【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼ 平成29年11月16日に幕張メッセにて開催された集会「INTER BEE 2017」にて公開 ▲2▼ 平成29年11月16日にピクシーダストテクノロジーズ株式会社のウェブサイトにて公開(http://pixiedusttech.com/air−mount−retinal−projector/) ▲3▼ 平成29年11月16日に株式会社Moguraのウェブサイトにて公開(http://www.moguravr.com/glasses−hmd/) ▲4▼ 平成29年11月17日にベルサール東京日本橋にて開催された集会「FUJITSU INSIGHT」にて公開 ▲5▼ 平成29年11月18日に東京国際フォーラムにて開催された集会「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」にて公開 ▲6▼ 平成29年11月18日に麻布中学・高校にて開催された集会「ブックフェア」にて公開 ▲7▼ 平成29年11月19日にエイベックスビルにて開催された集会「Avex−xRハッカソン(VR・AR・MR)」にて公開 ▲8▼ 平成29年11月19日に株式会社毎日放送によって放送されたテレビ番組「情熱大陸」にて公開 ▲9▼ 平成29年11月21日に株式会社博報堂プロダクツ本社にて行われた講演「デジタルマーケティング施策を担うマーケターを育てるきっかけになるような講演」にて公開 ▲10▼平成29年11月22日にグランドハイアット東京にて開催された集会「COMPANY Forum 2017」にて公開 ▲11▼ 平成29年11月23日に大阪梅田スカイビルにて開催された集会「inochi学生・未来フォーラム」にて公開 ▲12▼ 平成29年11月25日にテレコムセンタービルにて開催された集会「サイエンスアゴラ2017」にて公開 ▲13▼ 平成29年11月25日にDMM.com本社にて開催された集会「DMMオフ会(落合陽一の解体魔術講座)」にて公開 ▲14▼ 平成29年11月26日に京都大学吉田キャンパスにて開催された集会「関西教育フォーラム2017」にて公開 ▲15▼ 平成29年11月26日に日本テレビ放送網株式会社によって放送されたテレビ番組「SENSORS」にて公開 ▲16▼ 平成29年11月27日に京都造形芸術大学にて行われた講義「芸術教養科目「百科学」」にて公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲17▼ 平成29年11月28日にパシフィコ横浜にて開催された集会「Adobe MAX Japan 2017FAS」にて公開 ▲18▼ 平成29年11月28日にANAインターコンチネンタルホテルにて開催された集会「SCSKフォーラム2017」にて公開 ▲19▼ 平成29年12月10日に「GOOD MORNING CAFE 千駄ヶ谷」にて開催された集会「TDK Project Meeting」にて公開 ▲20▼ 平成29年12月14日に株式会社アサツーディ・ケイ本社にて開催された集会「ADK TECHTALK」にて公開 ▲21▼ 平成29年12月22日に六本木ヒルズ・メルカリイベントスペースにて行われた会見「社会実装を目的とした研究開発組織「mercari R4D」の設立発表会」にて公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハーフミラーは、前記複数の光透過性反射部材の配列方向について斜めの方向から、前記ハーフミラーに前記透過光を入射させる、請求項4又は請求項5に記載の網膜投影装置。
前記透過型ミラーは、前記透過型ミラーの平面及び法線によって分割される空間上の象限のうち第1象限から入射する放射状の光を、前記透過型ミラーの平面を基準として前記第1象限と反対側に位置し、且つ、前記透過型ミラーの法線を基準として前記第1象限と同じ側に位置する第2象限に向かって逆放射状に透過させる、請求項1〜12の何れかに記載の網膜投影装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
以下の説明では、「光透過性」とは、光(特に、光源13(
図1)から出射される光)を透過する性質を意味するが、透過度の大小は問わない。
【0014】
(1)網膜投影装置の概要
本実施形態の網膜投影装置の概要について説明する。
図1は、本実施形態の網膜投影装置の外観を示す図である。
図2は、
図1の網膜投影装置のユーザビューを示す図である。
【0015】
図1の網膜投影装置10は、観察者U(
図2)の網膜に画像を投影するように構成される。
図1に示すように、網膜投影装置10は、フレーム10aと、透過型ミラー11と、接眼ミラー12と、光源13と、光透過プレート14と、を備える。
【0016】
左右のフレーム10a内には、それぞれ、一対の光源13と、一対の透過型ミラー11と、が埋め込まれている。
光透過プレート14は、光透過性を有する材料(例えば、プラスチック又はガラス)である。一対の光透過プレート14内には、それぞれ、接眼ミラー12が埋め込まれている。
【0017】
網膜投影装置10の光学系は、光源13と、透過型ミラー11と、接眼ミラー12と、を含む。この光学系によって、光源13の光の像が観察者Uの網膜に投影される。
【0018】
図2に示すように、網膜投影装置10は、コンピュータ30と接続可能である。例えば、コンピュータ30は、コンピュータ30にインストールされたアプリケーションのウインドウ画面の画像を生成し、且つ、画像データを網膜投影装置10に送信する。光源13は、コンピュータ30から送信された画像に対応する光を出射する。この場合、網膜投影装置10を装着した観察者Uには、ウインドウ画面の画像IMGが空中に表示されたように見える。
また、光透過プレート14は、観察者Uの周囲に実在する物理オブジェクトOBJに反射した光を透過するので、観察者Uには、画像IMGと、物理オブジェクトOBJの像と、が重畳して見える。
【0019】
このように、網膜投影装置10は、空中に投影した画像IMGを観察させる機能(いわゆる空中ディスプレイとしての機能)と、画像IMGと物理オブジェクトの像とを重畳して観察させる機能(いわゆる、ARやMRのためのディスプレイとしての機能)と、を有する。
【0020】
以下の説明では、
図2に示すように、網膜投影装置10を装着したときの観察者Uの頭頂部側Uhtの方向を「上方UP」といい、上方UPに対して反対方向を「下方LO」といい、観察者Uにとって右側方向を「右側方R」といい、観察者にとって左側方向を「左側方HL」といい、観察者にとって前方方向を「前方FR」といい、観察者にとって後方方向を「後方RR」という。
【0021】
(2)網膜投影装置の構成
本実施形態の網膜投影装置の構成について説明する。
図3は、
図1の網膜投影装置の構成を示す図である。
【0022】
図3に示すように、網膜投影装置10は、コンピュータ30と接続可能である。網膜投影装置10は、透過型ミラー11と、接眼ミラー12と、光源13と、を備える。
【0023】
光源13は、放射状に直進する光OP0(例えば、平行光)を出射するように構成される。光源13から出射された光OP0は元画像に対応する。元画像は、網膜投影装置10に接続されたコンピュータ30によって生成される。
【0024】
透過型ミラー11は、第1面11aと、第2面と11bと、を有する。
第1面11aは、光源13側の空間(つまり、第2空間SP2)を向いている。
第2面11bは、第1面11aの反対側の空間(つまり、第1空間SP1)を向いている。
【0025】
透過型ミラー11は、接眼ミラー12に対して光源13側に配置される。つまり、透過型ミラー11は、網膜投影装置10の光学系において、光源13と接眼ミラー12との間に位置する。
透過型ミラー11は、透過型ミラー11に入射する放射状の入射光OP0を反射させながら、逆放射状に透過させることにより、光の波面を歪ませることなく、透過光OP1を生成するように構成される。透過光OP1は、透過型ミラー11を起点として逆放射状に直進し、透過型ミラー11を対称軸として光源13に対して対象となる位置の焦点FPで集束する。
【0026】
透過型ミラー11は、例えば、以下のものを含む。
・オプティカルメタマテリアルミラー
・透過型二面コーナーリフレクタアレイミラー(Transmission Type Dihedral Corner Reflector Array Mirror)
【0027】
接眼ミラー12は、透過型ミラー11に対して観察者Uの眼球UE側に配置される。つまり、接眼ミラー12は、網膜投影装置10の光学系において、透過型ミラー11と眼球UEとの間に位置する。
図3Aに示すように、接眼ミラー12は、透過型ミラー11の透過光を観察者Uに向かって反射させることにより、光源13から出射された光OP0に対応する像を、観察者Uの網膜に投影するように構成される。
換言すると、
図3Bに示すように、接眼ミラー12は、透過型ミラー11の透過光を反射させることにより、光源13と等価な仮想光源を空間上の焦点FPに転写するように構成される。
【0028】
(2−1)光源の構成
本実施形態の光源の構成を説明する。
図4は、
図3の光源の一例を示す模式図である。
【0029】
図4Aは、光源13の第1例の模式図である。
図4Aに示すように、光源13の第1例は、放射状に直進する光を出射するレーザプロジェクタ131である。
レーザプロジェクタ131は、可視光レーザOP0を出射するように構成される。レーザプロジェクタ131は、例えば、任意の色(例えば、赤色、緑色、及び、青色の少なくとも1色)の可視光レーザOP0を出射する半導体レーザを備える。
レーザプロジェクタ131から出射された可視光レーザOP0は、レーザプロジェクタ131を起点として、放射状に直進する。
【0030】
図4Bは、光源13の第2例の模式図である。
図4Bに示すように、光源13の第2例は、ディスプレイ132aと、ピンホール132bと、を備える。
【0031】
ディスプレイ132aは、元画像に対応する光を発光するように構成される。ディスプレイ132aは、例えば、以下の何れかである。
・液晶ディスプレイ
・有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。
【0032】
ディスプレイ132aの光OP0は、ピンホール132bで集束する。
ピンホール132bで集束した光OP0は、ピンホール132bを起点として、放射状に直進する。
【0033】
図4Cは、光源13の第3例の模式図である。
図4Cに示すように、光源13の第3例は、逆放射状に直進する光を出射するレーザプロジェクタ133である。
レーザプロジェクタ133は、可視光レーザOP0を出射するように構成される。レーザプロジェクタ131は、例えば、任意の色(例えば、赤色、緑色、及び、青色の少なくとも1色)の可視光レーザOP0を出射する半導体レーザを備える。
レーザプロジェクタ133から出射された可視光レーザOP0は、レーザプロジェクタ133を起点として、逆放射状に直進する。
レーザプロジェクタ133は、SLM型であっても良いし、レーザスキャン型であっても良い。レーザプロジェクタ133がSLM型である場合、レーザスキャン型よりもレーザプロジェクタ133を小型化することができる。
【0034】
このように、光源13は、発光源(例えば、
図4Aのレーザプロジェクタ131)が放射状に直進する光を発光するものであっても良いし、発光源(例えば、
図4Bのディスプレイ132a)の先に配置された光学素子(例えば、
図4Bのピンホール132b)が放射状に直進する光を生成するものであっても良いし、発光源(例えば、
図4Cのレーザプロジェクタ133)が逆放射状に直進する光を発光するものであっても良い。
【0035】
(2−2)透過型ミラーの構成
本実施形態の透過型ミラーの構成を説明する。
図5は、
図3の透過型ミラーの一例である透過型二面コーナーリフレクタアレイミラーの模式図である。
【0036】
図5Aは、透過型ミラー11の一例である透過型二面コーナーリフレクタアレイミラーの外観を示している。
図5Aに示すように、透過型ミラー11は、第1面11aを含む第1層11eと、第2面11bを含む第2層11fと、を有する。第1層11e及び第2層11fは、Y方向に積層されている。第1面11aは、第1層11e及び第2層11fの積層方向(Y方向)について、第2面11bと反対方向を向く。
【0037】
図5Bは、
図5Aの領域Iの拡大図である。
図5Bに示すように、透過型ミラー11は、複数の第1マイクロミラーシート11haと、複数の第2マイクロミラーシート11hbと、を有する。
【0038】
第1層11eの複数の第1マイクロミラーシート11haは、ピッチpでX方向に沿って配列されている。各第1マイクロミラーシート11haの反射面11haaは、第1マイクロミラーシート11haの配列方向(X方向)を向く。
第1層11eに入射した光は、X方向に反射しながら進む。
【0039】
第2層11fの複数の第2マイクロミラーシート11hbは、ピッチpでZ方向に沿って配列されている。各第2マイクロミラーシート11hbの反射面11hbaは、第2マイクロミラーシート11hbの配列方向(Z方向)を向く。
第2層11fに入射した光は、Z方向に反射しながら進む。
【0040】
つまり、透過型ミラー11は、入射光をX方向及びZ方向に反射させながら、Y方向に透過させるように構成される。換言すると、透過型ミラー11は、入射光に対して、X方向及びZ方向に再帰性させ、且つ、Y方向に正反射させる光学素子として機能する。
【0041】
なお、ピッチpが小さいほど、網膜に投影される画像IMGのサイズは小さくなる。
【0042】
接眼ミラー12が透過型二面コーナーリフレクタアレイミラーである場合、接眼ミラー12の構成は、
図5の構成と同様である。
【0043】
(2−3)接眼ミラーの構成
本実施形態の接眼ミラー12の構成を説明する。
【0044】
(2−3−1)接眼ミラーの構成の第1例
接眼ミラー12の構成の第1例を説明する。
図6は、
図3の接眼ミラーの構成の第1例を示す図である。
【0045】
図6Aは、接眼ミラー12を上下方向(UP−LO方向)に切断したときの断面を左側方HLから見た図である。
図6Bは、接眼ミラー12の上面図である。
【0046】
図6に示すように、接眼ミラー12は、複数の光透過性反射部材121a〜121cと、光透過性樹脂部121dと、を備える。
【0047】
図6Aに示すように、各光透過性反射部材121a〜121cは、配列方向Dsである上下方向(UP−LO方向)及び前後方向(FR−RR方向)について、接眼ミラー12の前面12a及び背面12bに対して、傾斜角θ1を形成するように配置される。つまり、各光透過性反射部材121a〜121cは、前後方向(FR−RR方向)の直交方向について、斜めに配置される。
各光透過性反射部材121a〜121c同士の間隔eは、均等である。つまり、複数の光透過性反射部材121a〜121cは、互いに略平行に配置される。
上下方向(UP−LO方向)について、光透過性反射部材121aと前面12aとの交点121aaの位置と、光透過性反射部材121aに隣接する光透過性反射部材121bと背面12bとの交点121baの位置とは、互いに揃っている。
【0048】
光透過性反射部材121a〜121cは、例えば、以下の何れかである。
・ハーフミラー
・光学フィルタ(一例として、ガラスフィルタ)
・アクリル板
【0049】
図6Bに示すように、複数の光透過性反射部材121a〜121cは、観察者U(つまり、前後方向(FR−RR方向))から見ると、1枚の光透過性反射部材と等価である。
【0050】
各光透過性反射部材121a〜121cの間には、光透過性樹脂部121dが配置される。光透過性樹脂部121dは、光透過性を有する樹脂材料で構成される。光透過性樹脂部121dは、複数の光透過性反射部材121a〜121c同士を接合する。光透過性樹脂部121dの材料は、例えば、紫外線硬化性樹脂である。
【0051】
観察者Uの眼球UEの水晶体Lの中心を通る仮想線Lcと、接眼ミラー12の反射面(つまり、前面12a及び背面12b)と、によって形成される角度θ3は、任意の角度である。但し、θ3は90度であることが好ましい。
【0052】
図6の接眼ミラー12によれば、透過型ミラー11を接眼ミラー12に対して左側又は右側に配置し易くなる。例えば、この接眼ミラー12を
図1のような網膜投影装置10に配置することにより、上下方向(UP−LO方向)のサイズの増加を抑制することができる。
【0053】
(2−3−2)接眼ミラーの構成の第2例
接眼ミラー12の構成の第2例を説明する。
図7は、
図3の接眼ミラーの構成の第2例を示す図である。
【0054】
図7Aは、接眼ミラー12を左右方向(HL−HR方向)に切断したときの断面を上方UPから見た図である。
図7Bは、接眼ミラー12の側面図である。
【0055】
図7に示すように、接眼ミラー12は、複数の光透過性反射部材121a〜121cと、光透過性樹脂部121dと、を備える。光透過性樹脂部121dは、
図6と同様である。
【0056】
図7Aに示すように、各光透過性反射部材121a〜121cは、配列方向Dsである左右方向(HL−HR方向)及び前後方向(FR−RR方向)について、接眼ミラー12の前面12a及び背面12bに対して、傾斜角θ1を形成するように配置される。つまり、各光透過性反射部材121a〜121cは、前後方向(FR−RR方向)の直交方向について、斜めに配置される。
各光透過性反射部材121a〜121c同士の間隔eは、均等である。つまり、複数の光透過性反射部材121a〜121cは、互いに平行に配置される。
左右方向(HL−HR方向)について、光透過性反射部材121aと前面12aとの交点121aaの位置と、光透過性反射部材121aに隣接する光透過性反射部材121bと背面12bとの交点121baの位置とは、互いに揃っている。
図7Bに示すように、複数の光透過性反射部材121a〜121cは、観察者U(つまり、前後方向(FR−RR方向))から見ると、1枚の光透過性反射部材と等価である。
【0057】
観察者Uの眼球UEの水晶体Lの中心を通る仮想線Lcと、接眼ミラー12の反射面(つまり、前面12a及び背面12b)と、によって形成される角度θ3は、任意の角度である。但し、θ3は90度であることが好ましい。
【0058】
図7の接眼ミラー12によれば、透過型ミラー11を接眼ミラー12に対して上方UP又は下方LOに配置し易くなる。例えば、この接眼ミラー12を
図1のような網膜投影装置10に配置することにより、左右方向(HL−HR方向)のサイズの増加を抑制することができる。
【0059】
このように、接眼ミラー12は、配列方向Ds(
図6の上下方向(UP−LO方向)、又は、
図7の左右方向(HL−HR方向))に沿って積層された複数の光透過性反射部材121a〜121cを備える。各光透過性反射部材121a〜121cは、配列方向Dsについて、接眼ミラー12の前面12a及び背面12bに対して傾斜角θ1を形成する。
これにより、接眼ミラー12は、背面12bから入射した光を、前後方向(FR−RR)及び配列方向Dsに反射するように構成される。
【0060】
(3)網膜投影装置の動作原理
本実施形態の網膜投影装置の動作原理を説明する。
【0061】
(3−1)透過型ミラーの動作原理
本実施形態の透過型ミラーの動作原理を説明する。
図8は、
図3の透過型ミラーの動作原理の説明図である。
【0062】
図8に示すように、透過型ミラー11の平面に沿ったXZ平面によって、第1空間SP1と、第2空間SP2と、に分割される。
また、XZ平面と、透過型ミラー11の法線に沿ったY軸と、によって、第1空間SP1及び第2空間SP2は、4つの象限(第1象限Q1〜第4象限Q4)に分割される。
【0063】
第2空間SP2は、第1象限Q1及び第4象限Q4を含む。
第1象限Q1は、入射光OP0が進行する空間(つまり、光源13が配置される空間)である。第1象限Q1は、Y軸(つまり、透過型ミラー11の光軸)を含む。
第4象限Q4は、Y軸に対して第1象限Q1と反対側の空間である。
【0064】
第1空間SP1は、第2象限Q2及び第3象限Q3を含む。
第2象限Q2は、透過光OP1が進行する空間(つまり、観察者Uの眼球UEを含む空間)である。第2象限Q2は、Y軸(つまり、透過型ミラー11の光軸)を含む。
第3象限Q3は、Y軸に対して第2象限Q2と反対側の空間である。
【0065】
第1象限Q1及び第2象限Q2は、透過型ミラー11(XZ平面)を基準として互いに反対側に位置し、且つ、透過型ミラー11の法線(Y軸)を基準として同じ側に位置する。
【0066】
光源13から出射された光が透過型ミラー11に直接入射する場合、光源13は、第1象限Q1に配置される。
【0067】
(3−1−1)透過型ミラーの動作原理の第1観点
第1観点では、透過型ミラー11が入射光OP0の進行方向を変えるように構成されるという観点で、透過型ミラー11の動作原理を説明する。
図9は、
図3の透過型ミラーの動作原理の第1観点の説明図である。
【0068】
図9に示すように、光源13から出射された光OP0は、透過型ミラー11に向かって拡がり角θ0で放射状に直進し、第1象限Q1から透過型ミラー11に入射する。
【0069】
透過型ミラー11は、入射光OP0をXZ方向に反射しながらY方向に透過することによって、第2象限Q2に、出射角θ0で逆放射状に直進する透過光OP1を出射する。透過光OP1は、透過型ミラー11を起点として逆放射状に直進し、第2象限Q2内の焦点FPで集束する。
【0070】
このように、透過型ミラー11は、第1象限Q1から放射状に入射する入射光OP0を、第2象限Q2に逆放射状に進行する透過光OP1に変える光学素子として機能する。
【0071】
透過型ミラー11が透過型二面コーナーリフレクタアレイミラーである場合、焦点FPは、透過型ミラー11に関して、光源13に対して面対称の関係にある。この場合、透過型ミラー11は、光源13に対して面対称の位置に入射光を結像するように構成された面対称結像素子として機能する。
【0072】
(3−1−2)透過型ミラーの動作原理の第2観点
第2観点では、透過型ミラー11が光源13を転写するように構成されるという観点で、透過型ミラー11の動作原理を説明する。
図10は、
図3の透過型ミラーの動作原理の第2観点の説明図である。
【0073】
図10に示すように、光源13から出射された光OP0は、透過型ミラー11に向かって拡がり角θ0で放射状に直進し、第1象限Q1から透過型ミラー11に入射する。
【0074】
透過型ミラー11は、入射光OP0をXZ方向に反射しながらY方向に透過することによって、第2象限Q2に、拡がり角θ0で逆放射状に直進する透過光OP1を出射する。透過光OP1は、透過型ミラー11を起点として逆放射状に直進し、第2象限Q2内の焦点FPで集束する。焦点FPで集束した透過光OP1は、光源13の実像を形成する。この現象は、光源13に対応する仮想光源VOSが形成されたことと等価である。
【0075】
このように、透過型ミラー11は、第2空間SP2(第1象限Q1)に配置された光源13の実像であり、且つ、光源13と等価な仮想光源VOSを第1空間SP1(第2象限Q2)に転写する光学素子として機能する。
【0076】
透過型ミラー11が透過型二面コーナーリフレクタアレイミラーである場合、焦点FPは、透過型ミラー11に関して、光源13に対して面対称の関係にある。この場合、透過型ミラー11は、光源13に対して面対称の位置に仮想光源VOSを転写するように構成された面対称転写素子として機能する。
【0077】
(3−1−3)透過型ミラーの動作原理の第3観点
第3観点では、透過型ミラー11の光学特性の観点で、透過型ミラー11の動作原理を説明する。
図11は、
図3の透過型ミラーの動作原理の第3観点の説明図である。
【0078】
図11に示すように、透過型ミラー11は、第1空間SP1と第2空間SP2との間の界面として振る舞う。透過型ミラー11は、光源13の光軸に対して角度α0(0°<α0<360°)を成すように、傾斜している。
【0079】
第2空間SPの第1象限Q1内の光源13から出射された光OP0は、透過型ミラー11に向かって放射状に直進し、第1象限Q1から透過型ミラー11(つまり、第1空間SP1と第2空間SP2の界面)に入射角α0で入射する。
【0080】
透過型ミラー11は、入射光OP0をXZ方向に反射しながらY方向に透過することによって、第2象限Q2に透過光OP1を出射する。透過光OP1は、出射角α1(0°<α1<360°)で透過型ミラー11を起点として逆放射状に直進し、第2象限Q2内の焦点FPで集束する。
なお、透過型ミラー11が透過型二面コーナーリフレクタアレイミラーである場合、α0=α1である。
【0081】
第1空間SP1の及び第2空間SP2は、何れも、空気で満たされている。したがって、第1空間SP1の物性としての屈折率(つまり、第1空間SP1の実際の屈折率)は、第2空間SP2の物性としての屈折率(つまり、第2空間SP2の実際の屈折率)と等しい。
【0082】
しかし、透過型ミラー11は、第1空間SP1と第2空間SP2の界面として振る舞うことにより、第1空間SP1に見かけ上の屈折率n1を付与する。屈折率n1は、スネルの法則により、式1で表される。
n1・sinα0 = n2・sinα1 …(式1)
・n1・・・第1空間SP1の見かけ上の屈折率
・n2・・・第2空間SP2の物性としての屈折率
・α0・・・光OP0の入射角
・α1・・・光OP1の出射角
【0083】
透過型ミラー11を透過しない光が第1空間SP1を進行する場合、当該光には、第1空間SP1の物性としての屈折率が作用する。物性としての屈折率は、一般に、正の値である。
一方、透過型ミラー11によって生成された透過光OP1が第1空間SP1を進行する場合、透過光OP1には、見かけ上の屈折率n1が作用する。透過光OP1は、第1象限Q1から透過型ミラー11に入射した入射光OP0が第2象限Q2に向かって屈折した光としてみなすことができるので、見かけ上の屈折率n1は、負の値である。
【0084】
このように、透過型ミラー11は、透過光OP1が進行する第1空間SP1を、負の屈折率n1を有する媒質として振る舞わせる界面として機能するように構成される。
【0085】
透過型ミラー11は、上記動作原理の第1観点〜第3観点の何れかで説明された光学特性を有するので、透過型ミラー11では、波面の歪みは生じない。従って、眼球UEには、波面の歪がない光が入射する。
これにより、観察者の視野角を拡大することができる。その結果、観察者Uが画像IMGを鮮明に観察可能な領域が拡がる。
【0086】
焦点FPが眼球UEの水晶体の中心と合う場合、仮想光源VOSが眼球UEの中に形成される。その結果、網膜と光源13との実質的な距離が極めて短くなる。これにより、網膜投影装置10のサイズを増大させることなく、且つ、波面を歪ませることなく、視野角を拡げることができる。
【0087】
(3−2)接眼ミラーの動作原理
本実施形態の接眼ミラーの動作原理について説明する。
図12は、
図3の接眼ミラーの動作原理の説明図である。
【0088】
図12に示すように、光源13から出射された光OP0は、透過型ミラー11の第1面11aに入射する。
透過型ミラー11に入射した光OP0は、透過型ミラー11の光学特性に応じて進行方向が変えられながら、透過型ミラー11を透過する透過光OP1になる。
透過光OP1は、放射状に直進し、互いに集束する前に接眼ミラー12に入射する。
接眼ミラー12に入射した光OP1は、接眼ミラー12によって反射されることにより、進行方向が変わる。
接眼ミラー12によって進行方向が変わった光OP2は、焦点FPで集束するように放射状に直進する。
【0089】
物理オブジェクトOBJの反射光OP(OBJ)は、接眼ミラー12を透過して、観察者Uの網膜上で結像する。
焦点FPと観察者Uの瞳孔の位置とが合う場合、光OP2は、観察者Uの網膜上で結像する。これにより、光源13から出射された光OP0の像が網膜に投影される。
その結果、観察者Uには、光OP0の像、及び、物理オブジェクトOBJの像が重畳して見える。
【0090】
(3−2−1)接眼ミラーの光学原理
本実施形態の接眼ミラー12の光学原理について説明する。
図13は、
図6及び
図7の接眼ミラー12の光学原理の説明図である。
【0091】
図13に示すように、接眼ミラー12には、配列方向Ds及び前後方向(FR−RR方向)について、接眼ミラー12の前面12a及び背面12bに対して斜め方向から、透過型ミラー11の透過光OP2a及びOP2bが入射する。
【0092】
透過光OP2aは、接眼ミラー12の背面12bから入射角θ2aで入射すると、接眼ミラー12の前面12aと空気との界面で反射する。界面の反射光は、光透過性反射部材121cで反射する。光透過性反射部材121cの反射光は、光透過性反射部材121bで反射する。光透過性反射部材121bの反射光は、背面12bから観察者Uの眼球UEに向かって出射される。
【0093】
透過光OP2bは、背面12bから入射角θ2bで入射すると、前面12aと空気との界面で反射する。界面の反射光は、光透過性反射部材121bで反射する。光透過性反射部材121bの反射光は、光透過性反射部材121aで反射する。光透過性反射部材121aの反射光は、背面12bから観察者Uの眼球UEに向かって出射される。
【0094】
接眼ミラー12の出射光OP2a及びOP2bは、観察者Uの角膜Cを通って、水晶体Lの中心で集光した後、網膜RETで結像する。
【0095】
このように、前面12aと空気との界面、及び、複数の光透過性反射部材121a〜121cの両反射面で、接眼ミラー12に入射した光OP2が反射するので、接眼ミラー12は、前後方向(FR−RR方向)について、入射光OP2を再帰性反射させる光学素子として機能する。
これにより、観察者Uには、光源13から出射された光OP0の像が複数の光透過性反射部材121a〜121cに映っているように見える。
観察者Uの眼前に配置される接眼ミラー12が光透過性反射部材を備えるので、物理オブジェクトの像をより鮮明に観察させることができる。
【0096】
(4)網膜投影装置の使用例
本実施形態の網膜投影装置の使用例について説明する。
【0097】
(4−1)使用例1
使用例1について説明する。使用例1は、観察者Uが網膜投影装置10を装着して使用する例である。
【0098】
観察者Uは、自身の頭部に網膜投影装置10を装着する。つまり、観察者Uは、網膜投影装置10を、ヘッドマウントディスプレイとして使用する。
【0099】
元画像のコンテンツは、例えば、以下のものを含む。
・ビデオゲーム
・映画
・3Dコンテンツ
・コンピュータ30にインストールされたアプリケーションの画面
【0100】
一般的なヘッドマウントディスプレイは、観察者Uの視界を閉鎖する。従って、観察者Uに違和感を与え、且つ、視野角を制限する。
しかし、網膜投影装置10は、観察者Uの視界を閉鎖しない。従って、観察者Uに違和感を与えることがなく、且つ、視野角を制限することもない。
【0101】
(4−2)使用例2
使用例2について説明する。使用例2は、観察者Uが網膜投影装置10から離れた位置で網膜投影装置10を使用する例である。
【0102】
一例として、網膜投影装置10は、自動車の内装(例えば、サンバイザ、又は、ダッシュボード)に着脱可能に取り付けられる。
【0103】
画像IMGのコンテンツは、例えば、以下のものを含む。
・計器情報(一例として、速度、燃料の残量、バッテリの残量、及び、走行距離)
・ナビゲーション情報(一例として、目的地迄の経路を示す情報)
・映画
【0104】
一般的なヘッドマウントディスプレイは、観察者Uの視界を閉鎖するので、運転中に使用することはできない。
しかし、網膜投影装置10は、観察者Uの視界を閉鎖しない。従って、観察者Uは、運転中であっても、網膜投影装置10を安全に使用することができる。
【0105】
別の例として、網膜投影装置10は、机に着脱可能に取り付けられる。
【0106】
元画像のコンテンツは、例えば、コンピュータ30にインストールされたアプリケーション(一例として、ワープロアプリケーション)の画面を含む。
【0107】
一般的なヘッドマウントディスプレイは、観察者Uの視界を閉鎖する。従って、観察者Uに違和感を与え、且つ、視野角を制限する。
しかし、網膜投影装置10は、観察者Uの視界を閉鎖しない。従って、観察者Uに違和感を与えることがなく、且つ、視野角を制限することもない。
【0108】
観察者Uは、網膜投影装置10を装着する必要がないので、網膜投影装置10の重さを気にすることなく、元画像のコンテンツを体験することができる。
特に、一般的なヘッドマウントディスプレイは、網膜投影装置10に比べて重いので、長時間の使用には適していない。網膜投影装置10は、長時間の使用であっても、観察者Uに与える疲労を軽減することができる。
【0109】
(5)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0110】
(5−1)変形例1
本実施形態の変形例1について説明する。変形例1は、焦点距離fが可変である例である。
図14は、変形例1の説明図である。
【0111】
図14に示すように、光源13又は透過型ミラー11の少なくとも1つは、光源13の光軸に沿って移動可能である。
光源13又は透過型ミラー11の少なくとも1つが移動すると、焦点距離fが変化する。その結果、焦点FPも移動する。
【0112】
光源13が、透過型ミラー11に近づく方向に移動すると、焦点距離fが小さくなるので、焦点FPは、透過型ミラー11に近づく方向に移動する。
【0113】
光源13が、透過型ミラー11から遠ざかる方向に移動すると、焦点距離fが大きくなるので、焦点FPは、透過型ミラー11から遠ざかる方向に移動する。
【0114】
変形例1によれば、光源13を移動させることにより、焦点FP(つまり、仮想光源VOSの位置)を移動させることができる。
【0115】
(5−2)変形例2
変形例2について説明する。変形例2は、接眼ミラー12に、誘電体多層膜を形成する例である。
【0116】
変形例2の接眼ミラー12の反射面(つまり、複数の光透過性反射部材121a〜121c、及び、前面12a(
図13))には、誘電体多層膜が形成される。
誘電体多層膜は、光源13から放射される光OP0の波長を特異的に反射する特性を有する。
【0117】
変形例2によれば、誘電体多層膜が、光源13から放射される光OP0を反射するが、光OP0とは異なる波長を有する光(例えば、物理オブジェクトOBJ1の反射光OP(OBJ))は反射せずに透過させる。従って、観察者Uには、接眼ミラー12が透明に見える。これにより、観察者Uは、画像IMGと物理オブジェクトOBJとが重畳した様子を違和感なく観察することができる。
【0118】
(5−3)変形例3
変形例3について説明する。変形例3は、カメラ16によって撮像された画像を網膜に投影する例である。
図15は、変形例3の網膜投影装置の構成を示す図である。
【0119】
図15に示すように、変形例3の網膜投影装置10は、
図1の網膜投影装置10の構成に加えて、カメラ16と、を備える。
プロセッサ15は、フレーム10a内に配置される。
カメラ16は、一対の光透過プレート14の間のフレーム10a上に配置される。
【0120】
カメラ16は、物理オブジェクトOBJの画像を撮像するように構成される。
【0121】
プロセッサ15は、カメラ16によって撮像された画像の画像データを生成するように構成される。
【0122】
光源13は、プロセッサ15によって生成された画像データに対応する光OP0を出射する。
【0123】
変形例3によれば、カメラ16によって撮像された画像が、ユーザの網膜に直接投影される。これにより、観察者Uは、視力にかかわらず、物理オブジェクトOBJの鮮明な像を視認することができる。
換言すると、変形例3の網膜投影装置10は、レンズを備えていないにもかかわらず、レンズを備える眼鏡を代替することができる。つまり、変形例3の網膜投影装置10は、レンズレス眼鏡として機能する。
【0124】
(5−4)変形例4
変形例4について説明する。変形例4は、網膜投影装置10を装着した観察者Uの頭の動きを追跡する例である。
図16は、変形例4の網膜投影システムの構成を示す図である。
【0125】
図16に示すように、変形例4のコンピュータ30は、光センサ31を備える。
光センサ31は、特定波長の光を検出するように構成される。
【0126】
光源13から出射された光OP0、又は、透過型ミラー11の透過光OP1の一部は、網膜投影装置10の外部に漏れる。光センサ31は、網膜投影装置10から漏れた光OP0又はOP1を検出する。
【0127】
光センサ31が光OP0又はOP1を検出すると、コンピュータ30は、光OP0又はOP1の光センサ31に対する入射角を計算する。
コンピュータ30は、計算した入射角の変化から、網膜投影装置10を装着した観察者Uの頭の動きを特定する。
コンピュータ30は、特定した頭の動きに基づいて、光源13から出射される光OP0に対応する画像を生成する。
【0128】
変形例4によれば、網膜投影装置10に構成を追加することなく、観察者Uの頭の動きを追随することができる。これにより、簡素な構成で、観察者Uの頭の動きに応じた画像を観察者Uの網膜に投影することができる。
【0129】
変形例4では、好ましくは、コンピュータ30がカメラを備え、且つ、網膜投影装置10は、コンピュータ30のカメラによって撮像可能なマーカを備える。
マーカは、例えば、以下の少なくとも1つである。
・発光体(一例として、LED(Light Emitting Diode))
・光反射体
この場合、頭の動きの追随の精度を向上させることができる。
【0130】
(5−5)変形例5
変形例5について説明する。変形例5は、n(nは、1〜N(Nは2以上の整数))枚の透過型ミラー11を備える網膜投影装置10の例である。
図17は、変形例5の網膜投影装置の動作原理の説明図である。
【0131】
図17に示すように、変形例5の網膜投影装置10は、n枚の透過型ミラー(1段目の透過型ミラー11(1)〜N段目の透過型ミラー11(N))を備える。透過型ミラー11(1)は、光源13に最も近い位置に配置される。透過型ミラー11(1)は、接眼ミラー12に最も近い位置(つまり、光源13から出射された光OP0の光路において、光源13から最も遠い位置)に配置される。
【0132】
1段目の透過型ミラー11(1)は、光源13から距離f(1)の位置に位置する。1段目の透過型ミラー11(1)は、光源13から出射された光OP0を第1面11(1)aで受ける。
1段目の透過型ミラー11(1)は、第1面11(1)aで受けた光OP0を、反射しながら透過することにより、第2面11(1)bから出射させる。
【0133】
1段目の第3空間SP3(1)内には、1段目の透過型ミラー11(1)から距離f(1)の位置に第1焦点FP1が位置する。1段目の第3空間SP3(1)は、網膜投影装置10の光学系において、1段目の透過型ミラー11(1)と2段目の透過型ミラー11(2)との間に位置する空間である。
1段目の透過型ミラー11(1)の透過光OP1(1)は、第1焦点FP1で集束する。第1焦点FP1で集束した光は、第1焦点FP1を起点として、2段目の透過型ミラー11(2)に向かって放射状に直進する。
【0134】
2段目の透過型ミラー11(2)は、第1焦点FP1から距離f2の位置に位置する。
2段目の透過型ミラー11(2)は、第1焦点FP1を起点として放射状に直進する光OP1(2)を第1面11(2)aで受ける。
2段目の透過型ミラー11(2)は、第1面11(2)aで受けた光OP1(2)を反射しながら透過することにより、第2面11(2)bから出射させる。
【0135】
N−1段目の第3空間SP3(N−1)内には、N−1段目の透過型ミラー11(N−1)(不図示)から距離f(N)の位置にn−1段前の第n−1焦点FPn−1が位置する。n−1段目の透過型ミラー11(N−1)の透過光OP1(N−1)は、第N−−1焦点FP(N−1)で集束する。
【0136】
N段目の透過型ミラー11(N)は、第N−1焦点FP(N−1)から距離f(N)の位置に位置する。
N段目の透過型ミラー11(N)は、第N−1焦点FP(N−1)から放射状に直進する光OP1(N−1)を第1面11(N)aで受ける。
N段目の透過型ミラー11(N)は、第1面11(N)aで受けた光OP1(N)を反射しながら透過することにより、第2面11(N)bから出射させる。
【0137】
第1空間SP1内には、N段目の透過型ミラー11(N)から距離f(N)の位置より近い位置に、接眼ミラー12が配置される。
接眼ミラー12は、N段目の透過型ミラー11(N)の透過光OP1(N)を反射させることにより、観察者Uの眼球UEに向けて反射光OP2を出射する。
接眼ミラー12の反射光OP2は、
図13に示すように、角膜Cを通って、水晶体Lの中心で集光した後、網膜RETに結像する。
これにより、観察者Uは、反射光OP2に対応する画像を見ることができる。
【0138】
変形例5によれば、複数の透過型ミラー11を組み合わせることにより、網膜投影装置10を構成する光学素子(光源13、各透過型ミラー11、及び、接眼ミラー12)のレイアウトの制約を解消することができる。これにより、網膜投影装置10の光学素子(光源13、透過型ミラー11、及び、接眼ミラー12)のレイアウトの自由度を向上させながら、各透過型ミラー11を小型化することができる。
【0139】
(5−6)変形例6
変形例6について説明する。変形例6は、接眼ミラー12の構造の変形例である。
図18は、変形例6の接眼ミラーの構成を示す図である。
【0140】
図18に示すように、変形例6の接眼ミラー12は、前面12aに光透過性反射膜12eが形成されている点が、本実施形態の接眼ミラー12(
図6及び
図7)とは異なる。光透過性反射膜12eは、空気よりも反射率の高い特性を有する。
【0141】
変形例6によれば、光透過性反射膜12eが、接眼ミラー12に入射する透過光OP1の反射界面として機能する。光透過性反射膜12eの反射率は、本実施形態の接眼ミラー12の反射界面(つまり、空気と接眼ミラー12との界面)より高いので、接眼ミラー12から反射された光OP2の光量が本実施形態よりも向上する。これにより、観察者Uは、より鮮明な画像を観察することができる。
【0142】
(5−7)変形例7
変形例7について説明する。
図19は、変形例7の網膜投影装置の構成を示す図である。
【0143】
図19に示すように、変形例7の網膜投影装置10は、光源13と、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー18と、透過型ミラー11と、を備える。
【0144】
MEMSミラー18は、光源13と透過型ミラー11との間に配置される。つまり、MEMSミラー18は、網膜投影装置10の光学系において、透過型ミラー11の前段に配置される。
【0145】
MEMSミラー18は、左目ULE用の元画像に対応する光OP0cを左目ULE用の第1反射角で反射し、且つ、右目URE用の元画像に対応する光OP0dを右目URE用の第2反射角で反射する。
【0146】
透過型ミラー11は、本実施形態と同様に、光OP0c及びOPdを負の屈折率に応じて屈折させて、透過光OP1a及びOPbを透過させる。
透過光OP1aは、第1反射角に応じた焦点FP1に位置する左目ULEに入射する。これにより、左目ULEには、左目用の元画像が写る。
透過光OP1bは、第2反射角に応じた焦点FP2に位置する右目UREに入射する。これにより、右目UREには、右目用の元画像が写る。
【0147】
なお、MEMSミラー18は、網膜投影装置10の光学系において、透過型ミラー11の後段に配置されてもよい。
【0148】
変形例7によれば、左目ULE用の光学系、及び、右目URE用の光学系が、それぞれ、視差画像に対応する透過光OP1a及びOP1bを左目ULE及び右目UREに入射させる。これにより、観察者Uは、立体的な画像を観察することができる。
【0149】
(5−8)変形例8
変形例8について説明する。
図20は、変形例8の網膜投影装置の構成を示す図である。
【0150】
図20に示すように、フレーム10aは、透過型ミラー11と、光源13と、を収容する。
【0151】
透過型ミラー11は、第1面11aと、第2面と11bと、を有する。
第1面11aは、光源13側(つまり、第2空間SP2)を向いている。
第2面11bは、第1面11aの反対側(つまり、第1空間SP1)を向いている。
【0152】
透過型ミラー11は、フレーム10aに回動可能に軸支されている。フレーム10aに収容された透過型ミラー11が回動すると、透過型ミラー11は、フレーム10aの外部において、光源13の光軸に対して傾斜角θ(0<θ≦90°)を形成する(つまり、光源13の光軸に対して傾斜する)。
【0153】
仮想線VL11は、光源13の光軸である。
仮想線VL12は、透過型ミラー11と仮想線VL11との交点11cを通り、且つ、仮想線VL11に直交する線である。
【0154】
透過型ミラー11は、仮想線VL11に対して傾斜角θを形成する。
焦点FPは、透過型ミラー11を対称軸として光源13に対して対称となる位置である。焦点FPと交点11cとの間の距離(以下「焦点距離」という)fは、光源13と交点11cとの間の距離と等しい。
【0155】
(5−9)変形例9
変形例9について説明する。
図21は、変形例9の接眼ミラーの第1例の動作原理の説明図である。
【0156】
変形例9の接眼ミラー12は、
図21の面対称結像素子(「面対称転写素子」ともいう)121である。面対称結像素子121は、透過型ミラー11と同様の光学特性を有する。
【0157】
図21は、透過型ミラー11の光軸と面対称結像素子121の光軸との間の距離f1が、透過型ミラー11の光軸と光源13の光軸との距離の2倍である例を示している。つまり、透過型ミラー11の光軸と焦点FP1との間の距離f1と、焦点FP1と面対称結像素子121の光軸との間の距離f1が同一である。この場合、面対称結像素子121は、観察者Uの眼球UEと面対称結像素子121の光軸との間の距離が、光源13の光軸と透過型ミラー11の光軸との間の距離と同一になる位置に配置される。
【0158】
光源13から出射された光OP0は、透過型ミラー11の第1面11aに入射する。
透過型ミラー11に入射した光OP0は、透過型ミラー11の光学特性に応じて進行方向が変えられながら、透過型ミラー11を透過する透過光OP1(1)になる。
透過光OP1(1)は、焦点FP1で集束するように放射状に直進し、面対称結像素子121の第1面121aに入射する。
面対称結像素子121に入射した光OP1(2)は、面対称結像素子121の光学特性に応じて進行方向が変えられながら、面対称結像素子121を透過する透過光OP2になる。
面対称結像素子121の透過光OP2は、焦点FP2で集束するように放射状に直進する。
【0159】
物理オブジェクトOBJの反射光OP(OBJ)は、面対称結像素子121を透過して、観察者Uの網膜上で結像する。
焦点FPと観察者Uの瞳孔の位置とが合う場合、光OP2は、観察者Uの網膜上で結像する。これにより、光源13から出射された光OP0の像が網膜に投影される。
その結果、観察者Uには、光OP0の像、及び、物理オブジェクトOBJの像が重畳して見える。
【0160】
一般に、光源13から観察者Uの網膜までの間に光が進行する距離(以下「光路長」という)が長いほど、網膜投影装置10の光学素子(光源13、透過型ミラー11、及び、接眼ミラー12)のレイアウトの自由度は高くなる。仮に、接眼ミラー12がない場合に光路長を長くするためには、透過型ミラー11の大きさを増やす必要がある。
【0161】
これに対して、変形例9の接眼ミラー12によれば、面対称結像素子121が透過型ミラー11と同様の光学特性を有するので、光源13と観察者Uの網膜との間に複数の透過型ミラー11を配置することと等価である。この場合、光路長は、面対称結像素子121がない場合に比べて長くなる。光路長が長くなるほど、網膜投影装置10の光学素子(光源13、透過型ミラー11、及び、接眼ミラー12)のレイアウトの自由度が向上する。これにより、透過型ミラー11及び接眼ミラー12のそれぞれの大きさを増やすことなく、光学モジュールのレイアウトの自由度を向上させることができる。
レイアウトの自由度の向上は、VR(Virtual Reality)環境に用いられるようなノンシースルー型のディスプレイの場合、比較的重い光学素子(例えば、光源13)を観察者Uの負担を軽減する位置に配置し易くなるので、特に好ましい。
【0162】
(5−10)変形例10
変形例10について説明する。
図22は、変形例10の接眼ミラーの動作原理の説明図である。
【0163】
変形例10の接眼ミラー12は、
図22のハーフミラー122である。
【0164】
透過型ミラー11の光軸とハーフミラー122の光軸との間の距離f2は、透過型ミラー11の光軸と光源13の光軸との距離f1より短い。ハーフミラー122は、式2が成立する位置に配置される。
f1 = f2 + f3 …(式2)
・f1:光源13の光軸と透過型ミラー11の光軸との間の距離
・f2:透過型ミラー11の光軸とハーフミラー122の光軸との間の距離
・f3:ハーフミラー122の光軸と眼球UEとの間の距離
【0165】
光源13から出射された光OP0は、透過型ミラー11の第1面11aに入射する。
透過型ミラー11に入射した光OP0は、透過型ミラー11の光学特性に応じて進行方向が変えられながら、透過型ミラー11を透過する透過光OP1になる。
透過光OP1は、放射状に直進し、互いに集束する前にハーフミラー122の第1面122aに入射する。
ハーフミラー122に入射した光OP1は、ハーフミラーによって反射されることにより、進行方向が変わる。
ハーフミラー122によって進行方向が変わった光OP2は、焦点FPで集束するように放射状に直進する。
【0166】
物理オブジェクトOBJの反射光OP(OBJ)は、ハーフミラー122を透過して、観察者Uの網膜上で結像する。
焦点FPと観察者Uの瞳孔の位置とが合う場合、光OP2は、観察者Uの網膜上で結像する。これにより、光源13から出射された光OP0の像が網膜に投影される。
その結果、観察者Uには、光OP0の像、及び、物理オブジェクトOBJの像が重畳して見える。
【0167】
一般的に、逆放射状の光を逆放射状に反射する透過型光学素子(例えば、ハーフミラー)は、逆放射状の光を放射状に反射する透過型光学素子(例えば、透過型二面コーナーリフレクタアレイミラー)より安価である。
【0168】
変形例10の接眼ミラー12によれば、比較的安価な透過型光学素子であるハーフミラー122を用いるので、物理オブジェクトOBJの光OP(OBJ)に対する透過性を確保しつつ、且つ、網膜投影装置10のコストを低減することができる。
【0169】
(5−11)変形例11
変形例11について説明する。
図23は、変形例11の網膜投影装置の構成図である。
【0170】
変形例11の網膜投影装置10は、接眼ミラー12に代えて、導光板17を備える。
図23Aに示すように、導光板17は、透過型ミラー11の透過光OP1が集束する前(つまり、網膜投影装置10の光学系において、透過光OP1の焦点の前段)に配置される。
【0171】
光源13から出射された光OP0は、透過型ミラー11の第1面11aに入射する。
透過型ミラー11に入射した光OP0は、透過型ミラー11の光学特性に応じて進行方向が変えられながら、透過型ミラー11を透過する透過光OP1(1)になる。
図23Bに示すように、透過光OP1(1)は、焦点FP1で集束するように放射状に直進し、導光板17に入射する。
導光板17に入射した光は、導光板17内の反射面で反射を繰り返した後、導光板17の出射光OP2になる。
出射光OP2は、焦点FPで集束するように逆放射状に直進する。
【0172】
物理オブジェクトOBJの反射光OP(OBJ)は、導光板17を透過して、観察者Uの網膜上で結像する。
焦点FPと観察者Uの瞳孔の位置とが合う場合、出射光OP2は、観察者Uの網膜上で結像する。これにより、光源13から出射された光OP0の像が網膜に投影される。
その結果、観察者Uには、光OP0の像、及び、物理オブジェクトOBJの像が重畳して見える。
【0173】
変形例11では、導光板17に代えて、以下の何れかであっても良い。
・HOE(Holographic Optical Element)
・導光板及びHOEの組合せ
【0174】
変形例11によれば、導光板17によって、透過型ミラー11の後段の光路長が増加する。これにより、透過型ミラー11の後段の光路長の分だけ、光源13と透過型ミラー11との間(つまり、透過型ミラー11の前段)の光路長を増加させることができる。その結果、接眼ミラー12を用いることなく、光学素子のレイアウトの自由度が向上する。
レイアウトの自由度の向上は、VR環境に用いられるようなノンシースルー型のディスプレイの場合、比較的重い光学素子(例えば、光源13)を観察者Uの負担を軽減する位置に配置し易くなるので、特に好ましい。
【0175】
(6)小括
本実施形態について小括する。
【0176】
本実施形態の第1態様は、
放射状に直進する光を出射する光源13を備え、
光源13から出射された放射状の光を反射させながら、逆放射状に透過させる透過型ミラー11を備え、
透過型ミラー11は、透過型ミラー11の平面及び法線によって分割される空間上の象限のうち第1象限から入射する放射状の光を、透過型ミラー11の平面を基準として第1象限と反対側に位置し、且つ、透過型ミラー11の法線を基準として第1象限と同じ側に位置する第2象限に向かって逆放射状に透過させる、
網膜投影装置10である。
【0177】
第1態様によれば、透過型ミラー11を介して、光源13から出射された光の像を網膜に投影する。これにより、波面の歪みが生じないので、観察者の視野角を拡大することができる。
また、光の特性を変化させる光学素子を含まないので、光学系の設計を容易にすることができる。
また、ディスプレイの光源を眼球UEの内部に形成することができる。
また、網膜投影装置10は、光の波面を歪ませる光学素子(例えば、レンズ、導光板、又は、凹面鏡)を含まないので、焦点の位置が当該光学素子の光学特性(例えば、レンズの屈折率)に依存しない。これにより、光源13から出射された光OP0に対応する画像を無限遠に投影することができ、結果として被射界深度が深くなる。
また、光源13の像が網膜に極めて近い位置に形成される。この現象は、観察者Uの網膜には、網膜に極めて近い位置に形成された仮想光源VOSから出射された光の像が投影されたことと等価である。これにより、観察者Uの視野角を向上させることができる。
【0178】
本実施形態の第2態様は、
透過型ミラー11は、透過型ミラー11を対称軸として光源13に対して対称となる位置に透過型ミラー11の透過光を結像させる、
網膜投影装置10である。
【0179】
本実施形態の第3態様は、
透過型ミラー11は、透過型ミラー11を対称軸として光源13に対して対称となる位置に光源13の実像である仮想光源を結像させる、
網膜投影装置10である。
【0180】
本実施形態の第4態様は、
透過型ミラー11の透過光を観察者に向かって反射させる接眼ミラー12を備え、
接眼ミラー12は、複数の光透過性反射部材を備える、
網膜投影装置10である。
【0181】
第4態様によれば、光透過性反射膜12eが、接眼ミラー12に入射する透過光OP1の反射界面として機能する。光透過性反射膜12eの反射率は、本実施形態の接眼ミラー12の反射界面(つまり、空気と接眼ミラー12との界面)より高いので、接眼ミラー12から反射された光OP2の光量が本実施形態よりも向上する。これにより、観察者Uは、より鮮明な画像を観察することができる。
【0182】
本実施形態の第5態様は、
接眼ミラー12は、透過型ミラー11によって透過された光が逆放射状に直進する位置に配置され、且つ、逆放射状の光を観察者に向かって反射する、
網膜投影装置10である。
【0183】
本実施形態の第6態様は、
複数の光透過性反射部材は、互いに平行に配列されている、
網膜投影装置10である。
【0184】
本実施形態の第7態様は、
接眼ミラー12は、複数の光透過性反射部材の配列方向について斜めの方向から、接眼ミラー12に透過光を入射させる、
網膜投影装置10である。
【0185】
本実施形態の第8態様は、
接眼ミラー12は、透過光が入射する入射面と反対側の位置する反射面に、光透過性反射膜を備える、
網膜投影装置10である。
【0186】
第8態様によれば、光透過性反射膜12eが、接眼ミラー12に入射する透過光OP1の反射界面として機能する。光透過性反射膜12eの反射率は、本実施形態の接眼ミラー12の反射界面(つまり、空気と接眼ミラー12との界面)より高いので、接眼ミラー12から反射された光OP2の光量が本実施形態よりも向上する。これにより、観察者Uは、より鮮明な画像を観察することができる。
【0187】
本実施形態の第9態様は、
透過型ミラー11は、複数の透過型ミラー11を備え、
光源13は、複数の透過型ミラー11のうち光源13に最も近い位置に配置された光源側透過型ミラー11の平面及び法線によって分割される空間上の象限のうち第1象限に配置され、
接眼ミラー12は、複数の透過型ミラー11のうち観察者に最も近い位置に配置された観察者側透過型ミラー11の平面及び法線によって分割される空間上の象限のうち第2象限に配置される、
網膜投影装置10である。
【0188】
第9態様によれば、複数の透過型ミラー11を備える。これにより、光源13と接眼ミラー12との間の光路上で、複数の透過型ミラー11が光をリレーする。その結果、各透過型ミラー11及び接眼ミラー12を大型化することなく、光源13から出射された光OP0の像を、接眼ミラー12を介して、網膜RETに投影することができる。
【0189】
本実施形態の第10態様は、
光透過性反射部材は、光源13から出射された波長の光を反射する特性を有する誘電体多層膜を備える、
網膜投影装置10である。
【0190】
第10態様によれば、誘電体多層膜が、光源13から出射される光OP0を反射するが、光OP0とは異なる波長を有する光(例えば、物理オブジェクトOBJの反射光OP(OBJ))は反射せずに透過させる。これにより、網膜投影装置10を装着した観察者Uは、物理オブジェクトOBJの像を鮮明に観察することができる。
【0191】
本実施形態の第11態様は、
一対の光源13、透過型ミラー11、及び、接眼ミラー12の組合せを備え、
一対の光源13は、それぞれ、視差画像に対応する光を出射する、
網膜投影装置10である。
【0192】
第11態様によれば、観察者Uは、光源13から出射された光OP0に対応する像を立体視することができる。
【0193】
本実施形態の第12態様は、
光源13は、光源13の光軸に沿って移動可能である、
網膜投影装置10である。
【0194】
第12態様によれば、光源13と透過型ミラー11との距離に応じて、焦点FPが移動する。これにより、観察者Uの眼球UEの位置に関わらず、焦点FPを合わせることができる。
【0195】
本実施形態の第13態様は、
MEMSミラー18を備え、
光源13は、左目用の元画像に対応する光と、右目用の元画像に対応する光と、を放射し、
MEMSミラー18は、左目用の元画像に対応する光を第1反射角で反射し、且つ、左目用の元画像に対応する光を第2反射角で反射する、
網膜投影装置10である。
【0196】
第13態様によれば、MEMSミラー18を介して、視差画像を観察者Uの網膜RETTに投影する。これにより、観察者Uは、立体的な画像を観察することができる。
【0197】
本実施形態の第14態様は、
透過型ミラー11を回動可能に軸支するフレーム10aを備える、
透過型ミラー11は、フレーム10aに対して回動することによって、光源の光軸に対する傾斜角を変化させる、
網膜投影装置10である。
【0198】
第14態様によれば、透過型ミラー11が回動することによって、透過型ミラー11への外光の入光量が低減するので、画像IMG1のコントラストが増加する。その結果、観察者Uは、画像IMG1を鮮明に観察することができる。
【0199】
本実施形態の第15態様は、
透過型ミラー11の透過光を観察者に向かって反射させることにより、光源13から出射された光に対応する像を観察者の網膜に投影する導光板及びHOEの少なくとも1つを備える、
網膜投影装置10である。
【0200】
第15態様によれば、接眼ミラー12を用いることなく、網膜投影装置10の光学モジュールのレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0201】
本実施形態の第16態様は、
画像を撮像するカメラ16を備え、
光源13は、カメラ16によって撮像された画像に対応する光を出射する、
網膜投影装置10である。
【0202】
第16態様によれば、観察者Uの網膜には、コンピュータ30によって生成された画像だけでなく、物理オブジェクトOBJの画像も投影される。これにより、観察者Uは、視力に関わらず、物理オブジェクトOBJの像を鮮明に観察することができる。
【0203】
本実施形態の第17態様は、
上記の網膜投影装置10と、網膜投影装置10と接続可能なコンピュータと、を備える網膜投影システムであって、
コンピュータは、
網膜投影装置10から漏れた光を検出する光センサを備え、
光センサによって検出された光に応じて、網膜投影装置10を装着した観察者の頭の動きを特定する手段を備える、
網膜投影システムである。
【0204】
第17態様によれば、網膜投影装置10に構成を追加することなく、観察者Uの頭の動きを追従することができる。これにより、観察者Uの頭の動きに応じた画像を容易に提供することができる。
【0205】
本実施形態の第18態様は、
網膜投影装置10は、マーカを備え、
コンピュータは、
マーカの画像を撮像するカメラ16を備え、
カメラ16によって撮像された画像に基づいて、網膜投影装置10を装着した観察者の頭の動きを特定する手段を備える、
網膜投影システムである。
【0206】
第18態様によれば、観察者Uの頭の動きの追従の精度を向上させることができる。
【0207】
(7)その他の変形例
その他の変形例について説明する。
【0208】
本実施形態では、光源13の一例として、レーザプロジェクタ131及び133(
図4A及び
図4C)と、ディスプレイ132a及びピンホール132bの組合せ(
図4B)と、を例示した。しかし、光源13は、放射状に直進する光を出力するものであれば、これらに限られるものではない。
【0209】
網膜投影装置10の光学系は、光量を減衰するフィルタ(例えば、ND(Neutral Density)フィルタ)を含んでも良い。
この場合、網膜に入射する光の光量が低減するので、過度に高い光量の光が網膜に入射することによる物理オブジェクトOBJの像の視認性の低下を防ぐことができる。
【0210】
上記アプリケーションの例では、網膜投影装置10がコンピュータ30と接続される例を示した。しかし、
図15に示すように、網膜投影装置10がプロセッサ15を備える場合、網膜投影装置10は、コンピュータ30と接続することなく、観察者Uの網膜に画像を投影することができる。つまり、網膜投影装置10とコンピュータ30との接続は必須ではない。
【0211】
一対の光源13は、視差画像に対応する光OPを出射しても良い。この場合、観察者Uの網膜には、視差画像が投影される。これにより、観察者Uは、光源13から出射される光OP0に対応する画像を立体視することができる。
【0212】
光源13がレーザプロジェクタ131又は133である場合、レーザプロジェクタは、SLM(Spatial Light Modulator)型であっても良いし、レーザスキャン型であっても良い。SLM型の場合、レーザスキャン型よりもレーザプロジェクタ131又は133を小型化し、且つ、消費電力を低減することができる。
【0213】
本実施形態では、1つの光源13は、1つのレーザプロジェクタ131(
図4A)、又は、1つのディスプレイ132a(
図4B)を有する例を示した。しかし、本実施形態は、これに限られるものではない。1つの光源13が、複数のレーザプロジェクタ131、又は、複数のディスプレイ132a(つまり、複数の発光素子)を有しても良い。この場合、観察者Uの視野角を拡大することができる。
【0214】
本実施形態では、
図9に示すように、透過型ミラー11は、透過型ミラー11に関して、入射光OP0に対して面対称となる位置の焦点FPに透過光OP1を結像させる例を示した。しかし、本実施形態の透過型ミラー11は、これに限られるものではない。透過型ミラー11は、第2象限Q2(透過型ミラー11の光軸を含む)のうち、透過型ミラー11に関して面対称ではない位置の焦点FPに透過光OP1を結像させてもよい。
【0215】
傾斜角θ1は、小さい方が好ましい。
傾斜角θ1が小さくなるほど、接眼ミラー12及び光透過プレート14の前後方向(FR−RR方向)のサイズを縮小することができる。
傾斜角θ1が小さくなるほど、各光透過性反射部材121a〜121cの配列方向Dsのサイズが大きくなるので、配列方向Dsについて、単位面積あたりの光透過性反射部材121の数を低減することができる。
傾斜角θ1が小さくなるほど、各光透過性反射部材121a〜121cの反射光のベクトルの前後方向(FR−RR方向)の成分が大きくなるので、接眼ミラー12内での反射回数の少ない光が多くなる。その結果、眼球UEに入射する光の総光量が大きくなる。これにより、網膜RETに結像される像がより鮮明になる。
【0216】
接眼ミラー12は、省略可能である。この場合、透過型ミラー11が接眼ミラーとして機能する。
【0217】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。