特許第6793388号(P6793388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6793388
(24)【登録日】2020年11月12日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】接合方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20201119BHJP
   C04B 37/02 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   B23K20/10
   C04B37/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-138039(P2016-138039)
(22)【出願日】2016年7月12日
(65)【公開番号】特開2018-8288(P2018-8288A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】594114019
【氏名又は名称】株式会社アルテクス
(74)【代理人】
【識別番号】100154195
【弁理士】
【氏名又は名称】丸林 敬子
(74)【代理人】
【識別番号】100171826
【弁理士】
【氏名又は名称】丸林 啓介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 茂
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−050823(JP,A)
【文献】 実開平03−051979(JP,U)
【文献】 特開2005−032665(JP,A)
【文献】 特開2002−192617(JP,A)
【文献】 実開平03−074930(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/00 − 20/26
C04B 37/00 − 37/04
B29C 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に重ね合わされた金属同士又は金属と無機物との異種同士からなる複数個の接合対象部材を互いに接合する接合方法であって、前記複数個の接合対象部材のうちの他方の接合対象部材には斜面を有する内側空間部が上方に開口して設けられており、前記複数個の接合対象部材のうちの一方の接合対象部材の横方向の下面から下方に接合用の斜面を有する接合用の凸部が設けられることなく前記横方向の下面と前記一方の接合対象部材の縦方向の外周面との交差する角部として構成された外周部が前記他方の接合対象部材の前記開口から前記内側空間部に収容されて前記斜面に支持された状態において、前記一方の接合対象部材の角部として構成された外周部と前記他方の接合対象部材の斜面とが垂直の荷重と音波振動又は超音波振動による縦方向の振動との協働で互いに接合されることを特徴とする接合方法。
【請求項2】
上下に重ね合わされた金属同士又は金属と無機物との異種同士からなる複数個の接合対象部材を互いに接合する接合方法であって、前記複数個の接合対象部材のうちの他方の接合対象部材には斜面を有する内側空間部が下方に開口して設けられており、前記複数個の接合対象部材のうちの一方の接合対象部材の横方向の上面から上方に接合用の斜面を有する接合用の凸部が設けられることなく前記横方向の上面と前記一方の接合対象部材の縦方向の外周面との交差する角部として構成された外周部が前記他方の接合対象部材の前記開口から前記内側空間部に収容されて前記斜面に支持された状態において、前記他方の接合対象部材の角部として構成された外周部と前記一方の接合対象部材の斜面とが垂直の荷重と音波振動又は超音波振動による縦方向の振動との協働で互いに接合されることを特徴とする接合方法。
【請求項3】
前記斜面の垂線との成す角度が10°以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下に重ね合わされた金属同士又は金属とセラミックス等の無機物との異種同士からなる複数個の接合対象部材とを互いに接合する、接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で開示された金属製の複数個の接合対象部材同士を超音波振動で接合する方法は、上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材が共振器の接合ツール部とアンビルととによる垂直の荷重と超音波振動による横方向の振動とを受けながら複数個の金属部材同士を互いに接合するようになっている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1で開示された接合方法で、図12に示した上下に重ね合わされた金属製の複数個の接合対象部材101,102同士を接合したところ、次のような不都合があった。金属製の複数個の接合対象部材101,102のうちの一方の接合対象部材101と他方の接合対象部材102とが共振器103の接合ツール部104とアンビル105とで矢印106で示した垂直の荷重と矢印107で示した超音波振動による横方向の振動とを受けながら接合したところ、インゴット状又は拡散状又は合金状に接合できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−113083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、上下に重ね合わされた金属同士又は金属とセラミックス等の無機物との異種同士からなる複数個の接合対象部材とを互いに接合する、接合方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上下に重ね合わされた金属同士又は金属とセラミックス等の無機物との異種同士からなる複数個の接合対象部材とを互いに接合する接合方法であって、前記複数個の接合対象部材のうちの他方の接合対象部材には斜面を有する内側空間部が上方又は下方に開口して設けられており、前記複数個の接合対象部材のうちの一方の接合対象部材が前記他方の接合対象部材の前記開口から前記内側空間部に収容されて前記斜面に支持された状態において、前記一方の接合対象部材の外周部と前記他方の接合対象部材の斜面とが垂直の荷重と音波振動又は超音波振動による縦方向の振動との協働で互いに接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、前記一方の接合対象部材の外周部と前記他方の接合対象部材の斜面とが垂直の荷重と音波振動又は超音波振動による縦方向の振動との協働で、インゴット状又は拡散状又は合金状に接合されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】発明を実施するための形態に係る接合方法において上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材を縦方向に切断して示した模式図。
図2】発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる複数個の接合対象部材を縦方向に切断して示した断面図。
図3】発明を実施するための形態に係る接合方法で接合された複数個の接合対象部材を縦方向に切断して示した断面図。
図4】発明を実施するための形態に係る接合方法で接合された図3と異なる形の複数個の接合対象部材を縦方向に切断して示した断面図。
図5】発明を実施するための形態に係る接合方法で接合された図3及び4と異なる形の複数個の接合対象部材を縦方向に切断して示した断面図。
図6】発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる他方の接合対象部材を示した平面図。
図7】発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる図6と異なる形の他方の接合対象部材を示した平面図。
図8】発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる図6及び7と異なる形の他方の接合対象部材を示した平面図。
図9】発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる図6乃至8と異なる形の他方の接合対象部材を示した平面図。
図10】発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる図6乃至9と異なる形の他方の接合対象部材を示した縦断面図。
図11】発明を実施するための形態に係る接合方法において図1と異なる上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材を縦方向に切断して示した模式図。
図12】従来の接合方法において上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材を縦方向に切断して示した模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を用いて、発明を実施するための形態に係る接合方法について説明する。図1に示した接合方法としては、上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材1及び2のうちの一方の接合対象部材1として板状の蓋を例示し、他方の接合対象部材2として筒状の容器を例示した。接合対象部材1及び2としては、鉄、金属の表面に金属メッキが施された金属、アルミニウム、金、銀、銅、錫、ニッケル、ステンレス等の同種金属同士、異種金属同士、金属とセラミックス等の無機物との異種同士であっても適用可能である。
【0010】
他方の接合対象部材2は、内側空間部3を有する筒状になっている。内側空間部3は、上方が開放され、外周側と底側が塞がれた態様である。内側空間部3は、上空間部4と中空間部5と下空間部6とから構成される。上空間部4と中空間部5と下空間部6とが、他方の接合対象部材2の上から下に同軸状に連続した構成になっている。上空間部4は、他方の接合対象部材2の上面より内部に窪み、一方の接合対象部材1を横方向に移動しないように水平状に収容することが可能な寸胴な形状になっている。中空間部5は、上空間部4の下部から下空間部6の上部に行くに従って徐々に内側に傾斜する斜面7で囲まれたすり鉢の形状になっている。下空間部6は、中空間部5の下部から下方に窪む寸胴な形状になっている。即ち、他方の接合対象部材2には、斜面7を有する内側空間部3が上方に開口して設けられている。
【0011】
一方の接合対象部材1が、他方の接合対象部材2に設けられた内側空間部3の開口か内側空間部3に収容されることで、上空間部4に水平状に収容された場合、一方の接合対象部材1の外周面と上空間部4を囲む上壁部8との間には一方の接合対象部材1を上空間部4に収容する際における空気の抜けるための隙間9が形成される。この隙間9が形成されることで、一方の接合対象部材1が上空間部4に水平状に容易に収容され、収容された一方の接合対象部材1が上空間部4で横方向に移動せず、収容された一方の接合対象部材1の外周部10が中空間部5の上側における斜面7に支持され、一方の接合対象部材1の上面が他方の接合対象部材2の上面よりも上に突出した状態になる。
【0012】
図1に示した接合方法で一方の接合対象部材1と他方の接合対象部材2とを接合する場合には、先ず、共振器11の接合ツール部12とアンビル13との間には、上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材1及び2を収容するための空間が確保される。その状態において、上記のように上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材1及び2における他方の接合対象部材2の底面がアンビル13の上面に接触して載せられるか、又は、他方の接合対象部材2の底面がアンビル13の上面に載せられた後に一方の接合対象部材1が他方の接合対象部材2の上空間部4に収容される。このように上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材1及び2がアンビル13の上面に接触して載せられた場合には、接合ツール部12は一方の接合対象部材1から上方に離れている。
【0013】
次に、共振器11が図示されていない加圧機構により垂直に下降し、上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材1及び2が共振器11の接合ツール部12とアンビル13とから矢印14で示す垂直の荷重を受ける一方、接合対象部材1及び2が接合ツール部12とアンビル13とから矢印14で示す垂直の荷重を受ける一方、接合ツール部12が共振器11に連結された図示のされていない音波振動子又は超音波振動に共振して矢印15で示す縦方向の振動を受けることで、一方の接合対象部材1が上記荷重と振動とを受けながら垂直に下方に移動して他方の接合対象部材2の斜面7に沿って擦れ、インゴット状又は拡散状又は合金状に接合される。前記縦方向の振動は、前記複数個の接合対象部材1及び2が共振器11の接合ツール部12とアンビル13とから荷重を受ける垂直の方向に平行な方向に振動する縦振動である。
【0014】
図1に示した接合方法によれば、前記のように上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材1及び2うちの一方の接合対象部材1の外周部10と他方の接合対象部材2の斜面7とに垂直の荷重と音波振動又は超音波振動による縦方向の振動とを受けることで、インゴット状又は拡散状又は合金状に接合される。同種金属間ではインゴット状に接合され、異種金属間又は金属とセラミックスとの異種材料間では拡散状又は合金状に接合される。接合は、大気中の常温で、数秒程度の短時間で可能である。
【0015】
図1に示した接合方法に用いた音波又は超音波振動として、10kHzから50kHzの範囲中の或る1つの周波数に固定された縦方向の振動で実験したところ、同種金属間、異種金属間、金属とセラミックスとの異種材料間での可能であること、接合時間は数秒の短時間であること、一方の接合対象部材1の外周部10と他方の接合対象部材2の斜面7との境界面にボイドが発生していないこと、音波振動で複数個の接合対象部材1及び2の大気中での常温接合が数秒で可能になること等を確認できた。尚、超音波振動を利用した場合は、音波振動よりも接合時間が長くなるものの、同種金属間、異種金属間、金属とセラミックスとの異種材料間での接合が可能であることも確認できた。
【0016】
図1に示した接合方法において、一方の接合対象部材1が下側で、他方の接合対象部材2が上側になるように、上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材1及び2の上下を入れ替え、一方の接合対象部材1の上面がアンビル13の上面に接触して載せられ、共振器11が図示されていない加圧機構により矢印14で示すように垂直に下降する共振器11の接合ツール部12が他方の接合対象部材2の底面に当接して他方の接合対象部材2を下方に押し付けるようにしても良い。このように、一方の接合対象部材1が下側で、他方の接合対象部材2が上側になるように、上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材1及び2の上下を入れ替えて接合する場合には、他方の接合対象部材2には、斜面7を有する内側空間部3が下方に開口して設けられており、一方の接合対象部材1が他方の接合対象部材2の前記開口から前記内側空間部3に収容されると解釈できる。又、接合ツール部12の接合対象部材1の側の表面は、平面又はエネルギーの伝達効率を上げるために凹凸にしても良い。アンビル13の接合対象部材2の側の表面は平面又はグリップのために凹凸にしても良い。又、接合ツール部12と接合対象部材1との間、アンビル13と接合対象部材2との間の一方又は両方に樹脂パッドを挟んでも良い。
【0017】
図2を用いて、発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる複数個の接合対象部材1及び2について説明する。一方の接合対象部材1の外周面と他方の接合対象部材2の上壁部8との間の隙間9は、次の数値に限定されるものではないが、例えば、0.03乃至0.05mmとすれば、一方の接合対象部材1が上空間部4に水平状に容易に収容され、収容された一方の接合対象部材1が上空間部4で横方向に移動せず、収容された一方の接合対象部材1の外周部10が中空間部5の上側における斜面7に支持される。
【0018】
上空間部4の上下寸法H1は、一方の接合対象部材1の上下寸法Tによりも小さく、次の数値に限定されるものではないが、例えば、1乃至2mmとすれば、他方の接合対象部材2に対する一方の接合対象部材1の位置決めが図れる。中空間部5の上下寸法H2は、一方の接合対象部材1の上下寸法Tよりも大きい(H2>T)。
【0019】
中空間部5を囲む斜面7と下空間部6を囲む垂直な内周面との成す角度θは、次の数値に限定されるものではないが、例えば、2乃至3度とすれば、前述したインゴット状の接合或いは拡散状や合金状の接合が完成する。尚、本発明の接合方法によれば、一方の接合対象部材1における外周部10が他方の接合対象部材2の斜面7に圧力を掛けながら滑ることが重要であることから、上記角度θは10°以下であれば適用可能であり、不要な突起であるバリが中空間部5に出ない。これに対し、熱可塑性合成樹脂で構成した複数個の接合対象部材1及び2を本発明の接合方法で接合する場合には上記角度θを30乃至60°を設けるのが一般的であり、溶けた熱可塑性合成樹脂が不要な突起であるバリとして中空間部5に出る。
【0020】
図2において、図示はしないが、一方の接合対象部材1の外周上部に外側横方向に突出するフランジ部を設けも良い。
【0021】
図3を用いて、発明を実施するための形態に係る接合方法で接合された複数個の接合対象部材1及び2からなる構造物について説明する。一方の接合対象部材1の外周面と他方の接合対象部材2の上壁部8との間に上方に開放された隙間9が形成されている。
【0022】
複数個の接合対象部材1及び2が同種金属で構成された場合には、隙間9よりも下部における一方の接合対象部材1と他方の接合対象部材2との仮想線16で囲まれた部分の境界面はインゴット状になっている。複数個の接合対象部材1及び2が異種金属で構成された場合、又は、金属とセラミックスとの異種材料で構成された場合には、仮想線16で囲まれた部分の境界面は拡散状又は合金状になっている。よって、仮想線16で囲まれた部分の境界面は、気密性が保たれ、複数個の接合対象部材1及び2の溶解温度以下のヒートサイクル試験に耐えることが確認できた。
【0023】
一方の接合対象部材1よりも下部における中空間部5と下空間部6とが一方の接合対象部材1と他方の接合対象部材2とで囲まれた密封された空間部17を有する構造物18として組み立てられる。この組み立てられた構造物ついて、歪、残留応力、ヒートサイクルを検証したところ、経時的な変化が無いことが確認できた。又、組み立てられた構造物18について、仮想線16で囲まれた部分の境界面にボイドの無いことが確認できた。密封された空間部17に液体や気体を充填したり、密封された空間部17を真空にしたりしても良い。
【0024】
図4を用いて、発明を実施するための形態に係る接合方法で接合された複数個の接合対象部材1及び2からなる図3と異なる形の構造物18について説明する。図4に示した構造物18は、図3に示した構造物18における隙間9を除去するように、一方の接合対象部材1の上部と他方の接合対象部材2の上部とを削った構造である。
【0025】
図5を用いて、発明を実施するための形態に係る接合方法で接合された複数個の接合対象部材1及び2からなる図3及び4と異なる形の構造物18について説明する。図5に示した構造物18は、図3に示した構造物18における一方の接合対象部材1の上部の中央部に凹部19を設け、一方の接合対象部材1の外周部10に垂直の荷重と縦方向の振動とによるエネルギーを集中するようにした構造である。
【0026】
図6を用いて、発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる他方の接合対象部材2について説明する。図6に示した接合対象部材2における上空間部4と中空間部5と下空間部6とは上部から見て円形になっている。つまり、接合対象部材2は円筒状になっている。上壁部8は、上空間部4を一周する形状になっている。
【0027】
図7を用いて、発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる図6と異なる形の他方の接合対象部材2について説明する。図7に示した接合対象部材2における上空間部4と中空間部5と下空間部6とは上部から見て円形になっている。つまり、接合対象部材2は円筒状になっている。上壁部8は、上空間部4を一周する方向で複数個に分かれて設けられている。上壁部8の個数は、2個に限定されるものではなく、3個以上でも良い。
【0028】
図8を用いて、発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる図6及び7と異なる形の他方の接合対象部材2について説明する。図8に示した接合対象部材2における上空間部4と中空間部5と下空間部6とは上部から見て方形になっている。つまり、接合対象部材2は角筒状になっている。接合対象部材2の角筒状は、方形に限定されるものではなく、上部から見て、非対称形、異形、三角形、五角形以上の形状でも良い。上壁部8は、上空間部4を一周する形状になっている。
【0029】
図9を用いて、発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる図6乃至8と異なる形の他方の接合対象部材2について説明する。図8に示した接合対象部材2における上空間部4と中空間部5と下空間部6とは上部から見て方形になっている。つまり、接合対象部材2は角筒状になっている。接合対象部材2の角筒状は、方形に限定されるものではなく、上部から見て、三角形、五角形以上の形状でも良い。上壁部8は、上空間部4を一周する方向で複数個に分かれて設けられている。上壁部8の個数は、2個に限定されるものではなく、3個以上でも良い。又、上壁部8は、上空間部4の隅部を上方より見てL字形に囲む形状でも良い。
【0030】
図10を用いて、発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる図6乃至9と異なる形の他方の接合対象部材2について説明する。図10に示した他方の接合対象部材2には、スリット20が他方の接合対象部材2の上面と外周面及び内側空間部3とに開口した態様に設けられ、上空間部4と中空間部5と下空間部6とからなる内側空間部3を囲む周壁部が一周する方向でスリット20により複数個に分かれた態様になっている。スリット20は、単数に限定されるものではなく、内側空間部3を囲む周壁部が一周する方向で複数個設けられていてもよい。
【0031】
図11を用いて、発明を実施するための形態に係る接合方法に用いられる図1と異なる上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材1及び2について説明する。図11に示した他方の接合対象部材2では、図1に示した上空間部4が削除され、中空間部5が他方の接合対象部材2の上面から下空間部6の上部に行くに従って徐々に内側に傾斜する斜面7で囲まれたすり鉢の形状になっている。中空間部5と下空間部6とが他方の接合対象部材2における内側空間部3を構成している。下空間部6は、中空間部5の斜面7が下方に延長された態様でも良い。図11に示した一方の接合対象部材1が中空間部5に上方より水平状に収容された場合に一方の接合対象部材1の外周部の下側が中空間部5の斜面7の上下方向の中間位置に接触して支持され、一方の接合対象部材1の上面が他方の接合対象部材2の上面よりも上に突出した状態になっている。
【0032】
そして、共振器11が図示されていない加圧機構により矢印14で示すように垂直に下降し、上下に重ね合わされた複数個の接合対象部材1及び2が共振器11の接合ツール部12とアンビル13とから垂直の荷重を受ける一方、共振器11が共振器11に連結された図示のされていない音波振動子又は超音波振動子から伝達された音波振動又は超音波振動に共振し、共振器11の接合ツール部12が矢印で示すように縦方向の振動を受けることにより、一方の接合対象部材1が上記荷重と振動とを受けながら垂直に下方に移動して他方の接合対象部材2の斜面7に沿って擦れ、インゴット状又は拡散状又は合金状に接合される。
【符号の説明】
【0033】
1 接合対象部材
2 接合対象部材
3 内側空間部
4 上空間部
5 中空間部
6 下空間部
7 斜面
8 上壁部
9 隙間
10 外周部
11 共振器
12 接合ツール部
13 アンビル
14 垂直に下降する方向を示す矢印
15 縦方向の振動を示す矢印
16 接合対象部材1及び2の境界面を囲む仮想線
17 空間部
18 構造物
19 凹部
20 スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12