(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記床スラブの上方に取り付けられた前記断熱パネルの下部から、前記床スラブの下方に取り付けられた前記断熱パネルの上部にわたって連続し、前記ブラケットの少なくとも前記床スラブの端部への取り付け側と、前記ロックウール層の一部と、を覆うポリウレタンフォームからなる外部断熱層を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造。
前記床スラブの上方に取り付けられた前記断熱パネルの下部と、前記床スラブの下方に取り付けられた前記断熱パネルの上部とにそれぞれ、前記外部断熱層で覆われた領域内において前記ロックウール層を上下に分断する防湿部材が取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造。
前記防湿部材が、前記断熱パネルに取り付けられた取り付け片と、該取り付け片と平行で前記ロックウール層表面を覆うカバー片と、該取り付け片と該カバー片とを接続し前記ロックウール層を上下に分断する接続片と、を有し、断面が略Z字型であることを特徴とする請求項5に記載の冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造。
前記防湿塗膜が、前記外部断熱層の上方及び下方に露出した前記ロックウール層にまで延設され、該ロックウール層を部分的に覆っていることを特徴とする請求項8に記載の冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造。
前記床スラブの上方に取り付けられた前記断熱パネルの下部から、前記床スラブの下方に取り付けられた前記断熱パネルの上部にわたって、該断熱パネルの屋外側に、断熱材を2枚の金属板間に挟持してなる第二の断熱パネルからなる断熱部材が配置され、前記床スラブの上下に配置された断熱パネルの屋外側の露出面及び前記断熱部材の屋外側の露出面に連続して、前記ロックウール層が配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造。
前記冷凍・冷蔵倉庫の基礎の上に床断熱材、次いで最下階の床スラブが配置され、前記内壁材が前記床断熱材及び前記最下階の床スラブの周縁を取り囲んで、前記基礎上に配置されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の冷蔵・冷蔵倉庫の外壁構造。
前記床スラブの上方に取り付けられた前記耐火パネルの下部から、前記床スラブの下方に取り付けられた前記耐火パネルの上部にわたって連続し、前記床スラブの端部と、前記ブラケットの少なくとも前記床スラブの端部への取り付け側と、前記耐火パネルの金属板の一部と、を覆うポリウレタンフォームからなる外部断熱層を有することを特徴とする請求項14又は15に記載の冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造。
前記冷凍・冷蔵倉庫の基礎の上に床断熱材、次いで最下階の床スラブが配置され、前記内壁材が前記床断熱材及び前記最下階の床スラブの周縁を取り囲んで、前記基礎上に配置されていることを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の冷蔵・冷蔵倉庫の外壁構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された外壁構造は、コンクリート製の耐火外壁によって重量がかさみ、特に、2階以上の複数階建ての場合に、建物全体の重量が大きくなるという問題があった。そこで、特許文献2に開示されているような非コンクリート製の耐火断熱板材を用いることで、外壁の軽量化と施工性の向上を図ることが期待されるが、係る耐火断熱板材は、コンクリート製の耐火外壁を用いた場合に比べて耐火性が低い。耐火性を向上させるためには、係る耐火断熱板材の不燃層を厚くすればよいが、結果として耐火断熱板材の重量が増してしまう。
【0005】
本発明の課題は、上記課題を解決し、複数階建ての冷凍・冷蔵倉庫において、軽量で高い耐火性と断熱性とを備え、施工が容易な外壁構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1は、(1)少なくとも、外装材と内壁材とを有する外壁構造と、上下階を隔てるコンクリート製の床スラブと、を有する複数階建ての冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造であって、
前記内壁材が、断熱材を2枚の金属板間に挟持してなり前記床スラブの上下に取り付けられた断熱パネルと、該断熱パネルの屋外側の表面を少なくとも覆うロックウール層と、を有し、
前記外装材が、前記床スラブの端部より突出するブラケットに取り付けられていることにより、該外装材と前記ロックウール層との間に空隙が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の第1においては、下記の構成を好ましい態様として含む。
(2)前記(1)において、前記断熱材がイソシアヌレートフォームである。
(3)前記(1)又は(2)において、前記ロックウール層が吹き付けロックウールである。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかにおいて、床スラブの上方に取り付けられた前記断熱パネルの下部から、前記床スラブの下方に取り付けられた前記断熱パネルの上部にわたって連続し、前記ブラケットの少なくとも前記床スラブの端部への取り付け側と、前記ロックウール層の一部と、を覆うポリウレタンフォームからなる外部断熱層を有する。
(5)前記(4)において、前記床スラブの上方に取り付けられた前記断熱パネルの下部と、前記床スラブの下方に取り付けられた前記断熱パネルの上部とにそれぞれ、前記外部断熱層で覆われた領域内において前記ロックウール層を上下に分断する防湿部材が取り付けられている。
(6)前記(5)において、前記防湿部材が、前記断熱パネルに取り付けられた取り付け片と、該取り付け片と平行で前記ロックウール層表面を覆うカバー片と、該取り付け片と該カバー片とを接続し前記ロックウール層を上下に分断する接続片と、を有し、断面が略Z字型である。
(7)前記(6)において、前記外部断熱層が、少なくとも前記カバー片を部分的に覆っている。
(8)前記(7)において、少なくとも、前記外部断熱層を覆う防湿塗膜を有する。
(9)前記(8)において、前記防湿塗膜が、前記外部断熱層の上方及び下方に露出した前記ロックウール層にまで延設され、該ロックウール層を部分的に覆っている。
(10)前記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記床スラブの上方に取り付けられた前記断熱パネルの下部から、前記床スラブの下方に取り付けられた前記断熱パネルの上部にわたって、該断熱パネルの屋外側に、断熱材を2枚の金属板間に挟持してなる第二の断熱パネルからなる断熱部材が配置され、前記床スラブの上下に配置された断熱パネルの屋外側の露出面及び前記断熱部材の屋外側の露出面に連続して、前記ロックウール層が配置されている。
(11)前記(10)において、前記断熱部材の断面が略コ字型であり、該略コ字の外側及び内側に前記金属板を有する。
(12)前記(10)又は(11)において、前記断熱部材と前記ブラケットとの間にポリウレタンフォームが充填されている。
(13)前記(1)〜(12)のいずれかにおいて、前記冷凍・冷蔵倉庫の基礎の上に床断熱材、次いで最下階の床スラブが配置され、前記内壁材が前記床断熱材及び前記最下階の床スラブの周縁を取り囲んで、前記基礎上に配置されている。
【0008】
本発明の第2は、少なくとも、外装材と内壁材とを有する外壁構造と、上下階を隔てるコンクリート製の床スラブと、を有する複数階建ての冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造であって、
前記内壁材が、前記床スラブの上下に取り付けられた耐火パネルであり、
前記外装材が、前記床スラブの端部より突出するブラケットに取り付けられることにより、該外装材と前記耐火パネルとの間に空隙が形成されていることを特徴とする。
【0009】
そして、本発明の第2において、前記耐火パネルは、
(14)2枚の金属板と、該2枚の金属板間に挟持されたロックウール層とを有する、
(15)2枚の金属板と、該2枚の金属板の内側に配置された2層のロックウール層と、該2層のロックウール層に挟持されたポリウレタンフォーム、フェノールフォーム、イソシアヌレートフォームのいずれかからなる中間層と、を有する、
のいずれかである。
【0010】
本発明の第2においては、下記の構成を好ましい態様として含む。
(16)前記(14)又は(15)において、前記床スラブの上方に取り付けられた前記耐火パネルの下部から、前記床スラブの下方に取り付けられた前記耐火パネルの上部にわたって連続し、前記床スラブの端部と、前記ブラケットの少なくとも前記床スラブの端部への取り付け側と、前記耐火パネルの金属板の一部と、を覆うポリウレタンフォームからなる外部断熱層を有する。
(17)前記(16)において、前記外部断熱層を覆う防湿塗膜を有する。
(18)前記(14)〜(17)のいずれかにおいて、前記冷凍・冷蔵倉庫の基礎の上に床断熱材、次いで最下階の床スラブが配置され、前記内壁材が前記床断熱材及び前記最下階の床スラブの周縁を取り囲んで、前記基礎上に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の外壁構造においては、以下の効果が得られる。
本発明においては、内壁材が軽量で高い耐火性を有するロックウール層を耐火層として備えていることから、軽量で高い耐火性を有する冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造が得られ、1時間の耐火基準を満たす外壁とすることもできる。また、ロックウール層の屋外側に外装材が配置されていることにより、該ロックウール層が外部環境から保護され、耐火性が維持される。本発明においては、該外装材が床スラブの端部にブラケットを介して取り付けられていることから、該外装材とロックウール層との間に空隙が形成され、ロックウール層を外装材で押しつぶすなどの影響を及ぼすことなく、該ロックウール層を外装材で保護することができる。
【0012】
さらに、本発明において、上下階を隔てる床スラブの上方の断熱パネルの下部から、下方の断熱パネルの上部にわたって連続するポリウレタンフォームからなる外部断熱層を設けることで、上記床スラブの端部及びブラケット周辺の断熱性が向上する。また、上記床スラブの端部付近のロックウール層が該外部断熱層で覆われることにより、該床スラブの端部付近のロックウール層内に湿気が侵入するのが抑制され、ロックウール層内に侵入した湿気が結露して、該ロックウール層が下方に垂れ下がる、さらには該ロックウール層が断熱パネルから剥離するなどして、外壁の耐火性が低下するのが抑制される。また、係るロックウール層の垂れ下がりや剥離によって、上記外部断熱層が剥落して床スラブの端部近傍の断熱性が低下するのも抑制される。
【0013】
本発明においてはさらに、上記外部断熱層で覆われた領域内に防湿部材を配置することによって、外部断熱層で覆われていないロックウール層の表面から該ロックウール層内に湿気が侵入し、係る湿気が床スラブ近傍にまで侵入して結露し、上記した外壁の耐火性低下や床スラブの端部近傍の断熱性が低下を招くのを防止することができる。
【0014】
さらにまた、上記外部断熱層を防湿塗膜で覆うことにより、該外部断熱層が湿気から保護され、外部断熱層の湿気による劣化が防止される。
【0015】
また、本発明においては、上下階を隔てる床スラブの上方の断熱パネルの下部から、下方の断熱パネルの上部にわたって、屋外側に第二の断熱パネルからなる断熱部材を配置し、床スラブ上下の断熱パネル及び上記断熱部材の屋外側の露出面にロックウール層を配置することで、上記床スラブの端部周辺の断熱性が向上すると同時に、ロックウール層と床スラブとの間に断熱部材が介在するため、ロックウール層内で結露が発生することがなく、係る結露によってロックウール層が剥離して外壁の耐火性が低下するおそれがない。特に、ブラケットと断熱部材との間にポリウレタンフォーム等の断熱性充填材を充填しておくことで、ブラケット周辺の断熱性もより向上する。
【0016】
本発明の外壁構造は、内壁材が、非コンクリート製の断熱パネルとロックウール層で構成されるため、軽量で施工が容易である。また、外部断熱層や防湿塗膜の施工、断熱部材の取り付け施工のいずれもが容易で短期間で実施できる。よって、本発明によれば、軽量で、高い耐火性と断熱性を有し、より安価に短期間で施工可能な冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造が得られる。
【0017】
本発明の第2の外壁構造においては、以下の効果が得られる。
本発明においては、内壁材が、非コンクリート製の耐火パネルで構成されるため、軽量で施工が容易であり、1時間耐火の外壁構造とすることもできる。
【0018】
また、本発明において、上下階を隔てる床スラブの上方の耐火パネルの下部から、下方の耐火パネルの上部にわたって連続するポリウレタンフォームからなる外部断熱層を設けることで、上記床スラブの端部及びブラケット周辺の断熱性が向上する。さらにまた、上記外部断熱層を防湿塗膜で覆うことにより、該外部断熱層が湿気から保護され、外部断熱層の湿気による劣化が防止される。
【0019】
本発明の外壁構造は、内壁材が、非コンクリート製の耐熱パネルであるため、軽量で施工が容易である。また、外部断熱層や防湿塗膜の施工のいずれもが容易で短期間で実施できる。よって、本発明によれば、軽量で、高い耐火性と断熱性を有し、より安価に短期間で施工可能な冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造が得られる。
【0020】
本発明の第1及び第2のいずれの外壁構造においても、基礎の上に床断熱材と床スラブが配置され、該床断熱材と床スラブの周縁を取り囲んで断熱パネル或いは耐火パネルが配置されるため、床スラブから基礎につながる伝熱経路が形成されず、床断熱材の周縁部から立ち上がる立ち上がり断熱材が不要で、広い床面積を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の外壁構造は、鉄筋コンクリート(RC)構造や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)構造の冷凍倉庫及び冷蔵倉庫(冷凍・冷蔵倉庫)に適用される外壁構造であって、従来、現場で打設されたコンクリート壁或いはスパンクリート等のコンクリートパネルの屋外側に断熱材を取り付けた内壁材に替えて、断熱材を2枚の金属板で挟んだ断熱パネルとロックウール層とからなる内壁材、或いは、耐火パネルを用いたことに特徴を有する。また、本発明の外壁構造は、上下階を隔てるコンクリート製の床スラブを有する冷凍・冷蔵倉庫の外壁構造であり、該床スラブの端部にブラケットを介して外装材が取り付けられている。以下に、本発明の外壁構造を、実施形態を挙げて詳細に説明する。
【0023】
〈第1の外壁構造〉
図1は、本発明の第1の外壁構造の一実施形態の構成を模式的に示す図であり、外壁の厚さ方向及び垂直方向の切断部端面図である。また、
図2は、本例の外壁構造の水平方向の断面図であり、
図1のA−A’断面図である。尚、
図1は
図2のB−B’切断部の端面図である。
【0024】
図1,
図2の実施形態において、1は基礎、2は床断熱材、3は1階の床スラブ、4は1階と2階とを隔てる床スラブである。本発明の外壁構造は、内壁材11と外装材21とを有しており、内壁材11は、断熱パネル12と該断熱パネル12の屋外側に配置されたロックウール層15とからなる。また、外装材21はブラケット22を介して床スラブ4の端部に取り付けられている。床スラブ3,4はいずれもコンクリート製であり、現場で打設されたもの或いはスパンクリート等のコンクリートパネルにより構成されたもののいずれであってもよい。
【0025】
本発明において、断熱パネル12は、断熱材14を2枚の金属板13,13間に挟持してなる。断熱材14としては、高い断熱性と難燃性を有するイソシアヌレートフォームが好ましく用いられる。金属板13は、厚さが好ましくは0.5mm〜4.0mmであり、鋼板やステンレス、ガリバリウム鋼板、さらには、これらに合成樹脂塗装やメッキを施したものが好ましく用いられる。また、断熱材14は、好ましくは、厚さが49mm〜299mmであり、断熱パネル12として厚さが50mm〜300mmとなることが好ましい。断熱パネル12として好ましくは、断熱材14がイソシアヌレートフォームで、金属板13が合成樹脂塗装鋼板或いは合成樹脂塗装めっき鋼板である、国土交通大臣認定番号NM−3065或いはNM−3699の建築用不燃ボードが用いられる。
【0026】
本発明に係るロックウール層15は、耐火層であって、フェルト状に成形されたロックウールシートであってもよいが、施工が容易であることから吹き付けロックウールが好ましい。吹き付けロックウールは、ロックウール粒状綿を結合材としてのセメントと共に、専用の吹付け機を用いて吹き付けてなる。いずれも、内部に連続気泡を有し、軽量で耐火性に優れている。ロックウール層15がロックウールシートの場合には、予め断熱パネル12に該ロックウールシートを取り付けて一体化しておいてから、該断熱パネル12を床スラブ4に取り付けても良い。また、ロックウール層15が吹き付けロックウールの場合には、断熱パネル12を床スラブ4に取り付けた後、ロックウールを吹き付ければよい。
【0027】
本発明においては、少なくとも、断熱パネル12の屋外側表面に該ロックウール層15を有する。ロックウール層15の厚さは、好ましくは10mm〜50mmである。本発明においては、断熱パネル12として上記国土交通大臣認定番号NM−3065或いはNM−3699の建築用不燃ボードを用い、吹き付けロックウールでロックウール層15を形成することで、国土交通大臣認定番号FP060NE−9305の1時間耐火の吹き付けロックウール被覆外壁を構成することができ、本発明の内壁材11として好ましく用いることができる。
【0028】
本発明においては、内壁材11よりも屋外側に外装材21が配置されているため、内壁材11の屋外側に配置されたロックウール層15が、雨や雪、風などの外部環境より保護され、係る外部環境によってロックウール層15が損傷し、内壁材11の耐火性が低下するのが防止される。また、本発明では、内壁材11に外装材21、或いは、該外装材21を取り付けるための胴縁を直接取り付けると、外装材21や胴縁でロックウール層15を押しつぶすことになるため、係る構成を取ることができない。そこで本発明においては、外装材21をブラケット22を介して床スラブ4の端部に取り付けることにより、該外装材21とロックウール層15との間に空隙を形成し、ロックウール層15に外装材21が接触しないように構成されている。
【0029】
本例では、ブラケット22と床スラブ4との間に断熱パッキン23を介在させることで、断熱対策が施されている。ブラケット22が金属製の場合、コンクリート製の床スラブ4の端部に直接ブラケット22を取り付けた場合に、床スラブ4とブラケット22とが屋内側から屋外側につながる伝熱経路を形成してしまうが、本例のように、ブラケット22と床スラブ4との間に断熱パッキン23を介在させることで、係る伝熱経路を遮断し、断熱性を高めることができる。断熱パッキン23としてはウレタン繊維断熱材の加工品が好ましく用いられる。
【0030】
尚、本例では、ブラケット22の端部が縦胴縁24に溶接固定された取り付け板27に取り付けられ、該縦胴縁24に取り付け金具26によって横胴縁25が取り付けられた上で、該横胴縁25に外装材21が取り付けられているが、取り付け板27、縦胴縁24、横胴縁25は、取り付けられる外装材21の種類や寸法によって必要に応じて用いられる。外装材21としては、市販の建築外装用の金属板、金属波板、或いはこれらに樹脂塗装を施したものが好ましく用いられる。また、外装材21の下端には、必要に応じて水切り金具32が取り付けられる。
【0031】
断熱パネル12は上下階を隔てる床スラブ4の上下に配置され、該断熱パネル12に接する部材、或いは、該断熱パネル12の近傍に配置された部材に固定される。本例においては、アングル31を用いて、1階の断熱パネル12は上端を床スラブ4に、下端を基礎1に固定し、2階の断熱パネル12の下端を床スラブ4に固定した例を示したが、本発明は係る例に限定されない。具体的には、断熱パネル12の下端は1階であれば基礎1に、2階以上では床スラブ4に固定すれば良く、断熱パネル12の上端は、最上階以外は上階の床スラブ4、或いは床スラブ4の端部近傍に設けられる梁(不図示)に固定すれば良く、最上階については天井スラブ、天井スラブの端部近傍に設けられる梁、鉄骨等に固定される。また、柱近傍の断熱パネル12は、該柱にブラケット等で固定されていても良い。本例では断熱パネル12の固定にアングル31を用いた例を示したが、固定方法はアングル31に限定されるものではなく、ビスや釘などを用いてもかまわない。
【0032】
また、断熱パネル12を床スラブ4の上下に配置した際、床スラブ4の下面と断熱パネル12の上端との間に隙間を生じる場合がある。このような場合には、係る隙間が断熱欠損とならないように、断熱材を充填しておくことが望ましく、係る断熱材としては、断熱パネル12の断熱材14や、ポリウレタンフォームが好ましく用いられる。
【0033】
また、本発明に係る断熱パネル12は、
図2に示すように、水平方向断面において一端を凸状に、他端を該凸状に嵌合する凹状に形成し、水平方向に隣接する2枚の断熱パネル12を、互いに突き合う端部において互いに嵌合させることによって、厚さ方向にずれることなく、且つ隙間無く配置することができる。
【0034】
本発明の施工方法は以下の通りである。ロックウール層15がロックウールシートからなる場合には、予めロックウールシートを取り付けた断熱パネル12を床スラブ4の上下に取り付けるか、床スラブ4の上下に断熱パネル12を取り付けた後、ロックウールシートを取り付ける。また、ロックウール層15が吹き付けロックウールの場合には、床スラブ4の上下に断熱パネル12を取り付けた後、ロックウールを吹き付けてロックウール層15を形成する。次いで、ブラケット22に、必要に応じて、縦胴縁24或いは取り付け板27を取り付けた縦胴縁24、横胴縁25を取り付け、外装材21を取り付ける。ブラケット22は水平方向において所定の間隔をおいて床スラブ4の端部に取り付けられる。本発明の外壁構造は、非コンクリート製であるため、コンクリートの打設や、重いコンクリートパネルの取り付けなどの繁雑な作業が不要であり、作業が容易で短期間で施工することができる。
【0035】
尚、床スラブ4の端部へのブラケット22の取り付けは、断熱パネル12を床スラブ4の上下に取り付けた後が好ましく、ロックウール層15が吹き付けロックウールの場合には、ロックウールの吹き付け前が好ましい。床スラブ4はコンクリート製で耐火性を有するため、ロックウール層15は少なくとも断熱パネル12の屋外側表面を覆っていればよいが、屋外側に露出した床スラブ4の表面をロックウール層15で覆ってしまってもかまわない。
【0036】
従来のコンクリート製の耐火外壁の屋外側に断熱材を取り付けた外壁構造の場合も、最下階の屋内側には、基礎1の上に床断熱材2、さらにその上に床スラブ3を配置していたが、床断熱材2と床スラブ3の周縁を取り囲んでコンクリート製の耐火外壁が配置されるため、床スラブ3から耐火外壁を経て基礎1につながる伝熱経路が形成されてしまう。よって、該伝熱経路を遮断するため、耐火外壁と床スラブ3の周縁との間に、床断熱材2の周縁部から立ち上がる立ち上がり断熱材が突出しており、そのため、屋内側の床面積は該立ち上がり断熱材の分だけ狭くなっていた。本発明においては、
図1に示すように、基礎1の上に床断熱材2と床スラブ3とが順次配置され、これら床断熱材2と床スラブ3の周縁を取り囲んで、断熱パネル12が基礎1の上に配置されるため、床スラブ3と基礎1とが遮断されて屋内から基礎1につながる伝熱経路が形成されない。よって、上記のような、床断熱材2の周縁部から立ち上がる立ち上がり断熱材を配置する必要がなく、床面積を広くとることができる。
【0037】
図3〜
図6を用いて、本発明の外壁構造において、床スラブの端部周辺の断熱性を高めた実施形態について説明する。
図3は、本例の外壁構造の構成を模式的に示す図であり、外壁の厚さ方向及び垂直方向の切断部端面図である。また、
図4は、本例の外壁構造の水平方向の断面図であり、
図3のC−C’断面図である。尚、
図3は
図4のE−E’切断部の端面図である。また、
図5は
図3の防湿部材42付近(破線で囲まれた領域D)の拡大図であり、
図6は本例の応用例を示す端面図であり、
図5と同じ領域を示す図である。
【0038】
本例の外壁構造は、
図3,
図4に示すように、基本的に
図1,
図2に示した外壁構造を備え、さらにポリウレタンフォームからなる外部断熱層41を備えている。外部断熱層41は、床スラブ4の上方に取り付けられた断熱パネル12の下部から、床スラブ4の下方に取り付けられた断熱パネル12の上部にわたって連続し、ロックウール層15の一部と、ブラケット22の少なくとも床スラブ4の端部への取り付け側と、を覆っている。従って、床スラブ4の端部も外部断熱層41で覆われており、床スラブ4の端部がロックウール層15で覆われている場合には、該ロックウール層15の屋外側が該外部断熱層41で覆われている。係る外部断熱層41で覆われることにより、コンクリート製の床スラブ4の端部及びブラケット22の周辺の断熱性が高まる。また、ポリウレタンフォームは現場で発泡成形することができるため、ブラケット22の周囲など、凹凸を有する表面を隙間無く容易に断熱被覆することができる。本発明においては、ロックウール層15と外装材21との間に空隙が形成されているため、係る空隙を利用して外部断熱層41を形成することができる。
【0039】
また、ロックウール層15は連続気泡を有し、通気性があるために、ロックウール層15内には外部より湿気が侵入しやすく、床スラブ4近傍に達した湿気は、該床スラブ4によって冷却され、結露するおそれがある。ロックウール層15内で結露が生じた場合、結露の重みでロックウール層15が下方に垂れ下がったり、さらには、ロックウール層15が断熱パネル12から剥離したりするおそれがあり、結果として内壁材11の耐火性が低下するおそれがある。これに対して、ポリウレタンフォームは独立気泡を有する発泡体であり、通気性に乏しいため、床スラブ4の端部近傍のロックウール層15を該ポリウレタンフォームで覆うことにより、床スラブ4近傍のロックウール層15に湿気が侵入しにくくなり、ロックウール層15内での結露の発生が抑制される。
【0040】
さらに、本例では、外部断熱層41で覆われた領域内においてロックウール層15を上下に分断する防湿部材42を配置することにより、外部断熱層41で覆われていない領域からロックウール層15内に侵入した湿気が、床スラブ4近傍にまで侵入して結露するのを防止することができる。防湿部材42としては、金属製、合成樹脂製のいずれであってもよく、通気性がなく、ロックウール層15を上下に分断できる水平方向に長尺の部材であれば、形状は特に限定されないが、
図5に示すように、カバー片42aと、該カバー片42aと平行な取り付け片42bと、該カバー片42aと取り付け片42bとを接続する接続片42cとからなる断面が略Z字型の部材が好ましい。係る防湿部材42は、断熱パネル12に不図示のビス或いは接着剤等により取り付けられ、カバー片42aがロックウール層15表面を覆い、接続片42cがロックウール層15を分断する。尚、本例では、接続片42cを中心に取り付け片42bを床スラブ4側に向けて防湿部材42を配置しているが、本発明ではこれに限定されない。逆に、カバー片42aを床スラブ4側に向けて配置しても良いが、その場合には、床スラブ4を挟んで上下に配置する防湿部材42,42のカバー片42a,42aの端部同士が突き当たらないようにする必要がある。床スラブ4を挟んで上下に配置する防湿部材42,42のカバー片42a,42aの端部同士が突き当たった場合には、該カバー片42a,42aが床スラブ4の端部を屋外側から完全に覆うことになり、該床スラブ4の端部をポリウレタンフォームで覆うことができなくなる。よって、この場合には、上下の防湿部材42,42のカバー
片42a,42aの端部が間隙を介して位置するように該防湿部材42,42を上下で離して断熱パネル12,12に取り付ける。
【0041】
防湿部材42は、断熱パネル12にロックウール層15を形成する前に断熱パネル12に取り付けられる。断熱パネル12とカバー片42aと接続片42cとで囲まれる領域において断熱パネル12がロックウール層15で覆われるように、
図5に示すように、接続片42cの幅(外壁の厚さ方向の接続片42cの長さ)が、ロックウール層15の厚さよりも好ましくは30mm〜50mm程度大きい防湿部材42を用い、カバー片42aと断熱パネル12との隙間にロックウールシートを押し込む、或いは、ロックウールを吹き付けて、該隙間にロックウールを充填することが望ましい。
【0042】
本例において、外部断熱層41は、
図5に示すように、少なくともカバー片42aを部分的に覆うように形成されるため、外部断熱層41が床スラブ4を挟んで上下に配置された防湿部材42,42と良好に付着して、剥離しにくくなる。
【0043】
さらに本例では、外部断熱層41を防湿塗膜51で覆って外部断熱層41を湿気や水から保護することが好ましい。防湿塗膜51は、好ましくは
図6に示すように、防湿部材42のカバー片42a、さらには、該カバー片42aで覆われていないロックウール層15を部分的に覆うまで形成することが好ましい。防湿塗膜51としては、特に限定されないが、ゴムアスファルトエマルジョン系の防湿材を塗布することによって好ましく形成される。
【0044】
本例では、上記したように、断面が略Z字型の防湿部材42を用い、床スラブ4を挟んで上下に配置された防湿部材42,42間のロックウール層15及び防湿部材42のカバー片42aの一部を外部断熱層41で覆い、さらに、これらを防湿塗膜51で覆うことにより、床スラブ4を挟んで上下に配置された防湿部材42,42間のロックウール層15に屋外側から湿気が侵入する経路が全て遮断されて床スラブ4近傍のロックウール層15内における結露の発生が防止されて、ロックウール層15内の結露に起因する内壁材11の耐火性の低下が防止されると同時に、外部断熱層41も湿気から保護され、外部断熱層41の劣化による床スラブ4の端部付近の断熱性の低下が防止される。
【0045】
尚、防湿部材42としては、
図5に示した防湿部材42の取り付け片42bと接続片42cとからなる断面がL字型の部材であっても、ロックウール層15内に侵入した湿気が床スラブ4近傍に至るのを防止することができる。係る防湿部材42においても、取り付け片42bを床スラブ4側、或いはその逆側のいずれに向けて配置しても良い。
【0046】
本発明の外壁構造における床スラブ4の端部周辺の断熱性を高めた他の実施形態について、
図7〜
図10を用いて説明する。
図7、
図8は、本例の外壁構造の構成を模式的に示す図であり、外壁の厚さ方向及び垂直方向の切断部端面図である。
図7と
図8とは水平方向において異なる位置の切断部の端面図である。また、
図9は、本例の外壁構造の水平方向の断面図であり、
図7のF−F’断面図である。また、
図10は本例の外壁構造の水平方向の断面図であり、
図7のG−G’断面図である。尚、
図7は
図9のH−H’切断部の端面図であり、
図8は
図9のI−I’切断部の端面図である。
【0047】
本例においても、
図7〜
図10に示すように、基本的に
図1,
図2に示した外壁構造を備え、さらに、第二の断熱パネルからなる断熱部材52を備えている。該断熱部材52は、床スラブ4の上方に取り付けられた断熱パネル12の下部から、床スラブ4の下方に取り付けられた断熱パネル12の上部にわたって、断熱パネル12の屋外側に取り付けられている。よって、本例では、床スラブ4の端部が断熱部材52によって覆われ、断熱パネル12の屋外側の露出面と、断熱部材52の屋外側の露出面に連続してロックウール層15が配置されている。
【0048】
本例において用いられる断熱部材52は、断熱材54を2枚の金属板53,53間に挟持してなる第二の断熱パネルからなる。係る断熱材54及び金属板53としては、前記した断熱パネル12を構成する断熱材14及び金属板13と同じ材料が好ましく用いられ、好ましくは、第二の断熱パネルとしては、断熱パネル12と同じ構成とする。
【0049】
本例の断熱部材52は、厚さ方向及び垂直方向における断面が略コ字型であり、該略コ字の外側及び内側にそれぞれ金属板53,53を備えている。係る断熱部材52は、第二の断熱パネルを3枚組み合わせて一体化することで得られる。これにより、断熱パネル12の屋外側表面が床スラブ4の端部よりも屋内側に位置していた場合でも、略コ字形の内側に床スラブ4の端部を配置させて、該断熱部材52を断熱パネル12に取り付けることができる。
【0050】
尚、断熱パネル12の屋外側表面と床スラブ4の端部とが連続している場合や、床スラブ4の端部の方が屋内側に引っ込んでいるような場合には、断熱部材52は本例のように略コ字型の断面を有する形状である必要はなく、板状の第二の断熱パネルをそのまま用いても良い。断熱部材52が板状の場合には、金属板53が断熱パネル12の金属板13と平行になるように配置する。そして、断熱部材52の上下端に断熱材54の端部が露出するため、係る端部を金属板53と同じ金属板で覆うことが好ましい。
【0051】
断熱部材52の断熱パネル12への取り付けは、ビスや釘、アングルなど、一般の取り付け部材(不図示)を用いることができる。
【0052】
また、本例の断熱部材52は水平方向に連続した長尺の部材であるが、ブラケット22を避けて取り付ける必要がある。具体的には、断熱部材52にブラケット22に対応する孔部を形成しておくか、
図10に示すように、水平方向においてブラケット22に断熱部材52の端部が突き当たるように取り付ければよい。いずれの場合も、ブラケット22と断熱部材52との間の隙間は、断熱性充填材55を充填して埋めておくことが望ましい。断熱性充填材55としては、
図3〜
図6の例で外部断熱層41として用いたポリウレタンフォームが好ましく用いられる。尚、ロックウール層15は、
図7,
図9,
図10に示すように、該断熱性充填材55の露出面も覆っていることが望ましい。
【0053】
本例においては、床スラブ4の上下に配置された断熱パネル12に断熱部材52を取り付けることにより、床スラブ4が内壁材11と同様の構成で覆われ、実質的に上下階で内壁材11が連続した構成となり、全体で高い断熱性が得られる。また、前記したように、ロックウール層15の内部に湿気が浸入して結露した場合には、該ロックウール層15が断熱パネル12から剥離するおそれがあるが、本例では、
図7〜
図10に示すように、ロックウール層15と床スラブ4との間には断熱部材52或いは断熱性充填材55が介在し、ロックウール層15が床スラブ4によって冷却されるおそれがない。よって、ロックウール層15の内部に湿気が侵入しても結露するおそれがない。ロックウール層15の施工方法としては、先に説明したロックウールシートの取り付け、或いは吹き付けのいずれでも好ましく用いられる。
【0054】
本例は、断熱パネル12に断熱部材52を取り付け、必要に応じて断熱性充填材55を充填し、断熱パネル12及び断熱部材52の露出面にロックウール層15を設けるだけで良いため、施工が容易である。また、断熱パネル12及び断熱部材52として上記国土交通大臣認定番号NM−3065或いはNM−3699の建築用不燃ボードを用い、吹き付けロックウールでロックウール層15を形成することで、国土交通大臣認定番号FP060NE−9305の1時間耐火の吹き付けロックウール被覆外壁を上下階に連続して構成することができる。
【0055】
〈第2の外壁構造〉
図11は、本発明の第2の外壁構造の一実施形態の構成を模式的に示す図であり、外壁の厚さ方向及び垂直方向の切断部端面図である。また、
図12は、本例の外壁構造の水平方向の断面図であり、
図11のJ−J’断面図である。尚、
図11は
図12のK−K’切断部の端面図である。
【0056】
本発明の第2の外壁構造は、内壁材として耐火パネル62を用いた以外は、先に説明した第1の外壁構造と基本構造は同じである。よって、共通する構成については、説明を省略する。
【0057】
図11,
図12の耐火パネル62は、2枚の金属板63,63間にロックウール層64を有しているが、本発明に用いられる耐火パネル62としては、
図13に示すように、ポリウレタンフォーム、フェノールフォーム、イソシアヌレートフォームのいずれかからなる断熱性を有する中間層65を2層のロックウール層64,64で挟持し、さらにその外側に金属板63,63を配置した構成であっても良い。いずれも耐火材であるロックウール層64を有しており、優れた耐火性及び断熱性が得られるが、断熱性能が同じであれば、
図13の耐火パネル62の方が、より薄い構成とすることができる。
【0058】
本発明において用いられる金属板63としては、第1の外壁構造に用いられる金属板13が好ましく用いられる。また、ロックウール層64は、ロックウールを主材料とし、パネル形状を維持しうる形態であれば、好ましく用いられる。例えば、ロックウールを樹脂バインダーを用いて板状に成形した成形板が好ましく用いられる。
図11,
図12の耐火パネル62のロックウール層64の厚さは、求められる断熱性能、耐火性能に応じて適宜選択される。また、
図13のロックウール層64の厚さは、片側で25〜80mm程度であれば、良好な耐火性が得られた上で、耐火パネル62を薄くすることができ、好ましい。また、中間層65としてのポリウレタンフォーム、フェノールフォーム、イソシアヌレートフォームについては、従来、壁材や壁材の構成部材として用いられている発泡板が好ましく用いられ、必要な断熱性に応じて厚さが選択される。
【0059】
本発明において用いられる耐火パネル62は、外壁の非耐力壁の1時間耐火基準を満たすものが好ましく用いられる。具体的には、建築基準法第2条第七号並びに同法施行令第107条第二号及び第三号(外壁(非耐力壁):各1時間)の規定に適合するものである。尚、第1の外壁構造において、好ましい内壁材として挙げた、国土交通大臣認定番号FP060NE−9305の1時間耐火の吹き付けロックウール被覆外壁についても、係る1時間耐火基準を満たすものである。
【0060】
また、本発明においても、第1の外壁構造と同様に、
図14、
図15に示すように、床スラブ4の上方に取り付けられた耐火パネル62の下部から、床スラブ4の下方に取り付けられた耐火パネル62の上部にわたって連続し、床スラブ4の端部と、ブラケット22の少なくとも床スラブ4の端部への取り付け側と、耐
火パネル62の金属板63の一部と、を覆うポリウレタンフォームからなる外部断熱層41を設けることで、コンクリート製の床スラブ4の端部及びブラケット22の周辺の断熱性を高めることが好ましい。尚、
図15は、本例の外壁構造の水平方向の断面図であり、
図14のL−L’断面図であり、
図14は
図15のM−M’切断部の端面図である。
【0061】
さらに、本発明においても、第1の外壁構造と同様に、
図16に示すように、外部断熱層41の外側を防湿塗膜51で覆って外部断熱層41を湿気や水から保護することが好ましい。尚、防湿塗膜51は、耐火パネル62の金属板63に至るまで形成し、完全に外部断熱層41を覆っている。
【0062】
さらにまた、本発明においても、第1の外壁構造と同様に、基礎1の上に床断熱材2、次いで最下階の床スラブ3が配置され、内壁材である耐火パネル62が床断熱材2及び最下階の床スラブ3の周縁を取り囲んで、基礎1上に配置されているため、従来のコンクリート性の耐火外壁のように、床断熱材2の周縁部から立ち上がる立ち上がり断熱材を配置する必要がなく、床面積を広くとることができる。
【0063】
第2の外壁構造においては、第1の外壁構造における断熱パネル12の取り付けと同様にして耐火パネル62を床スラブ4の上下に取り付け、次いで、第1の外壁構造と同様にブラケット22、必要に応じて、縦胴縁24或いは取り付け板27を取り付けた縦胴縁24、横胴縁25を取り付け、外装材21を取り付けることで施工できる。本外壁構造も非コンクリート製であるため、コンクリートの打設や、重いコンクリートパネルの取り付けなどの繁雑な作業が不要であり、作業が容易で短期間で施工することができる。