【文献】
高瀬 博司,新2版図説 不動産担保評価の実務,(株)経済法令研究会 下平 晋一郎,2010年 9月15日,pp.76-88
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態1の比準価格試算装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の比準価格試算装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の比準価格試算方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態1の比準価格試算方法の別の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態2の比準価格試算装置の一例の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態2の比準価格試算装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態2の比準価格試算方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態3の比準価格試算装置の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態3の比準価格試算装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施形態3の比準価格試算方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態1の比準価格試算方法における実際取引事例DBの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態1の比準価格試算方法における情報整理工程の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態1の比準価格試算方法におけるA+B選択事例DBの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態1の比準価格試算方法における評価画地の入力例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態1の比準価格試算方法における比準価格の概要の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態1の比準価格試算方法における比準価格のヒストグラムの一例を示す図である。
【
図17】
図17は、実施形態1の比準価格試算方法における価格形成要因が外れ値事例の非採用説明例を示す図である。
【
図18】
図18は、実施形態1の比準価格試算方法における時点修正の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、実施形態1の比準価格試算方法における質的データの規模補正の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、実施形態1の比準価格試算方法における道路方位補正の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態1の比準価格試算方法における形状・間口等補正の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、実施形態1の比準価格試算方法における事例から形状・間口(質的データ)の補正率を求める方法を示す図である。
【
図23】
図23は、実施形態1の比準価格試算方法における量的データの駅距離補正を示す図である。
【
図24】
図24は、実施形態1の比準価格試算方法における駅距離の補正率の一例を示す図である。
【
図25】
図25は、実施形態1の比準価格試算方法における道路幅員補正の一例を示す図である。
【
図26】
図26は、実施形態1の比準価格試算方法における容積率の補正の一例を示す図である。
【
図27】
図27は、実施形態1の比準価格試算方法における用途地域の補正の一例を示す図である。
【
図28】
図28は、実施形態1の比準価格試算方法における道路種別の補正の一例を示す図である。
【
図29】
図29は、実施形態1の比準価格試算方法における地域環境補正の一例を示す図である。
【
図30】
図30は、実施形態1の比準価格試算方法における駅性格の補正の一例を示す図である。
【
図31】
図31は、実施形態1の比準価格試算方法におけるその他補正の一例を示す図である。
【
図32】
図32は、実施形態1の比準価格試算方法におけるブレ率の求め方の一例を示す図である。
【
図33】
図33は、実施形態1の比準価格試算方法における駅距離補正項目の一例を示す図である。
【
図34】
図34は、実施形態1の比準価格試算方法における比準価格が事情補正を実施した結果の一例を示す図である。
【
図35】
図35は、実施形態1の比準価格試算方法における取引事例概要(抜粋)と最終採用事例(集合事例DB)の一例を示す図である。
【
図36】
図36は、実施形態1の比準価格試算方法における各要因比準内訳と集合比準価格DBの一例を示す図である。
【
図37】
図37は、実施形態1の比準価格試算方法における近隣地域の標準的画地(評価画地)の表示図である。
【
図38】
図38は、実施形態1の比準価格試算方法における取引事例の取引時期分布図である。
【
図39】
図39は、実施形態1の比準価格試算方法における取引事例の類型別状況図である。
【
図40】
図40は、実施形態1の比準価格試算方法における取引事例の類型毎ヒストグラム図である。
【
図41】
図41は、実施形態2の比準価格試算方法における配分法適用における構造別の建物単価(再調達原価)の指定例を示す図である。
【
図42】
図42は、実施形態4の比準価格試算方法における情報整理工程(S2)において、評価で採用すべき採用範囲を指定する一例を示す図である。
【
図43】
図43は、実施形態4の比準価格試算方法におけるA+B選択マンション事例DBの例を示す図である。
【
図44】
図44は、実施形態4の比準価格試算方法における評価マンションの入力例を示す図である。
【
図45】
図45は、実施形態4の比準価格試算方法における建物構造補正の一例を示す図である。
【
図46】
図46は、実施形態4の比準価格試算方法における建物の用途補正の一例を示す図である。
【
図47】
図47は、実施形態4の比準価格試算方法における改装の有無補正の一例を示す図である。
【
図48】
図48は、実施形態4の比準価格試算方法における築年数補正の一例を示す図である。
【
図49】
図49は、実施形態4の比準価格試算方法におけるマンション取引事例概要(抜粋)とマンション最終採用事例(集合事例DB)の例を示す図である。
【
図50】
図50は、実施形態4の比準価格試算方法におけるマンション各要因比準内訳と集合比準価格DBの例を示す図である。
【
図51】
図51は、実施形態4の比準価格試算方法における評価マンションの表示を示す図である。
【
図52】
図52は、実施形態4の比準価格試算方法におけるマンション取引事例の取引時期分布図である。
【
図53】
図53は、実施形態4の比準価格試算方法における各要因補正後標準的区分マンション比準価格を示す図である。
【
図54】
図54は、実施形態4の比準価格試算方法におけるマンション取引事例と比準価格ヒストグラムである。
【
図55】
図55は、実施形態5の比準価格試算方法における情報整理工程(S2)において、評価で採用すべき採用範囲を指定する一例を示す図である。
【
図56】
図56は、実施形態5の比準価格試算方法におけるA+B選択一棟不動産事例DBの例を示す図である。
【
図57】
図57は、実施形態5の比準価格試算方法における評価一棟不動産の入力例を示す図である。
【
図58】
図58は、実施形態5の比準価格試算方法における建物構造補正の一例を示す図である。
【
図59】
図59は、実施形態5の比準価格試算方法における建物の用途補正の一例を示す図である。
【
図60】
図60は、実施形態5の比準価格試算方法における築年数補正の一例を示す図である。
【
図61】
図61は、実施形態5の比準価格試算方法における一棟不動産取引事例概要(抜粋)と一棟不動産最終採用事例(集合事例DB)の例を示す図である。
【
図62】
図62は、実施形態5の比準価格試算方法における一棟不動産各要因比準内訳と集合比準価格DBの例を示す図である。
【
図63】
図63は、実施形態5の比準価格試算方法における評価一棟不動産の表示を示す図である。
【
図64】
図64は、実施形態5の比準価格試算方法における一棟不動産取引事例の取引時期分布図である。
【
図65】
図65は、実施形態5の比準価格試算方法における各要因補正後標準的一棟不動産延床当の比準価格を示す図である。
【
図66】
図66は、実施形態5の比準価格試算方法における一棟不動産取引事例と比準価格ヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態には限定されない。なお、以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用できる。さらに、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0018】
本発明は、不動産全般の比準価格に適用することができ、例えば、土地(更地、建物付土地等)、山林、マンション、ビル、工場等に適用可能である。この中で、本発明は、土地価格に適用することが好ましい。
【0019】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の比準価格試算装置10の一例の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、比準価格試算装置10は、情報取得手段11、情報整理手段12、取引事例選択手段14、類似取引事例選択手段15、時点修正手段16、標準化補正手段17、地域要因補正手段18、事情補正手段19、出力手段20、および、地区グループデータベース(DB)13を有する。本発明において、比準価格試算装置は、比準価格試算システムと言っても良い。本発明の比準価格試算装置は、システムとしてサーバーに組み込まれ、ユーザーの外部端末と接続可能であることが好ましい。また、本発明の比準価格試算装置は、例えば、本発明のプログラムがインストールされたパーソナルコンピューター(PC)であってもよい。
【0020】
図1に示すように、比準価格試算装置10は、通信回線網50を介して、外部データベース(DB)60および外部端末70に接続可能である。
【0021】
通信回線網50は、特に制限されず、公知のネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。通信回線網50は、例えば、インターネット回線、電話回線、LAN(Local Area Network)、WiFi(Wireless Fidelity)等があげられる。
【0022】
外部データベース60としては、例えば、「土地総合情報システム(http://www.land.mlit.go.jp/webland/)不動産取引価格情報検索」サイトのデータベースがある。当該データベースの取引事例は、個人情報保護法等により適切に管理されており、取引事例を特定できる地番、物件名等を特定できないように加工されており(個人情報を含まない)、また、取引事例比較法の精度を維持するための多数の事例が容易に取得可能である。
【0023】
外部端末70としては、例えば、本発明の比準価格試算装置のユーザーが使用するPC、スマートフォン、タブレット、携帯電話等が挙げられる。
【0024】
図2に、比準価格試算装置10のハードウエア構成のブロック図を例示する。比準価格試算装置10は、例えば、CPU(中央処理装置)101、メモリ102、インターフェイス(I/F)103、入力装置104、ディスプレイ105、通信デバイス106、記憶装置107等を有する。比準価格試算装置10の各部は、例えば、I/F103を介して、接続されている。前記ハードウエア構成において、内部での回路間の通信は、バスによって接続されている。
【0025】
CPU101は、比準価格試算装置10の全体の制御を担う。比準価格試算装置10において、CPU101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、CPU101が、情報取得手段11、情報整理手段12、取引事例選択手段14、類似取引事例選択手段15、時点修正手段16、標準化補正手段17、地域要因補正手段18、事情補正手段19、および、出力手段20として機能する。
【0026】
I/F103は、例えば、CPU101、メモリ102等のそれぞれの機能部間を接続する。I/F103は、例えば、外部機器とも接続できる。前記外部機器は、例えば、前述の外部データベース60および外部端末70等があげられる。比準価格試算装置10は、例えば、I/F103に接続された通信デバイス106により、通信回線網50に接続でき、通信回線網50を介して、前記外部機器と接続することもできる。
【0027】
メモリ102は、例えば、メインメモリを含み、前記メインメモリは、主記憶装置ともいう。CPU101が処理を行う際には、例えば、後述する記憶装置107に記憶されている本発明のプログラム等の種々の動作プログラム108を、メモリ102が読み込み、CPU101は、メモリ102からデータを受け取って、プログラム108を実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。メモリ102は、例えば、さらに、ROM(読み出し専用メモリ)を含む。
【0028】
記憶装置107は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。前述のように、記憶装置107には、本発明のプログラムを含む動作プログラム108と地区グループデータベース13が格納されている。記憶装置107は、例えば、記憶媒体と、前記記憶媒体に読み書きするドライブとを含む。前記記憶媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、FD(フロッピー(登録商標)ディスク)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等があげられ、前記ドライブは、特に制限されない。記憶装置107は、例えば、記憶媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)も例示できる。
【0029】
比準価格試算装置10は、例えば、さらに、入力装置104、ディスプレイ105を有する。入力装置104は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。ディスプレイ105は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等があげられる。
【0030】
比準価格試算装置10において、メモリ102および記憶装置107は、ユーザーからのアクセス情報およびログ情報、並びに、情報取得手段11により外部データベース60から取得した情報を記憶することも可能である。
【0031】
図1および
図2に示す装置10の取引事例選択手段14において、前記競争代替関係がある地区グループを、競争関係の強弱に応じてクラス分けし、クラスに分けた地区グループ毎に対応する取引事例を選択してもよい。
【0032】
次に、
図3に、比準価格試算装置10における比準価格試算のフローチャートを示す。下記に、前記フローチャートの各工程(ステップ)について説明する。
【0033】
まず、外部データベースに格納されている不動産取引情報を取得する情報取得工程を実施する(S1)。前記外部データベースとしては、前述のように、例えば、「土地総合情報システム(http://www.land.mlit.go.jp/webland/)不動産取引価格情報検索」サイトのデータベースがある。取得した不動産取引事例は、例えば、記憶装置107に、「実際取引事例DB」として記録される。実際取引事例DBの一例を
図11に示す。
図11に示すように、実際取引事例DBでは、各不動産(例えば、宅地(土地)、宅地(土地と建物)、中古マンション等)に番号が付され(No1からNo113)、項目(類型等、地域、住所、最寄駅等)に情報が記載されている。
【0034】
次に、取得された不動産取引情報から欠損データがある取引事例および特殊取引事例を削除して取引情報を整理する情報整理工程を実施する(S2)。例えば、土地建物の取引事例に配分法を適用可能とするため、延床面積、構造、建物建築時期等の情報が欠損している事例は、自動的に排除する。このようにして整理した取引事例をAとする。
【0035】
また、情報整理工程(S2)において、評価で採用すべき採用範囲を指定してもよい。例えば、
図12に示すように、不動産の種類(類型)、用途、駅距離分類をフラグ「1」で指定し、採用地区名と採用駅名は、「OR」、「AND」で指定できる。ユーザー(例えば、評価人)は、評価画地と競争代替関係がある地区名および駅名を任意に指定してもよい。このように指定した取引事例をBとする。
【0036】
次に、競争代替関係毎に分類された地区グループのデータが格納された地区グループDB13を参照し、整理された前記不動産取引情報から、前記評価対象不動産と競争代替関係がある地区グループに対応する取引事例を選択する取引事例選択工程を実施する(S3)。取引事例選択工程(S3)において、前記競争代替関係がある地区グループを、競争関係の強弱に応じてクラス分けし、クラスに分けた地区グループ毎に対応する取引事例を選択してもよい。また、取引事例選択工程(S3)において、取引事例A(欠損事例)および取引事例B(事例採用範囲)の条件指定後の事例は、記憶装置107において、A+B選択事例DBとして記録される。A+B選択事例DBの例を
図13に示す。
【0037】
取引事例選択工程(S3)または取引事例選択工程(S3)以降の工程において、A+B選択事例DBに記録された採用地区名および駅名を、次システムの取引事例比較法比準システムにおける地域要因の比較に自動的に転送されてもよい。
【0038】
取引事例選択工程(S3)または取引事例選択工程(S3)以降の工程において、評価画地について、No、所在住所、用途地域、価格時点、駅名、駅までの距離(m)(80m=1分換算)、道路方位、土地形状、間口(m)、地区名、その他条件を入力してもよい。また、本発明の装置においては、所在の地理的情報からインターネット上の路線価図、航空写真、ハザードマップ等の各種地図に連携表示できる機能を有していてもよい。そして、本発明の装置において、その外部データベースから取得した取引事例の使用期限を表示するようにしてもよい。使用期限を設定することにより、常に最新の取引事例で評価が行えるシステムとなる。評価画地の入力例を
図14に示す。また、本発明において、システム自体の使用期限を設定してもよい。
【0039】
取引事例選択工程(S3)または取引事例選択工程(S3)以降の工程において、規範性がある事例を指定してもよい。例えば、前記A+B選択事例DBにおいて、特に評価画地と同一地区等競争代替関係が強い事例を指定する。当該規範性が高い事例の比準結果は、例えば、
図15「比準価格の概要」および
図16「比準価格のヒストグラム」において、全比準とは別に規範性有事例に分類表示できる。
【0040】
次に、前記選択された取引事例の不動産価格において、価格形成要因の条件に合致する類似取引事例を選択する類似取引事例選択工程を実施する(S4)。類似取引事例選択工程(S4)は、例えば、非採用事例の検討(価格形成要因外れ値事例の除外)として実施できる。価格形成要因が外れ値事例の検討は、A+B選択事例DBで評価に必要な事例を暫定的に選択しているが、さらに採用された事例サンプル群において、評価人は、外れ値の事例を非採用にする。外れ値の事例を非採用にすることで価格メカニズムモデルの精度が向上する。例えば、道路幅員4から6mの住宅地事例群において、道路幅員25mの住宅地は、利用目的等最有効使用が異なる可能性があり、評価画地と競争代替関係が低いため事例を非採用とする。価格形成要因が外れ値事例の非採用説明例を、
図17に示す。
【0041】
次に、類似取引事例選択工程(S4)又は類似取引事例選択工程(S4)以降の工程において、経験値補正率で一次比準作業を実施してもよい。例えば、不動産の用途別種類(住宅地、商業地、工業地等)に対応する経験値を反映した比準表で、集合事例について標準化補正、地域要因の比較等の一次比準作業を行う。本発明の比準価格試算装置および比準価格試算方法は、例えば、AI(Artificial Intelligence、人工知能)を用いたものであってもよい。具体的には、本発明の比準価格試算装置および比準価格試算方法は、例えば、AIを用いた教師あり学習により、取引事例から価格形成要因の補正率を学習し、学習した補正率で比準価格を試算して、一次比準表に反映するものであってもよい。AIを用いたものであってもよい点は、後述の実施形態2から5において同様である。
【0042】
次に、選択された類似取引事例に係わる取引価格において、価格時点以前の各期の取引価格の平均値および前記評価対象不動産平均補正後価格から時点修正率を求め、前記時点修正率から、選択された前記類似取引事例に係わる取引価格を時点修正する時点修正工程を実施する(S5)。
【0043】
時点修正工程(S5)において、事例の土地価格に標準化補正、地域要因の比較を行った価格を各時期で抽出集計して一覧表にし、例えば、3か月変動率、半年変動率、年間変動率等の任意の期間の変動率を明示する。不動産鑑定評価基準では、時点修正は、「時点修正に当たっては、事例に係る不動産の存する用途的地域又は当該地域と相似の価格変動過程を経たと認められる類似の地域における土地又は建物の価格の変動率を求め、これにより取引価格を修正すべきである。」と規定されているが、取引事例価格を評価画地に補正した価格により土地価格の変動率を直接求めることができる。時点修正の例を
図18に示す。
【0044】
次に、前記選択された取引事例の取引情報から標準化補正率を求め、前記標準化補正率から前記選択された類似取引事例に係わる取引価格を補正する標準化補正工程を実施する(S6)。
【0045】
標準化補正は、例えば、質的データの規模補正(
図19)、道路方位補正(
図20)、形状・間口等補正(
図21)が可能である。一次比準では、経験値に基づく標準化補正の各種補正率が反映された比準表を適用し、一次比準以降、後述のように補正を繰り返す場合(n回)、n次段階で、取引事例から求めた標準化補正の各種補正率により、比準表を修正する。
【0046】
図22において、事例から形状・間口(質的データ)の補正率を求める方法を示す。形状・間口の補正率査定方法は、形状・間口以外の補正(時点修正、形状・間口以外の標準化補正、地域要因の比較)を行い、形状・間口の補正率は行なわい補正後価格を求める。当該補正後価格について、「整形地等」、「旗状地扱い」ごとに集計し各平均価格を求める。
【0047】
例えば、整形地等611千円/m
2、旗状地扱い473千円/m
2、「旗状地扱い」の補正率は、「旗状地扱い」の価格水準a、「整形地等」の価格水準bとして、
(a−b)/b=cとして求めると、下記のようになる。
(473−611)/611≒−0.23⇒ −23%
【0048】
次に、前記選択された取引事例から地域要因補正率を求め、前記地域要因補正率から前記選択された類似取引事例に係わる取引価格を補正する地域要因補正工程を実施する(S7)。
【0049】
地域要因補正工程(S7)において、地域要因の比較をするが、地域要因の比較は、例えば、量的データの駅距離補正(
図23)、道路幅員補正(
図25)、および、容積率の補正(
図26)が可能である。一次比準では、経験値に基づく地域要因の比較の各種補正率が反映された比準表を適用し、n次段階で、ユーザー(評価人等)は、取引事例から求めた各種補正率より、比準表を修正してもよい。また、本発明において、一次比準表の使用により、多重共線性の問題が解決できる。従来の比準価格の試算では、重回帰分析を用いた場合、多重共線性の問題があると言われていた。しかし、本発明において一次比準表でバイアスをかけて、一次補正後価格を求めて、補正後価格と取引事例情報から補正率を出すことになり、要は、単回帰等の組合せで比準価格が試算されるため、原理的に多重共線性の問題は生じない。
【0050】
取引事例から量的データの補正率を求める方法を代表し、
図24を用いて、駅距離の補正率で説明する。
図24に示すように、土地価格と駅距離の散布図をディスプレイで確認し、駅距離補正以外の補正をすべて行った土地価格を駅距離補正率により補正を行い、つまり駅距離軸に平行になる程度の補正率、駅距離と土地価格との回帰線における傾きがゼロになる程度にシミュレーションし補正率を求める。
【0051】
質的データの補正は、質的データの用途地域の補正(
図27)、道路種別の補正(
図28)、地域環境補正(
図29)、駅性格の補正(
図30)、その他補正(
図31)の補正が可能である。一次比準では、経験値に基づく地域要因の比較の各種補正率が反映された比準表を適用し、n次段階で、事例から求めた各種補正率より、比準表を修正してもよい。
【0052】
次に、前記時点修正、前記標準化補正および前記地域要因補正を経た前記選択された類似取引事例に係わる補正後価格において、予め規定した基準値の範囲内にあるものを選択する事情補正工程を実施する(S8)。
【0053】
不動産鑑定評価基準運用上の留意事項で、事情補正は、「事情補正の必要性の有無および程度の判定に当たっては、多数の取引事例等を総合的に比較対照の上、検討されるべきものであり、事情補正を要すると判定したときは、取引が行われた市場における客観的な価格水準等を考慮して適切に補正を行わなければならない。」と規定されている。
【0054】
事情補正工程(S8)の実施をするために、まず、市場における客観的な価格水準と取引事例価格との乖離を求める。方法は、すべての比準項目を実施し、取引事例ごとに比準価格を求め、次にその比準価格の平均値との偏差を平均値で除しブレ率を求める。
図32に、ブレ率の求め方の一例を示す。
【0055】
本発明では、例えば、評価画地の用途種類等から、許容を超えるブレ率の取引事例を非採用にすることで事情補正を行う。
【0056】
本実施形態で、事情補正を行うことは、価格メカニズムモデルの精度向上を目的とし、結果として、市場における客観的な価格水準を把握可能となる。事情補正の効果として代表し、
図33に、地域要因の比較項目である駅距離補正項目を説明例として示す。
【0057】
また、
図34に、取引事例比較法比準システムの結果である比準価格が事情補正を実施した結果を示す。
図34では、事情補正を実施することで比準価格のヒストグラム線の裾野の部分のブレ率が大きな事例を非採用にすることで、裾野自体が狭くなり、精度の高い比準価格が求められていることが視覚でも確認できる。
【0058】
次に、類似取引事例選択工程(S4)、時点修正工程(S5)、標準化補正工程(S6)、地域要因補正工程(S7)、および、事情補正工程(S8)を経て試算された不動産の比準価格を出力する出力工程を実施し(S9)、一連の比準価格試算工程を終了する。
【0059】
図4に示すように、時点修正工程(S5)、標準化補正工程(S6)、地域要因補正工程(S7)および事情補正工程(S81)を繰り返す場合(前述のように、一次比準作業からn次の比準作業を実施する場合)、判断工程(S82)において、試算された比準価格が、基準値の範囲になったかを判断し、基準値の範囲にある場合(Yes)は、比準価格を出力し(S9)、基準値の範囲を外れる場合(No)は、時点修正工程(S5)に戻り、基準値の範囲になるまで繰り返す。基準値としては、例えば、前述のように、ブレ率を採用し、ブレ率が一定範囲内になった場合に、比準作業を終了し、比準価格を出力する(S9)。このように、一次比準からn次比準まで、繰り返して比準作業を実施することで、装置が自動的に比準価格を適正なものとするので、この意味で、一次比準からn次比準の繰り返しは、機械学習と言える。
【0060】
本実施形態において、比準作業が終了した段階の各種指数の他、集合比準価格(全比準価格、規範性の高い事例からの比準価格)のヒストグラムを視覚で確認し、ユーザー(評価人等)は、最終比準価格を決定してもよい。
【0061】
本実施形態において、最終比準価格が決定されると、最終採用事例として、集合事例DBおよび集合比準価格DBを、記憶装置107にそれぞれ記録してもよい。
図35に、取引事例概要(抜粋)と最終採用事例(集合事例DB)の例を示し、
図36に、各要因比準内訳と集合比準価格DBの例を示す。
【0062】
取引事例関連各種指数等の例として、
図37に近隣地域の標準的画地(評価画地)の表示図を示し、
図38に取引事例の取引時期分布図を示し、
図39に取引事例の類型別状況図を示し、
図40に、取引事例の類型別ヒストグラム図を示す。
【0063】
本実施形態では、取引事例比較法比準システムで最終比準価格を求めることができるが、必要に応じ、重回帰分析等の統計分析で比準価格の検証を行うことができるように統計分析用に、量的データおよび質的データを、ダミー変数化して出力してもよい。
【0064】
本実施形態では、例えば、鑑定評価書添付資料として、
図35に示す取引事例概要(抜粋)と
図36に示す各要因比準内訳を、印刷出力し、これらを、鑑定評価書添付資料としてもよい。
【0065】
[実施形態2]
次に、前記評価対象不動産が、評価対象土地であり、前記不動産価格が、土地価格である比準価格試算装置の例について説明する。
【0066】
図5は、実施形態2の比準価格試算装置10の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、実施形態2の比準価格試算装置10は、土地価格算出手段(一括配分法)21を有する。実施形態2の比準価格試算装置10では、取引事例選択手段14により選択された取引事例における土地建物の取引事例について、土地価格算出手段21において、一括分配法により土地価格を算出する。そして、類似取引事例選択手段15において、前記選択された取引事例の土地価格および一括配分法により算出された土地価格において、価格形成要因の条件に合致する類似取引事例を選択する。これら以外の構成は、実施形態1の比準価格試算装置(
図1)と同じである。
【0067】
図6は、実施形態2の比準価格試算装置10のハードウエアの構成を示すブロック図である。
図6に示すように、比準価格試算装置10のハードウエアの構成は、土地価格試算手段(一括配分法)21を有する。これ以外の構成は、実施形態1の比準価格試算装置(
図2)と同じである。
【0068】
図7に、実施形態2の比準価格試算方法のフローチャートを示す。同図に示すように、このフローチャートでは、地区グループDBを参照して取引事例を選択する取引事例選択工程(S3)の後、一括分配法により土地価格を算出する土地価格算出工程(S42)を有する他は、実施形態1と同じである。類似取引事例選択工程(S41)において、前記選択された取引事例の土地価格および一括配分法により算出された土地価格において、価格形成要因の条件に合致する類似取引事例を選択する。
【0069】
配分法について、不動産鑑定評価基準では、「取引事例が対象不動産と同類型の不動産の部分を内包して複合的に構成されている異類型の不動産に係る場合においては、当該取引事例の取引価格から対象不動産と同類型の不動産以外の部分の価格が取引価格等により判明しているときは、その価格を控除し、又は当該取引事例について各構成部分の価格の割合が取引価格、新規投資等により判明しているときは、当該事例の取引価格に対象不動産と同類型の不動産の部分に係る構成割合を乗じて、対象不動産の類型に係る事例資料を求めるものとする(この方法を配分法という。)。」と規定されている。
【0070】
本実施形態にかかる配分法は、多数の土地建物事例を一括して配分法を適用する。一括配分法適用の判断基準を採用事例から求め明示する。土地(更地)および土地建物の土地部分(建付地)ごとに、比準価格、取引価格、平均地積、平均駅距離をそれぞれ対比し表示する。ユーザー(評価人等)は、土地(更地)と土地建物の土地部分(新築建付地、中古建付地)の価格水準を確認し、建物構造別の再調達原価およびその他付帯費用指定し、耐用年数に基づく方法にて、各土地建物の取引事例の建物価格を求めることができ、一括配分法が適用可能となる。配分法適用における構造別の建物単価(再調達原価)の指定例を、
図41の配分法で示す。
【0071】
[実施形態3]
次に、実施形態3の比準価格試算装置10について、説明する。
図8は、本実施形態の比準価格試算装置10の構成を示すブロック図であり、
図9は、ハードウエアの構成を示すブロック図である。
図8および
図9に示すように、本実施形態3の比準価格試算装置10は、取引事例指定手段22、情報入力手段23、検索閲覧手段24、変更手段25、補正率DB26および基準値DB27を有し、これら以外は、実施形態2の装置と同じである。補正率DB26は、変更手段25と接続し、基準値DB27は、事情補正手段19と接続している。補正率DB26には、各項目の補正率の許容範囲を記憶させておき、取引事例から求めた補正率が許容範囲内の場合は、変更手段25を通じて標準化補正手段17および地域要因補正手段18の補正率を変更するのに使用される。基準値DB27には、予め取得した基準値(例えば、ブレ率等)又は本発明の実施で取得された基準値が格納されており、事情補正手段19において、事情補正の際に参照して使用される。
【0072】
本実施形態の装置は、検索閲覧手段24により、例えば、インターネットを介して、所在の地理的情報から、路線価図、航空写真、ハザードマップ等の外部サイト80の各種地図を検索し、ディスプレイに表示して閲覧することも可能である。
【0073】
図10に、実施形態3の比準価格試算方法のフローチャートを示す。下記に示すように、取引事例選択工程(S3)、時点修正工程(S5)、標準化補正工程(S6)、地域要因補正工程(S7)および事情補正工程(S81)以外は、実施形態2と同じである。
【0074】
地区グループDB13を参照して取引事例を選択する取引事例選択工程(S3)において、取引事例指定手段22により、地区グループDB13の取引事例を指定し、また、情報入力手段23により、評価対象不動産情報を入力する。
【0075】
取引事例の指定は、実施形態1で説明したように、評価で採用すべき採用範囲を指定してもよい。例えば、
図12に示すように、不動産の種類(類型)、用途、駅距離分類をフラグ「1」で指定し、採用地区名と採用駅名は、「OR」、「AND」で指定できる。ユーザー(例えば、評価人)は、評価画地と競争代替関係がある地区名および駅名を任意に指定してもよい。
【0076】
同様に、取引事例の指定は、実施形態1で説明したように、規範性がある事例を指定してもよい。例えば、前記A+B選択事例DBにおいて、特に評価画地と同一地区等競争代替関係が強い事例を指定する。当該規範性が高い事例の比準結果は、例えば、
図15「比準価格の概要」および
図16「比準価格のヒストグラム」において、全比準とは別に規範性有事例に分類表示できる。
【0077】
前記評価対象不動産情報の入力は、実施形態1で説明したように、例えば、評価画地について、No、所在住所、用途地域、価格時点、駅名、駅までの距離(m)(80m=1分換算)、道路方位、土地形状、間口(m)、地区名、その他条件を入力してもよい。
【0078】
ユーザー(評価人等)は、変更手段25により、時点修正工程(S5)、標準化補正工程(S6)、地域要因補正工程(S7)および事情補正工程(S81)において、実施形態1で説明したように、それぞれの修正率および補正率を変更してもよい。
【0079】
[実施形態4]
次に、比準価格を試算する不動産として「マンション」を対象にした実施形態を示す。
【0080】
本実施形態において、マンションの比準価格の試算は、実施形態1における比準価格試算装置(
図1および
図2)およびフローチャート(
図3)の試算と概略は略同じである。以下、
図3のフローチャートに即して、本実施形態におけるマンションの比準価格試算を説明する。
【0081】
まず、外部データベースに格納されている不動産取引情報を取得する情報取得工程を実施する(S1)。前記外部データベースとしては、前述のように、例えば、「土地総合情報システム(http://www.land.mlit.go.jp/webland/)不動産取引価格情報検索」サイトのデータベースがある。取得した不動産取引事例は、例えば、記憶装置107に、「実際取引事例DB」として記録される。実際取引事例DBの一例を
図11に示す。
図11に示すように、実際取引事例DBでは、各不動産(例えば、宅地(土地)、宅地(土地と建物)、中古マンション等)に番号が付され(No1からNo113)、項目(類型等、地域、住所、最寄駅等)に情報が記載されている。
【0082】
次に、取得された不動産取引情報から欠損データがある取引事例および特殊取引事例を削除して取引情報を整理する情報整理工程を実施する(S2)。例えば、専有面積、構造、建物建築時期等の情報が欠損している事例は、自動的に排除する。このようにして整理した取引事例をAとする。
【0083】
また、情報整理工程(S2)において、評価で採用すべき採用範囲を指定してもよい。例えば、
図42に示すように、不動産の種類(類型)、駅距離分類をフラグ「1」、総額、専有面積は、実数で指定し、採用地区名と採用駅名は、「OR」、「AND」で指定できる。ユーザー(例えば、評価人)は、評価マンションと競争代替関係がある地区名および駅名を任意に指定してもよい。このように指定した取引事例をBとする。
【0084】
次に、競争代替関係毎に分類された地区グループのデータが格納された地区グループDB13を参照し、整理された前記不動産取引情報から、前記評価対象不動産と競争代替関係がある地区グループに対応する取引事例を選択する取引事例選択工程を実施する(S3)。取引事例選択工程(S3)において、前記競争代替関係がある地区グループを、競争関係の強弱に応じてクラス分けし、クラスに分けた地区グループ毎に対応する取引事例を選択してもよい。また、取引事例選択工程(S3)において、取引事例A(欠損事例)および取引事例B(事例採用範囲)の条件指定後の事例は、記憶装置107において、A+B選択事例DBとして記録される。A+B選択マンション事例DBの例を
図43に示す。
【0085】
取引事例選択工程(S3)または取引事例選択工程(S3)以降の工程において、A+B選択事例DBに記録された採用地区名および駅名を、次システムの取引事例比較法比準システムにおける地域要因の比較に自動的に転送されてもよい。
【0086】
取引事例選択工程(S3)または取引事例選択工程(S3)以降の工程において、評価マンションについて、No、所在住所、用途地域、価格時点、駅名、駅までの距離(m)(80m=1分換算)、標準専有面積、建築西暦年、建物構造、建物用途、地区名、その他条件を入力してもよい。また、本発明の装置においては、所在の地理的情報からインターネット上の路線価図、航空写真、ハザードマップ等の各種地図に連携表示できる機能を有していてもよい。そして、本発明の装置において、その外部データベースから取得した取引事例の使用期限を表示するようにしてもよい。使用期限を設定することにより、常に最新の取引事例で評価が行えるシステムとなる。評価マンションの入力例を
図44に示す。また、本発明において、システム自体の使用期限を設定してもよい。
【0087】
取引事例選択工程(S3)または取引事例選択工程(S3)以降の工程において、規範性がある事例を指定してもよい。例えば、前記A+B選択事例DBにおいて、特に評価画地と同一地区等競争代替関係が強い事例を指定する。当該規範性が高い事例の比準結果は、例えば、
図53「比準価格」および
図54「比準価格ヒストグラム」において、全比準とは別に規範性有事例に分類表示できる。
【0088】
次に、前記選択された取引事例の不動産価格(マンション価格)において、価格形成要因の条件に合致する類似取引事例を選択する類似取引事例選択工程を実施する(S4)。類似取引事例選択工程(S4)は、例えば、非採用事例の検討(価格形成要因外れ値事例の除外)として実施できる。価格形成要因が外れ値事例の検討は、A+B選択事例DBで評価に必要な事例を暫定的に選択しているが、さらに採用された事例サンプル群において、評価人は、外れ値の事例を非採用にする。外れ値の事例を非採用にすることで価格メカニズムモデルの精度が向上する。例えば、専有床面積50から70m
2のマンション事例群において、床面積120m
2のマンションは、建物品等が異なる可能性があり、評価マンションと競争代替関係が低いため事例を非採用とする。
【0089】
次に、類似取引事例選択工程(S4)又は類似取引事例選択工程(S4)以降の工程において、経験値補正率で一次比準作業を実施してもよい。例えば、建物の用途種類(住宅、店舗、事務所、工場等)に対応する経験値を反映した比準表で、集合事例について標準化補正、地域要因の比較等の一次比準作業を行う。
【0090】
次に、選択された類似取引事例に係わるマンション価格(取引価格)において、価格時点以前の各期の取引マンション価格の平均値および前記評価対象マンション平均補正後価格から時点修正率を求め、前記時点修正率から、選択された前記類似取引事例のマンション価格(取引価格)を時点修正する時点修正工程を実施する(S5)。
【0091】
時点修正工程(S5)において、事例のマンション価格に標準化補正、地域要因の比較を行った価格を各時期で抽出集計して一覧表にし、例えば、3か月変動率、半年変動率、年間変動率等の任意の期間の変動率を明示する。不動産鑑定評価基準では、時点修正は、「時点修正に当たっては、事例に係る不動産の存する用途的地域又は当該地域と相似の価格変動過程を経たと認められる類似の地域における土地又は建物の価格の変動率を求め、これにより取引価格を修正すべきである。」と規定されているが、取引事例価格を評価マンションに補正した価格によりマンション価格の変動率を直接求めることができる。時点修正の例を土地価格と同様に
図18に示す。
【0092】
次に、前記選択された取引事例の取引情報から標準化補正率を求め、前記標準化補正率から前記選択された類似取引事例のマンション価格(取引価格)を補正する標準化補正工程を実施する(S6)。
【0093】
標準化補正は、例えば、質的データの土地価格の規模補正(
図19)と同様に専有床面積補正、建物構造補正(
図45)、建物の用途補正(
図46)、改装の有無補正(
図47)が可能である。一次比準では、経験値に基づく標準化補正の各種補正率が反映された比準表を適用し、一次比準以降、後述のように補正を繰り返す場合(n回)、n次段階で、取引事例から求めた標準化補正の各種補正率により、比準表を修正する。
【0094】
次に、前記選択された取引事例から地域要因補正率を求め、前記地域要因補正率から前記選択された類似取引事例のマンション価格(取引価格)を補正する地域要因補正工程を実施する(S7)。
【0095】
地域要因補正工程(S7)において、地域要因の比較をするが、地域要因の比較は、例えば、量的データの土地価格の駅距離補正(
図23)と同様、築年数補正(
図48)、および、土地価格と同様に容積率の補正(
図26)が可能である。一次比準では、経験値に基づく地域要因の比較の各種補正率が反映された比準表を適用し、n次段階で、ユーザー(評価人等)は、取引事例から求めた各種補正率より、比準表を修正してもよい。また、本発明において、一次比準表の使用により、多重共線性の問題が解決できる。従来、比準価格の試算では、重回帰分析を用いた場合、多重共線性の問題があると言われていた。しかし、本発明において一次比準表を用いると、バイアスをかけて補正率を出すことになり、要は、単回帰等の組合せで比準価格が試算されるため、原理的に多重共線性の問題は生じない。
【0096】
取引事例から量的データの補正率を求める方法を代表し、
図48を用いて、築年数の補正率で説明する。
図48に示すように、マンション価格と築年数の散布図をディスプレイで確認し、築年数補正以外の補正をすべて行ったマンション価格を築年数補正率により補正を行い、つまり築年数軸に平行になる程度の補正率、築年数とマンション価格との回帰線における傾きがゼロになる程度にシミュレーションし補正率を求める。
【0097】
質的データの補正は、土地価格と同様に用途地域の補正(
図27)、道路種別の補正(
図28)、地域環境補正(
図29)、駅性格の補正(
図30)、その他補正(
図31)の補正が可能である。一次比準では、経験値に基づく地域要因の比較の各種補正率が反映された比準表を適用し、n次段階で、事例から求めた各種補正率より、比準表を修正してもよい。
【0098】
次に、前記時点修正、前記標準化補正および前記地域要因補正を経た前記選択された類似取引事例に係わるマンションの補正後価格において、予め規定した基準値の範囲内にあるものを選択する事情補正工程を実施する(S8)。
【0099】
不動産鑑定評価基準運用上の留意事項で、事情補正は、「事情補正の必要性の有無および程度の判定に当たっては、多数の取引事例等を総合的に比較対照の上、検討されるべきものであり、事情補正を要すると判定したときは、取引が行われた市場における客観的な価格水準等を考慮して適切に補正を行わなければならない。」と規定されている。
【0100】
事情補正工程(S8)の実施をするために、まず、市場における客観的な価格水準と取引事例価格との乖離を求める。方法は、すべての比準項目を実施し、取引事例ごとに比準価格を求め、次にその比準価格の平均値との偏差を平均値で除しブレ率を求める。土地価格と同様であるが、
図32に、ブレ率の求め方の一例を示す。
【0101】
本発明では、例えば、対象マンションの用途種類等から、許容を超えるブレ率の取引事例を非採用にすることで事情補正を行う。
【0102】
本実施形態で、事情補正を行うことは、価格メカニズムモデルの精度向上を目的とし、結果として、市場における客観的な価格水準を把握可能となる。事情補正の効果として代表し、土地価格と同様であるが、
図33に、地域要因の比較項目である駅距離補正項目を説明例として示す。
【0103】
また、土地価格と同様であるが、
図34に、取引事例比較法比準システムの結果である比準価格が事情補正を実施した結果を示す。
図34では、事情補正を実施することで比準価格のヒストグラム線の裾野部分をブレ率が大きな事例を非採用にすることで、裾野自体が狭くなり、精度の高い比準価格が求められていることが視覚でも確認できる。
【0104】
次に、類似取引事例選択工程(S4)、時点修正工程(S5)、標準化補正工程(S6)、地域要因補正工程(S7)、および、事情補正工程(S8)を経て試算された不動産(マンション)の比準価格を出力する出力工程を実施し(S9)、一連の比準価格試算工程を終了する。
【0105】
図4に示すように、時点修正工程(S5)、標準化補正工程(S6)、地域要因補正工程(S7)および事情補正工程(S81)を繰り返す場合(前述のように、一次比準作業からn次の比準作業を実施する場合)、判断工程(S82)において、試算された比準価格が、基準値の範囲になったかを判断し、基準値の範囲にある場合(Yes)は、比準価格を出力し(S9)、基準値の範囲を外れる場合(No)は、時点修正工程(S5)に戻り、基準値の範囲になるまで繰り返す。基準値としては、例えば、前述のように、ブレ率を採用し、ブレ率が一定範囲内になった場合に、比準作業を終了し、比準価格を出力する(S9)。このように、一次比準からn次比準まで、繰り返して比準作業を実施することで、装置が自動的に比準価格を適正なものとするので、この意味で、一次比準からn次比準の繰り返しは、機械学習と言える。
【0106】
本実施形態において、比準作業が終了した段階の各種指数の他、集合比準価格(全比準価格、規範性の高い事例からの比準価格)のヒストグラムを視覚で確認し、ユーザー(評価人等)は、最終比準価格を決定してもよい。
【0107】
本実施形態において、最終比準価格が決定されると、最終採用事例として、集合事例DBおよび集合比準価格DBを、記憶装置107にそれぞれ記録してもよい。
図49に、マンション取引事例概要(抜粋)とマンション最終採用事例(集合事例DB)の例を示し、
図50に、マンション各要因比準内訳と集合比準価格DBの例を示す。
【0108】
取引事例関連各種指数等の例として、
図51に評価マンションの表示を示し、
図52にマンション取引事例の取引時期分布図を示し、
図53に各要因補正後標準的区分マンション比準価格を示し、
図54にマンション取引事例と比準価格ヒストグラムを示す。
【0109】
本実施形態では、取引事例比較法比準システムで最終比準価格を求めることができるが、必要に応じ、重回帰分析等の統計分析で比準価格の検証を行うことができるように統計分析用に、量的データおよび質的データを、ダミー変数化して出力してもよい。
【0110】
本実施形態では、例えば、鑑定評価書添付資料として、
図49に示すマンション取引事例概要(抜粋)と
図50に示すマンション各要因比準内訳を、印刷出力し、これらを、鑑定評価書添付資料としてもよい。
【0111】
[実施形態5]
次に、比準価格を試算する不動産として「一棟不動産(例えば、ビル等の土地と建物を含む不動産、「複合不動産」とも言う。)」を対象にした実施形態を示す。「複合不動産に係る鑑定評価手法の精緻化等に関する調査検討業務報告書」(国土交通省土地・建設産業局、平成29年3月)の第2から3頁の「II.基本認識の確認、2.現状において複合不動産の取引事例価格と比較検討を行う検証の利用が進まない理由」に記載のように、本発明前において、複合不動産(一棟不動産)の評価技術は確立しておらず、同文献の第21から28頁の「IV.複合不動産の取引事例を用いた検証(ケーススタディ)」に記載のように、問題点も多かった。
【0112】
本実施形態において、一棟不動産の比準価格の試算は、実施形態1における比準価格試算装置(
図1および
図2)およびフローチャート(
図3)の試算と概略は略同じである。以下、
図3のフローチャートに即して、本実施形態における一棟不動産の比準価格試算を説明する。
【0113】
まず、外部データベースに格納されている不動産取引情報を取得する情報取得工程を実施する(S1)。前記外部データベースとしては、前述のように、例えば、「土地総合情報システム(http://www.land.mlit.go.jp/webland/)不動産取引価格情報検索」サイトのデータベースがある。取得した不動産取引事例は、例えば、記憶装置107に、「実際取引事例DB」として記録される。実際取引事例DBの一例を
図11に示す。
図11に示すように、実際取引事例DBでは、各不動産(例えば、宅地(土地)、宅地(土地と建物)、中古マンション等)に番号が付され(No1からN0113)、項目(類型等、地域、住所、最寄駅等)に情報が記載されている。
【0114】
次に、取得された不動産取引情報から欠損データがある取引事例および特殊取引事例を削除して取引情報を整理する情報整理工程を実施する(S2)。例えば、延床面積、構造、建物建築時期等の情報が欠損している事例は、自動的に排除する。このようにして整理した取引事例をAとする。
【0115】
また、情報整理工程(S2)において、評価で採用すべき採用範囲を指定してもよい。例えば、
図55に示すように、不動産の種類(類型)、駅距離分類をフラグ「1」、総額、延床面積は、実数で指定し、採用地区名と採用駅名は、「OR」、「AND」で指定できる。ユーザー(例えば、評価人)は、評価一棟不動産と競争代替関係がある地区名および駅名を任意で指定してもよい。このように指定した取引事例をBとする。
【0116】
次に、競争代替関係毎に分類された地区グループのデータが格納された地区グループDB13を参照し、整理された前記不動産取引情報から、前記評価対象不動産と競争代替関係がある地区グループに対応する取引事例を選択する取引事例選択工程を実施する(S3)。取引事例選択工程(S3)において、前記競争代替関係がある地区グループを、競争関係の強弱に応じてクラス分けし、クラスに分けた地区グループ毎に対応する取引事例を選択してもよい。また、取引事例選択工程(S3)において、取引事例A(欠損事例)および取引事例B(事例採用範囲)の条件指定後の事例は、記憶装置107において、A+B選択事例DBとして記録される。A+B選択一棟不動産事例DBの例を
図56に示す。
【0117】
取引事例選択工程(S3)または取引事例選択工程(S3)以降の工程において、A+B選択事例DBに記録された採用地区名および駅名を、次システムの取引事例比較法比準システムにおいて地域要因の比較に自動的に転送されてもよい。
【0118】
取引事例選択工程(S3)または取引事例選択工程(S3)以降の工程において、評価一棟不動産について、No、所在住所、用途地域、価格時点、駅名、駅までの距離(m)(80m=1分換算)、標準延床面積、建築西暦年、建物構造、建物用途、地区名、その他条件を入力してもよい。また、本発明の装置においては、所在の地理的情報からインターネット上の路線価図、航空写真、ハザードマップ等の各種地図に連携表示できる機能を有していてもよい。そして、本発明の装置において、その外部データベースから取得した取引事例の使用期限を表示するようにしてもよい。使用期限を設定することにより、常に最新の取引事例で評価が行えるシステムとなる。評価一棟不動産の入力例を
図57に示す。また、本発明において、システム自体の使用期限を設定してもよい。
【0119】
取引事例選択工程(S3)または取引事例選択工程(S3)以降の工程において、規範性がある事例を指定してもよい。例えば、前記A+B選択事例DBにおいて、特に評価画地と同等地区等競争代替関係が強い事例を指定する。当該規範性が高い事例の比準結果は、例えば、
図65「延床当の比準価格」および
図66「比準価格ヒストグラム」において、全比準とは別に規範性有事例に分類表示できる。
【0120】
次に、前記選択された取引事例の不動産価格(一棟不動産価格)において、価格形成要因の条件に合致する類似取引事例を選択する類似取引事例選択工程を実施する(S4)。類似取引事例選択工程(S4)は、例えば、非採用事例の検討(価格形成要因外れ値事例の除外)として実施できる。価格形成要因が外れ値事例の検討は、A+B選択事例DBで評価に必要な事例を暫定的に選択しているが、さらに採用された事例サンプル群において、評価人は、外れ値の事例を非採用にする。外れ値の事例を非採用にすることで価格メカニズムモデルの精度が向上する。例えば、延床面積が200から300m
2の一棟不動産事例群において、延床面積2000m
2の一棟不動産は、建物品等が異なる可能性があり、評価一棟不動産と競争代替関係が低いため事例を非採用とする。
【0121】
次に、類似取引事例選択工程(S4)又は類似取引事例選択工程(S4)以降の工程において、経験値補正率で一次比準作業を実施してもよい。例えば、建物の用途種類(住宅、店舗、事務所、工場等)に対応する経験値を反映した比準表で、集合事例について標準化補正、地域要因の比較等の一次比準作業を行う。
【0122】
次に、選択された類似取引事例に係わる一棟不動産価格(取引価格)において、価格時点以前の各期の取引一棟不動産価格の平均値および前記評価対象一棟不動産平均補正後価格から時点修正率を求め、前記時点修正率から、選択された前記類似取引事例の一棟不動産価格(取引価格)を時点修正する時点修正工程を実施する(S5)。
【0123】
時点修正工程(S5)において、事例の一棟不動産価格に標準化補正、地域要因の比較を行った価格を各時期で抽出集計して一覧表にし、例えば、3か月変動率、半年変動率、年間変動率等の任意の期間の変動率を明示する。不動産鑑定評価基準では、時点修正は、「時点修正に当たっては、事例に係る不動産の存する用途的地域又は当該地域と相似の価格変動過程を経たと認められる類似の地域における土地又は建物の価格の変動率を求め、これにより取引価格を修正すべきである。」と規定されているが、取引事例価格を評価一棟不動産に補正した価格により一棟不動産価格の変動率を直接求めることができる。時点修正の例を土地価格と同様に
図18に示す。
【0124】
次に、前記選択された取引事例の取引情報から標準化補正率を求め、前記標準化補正率から前記選択された類似取引事例の一棟不動産価格(取引価格)を補正する標準化補正工程を実施する(S6)。
【0125】
標準化補正は、例えば、質的データの土地価格の規模補正(
図19)と同様に延床面積補正、建物構造補正(
図58)、建物の用途補正(
図59)、改装の有無補正(実施形態4のマンション(
図47)と同様)が可能である。一次比準では、経験値に基づく標準化補正の各種補正率が反映された比準表を適用し、一次比準以降、後述のように補正を繰り返す場合(n回)、n次段階で、取引事例から求めた標準化補正の各種補正率により、比準表を修正する。
【0126】
次に、前記選択された取引事例から地域要因補正率を求め、前記地域要因補正率から前記選択された類似取引事例の一棟不動産価格(取引価格)を補正する地域要因補正工程を実施する(S7)。
【0127】
地域要因補正工程(S7)において、地域要因の比較をするが、地域要因の比較は、例えば、量的データの土地価格の駅距離補正(
図23)と同様、築年数補正(
図60)、および、土地価格と同様に容積率の補正(
図26)が可能である。一次比準では、経験値に基づく地域要因の比較の各種補正率が反映された比準表を適用し、n次段階で、ユーザー(評価人等)は、取引事例から求めた各種補正率により、比準表を修正してもよい。また、本発明において、一次比準表の使用により、多重共通性の問題が解決できる。従来、比準価格の試算では、重回帰分析を用いた場合、多重共通性の問題があると言われていた。しかし、本発明において一次比準表を用いると、バイアスをかけて補正率を出すことになり、要は、単回帰等の組合せで比準価格が試算されるため、原理的に多重共通性の問題は生じない。
【0128】
取引事例から量的データの補正率を求める方法を代表し、
図60を用いて、築年数の補正率で説明する。
図60に示すように、一棟不動産価格と築年数の散布図をディスプレイで確認し、築年数補正以外の補正をすべて行った一棟不動産価格を築年数補正率により補正を行い、つまり築年数軸に平行になる程度の補正率、築年数と一棟不動産価格との回帰線における傾きがゼロになる程度にシミュレーションし補正率を求める。
【0129】
質的データの補正は、土地価格と同様に用途地域の補正(
図27)、道路種別の補正(
図28)、地域環境補正(
図29)、駅性格の補正(
図30)、その他補正(
図31)の補正が可能である。一次比準では、経験値に基づく地域要因の比較の各種補正率が反映された比準表を適用し、n次段階で、事例から求めた各種補正率により、比準表を修正してもよい。
【0130】
次に、前記時点修正、前記標準化補正および前記地域要因補正を経た前記選択された類似取引事例に係わる一棟不動産の補正後価格において、予め規定した基準値の範囲内にあるものを選択する事情補正工程を実施する(S8)。
【0131】
不動産鑑定評価基準運用上の留意事項で、事情補正は、「事情補正の必要性の有無および程度の判定に当たっては、多数の取引事情等を総合的に比較対照の上、検討されるべきものであり、事情補正を要すると判定したときは、取引が行われた市場における客観的な価格水準等を考慮して適切に補正を行わなければならない。」と規定されている。
【0132】
事情補正工程(S8)の実施をするために、まず、市場における客観的な価格水準と取引事例価格との乖離を求める。方法は、すべての比準項目を実施し、取引事例ごとに比準価格を求め、次にその比準価格の平均値との偏差を平均値で除しブレ率を求める。土地価格と同様であるが、
図32に、ブレ率の求め方の一例を示す。
【0133】
本発明では、例えば、対象一棟不動産の用途種別等から、許容を超えるブレ率の取引事例を非採用にすることで事情補正を行う。
【0134】
本実施形態では、事情補正を行うことは、価格メカニズムモデルの精度向上を目的とし、結果として、市場における客観的な価格水準を把握可能となる。事情補正の効果として代表し、土地価格と同様であるが、
図33に、地域要因の比較項目である駅距離補正項目を説明例として示す。
【0135】
また、土地価格と同様であるが、
図34に、取引事例比較法比準システムの結果である比準価格が事情補正を実施した結果を示す。
図34では、事情補正を実施することで比準価格のヒストグラム線の裾野部分をブレ率が大きな事例を非採用にすることで、裾野自体が狭くなり、精度の高い比準価格が求められていることが視覚でも確認できる。
【0136】
次に、類似取引事例選択工程(S4)、時点修正工程(S5)、標準化補正工程(S6)、地域要因補正工程(S7)、および、事情補正工程(S8)を経て試算された不動産(一棟不動産)の比準価格を出力する出力工程を実施し(S9)、一連の比準価格試算工程を終了する。
【0137】
図4に示すように、時点修正工程(S5)、標準化補正工程(S6)、地域要因補正工程(S7)および事情補正工程(S81)を繰り返す場合(前述のように、一次比準作業からn次の比準作業を実施する場合)、判断工程(S82)において、試算された比準価格を出力し(S9)、基準値の範囲から外れる場合(No)は、時点修正工程(S5)に戻り、基準値の範囲になるまで繰り返す。基準値としては、例えば、前述のように、ブレ率を採用し、ブレ率が一定範囲内になった場合に、比準作業を終了し、比準価格を出力する(S9)。このように、一次比準からn次比準まで、繰り返して比準作業を実施することで、装置が自動的に比準価格を適正なものとするので、この意味で、一次比準からn次比準の繰り返しは、機械学習と言える。
【0138】
本実施形態において、比準作業が終了した段階の各種指数の他、集合比準価格(全比準価格、規範性の高い事例からの比準価格)のヒストグラムを視覚で確認し、ユーザー(評価人等)は、最終比準価格を決定してもよい。
【0139】
本実施形態において、最終比準価格が決定されると、最終採用事例として、集合事例DBおよび集合比準DBを、記憶装置107にそれぞれ記録してもよい。
図61に、一棟不動産取引事例概要(抜粋)と一棟不動産最終採用事例(集合事例DB)の例を示し、
図62に、一棟不動産各要因比準内訳と集合比準価格DBの例を示す。
【0140】
取引事例関連各種指数等の例として、
図63に評価一棟不動産の表示を示し、
図64に一棟不動産取引事例における取引時期分布図を示し、
図65に各要因補正後標準的一棟不動産延床当の比準価格を示し、
図66に一棟不動産取引事例と比準価格ヒストグラムを示す。
【0141】
本実施形態では、取引事例比較法比準システムで最終比準価格を求めることができるが、必要に応じ、重回帰分析等の統計分析で比準価格の検証を行うことができるように統計分析用に、量的データおよび質的データを、ダミー変数化して出力してもよい。
【0142】
本実施形態では、例えば、鑑定評価書添付資料として、
図61に示す一棟不動産取引事例概要(抜粋)と
図62に示す一棟不動産各要因比準内訳を、印刷出力し、これらを、鑑定評価書添付資料としてもよい。
【0143】
[実施形態6]
本実施形態のプログラムは、前記各実施形態の比準価格試算方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。
【0144】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。