上部嵌合部53がさらに上昇すると、ステー40の上部被嵌合部42の開口部42bに挿入される。上部嵌合部53と上部被嵌合部42との嵌合関係により、ステー40に対する第1カバー50の前後方向および左右方向の移動が規制された状態となる。下部被嵌合部44が開口部42bよりも左右方向の内側に配置されており、上部嵌合部53の上昇の障害とならないため、上部嵌合部53をスムーズに嵌合させることができる。
【0030】
また、第1カバー50の爪部54がステー40の爪部43と係り合う際には、爪部54によって爪部43が左右方向の内側に向けて押されることで、弾性変形する。爪部54をさらに上昇させると、爪部43を超えて上方に移動し、爪部43と上下方向に係り合う。このようにして、スナップ式の嵌合が行われる。このとき、前述したように、前方突出部42aと内側突出部53aが当接することにより(
図6)、ステー40に対する第1カバー50の上下方向の移動が規制された状態となる。爪部43と爪部54が係り合った時点で、第1カバー50の移動が完了する。
【0031】
爪部43と爪部54が係り合った位置において、下部嵌合部55は下部被嵌合部44の中に配置された状態となる。これにより、ステー40に対する第1カバー50の前方向への移動が規制された状態となる。
【0032】
以上から、第1カバー50がステー40に対して前後方向、左右方向および上下方向の全ての方向に移動するのを規制することができる。特に、上部における前後方向および左右方向に関しては、第1カバー50の上部嵌合部53とステー40の上部被嵌合部42が嵌合することで、移動規制を行うことができる。また、下部における前方向に関しては、第1カバー50の下部嵌合部55の前面Aがステー40の下部被嵌合部44の内部における前面Bに係り合うことで、移動規制を行うことができる。また、上方向に関しては、第1カバー50の内側突出部53aとステー40の前方突出部42aが上下方向に係り合うことで、移動規制を行うことができる。また、下方向に関しては、第1カバー50の爪部54とステー40の爪部43が上下方向に係り合うことで、移動規制を行うことができる。
【0033】
本実施形態の水栓10によれば、水栓10は、壁に固定されて水を吐水する水栓本体部21と、水栓本体部21を覆うカバー23と、カバー23を壁に固定するステー40とを備える。カバー23は、第1カバー50と第2カバー60を備える。第1カバー50は、水栓本体部21を挟んで対向するように配置される左右の側面51と、左右の側面51の下端部同士を接続して水栓本体部21に沿って左右方向に延びるように配置される接続面52とを有する。第2カバー60は、水栓本体部21を挟んで第1カバー50と対向する位置に設けられ第1カバー50とともに水栓本体部21を覆う。カバー23は第1カバー50を介してステー40に取り付け可能である。第1カバー50の左右の側面51は、接続面52に接続される側と反対側の位置に、ステー40との嵌合部(上部嵌合部53)を備える。当該嵌合部がステー40に設けられた被嵌合部(上部被嵌合部42)に嵌まることで、ステー40に対する第1カバー50の前後方向および左右方向の移動規制を行う。
【0034】
この構成によれば、上部嵌合部53と上部被嵌合部42により、ステー40に対する第1カバー50の前後方向および左右方向の移動規制が行われることで、第1カバー50とステー40の間および第1カバー50と第2カバー60の間に隙間が生じるのを防ぐことができる。特に、接続面52に対向する側は開放されており、その部分の左右規制を行うことで、隙間が生じやすい部分の隙間を生じにくくすることができる。
【0035】
また、本実施形態では前述したように、第1カバー50の接続面52は、左右の側面51の下端部同士を接続する面であり、ステー40との嵌合部は、左右の側面51の上部に設けられた上部嵌合部53である。
【0036】
この構成によれば、第1カバー50は上が開放された構造であるため、第1カバー50の上部で左右方向に開きやすい。これに対して、上部嵌合部53と上部被嵌合部42の嵌合により、ステー40に対する第1カバー50の左右方向の移動を規制することで、第1カバー50の上部に隙間ができることを抑制でき、第1カバー50の上部から水などが入ることを抑制することができる。これにより、第1カバー50の左右方向の内側に設けられた水栓本体部21に汚れがつくのを抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態では、左右の側面51の下部または接続面52に、ステー40との下部嵌合部55が設けられる。下部嵌合部55が、ステー40に設けられた下部被嵌合部44に嵌まることで、第1カバー50の前後方向の移動規制を行う。
【0038】
この構成によれば、第1カバー50の下部が前後方向に移動するのを規制することで、第1カバー50の上部と下部の両方において、前後方向の隙間が生じるのを抑制することができる。これにより、ステー40に対して第1カバー50をより強固に固定することができる。
【0039】
また、本実施形態では、下部嵌合部55は、左右方向に伸びる突起片を備え、ステー40に設けられた下部被嵌合部44は、突起片を前後方向に挟む溝部を形成した突起片受け部を備える。
【0040】
この構成によれば、下部嵌合部55に突起片を設け、ステー40に突起片を前後方向に挟む溝部を形成した突起片受け部を設けることで、第1カバー50の前後方向の移動規制を簡易な機構により実現することができる。
【0041】
また、本実施形態では、上部嵌合部53は、上方に突出する突起部53bを備え、ステー40の上部被嵌合部42は、突起部53bが挿入される開口部42bを形成した突起受け部を備える。
【0042】
この構成によれば、上部嵌合部53に突起部53bを設け、ステー40に突起部53bが挿入される開口部42bを形成した突起受け部を設けることで、第1カバー50の前後方向および左右方向の移動規制を簡易な機構により実現することができる。
【0043】
また、本実施形態では、左右の側面51とステー40がスナップ式に固定され、第1カバー50の上下方向の移動規制を行う。
【0044】
この構成によれば、第1カバー50の左右の側面51とステー40をスナップ式に固定することで、第1カバー50の上下方向の移動規制を簡易な機構により行うことができる。
【0045】
また、本実施形態では、第1カバー50は、ステー40の下方から上方に向かって、ステー40に取り付けられる。
【0046】
この構成によれば、第1カバー50の上面は広く開放されており、ステー40の下方から上方に向かって第1カバー50をステー40に取り付ける場合、水栓本体部21が障害になりにくいため、第1カバー50をステー40に容易に取り付けることができる。
【0047】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、前記実施形態では、接続面52は、左右の側面51の下端部同士を接続し、嵌合部は、左右の側面51の上部に設けられた上部嵌合部53としたが、上下逆の形態であってもよい。つまり、接続面52は、左右の側面51の上端部同士を接続し、上部嵌合部53に対応する嵌合部は、左右の側面51の下部に設けられてもよい。このとき、ステー40に対して第1カバー50を上方から下方に向けてスライドさせることにより取り付け可能としてもよい。
【0048】
また、上部被嵌合部42と上部嵌合部53に加えて、爪部43と爪部54、下部被嵌合部44と下部嵌合部55を設ける場合について説明したが、このような場合に限らず、爪部43と爪部54、下部被嵌合部44と下部嵌合部55は設けない場合であってもよい。このような場合であっても、上部被嵌合部42と上部嵌合部53により、前後方向および左右方向の移動を規制しているため、第1カバー50に隙間が生じるのを効果的に抑制することができる。
【0049】
また、上部被嵌合部42と上部嵌合部53の形態、および、下部被嵌合部44と下部嵌合部55の形態はそれぞれを溝と突起としたが、互いに嵌合するものであれば、任意の形態であってもよい。また、上部被嵌合部42と上部嵌合部53の形態、および、下部被嵌合部44と下部嵌合部55の形態は逆の形態であってもよい。すなわち、溝と突起の関係を逆の形態に変更してもよい。
【0050】
また、爪部43と爪部54の形態は、
図3などに示した構成に限らず、スナップ式で嵌合するものであれば任意の形態であってもよい。
【0051】
また、下部嵌合部55の前面A(
図8)が下部被嵌合部44の内部における前面B(
図8)に係り合い、ステー40に対する第1カバー50の前方向の移動が規制されるとしたが、下部嵌合部55と下部被嵌合部44により前後方向の移動規制を行ってもよい。
【0052】
また、本実施形態の第1カバー50およびステー40において、上部、下部とは、それぞれ、本実施形態の第1カバー50およびステー40の上半分、下半分であってもよい。
【0053】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、実施形態における要素の組み合わせや順序の変化は、本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。