特許第6793349号(P6793349)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793349
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】充填包装機のフロート
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/30 20060101AFI20201119BHJP
   B65B 9/20 20120101ALI20201119BHJP
【FI】
   B65B3/30
   B65B9/20
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-123754(P2016-123754)
(22)【出願日】2016年6月22日
(65)【公開番号】特開2017-226445(P2017-226445A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000180298
【氏名又は名称】四国化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】曽良 弘
(72)【発明者】
【氏名】盛川 康弘
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−168112(JP,A)
【文献】 特開2004−271487(JP,A)
【文献】 特開2004−196397(JP,A)
【文献】 特開2015−174665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 3/30
B65B 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ状包材から内容物充填容器を成形する充填包装機において、チューブ状包材内に上方から挿入されて内容物を充填する充填管の周囲に、充填管の長さ方向に沿ってスライド自在に設けられ、チューブ状包材内の内容物の充填レベルの変動に応じて昇降するフロートであって、
チューブ状包材の内周面と所定の環状空隙をあけて向かい合うフロートの外周面に、チューブ状包材から内容物充填容器が成形される際に前記環状空隙に生じる内容物の上向きの流れと接触する凸部が形成されており、前記凸部は、水平リング状のものであって、フロートの外周面に上下方向に間隔をおいて複数形成されているとともに、内容物の充填レベルよりも下方に位置するものと、同上方に位置するものとを有している、充填包装機のフロート。
【請求項2】
4つ以上の水平リング状の凸部が、フロートの外周面に上下方向に間隔をおいて形成されている、請求項1記載の充填包装機のフロート。
【請求項3】
チューブ状包材から内容物充填容器を成形する充填包装機において、チューブ状包材内に上方から挿入されて内容物を充填する充填管の周囲に、充填管の長さ方向に沿ってスライド自在に設けられ、チューブ状包材内の内容物の充填レベルの変動に応じて昇降するフロートであって、
チューブ状包材の内周面と所定の環状空隙をあけて向かい合うフロートの外周面に、チューブ状包材から内容物充填容器が成形される際に前記環状空隙に生じる内容物の上向きの流れと接触する凸部が形成されており、前記凸部は、連続した螺旋状または2つ以上に分断された螺旋状のものであって、内容物の充填レベルよりも下方に位置する部分と、同上方に位置する部分とを有している、充填包装機のフロート。
【請求項4】
凸部の突出高さは、フロートの外周面とチューブ状包材の内周面との間の環状空隙の水平径方向の寸法よりも1〜3mm小さいものとなされている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の充填包装機のフロート。
【請求項5】
フロートの外周面を構成する円筒状の外周壁部と、外周壁部と同心状に配置されかつ充填管の外周面にスライド接触させられるフロートの内周面を構成する円筒状の内周壁部とを備えており、外周壁部および内周壁部が樹脂により形成されている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の充填包装機のフロート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流動性食品や飲料等の内容物を、紙等のウェブ状包材から成形された容器に充填して包装する充填包装機に関し、より詳細には、充填包装機において、ウェブ状包材の両縁部をシールして成形されたチューブ状包材に充填管を通じて充填される内容物の充填レベルを検出して同レベルを調整するために用いられるフロートに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば流動性食品等の内容物を充填した紙成形容器を製造するための充填包装機として、図5および図6に示すものが知られている。
この充填包装機(10)は、ロール状に巻かれたウェブ状包材(W)を支持しているリワインダ(11)と、リワインダ(11)からウェブ状包材(W)を順次巻き戻す巻戻し装置(12)と、巻き戻されたウェブ状包材(W)の両縁部どうしを重ね合わせて縦シールすることによりチューブ状包材(T)に成形するチューブ成形装置(13)と、チューブ状包材(T)内に上方から挿入された充填管(14)によってチューブ状包材(T)内に内容物を充填する内容物供給装置(15)と、内容物が充填されたチューブ状包材(T)を、側方から挟圧して予備成形し、かつ容器1つ分に相当する長さ毎に横シールして横シール部の幅中間で切断することにより、中間形態である枕状の内容物充填容器(C1)を成形する容器成形装置(16)と、上記容器(C1)を完成形態である直方体状の内容物充填容器(C2)に成形する容器完成装置(17)とを備えている。
容器成形装置(16)は、チューブ状包材(T)を挟んで開閉しうるように配されてチューブ状包材(T)を横シールする2対のシールジョー(161)を備えている。
シールジョー(161)は、容器(C1)1つ分の長さに相当するストロークで1対ずつ交互に昇降させられる。図6に示すように、各対のシールジョー(161)には、チューブ状包材(T)をその両側から挟み付けることにより所定の容器形状(例えば横断面正方形)に予備成形する成形フラップ(162)が備えられている。
【0003】
また、充填管(14)の周囲には、フロート(19)が、充填管(14)の長さ方向に沿ってスライド自在に設けられている。このフロート(19)は、チューブ状包材(T)内の内容物の充填レベル(L)の変動に応じて昇降するようになっていて、内容物の充填レベル(L)を検出してこれを一定レベルに調整する装置(図示略)の一部を構成している。
より詳細には、フロート(19)は、例えば、同心の円筒状の外周壁部(191)および内周壁部(192)と、外周壁部(191)および内周壁部(192)の上端どうしの開口を塞ぐ上端壁部(193)と、外周壁部(191)および内周壁部(192)の下端どうしの開口を塞ぐ下端壁部(図示略)とを備えた横断面ドーナツ形の中空状のものとなされる(図6参照)。
なお、図5および図6では図示を省略したが、フロート(19)と組み合わせて内容物の充填レベル(L)を一定に調整する装置としては、種々のものがある。例えば、フロート(19)の昇降に連動して充填管(14)からチューブ状包材(T)内への内容物供給量を調整するバタフライ弁等の流量調整弁を備えた装置が知られている(上記特許文献1参照)。また、フロート(19)の内部の所定レベルに磁石を配置するとともに、フロート(19)の昇降範囲に沿うようにチューブ状包材(T)の外側に磁気センサを配置し、磁気センサによって検出されたフロート(19)内の磁石のレベル信号をソレノイド弁等の電磁弁に送り、この電磁弁によって充填管(14)からチューブ状包材(T)内への内容物供給量を調整する装置も知られている。
【0004】
上記の充填包装機(10)において、中間形態の枕状内容物充填容器(C1)を成形する際、内容物が充填されたチューブ状包材(T)に対して、各対のシールジョー(161)および成形フラップ(162)による加圧力が作用すると、チューブ状包材(T)の下端側は横シール部によって閉鎖されているため、内容物の一部が上方へ逃げようとする。しかしながら、内容物が上方に逃げてしまうと、チューブ状包材(T)の内部圧力が不足して成形フラップ(162)による予備成形が成形不良となったり、内容物の充填量が不足したりするおそれがある。
そのため、充填管(14)における内容物充填レベル(L)よりも下方に位置する部分の周囲に、プレッシャフランジ(18)が取り付けられている。このプレッシャフランジ(18)により、上方へ逃げようとする内容物、換言すれば、内容物の流体圧力が受け止められ、容器(C1)の成形に必要な内部圧力が確保されるようになっている。
但し、内部圧力が高くなりすぎると、チューブ状包材(T)が縦シール部の箇所で破れるおそれがあるため、プレッシャフランジ(18)の外周面と、チューブ状包材(T)の内周面との間に、内容物の流体圧力の一部を上方に逃がす環状空隙(S1)が形成されている(図6参照)。
この環状空隙(S1)を通じてプレッシャフランジ(18)の上方に逃げる内容物の流体圧力が大きい場合、内容物は、さらにフロート(19)の外周面とチューブ状包材(T)の内周面との間の環状空隙(S2)を上向きに流れ、その流体圧力によって内容物の液面から飛沫が跳ね上がることがあった。
そして、跳ね上がった内容物の飛沫が、ウェブ状包材(W)の両縁部どうしの縦シールを行う縦シールローラまで達すると、飛沫の付着により縦シールローラが固着して回転不良が生じ、縦シール不良を招くことがあった。また、内容物の飛沫が、縦シール前のウェブ状包材(W)の両縁部のシール面に付着して、縦シール不良が生じる場合もあった。
上記の課題を解決するため、本発明者らは、上記環状空隙(S1)を上向きに流れる内容物を攪乱する凸部(181)および/または凹部(182)をプレッシャフランジ(18)の外周面に形成し、それによって内容物の飛沫の付着による縦シール不良の発生を低減することを提案した(上記特許文献2参照)。
しかしながら、プレッシャフランジ(18)として上記構成のものを使用した場合でも、内容物の液面から飛沫が跳ね上がるのを完全に抑制することができないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−194202号公報
【特許文献2】特開2015−174665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、充填包装機において、チューブ状包材から内容物充填容器を成形する際に内容物の液面から飛沫が跳ね上がるのを抑止しうるフロートを提供し、その前工程であるウェブ状包材からチューブ状包材への成形工程において、内容物の飛沫の付着による縦シール不良が起こらないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0008】
1)チューブ状包材から内容物充填容器を成形する充填包装機において、チューブ状包材内に上方から挿入されて内容物を充填する充填管の周囲に、充填管の長さ方向に沿ってスライド自在に設けられ、チューブ状包材内の内容物の充填レベルの変動に応じて昇降するフロートであって、
チューブ状包材の内周面と所定の環状空隙をあけて向かい合うフロートの外周面に、チューブ状包材から内容物充填容器が成形される際に前記環状空隙に生じる内容物の上向きの流れと接触する凸部が形成されている、充填包装機のフロート。
【0009】
2)フロートの外周面を構成する円筒状の外周壁部と、外周壁部と同心状に配置されかつ充填管の外周面にスライド接触させられるフロートの内周面を構成する円筒状の内周壁部とを備えており、外周壁部および内周壁部が樹脂により形成されている、上記1)の充填包装機のフロート。
【0010】
3)凸部が、水平リング状のものであって、フロートの外周面に上下方向に間隔をおいて複数形成されている、上記1)または2)の充填包装機のフロート。
【0011】
4)4つ以上の水平リング状の凸部が、フロートの外周面に上下方向に間隔をおいて形成されている、上記3)の充填包装機のフロート。
【0012】
5)凸部が、連続した螺旋状または2つ以上に分断された螺旋状のものである、上記1)または2)の充填包装機のフロート。
【発明の効果】
【0013】
上記1)の充填包装機のフロートにあっては、その外周面に形成された凸部が、チューブ状包材から内容物充填容器が成形される際に、チューブ状包材の内周面とフロート外周面との間の環状空隙に生じる内容物の上向きの流れと接触するので、それによって内容物の流れの垂直方向の力が分散され、内容物の液面からの飛沫の跳ね上がりが効果的に抑制される。
したがって、上記1)の充填包装機のフロートによれば、飛沫の跳ね上がりに起因するチューブ状包材の縦シール不良をより確実に低減することができる。
【0014】
上記2)の充填包装機のフロートによれば、以下のような効果が奏される。
すなわち、従来の充填包装機のフロートは、ステンレス鋼等の金属製のものであり(上記特許文献1参照)、そのため、外周壁部や内周壁部の厚みを0.2〜0.3mm程度に薄くして重量を抑える必要があった。したがって、従来の金属製のフロートの場合、浮力を確保するのが容易でなく、また、フロートの外周面(外周壁部の外面)に機械加工を施すのが困難であり、さらに、充填管の外周面とのスライド接触時に生じる摩擦力によりフロートの内周面(内周壁部の内面)にピンホールが発生して、フロートの交換の必要が生じたり、内容物の充填レベルの検出精度が損なわれたりするおそれがあり、これらを防止するためにフロートの内周面に突起部を設ける必要があった。
これに対して、上記2)の充填包装機のフロートによれば、外周壁部および内周壁部が樹脂製であるので、外周壁部や内周壁部の厚みを例えば1〜5mm程度の厚いものとすることが可能であって、浮力が十分に確保され、また、フロートの外周面(外周壁部の外面)の凸部を機械加工によって容易にかつ低コストで形成することができ、さらには、フロートの内周面(内周壁部の内面)に突起部を設けなくてもピンホールの発生を抑えることができる。
【0015】
上記3)の充填包装機のフロートによれば、その外周面に複数の水平リング状の凸部が上下方向に間隔をおいて形成されているので、これらの凸部により、フロートの外周面とチューブ状包材の内周面との間の環状空隙の全周にわたって、内容物の流れの垂直方向の力が分散され、内容物の液面からの飛沫の跳ね上がりが確実に抑制される。
【0016】
上記4)の充填包装機のフロートによれば、その外周面に水平リング状の凸部が4つ以上形成されているので、内容物の液面からの飛沫の跳ね上がりを抑制する効果がより顕著に得られる。
【0017】
上記5)の充填包装機のフロートによれば、その外周面に連続した螺旋状または2つ以上に分断された螺旋状の凸部が形成されているので、同凸部により、フロートの外周面とチューブ状包材の内周面との間の環状空隙の全周にわたって、内容物の流れの垂直方向の力が分散され、内容物の液面からの飛沫の跳ね上がりが確実に抑制される。
また、上記5)の充填包装機のフロートによれば、その外周面に形成された螺旋状の凸部が内容物の上向きの流れと接触することによって、フロートに水平方向(円周方向)の力が作用し、それによってフロートが回転させられる。フロートが回転しない場合は、フロートの内周面と充填管の外周面とが同一箇所でスライド接触し、同箇所の摩擦の度合いが進むため、それによってピンホールの早期発生につながるおそれがあるが、上記のように、内容物の流れと螺旋状の凸部との接触によりフロートが自然に回転させられようになっていれば、フロートの内周面と充填管の外周面とのスライド接触箇所が変化するため、フロートの内周面の摩擦度合いが均一となり、ピンホールの発生を大幅に遅延させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施形態に係る充填包装機の一部を示す正面図である。
図2】同充填包装機のフロートを示す斜視図である。
図3】同フロートの垂直断面図である。
図4】同フロートの外周面に形成される凸部の他の態様を示す斜視図である。
図5】従来の充填包装機の概略を示す斜視図である。
図6】従来の充填包装機の一部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施形態を、図面を参照して以下に説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る充填包装機の一部を示したものである。なお、充填包装機の構造は、後述するフロートを除けば、図5および図6を参照して先に説明した従来技術と実質的に同じであるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0020】
図1に示すように、充填管(14)の周囲、より具体的には、充填管(14)におけるプレッシャフランジ(18)の上方部分の周囲に、フロート(3)が、充填管(14)の長さ方向に沿ってスライド自在に設けられている。このフロート(3)は、垂直なチューブ状包材(T)内において、内容物の充填レベル(L)(液面レベル)付近に浮かんだ状態で配置され、内容物充填レベル(L)の変動に応じて昇降するようになっている。
フロート(3)の昇降範囲は、充填管(14)の上部に取り付けられた上ストッパ(20)と、充填管(14)の下部に取り付けられたプレッシャフランジ(18)(下ストッパ)とによって規制されている。
【0021】
図2および図3に詳しく示すように、フロート(3)は、円筒状の外周壁部(31)と、外周壁部(31)の内側に同心状に配置された内周壁部(32)と、外周壁部(31)および内周壁部(32)の上端どうしの開口を塞ぐ上端壁部(33)と、外周壁部(31)および内周壁部(32)の下端どうしの開口を塞ぐ下端壁部(34)とを備えた、横断面ドーナツ形の中空状のものである。
外周壁部(31)の外面によって、チューブ状包材(T)の内周面と所定の環状空隙(S2)をあけて向かい合うフロート外周面(3a)が構成され、また、内周壁部(32)の内面によって、充填管(14)の外周面にスライド接触させられるフロート内周面(3b)が構成されている。
フロート外周面(3a)には、チューブ状包材(T)から内容物充填容器(C1)が成形される際に前記環状空隙(S2)に生じる内容物の上向きの流れと接触する凸部(351)が形成されている。
凸部(351)は、水平リング状のものであって、フロート外周面(3a)に上下方向に間隔をおいて複数、好適には4つ以上(ここでは5つ)形成されている。凸部(351)の突出高さは、フロート外周面(3a)とチューブ状包材(T)の内周面との間の環状空隙(S2)の水平径方向の寸法(=[チューブ状包材(T)の内径−フロート(3)の外径]÷2)を考慮して適宜設定されるが、通常、同寸法よりも1〜3mm程度小さいものとなされる。凸部(351)の上下幅(厚み)は、例えば1〜3mm程度となされる。凸部(351)の横断面形状は、例えば四角形、台形、山形、半円形等の適宜の形状とすることができる。隣り合う凸部(351)どうしの間隔(ピッチ)も、特に限定されないが、好適には20〜50mm程度となされる。
【0022】
この実施形態において、フロート(3)は、円筒状の外周壁部材(31)および内周壁部材(32)、ならびにドーナツ板状の上端壁部材(33)および下端壁部材(34)によって構成されている。これらの部材(31)(32)(33)(34)は、いずれも樹脂製である。フロート(3)を構成するこれらの部材(31)(32)(33)(34)は、チューブ状包材(T)内において流動性食品や飲料等の内容物と接触することから、その材料とされる樹脂は、所要の衛生条件に適合し、耐熱性や、殺菌剤等に対する耐性を有する必要があり、加えて、強度や耐摩耗性に優れ、機械加工が容易であるものが好ましい。具体的には、例えば、ポリ塩化ビニリデン(PVDF)樹脂が、フロート(3)の構成部材(31)(32)(33)(34)の好適な材料として挙げられる。
外周壁部材(31)を上記のように樹脂製とした場合、その外面、すなわちフロート外周面(3a)の凸部(351)は、例えば切削加工等の機械加工によって、容易にかつ低コストで形成することができる。
外周壁部(31)の厚みは、その外面、すなわちフロート外周面(3a)への凸部(351)の形成を機械加工によって支障なく行うことができ、また、フロート(3)として要求される浮力や強度が得られるように、1〜5mm程度、好適には1.5〜3mm程度となされる。
また、内周壁部(32)の厚みも、充填管(14)の外周面との摩擦によるピンホールが発生しないか又はその発生時期を大幅に遅らせることができるとともに、フロート(3)として要求される浮力や強度が得られるように、1〜5mm程度、好適には1.5〜3mm程度となされる。
【0023】
図3に示すように、フロート(3)の内部、より詳細には、フロート(3)の上端部内に、磁石(36)が配置されている。磁石(36)は、例えばリング状の異方性フェライト磁石よりなり、そのN極が上面側、S極が下面側となるように配置されている。
外周壁部材(31)内面および内周壁部材(32)外面の上端部近くに、水平環状凸部(311)(321)または上向き環状段差が対向状に形成されており、これらの凸部(311)(321)や段差によって磁石(36)の下面が受けられている。そして、磁石(36)を上方から覆うように、外周壁部材(31)および内周壁部材(32)の上端部どうしの間に上端壁部材(33)が嵌め込まれ、上端壁部材(33)と、外周壁部材(31)および内周壁部材(32)とが、溶接等により接合固定されている。
また、外周壁部材(31)内面および内周壁部材(32)外面の下端部近くに、水平環状凸部(321)または下向き環状段差(312)が対向状に形成されており、これらの凸部(321)や段差(312)により、外周壁部材(31)および内周壁部材(32)の下端部どうしの間に嵌め込まれた下端壁部材(34)の上面が受けられている。そして、下端壁部材(34)と、外周壁部材(31)および内周壁部材(32)とが、溶接等により接合固定されている。
図示は省略したが、フロート(3)の昇降範囲に沿うようにチューブ状包材(T)の外側に磁気センサが配置されている。この磁気センサによって検出されたフロート(3)内の磁石(36)のレベルがレベル信号としてソレノイド弁等の電磁弁に送られ、この電磁弁によって充填管(14)からチューブ状包材(T)内への内容物供給量が調整されることにより、チューブ状包材(T)内における内容物の充填レベル(L)(液面レベル)が一定に保持されるようになっている。
【0024】
図4は、フロートの外周面に形成される凸部の変形例を示すものである。
まず、図4(a)に示すフロート(3)では、その外周面(3a)に、連続した1つの螺旋状の凸部(352)が形成されている。凸部(352)は、フロート外周面(3a)の下端付近から上端付近まで達する長さを有している。
また、図4(b)に示すフロート(3)では、その外周面(3a)に、長さの途中で複数に分断された螺旋状の凸部(353)が形成されている。凸部(353)は、全体としてフロート外周面(3a)の下端付近から上端付近まで達しているが、図示のものは、5つの部分(3531)に分断されている。各分断部分(3531)は、フロート外周面(3a)の円周よりもやや長いものとなされており、また、凸部(353)の上下に隣り合う分断部分(3531)どうしは、螺旋の1周に相当する分だけ間隔をおいて配置されている。
これらの凸部(352)(353)の突出長さ、上下幅および横断面形状については、図1図3に示す凸部(351)と実質的に同じことが言える。
また、螺旋状の凸部(352)(353)の傾斜角度は、特に限定されないが、傾斜角度が小さすぎると、フロート外周面(3a)に占める凸部(352)(353)の比率が大きくなりすぎて、内容物の流れが阻害されるおそれがある一方、傾斜角度が大きすぎると、内容物の流れの垂直方向の力を分散させる効果が十分に得られないおそれがある。よって、凸部(352)(353)の傾斜角度は、好適には10〜30°程度となされる。
【0025】
上記フロート(3)を備えた充填包装機(10)において、内容物が充填されたチューブ状包材(T)から枕状内容物充填容器(C1)を成形する際、チューブ状包材(T)に対してシールジョー(161)および成形フラップ(162)による側方からの加圧力が作用すると、それに伴って内容物の流体圧力が発生する。そして、発生した流体圧力の一部が環状空隙(S1)を通じてプレッシャフランジ(18)の上方に逃がされ、残りの流体圧力がプレッシャフランジ(18)の所要箇所で受け止められる。
さらに、プレッシャフランジ(18)の上方に逃がされた内容物の流体圧力により、フロート外周面(3a)とチューブ状包材(T)内周面との間の環状空隙(S2)にも、内容物の上向きの流れが生じることがある。この際、フロート外周面(3a)に形成された凸部(351)(352)(353)が、内容物の流れと接触し、それによって内容物の流れの垂直方向の力が分散される。これにより、内容物の液面からの飛沫の跳ね上がりが抑止され、ひいては、内容物の飛沫の付着に起因するチューブ状包材(T)成形時の縦シール不良の発生が低減される。
また、フロート外周面(3a)に図4に示すような螺旋状の凸部(352)(353)が形成されていれば、同凸部(352)(353)が内容物の上向きの流れと接触することによって、フロート(3)に水平方向(円周方向)の力が作用し、それによってフロート(3)が回転させられる。これにより、フロート内周面(3b)と充填管(14)外周面とのスライド接触箇所が変化するため、フロート内周面(3b)の摩擦度合いが均一となり、ピンホールの発生を大幅に遅延させることができる。
【符号の説明】
【0026】
(10):充填包装機
(14):充填管
(T):チューブ状包材
(C1):枕状内容物充填容器
(L):内容物の充填レベル
(S2):環状空隙
(3):フロート
(3a):フロートの外周面
(3b):フロートの内周面
(31):外周壁部
(32):内周壁部
(351)(352)(353):凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6