(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態に従う運動プログラム提供システムについて、添付図面を参照しながら詳しく説明する。但し、以下に説明する実施形態によって本発明の技術的範囲は何ら限定解釈されることはない。
【0011】
運動プログラム提供システム1(以下、単にシステムと称す)は、好ましい一例として、
図1に模式的に示すように、クラウドサーバー10として構成する。システム1は、例えばインターネット11などの通信網に通信可能なように接続している。また、運動プログラムの提供サービスを受ける利用者端末2A〜2Fは、インターネット11に通信可能なように接続されている。
【0012】
利用者端末2A〜2Fは、システム専用機でなく、利用者が所有する一般的なノートPC(2A),モバイルPC(2B),スマートフォン(2C),ディスクトップPC(2D)などを用いることができる。利用者は、例えばブラウザ等のアプリケーションを利用して、システム1がインターネット11上に提供するホームページにアクセスし、利用者識別情報としての利用者IDとPW(パスワード)でログインして運動プログラムの提供サービスを受ける。従って、運動プログラムの提供サービスを受ける利用者端末を、利用者端末2Fのように機能ブロックで示すと、ホームページなどを表示する表示部21、利用者IDとPWなどを入力する入力部22、インターネット11を介して通信を行う通信部23を備える。具体的には、表示部21は、ディスプレイであり、入力部22は、キーボード,マウス,タッチパネルディスプレイなどであり、通信部23はルータやモデムなどの情報通信機器である。但し、利用者端末2A〜2Fは、インターネット11に接続可能な電子機器であればよく、端末の種類は限定されない。
【0013】
図1には、子供向け運動プログラムの提供サービスを受ける利用者の一例として、A都市の保育園(1クラス10名),A都市の小学校(1クラス30名),B都市の小学校(1クラス20名),B都市のスポーツ教室(1クラス6名)を示している。このように、システム1は、様々な地域,施設,人数に対してサービスを提供する。また、シニア向け運動プログラムの提供サービスを受ける利用者の一例として、C都市のデイサービス(10名)を示している。このように、システム1は、異なる世代にもサービスを提供する。小学校以上、例えば、中学,高校,大学世代もサービスの対象とすることができる。なお、利用者端末2A〜2Fを操作してシステム1のサービスを受ける利用者は、学校等の教員やインストラクター、施設職員などである。生徒や施設利用者は、教員等の指導の下に運動を行う運動実行者である。
【0014】
システム1は、CPU31を備えた制御部3、システム1をインターネット11に接続する通信部32、各種データやプログラムを格納する記憶部33を備えている。システム1は、CPU31によって動作するコンピューターシステムである。システム1は、様々な利用者から体力測定評価のデータや運動終了後の評価データを受け取ることから、これらのデータを解析して運動メニューの抽出条件を修正可能なように、例えばディープラーニングを実行可能なAI(人工知能)機能を備えていることが好ましい。CPU31は、記憶部33から各種プログラムやデータを読み出して、システム1全体の動作を制御する。制御部3は、さらにRAMなどのメモリ(不図示)を備え、インターネット10を介して利用者端末2A〜2Fから受信した条件設定や各種情報などを一時的に格納する。通信部32は、例えばルータやモデムなどの情報通信機器である。
【0015】
記憶部33は、利用者登録DB(データベース)34,運動メニューDB(データベース)35を格納している。すなわち、記憶部33は、利用者登録情報の格納手段であり、運動メニュー格納手段でもある。また、記憶部33は、運動メニュー作成プログラム36を格納している。制御部3は、運動メニュー作成プログラム36を実行し、運動メニューDB35から利用者に適した運動メニューを抽出して運動プログラムを作成する。すなわち、運動プログラム作成手段としての機能を実現する。記憶部33は、データやプログラムを格納した例えばハードディスク,ROMなどである。
【0016】
利用者登録DB34は、
図2のブロック図に示すように、利用者IDとPWを対応付けて登録する。利用者IDとPWは、利用者毎に付与している。利用者登録DB34は、さらに、利用者IDと関連付けて、運動実行者の基本身体情報4,体力測定評価(体力要素)41,体力測定評価(能力要素)42の情報を登録している。これらの情報は、利用者が利用者端末2A〜2Fを使って入力・送信し、システム1の制御部3が利用者登録DB34に登録する。運動実行者が複数いる場合、平均値を用いることができる。運動実行者の基本身体情報4,体力測定評価(体力要素)41,体力測定評価(能力要素)42の情報を利用することによって、利用者は、どの能力を強化するのがよいかなどを把握することができ、運動プログラムの組み立て(システム1へのオーダー)に役立てることができる。但し、これらの情報は、必ずしも初期登録されていなくともよく、サービスを繰り返し利用する中で登録してもよい。
【0017】
基本身体情報4は、身長や体重などの身体情報を登録する。体力測定評価(体力要素)41は、ボール投げや25m走などの体力測定結果を登録する。体力測定評価(能力要素)42は、ポジション能力やスイッチ能力などの9つの能力測定結果を登録する。各能力要素は、評価測定のための決められた運動を実施することによって測定する。
図3(a)は、登録された体力測定評価(体力要素)41を、利用者端末2A(2B〜2F)の表示部21に表示したときの一例を示す。
図3(b)は、登録された体力測定評価(能力要素)42を、利用者端末2A(2B〜2F)の表示部21に表示したときの一例を示す。体力測定評価(体力要素)41及び体力測定評価(能力要素)42の表示には、システム1が各要素について例えば5段階評価を行った結果とグラフを表示する。
【0018】
一方、運動メニューDB35は、
図4のブロック図に示すように、運動メニュー(名称)5と関連付けて、動作51,難易度52,カリキュラム53,能力要素54,動作要素55,構成時間56,人数57,使用道具58の情報を格納している。運動メニューDB35の情報登録・設定は、システム管理者或いはシステム1のAI機能によって行われる。システム1を利用した利用者からインターネット経由で情報を収集し、その結果に応じて登録内容を変更するようにすることも望ましい。
【0019】
動作51は、運動を実行するにあたっての準備,運動を実行する手順,運動を正しく行うためのチェックポイントとNG動作を設定している。難易度52は、例えば、易しい,やや易しい,ふつう,やや難しい,難しい、の5段階に設定している。カリキュラム53は、体づくり運動,表現運動といった子供向けの運動の種別(コース)を設定している。能力要素54は、ポジション能力やスイッチ能力などの9つの能力要素のうち、この運動メニューがどの能力要素を含むかを設定している。さらに運動メニューに含まれる能力要素には、例えば5段階評価などの評価値を設定している。動作要素55は、立つ,組むなどの動作要素のうち、この運動メニューがどの動作要素を含むかを設定している。構成時間56は、所要時間(実動時間),インターバル時間,およびその合計時間を設定している。人数57は、運動メニューを実行する人数を設定している。なお、この人数は、運動を実行する人数を示すのであって、クラス等の人数を示すものではない。使用道具58は、運動に使用する道具を設定している。勿論、道具を使用しない運動メニューもある。
【0020】
ここで、本実施形態のシステム1は、コーディネーション能力と称される7つの運動能力に新たに2つの能力を加えた9つの能力要素を有機的に結びつけた運動メニューの複数を用意しており、運動実行者にとって心身ベース作りに適した運動メニューを選定して運動プログラムを組み立てることをコンセプトにしている。
【0021】
すなわち、
図5に改めて示すように、コーディネーション能力と称される7つの能力は、ポジション能力6,スイッチ能力61,リンク能力62,リアクション能力63,コントロール能力64,リズム能力65,バランス能力66である。新たに追加した2つの能力は、ジャッジ能力67とコミュニケーション能力68である。本発明者らは、現代社会の日常生活に適合する心身のベース作りは、7つのコーディネーション能力では必ずしも十分ではなく、ジャッジ能力とコミュニケーション能力を加えた9つの能力要素が必要と考えている。
【0022】
本発明者らは、このようなコンセプトの下、多種多様なオリジナルの運動メニューを多数考案した。
図6には、運動メニューの一例として、子供向けの運動メニューを2種類示している。
図6(a)に示す「No.5平均台を渡る運動5」は、バランス能力,リンク能力及びポジション能力を含む。各能力の評価値は、バランス能力が最も高い評価5であり、リンク能力が評価2、ポジション能力が評価1である。すなわち、本発明者らによって評価された該運動メニューが有する能力評価値である。一方、
図6(b)に示す「No.116ロープを引く運動1」は、バランス能力,コミュニケーション能力,ジャッジ能力,スイッチ能力,ポジション能力,リンク能力及びリアクション能力を含む。各能力の評価値は、バランス能力が評価5,コミュニケーション能力とジャッジ能力が評価4,スイッチ能力が評価3,ポジション能力,リンク能力及びリアクション能力が夫々評価2である。このように、能力要素と関連付けた運動メニューを多数用意することで、9つの能力要素を均等化する、或いは特定の能力を伸ばすなどの目標付けをすることができる。
【0023】
次に動作要素についてみると、「No.5平均台を渡る運動5」は、「渡る」「歩く」「持つ」「運ぶ」の動作を含む。「No.116ロープを引く運動1」は、「立つ」「引く」の動作を含む。難易度は、「No.5平均台を渡る運動5」は★★★ふつうであり、「No.116ロープを引く運動1」は、★易しいである。また、人数と使用道具についてみると、「No.5平均台を渡る運動5」は、平均台,メディシンボール及びボールを用いて一人で行う。「No.116ロープを引く運動1」は、ロープを用いて二人で行う。所要時間は、いずれも30秒(インターバル時間を合せて合計60秒)である。
【0024】
なお、
図6(a)及び
図6(b)は、運動メニューの詳細表示を選択した際に、利用者端末2A(2B〜2F)の表示部21に表示する詳細表示の一例を夫々示している。このように、個々の運動メニューの詳細表示は、上記した能力要素等に加え、運動の図解、準備、手順、チェックポイント、NG事項の説明を表示する。運動の図解は、動画にしてもよい。
【0025】
図7は、運動メニューDB35のデータ配列の一例を示している。勿論、データ配列が限定されることはない。
図7のデータ配列において、能力要素の項は、その運動メニューに含まれる能力要素を評価値(5段階の数値)で設定している。数値が大きい程、評価が高い。数値を設定していない能力要素は、この運動メニューには含まれない0(ゼロ)評価である。また、動作要素,人数,使用道具,カリキュラムは、その運動メニューが該当するものについて“TRUE”を設定している。難易度の項は、易しい〜難しいまでを5段階の数値で設定している。所要時間の項は、例えば10秒刻みで設定している。
【0026】
<ランダム抽出系運動プログラム>
続いて、システム1が運動プログラムを作成する手順について、
図8〜
図9のフローチャートを参照しながら説明する。また、
図10〜
図14は、運動プログラムを作成する過程で利用者端末2A(2B〜2F)の表示部21に表示する操作画面の一例を示す。なお、以下は、一例として、
図1のA都市の保育園の利用者が、カリキュラムA(体づくり運動)の運動プログラムの提供サービスを受ける場合について説明する。例えばカリキュラムA(体づくり運動)は、能力要素等の条件設定が合えば運動メニュー同士の関連度(関連性)を考慮せず、運動メニューDB35からランダムに運動メニューを抽出して運動プログラムを作成する。システム1は、ランダム系運動プログラムの作成だけでなく、
図8〜
図9のフローチャートに従い、関連付けした運動メニューを抽出して関連抽出系運動プログラムを作成することができる。なお、関連抽出系運動プログラムの作成手順は後述する。
【0027】
まず、利用者である保育園の職員は、利用者端末2Aを起動してインターネット11に接続し、システム1がインターネット11上に提供するホームページにアクセスする(Act10)。ホームページには、ログイン画面が用意されており(Act11)、利用者は、利用者IDとPWを入力して、システム1に送信する(Act12)。
【0028】
システム1の制御部3は、利用者IDとPWを受信するとログイン処理を実行する(Act13)。その際、利用者登録DB34を参照して、受信した利用者IDとPWに該当する利用者が登録されているか否か判定する(Act14)。該当する利用者が登録されていた場合(Act14,yes)、ログイン可として処理する。反対に、該当する利用者が登録されていなかった場合(Act14,no)、ログイン不可として処理する。具体的には、エラーメッセージを表示すると共に、ログイン画面の表示に戻る(Act11)。
【0029】
ログイン可として処理を開始すると、システム1の制御部3は、運動プログラム作成プログラム36を実行し、運動メニューDB35から表示項目データを取得する(Act15)。表示項目データは、カリキュラム,能力,動作,人数,使用道具の各種情報である。一例として、利用者端末2Aの表示部21に、例えば
図10に示すようなアイコン(条件パネル)付きの条件設定画面を表示する(Act16)。なお、利用者端末2Aの表示部21に
図10の条件設定画面の全体を表示するのではなく、利用者は、表示画面をスクロールすることで全体を確認する。デフォルトのカリキュラムは、カリキュラムAの体づくり運動としている。カリキュラムは、例えばプルダウンメニューによって他に変更できるようになっている(Act17)。すなわち、デフォルトの条件設定画面には、カリキュラムAの体づくり運動の表示と、サブカリキュラムである[バランスをとる運動][体を移動する運動][用具を操作する運動][力試しの運動]の表示がある。さらに、カリキュラムAの体づくり運動で条件設定可能(利用者が選択可能)な能力、動作、人数、使用道具を表示する。サブカリキュラムを複数設けている場合(Act18,yes)、サブカリキュラムを選択することができる(Act19)。カリキュラムAの体づくり運動では、[バランスをとる運動][体を移動する運動][用具を操作する運動][力試しの運動]の4つのサブカリキュラムのなかからいずれかを選択することができる。デフォルトの条件設定画面では4つのサブカリキュラムを全て選択した状態であり、利用者がサブカリキュラムのうちのいずれかを選択すると、選択したサブカリキュラムに絞り込むようになっている。サブカリキュラムは、一つに限らず複数選択することもできる。
【0030】
カリキュラム及び/又はサブカリキュラムの選択を変更すると(Act20,yes)、条件設定画面に表示していた条件設定可能(利用者が選択可能)な能力,動作,人数,使用道具を初期化する(Act21)。そして、変更後のカリキュラム及びサブカリキュラムで条件設定可能(利用者が選択可能)な能力,動作,人数,使用道具に基づいて(Act22,yes)、条件設定画面を復元する(Act23)。すなわち、変更後のカリキュラム及びサブカリキュラムにおける条件設定可能(利用者が選択可能)な能力,動作,人数,使用道具のアイコン(条件パネル)を表示する。利用者は、画面をスクロールして設定可能な条件を確認できる。例えば
図10の条件設定画面において、「立つ」「跳ねる」「持つ」などの動作は、条件設定可能(利用者が選択可能)である。一方、「乗る」や「泳ぐ」などは条件設定不可(利用者が選択不可)である。カリキュラムが例えばカリキュラムD(水泳)に変更された場合、カリキュラムA(体づくり運動)では設定不可であった「泳ぐ」のアイコン(条件パネル)が設定可能となる。条件設定可能であるかは、運動メニューDB35でその動作に“TRUE”を設定しているか否かに基づく(
図7参照)。条件設定不可の動作は、例えばそのアイコン(条件パネル)のコントラストを低くして利用者がクリックできないことを識別できるようにしている。人数、使用道具も同様である。
【0031】
このように、
図10に示すアイコン(条件パネル)付きの条件設定画面が表示されると、利用者は、例えばカリキュラム,サブカリキュラム,能力,動作,人数,使用道具の順に、各アイコン(条件パネル)をクリックして条件設定を行う(Act24)。具体的には、先ず、カリキュラムでカリキュラムA(体づくり運動)を選択し、サブカリキュラムの中の[バランスをとる運動][体を移動する運動][用具を操作する運動][力試しの運動]のいずれか或いは全部を選択する。一例として、[力試しの運動]のみに条件を絞った場合、システム1の制御部3は、その下位条件である能力要素>動作要素>人数>使用道具>について条件設定可能か否かを判定し、設定可否をアイコン(条件パネル)で示す(Act25)。より具体的には、
図11に示すように、例えば、能力については、スイッチ,リンク,バランス,ジャッジ,コミュニケーションが設定可能であり、他の能力は設定不可となる。この判別は、例えば能力要素の評価値が閾値以上(例えば、評価1以上)の運動メニューが用意されていればその能力を設定可とし、閾値を満たす運動メニューが用意されていなければ設定不可とする。動作については、「立つ」が設定可能であり、「逆立ち」「渡る」などは設定不可である(図面作成の都合上、他の動作の図示は省略する)。一方、[バランスをとる運動]のみに条件を絞った場合、
図12に示すように、能力要素に関しては全て設定可能である。しかも、より能力UPに効果的な運動が用意されているとして「能力UP」の表示をする。この判別は、例えば能力要素の評価値が閾値以上(例えば、評価3以上)の運動メニューが用意されていれば「能力UP」を表示する。動作については、[力試しの運動]では設定不可であった「逆立ち」「渡る」などが設定可能になる。このように利用者は、アイコン(条件パネル)をクリックして条件設定を行っていく。システム1の制御部3は、条件設定される度に、その下位条件の設定可否の変化をアイコン(条件パネル)に示していく。このように、システム1は、能力設定手段,人数設定手段,使用道具設定手段を備える。但し、能力設定手段,人数設定手段,使用道具設定手段は、利用者端末2A〜2Fを構成に包含するという意味ではなく、利用者端末2A〜2Fから設定条件を受け取り処理するシステム1の機能による構成である。
【0032】
カリキュラム、サブカリキュラム,能力要素,動作,人数,使用道具について条件設定が完了すると、システム1の制御部3は、運動メニューDB35から、設定された条件に適合する運動メニューの数(母集団)を難易度別に取得する(Act26)。
図13(a)は、難易度別運動メニュー数の条件設定画面の一例である。利用者は、この画面に移ることで、各難易度別の運動メニュー数を確認する。カッコ内の数値が該当する運動メニューの数(母集団)を示す(例えば、易しいでは[31])。そして、利用者は、
図13(b)に示すように、メニュー数バーを右に移動させることで各難易度別に運動メニューの数(希望数)を設定する(Act27)。運動メニューの数(希望数)が設定されると、システム1の制御部3は、各運動メニューの所要時間を合計した所要時間を同画面に表示する(Act28)。同じ運動メニューを繰り返し行う場合は、反復回数をプルダウンメニューで選択する。このように、システム1は、難易度別運動メニュー数設定手段を備える。
【0033】
続いてシステム1の制御部3は、運動メニューの抽出を実行する(Act29)。詳しくは、
図9のフローチャートに示すように、既述のAct24〜Act25によって設定された条件に従って、該当する運動メニューを抽出する(Act40)。そして抽出した運動メニューの中から、既述のAct27〜Act28で設定された件数分の運動メニューをランダムに選出する(Act41)。運動メニュー同士の関連度(関連性)を考慮する関連オプションがない場合(Act42,no)、選出した運動メニューを難易度が易しい順に配列した運動プログラムを作成する(Act43)。関連オプションがある場合(Act42,yes)、関連グループ毎に難易度易しい順に配列した運動プログラムを作成する(Act44)。カリキュラムA(体づくり運動)は、運動メニュー同士の関連度(関連性)を考慮する関連オプションがないので、選出した運動メニューを難易度が易しい順に配列した運動プログラムを作成する(Act43)。
【0034】
図8に戻り、システム1の制御部3は、作成した運動プログラムの候補を利用者端末2Aの表示部21に表示する(Act30)。
図14は、作成された運動プログラムの表示画面の一例である。画面の中央に、作成した運動プログラムを時系列に表示する。
図14には、インターバルを含め60分の運動プログラムを表示している。各運動メニューは、例えば難易度に応じて色分けする。運動プログラムの左側には、選出した運動メニューの図解を表示する。利用者が例えばマウスで運動メニューのバーを選択すると、運動メニューの名称が表示され、対応する運動メニューを図解で確認することができるようになっている。
図14では、1番目に「平均台で跳ぶ運動2」が配列され、画面の左側の図解で運動のイメージが確認できる。さらに、詳細表示を希望する場合、利用者は、詳細表示メニューをクリックする。詳細表示メニューがクリックされると、
図3に例示したような詳細表示がなされる。このように、システム1は、運動詳細メニュー表示手段を備える。
【0035】
なお、
図14において、運動メニュー配列の右側には、選出されなかった運動メニューの図解を表示する。利用者は、図解で運動のイメージを確認し、例えばドラッグ&ドロップ操作で左側の運動メニューと入れ替えを行うことができるようになっている。このように、候補となる運動メニューを図解で表示することによって、より利用者が指導し易い運動メニューに組み替えることができる。候補とする運動メニューは、運動プログラムに選出された運動メニューの能力要素が同じか、又は評価値が所定範囲内(例えば±1以内)の運動メニューに絞り込んでもよい。
【0036】
また、同画面では、運動メニューを、難しい順、或いはランダムに配列し直す「再配列メニュー」を選択できるようになっている。利用者が、例えばマウスやタッチパネルディスプレイなどで難しい順をクリックすると、システム1の制御部3は、運動メニューを難易度が難しい順に配列した運動プログラムを作成する(
図9のAct45)。また、利用者が、ランダムをクリックすると、システム1の制御部3は、運動メニューをランダムに配列した運動プログラムを作成する(
図9のAct46)。
【0037】
以上のように運動プログラムが作成されると、利用者は、例えば
図14の画面を参照しながら運動実行者に運動を行うように指導する。
図15に一例を示すような実行順のスライドを表示部21に表示して、指導するようにしてもよい。スライドは、画面の右矢印をクリックすると次の運動メニューが表示され、画面の左矢印をクリックすると前の運動メニューが表示されるようになっている。各運動の手順等は、例えば
図3の詳細表示を参照する。なお、条件を再設定する場合は、条件設定画面を再表示させる(Act31,yes→Act16)。条件の再設定を行わない場合、ログオフしてサービスを終了する(Act31,no→Act32)。
【0038】
<関連抽出系運動プログラム>
続いて、関連抽出系運動プログラムの作成の流れについて説明する。関連抽出系運動プログラムの作成は、例えばカリキュラムB(器械運動),カリキュラムC(陸上運動),カリキュラムD(水泳),カリキュラムE(ボール運動)が選択された場合に実行する。このような運動メニュー同士の横の関連度(関連性)を考慮した関連抽出系運動プログラムは、発展系運動プログラムの一種であり、例えば学校体育における学年別の授業に適用する。さらには、例えば小学校の体育主任が、1年生から6年生までの長いスパンで授業計画を作成する際に適用する。
【0039】
発展系運動プログラムの場合、サブカリキュラムを更に階層化することができる。一例として、
図16に示すように、例えばカリキュラムB(器械運動)の場合、「器械運動」を大項目とし、サブカリキュラム「マットを使った運動」「鉄棒を使った運動」「跳び箱を使った運動」を中項目として設ける。さらに、各サブカリキュラムの下層に、学年別に「はう運動」などの小項目を設ける。中項目及び小項目は、アイコン(条件パネル)付きの条件設定画面に表示する。
図17は、カリキュラムB(器械運動)のサブカリキュラム「マットを使った運動」の表示画面である。利用者は、アイコン(条件パネル)をクリックすることで中項目及び小項目を選択できる。
図17では省略するが、条件設定画面をスクロールすると、
図10と同様に、能力要素や動き要素のアイコン(条件パネル)が表示される。同様に、
図18は「鉄棒を使った運動」の表示画面であり、
図19は、「跳び箱を使った運動」の表示画面である。
【0040】
図20は、運動メニューDB35のデータ配列の変形例を示している。
図20のデータ配列は、運動メニュー間の関連度を示す関連度情報の一例として、関連度コードを各運動メニューに設定している。関連度コードは、
図7に例示した運動メニューDB35のデータ配列に追加することができる。関連度コードは、カリキュラム及び/又はサブカリキュラムに関連付けて、関連度の強さを例えば数値で設定している。一例として、カリキュラムBの「器械運動」の「マットを使った運動」に関連付けて、関連度コード“H−d−1−1”を設定する。関連度コードは、“中項目−小項目−関連度−難易度”で構成している。中項目「H」は、「マット」を示す。小項目「d」は、「回る」を示す。関連度「1」は、関連度の強さを5段階で示す(1が最も強い)。難易度「1」は、易しい〜難しいまでを5段階の数値で設定している。関連度コードの難易度は、運動実行者に応じて変わる。すなわち、同じ運動メニューでも学年に応じて難易度の感じ方が変わるので、同じ運動メニューでも例えば小学校低学年では難易度1、小学校中学年では難易度2に、難易度が変わるようになっている。
【0041】
上記構成において、関連抽出系運動プログラムの作成の流れについて
図8〜
図9、並びに
図17を参照しながら説明する。すなわち、利用者が、Act17においてカリキュラムB「器械運動」を選択すると、
図17の条件設定画面が表示される。使用者は、条件設定画面のアイコン(条件パネル)をクリックすることによって、中項目及び小項目を選択する(Act19)。小項目は、全て選択しなくともよく、希望するものだけを選択してもよい。例えば1年生の場合、「はう運動」「支える運動」「回る運動」のいずれか一つ以上を選択することができる。このように、カリキュラム及びサブカリキュラムを選択し、さらに能力要素,動き要素,難易度、人数などの条件を選択すると、選択した条件を満たす運動メニューが抽出される(Act19〜Act24)。一例として、同じ関連度コード(例えば、H−d−1−1)が割り当てられている運動メニューを優先して抽出する。中項目(例えば、H)及び小項目(例えば、d)が同じで関連度の強さが弱い運動メニューは、優先順位が低くなる。さらに、Act42において関連オプションありとして、関連グループ毎に難易度易しい順に配列した運動プログラムを作成する(Act43)。以降は、ランダム抽出運動プログラムと同様である。
【0042】
上述の実施形態によれば、本発明者らが考案した運動メニューについて、「ポジション」,「スイッチ」,「リンク」,「リアクション」,「コントロール」,「リズム」,「バランス」,「ジャッジ」,「コミュニケーション」の9つの能力要素を対応付けて運動メニューDB35に登録しておき、利用者が設定した能力要素を含む運動メニューを抽出し、抽出した運動メニューを配列して運動プログラムを作成することにより、心身のベース作りに好適な運動プログラムを作成して提供することが可能となる。
【0043】
さらに上述の実施形態によれば、能力要素だけでなく、動作要素も条件設定肢として加えたことにより、効率よく運動プログラムを組み立てることが可能となる。すなわち、運動メニューDBに登録している動作は、運動メニューをイメージするのに適している。そして、普段から運動実行者(児童生徒等)と接している利用者に対し、動作のアイコン(条件パネル)を見せて条件設定させることにより、結果として、利用者(ひいては生徒たち)の好みに合った運動プログラムを提供することができる。
【0044】
なお、利用者は、運動の終了後に、利用者端末2Aの表示を評価画面に移動して運動メニューの評価をシステム1に送ることができる。
図21は、評価画面の一例である。評価は、例えば難易度について行う。システム1の制御部3は、受け取った評価に基づいて、運動メニューDBの評価を変える。但し、この評価の変更は、評価を行った利用者のみに適用する。従って、この利用者には、次回から評価変更後の運動メニューに基づく運動プログラムが作成される。一方、例えば多数の利用者から同様の評価が送られてきた場合、基の運動メニューDBの評価を変えることもある。
【0045】
上述の実施形態は、子供向けの運動プログラムについて詳述したが、例えばシニア向けの運動メニューDB35は、
図22のように構成する。シニア向けの運動メニューDB35は、子供向けの運動メニューDB35と比べると、カリキュラム53をシニア向けに用意している。動作要素55は、子供向けに比べて少ない。代わりに、シニア向け特有に、対象とする体の部位59A、制限59Bを設定している。例えば、部位59Aを設定すれば、設定された部位を強化する運動メニューを抽出する。反対に、制限59Bを設定すれば、負荷のかからない運動メニューを抽出する。
【0046】
システム1は、クラウドサーバー10として構成するに限らない。例えば、ローカルサーバーであってもよい。また、運動プログラム作成サービスは、家庭向けに提供してもよい。
【0047】
以上、本発明を具体的な実施形態に則して詳細に説明したが、形式や細部についての種々の置換、変形、変更等が、特許請求の範囲の記載により規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われることが可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。