特許第6793343号(P6793343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793343
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】化粧板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27M 1/08 20060101AFI20201119BHJP
   B27M 1/00 20060101ALI20201119BHJP
   B27D 5/00 20060101ALI20201119BHJP
   B32B 33/00 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B27M1/08 G
   B27M1/00 C
   B27D5/00
   B32B33/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-107489(P2017-107489)
(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公開番号】特開2018-202638(P2018-202638A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2019年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 宏樹
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−199322(JP,A)
【文献】 実開昭59−177689(JP,U)
【文献】 特開2016−011527(JP,A)
【文献】 特開2013−245510(JP,A)
【文献】 実開昭55−119889(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0229732(US,A1)
【文献】 特開2015−174223(JP,A)
【文献】 特開平02−188204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27M 1/00 − 3/38
B27D 5/00
B32B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質板と、
前記木質板のうち厚み方向の第一側を向く第一面を覆う第一化粧シートと、
前記木質板のうち前記厚み方向の第二側を向く第二面を覆う第二化粧シートと、
前記木質板のうち前記厚み方向に直交する方向を向く木口面に塗布された接着剤と、
前記木口面を覆うエッジ材とを備え、
前記第一化粧シートの端縁部は、前記木口面の前記第一側の端部を覆うように折れ曲がった第一部分で構成され、
前記第二化粧シートの端縁部は、前記木口面の前記第二側の端部を覆うように折れ曲がった第二部分で構成され、
前記エッジ材は、前記接着剤のうち前記第一部分と前記第二部分の間からはみ出した部分を介して、前記木口面に貼り付けられていることを特徴とする化粧板。
【請求項2】
前記第一部分は、前記接着剤を介して前記木口面の前記第一側の端部に貼り付けられ、
前記第二部分は、前記接着剤を介して前記木口面の前記第二側の端部に貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の化粧板。
【請求項3】
前記エッジ材は、前記接着剤の前記はみ出した部分を介して、前記第一部分と前記第二部分のそれぞれに貼り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧板。
【請求項4】
木質板のうち厚み方向の第一側を向く第一面に第一化粧シートを貼り付け、前記第一化粧シートの端縁部を構成する第一部分が、前記第一面を越えて突き出るように設け、かつ、前記木質板のうち前記厚み方向の第二側を向く第二面に第二化粧シートを貼り付け、前記第二化粧シートの端縁部を構成する第二部分が、前記第二面を越えて突き出るように設ける第一工程と、
前記木質板のうち前記厚み方向に直交する方向を向く木口面に、接着剤を塗布する第二工程と、
前記第一部分を折り曲げ、前記木口面の前記第一側の端部に、前記接着剤を介して前記第一部分を貼り付け、かつ、前記第二部分を折り曲げ、前記木口面の前記第二側の端部に、前記接着剤を介して前記第二部分を貼り付ける第三工程と、
前記接着剤のうち前記第一部分と前記第二部分の間からはみ出した部分を介して、エッジ材を前記木口面に貼り付ける第四工程と、を備えることを特徴とする化粧板の製造方法。
【請求項5】
前記第一工程において、
前記第一化粧シートのうち、前記第一部分を除いた残りの部分を前記第一面に貼り付けることで、前記第一部分が前記第一面を越えて突き出るようにし、かつ、前記第二化粧シートのうち、前記第二部分を除いた残りの部分を前記第二面に貼り付けることで、前記第二部分が前記第二面を越えて突き出るようにすることを特徴とする請求項4に記載の化粧板の製造方法。
【請求項6】
前記第一工程において、
前記第一部分を含めて前記第一化粧シートの全体を前記第一面に貼り付け、かつ前記第二部分を含めて前記第二化粧シートの全体を前記第二面に貼り付け、その後、前記木質板の端縁部を取り除くことで、前記第一部分が前記第一面を越えて突き出るようにし、かつ前記第二部分が前記第二面を越えて突き出るようにすることを特徴とする請求項4に記載の化粧板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、板状の木質基材の木口面の両端部に止水剤を塗布して浸透させ、木口面のうち両端部を除いた部分に接着剤を塗布し、木口面にエッジ材を貼り付ける化粧板の製造方法が記載されている。
【0003】
これにより、特許文献1に記載の化粧板の製造方法では、製造時の、木口面とエッジ材の間からの接着剤のはみ出しを抑制したうえで、木口面の両端部への水の染み込みを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−199322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の化粧板の製造方法では、止水剤を塗布して浸透させる工程があるため、工程が多く煩雑である。
【0006】
上記事情に鑑みて、本発明は、製造時の、木口面とエッジ材の間からの接着剤のはみ出しを抑制したうえで、木口面への水の染み込みを防ぐことができ、かつ、製造しやすい化粧板及びその製造方法を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る一態様の化粧板は、木質板と、第一化粧シートと、第二化粧シートと、接着剤と、エッジ材とを備える。
【0008】
前記第一化粧シートは、前記木質板のうち厚み方向の第一側を向く第一面を覆う。前記第二化粧シートは、前記木質板のうち前記厚み方向の第二側を向く第二面を覆う。前記接着剤は、前記木質板のうち前記厚み方向に直交する方向を向く木口面に塗布される。前記エッジ材は、前記木口面を覆う。
【0009】
前記第一化粧シートの端縁部は、前記木口面の前記第一側の端部を覆うように折れ曲がった第一部分で構成される。前記第二化粧シートの端縁部は、前記木口面の前記第二側の端部を覆うように折れ曲がった第二部分で構成される。
【0010】
前記エッジ材は、前記接着剤のうち前記第一部分と前記第二部分の間からはみ出した部分を介して、前記木口面に貼り付けられている。
【0011】
また、本発明に係る一態様の化粧板の製造方法は、第一工程と、第二工程と、第三工程と、第四工程とを備える。
【0012】
前記第一工程では、木質板のうち厚み方向の第一側を向く第一面に第一化粧シートを貼り付け、前記第一化粧シートの端縁部を構成する第一部分が、前記第一面を越えて突き出るように設ける。かつ、前記第一工程では、前記木質板のうち前記厚み方向の第二側を向く第二面に第二化粧シートを貼り付け、前記第二化粧シートの端縁部を構成する第二部分が、前記第二面を越えて突き出るように設ける。
【0013】
前記第二工程では、前記木質板のうち前記厚み方向に直交する方向を向く木口面に、接着剤を塗布する。
【0014】
前記第三工程では、前記第一部分を折り曲げ、前記木口面の前記第一側の端部に、前記接着剤を介して前記第一部分を貼り付け、かつ、前記第二部分を折り曲げ、前記木口面の前記第二側の端部に、前記接着剤を介して前記第二部分を貼り付ける。
【0015】
前記第四工程では、前記接着剤のうち前記第一部分と前記第二部分の間からはみ出した部分を介して、エッジ材を前記木口面に貼り付ける。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る一態様の化粧板は、製造時の、木口面とエッジ材の間からの接着剤のはみ出しを抑制したうえで、木口面への水の染み込みを防ぐことができ、かつ、製造しやすい。
【0017】
また、本発明に係る一態様の化粧板の製造方法では、製造時の、木口面とエッジ材の間からの接着剤のはみ出しを抑制したうえで、木口面への水の染み込みを防ぐことができ、かつ、製造しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1Aは、本発明に係る一実施形態の化粧板を示し、図1Bは、同上の化粧板の要部の側面図である。
図2図2A〜Dは、同上の化粧板の製造方法の第一工程〜第四工程を示す断面図である。
図3図3A図3Bは、同上の化粧板の製造方法の第一工程の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、化粧板及びその製造方法に関し、詳しくは、木質板の木口面にエッジ材が貼り付けられた化粧板及びその製造方法に関する。
【0020】
(1)化粧板
図1A図1Bには、一実施形態の化粧板1が示されている。化粧板1は、水回り設備(システムキッチンや洗面化粧台等)用の板材として好適に用いられる。
【0021】
化粧板1は、木質板2と、第一化粧シート3と、第二化粧シート4と、接着剤5と、エッジ材6とを備える。以下では、木質板2の厚み方向を方向D1とし、方向D1に対して直交する方向の1つを方向D2とし、方向D1及び方向D2に対して直交する方向を方向D3として、各構成について説明する。
【0022】
木質板2は、矩形状の板材であり、中密度繊維板(MDF)、パーティクルボード、合板等である。木質板2は、厚み方向(方向D1)の第一側を向く第一面20と、厚み方向(方向D1)の第二側を向く第二面21と、厚み方向(方向D1)と直交する方向(本実施形態では方向D2の片側)を向く木口面22とを有する。第二側は、第一側とは反対側である。
【0023】
第一化粧シート3は、木質板2の第一面20の全体を覆うシートである。第一化粧シート3の端縁部は、木口面22の第一側の端部を覆うように折れ曲がった第一部分30で構成される。第一部分30は、木口面22の第一側の端部を方向D3の全長に亘って覆う。第一化粧シート3は、止水性を有しかつ屈曲可能な材質であり、オレフィンシート、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート等である。
【0024】
第二化粧シート4は、木質板2の第二面21の全体を覆うシートである。第二化粧シート4の端縁部は、木口面22の第二側の端部を覆うように折れ曲がった第二部分40で構成される。第二部分40は、木口面22の第二側の端部を方向D3の全長に亘って覆う。第二化粧シート4は、止水性を有しかつ屈曲可能な材質であり、オレフィンシート、PET(ポリエチレンテレフタレート)シート等である。
【0025】
接着剤5は、ホットメルト系の接着剤である。接着剤5は、木口面22の全体に塗布されている。接着剤5は、第一部分30と第二部分40の間からエッジ材6側にはみ出している。接着剤5はさらに、エッジ材6と第一部分30の間と、エッジ材6と第二部分40の間に介在している。
【0026】
エッジ材6は、木口面22に貼り付けられて、木口面22を覆う板材である。エッジ材6は、矩形板状であり、方向D3が長手方向であり、方向D1が短手方向であり、方向D2が厚み方向である。エッジ材6の方向D1の長さは、木質板2の方向D1の長さと略同じであり、エッジ材6の方向D3の長さは、木質板2の方向D3の長さと略同じである。なお、図1Aでは、エッジ材6の方向D3の一部の図示を省略している。エッジ材6は、木質板2側を向く面が平坦面であり、木質板2から遠い側の2つの隅部分が、面取り形状に設けられている。エッジ材6は、ABS樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂等で形成される。
【0027】
化粧板1では、第一化粧シート3の第一部分30が、接着剤5を介して木口面22の第一側の端部に貼り付けられ、第二化粧シート4の第二部分40が、接着剤5を介して木口面22の第二側の端部に貼り付けられている。第一部分30と第二部分40とは、方向D1において互いに離れて位置する。本実施形態では、第一部分30の方向D1の長さと第二部分40の方向D1の長さは、互いに同じであり、木口面22の方向D1の長さの3分の1程度である。なお、第一部分30の方向D1の長さと第二部分40の方向D1の長さは、互いに異なってもよい。
【0028】
化粧板1では、エッジ材6は、接着剤5のうち第一部分30と第二部分40の間からはみ出した部分を介して、木口面22に貼り付けられている。エッジ材6はさらに、第一部分30と第二部分40のそれぞれに対して、接着剤5のはみ出し部分を介して貼り付けられている。方向D2から視て、第一部分30と第二部分40は、エッジ材6によって覆われている。
【0029】
(2)化粧板の製造方法
化粧板1の製造方法は、第一工程と、第二工程と、第三工程と、第四工程を備える。
【0030】
第一工程では、図2Aに示すように、木質板2の第一面20に第一化粧シート3を貼り付け、第一化粧シート3の端縁部を構成する第一部分30が、第一面20を越えて突き出るように設ける。また、第一工程では、木質板2の第二面21に第二化粧シート4を貼り付け、第二化粧シート4の端縁部を構成する第二部分40が、第二面21を越えて突き出るように設ける。なお、木質板2への化粧シート3,4の貼り付けは、どちらか一方が先であってもよいし、同時であってもよい。
【0031】
本実施形態では、第一部分30が第一面20よりも方向D2における外側に位置するように、第一面20に第一化粧シート3を貼り付けることによって、第一部分30が第一面20を超えて突き出るように設ける。また、第二部分40が第二面21よりも方向D2における外側に位置するように、第二面21に第二化粧シート4を貼り付けることによって、第二部分40が第二面21を越えて突き出るように設ける。
【0032】
第二工程では、図2Bに示すように、木質板2の木口面22の全体に、接着剤5を塗布する。接着剤5の塗布量は、第四工程において、エッジ材6と木口面22との間から接着剤5がはみ出すことがないように、適宜設定される。接着剤5の塗布量は、例えば、180〜220g/m2程度であり、塗布された接着剤5の厚みは、200μm程度である。木口面22への接着剤5の塗布は、Tダイや、ダイコーター等の塗布装置で行われる。
【0033】
第三工程では、図2Cに示すように、第一部分30を折り曲げ、木口面22の第一側の端部に、接着剤5を介して第一部分30を貼り付ける。このとき、第一部分30と木口面22の間の接着剤5は、第一部分30によって押し潰されて、厚みが塗布時の半分程度となる。また、第三工程では、第二部分40を折り曲げ、木口面22の第二側の端部に、接着剤5を介して第二部分40を貼り付ける。このとき、木口面22と第二部分40の間の接着剤5は、第二部分40によって押し潰されて、厚みが塗布時の半分程度となる。これにより、第一部分30と第二部分40の間からは、接着剤5の一部がはみ出す。
【0034】
第一部分30及び第二部分40の折り曲げは、例えば、ローラーを用いて行われる。なお、第一部分30及び第二部分40の折り曲げは、どちらか一方が先であってもよいし、同時であってもよい。
【0035】
第四工程では、図2Dに示すように、接着剤5のうち第一部分30と第二部分40の間からはみ出した部分を介して、エッジ材6を木口面22に貼り付ける。このとき、接着剤5は、木口面22のうち第一部分30と第二部分40の間の部分とエッジ材6の間に限らず、第一部分30とエッジ材6の間と、第二部分40とエッジ材6の間に拡がり、エッジ材6を第一部分30と第二部分40と木口面22に対して接着させる。エッジ材6の貼り付けは、例えばエッジバンダー(縁貼機)を用いて行う。エッジ材6の貼り付けの後、接着剤5は、例えば従来周知の加熱装置を用いて硬化させる。なお、接着剤5は、自然乾燥によって硬化させてもよい。
【0036】
上述した第二工程、第三工程、及び第四工程は、図示しないベルトコンベア等の搬送装置によって、木質板2を一方向に搬送しながら実施可能である。なお、第二工程、第三工程及び第四工程は、木質板2の位置を固定したまま実施してもよい。
【0037】
以上説明した第一乃至第四工程を経て製造される本実施形態の化粧板1では、木口面22の方向D1の両端部が第一部分30と第二部分40で覆われて止水性が確保されている。そのため、本実施形態の化粧板1では、木口面22とエッジ材6の間の接着剤5を、方向D1の両端の手前までの範囲に収めることができ、製造時の接着剤5のはみ出しを防止できる。
【0038】
また、本実施形態の化粧板1では、木口面22の方向D1の両端部を覆う第一部分30と第二部分40が、化粧シート3,4の端縁部で構成されるため、止水用の部材が別途必要とならない。
【0039】
また、本実施形態の化粧板1では、木口面22に塗布した接着剤5によって、第一部分30及び第二部分40の貼り付けと、エッジ材6の貼り付けの両方を行えるため、施工手間を抑えることができる。
【0040】
また、本実施形態の化粧板1では、第一部分30及び第二部分40は、接着剤5を介し木口面22とエッジ材6の両方に接着されているため、木口面22の端部を覆う状態を維持しやすい。
【0041】
また、本実施形態の化粧板1の製造方法では、木口面22の厚み方向の中央部分(つまり第一部分30と第二部分40の間の部分)に位置する接着剤5に対してエッジ材6を押し当てるため、接着剤5が木口面22とエッジ材6の間からはみ出しにくい。
【0042】
また、本実施形態の化粧板1の製造方法では、第一工程の後、第二工程を行うことで、塗布時に木口面22から接着剤5が方向D1にはみ出すことを、第一部分30と第二部分40によって防ぐことができる。
【0043】
(3)変形例
続いて、上述した一実施形態の化粧板1及びその製造方法の変形例について説明する。
【0044】
化粧板1は、エッジ材6と第一部分30の間に、接着剤5が介在しなくてもよく、また、エッジ材6と第二部分40の間に、接着剤5が介在しなくてもよい。
【0045】
また、第一部分30と木口面22の間には、接着剤5が介在しなくてもよく、また、第二部分40と木口面22の間には、接着剤5が介在しなくてもよい。
【0046】
化粧板1の製造方法の第一工程では、上述した方法では別の方法で、第一部分30が第一面20を超えて突き出るように設け、かつ、第二部分40が第二面21を越えて突き出るように設けるようにしてもよい。
【0047】
例えば、まず、図3Aに示すように、第一部分30を含めて第一化粧シート3の全体を木質板2の第一面20に貼り付け、かつ、第二部分40を含めて第二化粧シート4の全体を第二面21に貼り付ける。その後、図3Bに示すように、木質板2の端縁部(第一部分30と第二部分40が重なる部分)を切除するなどして取り除く。この方法でも、第一部分30が第一面20を超えて突き出るように設け、かつ、第二部分40が第二面21を越えて突き出るように設けることが可能である。
【0048】
化粧板1は、方向D2における片側の面(つまり木口面22)に限らず、方向D2におけるもう片側の面に、同様の方法でエッジ材6が貼り付けられてもよい。また、化粧板1は、方向D3における両端面にも、同様の方法でエッジ材6が貼り付けられてもよい。
【0049】
(4)効果
上述した一実施形態及びその変形例の化粧板1から明らかなように、第一の態様の化粧板1は、下記の第一の特徴を備える。
【0050】
すなわち、第一の態様の化粧板1は、木質板2と、第一化粧シート3と、第二化粧シート4と、接着剤5と、エッジ材6とを備える。
【0051】
第一化粧シート3は、木質板2のうち厚み方向の第一側を向く第一面20を覆う。第二化粧シート4は、木質板2のうち厚み方向の第二側を向く第二面21を覆う。接着剤5は、木質板2のうち厚み方向に直交する方向を向く木口面22に塗布される。エッジ材6は、木口面22を覆う。
【0052】
第一化粧シート3の端縁部は、木口面22の第一側の端部を覆うように折れ曲がった第一部分30で構成される。第二化粧シート4の端縁部は、木口面22の第二側の端部を覆うように折れ曲がった第二部分40で構成される。
【0053】
エッジ材6は、接着剤5のうち第一部分30と第二部分40の間からはみ出した部分を介して、木口面22に貼り付けられている。
【0054】
上記の第一の特徴のように、第一の態様の化粧板1では、木口面22の第一側の端部を第一部分30で覆い、木口面22の第二側の端部を第二部分40で覆うことで、木口面22の両端部への水の染み込みを抑制することができる。そのため、第一の態様の化粧板1では、従来例のように木口面22の両端部に止水剤を塗布して浸透させる工程を省略することができるため、製造しやすい。また、第一の態様の化粧板1では、木口面22の両端部の止水を第一部分30と第二部分40によって行えるため、エッジ材6と木口面22の間の接着剤5を、エッジ材6の両端の手前までの範囲に収めることができる。これにより、第一の態様の化粧板1では、エッジ材6と木口面22の間から接着剤5がはみ出すことを防ぐことができる。
【0055】
また、第一の態様の化粧板1では、木質板2の第一面20を覆う第一化粧シート3の端縁部と、木質板2の第二面21を覆う第二化粧シート4の端縁部を利用して、木口面22の両端部の止水が行えるため、止水用の部材が別途必要とならない。
【0056】
また、第二の態様の化粧板1は、上記の第一の特徴に加えて、下記の第二の特徴を備える。
【0057】
すなわち、第二の態様の化粧板1では、第一部分30は、接着剤5を介して木口面22の第一側の端部に貼り付けられ、第二部分40は、接着剤5を介して木口面22の第二側の端部に貼り付けられている。
【0058】
上記の第二の特徴を備えることで、第二の態様の化粧板1では、第一部分30と木口面22の間や、第二部分40と木口面22の間に水が入り込むことを接着剤5によって抑制することができ、木口面22の両端部への水の染み込みをさらに抑制することができる。また、第二の態様の化粧板1では、木口面22を部分的に覆う第一部分30と第二部分40が木口面22から離れることを、接着剤5によって防ぐことができる。
【0059】
また、第三の態様の化粧板1は、第一または第二の態様の化粧板1の特徴に加えて、下記の第三の特徴を備える。
【0060】
すなわち、第三の態様の化粧板1では、エッジ材6は、接着剤5のはみ出した部分を介して、第一部分30と第二部分40のそれぞれに貼り付けられている。
【0061】
上記の第三の特徴を備えることで、第三の態様の化粧板1では、エッジ材6が、木口面22のうち、第一部分30と第二部分40の間から露出する部分にだけ貼り付けられる場合に比べて、エッジ材6の貼り付け強度を高めることができる。
【0062】
また、上述した一実施形態及びその変形例の化粧板1の製造方法から明らかなように、第一の態様の化粧板1の製造方法は、下記の特徴を備える。
【0063】
すなわち、第一の態様の化粧板1の製造方法は、第一工程と、第二工程と、第三工程と、第四工程と、を備える。
【0064】
第一工程では、木質板2のうち厚み方向の第一側を向く第一面20に第一化粧シート3を貼り付け、第一化粧シート3の端縁部を構成する第一部分30が、第一面20を越えて突き出るように設ける。かつ、第一工程では、木質板2のうち厚み方向の第二側を向く第二面21に第二化粧シート4を貼り付け、第二化粧シート4の端縁部を構成する第二部分40が、第二面21を越えて突き出るように設ける。
【0065】
第二工程では、木質板2のうち厚み方向に直交する方向を向く木口面22に、接着剤5を塗布する。
【0066】
第三工程では、第一部分30を折り曲げ、木口面22の第一側の端部に、接着剤5を介して第一部分30を貼り付け、かつ、第二部分40を折り曲げ、木口面22の第二側の端部に、接着剤5を介して第二部分40を貼り付ける。
【0067】
第四工程では、接着剤5のうち第一部分30と第二部分40の間からはみ出した部分を介して、エッジ材6を木口面22に貼り付ける。
【0068】
上記の第一の特徴を備えることで、第一の態様の化粧板1の製造方法では、木口面22の両端部を第一部分30と第二部分40で覆って、木口面22の両端部への水の染み込みを防ぐことができる。そのため、第一の態様の化粧板1の製造方法では、従来例のように木口面22の両端部に止水剤を塗布して浸透させる工程を省略することができるため、製造しやすい。また、第一の態様の化粧板1の製造方法では、木口面22の両端部の止水を第一部分30と第二部分40によって行えるため、エッジ材6と木口面22の間の接着剤5を、エッジ材6の両端の手前までの範囲に収めることができる。これにより、第一の態様の化粧板1の製造方法では、木口面22とエッジ材6との間から接着剤5がはみ出すことを防ぐことができる。
【0069】
また、第一の態様の化粧板1の製造方法では、木質板2の第一面20を覆う第一化粧シート3の端縁部と、木質板2の第二面21を覆う第二化粧シート4の端縁部を利用して、木口面22の両端部の止水が行えるため、止水用の部材が別途必要とならない。
【0070】
また、第二の態様の化粧板1の製造方法は、上記の第一の特徴に加えて、下記の第二の特徴を備える。
【0071】
すなわち、第二の態様の化粧板1の製造方法では、第一工程において、第一化粧シート3のうち、第一部分30を除いた残りの部分を第一面20に貼り付けることで、第一部分30が第一面20を越えて突き出るようにする。かつ、第二化粧シート4のうち、第二部分40を除いた残りの部分を第二面21に貼り付けることで、第二部分40が第二面21を越えて突き出るようにする。
【0072】
上記の第二の特徴を備えることで、第二の態様の化粧板1の製造方法では、化粧シート3,4を木質板2に貼り付ける作業の他に、部分30,40が木質板2を越えて突き出るようにするための作業が別途不要であり、第一工程の簡略化を図ることができる。
【0073】
また、第三の態様の化粧板1の製造方法は、上記の第一の特徴に加えて、下記の第三の特徴を備える。
【0074】
すなわち、第三の態様の化粧板1の製造方法では、第一工程において、第一部分30を含めて第一化粧シート3の全体を第一面20に貼り付け、かつ第二部分40を含めて第二化粧シート4の全体を第二面21に貼り付ける。その後、木質板2の端縁部を取り除くことで、第一部分30が第一面20を越えて突き出るようにし、かつ第二部分40が第二面21を越えて突き出るようにする。
【0075】
上記の第三の特徴を備えることで、第三の態様の化粧板1の製造方法では、木質板2の端縁部を取り除くことで、第一部分30が第一面20を越えて突き出るようにすることと、第二部分40が第二面21を越えて突き出るようにすることを、まとめて行える。
【0076】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 化粧板
2 木質板
20 第一面
21 第二面
22 木口面
3 第一化粧シート
30 第一部分
4 第二化粧シート
40 第二部分
5 接着剤
6 エッジ材
図1
図2
図3