(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記電源状態パラメータ算出部は、上記スイッチ変数生成部により生成された上記スイッチ変数に基づいて、上記個別機器の電源をオンまたはオフしたスイッチ回数を上記電源状態パラメータとして上記所定の時間単位で算出し、
上記生活反応判定部は、上記電源状態パラメータ算出部により算出された上記スイッチ回数が閾値を超えているという条件を満たすか否かに基づいて、上記所定の時間単位で上記居住者の生活反応の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の生活反応検知システム。
上記電源状態パラメータ算出部は、上記スイッチ変数生成部により生成された上記スイッチ変数に基づいて、上記個別機器の電源をオンまたはオフするタイミングのバラツキ度合を表す分散値を上記電源状態パラメータとして上記所定の時間単位で算出し、
上記生活反応判定部は、上記電源状態パラメータ算出部により算出された上記分散値が閾値を超えているという条件を満たすか否かに基づいて、上記所定の時間単位で上記居住者の生活反応の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の生活反応検知システム。
上記電源状態パラメータ算出部は、上記スイッチ変数生成部により生成された上記スイッチ変数に基づいて、上記個別機器の電源がオンからオフになるまでの1回当たりの平均オン時間を上記電源状態パラメータとして上記所定の時間単位で算出し、
上記生活反応判定部は、上記電源状態パラメータ算出部により算出された上記平均オン時間が閾値を超えているという条件を満たすか否かに基づいて、上記所定の時間単位で上記居住者の生活反応の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の生活反応検知システム。
上記電源状態パラメータ算出部により所定期間内に算出される上記電源状態パラメータのうち、最小値からn番目(nは1以上の任意の数)の値を上記閾値として設定する閾値設定部を更に備えたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の生活反応検知システム。
上記生活反応判定部は、上記居住者の生活反応が有る状態または無い状態がいくつの時間単位続くかによって、生活反応が有る状態または無い状態のグレードを更に判定することを特徴とする請求項1に記載の生活反応検知システム。
上記居住者の生活反応が有る状態または無い状態に関する上記電源状態パラメータの上記所定の時間単位での変動パターンを教師データとして記憶する教師データ記憶部を更に備え、
上記生活反応判定部は、上記電源状態パラメータ算出部により算出された上記電源状態パラメータの上記所定の時間単位での変動パターンと上記教師データとの類似度が閾値を超えているという条件を満たすか否かに基づいて、上記居住者の生活反応の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の生活反応検知システム。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器の消費電力に基づいて居住者の存否を判定するシステムが知られている(例えば、特許文献1〜9参照)。特許文献1〜3には、個々の電気機器の消費電力に基づいて、居住者の存否を判定することが記載されている。
【0003】
すなわち、特許文献1に記載の見守りシステムは、各戸の全体消費電力を計測する引き込み電力センサ、および、各戸に設置されている個別の電力消費機器の消費電力をそれぞれ計測する電気給湯器電力センサ、空調機電力センサを含むホームサーバと、ホームサーバからの各センサの出力を参照して各戸の入居者の生活情報を収集し、管理する見守りセンタとを備えている。
【0004】
特許文献2に記載のシステムでは、電気製品と家庭内のコンセントとの間に複数のアダプタを設置する。アダプタは、自らに接続された電気製品の電源のオン/オフを検出し、検出した電気製品のオン/オフ情報をサーバに送信する。サーバは、アダプタが検出した電気製品のオン/オフ情報の組合せが、設定された通知条件を満たすか否かを判定し、通知条件が満たされたと判定された場合に、見守り者の端末に判定の結果の通知を送信する。
【0005】
また、特許文献3,4には、測定された電力値と閾値とを比較することにより、居住者の行動の有無を判定することが記載されている。すなわち、特許文献3に記載の人間活動検知システムでは、電力計で測定された電力値が、記憶部に予め設定された電力閾値を継続して上回り、かつ、立ち上りピークがあると判定されたときに、住人の活動があると判定する。また、特許文献4に記載の生活行動パターン抽出装置では、各時間帯における消費電力の代表値に基づき、所定の閾値を用いて、当該時間帯に生活行動が発生したか否かを判定する。
【0006】
また、特許文献5,6には、居住者の行動の有無を判定する際に用いる閾値を動的に変更することが記載されている。すなわち、特許文献5に記載の生活状況推定システムでは、総負荷電流の測定を複数の日について行い、電力需要家の在宅日に測定されたと判断される総負荷電流の測定値を用いてデータ群を求めて値決定用データ群とする。そして、値決定用データ群について、予め設定した複数の仮定値を用いてk仮定値別にk%値を算出して降順に並べてグラフ化し、その中から選択したグラフに対応するk仮定値を値kとするとともに、選択グラフについて予め設定した第2位置のk%値を活動電流閾値とする。
【0007】
特許文献6に記載の人間活動検知システムでは、宅内の人間活動の有無を判別する閾値を当該宅内における過去の電力時系列データから自動的に算出する。具体的には、宅内における過去のあらかじめ定めた特定期間の1日毎の電力消費量をあらかじめ定めた時間間隔で取得して蓄積する。そして、蓄積した電力消費量に関するヒストグラムを1日毎に生成し、生成したヒストグラムに判別分析法を適用して、1日毎に低消費クラスと高消費クラスとの2つのクラスに分離する分離度を算出して、分離度が最大になる日を選択する。さらに、選択した当該日において2つのクラスに分離する閾値を、人間の操作がない状態で機器が自動的に運転している機器自動運転の状態における電力消費量の最大値と看做して、人間活動の有無を判別するための閾値として設定する。
【0008】
さらに、特許文献7〜9には、時系列で測定した電力の情報を分析し、所定のパターンと比較して居住者の存否を判定することが記載されている。すなわち、特許文献7に記載の生活見守りシステムでは、電力使用量計にて計測した電力使用量に基づいて生活パターンを抽出し、該生活パターンとその予想パラメータとを比較して、異常の有無を判定する。特許文献8に記載の見守りシステムでは、見守りの対象となる住居の電気使用量に関するデータを取得して分析し、分析した生活リズム情報に異常がある場合に、予め登録されている登録先に異常を通報する。
【0009】
特許文献9に記載の安否確認システムでは、安否確認の対象者が使用する機器に供給する電力の検出値を取得して時系列に記憶する。そして、時系列に記憶した検出値を、機器の使用状態と当該機器が消費する電力の値とを対応付けて記憶した消費パターンと照合して、対象者が使用する機器の使用状態の推移を求め、機器の使用状態の推移と対応する安否情報を記憶する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による生活反応検知システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の生活反応検知システム100は、居住者の生活反応を検知するためのシステムであって、総電力測定装置10(本発明の総電力測定部に相当)と、解析装置20(生活反応検知装置に相当)と、サーバ30とを備えて構成されている。解析装置20とサーバ30との間は、インターネット等の通信ネットワークにより接続されている。
【0019】
総電力測定装置10は、生活反応を検知する対象空間の総消費電力を測定するものであり、例えばスマートメータなど、公知の測定器を用いることが可能である。生活反応を検知する対象空間とは、例えば、人が居住している空間であり、一戸建て住戸、集合住宅における一戸または複数戸などが該当する。
【0020】
解析装置20は、総電力測定装置10により測定された総消費電力を解析し、対象空間内における生活反応の有無を検知する。解析装置20は、解析結果のデータをサーバ30に送信する。サーバ30は、解析装置20から送信された解析結果のデータを保存し、これを外部からの要求に応じて提供する。
【0021】
以上のように構成した本実施形態の生活反応検知システムは、例えば、独居高齢者の生活状況の見守り、宅配先における居住者の在宅/不在の推定、旅行など外出期間中における電気機器の稼動/非稼働の確認など、様々な用途に用いることが可能である。
【0022】
図2は、解析装置20の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の解析装置20は、その機能構成として、個別電力分解部21、スイッチ変数生成部22、電源状態パラメータ算出部23および生活反応判定部24を備えて構成されている。
【0023】
これらの各機能ブロック21〜24は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック21〜24は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0024】
個別電力分解部21は、総電力測定装置10により測定された総消費電力の時間的変動を分析して、仮想した個別機器の消費電力である個別消費電力を推定する。そして、その推定した個別消費電力の総消費電力に対する構成比率を、個別機器の状態変数として一定周期毎(例えば、1分毎)に算出する。
【0025】
ここで、仮想した個別機器とは、対象空間内に実際に存在する電気機器の1つ1つのことを言うのではなく、推定分解電力の大きさに対応した仮想上の電気機器のことを言う。例えば、総電力測定装置10により測定された総消費電力がある周期において50W上昇している場合、50Wの消費電力を有する電気機器(具体的な機器を特定する必要はない)が稼働したと分析する。また、総電力測定装置10により測定された総消費電力がある周期において100W下降している場合、100Wの消費電力を有する電気機器が停止したと分析する。すなわち、この場合における仮想した電気機器とは、推定分解電力50Wの電気機器(以下、個別機器[50W]と表記する)、推定分解電力100Wの電気機器を言う。
【0026】
個別電力分解部21は、以上のようにして推定した個別機器の個別消費電力の総消費電力に対する構成比率を一定周期毎に算出し、これを個別機器の状態変数X
jreal-kとする。ここで、jは仮想上の電気機器の識別符号を表す。すなわち、j=1〜m(mは総消費電力から分解した各推定分解電力の電気機器の数)である。また、例えば周期を1分とし、1時間分の総消費電力から状態変数X
jreal-kを算出する場合は、k=1〜60である。24時間分であれば、k=1〜1440である。
【0027】
例えば、ある周期t
kにおいて、3種類の推定分解電力p
1,p
2,p
3の電気機器がそれぞれ稼働していることが個別電力分解部21により推定された場合、個別電力分解部21は、X
1real*p
1+X
2real*p
2+X
3real*p
3=X
real*pを満たす状態変数を算出する。ここで、pは総消費電力、X
realは総消費電力の状態変数である。ある周期t
kにおける状態変数X
jreal-kは、例えば、1つ前の周期t
k-1の状態をもとに、公知の収束アルゴリズム(例えば、カルマンフィルタを用いた収束アルゴリズム)により推定することが可能である。
【0028】
なお、この個別電力分解部21の機能は、特許第5870189号に記載された内容を適用することが可能である。
【0029】
スイッチ変数生成部22は、個別電力分解部21により算出された個別機器の状態変数を整数化し、整数化された値を個別機器の電源オン/オフを表すスイッチ変数とする。すなわち、スイッチ変数生成部22は、以下の式により個別機器の状態変数を四捨五入して整数化することにより、個別機器のスイッチ変数X
jkを算出する。
X
jk=round(X
jreal-k)
【0030】
これにより、個別機器[50W]に関して個別電力分解部21により算出された一定周期毎の状態変数X
jreal-kから、例えば次のような整数列のベクトルで表される一定周期毎のスイッチ変数X
jk[50W]が得られる。
X
jk[50W]={00111001222331100110・・・・}
ここで、“1”は個別機器[50W]の電源が1台オン、“2”は個別機器[50W]の電源が2台オンになっていることを意味する。他の推定分解電力の個別機器についても同様に、一定周期毎のスイッチ変数X
jkが生成される。
【0031】
電源状態パラメータ算出部23は、スイッチ変数生成部22により生成された一定周期毎のスイッチ変数X
jkに基づいて、個別機器の電源の状態を表すパラメータを所定の時間単位(例えば、1時間単位)で算出する。例えば、電源状態パラメータ算出部23は、スイッチ変数生成部22により一定周期毎に生成されたスイッチ変数X
jkに基づいて、個別機器の電源をオンしたスイッチ回数Non
iまたはオフしたスイッチ回数Noff
iを電源状態パラメータとして所定の時間単位で算出する。所定の時間単位が1時間の場合、i=1〜24である。ここで、電源オンのスイッチ回数Non
iは、1時間の中で各推定分解電力の個別機器の電源がスイッチオンとされた回数の合計値である。
【0032】
例えば、以下に示すスイッチ変数X
jk[50W]が得られている場合、
X
jk[50W]={00111001222331100110・・・・}
X
j2=0からX
j3=1に変化するタイミングで1回スイッチオン、X
j7=0からX
j8=1に変化するタイミングで1回スイッチオン、X
j8=1からX
j9=2に変化するタイミングで1回スイッチオンがあったなどと判定して、最初の1時間分のスイッチ変数X
jk[50W](k=1〜60)からスイッチオンの回数を算出する。
【0033】
他の推定分解電力の個別機器に関するスイッチ変数X
jkについても同様に、スイッチ変数X
jk(k=1〜60)からスイッチオンの回数を算出する。そして、各推定分解電力の個別機器について算出したスイッチオンの回数を合計することにより、最初の1時間における電源オンのスイッチ回数Non
1を算出する。これと同様の処理を次の1時間分のスイッチ変数X
jk(k=61〜120)に対して行うことにより、次の1時間における電源オンのスイッチ回数Non
2を算出する。以下同様にして、24時間分の電源オンのスイッチ回数Non
i(i=1〜24)を算出する。
【0034】
電源オフのスイッチ回数Noff
i(i=1〜24)の算出方法も以上と同様である。例えば、上述のスイッチ変数X
jk[50W]が得られている場合、X
j5=1からX
j6=0に変化するタイミングで1回スイッチオフ、X
j13=3からX
j14=1に変化するタイミングで2回スイッチオフがあったなどと判定して、最初の1時間分のスイッチ変数X
jk[50W](k=1〜60)から個別機器[50W]のスイッチオフの回数を算出する。
【0035】
他の推定分解電力の個別機器に関するスイッチ変数X
jkについても同様に、スイッチ変数X
jk(k=1〜60)からスイッチオフの回数を算出する。そして、各推定分解電力の個別機器について算出したスイッチオフの回数を合計することにより、最初の1時間における電源オフのスイッチ回数Noff
1を算出する。以下同様にして、24時間分の電源オフのスイッチ回数Noff
i(i=1〜24)を算出する。
【0036】
生活反応判定部24は、電源状態パラメータ算出部23により算出された電源状態パラメータが所定の条件を満たすか否かに基づいて、所定の時間単位で居住者の生活反応の有無を判定する。例えば、生活反応判定部24は、電源状態パラメータ算出部23により算出されたスイッチ回数Non
iまたはNoff
iが閾値を超えているという条件を満たすか否かに基づいて、所定の時間単位で居住者の生活反応の有無を判定する。
【0037】
ここで、生活反応判定部24は、電源オンのスイッチ回数Non
iのみを用いて、これが閾値を超えているか否かに基づいて生活反応の有無を判定するようにしてよい。または、電源オフのスイッチ回数Noff
iのみを用いて、これが閾値を超えているか否かに基づいて生活反応の有無を判定するようにしてもよい。または、電源オンのスイッチ回数Non
iおよび電源オフのスイッチ回数Noff
iの両方を用いて、閾値を超えているか否かに基づいて生活反応の有無を判定するようにしてもよい。両方を用いる場合、例えば、Non
i+Noff
iの値が閾値を超えているか否かを判定するようにしてもよいし、電源オンのスイッチ回数Non
iが第1の閾値を超え、かつ、電源オフのスイッチ回数Noff
iが第2の閾値を超えているか否かを判定するようにしてもよい。
【0038】
以上の判定に用いる閾値は、あらかじめ定めた固定値であってもよいし、学習等によって最適化される可変値であってもよい。閾値を動的に設定する場合、解析装置20は、
図3に示すように、その機能構成として閾値設定部25を更に備える。
【0039】
閾値設定部25は、例えば、電源状態パラメータ算出部23により所定期間内(例えば、数日または1週間)に算出される電源状態パラメータのうち、最小値からn番目(nは1以上の任意の数)の値を閾値として設定する。例えば、電源オンのスイッチ回数Non
iを電源状態パラメータとして用いる場合、閾値設定部25は、1週間分として24×7個のスイッチ回数Non
iのうち、最小値からn番目(例えば、n=3)の値を閾値として設定する。
【0040】
なお、閾値設定部25による閾値の設定は、定期的または非定期的に繰り替えし行うようにしてもよい。定期的に行う場合は、閾値設定部25の処理を行うインターバルを設定しておくことにより、自律的に閾値の設定を繰り返し行うようにすることが可能である。非定期的に行う場合は、ユーザが処理の実行を指示したときに閾値の設定を行うようにすることが可能である。
【0041】
図4は、上記のように構成した本実施形態による生活反応検知システムの動作例を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートは、解析装置20の電源がオンとされたときに開始する。
【0042】
まず、総電力測定装置10は、生活反応を検知する対象空間の総消費電力を測定する(ステップS1)。そして、個別電力分解部21は、状態変数を算出する一定周期(例えば、1分)が経過したか否かを判定する(ステップS2)。まだ1分が経過していない場合、処理はステップS1に戻り、総消費電力の測定を継続する。
【0043】
一方、一定周期の1分が経過した場合、個別電力分解部21は、総電力測定装置10により測定された総消費電力の1分間における時間的変動を分析して、仮想した個別機器の個別消費電力を推定し、その推定した個別消費電力の総消費電力に対する構成比率を個別機器の状態変数として算出する(ステップS3)。続いて、スイッチ変数生成部22は、個別電力分解部21により算出された個別機器の状態変数を整数化して個別機器のスイッチ変数を生成する(ステップS4)。
【0044】
その後、電源状態パラメータ算出部23は、電源状態パラメータを算出する所定の時間単位(例えば、1時間)が経過したか否かを判定する(ステップS5)。まだ1時間が経過していない場合、処理はステップS1に戻り、総消費電力の測定を継続する。
【0045】
一方、所定の時間単位である1時間が経過した場合、電源状態パラメータ算出部23は、スイッチ変数生成部22により各個別機器について生成された一定周期毎のスイッチ変数X
jkに基づいて、個別機器の電源状態パラメータ(電源オンのスイッチ回数Non
i、電源オフのスイッチ回数Noff
iの少なくとも一方)を算出する(ステップS6)。
【0046】
次に、生活反応判定部24は、電源状態パラメータ算出部23により算出された電源状態パラメータが所定の条件を満たすか否かに基づいて、該当の1時間における居住者の生活反応の有無を判定する(ステップS7)。そして、生活反応判定部24は、この判定結果のデータをサーバ30に送信する(ステップS8)。
【0047】
最後に、解析装置20は、自身の電源がオフにされたか否かを判定する(ステップS9)。解析装置20の電源がオフにされていない場合、処理はステップS1に戻り、総消費電力の測定を継続する。一方、解析装置20の電源がオフにされた場合、
図4に示すフローチャートの処理は終了する。
【0048】
このフローチャートに示すように、本実施形態によれば、1時間毎に、ほぼリアルタイムに居住者の生活反応の有無を判定し、その結果のデータをサーバ30にアップロードすることができる。サーバ30にアップロードされたデータは、外部からの要求に応じていつでも閲覧することが可能となる。
【0049】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、生活反応を検知する対象空間において測定したアナログの総消費電力をそのまま閾値と比較したり、測定した総消費電力の変動パターンをそのまま分析したりするのではなく、測定した総消費電力が個別機器の電源のオン/オフに関する状態を表す電源状態パラメータに変換されて、当該パラメータに基づいて生活反応の有無が判定される。
【0050】
このため、居住者による電気機器の電源スイッチの操作によらず大きく変動することがある総消費電力の増減の影響を排除して、生活反応の有無を判定することができる。しかも、各電気機器における操作の有無を検出するために、コンセントにアダプタを設置する必要もない。これにより、各電気機器における操作の有無を検出するために新たな設備を設置することなく、消費電力に基づいて居住者の存否をより正確に判定することができる。
【0051】
なお、上記実施形態では、電源状態パラメータの一例としてスイッチ回数Non
i,Noff
iを用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、電源状態パラメータ算出部23は、スイッチ変数生成部22により生成されたスイッチ変数に基づいて、個別機器の電源をオンまたはオフするタイミングのバラツキ度合を表す分散値σを電源状態パラメータとして所定の時間単位で算出してもよい。この場合、生活反応判定部24は、当該分散値σが閾値を超えているという条件を満たすか否かに基づいて、所定の時間単位で居住者の生活反応の有無を判定する。
【0052】
電気機器の中には、居住者が電源スイッチの操作を行わなくても、ほぼ一定の周期で消費電力の大きさが増減するものもある。このような電気機器の場合、消費電力が増減するタイミングのバラツキ度合を表す分散値σを計算すると、その値は比較的小さくなる。一方、居住者が電源スイッチの操作を行う場合、そのタイミングは任意で、一定の周期でオン/オフが繰り返されるものではないので、分散値σは比較的大きくなる。よって、分散値σが閾値を超えているか否かに基づいて、居住者の生活反応の有無を判定することが可能である。
【0053】
また、別の例として、電源状態パラメータ算出部24は、スイッチ変数生成部23により生成されたスイッチ変数に基づいて、個別機器の電源がオンからオフになるまでの1回当たりの平均オン時間Tonを電源状態パラメータとして所定の時間単位で算出してもよい。この場合、生活反応判定部24は、当該平均オン時間Tonが閾値を超えているという条件を満たすか否かに基づいて、所定の時間単位で居住者の生活反応の有無を判定する。
【0054】
例えば、以下に示すスイッチ変数X
jk[50W]が得られている場合、
X
jk[50W]={00111001222331100110・・・・}
電源状態パラメータ算出部23は、X
j3〜X
j5の3分間に1台の個別機器[50W]について電源オン状態が継続し、X
j8〜X
j15の8分間に少なくとも1台の個別機器[50W]について電源オン状態が継続し、X
j9〜X
j13の5分間に少なくとも2台の個別機器[50W]について電源オン状態が継続しているなどと判定して、1回当たりの平均オン時間Tonを算出する。平均オン時間Tonは、1時間における合計オン時間をスイッチオン回数で除算することによって算出することが可能である。
【0055】
また、電源オン/オフのスイッチ回数Non
i,Noff
i、電源オン/オフのタイミングに関する分散値σ、1回当たりの平均オン時間Tonの中の何れか複数または全ての組み合わせを用いて、所定の時間単位で居住者の生活反応の有無を判定するようにしてもよい。例えば、使用する複数の電源状態パラメータの全てにおいて、それぞれが閾値を超える場合に、居住者の生活反応が有ると判定することが考えられる。
【0056】
また、上記実施形態では、居住者の生活反応の有無を所定の時間単位で判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、生活反応判定部24は、上記の判定加えて、居住者の生活反応が有る状態または無い状態がいくつの時間単位続くかによって、生活反応が有る状態または無い状態のグレードを更に判定するようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、電源状態パラメータと閾値とを比較することによって居住者の生活反応の有無を判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、電源状態パラメータの所定の時間単位での変動パターンを分析して、その分析結果に基づいて居住者の生活反応の有無を判定するようにしてもよい。
【0058】
図5は、電源状態パラメータの変動パターンに基づいて居住者の生活反応の有無を判定する場合における解析装置20’の機能構成例を示すブロック図である。なお、この
図5において、
図2に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
【0059】
図5に示す解析装置20’は、教師データ記憶部26を更に備えている。また、生活反応判定部24に代えて生活反応判定部24’を備えている。教師データ記憶部26は、居住者の生活反応が有る状態または無い状態に関する電源状態パラメータの所定の時間単位での変動パターンを教師データとして記憶する。
【0060】
生活反応判定部24’は、電源状態パラメータ算出部23により算出された電源状態パラメータの所定の時間単位での変動パターンと、教師データ記憶部26に記憶されている教師データとの類似度が閾値を超えているという条件を満たすか否かに基づいて、居住者の生活反応の有無を判定する。
【0061】
また、上記実施形態では、スマートメータ等の総電力測定装置10に対して解析装置20を接続する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、スマートメータの中に解析装置20の機能を内蔵させるようにしてもよい。
【0062】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。