特許第6793381号(P6793381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社スペース二十四インフォメーションの特許一覧

<>
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000002
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000003
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000004
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000005
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000006
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000007
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000008
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000009
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000010
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000011
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000012
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000013
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000014
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000015
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000016
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000017
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000018
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000019
  • 特許6793381-セグメント式可変数字表示装置 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6793381
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】セグメント式可変数字表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 11/06 20060101AFI20201119BHJP
   G09F 7/14 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   G09F11/06 A
   G09F7/14
【請求項の数】16
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2020-80193(P2020-80193)
(22)【出願日】2020年4月30日
【審査請求日】2020年5月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】318008716
【氏名又は名称】株式会社スペース二十四インフォメーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107674
【弁理士】
【氏名又は名称】来栖 和則
(72)【発明者】
【氏名】吉川 明宏
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−218654(JP,A)
【文献】 特開昭51−093897(JP,A)
【文献】 特開昭51−102599(JP,A)
【文献】 実開昭61−185469(JP,U)
【文献】 実開昭55−040313(JP,U)
【文献】 実開昭52−154186(JP,U)
【文献】 米国特許第5526599(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0005609(US,A1)
【文献】 実開昭57−110583(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/302
G09F 7/14
G09F 11/06
G09F 9/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示単位としての1個の数字であってセグメント方式で表示されるものを複数個のセグメントに対する作業者による選択に応じて可変に表示するセグメント式可変数字表示装置であって、
少なくとも1個の数字が表示される表示面を有する表示パネルと、
1個の数字のための複数個のセグメントを、各々、縦方向に並んだ少なくとも2個のセグメントの組合せより成る複数のサブセットに分割した場合の1個のサブセットごとに個別に前記表示面に装着される少なくとも1枚の可動片と、
前記表示面に装着された少なくとも1本のガイドバーであって、概して逆U字状を成し、かつ、前記少なくとも1枚の可動片をそれぞれ横方向に頁捲り可能なルーズリーフとして綴じるものと
を含み
各可動片の表面および裏面は、それぞれ、少なくとも部分的にセグメントの図柄が数字色と同色に着色されるか、または全体的に背景色と同色に着色され、
1個の数字についての複数枚の可動片のうち、前記表示面を部分的に覆うようにその表示面上に載置されるものとして作業者によって選択されたものに応じ、表示される数字が可変に表示されるセグメント式可変数字表示装置。
【請求項2】
表示単位としての1個の数字であってセグメント方式で表示されるものを作業者の操作に応じて可変に表示するセグメント式可変数字表示装置であって、
少なくとも1個の数字が表示される表示面を有する表示パネルであって、前記表示面には、1個の数字ごとに存在して1個の数字が表示される数字領域であっていくつかのセグメントの図柄が不動表示されているかまたは何らの図柄も表示されていないものと、その数字領域の外側にある背景領域であって前記セグメントの色である数字色とは異なる背景色に着色されたものとが割り当てられたものと、
1個の数字ごとに、前記数字領域の内側または外側近傍に、前記数字のための複数個のセグメントを、各々、縦方向に並んだ少なくとも2個のセグメントの組合せより成る複数のサブセットに分割した場合の1個のサブセットごとに個別に、または、1個の数字内において互いに隣接する2個のサブセットごとにもしくは互いに隣接する2個の数字を跨ぐように互いに隣接する2個のサブセットごとに装着された少なくとも1枚の可動片と、
1個のサブセットごとに個別に、または、1個の数字内において互いに隣接する2個のサブセットごとにもしくは互いに隣接する2個の数字を跨ぐように互いに隣接する2個のサブセットごとに、前記表示面に装着された少なくとも1本のガイドバーであって、概して逆U字状を成し、かつ、前記少なくとも1枚の可動片をそれぞれ横方向に頁捲り可能なルーズリーフとして綴じるとともに、そのガイドバーと前記表示面とにより、事実上、1本のリングが形成されるものと
を含み、
各可動片は、自身を厚さ方向に貫通する貫通穴を有し、
各ガイドバーは、各可動片の前記貫通穴内にスライド可能に挿入され、それにより、各可動片を各ガイドバーに沿って一端から他端に横方向に移動させると、各可動片が反転し、各可動片のうち、一端位置において露出していた面とは反対側の面が他端位置において露出し、
各可動片の表面および裏面は、それぞれ、少なくとも部分的にセグメントの図柄が前記数字色と同色に着色されるか、または全体的に前記背景色と同色に着色され、
各可動片の表面および裏面のうち、前記表示面を部分的に覆うように前記表示面上に載置されたときに露出するものに描かれているセグメントの図柄と、前記表示面のうち前記可動片によって遮られずに露出する部分、または、隣の可動片の表面および裏面のうち、前記表示面を部分的に覆うように前記表示面上に載置されたときに露出するものに描かれているセグメントの図柄とにより、1個の数字の全体または一部が表示され、
複数枚の可動片のうち、前記表示面を部分的に覆うように前記表示面上に載置されるものとして作業者によって選択されたものに応じ、表示される数字を可変に表示するセグメント式可変数字表示装置。
【請求項3】
1個の数字は、左側サブセットと右側サブセットとに2分割される請求項1または2に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項4】
前記左側サブセットは、さらに、左右に分割され、また、前記右側サブセットは、さらに、左右に分割され、それにより、1個の数字は、全体として、縦4列のサブセットに分割される請求項1または3に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項5】
1個の数字は、「0」および「5」の2個の数字を選択的に表示するために、1枚の可動片によって可変に表示される請求項1または2に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項6】
1個の数字は、「0」から「9」までの10個の数字を選択的に表示するために、9枚の可動片によって可変に表示される請求項1または2に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項7】
互いに隣接した2個の数字は、それぞれ、「0」から「19」までの20個の数字を選択的に表示するために、10枚の可動片によって可変に表示される請求項1または2に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項8】
各可動片の表面は、その表面のみが露出する表面露出状態において、右側サブセットを完成させる一方、同じ可動片の裏面は、その裏面のみが露出する裏面露出状態において、左側サブセットを完成させ、各可動片は、表面と裏面とで、描かれているセグメントの図柄が異なる請求項1または2に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項9】
表示単位としての1個の数字であってセグメント方式で表示されるものを作業者の操作に応じて可変に表示するセグメント式可変数字表示装置であって、
少なくとも1個の数字が表示される表示面を有する表示パネルであって、前記表示面には、1個の数字ごとに存在し、1個の数字が表示される数字領域であっていくつかのセグメントの図柄が不動表示されているかまたは何らの図柄も表示されていないものと、その数字領域の外側にある背景領域であって前記セグメントの色とは異なる背景色に着色されたものとが割り当てられたものと、
1個の数字ごとに、前記数字領域の内側または外側近傍に、前記数字のための複数個のセグメントを、各々、縦方向に並んだ少なくとも2個のセグメントの組合せより成る複数のサブセットに分割した場合の1個のサブセットごとに個別に、または、1個の数字内において互いに隣接する2個のサブセットごとにもしくは互いに隣接する2個の数字を跨ぐように互いに隣接する2個のサブセットごとに装着された少なくとも1枚の折り曲げ片と
を含み、
各折り曲げ片は、前記表示面に固定される固定片と、その固定片に対し、その固定片の一端または内部に設定された1本の縦軸回りに折り曲げ可能な少なくとも1枚の可動片とを有し、
各固定片の表面ならびに各可動片の表面および裏面は、いずれも、少なくとも部分的にセグメントの図柄が前記背景色とは異なる色に着色されるか、または全体的に前記背景色と同色に着色され、
各可動片の表面および裏面のうち、前記表示面を部分的に覆うように折り曲げられたときに露出するものに描かれているセグメントの図柄と、前記表示面のうち前記可動片によって遮られずに露出する部分、または、隣の可動片の表面および裏面のうち、前記表示面を部分的に覆うように折り曲げられたときに露出するものに描かれているセグメントの図柄とにより、1個の数字の全体または一部が表示され、
複数枚の可動片のうち、前記表示面を部分的に覆うように折り曲げるものとして作業者によって選択されたものに応じ、表示される数字を可変に表示するセグメント式可変数字表示装置。
【請求項10】
1個の数字は、左側サブセットと、中央サブセットと、右側サブセットとに3分割される請求項9に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項11】
1個の数字は、「0」および「5」の2個の数字を選択的に表示するために、4枚の折り曲げ片によって可変に表示される請求項9に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項12】
1個の数字は、「0」から「9」までの10個の数字を選択的に表示するために、7枚の折り曲げ片によって可変に表示される請求項9に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項13】
互いに隣接した2個の数字は、それぞれ、「0」から「9」までの10個の数字を選択的に表示するために、9枚の可動片によって可変に表示される請求項9に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項14】
各可動片の表面は、その表面のみが露出する表面露出状態において、右側のサブセットを完成させる一方、同じ可動片の裏面は、その裏面のみが露出する裏面露出状態において、左側のサブセットを完成させ、各可動片は、表面と裏面とで、描かれているセグメントの図柄が異なる請求項9に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項15】
各可動片は、前記表示面の表側には存在するが裏側には存在せず、各可動片の可動域も、前記表示面の表側のみに存在し、それにより、作業者は、前記表示面の表側のみにアクセスすれば、表示される数字を変更できる請求項1ないし14のいずれかに記載のセグメント式可変数字表示装置。
【請求項16】
各可動片は、対応するガイドバーに沿って、一方向に横スライドして第1ストロークエンド位置に到達して第1フラット姿勢を取ったときに占める空間と、逆方向に横スライドして第2ストロークエンド位置に到達して第2フラット姿勢を取ったときに占める空間とが、互いにオーバーラップすることなく、同一平面上に隙間を隔てて横方向に並ぶように、横スライド中に向きおよび姿勢が変化する請求項1ないし7のいずれかに記載のセグメント式可変数字表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示単位としての1個の数字であってセグメント方式で表示されるものを可変に表示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表示単位としての1個の数字をセグメント方式で可変に表示するセグメント式可変数字表示技術が既に存在する。
【0003】
用途上、このセグメント式可変数字表示技術を採用して数字を可変表示する表示装置の一例として、物品やサービスを購入する場合の対価としての金額(例えば、料金、価格、商品価格、製品価格、販売価格、購入価格など)を顧客に提示する料金表示器(例えば、料金看板、料金スタンドなど)がある。
【0004】
別の例として、特定の場所(例えば、駐車場の場所、座席の場所、棟の場所など)を個別に指定するための数字(例えば、場所を識別するための番号など)をその場所を使用するユーザに提示する場所表示器がある。
【0005】
さらに別の例として、空いているスペースの数(例えば、駐車場における空室数、ホール内における空き座席数など)を表示する空きスペース数表示器がある。
【0006】
さらに別の例として、試合のスコア(例えば、球技の点数、ゴルフのスコア、演技のスコアなど)や競技の計測値(例えば、陸上競技の計測タイム、計測長さなど)を数字で表示するスコア/タイム表示器がある。
【0007】
機構上、セグメント式可変数字表示技術には、光源(例えば、液晶,LED,蛍光管など)やアクチュエータ(例えば、モータや磁石などの動力源)を用いて電気的に数字を可変表示する自動可変表示方式と、作業者の操作力によって数字を手動で可変表示する手動可変表示方式とが存在する。
【0008】
そして、表示単位としての1個の数字であってセグメント方式で表示されるものを作業者の操作力によって手動で可変表示するセグメント式可変数字表示技術、すなわち、手動可変表示技術が既に普及している。
【0009】
従来の手動可変表示技術においては、各数字を構成する複数個(例えば、7個)のセグメントのうち有効なもの(例えば、視認されるもの)を選択するために作業者によって操作される可動片が表示板に装着される。その可動片の動きに関し、いくつかの方式が存在する。
【0010】
具体的には、従来のセグメント式可変数字表示技術においては、(1)特許文献1,4および6に開示されているように、可動片を、垂直軸または水平軸回りに回転させることにより、数字を可変に表示する回転方式が存在する。
【0011】
従来のセグメント式可変数字表示技術においては、さらに、(2)特許文献2,3および5に開示されているように、可動片を、それの一端が表示面に固着される状態で、傾動させるか、折り曲げるかまたは折り畳むことにより、数字を可変に表示する傾動方式(例えば、ヒンジ式、フラップ式など)が存在する。
【0012】
従来のセグメント式可変数字表示技術においては、さらに、(3)特許文献7に開示されているように、スクリーン・スライド方式が存在する。この方式においては、表示面のうち、7個のセグメントに対応する7個の部分が、それぞれ、スロット(またはスリット)として局部的に貫通させられる。
【0013】
その表示面の背後に、前記7個のスロットのうち、他のスロットとは異なる色で発色させたいものに対向する位置にその色で局部的に着色されたスクリーン(シート)がスライド可能に配置される。そのスクリーンの着色パターンは、表示面上の7個のセグメントのうち有効化されるもの(すなわち、数字の一部を構成する要素として発色させられるもの)を決める。
【0014】
よって、このスクリーン・スライド方式においては、所望の数字に応じてスクリーンを交換することにより、前記7個のセグメントが全体的にまたは部分的に有効化されるか、すべてのセグメントが無効化され、それにより、所望の数字が可変に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】実開昭53−11981号公報
【特許文献2】実開昭57−110583号公報
【特許文献3】特開平10−171380号公報
【特許文献4】特開平9−218654号公報
【特許文献5】実開昭62−71681号公報
【特許文献6】実開昭58−98673号公報
【特許文献7】実開昭56−170474号公報
【特許文献8】特開昭50−126395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従来のセグメント式可変数字表示技術(以下、単に「従来表示技術」という。)であって、上述の回転方式または傾動方式を採用するものにおいては、特許文献1−6に開示されているように、1個のセグメントごとに1個の可動片が割り当てられていた。
【0017】
ところで、前述の料金表示器、場所表示器およびスコア/タイム表示器などの表示装置は、その表示装置に表示されている数字を変更するために、当該表示装置に作業者が物理的にアクセスし、その作業者が当該表示装置を操作することが必要である場合がある。
【0018】
一方、その表示装置は、その表示装置を操作する作業者とほぼ同じ高さレベルに設置される場合もあれば、作業者より高いレベルに設置される場合もある。
【0019】
表示装置が作業者より高いレベルに設置される場合には、高所に対する作業が作業者に要求されるため、作業者には、例えば、手を高く延ばすとか、長手状の道具を使用するとかいうような追加の動作が要求される。そのため、作業者とほぼ同じ高さレベルに設置される場合より、作業性が悪化する。
【0020】
このような高所設置の表示装置に対し、上述の従来表示技術を採用すると、作業者は、セグメントごとに、当該表示装置のうちの可動片に対して単位動作(例えば、1個の可動片を回転させるか、傾動させるという動作)を反復しなければならず、面倒である。
【0021】
さらに、このような高所設置の表示装置に対し、作業者が、各セグメントごとに、当該表示装置のうちの可動片を水平軸回りに回転させるかまたは傾動させることが必要であると、可動片を垂直軸回りに回転させるかまたは傾動させることが必要である場合より、作業者の手に要求される動作の向きが、当該表示装置から見て低所にいる人間の手の動作として不自然な向きとなる。
【0022】
なぜなら、垂直軸は、作業者の身体中心軸に対して概して平行に延びる軸線であるから、当該表示装置のうちの可動片を垂直軸回りに動かすという動作は、作業者にとり、筋骨格構造上、無理がなく、慣れも必要とはせず、簡単なものであるのに対し、水平軸は、作業者の身体中心軸に対して交差するため、当該表示装置のうちの可動片を水平軸回りに動かすという動作は、作業者にとり、筋骨格構造上、無理があり、慣れを必要とし、複雑なものであり、しかも、当該表示装置が高所に設置されていて、作業者が背伸びする必要がある可能性もあるからである。
【0023】
そのため、この場合には、作業性を高めるために専用の道具を当該表示装置と作業者の手との間に介在させることが必要となり、設備コストの面や作業性の面で不利となる。
【0024】
以上説明した事情を背景として、本発明は、セグメント式可変数字表示装置に対する作業者の手動操作性を向上させることを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
その課題を解決するために、本発明の一側面によれば、表示単位としての1個の数字であってセグメント方式で表示されるものを複数個のセグメントに対する作業者による選択に応じて可変に表示するセグメント式可変数字表示装置であって、
少なくとも1個の数字が表示される表示面を有する表示パネルと、
1個の数字のための複数個のセグメントを、各々、縦方向に並んだ少なくとも2個のセグメントの組合せより成る複数のサブセットに分割した場合の1個のサブセットごとに個別に前記表示面に装着される少なくとも1枚の可動片と、
前記表示面に装着された少なくとも1本のガイドバーであって、概して逆U字状を成し、かつ、前記少なくとも1枚の可動片をそれぞれ横方向に頁捲り可能なルーズリーフとして綴じるものと
を含み
各可動片の表面および裏面は、それぞれ、少なくとも部分的にセグメントの図柄が数字色と同色に着色されるか、または全体的に背景色と同色に着色され、
1個の数字についての複数枚の可動片のうち、前記表示面を部分的に覆うようにその表示面上に載置されるものとして作業者によって選択されたものに応じ、表示される数字が可変に表示されるセグメント式可変数字表示装置が提供される。
【0026】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0027】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0028】
(1) 表示単位としての1個の数字であってセグメント方式で表示されるものを作業者の操作に応じて可変に表示するセグメント式可変数字表示装置であって、
少なくとも1個の数字が表示される表示面を有する表示パネルであって、前記表示面には、1個の数字ごとに存在して1個の数字が表示される数字領域であっていくつかのセグメントの図柄が不動表示されているかまたは何らの図柄も表示されていないものと、その数字領域の外側にある背景領域であって前記セグメントの色である数字色とは異なる背景色に着色されたものとが割り当てられたものと、
1個の数字ごとに、前記数字領域の内側または外側近傍に、前記数字のための複数個のセグメントを、各々、縦方向に並んだ少なくとも2個のセグメントの組合せより成る複数のサブセットに分割した場合の1個のサブセットごとに個別に、または、1個の数字内において互いに隣接する2個のサブセットごとにもしくは互いに隣接する2個の数字を跨ぐように互いに隣接する2個のサブセットごとに装着された少なくとも1枚の可動片と、
1個のサブセットごとに個別に、または、1個の数字内において互いに隣接する2個のサブセットごとにもしくは互いに隣接する2個の数字を跨ぐように互いに隣接する2個のサブセットごとに、前記表示面に装着された少なくとも1本のガイドバーであって、概して逆U字状を成し、かつ、前記少なくとも1枚の可動片をそれぞれ横方向に頁捲り可能なルーズリーフとして綴じるとともに、そのガイドバーと前記表示面とにより、事実上、1本のリングが形成されるものと
を含み、
各可動片は、自身を厚さ方向に貫通する貫通穴を有し、
各ガイドバーは、各可動片の前記貫通穴内にスライド可能に挿入され、それにより、各可動片を各ガイドバーに沿って一端から他端に横方向に移動させると、各可動片が反転し、各可動片のうち、一端位置において露出していた面とは反対側の面が他端位置において露出し、
各可動片の表面および裏面は、それぞれ、少なくとも部分的にセグメントの図柄が前記数字色と同色に着色されるか、または全体的に前記背景色と同色に着色され、
各可動片の表面および裏面のうち、前記表示面を部分的に覆うように前記表示面上に載置されたときに露出するものに描かれているセグメントの図柄と、前記表示面のうち前記可動片によって遮られずに露出する部分、または、隣の可動片の表面および裏面のうち、前記表示面を部分的に覆うように前記表示面上に載置されたときに露出するものに描かれているセグメントの図柄とにより、1個の数字の全体または一部が表示され、
複数枚の可動片のうち、前記表示面を部分的に覆うように前記表示面上に載置されるものとして作業者によって選択されたものに応じ、表示される数字を可変に表示するセグメント式可変数字表示装置。
【0029】
(2) 1個の数字は、左側サブセットと右側サブセットとに2分割される(1)項に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0030】
(3) 前記左側サブセットは、さらに、左右に分割され、また、前記右側サブセットは、さらに、左右に分割され、それにより、1個の数字は、全体として、縦4列のサブセットに分割される(2)項に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0031】
(4) 1個の数字は、「0」および「5」の2個の数字を選択的に表示するために、1枚の可動片によって可変に表示される(1)項に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0032】
(5) 1個の数字は、「0」から「9」までの10個の数字を選択的に表示するために、9枚の可動片によって可変に表示される(1)項に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0033】
(6) 互いに隣接した2個の数字は、それぞれ、「0」から「19」までの20個の数字を選択的に表示するために、10枚の可動片によって可変に表示される(1)項に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0034】
(7) 各可動片の表面は、その表面のみが露出する表面露出状態において、右側のサブセットを完成させる一方、同じ可動片の裏面は、その裏面のみが露出する裏面露出状態において、左側のサブセットを完成させ、各可動片は、表面と裏面とで、描かれているセグメントの図柄が異なる(1)項に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0035】
(8) 表示単位としての1個の数字であってセグメント方式で表示されるものを作業者の操作に応じて可変に表示するセグメント式可変数字表示装置であって、
少なくとも1個の数字が表示される表示面を有する表示パネルであって、前記表示面には、1個の数字ごとに存在し、1個の数字が表示される数字領域であっていくつかのセグメントの図柄が不動表示されているかまたは何らの図柄も表示されていないものと、その数字領域の外側にある背景領域であって前記セグメントの色とは異なる背景色に着色されたものとが割り当てられたものと、
1個の数字ごとに、前記数字領域の内側または外側近傍に、前記数字のための複数個のセグメントを、各々、縦方向に並んだ少なくとも2個のセグメントの組合せより成る複数のサブセットに分割した場合の1個のサブセットごとに個別に、または、1個の数字内において互いに隣接する2個のサブセットごとにもしくは互いに隣接する2個の数字を跨ぐように互いに隣接する2個のサブセットごとに装着された少なくとも1枚の折り曲げ片と
を含み、
各折り曲げ片は、前記表示面に固定される固定片と、その固定片に対し、その固定片の一端または内部に設定された1本の縦軸回りに折り曲げ可能な少なくとも1枚の可動片とを有し、
各固定片の表面ならびに各可動片の表面および裏面は、いずれも、少なくとも部分的にセグメントの図柄が前記背景色とは異なる色に着色されるか、または全体的に前記背景色と同色に着色され、
各可動片の表面および裏面のうち、前記表示面を部分的に覆うように折り曲げられたときに露出するものに描かれているセグメントの図柄と、前記表示面のうち前記可動片によって遮られずに露出する部分、または、隣の可動片の表面および裏面のうち、前記表示面を部分的に覆うように折り曲げられたときに露出するものに描かれているセグメントの図柄とにより、1個の数字の全体または一部が表示され、
複数枚の可動片のうち、前記表示面を部分的に覆うように折り曲げるものとして作業者によって選択されたものに応じ、表示される数字を可変に表示するセグメント式可変数字表示装置。
【0036】
(9) 1個の数字は、左側サブセットと、中央サブセットと、右側サブセットとに3分割される(8)項に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0037】
(10) 1個の数字は、「0」および「5」の2個の数字を選択的に表示するために、4枚の折り曲げ片によって可変に表示される(8)項に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0038】
(11) 1個の数字は、「0」から「9」までの10個の数字を選択的に表示するために、7枚の折り曲げ片によって可変に表示される(8)項に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0039】
(12) 互いに隣接した2個の数字は、それぞれ、「0」から「9」までの10個の数字を選択的に表示するために、9枚の可動片によって可変に表示される(8)項に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0040】
(13) 各可動片の表面は、その表面のみが露出する表面露出状態において、右側サブセットを完成させる一方、同じ可動片の裏面は、その裏面のみが露出する裏面露出状態において、左側サブセットを完成させ、各可動片は、表面と裏面とで、描かれているセグメントの図柄が異なる(8)項に記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0041】
(14) 各可動片は、前記表示面の表側には存在するが裏側には存在せず、各可動片の可動域も、前記表示面の表側のみに存在し、それにより、作業者は、前記表示面の表側のみにアクセスすれば、表示される数字を変更できる(1)ないし(13)項のいずれかに記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0042】
(15) 各可動片は、対応するガイドバーに沿って、一方向に横スライドして第1ストロークエンド位置に到達して第1フラット姿勢を取ったときに占める空間と、逆方向に横スライドして第2ストロークエンド位置に到達して第2フラット姿勢を取ったときに占める空間とが、互いにオーバーラップすることなく、同一平面上に隙間を隔てて横方向に並ぶように、横スライド中に向きおよび姿勢が変化する(1)ないし(6)項のいずれかに記載のセグメント式可変数字表示装置。
【0043】
(15) 表示単位としての1個の数字であってセグメント方式で表示されるものを作業者の操作に応じて可変に表示するセグメント式可変数字表示装置であって、
フレームと、
そのフレームに位置固定に装着された固定表示パネルと、
前記フレームに、前記固定表示パネルの前方または背後に、前記固定表示パネルに対して相対的に縦方向にスクロール可能に装着された複数本のエンドレスのリールであって、前記数字が水平方向に並んだ複数のエリアに分割された場合のそれらエリアにそれぞれ関連付けられるものと、
作業者の操作力または電動機を用いることにより、前記複数本のリールを個別にスクロールするスクロール機構と
を含み、
前記固定表示パネルが前記複数本のリールの前方に配置される場合には、前記固定表示パネルは、前記数字が表示される表示領域と、その外側にある背景領域とを有し、前記表示領域は、前記数字の各セグメントに該当する部分にそれぞれ光透過穴を有し、前記背景領域は、背景色に着色され、前記各リールの表面は、前記背景色と同色に着色された同色領域と、前記背景色とは異なる色に着色された異色領域とを、各リールの長手方向に沿って並ぶように有し、
前記固定表示パネルが前記複数本のリールの背後に配置される場合には、前記固定表示パネルの表面は、背景色に着色され、前記各リールは、前記数字が表示される表示領域と、その外側にある背景領域とを有し、前記表示領域は、前記数字の各セグメントに該当する部分にそれぞれ光透過穴を有し、前記背景領域は、前記背景色と同色に着色されたセグメント式可変数字表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、本発明の例示的な第1の実施形態に従うルーズリーフ・スライド式のセグメント式可変数字表示装置(以下、「表示装置」という。)を備えた料金看板を、設置場所の一例としての駐車場に設置されている状態で、かつ、当該料金看板が表示する金額を変更する作業者と一緒に示す正面図である。
図2図2は、図1に示す表示装置のうちの表示面上に可変表示される4個の数字のレイアウトを、前記表示面上に各数字ごとに不動表示される複数のベースパターンと共に示す正面図である。
図3図3は、図2に示す表示面を、その表示面上に複数枚の可動片がルーズリーフ・スライド式で傾動可能に装着された状態で示す正面図である。
図4図4は、図3に示す表示装置の一部を示す下方斜視図である。
図5図5(a)は、図3に示す複数枚の可動片の一部およびルーズリーフ・スライド機構を示す平面図であり、同図(b)は、同図(a)におけるA−A断面図であり、同図(c)は、同図(a)におけるB−B断面図である。
図6図6(a)は、1個の数字を表現する7個のセグメントを縦4列のサブセットに分割して1個の数字を可変表示する4分割表示方式を概念的に説明するための正面図であり、同図(b)は、1個の数字を表現する7個のセグメントを縦2列サブセットに分割して1個の数字を可変表示する2分割表示方式を概念的に説明するための正面図である。
図7図7は、図2に示す表示面上において各数字が可変に表示される原理を説明するための図であって、「0」から「9」までの10個の数字をそれぞれ4分割表示方式で表示する場合に、各列ごとに採用すべき可変パターンを示す可変パターン図である。
図8図8は、図7に示す複数の可変パターンの分類を、各可変パターンに固有の番号を付して概念的に示す図である。
図9図9は、図2に示す表示面上において、100の位の位置において「0」から「9」までの10個の数字をそれぞれを4分割表示方式で表示する場合に、各数字ごとに採用される可変パターンの組合せを示す図である。
図10図10は、図2に示す表示面上において、1000の位の位置において、空白かまたは「1」という1個の数字を4分割表示方式で表示する場合に採用される可変パターンの組合せを示す図である。
図11図11は、図2に示す表示面上において、10の位の位置において「0」または「5」の数字をそれぞれを2分割表示方式で表示する場合に、各数字ごとに採用される可変パターンの組合せを示す図である。
図12図12は、本発明の例示的な第2の実施形態に従うフラップ傾動式(頁捲り式)のセグメント式可変数字表示装置(以下、「表示装置」という。)の表示面上において可変表示される4個の数字のレイアウトを、前記表示面上に各数字ごとに不動表示される複数のベースパターンと共に示す説明するための正面図である。
図13図13は、1個の数字を表現する7個のセグメントを縦3列のサブセットに分割して1個の数字を可変表示する3分割表示方式を概念的に説明するための正面図である。
図14図14(a)は、図12に示す表示面上に部分的に固着されるフラップ・ユニットを、展開状態(最大伸展状態)と折畳み状態(最大屈曲状態)との間の遷移状態で示す斜視図であり、同図(b)は、フラップ・ユニットを折畳み状態で示す平面図であり、同図(c)は、フラップ・ユニットを進展状態で示す平面図である。
図15図15(a)は、図12に示す表示面を、その上に第1ないし第5のフラップ・ユニットが部分的に固着される状態で示す正面図であり、同図(b)は、各フラップ・ユニットを片開き状態で示す正面図であり、同図(c)は、各フラップ・ユニットを両開き状態で示す正面図である。
図16図16は、図12に示す表示面上において各桁ごとに数字が可変に表示される原理を説明するための図であって、各数字を3分割表示方式で表示する場合に、各桁の各列ごとに採用すべき可変パターンを示す可変パターン図である。
図17図17は、本発明の例示的な第3の実施形態に従う複列縦リール式のセグメント式可変数字表示装置(以下、「表示装置」という。)を示す分解斜視図である。
図18図18は、図17に示す表示装置において数字が可変に表示される原理を説明するための正面図である。
図19図19は、図17に示す表示装置のうちの駆動機構の一変形例を概念的に表す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明のさらに具体的な例示的な実施の形態のうちのいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0046】
[第1の実施形態:ルーズリーフ・スライド式]
【0047】
図1は、本発明の例示的な第1の実施形態に従うルーズリーフ・スライド式のセグメント式可変数字表示装置(以下、「表示装置」という。)10を備えた料金看板12を正面図で示している。
【0048】
具体的には、同図は、その料金看板12を、設置場所の一例としての駐車場14に、それの接地面より高い高所に設置されている状態で、かつ、当該料金看板12が表示する金額を変更する作業者16と一緒に示している。
【0049】
一例においては、表示装置10は、顧客が支払うべき料金の額を最大4桁(それより多数の桁であっても少数の桁であってもよい)の数字で可変に表示し、その金額すなわち数字の変更は、作業者16が、手または単純な道具(例えば、可動片60への係合に適した構造を有する特徴部を先端に有するロッド)を用いて、表示装置10を操作することにより行われる。
【0050】
上述のように、および、図1に示すように、表示装置10は、作業者16の頭部より上方に位置する高所に設置されている。そのため、表示装置10には、作業者16が単純な動作で数字を変更可能であること、すなわち、改善された作業性が要望される。
【0051】
料金看板12は、駐車場14の接地面または設置面から垂直に延びる複数本のポスト20を有するフレーム22と、そのフレーム22に装着された表示装置10とを有する。その表示装置10は、複数個の数字が表示される表示面30を有する表示パネル32を備えている。その表示面30は、複数個の数字がそれぞれ可変に表示される複数個の数字領域40と、それらの外側に位置する背景領域42とを有する。
【0052】
各数字領域40において、各数字を表現する最大7個のセグメントは、それぞれ、数字色(例えば、黄色、赤色、オレンジ色、緑色であって、背景色とは異なる色)に着色される一方、背景領域42は、数字色とは異なる背景色(例えば、黒色)に着色される。
【0053】
本実施形態においては、料金として、4桁の数字が横一列に並んでおり、1000の位、100の位、10の位および1の位のそれぞれの数字が存在する。
【0054】
また、本実施形態においては、4桁の数字により、「100」から「1950」までの金額が可変に表示される。
【0055】
具体的には、1000の位の位置においては、空白か「1」の数字が可変に表示され、また、100の位の位置においては、「0」から「9」までの数字が可変に表示され、また、10の位の位置においては、「0」または「5」の数字が可変に表示され、また、1の位の位置においては、「0」の数字が継続的に表示される。
【0056】
図2は、図1に示す表示装置10のうちの表示面30上に可変表示される4個の数字のレイアウトを、表示面30上に各数字ごとに不動表示される複数のベースパターン50と共に正面図で示している。
【0057】
それらベースパターン50は、1000の位の位置において、背景色と同色に着色されたベースパターン50と、100の位、10の位および1の位のそれぞれの位置において、数字色と同色に着色された複数のベースパターン50とを有する。数字色と同色に着色された各ベースパターン50は、図示されているもの以外のものを採用してもよい。
【0058】
<ルーズリーフ・スライド機構>
【0059】
図3は、図2に示す表示面30を、その表示面30上に複数枚の可動片(例えば、頁、矩形状のシート、リーフ、フィルムなど)60がルーズリーフ・スライド式で傾動可能に装着された状態で正面図で示している。図4は、図3に示す表示装置10の一部を下方斜視図で示している。
【0060】
本実施形態においては、図3図4および図5に示すように、1個の数字ごとに、数字領域40の内側または外側近傍に、1個の数字のための7個のセグメントを、各々、縦方向に並んだ少なくとも2個のセグメントの組合せより成る複数のサブセット(複数の部分集合)に分割した場合の1個のサブセットごとに個別に、または、1個の数字内において互いに隣接する2個のサブセットごとにもしくは互いに隣接する2個の数字を跨ぐように互いに隣接する2個のサブセットごとに、少なくとも1枚の可動片60が頁捲り可能に(傾動可能に)装着されている。
【0061】
後に図6を参照して詳述するが、「複数のサブセット」の一例は、同図(a)に示すように、最も左側に位置する第1左列と、それの右隣に位置する第2左列と、最も右側に位置する第1右列と、それの左隣に位置する第2右列という、4個のサブセットである。
【0062】
また、「複数のサブセット」の別の例は、同図(b)に示すように、左列と右列という、2個のサブセットである。
【0063】
なお、後に別の実施形態について、図13を参照して説明するが、「複数のサブセット」のさらに別の例は、左列と中央列と右列という、3個のサブセットである。
【0064】
本実施形態においては、図3図4および図5に示すように、1個のサブセットごとに個別に、または、1個の数字内において互いに隣接する2個のサブセットごとにもしくは互いに隣接する2個の数字を跨ぐように互いに隣接する2個のサブセットごとに、表示面30に横方向に延びるようにガイドバー70が装着される。
【0065】
本実施形態においては、ガイドバー70が、各可動片60ごとに、複数本(例えば、4本)装着され、それにより、各可動片60の自重を複数本のガイドバー70が分散して負担することが可能となるとともに、各可動片60が複数本のガイドバー70の表面をスライドしながらスムーズに移動することが可能となる。
【0066】
さらに、各ガイドバー70は、概して逆U字状を成す金属製のロッドであり、1本のガイドバー70と表示面30とにより、事実上、1本のリングが形成される。このリングが、ルーズリーフ・スライド式を実現可能とする。
【0067】
各ガイドバー70は、1枚の可動片60をスライド可能に保持することが可能であり、さらに、複数枚の可動片60を綴じるとともにスライド可能に保持することが可能である。このことに着目すると、各可動片60は、対応するガイドバー70によって綴じられた状態で、いわゆるルーズリーフとして機能する。
【0068】
各ガイドバー70は、一円周の一部(円弧)に沿って延びる円環状エンドレス構造であってもよいし、表示面30から突出する一対の円弧部であって互いに対向する向きに延びるものと、それら円弧部をつなぐ直線部であって表示面30に対して概して平行に延びるものとを有する直線部付きエンドレス構造であってもよい。
【0069】
図5(a)は、図3に示す複数枚の可動片60の一部およびルーズリーフ・スライド機構78を示す平面図であり、同図(b)は、同図(a)におけるA−A断面図であり、同図(c)は、同図(a)におけるB−B断面図である。
【0070】
同図(b)および(c)に示すように、各可動片60は、自身を厚さ方向に貫通する貫通穴80を有する。各ガイドバー70は、各可動片60の貫通穴80内にスライド可能に挿入される。それにより、各可動片60を各ガイドバー70に沿って一端から他端に横方向に移動させると、各可動片60が反転し、各可動片60のうち、一端位置において露出していた面とは反対側の面が他端位置において露出する。
【0071】
よって、本実施形態においては、各可動片60ごとに、それの複数個の貫通穴80と、複数本のガイドバー70とが互いに共同して、ルーズリーフ・スライド機構78を構成している。
【0072】
さらに、本実施形態においては、同図(b)に示すように、各可動片60が、対応するガイドバー70に沿って、一方向に横スライドして第1ストロークエンド位置(例えば、右端位置)に到達して第1フラット姿勢を取ったときに占める空間と、逆方向に横スライドして第2ストロークエンド位置(例えば、左端位置)に到達して第2フラット姿勢を取ったときに占める空間とが、互いにオーバーラップすることなく、同一平面上に隙間を隔てて横方向に並ぶように、横スライド中に向きおよび姿勢が変化する。
【0073】
ただし、第1フラット姿勢と第2フラット姿勢とが同一平面上に位置するという事象は、いずれのストロークエンド位置にも別の可動片60が存在していないことを条件とする。いずれかのストロークエンド位置に別の可動片60が存在する場合には、同図(c)に示すように、2枚の可動片60がオーバーラップするが、先端位置においては、互いに一致する。
【0074】
さらに、本実施形態においては、同図(b)および(c)に示すように、各可動片60が、表示面30の表側(作業者から見える面)には存在するが裏側には存在せず、各可動片60の可動域も、表示面30の表側のみに存在し、それにより、作業者は、表示面30の表側のみにアクセスすれば、表示される数字を変更するための作業を完結することが可能となる。
【0075】
本実施形態によれば、作業者は、複数枚の可動片60のうち、頁捲りすることが必要である標的可動片60を、概して垂直軸回りにスライドさせて捲るという動作を行えばよいため、図1に示すように、表示装置10が作業者の頭部より高所に設置されていても、作業者に要求される動作が複雑にならずに済む。
【0076】
なお、同図(a)に示すように、左側の可動片60には、それの右側エッジにおいて、4個の切欠きが存在するが、それらは、右隣の4本のガイドバー70の通過を許容するための逃げである。
【0077】
さらに、本実施形態においては、各可動片60の表面および裏面が、それぞれ、少なくとも部分的にセグメントの図柄が背景色とは異なる色に着色されるか、または全体的に背景色と同色に着色される。
【0078】
さらに、本実施形態においては、各可動片60の表面および裏面のうち、表示面30を部分的に覆うように表示面30上に載置されたときに露出するものに描かれているセグメントの図柄と、表示面30のうち当該可動片60によって遮られずに露出する部分、または、隣の可動片60の表面および裏面のうち、表示面30を部分的に覆うように表示面30上に載置されたときに露出するものに描かれているセグメント、すなわち、ベースパターン50の図柄とにより、1個の数字の全体または一部が表示される。
【0079】
以上説明した構成のおかげで、本実施形態においては、複数枚の可動片60のうち、表示面30を部分的に覆うように表示面30上に載置されるものとして作業者によって選択されたものに応じ、表示される数字が可変に表示される。
【0080】
<4分割表示方式>
【0081】
図6(a)は、1個の数字を表現する7個のセグメントを縦4列のサブセットに分割して1個の数字を可変表示する4分割表示方式を概念的に説明するための正面図である。
【0082】
ここに、「縦4列のサブセット」は、1個の数字において、最も左側に位置する第1左列(第1のサブセット)と、それの右隣に位置する第2左列(第2のサブセット)と、最も右側に位置する第1右列(第3のサブセット)と、それの左隣に位置する第2右列(第4のサブセット)とから構成される。
【0083】
1個の数字を構成する7個のセグメントは、左側において縦方向に隣接して並んだ2個のセグメントS1,S2と、中央において縦方向に離散的に並んだに位置する3個のセグメントS3,S4,S5と、右側において縦方向に隣接して並んだ2個のセグメントS6,S7とから構成される。
【0084】
そして、上述の第1左列には、左側に位置する2個のセグメントS1,S2が帰属し、上述の第2左列には、中央に位置する3個のセグメントS3,S4,S5のうち、それぞれの左半分が帰属する。また、同様にして、上述の第1右列には、右側に位置する2個のセグメントS6,S7が帰属し、上述の第2右列には、中央に位置する3個のセグメントS3,S4,S5のうち、それぞれの右半分が帰属する。
【0085】
<2分割表示方式>
【0086】
これに対し、同図(b)は、1個の数字を表現する7個のセグメントを縦2列サブセットに分割して1個の数字を可変表示する2分割表示方式を概念的に説明するための正面図である。
【0087】
ここに、「縦2列のサブセット」は、1個の数字において、左側に位置する左列(第1のサブセット)と、右側に位置する右列(第2のサブセット)とから構成される。
【0088】
そして、上述の左列には、左側の2個のセグメントS1,S2と、中央の3個のセグメントS3,S4,S5のうち、それぞれの左半分とが帰属する。また、同様にして、上述の右列には、右側の2個のセグメントS6,S7と、中央の3個のセグメントS3,S4,S5のうち、それぞれの右半分とが帰属する。
【0089】
この2分割表示方式においては、1個の数字のうちの左列が、上述の4分割表示方式における第1左列と第2左列とを組み合わせたもの、すなわち、後述の図7における第1列の可変パターンと第2列の可変パターンとを組み合わせたものに相当する。
【0090】
同様に、この2分割表示方式においては、1個の数字のうちの右列が、上述の4分割表示方式における第1右列と第2右列とを組み合わせたもの、すなわち、後述の図7における第3列の可変パターンと第4列の可変パターンとを組み合わせたものに相当する。
【0091】
<各数字を表現するための可変パターンの組合せ>
【0092】
図7は、図2に示す表示面30上において各数字が可変に表示される原理を説明するための図であって、「0」から「9」までの10個の数字をそれぞれ4分割表示方式で表示する場合に、各列ごとに採用すべき可変パターンを示す可変パターン図である。
【0093】
また、図8は、図7に示す複数の可変パターンの分類を、各可変パターンに固有の番号を付して概念的に示す図である。
【0094】
例えば、数字の「1」を表示する場合には、第1列(第1左列)、第2列(第2左列)および第3列(第2右列)については、いずれも、第1可変パターン(全面が背景色)が選択され、また、第4列(第1右列)については、第2可変パターンが選択される。
【0095】
また、数字の「2」を表示する場合には、第1列(第1左列)については、第4可変パターンが選択され、また、第2列(第2左列)については、第8可変パターンが選択され、また、第3列(第2右列)についても、第8可変パターンが選択され、また、第4列(第1右列)については、第3可変パターンが選択される。
【0096】
また、数字の「3」を表示する場合には、第1列(第1左列)については、数字の「1」と同じパターン、すなわち、第1可変パターン(全面が背景色)が選択され、また、第2列(第2左列)については、数字の「2」と同じパターン、すなわち、第8可変パターンが選択され、また、第3列(第2右列)についても、第8可変パターンが選択され、また、第4列(第1右列)については、数字の「1」と同じパターン、すなわち、第2可変パターンが選択される。
【0097】
また、数字の「4」を表示する場合には、第1列(第1左列)については、第3可変パターンが選択され、また、第2列(第2左列)については、第6可変パターンが選択され、また、第3列(第2右列)についても、第6可変パターンが選択され、また、第4列(第1右列)については、数字の「1」と同じパターン、すなわち、第2可変パターンが選択される。
【0098】
このように、本実施形態においては、「0」から「9」までの10個の数字を、図8に示す8個の可変パターンのうちのいずれかを、4個の列のそれぞれについて選択することにより、表示することが可能となる。
【0099】
図9図11の表記方法の説明>
【0100】
ここで、図9図11の表記方法を説明する。この表記方法は、他の桁の数字についても適用される。
【0101】
例えば、図9において、「表1」という表記は、1個の数字のうちの1個の桁について複数枚の可動片60が積層状態で存在する場合、同図中、左に図示するように、複数枚の可動片60が、ホームポジション(前記第1ストロークエンド位置)において、3枚積層される場合に、一番上に位置する(1枚目の)可動片60の表面に描かれた図柄を示す。また、「表2」という表記は、2枚目の可動片60の表面に描かれた図柄を示す。
【0102】
また、同図において、「裏1」という表記は、1枚目の可動片60が、ホームポジションから、反対側のストロークエンド位置(前記第2ストロークエンド位置)に移動して反転したために露出した、その可動片60の裏面(ホームポジションにおいて「裏面」となる)に描かれた図柄を示す。また、「裏2」という表記は、2枚目の可動片60の裏面に描かれた図柄を示す。
【0103】
また、図10および図11において、「表」という表記は、1個の数字のうちの1個の桁について1枚の可動片60しか存在しない場合、1枚の可動片60が、ホームポジション(前記第1ストロークエンド位置)において、1枚の可動片60の表面に描かれた図柄を示す。
【0104】
また、同図において、「裏」という表記は、1枚の可動片60が、ホームポジションから、反対側のストロークエンド位置に移動して反転したために露出した、その可動片60の裏面(ホームポジションにおいて「裏面」となる)に描かれた図柄を示す。
【0105】
また、図9図11において、曲がった矢印は、その矢印が示す向きに可動片60の頁捲りが行われたことを示す。
【0106】
また、図9図11において、「なし」という表記は、その場所にいずれの可動片60も存在しないことを意味する。したがって、その場所においては、ベースパターン50(特定の図柄である場合もあれば、全面が背景色である場合もある)が存在する場合には、そのベースパターン50が露出して、目標の1個の数字を少なくとも部分的に構成することになる。
【0107】
<各桁における可動片のホームポジション>
【0108】
各位(桁)の位置に位置する各可動片60につき、図3に示す位置が、少なくとも説明の便宜上、ホームポジションである。具体的には、1000の位については、1枚の可動片60(第1可動片)が数字の「1」を表す位置であり、100の位については、横並びの2枚の可動片60(第2可動片および第3可動片)が数字の「8」を表す位置であり、10の位については、1枚の可動片60(第4可動片)が数字の「0」を表す位置である。
【0109】
<100の位の数字の表示方法>
【0110】
図9は、図2に示す表示面30上において、100の位の位置において「0」から「9」までの10個の数字をそれぞれを4分割表示方式で表示する場合に、各数字ごとに採用される可変パターンの組合せを表形式で示す図である。
【0111】
同図に示すように、各列ごとにパターン数(可変表示される図柄の数)を説明するに、第1左列については、4個(「なし」,「表1」,「表2」および「表3」)となる。また、第2左列については、5個(「なし」,「表1」,「表2」,「表3」および「表4」)となる。また、第2右列については、5個(「表1」,「表2」,「表3」,「表4」および「表5」)となる。また、第1右列については、3個(「なし」,「表1」および「表2」)となる。
【0112】
同図に示すように、第2右列がホームポジションであるように設置される各可動片60は、数字の「1」,「4」,「7」および「0」をそれぞれ表示する場合に、第1の可動片60が第1ストロークエンド位置(図の例では、右端位置)において第2右列を構成する一方、第2の可動片60が第2ストロークエンド位置(図の例では、左端位置)において第2左列を構成する。したがって、各可動片60の表面と裏面とがいずれも、すなわち、両面とも、いずれかの列を構成するために使用される。
【0113】
よって、1枚の可動片60の表面の図柄と裏面の図柄とが、互いに隣接した2本の列(2本のサブセット)を、それぞれ、互いに異なるタイミングで、構成することが可能である。それら2本の列は、同じ数字領域40内に存在する場合がある。
【0114】
例えば、同図において、3枚目の可動片60の表面(「表3」)は、数字の「4」の第2右列を構成し、また、同じ可動片60の裏面(「裏3」)は、数字の「7」の第2左列を構成する。
【0115】
また、4枚目の可動片60の表面(「表4」)は、数字の「7」の第2右列を構成し、また、同じ可動片60の裏面(「裏4」)は、数字の「0」の第2左列を構成する。
【0116】
これに代えて、1枚の可動片60によってカバーされる、互いに隣接した2本の列は、互いに隣接した2個の数字にまたがって存在する場合もある。
【0117】
例えば、1枚目の可動片60の表面(「表1」)は、「1」などの数字の第1右列を構成し、また、同じ可動片60の裏面(「裏1」)は、10の位の数字(隣の数字)の左列を構成する。
【0118】
本実施形態においては、100の位の位置において、「0」から「9」までの10個の数字を選択的に表示するために、5個の可変パターンが使用され、また、1個のベースパターン50との協働により、4枚の可動片60が使用される。
【0119】
<1000の位の数字の表示方法>
【0120】
図10は、図2に示す表示面30上において、1000の位の位置において、空白かまたは「1」という1個の数字を4分割表示方式で表示する場合に採用される可変パターンの組合せを表形式で示す図である。
【0121】
同図に示すように、各列ごとに総パターン数を説明するに、第1左列については、1個(「なし」)となる。また、第2左列については、1個(「なし」)となる。また、第2右列については、1個(「なし」および「裏(黒色)の2つあるが、いずれも、黒色であるため、事実上、パターン数は1個)」となる。また、第1右列については、2個(「なし」および「表」)となる。
【0122】
本実施形態においては、1000の位の位置において、空白か「1」の数字を選択的に表示するために、2個の可変パターンが使用され、また、1個のベースパターン50との協働により、1枚の可動片60が使用される。
【0123】
<10の位の数字の表示方法>
【0124】
図11は、図2に示す表示面30上において、10の位の位置において「0」または「5」の数字をそれぞれを2分割表示方式で表示する場合に、各数字ごとに採用される可変パターンの組合せを表形式で示す図である。
【0125】
同図に示すように、各列ごとに総パターン数を説明するに、左列については、2個(「なし」および「裏」)となる。また、右列については、2個(「表」および「なし」)となる。
【0126】
本実施形態においては、10の位の位置において、「0」および「5」の2個の数字を選択的に表示するために、2個の可変パターンが使用され、また、1個のベースパターン50との協働により、1枚の可動片60が使用される。
【0127】
<可動片の必要枚数>
【0128】
本実施形態によれば、最も左側の可動片60(第1可動片)は、図10に示すように、1枚で足りる可能性がある。また、その右隣の可動片60(第2可動片)は、図9に示すように、3枚で足りる可能性がある。また、その右隣の可動片60(第3可動片)は、同図に示すように、4枚で足りる可能性がある。また、その右隣の可動片60(第4可動片)は、同図に示すように、2枚で足りる可能性がある。また、その右隣の可動片60(第5可動片)は、図11に示すように、1枚で足りる可能性がある。
【0129】
そうすると、本実施形態によれば、全部で11枚の可動片60で足りる可能性がある。これに対し、4桁の数字列のうち可変の数字である3桁(1の位を除く)の数字より成る数字列についての合計セグメント数は、2+7×2=16となるから、本実施形態によれば、それより少ない枚数の可動片60で同じ目的を達することが可能となる。
【0130】
さらに、本実施形態によれば、1個の数字が、「0」および「5」の2個の数字を選択的に表示するために、1枚の可動片60によって可変に表示される。
【0131】
さらに、本実施形態によれば、1個の数字が、「0」から「9」までの10個の数字を選択的に表示するために、9枚の可動片60によって可変に表示される。
【0132】
さらに、本実施形態によれば、互いに隣接した2個の数字が、それぞれ、「0」から「19」までの20個の数字を選択的に表示するために、10枚の可動片によって可変に表示される。
【0133】
さらに、本実施形態によれば、1000の位と100の位とに着目すれば、互いに隣接した2個の数字が、それぞれ、「0」から「19」までの20個の数字を選択的に表示するために、10枚の可動片60によって可変に表示されることになる。
【0134】
[第2の実施形態:フラップ傾動式(頁捲り式)]
【0135】
次に、本発明の例示的な第2の実施形態を説明する。ただし、上述の第1の実施形態と共通する要素については、同じ名称または符号を引用して付することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
【0136】
図12は、本実施形態に従うフラップ傾動式(頁捲り式)のセグメント式可変数字表示装置(以下、「表示装置」という。)100を示す正面図である。
【0137】
具体的には、同図は、その表示装置100のうちの表示面30上において可変表示される4個の数字のレイアウトを、表示面30上に各数字ごとに不動表示される複数のベースパターン50と共に示している。
【0138】
それらベースパターン50は、第1の実施形態の図2と同様に、1000の位の位置において、背景色と同じ色で着色されたベースパターン50と、100の位、10の位および1の位のそれぞれの位置において、数字色と同じ色で着色された複数のベースパターン50(不動表示)とを有する。
【0139】
図13は、1個の数字を表現する7個のセグメントを縦3列のサブセットに分割して可変表示する3分割表示方式を概念的に説明するための正面図である。
【0140】
ここに、「縦3列のサブセット」は、1個の数字において、左列(第1のサブセット)と、中央列(第2のサブセット)と、右列(第3のサブセット)とから構成される。
【0141】
そして、上述の左列には、左側に位置する2個のセグメントS1,S2が帰属する。また、上述の中央列には、中央に位置する3個のセグメントS3,S4,S5が帰属する。また、上述の右列には、右側に位置する2個のセグメントS6,S7が帰属する。
【0142】
ここに、本実施形態において、「0」から「9」までの10個の数字を可変に表示するために各列ごとに描かれる図柄(採用される可変パターン)を第1の実施形態におけるものと対比して説明すると、本実施形態においては、左列の図柄が、図7に示す第1列(第1左列)の可変パターンに相当し、また、中央列の図柄が、いずれも同図に示す第2列(第2左列)の可変パターンと第3列(第2右列)の可変パターンとを組み合わせたものに相当し、また、右列の図柄が、同図に示す第4列(第1右列)の可変パターンに相当する。
【0143】
<フラップ・ユニット>
【0144】
図14(a)は、図12に示す表示面30上に部分的に固着される第1ないし第5のフラップ・ユニット110を、展開状態(最大伸展状態)と折畳み状態(最大屈曲状態)との間の遷移状態で示す斜視図である。
【0145】
図15(a)に示すように、表示面30上に第1ないし第5のフラップ・ユニット110が部分的に固着される。同図においては、各フラップ・ユニット110の固着位置(例えば、接着位置、糊付け位置、融着位置など)A,B,C,D,Eが斜線でハッチングされた4個の矩形として示されている。
【0146】
図14(a)に示すように、各フラップ・ユニット110は、複数枚のフラップ112(「可動片」または「折り曲げ片」の一例)を綴じて、それらの基端部114同士を貼り合わせることによって構成されている。各フラップ112は、薄肉のシートまたはフィルムであり、例えば、紙製または合成樹脂製である。
【0147】
各フラップ・ユニット110において、各フラップ112は、他のものと積層状態で貼り合わされる基端部114と、作業者によって変形可能(例えば、概して塑性変形可能)に折り曲げられる可動部116とを有する。基端部114と可動部116との間に垂直に延びる折れ線118が形成される。
【0148】
同図(b)は、各フラップ・ユニット110を折畳み状態で示す平面図であり、同図(c)は、各フラップ・ユニット112を展開状態で示す平面図である。
【0149】
ここに、「折畳み状態」は、図15(b)に2つのバリエーションで示すように、片開き状態でもある。この片開き状態においては、各フラップ・ユニット110において、単独で露出している1枚のフラップ112の表面の図柄(個別図柄。可変パターン)と、当該フラップ・ユニット110に隣接するベースパターン50の図柄(個別図柄。不動パターン)との組合せにより、目標の合成図柄(例えば、1個の数字のうちの一部)を構成する。
【0150】
また、「展開状態」は、同図(c)に各桁ごとに示すように、両開き状態でもある。この両開き状態においては、各フラップ・ユニット110において、同時に露出している2枚のフラップ112のうち上側のものの裏面の図柄(個別図柄。可変パターン)と、下側のフラップ112の表面の図柄(個別図柄。不動パターン)との組合せにより、目標の合成図柄(例えば、1個の数字のうちの一部)を構成する。
【0151】
同図(c)に示すように、第1のフラップ・ユニット110(図中、「No.1」)は、両開き状態において、1000の位の数字のうちの右列と、100の位の数字のうちの左列とを同時に構成する。第2のフラップ・ユニット110(図中、「No.2」)は、両開き状態において、100の位の数字のうちの中央列を構成する。第3のフラップ・ユニット110(図中、「No.3」)は、両開き状態において、100の位の数字のうちの右列と、10の位の数字のうちの左列とを同時に構成する。第4のフラップ・ユニット110(図中、「No.4」)は、両開き状態において、10の位の数字のうちの中央列を構成する。第5のフラップ・ユニット110(図中、「No.5」)は、両開き状態において、10の位の数字のうちの右列と、1の位の数字のうちの左列とを同時に構成する。
【0152】
なお、横一列の複数の数字に属する複数の列のうち、互いに隣接する2本の列を、同図(b)に示すように、1個のフラップ・ユニット110が、片開き状態において、隣接するベースパターン50と共同することによって、同時に構成してもよい。
【0153】
図16は、図12に示す表示面30上において各桁ごとに各数字が可変に表示される原理を説明するための図であって、各数字を3分割表示方式で表示する場合に、各桁の各列ごとに採用すべき可変パターンを示す可変パターン図である。この可変パターン図は、第1実施形態の図7に示す可変パターン図であって4分割表示方式を採用した場合のものに基づいて作成された。
【0154】
ここで、第1ないし第5のフラップ・ユニット110のそれぞれが必要とするフラップ112の枚数の最大値(隣接するベース・パターン50を利用すれば、フラップ112の必要枚数はそれより少なくて済む可能性がある)を考察する。
【0155】
第1のフラップ・ユニット110は、1000の位の数字のうちの右列(2個の可変パターン)と、100の位の数字のうちの左列(4個の可変パターン)とをカバーするから、全体で、最大枚数として、2×4=8枚のフラップ112を必要とする可能性がある。
【0156】
第2のフラップ・ユニット110は、1000の位の数字のうちの中央列(5個の可変パターン)をカバーするから、全体で、最大枚数として、5枚のフラップ112を必要とする可能性がある。
【0157】
第3のフラップ・ユニット110は、100の位の数字のうちの右列(3個の可変パターン)と、10の位の数字のうちの左列(2個の可変パターン)とをカバーするから、全体で、最大枚数として、3×2=6枚のフラップ112を必要とする可能性がある。
【0158】
第4のフラップ・ユニット110は、10の位の数字のうちの中央列(2個の可変パターン)をカバーするから、全体で、最大枚数として、2枚のフラップ112を必要とする可能性がある。
【0159】
第5のフラップ・ユニット110は、10の位の数字のうちの右列(2個の可変パターン)と、1の位の数字のうちの左列(1個の可変パターン)とをカバーするから、全体で、最大枚数として、2×1=2枚のフラップ112を必要とする可能性がある。
【0160】
[第3の実施形態:複列縦リール式]
【0161】
次に、本発明の例示的な第3の実施形態を説明する。ただし、上述の第1の実施形態と共通する要素については、同じ名称または符号を引用して付することにより、重複した説明を省略し、異なる要素についてのみ、詳細に説明する。
【0162】
図17は、本実施形態に従う複列縦リール式のセグメント式可変数字表示装置(以下、「表示装置」という。)200を示す分解斜視図である。
【0163】
この表示装置200も、第1の実施形態と同様に、図1に示すように、フレーム22により、作業者16より高所の位置に設置される。
【0164】
なお、図17に示す例は、1個の数字を可変表示する表示装置200であるが、この表示装置200を、図1に示すように、横一列に4台設置し、それにより、4個の数字をそれぞれ可変に表示することが可能であるが、説明の便宜上、本実施形態については、1台の表示装置200のみを説明することとする。
【0165】
図17に示すように、この表示装置200は、1個の数字を可変表示するための数字表示部202を有する。
【0166】
数字表示部202は、フレーム22に位置固定に装着された固定表示パネル206と、フレーム22に、固定表示パネル206の背後に、その固定表示パネル206に対して相対的に縦方向にスクロール可能に装着された複数本(図示の例では、4本)のエンドレスのリール210とを有する。
【0167】
固定表示パネル206には、1個の窓212が貫通しており、その窓212を通して、1個の数字、すなわち、図示の例においては、数字の「2」が表示される。その窓212には、数字表示部202の内部を保護するために、図示しない透明体(例えば、窓ガラス)が装着される。
【0168】
上述の4本のリール210は、それぞれ、1個の数字が水平方向に並んだ4個のエリアに分割された場合のそれらエリアにそれぞれ関連付けられる。それらエリアは、1個の数字を構成する7個のセグメントにとっての4個のサブセットに相当する。
【0169】
本実施形態においては、1個の数字が、第1の実施形態における4分割表示方式によって可変に表示される。
【0170】
したがって、4本のリール210は、それぞれ、1個の数字のうちの第1左列、第2左列、第2右列および第1右列に対応する。それらリール210は、それぞれ、図18に示すように、第1列リール、第2列リール、第3列リールおよび第4列リールと称される。図18は、表示装置200において1個の数字が可変に表示される原理を説明するための正面図である。
【0171】
各リール210は、同図および図18に示すように、各リール210に沿って一列に並んだ複数のフレーム220に仕切られる。各リール210の各フレーム220に、対応する可変パターン(図7参照)が描かれる。
【0172】
表示したい数字が与えられれば、それの第1左列の目標可変パターンを実現するために、第1列リール210を必要距離だけスクロールして(フィードして、縦送りして)目標フレーム220を窓212に位置決めする。同様に、第2左列の目標可変パターンを実現するために、第2列リール210を必要距離だけスクロールして目標フレーム220を窓212に位置決めする。
【0173】
さらに、同様に、第2右列の目標可変パターンを実現するために、第3列リール210を必要距離だけスクロールして目標フレーム220を窓212に位置決めする。同様に、第1右列の目標可変パターンを実現するために、第4列リール210を必要距離だけスクロールして目標フレーム220を窓212に位置決めする。
【0174】
図17に示すように、表示装置200は、4本のリール210を個々にスクロール可能に支持するためにリール支持機構230を有し、さらに、4本のリール210のうち該当するものをスクロールするために作業者16が操作することを可能にするために手動式の操作機構(「駆動機構」の一例)232を有する。
【0175】
図17に示すように、リール支持機構230は、一例においては、上下方向に平行に隔たった駆動シャフト240および従動シャフト242と、駆動シャフト240に同軸に装着された4個の駆動プーリ(例えば、ギヤ)250と、従動シャフト242に同軸に装着された4個の従動プーリ(例えば、ギヤ)252と、それら駆動プーリ250と従動プーリ252とに個別に巻き掛けられる4本の無端環状の伝動体(例えば、ベルト、ロープ、チェーン)254とを有するように構成される。
【0176】
リール支持機構230においては、4個の駆動プーリ250と4個の従動プーリ252とが、それぞれ、対応するリール210に、相対的にすべりが抑制されるように連結される。それにより、各リール210ごとに、1本のリール210が、上下方向に互いに対向する1個の駆動プーリ250と1個の従動プーリ252とにより、リール210の内側から支持され、それにより、所定のテンションが発生するように張られる。
【0177】
図17に示すように、操作機構232は、作業者16によって回転操作されるハンドル260と、クランク・シャフト262と、巻掛け伝動装置264とを有する。その巻掛け伝動装置264は、駆動プーリ270と従動プーリ272とに巻掛け伝動体274が巻き掛けられて構成される。クランク・シャフト262の入力側にハンドル260が連結され、出力側に駆動プーリ270が連結される。
【0178】
操作機構232は、図示しないが、駆動シャフト240が、4個の駆動プーリ250に対して相対的にスライド可能となっている。
【0179】
操作機構232は、さらに、図示しないが、駆動シャフト240と、4個の駆動プーリ250との間にクラッチ機構を有する。作業者16は、駆動シャフト240の軸方向位置を変化させることにより、前記クラッチ機構を、4本のリール210のうち今回の操作対象に対して選択的に起動させ、それにより、4本のリール210のうち、今回のハンドル260の回転操作によってスクロールするものを選択する。
【0180】
前記「駆動機構」の別の例は、電動式の駆動機構であってもよい。
【0181】
その電動式の駆動機構290は、一例においては、図19に示すように、電動機としてのモータ300と、そのモータ300に電力を供給する電源(例えば、商用電源、充電可能な電池)302と、モータ300の動力を、4本のリール210のうちのいずれかに伝達するために伝達経路を切り換える切換機構304とを有する。
【0182】
駆動機構290は、さらに、モータ300と電源302との間の電気的接続を制御する接続コントローラ306であって作業者16により、現場でまたは遠隔的に指令可能なものと、切換機構304の切換えを制御する切換コントローラ308であって作業者16により、現場でまたは遠隔的に指令可能なものとを有する。
【0183】
それら接続コントローラ306および切換コントローラ308が作業者16によって遠隔指令される態様として、表示装置10がさらに無線通信装置310を有し、さらに、表示装置10が設置されている場所(例えば、駐車場)からの遠隔地に管理サーバ312が設置される。
【0184】
その管理サーバ312は、当該場所を含む複数の場所(例えば、複数の駐車場)を集中的に管理する。指令対象として選択された場所に設置されている表示装置10によって表示される数字を変更したい場合には、その管理サーバ312が、数字変更のための信号を、該当する場所に設置されている無線通信装置310を介して接続コントローラ306および切換コントローラ308に送信する。
【0185】
その信号に応答し、それら接続コントローラ306および切換コントローラ308は、スクロール対象として選択されるリール210の位置と、その選択されたリール210の送り方向および送り長さとを制御する。
【0186】
以上、本発明の例示的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【要約】
【課題】セグメント式可変数字表示装置において、作業者の手動操作性を向上させる。
【解決手段】表示装置10は、少なくとも1個の数字が表示される表示面30を有する表示パネル32と、1個の数字のための複数個のセグメントを、各々、縦方向に並んだ少なくとも2個のセグメントの組合せより成る複数のサブセットに分割した場合の1個のサブセットごとに個別に表示面30に装着される少なくとも1枚の可動片60と、表示面30に装着された少なくとも1本のガイドバー70であって、概して逆U字状を成し、かつ、少なくとも1枚の可動片60をそれぞれ横方向に頁捲り可能なルーズリーフとして綴じるものとを有する。各可動片60の表面および裏面は、それぞれ、少なくとも部分的にセグメントの図柄が数字色と同色に着色されるか、または全体的に背景色と同色に着色される。7個のセグメントに対する作業者による選択に応じて数字が可変に表示される。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19