(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一ヨーク及び前記第二ヨークはそれぞれ、前記コイルの移動方向で前記第一支持部及び前記第二支持部と反対側の位置に、前記支持部として第三支持部及び第四支持部を有し、
前記磁性体は、前記コイルの移動方向の一方の停止位置である第一の停止位置で前記第一支持部及び前記第二支持部により磁気的に保持され、前記コイルの移動方向の他方の停止位置である第二の停止位置で前記第三支持部及び前記第四支持部により磁気的に保持される
請求項1または2に記載のリニアアクチュエータ。
前記磁性体は、前記コイルの軸方向の一方の端部で前記コイルを外側から内側にまたぐ第一磁性部と、前記コイルの軸方向の他方の端部で前記コイルを外側から内側にまたぐ第二磁性部とを含む
請求項1〜6のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照しつつ、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。また、以下の実施の形態の説明において、略平行、略直交のような「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、略平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を伴った表現についても同様である。なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0009】
[実施の形態1]
[1−1.実施の形態1に係るリニアアクチュエータの構成]
以下、図面を参照しつつ、実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100の構成を説明する。
図1〜
図4を参照すると、リニアアクチュエータ100は、可動子としてコイル40を備え、コイル40を直線的に動作させる。例えば、リニアアクチュエータ100は、コイル40と一体に取り付けられた移動対象物を、コイル40と共に直線的に移動させる。なお、
図1は、実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100の外観を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1のリニアアクチュエータ100を別の方向から見た斜視図である。
図3は、
図1のリニアアクチュエータ100を背部側から見た斜視図である。
図4は、
図1のリニアアクチュエータ100の分解斜視図である。
図1では、可動子としてのコイルが停止位置で保持されている状態が示され、
図2及び
図3では、コイルが停止位置から離れている状態が示されている。
【0010】
リニアアクチュエータ100は、互いに連結されたメインヨーク10及びサブヨーク20と、メインヨーク10に固定して設けられたマグネット30と、メインヨーク10に対し移動可能に設けられたコイル40と、コイル40と一体に設けられたコイルヨーク50とを備える。メインヨーク10、サブヨーク20及びコイルヨーク50は、磁性材料から作製されている。メインヨーク10とサブヨーク20とは、互いから分離可能であり、リニアアクチュエータ100の製造時に互いに接続される。
【0011】
メインヨーク10は、板材を細長いU字状に曲げて形成される形状を有し、U字溝状の形状を有している。なお、メインヨーク10の製造方法は、板材を曲げて形成する方法に限定されず、鋳造、鍛造、切削又はプレス加工等のいかなる製造方法であってもよい。メインヨーク10は、U字の底部を構成する底部ヨーク部13と、U字の対向する側部を構成する直線状の第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12とを一体的に含む。本実施の形態では、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12は、互いに略平行に延びる。さらに、メインヨーク10は、第一側部ヨーク部11の底部ヨーク部13側の基部からL字のアーム状に延出する第一保持部14と、第二側部ヨーク部12の底部ヨーク部13側の基部からL字のアーム状に延出する第二保持部15とを、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12と一体的に備える。第一保持部14と第二保持部15とは、互いに接近しているが接することなく、間隔をあけて配置されている。第一保持部14と第二保持部15との間には、間隙が存在する。ここで、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12はそれぞれ、第一ヨーク及び第二ヨークの一例である。また、第一保持部14及び第二保持部15はそれぞれ、第一支持部及び第二支持部の一例である。
【0012】
第二保持部15は、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12が並ぶ方向と垂直な方向に突出しつつ、第二側部ヨーク部12から第一側部ヨーク部11に向かう方向に、第一側部ヨーク部11に対向する位置にまで延びる。第二保持部15は、その先端に、底部ヨーク部13と反対側への方向に突出する第二支持端部15aを一体的に含む。本実施の形態では、第二保持部15及び第二支持端部15aは、メインヨーク10と同一材料で作製され、メインヨーク10と共に連続する1つの部材を形成する。
【0013】
第一保持部14は、第二保持部15と同様の方向に突出しつつ、第二保持部15を外側から覆うように、第一側部ヨーク部11から第二側部ヨーク部12に向かう方向に延び、第二側部ヨーク部12に対向する位置にまで至る。第一保持部14は、その先端に、底部ヨーク部13と反対側へ突出する第一支持端部14aを一体的に含む。本実施の形態では、第一保持部14及び第一支持端部14aは、メインヨーク10と同一材料で作製され、メインヨーク10と共に連続する1つの部材を形成する。なお、第一保持部14及び第一支持端部14a、並びに、第二保持部15及び第二支持端部15aは、メインヨーク10との間で磁束が流れるように構成されれば、メインヨーク10と別部材を構成し、メインヨーク10と接続されるように構成されてもよい。また、第一支持端部14a及び第二支持端部15aはそれぞれ、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12が並ぶ方向と垂直な方向で、第二側部ヨーク部12及び第一側部ヨーク部11と対向する位置にある。
【0014】
サブヨーク20は、矩形板状の形状を有している。サブヨーク20は、メインヨーク10の第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12それぞれの端部と連結される。サブヨーク20は、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12を物理的に及び磁気的に接続する。
【0015】
ここで、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12が延びる方向にZ軸を設定し、メインヨーク10からサブヨーク20に向かう方向をZ軸正方向と定義する。さらに、第一側部ヨーク部11から第二側部ヨーク部12に向かう方向であり且つZ軸に垂直な方向にY軸を設定し、第一側部ヨーク部11から第二側部ヨーク部12に向かう方向をY軸正方向と定義する。そして、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12から第一保持部14及び第二保持部15が突出する方向であり且つY軸及びZ軸に垂直な方向にX軸をとり、上記突出方向をX軸正方向と定義する。以下、X軸、Y軸及びZ軸を用いて、各方向を説明する場合もある。
【0016】
マグネット30は、細長い平板状の形状を有し、第一側部ヨーク部11における第二側部ヨーク部12とY軸方向で対向する表面上に取り付けられ固定されている。マグネット30は、リニアアクチュエータ100の固定子を構成する。マグネット30は、第一側部ヨーク部11の上記表面上に形成された複数の位置決め用の突起11a(特に、
図3参照)によって、第一側部ヨーク部11の長手方向であるZ軸方向で位置決めされ、第一側部ヨーク部11に取り付けられる。突起11aは、第一側部ヨーク部11の上記表面上の底部ヨーク部13に近い位置に配置されている。これにより、Z軸方向に長いマグネット30の配置が可能である。
【0017】
マグネット30は、N極及びS極の磁極を持ち、双極性の磁場を発生する。例えば、マグネット30は、永久磁石で構成される。マグネット30は、第二側部ヨーク部12の長手方向の略全体にわたって第二側部ヨーク部12と対向する。なお、第二側部ヨーク部12の長手方向は、第二側部ヨーク部12がZ軸方向に直線的に延びる方向である。本実施の形態では、マグネット30は、第二側部ヨーク部12と対向する平坦な表面に、N極の磁気極性を有し、N極の磁気極性を有する表面と反対側に位置し且つ第一側部ヨーク部11と当接する表面に、S極の磁気極性を有する。第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12の間の間隙では、第一側部ヨーク部11から第二側部ヨーク部12に向かうY軸正方向への磁束が形成されるようにしている。また、第一保持部14と第二保持部15との間の間隙では、第二保持部15から第一保持部14に向かう磁束が形成されるようにしている。これにより、第一保持部14の第一支持端部14aは、S極の磁気極性を有し、第二保持部15の第二支持端部15aは、N極の磁気極性を有するようにしている。この時、サブヨーク20にはY軸負方向に、底部ヨーク部13にはY軸負方向に磁力線が向くようになっていると思われる。なお、マグネット30のZ軸側の側面は、サブヨーク20に接するよう出来るだけ接近させるのが望ましい。
【0018】
コイル40は、矩形筒状の外形を有している。コイル40は、矩形筒の外周方向に沿って巻回された巻線によって形成されている。コイル40は、矩形筒の内側に第二側部ヨーク部12を通すように配置されており、第二側部ヨーク部12の周りを囲む。コイル40は、その軸方向を第二側部ヨーク部12の長手方向と略平行にして配置され、第二側部ヨーク部12に対して長手方向つまりZ軸方向に移動可能である。コイル40は、矩形筒を構成する平坦な4つの側部のうちの1つを、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12の間に位置させて、配置されている。なお、コイル40の軸方向とは、矩形筒の軸心方向であり、巻線の巻回軸方向である。
【0019】
コイルヨーク50は、X軸方向の正面方向に見たとき、U字状の外形を有している。コイルヨーク50は、コイル40と一体に移動するように、コイル40の矩形筒に取り付けられている。コイルヨーク50は、X軸正方向側で第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12と隣り合って配置される。さらに、コイルヨーク50は、第一保持部14及び第二保持部15と反対側であるZ軸正方向側で、コイル40の内側から外側にコイル40をまたぐように配置されている。ここで、コイルヨーク50は、磁性体の一例である。
【0020】
具体的には、コイルヨーク50におけるU字の底部を構成する底部53は、Z軸正方向側のコイル40の端部と隣り合い、さらに本実施の形態では、Y軸方向にコイル40と交差して延在する。コイルヨーク50におけるU字の対向する側部を構成する第一脚部51及び第二脚部52のうちの第一脚部51は、第二側部ヨーク部12と対向する位置に位置し、L字状の形状を有している。第一脚部51は、底部53からコイル40の内側を通ってコイル40の軸方向に延びた後、屈曲し、第一支持端部14aに向かってX軸正方向に延びる。第二脚部52は、第一側部ヨーク部11と対向する位置で、底部53からコイル40の外側を通ってコイル40の軸方向に直線状に延びる。
【0021】
コイルヨーク50は、コイル40の軸方向である第二側部ヨーク部12に沿う方向に、コイル40と共に第一保持部14及び第二保持部15に向かって移動すると、第一脚部51の端部を第一保持部14の第一支持端部14aに当接し、且つ第二脚部52の端部を第二保持部15の第二支持端部15aに当接する。第一脚部51及び第二脚部52は、同時に第一支持端部14a及び第二支持端部15aに当接するように構成されている。そして、Z軸正方向に突出している第一支持端部14a及び第二支持端部15a以外で、コイルヨーク50は、第一保持部14及び第二保持部15と接触しない。
【0022】
[1−2.実施の形態1に係るリニアアクチュエータの動作]
以下、
図5〜
図8を参照しつつ、実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100の動作を説明する。なお、
図5は、
図1のリニアアクチュエータ100をX軸正方向から負方向に見た側面図であり、可動子としてのコイル40が第一保持部14及び第二保持部15に保持されている状態を示す図である。
図6は、
図5のリニアアクチュエータ100を、別の方向であるY軸正方向から負方向に見た側面図である。
図7は、
図5のリニアアクチュエータ100において、コイル40に電流が流された状態を示す側面図である。
図8は、
図7のリニアアクチュエータ100を、
図6と同様の方向から見た側面図である。
【0023】
図5及び
図6を参照すると、リニアアクチュエータ100では、コイル40は、コイルヨーク50の第一脚部51及び第二脚部52が同時に第一保持部14の第一支持端部14a及び第二保持部15の第二支持端部15aに当接した状態で、停止する。第一支持端部14a及び第二支持端部15aに当接することによって停止状態にあるコイルヨーク50及びコイル40の位置は、リニアアクチュエータ100において設定されたコイルヨーク50及びコイル40の停止位置である。そして、停止位置にあるときのコイルヨーク50は、第一保持部14の第一支持端部14a及び第二保持部15の第二支持端部15aによって支持及び保持される。
【0024】
コイルヨーク50及びコイル40が停止位置で停止状態にあるとき、第一支持端部14a及び第二支持端部15aに存在する磁界の磁気吸引力によって、第一脚部51及び第二脚部52はそれぞれ、第一支持端部14a及び第二支持端部15aに吸着されて保持される。そして、コイルヨーク50内では、
図5において白抜き矢印で示されるように、第二支持端部15aから第二脚部52、底部53及び第一脚部51を順次通って第一支持端部14aに至るように、コイルヨーク50を通って循環する磁束が、形成される。この磁束は、第二支持端部15a及び第一支持端部14aの間で、コイル40を外から内に囲むようにコイルヨーク50を通る。これによって、コイルヨーク50は、強い磁気吸引力によって第一支持端部14a及び第二保持部15に吸着される。この結果、リニアアクチュエータ100に振動、衝撃等の外力が作用した場合でも、コイルヨーク50及びコイル40が停止位置に保持され得る。
【0025】
図7及び
図8を参照すると、停止状態のコイル40を移動させる場合、コイル40に、コイル40の外周方向に沿った方向D1の電流が流される。方向D1の電流は、コイル40において、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12の間の部位では、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12からコイルヨーク50に向かうX軸正方向に流れ、第二側部ヨーク部12の外側の部位では、コイルヨーク50から第二側部ヨーク部12に向かうX軸負方向に流れる。
【0026】
コイル40には、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12間で方向D1に流れる電流と、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12間のマグネット30による磁束との作用によって、第一支持端部14a及び第二支持端部15aから離れる方向であるZ軸正方向のローレンツ力が作用する。さらに、コイル40内を流れる電流が、磁界を形成し、それによって、
図7においてハッチ付き矢印で示されるように、コイルヨーク50内では、第一脚部51から底部53を通って第二脚部52へ向かう磁束が形成される。この磁束は、
図5において白抜き矢印で示される吸着磁束と反対向きの反発磁束である。コイルヨーク50内の磁束は、第一脚部51及び第二脚部52それぞれの端部にS極及びN極の磁気極性を形成する。これにより、第一脚部51及び第一支持端部14aの間と第二脚部52及び第二支持端部15aの間とにそれぞれ、磁気的な反発力が生じる。よって、コイル40は、コイルヨーク50に作用する磁気反発力とローレンツ力とを受けて、その軸方向のZ軸正方向に移動される。なお、2つの力を受けるコイル40は、上述のような反発力が生じない場合と比較して、印加される電流値が低くても、移動可能である。また、コイル40は、第一支持端部14a及び第二支持端部15aで保持されている間、電力を消費しない。
【0027】
なお、リニアアクチュエータ100において、コイルヨーク50が第一脚部51のみ又は第二脚部52のみを有し、メインヨーク10が第一支持端部14aのみ又は第二支持端部15aのみを有する構成であっても、上述と同様の作用が生じる。つまり、コイル40は、停止状態では磁気吸引力によって保持され、電流が流された状態ではローレンツ力及び磁気反発力によって移動する。
【0028】
[1−3.効果等]
上述したように、実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100は、移動可能に設けられたコイル40と、コイル40と一体に移動するように設けられた磁性体としてのコイルヨーク50と、コイル40の外側を通って延びる第一ヨークとしての第一側部ヨーク部11と、コイル40によって周囲が囲まれ且つ第一側部ヨーク部11と対向して延びる第二ヨークとしての第二側部ヨーク部12と、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12の間に磁界を形成するマグネット30とを備える。さらに、コイルヨーク50は、コイル40の軸方向に延びる。第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12の少なくとも一方は、停止位置にあるコイルヨーク50を支持し且つ磁気極性をもつ支持部としての第一保持部14及び/又は第二保持部15を有する。
【0029】
上述の構成において、停止位置にあるコイルヨーク50は、磁気極性を有する第一保持部14及び第二保持部15の磁気吸引力によって、第一保持部14及び第二保持部15に、例えば、第一支持端部14a及び第二支持端部15aに吸着された状態で支持される。よって、停止位置で停止状態にあるコイルヨーク50及びコイル40は、振動、衝撃等の外力がリニアアクチュエータ100に作用した場合でも、停止位置からの移動が抑えられる。また、コイル40に電流が流されると、この電流と、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12の間の磁界との作用によって、コイル40は、第一保持部14及び第二保持部15から離れる方向のローレンツ力を受け得る。さらに、コイル40の電流は磁界を形成し、それによりコイルヨーク50内に磁界が形成される。コイルヨーク50の磁界と第一保持部14及び第二保持部15の磁界とが反発することによって、反発が生じない場合と比較して、コイル40及びコイルヨーク50の移動に要するローレンツ力を小さくすることができる。よって、コイル40での消費電力を抑えることが可能になる。
【0030】
実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100では、コイルヨーク50は、コイル40を外側から内側にまたぐように延び、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12はそれぞれ、第一支持部としての第一保持部14及び第二支持部としての第二保持部15を有する。コイルヨーク50は、第一保持部14及び第二保持部15と接触する。上述の構成において、コイル40への電流の印加時、コイル40の内外でコイルヨーク50に磁界が発生する。これにより、コイルヨーク50の磁界と第一保持部14及び第二保持部15の磁界との間に生じる磁気的な反発力を強くすることができる。
【0031】
実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100では、第一保持部14及び第二保持部15は、互いに逆の磁気極性をもつ。コイルヨーク50は、第一保持部14及び第二保持部15と接触することによって、コイルヨーク50を通ってコイル40を外側から内側にまたぐ磁束を形成するように構成される。上述の構成において、第一保持部14、コイルヨーク50及び第二保持部15を順次流れる磁束が、形成される。よって、コイルヨーク50と、第一保持部14及び第二保持部15との間の磁気吸引力が、強くなる。また、コイル40へ印加する電流を調節することによって、上記の磁束の流れと逆方向の流れの磁束をコイルヨーク50内に発生させ、コイルヨーク50の磁界と第一保持部14及び第二保持部15の磁界との間に、磁気的な反発力を効果的に生むことが可能になる。
【0032】
実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100では、マグネット30は、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12の間で第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12の少なくとも一方に配置され、第一側部ヨーク部11及び第二側部ヨーク部12は、磁気的に接続される。上述の構成において、第一側部ヨーク部11から第二側部ヨーク部12にわたって流れる磁束が形成される。これにより、マグネット30の磁界が、第一保持部14及び第二保持部15に磁気極性を生むことができる。よって、リニアアクチュエータ100の構造の簡易化が可能になる。
【0033】
[実施の形態2]
[2−1.実施の形態2に係るリニアアクチュエータの構成]
以下、図面を参照しつつ、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200の構成を説明する。実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100は、コイル40の直線的な移動方向の一方の終端に、コイル40を保持する第一保持部14及び第二保持部15を有していたが、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200は、コイル40の直線的な移動方向の両方の終端に、コイル40の保持部を有している。以下の実施の形態の説明において、
図1〜
図8における参照符号と同一の符号の構成要素は、同一又は同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。さらに、既出の実施の形態と同様の点に関しては説明を省略する。
【0034】
図9〜
図14を参照すると、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200が示されている。なお、
図9は、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200の外観を模式的に示す斜視図であり、可動子としてのコイル40が第一の停止位置で保持されている状態を示す図である。
図10は、
図9のリニアアクチュエータ200において、コイル40が第二の停止位置で保持されている状態を示す図である。
図11は、
図9のリニアアクチュエータ200を別の方向から見た斜視図である。
図12は、
図9のリニアアクチュエータ200を背部側から見た斜視図である。
図13は、
図9のリニアアクチュエータ200を上下逆にして見た斜視図である。
図14は、
図9のリニアアクチュエータ200の分解斜視図である。
【0035】
リニアアクチュエータ200は、可動子としてコイル40を備え、コイル40を直線的に動作させる。リニアアクチュエータ200は、互いに連結されたメインヨーク210及びサブヨーク220と、メインヨーク210に固定して設けられたマグネット30と、メインヨーク210に対し移動可能に設けられたコイル40と、コイル40と一体に設けられたコイルヨーク250とを備える。
【0036】
磁性体であるメインヨーク210は、実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100のメインヨーク10と似た構成を有している。メインヨーク210は、U字溝状の形状を有している。メインヨーク210は、底部ヨーク部213と、底部ヨーク部213から直線状に延び且つ互いに対向する第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212とを一体的に含む。本実施の形態では、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212は、互いに略平行に延びる。
【0037】
さらに、メインヨーク210は、L字状の第一保持部214及び第二保持部215をそれぞれ、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212と一体的に備える。第一保持部214と第二保持部215とは、互いに接近しているが接することなく、間隔をあけて配置されている。第一保持部214と第二保持部215との間には、間隙が存在する。第二保持部215は、第二側部ヨーク部212の底部ヨーク部213側の基部から、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212が並ぶ方向と垂直な方向に突出するように延びた後、屈曲し、第二側部ヨーク部212から第一側部ヨーク部211に向かう方向に、第一側部ヨーク部211と対向する位置にまで延びる。第一保持部214は、第一側部ヨーク部211の底部ヨーク部213側の基部から、第二保持部215と同様の方向に突出するように延びた後、屈曲し、第一側部ヨーク部211から第二側部ヨーク部212に向かう方向に、第二保持部215を外側から覆うように延び、第二側部ヨーク部212と対向する位置にまで至る。第一保持部214及び第二保持部215は、それぞれの先端に、底部ヨーク部13と反対側へ突出する第一支持端部214a及び第二支持端部215aを一体的に含む。よって、第一保持部214及び第二保持部215は、実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100の第一保持部14及び第二保持部15と同様の構成を有している。本実施の形態では、第一保持部214及び第一支持端部214a、並びに、第二保持部215及び第二支持端部215aは、メインヨーク210と同一材料で作製され、メインヨーク210と共に連続する1つの部材を形成するが、メインヨーク210との間で磁束が流れるように構成されれば、メインヨーク210と別部材を構成し、メインヨーク210と接続されるように構成されてもよい。
【0038】
ここで、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212が延びる方向にZ軸を設定し、底部ヨーク部213から第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212に向かう方向をZ軸負正方向と定義する。さらに、第一側部ヨーク部211から第二側部ヨーク部212に向かう方向であり且つZ軸に垂直な方向にY軸を設定し、第二側部ヨーク部212から第一側部ヨーク部211に向かう方向をY軸正方向と定義する。そして、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212から第一保持部214及び第二保持部215が突出する方向であり且つY軸及びZ軸に垂直な方向にX軸をとり、上記突出方向をX軸正方向と定義する。以下、X軸、Y軸及びZ軸を用いて、各方向を説明する場合もある。
【0039】
磁性体であるサブヨーク220は、板状の形状を有し、メインヨーク210の第一側部ヨーク部211の端部と第二側部ヨーク部212の端部とを連結する。サブヨーク220は、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212を物理的に及び磁気的に接続する。サブヨーク220はさらに、アーム状の第三保持部221及び第四保持部222を一体的に含む。第三保持部221と第四保持部222とは、互いに接近しているが接することなく、間隔をあけて配置されている。第三保持部221と第四保持部222との間には、間隙が存在する。第三保持部221及び第四保持部222は、第一保持部214及び第二保持部215の突出方向と同様の方向であるX軸正方向に向かって突出するように延びる。ここで、第三保持部221及び第四保持部222はそれぞれ、第三支持部及び第四支持部の一例である。
【0040】
L字状の形状を有する第三保持部221は、第一側部ヨーク部211と隣り合う位置で、X軸正方向に延びた後に屈曲し、第一側部ヨーク部211から第二側部ヨーク部212に向かう方向であるY軸負方向に延びる。第三保持部221は、その先端に、第二保持部215に向かって突出する第三支持端部221aを一体的に含む。直線状の形状を有する第四保持部222は、第二側部ヨーク部212と隣り合う位置で、X軸正方向に延びる。第四保持部222は、その先端に、第一保持部214に向かって突出する第四支持端部222aを一体的に含む。本実施の形態では、第一支持端部214a及び第四支持端部222aが、Z軸方向で互いに対向して位置する。第二支持端部215a及び第三支持端部221aは、第一支持端部214a及び第四支持端部222aよりも第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212の近くに位置し、互いに対向する位置には位置しないが、Y軸方向に沿って並ぶように配置されている。本実施の形態では、第三保持部221及び第三支持端部221a、並びに、第四保持部222及び第四支持端部222aは、サブヨーク220と同一材料で作製され、サブヨーク220と共に連続する1つの部材を形成するが、サブヨーク220との間で磁束が流れるように構成されれば、サブヨーク220と別部材を構成し、サブヨーク220と接続されるように構成されてもよい。
【0041】
細長い平板状のマグネット30は、特に
図12に示されるように、第一側部ヨーク部211における第二側部ヨーク部212とY軸方向で対向する表面上に取り付けられ固定されている。マグネット30は、リニアアクチュエータ200の固定子を構成する。マグネット30は、第一側部ヨーク部211の上記表面上に形成された複数の位置決め用の突起211aによって、第一側部ヨーク部211の長手方向で位置決めされる。突起211aは、底部ヨーク部213に近い位置に配置され、上記長手方向に長いマグネット30の配置を可能にする。マグネット30は、第二側部ヨーク部212の長手方向の略全体にわたって第二側部ヨーク部212と対向する。本実施の形態では、マグネット30は、第二側部ヨーク部212と対向する平坦な表面に、N極の磁気極性を有し、N極の磁気極性を有する表面と反対側に位置し且つ第一側部ヨーク部211と当接する表面に、S極の磁気極性を有する。
【0042】
よって、
図15及び
図16に示されるように、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212の間の間隙では、第一側部ヨーク部211から第二側部ヨーク部212に向かうY軸負方向への磁束が形成されるようにしている。また、メインヨーク210の第一保持部214と第二保持部215との間の間隙では、第二保持部215から第一保持部214に向かう磁束が形成されるようにしている。これにより、第一保持部214の第一支持端部214aは、S極の磁気極性となるように、第二保持部215の第二支持端部215aは、N極の磁気極性となるようにしている。さらに、サブヨーク220の第三保持部221と第四保持部222との間の間隙では、第四保持部222から第三保持部221に向かう磁束が形成されるようにしている。これにより、第三保持部221の第三支持端部221aは、S極の磁気極性となるように、第四保持部222の第四支持端部222aは、N極の磁気極性となるようにしている。なお、
図15は、
図9のリニアアクチュエータ200のX軸正方向から負方向に見た側面図であり、コイル40が第一の停止位置で保持されている状態を示す図である。
図16は、
図15のリニアアクチュエータ200を別の方向であるY軸負方向から正方向に見た側面図である。
【0043】
図9〜
図14を参照すると、コイル40は、矩形筒の内側に第二側部ヨーク部212を通すように配置されており、第二側部ヨーク部212の周りを囲む。コイル40は、その軸方向を第二側部ヨーク部212の長手方向と略平行にして配置され、第二側部ヨーク部212に対して上記長手方向であるZ軸方向に移動可能である。コイル40は、矩形筒を構成する平坦な4つの側部のうちの1つを、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212の間に位置させて、配置されている。
【0044】
磁性体であるコイルヨーク250は、コイル40と一体に移動するように、コイル40に取り付けられている。コイルヨーク250は、X軸正方向側で第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212と隣り合って配置される。コイルヨーク250は、2つの逆向きのU字状部材が、互いに交差する向きで連結された構成を有している。具体的には、コイルヨーク250は、U字状の平板の形状を有する第一U字形状部260と、U字状の平板の形状を有する第二U字形状部270とを一体的に含む。第一U字形状部260は、U字の底部を構成する底部263と、U字の対向する側部を構成する第一脚部261及び第二脚部262とを一体的に含む。第二U字形状部270は、U字の底部を構成する底部273と、U字の対向する側部を構成する第一脚部271及び第二脚部272とを一体的に含む。ここで、第一U字形状部260及び第二U字形状部270はそれぞれ、第一磁性部及び第二磁性部の一例である。
【0045】
第一U字形状部260は、底部263をZ軸負方向に位置して配置され、第二U字形状部270は、底部273をZ軸正方向に位置して配置される。第一U字形状部260の第二脚部262と第二U字形状部270の第二脚部272とが、結合され、コイル40の内側に配置される。本実施の形態では、第二脚部262及び第二脚部272の結合部分に対して、第一U字形状部260の第一脚部261と第二U字形状部270の第一脚部271とは、互いに垂直な位置関係にある。具体的には、当該結合部分に対して、第一脚部261はY軸正方向に位置し、第一脚部271はX軸正方向に位置する。よって、第一U字形状部260及び第二U字形状部270は、XY平面に沿う方向で垂直に交差するように結合されている。なお、第一U字形状部260及び第二U字形状部270の交差角度は、90°に限定されない。後述するように、第一U字形状部260及び第二U字形状部270のいずれもが、コイル40を内外にまたぐように配置されればよい。
【0046】
第一U字形状部260は、YZ平面に沿う方向に延在し、コイル40の矩形筒を形成する4つの側部のうちのY軸正方向側の側部を、そのZ軸負方向側の端部において内側から外側にまたぐように配置されている。第一U字形状部260の底部263は、Z軸負方向側のコイル40の端部と隣り合い、Y軸方向にコイル40と交差して延在する。第一U字形状部260の第二脚部262は、第二側部ヨーク部212と対向する位置で、底部263からコイル40の内側を通ってコイル40の軸方向に直線状に延びる。第一U字形状部260の第一脚部261は、第一側部ヨーク部211と対向する位置で、底部263からコイル40のY軸正方向側の外側を通って、コイル40の軸方向に且つ第二脚部262と略平行に直線状に延びる。
【0047】
第二U字形状部270は、XZ平面に沿う方向に延在し、コイル40の矩形筒を形成する4つの側部のうちのX軸正方向側の側部を、そのZ軸正方向側の端部において内側から外側にまたぐように配置されている。第二U字形状部270の底部273は、Z軸正方向側のコイル40の端部と隣り合い、X軸方向にコイル40と交差して延在する。第二U字形状部270の第二脚部272は、第二側部ヨーク部212と対向する位置で、底部273からコイル40の内側を通ってコイル40の軸方向に直線状に延びる。第二U字形状部270の第一脚部271は、底部273からコイル40のX軸正方向側の外側を通ってコイル40の軸方向に且つ第二脚部272と略平行に直線状に延びる。
【0048】
そして、第二U字形状部270の第二脚部272及び第一U字形状部260の第二脚部262が、コイル40の内側でY軸方向に隣接して位置し、互いに一体化されている。よって、第一U字形状部260と第二U字形状部270とは、第一脚部261及び第二脚部262の並び方向と、第一脚部271及び第二脚部272の並び方向とを略垂直な関係にして、結合されている。
【0049】
コイルヨーク250が、コイル40の軸方向である第二側部ヨーク部212に沿う方向に、コイル40と共に第一保持部214及び第二保持部215に向かって移動すると、コイルヨーク250の第一U字形状部260の第一脚部261のZ軸正方向側の端部が、第二保持部215の第二支持端部215aと当接する。さらに、コイルヨーク250の第二U字形状部270の底部273が、第一保持部214の第一支持端部214aと当接する。第一脚部261及び底部273は、同時に第二支持端部215a及び第一支持端部214aに当接するように構成されている。そして、コイルヨーク250は、Z軸負方向に突出している第一支持端部214a及び第二支持端部215a以外で、第一保持部214及び第二保持部215と接触しない。そして、コイルヨーク250は、Z軸正方向に突出している第一支持端部214a及び第二支持端部215a以外で、第一保持部214及び第二保持部215と接触しない。
【0050】
また、コイルヨーク250が、第二側部ヨーク部212に沿って、コイル40と共に第三保持部221及び第四保持部222に向かって移動すると、コイルヨーク250の第一U字形状部260の底部263が、第三保持部221の第三支持端部221aと当接する。さらに、コイルヨーク250の第二U字形状部270の第一脚部271のZ軸負方向側の端部が、第四保持部222の第四支持端部222aと当接する。底部263及び第一脚部271は、同時に第三支持端部221a及び第四支持端部222aに当接するように構成されている。そして、コイルヨーク250は、Z軸正方向に突出している第三支持端部221a及び第四支持端部222a以外で、第三保持部221及び第四保持部222と接触しない。
【0051】
[2−2.実施の形態2に係るリニアアクチュエータの動作]
以下、
図15〜
図22を参照しつつ、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200の動作を説明する。なお、
図17は、
図15のリニアアクチュエータ200において、コイル40に電流が流された状態を示す側面図である。
図18は、
図17のリニアアクチュエータ200を、
図16と同様の方向から見た側面図である。
図19は、
図15のリニアアクチュエータ200と同様の側面図であり、コイル40が第二の停止位置で保持されている状態を示す図である。
図20は、
図19のリニアアクチュエータ200を、
図16と同様の方向から見た側面図である。
図21は、
図19のリニアアクチュエータ200において、コイル40に電流が流された状態を示す側面図である。
図22は、
図21のリニアアクチュエータ200を、
図16と同様の方向から見た側面図である。
【0052】
図15及び
図16を参照すると、リニアアクチュエータ200では、コイル40は、コイルヨーク250の第一U字形状部260の第一脚部261及び第二U字形状部270の底部273が同時に第二保持部215の第二支持端部215a及び第一保持部214の第一支持端部214aに当接した状態で、停止する。このような当接及び停止状態にあるコイルヨーク250及びコイル40の位置は、リニアアクチュエータ200において設定されるコイルヨーク250及びコイル40の2つの停止位置のうちの第一の停止位置である。そして、第一の停止位置では、第一支持端部214a及び第二支持端部215aに存在する磁界の磁気吸引力によって、底部273及び第一脚部261はそれぞれ、第一支持端部214a及び第二支持端部215aに吸着されて保持される。よって、コイルヨーク250及びコイル40は、第一の停止位置で、第一支持端部214a及び第二支持端部215aによって支持及び保持される。
【0053】
第一の停止位置で停止状態にあるコイルヨーク250内では、
図15及び
図16において白抜き矢印で示されるような流れの磁束が形成される。この磁束は、第二支持端部215aから、第一U字形状部260の第一脚部261、底部263及び第二脚部262、並びに、第二U字形状部270の第二脚部272及び底部273を順次通って、第一支持端部214aに至るように、コイルヨーク250を通って循環する。この磁束は、第二支持端部215a及び第一支持端部214aの間で、コイル40を外から内に囲むようにコイルヨーク250を通る。これによって、コイルヨーク250は、強い磁気吸引力によって第一支持端部214a及び第二支持端部215aに吸着され保持される。この結果、リニアアクチュエータ200に振動、衝撃等の外力が作用した場合でも、コイル40及びコイルヨーク250は第一の停止位置に保持され得る。
【0054】
図17及び
図18を参照すると、第一の停止位置で停止状態にあるコイル40を移動させる場合、コイル40に方向D1の電流が流される。方向D1の電流は、コイル40において、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212の間の部位では、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212からコイルヨーク250に向かうX軸正方向に流れ、第二側部ヨーク部212の外側の部位では、コイルヨーク250から第二側部ヨーク部212に向かうX軸負方向に流れる。
【0055】
コイル40には、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212間で方向D1に流れる電流と、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212間のマグネット30による磁束との作用によって、第一支持端部214a及び第二支持端部215aから離れる方向であるZ軸負方向のローレンツ力が作用する。さらに、コイル40内を流れる電流が、磁界を形成し、それによって、
図17及び
図18においてハッチ付き矢印で示されるような流れの磁束が、コイルヨーク250内に形成される。この磁束は、第二U字形状部270の底部273及び第一U字形状部260の第二脚部262から、第一U字形状部260の底部263を通って第一脚部261へ向かう磁束であり、
図15及び
図16において白抜き矢印で示される吸着磁束と反対向きの反発磁束である。コイルヨーク250内の磁束は、底部273及び第一脚部261の端部にそれぞれ、S極及びN極の磁気極性を形成する。これにより、底部273及び第一支持端部214aの間と第一脚部261及び第二支持端部215aの間とにそれぞれ、磁気的な反発力が生じる。よって、コイル40は、コイルヨーク250に作用する磁気反発力とローレンツ力とを受けて、その軸方向のZ軸負方向に移動される。なお、2つの力を受けるコイル40は、上述のような反発力が生じない場合と比較して、印加される電流値が低くても、移動可能である。また、コイル40は、第一支持端部214a及び第二支持端部215aで保持されている間、電力を消費しない。
【0056】
コイル40と共にZ軸負方向に移動するコイルヨーク250が、第三保持部221の第三支持端部221a及び第四保持部222の第四支持端部222aと当接すると、コイル40は停止し、コイル40への電流の印加が停止される。このとき、
図19及び
図20に示されるように、コイル40は、コイルヨーク250の第一U字形状部260の底部263及び第二U字形状部270の第一脚部271の端部が同時に第三支持端部221a及び第四支持端部222aに当接した状態で、停止する。このような当接及び停止状態にあるコイルヨーク250及びコイル40の位置は、リニアアクチュエータ200において設定されるコイルヨーク250及びコイル40の2つの停止位置のうちの第二の停止位置である。そして、第二の停止位置では、底部263及び第一脚部271はそれぞれ、第三支持端部221a及び第四支持端部222aに存在する磁界の磁気吸引力によって、第三支持端部221a及び第四支持端部222aに吸着されて保持される。よって、コイルヨーク250及びコイル40は、第二の停止位置で、第三支持端部221a及び第四支持端部222aによって支持及び保持される。
【0057】
第二の停止位置で停止状態にあるコイルヨーク250内では、
図19及び
図20において白抜き矢印で示されるような流れの磁束が形成される。この磁束は、第四支持端部222aから、第二U字形状部270の第一脚部271、底部273及び第二脚部272、並びに、第一U字形状部260の第二脚部262及び底部263を順次通って、第三支持端部221aに至るように、コイルヨーク250を通って循環する。この磁束は、第四支持端部222a及び第三支持端部221aの間で、コイル40を外から内に囲むようにコイルヨーク250を通る。これによって、コイルヨーク250は、強い磁気吸引力によって第三支持端部221a及び第四支持端部222aに吸着され保持される。この結果、リニアアクチュエータ200に振動、衝撃等の外力が作用した場合でも、コイル40及びコイルヨーク250は第二の停止位置に保持され得る。
【0058】
図21及び
図22を参照すると、第二の停止位置で停止状態にあるコイル40を移動させる場合、コイル40に方向D2の電流が流される。方向D2は、コイル40において、方向D1と反対方向である。
【0059】
コイル40には、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212間で方向D2に流れる電流と、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212間のマグネット30による磁束との作用によって、第三支持端部221a及び第四支持端部222aから離れる方向であるZ軸正方向のローレンツ力が作用する。さらに、コイル40内を流れる電流が、磁界を形成し、それによって、
図21及び
図22においてハッチ付き矢印で示されるような流れの磁束が、コイルヨーク250内に磁束が形成される。この磁束は、第一U字形状部260の底部263から、第二脚部262、第二U字形状部270の第二脚部272及び底部273を順次通って、第一脚部271へ向かう磁束であり、
図19及び
図20において白抜き矢印で示される吸着磁束と反対向きの反発磁束である。コイルヨーク250内の磁束は、底部263及び第一脚部271の端部にそれぞれ、S極及びN極の磁気極性を形成する。これにより、底部263及び第三支持端部221aの間と第一脚部271及び第四支持端部222aの間とにそれぞれ、磁気的な反発力が生じる。よって、コイル40は、コイルヨーク250に作用する磁気反発力とローレンツ力とを受けて、その軸方向のZ軸正方向に移動される。なお、2つの力を受けるコイル40は、上述のような反発力が生じない場合と比較して、印加される電流値が低くても、移動可能である。また、コイル40は、第三支持端部221a及び第四支持端部222aで保持されている間、電力を消費しない。
【0060】
なお、リニアアクチュエータ200において、コイルヨーク250が、第一U字形状部260のみ又は第二U字形状部270のみを有し、メインヨーク210が第二支持端部215a及び第三支持端部221a、又は第一支持端部214a及び第四支持端部222aのみを有する構成であっても、上述と同様の作用が生じる。つまり、コイル40は、第一の停止位置及び第二の停止位置での停止状態では磁気吸引力によって保持され、電流が流された状態ではローレンツ力及び磁気反発力によって移動する。さらに、コイルヨーク250が第一U字形状部260のみを有する場合、第一U字形状部260は、少なくとも第一脚部261及び底部263を有する構成であってもよい。また、コイルヨーク250が第二U字形状部270のみを有する場合、第二U字形状部270は、少なくとも第一脚部271及び底部273を有する構成であってもよい。
【0061】
[2−3.効果等]
上述したような実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200によれば、実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100と同様の効果が得られる。
さらに、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200では、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212はそれぞれ、コイル40の移動方向で第一保持部214及び第二保持部215と反対側の位置に、第三支持部としての第三保持部221及び第四支持部としての第四保持部222を有する。コイルヨーク250は、コイル40の移動方向の一方の停止位置である第一の停止位置で第一保持部214及び第二保持部215と接触し、コイル40の移動方向の他方の停止位置である第二の停止位置で第三保持部221及び第四保持部222と接触する。上述の構成において、コイル40及びコイルヨーク250は、第一の停止位置と第二の停止位置とで磁気吸引力によって保持されることができる。よって、リニアアクチュエータ200は、コイル40を2つの停止位置で保持することができる。
【0062】
実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200では、第三保持部221及び第四保持部222は、互いに逆の磁気極性をもつ。コイルヨーク250は、第三保持部221及び第四保持部222と接触することによって、コイルヨーク250を通ってコイル40を外側から内側にまたぐ磁束を形成するように構成される。上述の構成において、コイル40が第二の停止位置にある場合でも、第三保持部221、コイルヨーク250及び第四保持部222を順次流れる磁束が、形成され得る。よって、コイルヨーク250と、第三保持部221及び第四保持部222との間に、強い磁気吸引力が生じる。また、コイル40への印加電流を調節することによって、上記の磁束の流れと逆方向の流れの磁束をコイルヨーク250に発生させ、それにより、コイルヨーク250の磁界と第三保持部221及び第四保持部222の磁界との間に、磁気的な反発力を効果的に生じることが可能になる。
【0063】
実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200では、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212は、互いに接続されている。さらに、第一側部ヨーク部211及び第二側部ヨーク部212は、第一保持部214及び第二保持部215を有し且つマグネット30が配置されるメインヨーク210と、第三保持部221及び第四保持部222を有するサブヨーク220とによって、構成される。メインヨーク210及びサブヨーク220は、互いに別個の部材を形成し、互いに接続される。上述の構成において、メインヨーク210及びサブヨーク220は、リニアアクチュエータ200の組み立て前では、分離されているため、メインヨーク210へのコイル40の設置が容易である。また、メインヨーク210及びサブヨーク220を接続して互いに組み付けることによって、各保持部も所定の位置に配置され得る。よって、リニアアクチュエータ200の製造が簡易になる。サブヨーク220の構成を変更することによって、リニアアクチュエータ200を実施の形態1に係るリニアアクチュエータ100へ変更することも可能である。
【0064】
実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200では、コイルヨーク250は、コイル40の軸方向の一方の端部でコイル40を外側から内側にまたぐ第一磁性部としての第一U字形状部260と、コイル40の軸方向の他方の端部でコイル40を外側から内側にまたぐ第二磁性部としての第二U字形状部270とを含む。例えば、第一U字形状部260及び第二U字形状部270は、U字状の形状を有し、第一U字形状部260及び第二U字形状部270は、互いに逆向きのU字状の形状を形成するように接続されてもよい。
【0065】
上述の構成において、コイルヨーク250は、コイル40が第一の停止位置にある場合、第一保持部214及び第二保持部215の間でこれらと反対側でコイル40をまたぐ部分を含むように構成され得る。さらに、コイルヨーク250は、コイル40が第二の停止位置にある場合も、第三保持部221及び第四保持部222の間でこれらと反対側でコイル40をまたぐ部分を含むように構成され得る。よって、コイル40は、第一の停止位置及び第二の停止位置のいずれにある場合でも、強い磁気吸引力で、保持される。
【0066】
実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200では、コイルヨーク250の第一U字形状部260及び第二U字形状部270はいずれも、第一の停止位置及び第二の停止位置で、支持部としての第一保持部214及び第二保持部215、又は第三保持部221及び第四保持部222と接触する。上述の構成において、互いに反対方向からコイル40をまたぐ第一U字形状部260及び第二U字形状部270は、コイル40が第一の停止位置にある場合、第一保持部214及び第二保持部215の間でこれらと反対側でコイル40をまたぐ部分を含む。さらに、第一U字形状部260及び第二U字形状部270は、コイル40が第二の停止位置にある場合も、第三保持部221及び第四保持部222の間でこれらと反対側でコイル40をまたぐ部分を含む。よって、第一の停止位置及び第二の停止位置でコイル40を保持するための強い磁気吸引力を発生することが可能である。
【0067】
[3.実施の形態に係るリニアアクチュエータの適用例]
以下、実施の形態に係るリニアアクチュエータの適用例の一例を説明する。具体的には、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200が、小型カメラのレンズ鏡筒に適用される例を、
図23〜
図27を参照しつつ説明する。なお、
図23は、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200の1つの適用例を示す斜視図であり、小型カメラのレンズ鏡筒300への適用例を示す図である。
図24は、側部カバー310aが取り外された
図23のレンズ鏡筒300を別の方向から見た斜視図であり、テレ側の状態にあるレンズ鏡筒300を示す図である。
図25は、ワイド側の状態にある
図24のレンズ鏡筒300を示す斜視図である。
図26は、
図23のレンズ鏡筒300をレンズ鏡筒300の軸心及びリニアアクチュエータ200を通る面で切断した断面側面図を方向XXVIであるX軸正方向から負方向に見た図であり、テレ側の状態にあるレンズ鏡筒300を示す図である。
図27は、ワイド側の状態にある
図26のレンズ鏡筒300を示す断面側面図である。なお、
図23〜
図27に記載されるX軸、Y軸及びZ軸は、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200に関する
図9〜
図22のX軸、Y軸及びZ軸と同様に設定されている。
【0068】
図23を参照すると、本例では、レンズ鏡筒300は、各種車載カメラ、監視カメラ等の小型のデジタルスチルカメラ又はデジタルビデオカメラに搭載され得る小型のレンズ鏡筒を構成する。レンズ鏡筒300は、有底筒状のカバー310と、カバー310から露出する第一レンズ411aと、細長い板状の端子320とを備える。カバー310は、筒状の側部カバー310aと、底部カバー310bとを含む。側部カバー310a及び底部カバー310bは互いに組み付けられ、その内側に収容空間を形成する。側部カバー310a及び底部カバー310bは、例えば、樹脂成形により作製されている。カバー310内の収容空間には、複数のレンズユニット、リニアアクチュエータ200等が、設けられる。第一レンズ411aは、複数のレンズユニットのレンズの中で最も外側に配置されるレンズであり、側部カバー310aの開口から外方へ露出している。端子320は、カバー310内のリニアアクチュエータ200のコイル40等の電気的な構成要素と、カバー310外の電気的な構成要素とを電気的に接続する。
【0069】
底部カバー310bは、図示しない撮像素子が配置される基板に取り付けられるように構成されている。底部カバー310bは、撮像素子の基板に対するレンズ鏡筒300の位置決め用の複数の円柱状のピン311aと、撮像素子の基板へのレンズ鏡筒300の固定用の複数の脚部311bとを一体的に含む。複数のピン311aは、撮像素子の基板に形成された位置決め用の孔に挿入されることによって、レンズ鏡筒300を撮像素子に対して位置決めする。複数の脚部311bには、ネジ等の締結部材が通されるように貫通孔が形成されている。脚部311b及び撮像素子の基板を通る締結部材によって、各脚部311bが当該基板に固定され、それにより、レンズ鏡筒300が当該基板に固定される。
【0070】
図24〜
図27を参照すると、底部カバー310b上には、リニアアクチュエータ200が、配設されている。リニアアクチュエータ200は、第三保持部221及び第四保持部222を有するサブヨーク220を底部カバー310b上に位置させて固定されている。具体的には、サブヨーク220が、サブヨーク220及び底部カバー310bを貫通するネジ等の締結部材によって、底部カバー310bに固定されている。リニアアクチュエータ200のコイル40は、底部カバー310bに接近する方向及び底部カバー310bから離れる方向に移動することができる。例えば、コイル40は、
図24では第一の停止位置で保持されており、
図25では第二の停止位置で保持されている。
【0071】
レンズ鏡筒300は、一列に配列された3つのレンズユニット410、420及び430と、第二レンズユニット420を支持及びガイドする複数のガイド部材440とを備えている。第三レンズユニット430は、底部カバー310bに埋め込まれている。第三レンズユニット430は、レンズ431を含み、第二レンズユニット420からレンズ431に入射する光による像を、底部カバー310bの外側に配設された図示しない撮像素子等に映し出す。
【0072】
第一レンズユニット410は、側部カバー310aの開口に配置され、側部カバー310aに固定されている。第一レンズユニット410は、複数のレンズ411を備え、各レンズ411が第三レンズユニット430のレンズ431と対向するように配置されている。複数のレンズ411の中で最も外側に位置するのが、第一レンズ411aである。側部カバー310aの開口の周囲において、第一レンズ411aと側部カバー310aとの間に、環状のシール材311cが設けられている。シール材311cは、可撓性又は弾性を有する樹脂等で作製され、第一レンズ411aと側部カバー310aとの間を水密又は気密に封止する。これにより、外部からカバー310内への水、異物等の侵入が抑制される。第一レンズユニット410には、カバー310の外部からの光が入射する。
【0073】
第一レンズユニット410と第三レンズユニット430との間に、第二レンズユニット420が、配設されている。複数のガイド部材440が第二レンズユニット420のユニットカバー421を貫通する状態で、第二レンズユニット420は配置されている。各ガイド部材440は、棒状部材で構成されている。各ガイド部材440は、リニアアクチュエータ200のコイル40の移動方向に沿って底部カバー310bから延びる。本例では、2つのガイド部材440が配設されている。
【0074】
第二レンズユニット420は、複数のガイド部材440の軸方向に移動可能であり、これにより、底部カバー310bに接近する方向及び底部カバー310bから離れる方向に移動することができる。また、第二レンズユニット420は、複数のレンズ422を備え、各レンズ422が、第三レンズユニット430のレンズ431及び第一レンズユニット410のレンズ411と対向するように配置されている。また、第二レンズユニット420のユニットカバー421は、第二レンズユニット420がコイル40と共に移動できるように、コイル40に固定されている。
【0075】
よって、コイル40が、第一の停止位置と第二の停止位置との間で移動すると、第二レンズユニット420が、ガイド部材440によって案内されつつ、コイル40と共に移動する。このようなガイド部材440は、コイル40の移動も案内する。そして、コイル40及び第二レンズユニット420は共に、
図24及び
図26に示されるような第一の停止位置と、
図25及び
図27に示されるような第二の停止位置との2つの停止位置で、磁気吸引力によって保持された状態で停止することができる。
【0076】
なお、レンズ鏡筒300において、コイル40が第一の停止位置に位置するとき、第二レンズユニット420は、第一レンズユニット410に近接して位置する。これにより、第一レンズユニット410〜第三レンズユニット430は、レンズ411に入射する光のうち、例えば、人間の静視野角に近い60°のような比較的狭い視野角の光を受け入れて、図示しない撮像素子等に映し出すことができる。このとき、レンズ鏡筒300は、テレ側の状態にあり、望遠レンズとして機能する。
【0077】
コイル40が第二の停止位置に位置するとき、第二レンズユニット420は、第一レンズユニット410から離れて位置する。これにより、第一レンズユニット410〜第三レンズユニット430は、レンズ411に入射する光のうち、例えば180°のような広い視野角の光を受け入れて、図示しない撮像素子等に映し出すことができる。このとき、レンズ鏡筒300は、ワイド側の状態にあり、広角レンズとして機能する。
【0078】
よって、レンズ鏡筒300は、2つの視野角に視野角を選択的に切り替えることができる二焦点点型のレンズ鏡筒として機能し、且つ切り替え後の視野角を保持して、振動及び衝撃等の外力に起因する視野角の変動を抑える。なお、レンズ鏡筒300に設定される視野角は、上記例に限定されず、いかなる視野角であってもよい。
【0079】
また、ユニットカバー421には、位置検知用の突起421aが一体的に形成されている。位置検知用の突起421aは、側方、つまり、ガイド部材440の軸方向と略垂直な方向に、ユニットカバー421から突出している。突起421aは、コイル40及びユニットカバー421と共に移動する。さらに、カバー310内には、2つの位置検知用センサ421b及び421cが配設されている。位置検知用センサ421b及び421cは、U字状の外形を有している。位置検知用センサ421b及び421cは、端子320と電気的に接続され、U字の間に光、磁気等を流すように構成されている。そして、位置検知用センサ421b及び421cは、光、磁気等の遮断を検知し、具体的には、突起421aがU字の間に位置することによる光、磁気等の遮断を検知する、つまり、突起421aを検知する。そして、位置検知用センサ421b及び421cはそれぞれ、コイル40が第一の停止位置及び第二の位置に位置するときに突起421aを検知するように配置されている。よって、位置検知用センサ421b及び421cは、コイル40が第一の停止位置及び第二の位置のいずれにあるか、つまり、レンズ鏡筒300がテレ側の状態及びワイド側の状態のいずれにあるかを検知する。従って、レンズ鏡筒300では、レンズ鏡筒300の状態の制御及びその状態の確認が可能である。
【0080】
また、リニアアクチュエータ200のメインヨーク210は、サブヨーク220に固定されておらず、コイル40の移動方向であるZ軸方向で、サブヨーク220に対して移動可能に設けられている。例えば、メインヨーク210は、スライドなどの移動を可能にサブヨーク220に係合、嵌合等している。そして、メインヨーク210は、側部カバー310aに位置調整を可能に固定される。
図11及び
図26を参照すると、メインヨーク210の第一側部ヨーク部211には、円筒状の突起216と、雌ねじ孔217とが形成されている。側部カバー310aの角筒状の壁には、第一貫通孔312及び第二貫通孔313がそれぞれ、雌ねじ孔217及び突起216と対応する位置に形成されている。
【0081】
第二貫通孔313は、突起216よりも大きい内径で形成されている。突起216を第二貫通孔313に挿入することによって、メインヨーク210が、側部カバー310aに対して大凡位置決めされる。突起216及び第二貫通孔313は、メインヨーク210の大凡の位置決め用の要素である。
【0082】
第一貫通孔312は、カバー310の外方から内方に向かって、内径が段差部312aを伴って縮径する形状を有している。第一貫通孔312の内径は、段差部312aを境に変化する。第一貫通孔312における小さい方の内径の部分は、輪状の段差部312aの内径を構成し、雌ねじ孔217の内径よりも大きい内径を有する。第一貫通孔312における大きい方の内径の部分は、段差部312aの外径を構成する。
【0083】
第一貫通孔312と雌ねじ孔217とが位置合わせされた状態のメインヨーク210は、締結部材としてのネジ330によって、側部カバー310aに固定される。このとき、ネジ330において雄ねじが形成された雄ねじ軸が、第一貫通孔312を通って雌ねじ孔217に螺合し、ネジ330の拡径した頭部は、段差部312aの内径よりも大きく、段差部312aに係合する。第一貫通孔312の小さい方の内径は、ネジ330の雄ねじ軸の外径よりも大きく形成されており、これにより、第一貫通孔312の内面とネジ330の雄ねじ軸との間に間隙が形成される。
【0084】
このため、ネジ330の締結を緩めた状態では、上記間隙は、第一貫通孔312内において、ネジ330が、メインヨーク210と共に、第一貫通孔312の径方向に移動することを許容する。このとき、メインヨーク210は、側部カバー310a及びサブヨーク220に対して、Z軸方向及び側部カバー310aの外周方向に移動することができる。これにより、リニアアクチュエータ200におけるコイル40の第一の停止位置と第二の停止位置との間の距離等の微調整が可能である。よって、第一レンズユニット410及び第三レンズユニット430に対する第二レンズユニット420の停止位置の微調整、つまり、各レンズユニット間の焦点距離の微調整が可能である。そして、ネジ330を締結することによって、メインヨーク210は、調整後の位置で側部カバー310a、つまりカバー310に固定される。さらに、第一貫通孔312及び第二貫通孔313内に接着剤が注入されることによって、メインヨーク210とカバー310とが強固に固定される。なお、第一貫通孔312の形状を、Z軸方向を長手方向とする長穴形状としてもよい。これにより、メインヨーク210のZ軸方向の調整幅を大きくすることができ、各レンズユニット間の焦点距離の調整代が増加する。
【0085】
上述のように、リニアアクチュエータ200は、コイル40、コイルヨーク250、メインヨーク210及びサブヨーク220を内側に含むカバー310と、メインヨーク210をカバー310に固定する締結部材としてのネジ330とをさらに備える。メインヨーク210は、サブヨーク220に対して移動可能に設けられ、カバー310は、ネジ330の軸が通る第一貫通孔312を有し、第一貫通孔312の内面とネジ330の軸との間に、メインヨーク210と共にネジ330の移動を許容する間隙が形成される。上述の構成において、ネジ330によるカバー310への固定を緩めた状態では、メインヨーク210が、サブヨーク220とは別個に、上記間隙の厚さだけ、カバー310及びサブヨーク220に対して相対的に移動することができる。よって、カバー310及びサブヨーク220に対するメインヨーク210の位置調整が可能になる。これにより、コイル40の2つの停止位置間の距離調整も可能になる。
【0086】
[4.変形例]
[4−1.変形例に係るリニアアクチュエータ]
以下、実施の形態2の変形例に係るリニアアクチュエータ500を、
図28を参照しつつ説明する。なお、
図28は、実施の形態2の変形例に係るリニアアクチュエータ500の外観を模式的に示す斜視図である。変形例に係るリニアアクチュエータ500は、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200の各保持部の支持端部の位置に、保持用マグネットが配置された構成を有する。変形例に係るリニアアクチュエータ500は、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200と同様に、メインヨーク210、サブヨーク220、マグネット30、コイル40及びコイルヨーク250を備える。
図28では、リニアアクチュエータ500は、
図13と同様に、メインヨーク210よりもサブヨーク220を上方に位置して、示されている。
【0087】
リニアアクチュエータ500では、メインヨーク210は、第一保持部214を有するが、第二保持部215を有さない。第一保持部214は、突出する第一支持端部214aを有していない。リニアアクチュエータ500は、第一保持部214のコイル40側の表面上に、第一保持用マグネット510を備えている。第一保持用マグネット510は、マグネット30と同様に、N極及びS極の磁極を持ち、例えば、永久磁石で構成される。第一保持用マグネット510は、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200の第一支持端部214a及び第二支持端部215aに対応する領域にわたって延在する。さらに、第一保持用マグネット510は、第一支持端部214aに対応する領域にS極の磁極を有し、第二支持端部215aに対応する領域にN極の磁極を有している。ここで、第一保持用マグネット510は、磁性体保持マグネットの一例である。
【0088】
実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200において、マグネット30の磁界によって磁気極性が形成される第一支持端部214a及び第二支持端部215aよりも、第一保持用マグネット510は、コイルヨーク250を強い磁気吸引力で保持することができる。
【0089】
また、リニアアクチュエータ500では、サブヨーク220は、第四保持部222を有するが、第三保持部221を有さない。第四保持部222は、突出する第四支持端部222aを有さず、L字状の形状を有している。リニアアクチュエータ500は、第四保持部222のコイル40側の表面上に、第二保持用マグネット520を備えている。第二保持用マグネット520は、マグネット30と同様に、N極及びS極の磁極を持ち、例えば、永久磁石で構成される。第二保持用マグネット520は、実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200の第三支持端部221a及び第四支持端部222aに対応する領域にわたって延在する。さらに、第二保持用マグネット520は、第三支持端部221aに対応する領域にS極の磁極を有し、第四支持端部222aに対応する領域にN極の磁極を有している。ここで、第二保持用マグネット520は、磁性体保持マグネットの一例である。
【0090】
実施の形態2に係るリニアアクチュエータ200において、マグネット30の磁界によって磁気極性が形成される第三支持端部221a及び第四支持端部222aよりも、第二保持用マグネット520は、コイルヨーク250を強い磁気吸引力で保持することができる。
【0091】
なお、本変形例に係るリニアアクチュエータ500では、第一保持用マグネット510及び第二保持用マグネット520はそれぞれ、1つのマグネットによって構成されるが、2つのマグネットによって構成されてもよい。この場合、2つのマグネットのコイル40に向く磁極面が互いに逆の磁気極性を有するように、2つのマグネットが配置される。
【0092】
また、本変形例に係るリニアアクチュエータ500では、メインヨーク210は、第二保持部215を有さないが、第二保持部215を有してもよい。さらに、サブヨーク220は、第三保持部221を有さないが、第三保持部221を有してもよい。この場合、第二保持部215及び第三保持部221も、第一保持用マグネット510及び第二保持用マグネット520を支持してもよい。
また、本変形例に係るリニアアクチュエータ500では、第一保持用マグネット510及び第二保持用マグネット520が設けられるため、第一保持部214及び第四保持部222は、磁性材料で作製されていなくてもよい。
【0093】
[4−2.効果等]
上述したような変形例に係るリニアアクチュエータ500によれば、実施の形態1及び2に係るリニアアクチュエータと同様の効果が得られる。さらに、変形例に係るリニアアクチュエータ500は、支持部としての第一保持部214及び第四保持部222に、磁性体保持マグネットとしての第一保持用マグネット510及び第二保持用マグネット520を備える。上述の構成において、第一保持用マグネット510及び第二保持用マグネット520によって、第一保持部214及び第四保持部222での磁気吸引力の調節が可能になる。よって、リニアアクチュエータ500は、マグネット30の磁界に依らず、コイル40の保持能力を適宜調節することができる。
【0094】
[他の実施の形態]
以上のように、本開示における技術の例示として、上記の実施の形態及び変形例を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これらに限定されず、適宜、変更、置換、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態及び変形例並びに下記の他の実施形態で説明する各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0095】
実施の形態及び変形例に係るリニアアクチュエータでは、マグネット30は、メインヨーク10,210の第一側部ヨーク部11,211に配置されていたが、これに限定されない。マグネットは、第一側部ヨーク部11,211と第二側部ヨーク部12,212との間で磁界を形成できるように設けられればよい。この場合、1つ以上のマグネットが設けられてよい。例えば、マグネットが、第二側部ヨーク部12,212に設けられてもよく、第一側部ヨーク部11,211及び第二側部ヨーク部12,212のいずれにも設けられてもよい。
【0096】
実施の形態及び変形例に係るリニアアクチュエータでは、ヨークは、メインヨーク10,210とサブヨーク20,220とによって構成されていたが、これに限定されない。例えば、メインヨーク10,210及びサブヨーク20,220が、1つの部材で構成されてもよい。また、メインヨーク及びサブヨークそれぞれの構成も、メインヨーク10,210及びサブヨーク20,220の構成に限定されない。例えば、第一側部ヨーク部211が第一保持部214及び第三保持部221と一体的に形成されてもよく、第二側部ヨーク部212が、第二保持部215及び第四保持部222と一体的に形成されてもよい。また、サブヨークが、第一側部ヨーク部11,211及び第二側部ヨーク部12,212の少なくとも一方の一部を含んでもよい。メインヨーク及びサブヨークがそれぞれ、第一側部ヨーク部11,211及び第二側部ヨーク部12,212の一方のみ及び他方のみを含んでもよい。
【0097】
実施の形態及び変形例に係るリニアアクチュエータにおいて、コイルヨークの構成も、コイルヨーク250の構成に限定されない。コイルヨークは、コイル40が第一の停止位置及び第二の停止位置に位置する場合に、コイル40への電流の非印加時と印加時との間で、コイルヨーク内に形成される磁束の流れの方向が逆向きとなる構成を有すればよい。
【0098】
実施の形態及び変形例に係るリニアアクチュエータにおいて、マグネット30は、N極及びS極の向きを反対にして配置されてもよい。つまり、マグネット30のN極が、第一側部ヨーク部11,211と当接し、マグネット30のS極が、第二側部ヨーク部12,212と対向するように、マグネット30が配置されてもよい。このとき、コイル40に印加する電流の向きを、実施の形態及び変形例の場合と逆向きにするように制御することによって、リニアアクチュエータは、実施の形態及び変形例の場合と同様の動作を行う。又は、コイル40の巻線の巻回方向を、実施の形態及び変形例の場合と逆向きにすることによって、コイル40に印加する電流の向きを変更しなくても、リニアアクチュエータは実施の形態及び変形例の場合と同様の動作を行う。なお、実施の形態及び変形例の説明では、コイル40の巻線の巻回方向を特定していないが、例えば、Z軸正方向からZ軸負方向に見たとき、実施の形態及び変形例において、巻線が、時計回りに巻回されていれば、反時計回りに巻回されればよく、また、逆の場合も同様である。上述のように、マグネット30の向き、コイル40に印加する電流の向き、及びコイル40の巻線の巻回方向を任意に組み合わせて、実施の形態及び変形例に係るリニアアクチュエータの動作の実現が可能である。
【0099】
実施の形態及び変形例に係るリニアアクチュエータは、カメラのレンズ鏡筒のレンズユニットに適用されていたが、これに限定されず、直線的に移動されるいかなる対象物に適用されてもよい。
【0100】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。